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- 第164回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録
第164回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録
日時
令和3年12月22日(水) 18:00~20:00
場所
オンラインによる開催
厚生労働省 職業安定局第1会議室
厚生労働省 職業安定局第1会議室
議事
- 議事内容
- ○守島部会長 皆様方、こんにちは。
ただいまより、第164回「雇用保険部会」を開催いたします。
本日の出欠状況でございますけれども、公益委員の中窪委員、使用者代表の柴田委員が御欠席でございます。それから、公益委員の小畑委員及び労働者代表の千葉委員が御所用で途中退席ということを伺っております。
それでは、議事に入りたいと思います。頭撮りはこのぐらいということでお願いしたいと思います。
(報道関係者退室)
○守島部会長 本日の議題は「雇用保険制度について」でございます。
まず、事務局から資料1について御説明いただき、その後、委員の皆様に御議論いただきたいと思います。それでは、事務局、御説明をお願いいたします。
○山口調査官 それでは、資料1につきまして御説明をさし上げます。
雇用保険部会報告書の案でございます。今回は財政運営以外の部分について文書の状態でお示ししたものでございます。
まず第1として、雇用保険制度等の見直しの背景について記載をしてございます。最初のポツは雇用情勢の概観でございます。令和元年、コロナが起こる前でございますが、その当時の雇用情勢でありますが、年平均で有効求人倍率が1.6倍、完全失業率も2%台前半で推移するなど着実に改善が進んでおりました。その後、令和2年においては、コロナ感染拡大ということを受けまして、4月から緊急事態宣言が発令されたことに伴い、休業者数が一時的に急増するなど雇用に大きな影響がございました。また、完全失業率も3%まで達したところでございます。令和3年以降は製造業を中心に持ち直しの動きが見られまして、完全失業率は2%台に復帰をする一方で、宣言が長期にわたった結果、宿泊、飲食サービスなどでは雇用者数の減少や求人回復の遅れが見られるといったことでございます。
次に、コロナ期における雇用保険制度の対応について記載をしてございます。昨年の6月にコロナの臨時特例法を制定いたしまして、さらに累次の補正予算によって各種の雇用対策を講じてきたところでございます。具体的には過去に例のない大幅な雇調金の拡充ですとか、休業支援金、給付金の創設等によって雇用維持策を強力に講じていくという一方で、コロナで離職をされた方に対して基本手当の給付日数の延長ということを行う特例措置も講じてきたところでございます。
また、こうした特例措置を行うために、安定的な財政運営を確保するという観点から、臨時特例法によって令和2年度及び3年度に限って一般会計からの任意繰入れの仕組みですとか、あとは失業等給付の積立金から二事業に貸し出しを行うといった仕組みについても特例措置を講じたところでございます。
2ページでございます。こういった措置の功罪といったところなのですけれども、この一連の措置による多額の財政支出によりまして、諸外国に比して我が国の失業率の上昇というのを雇用調整助成金によって一定程度緩やかなものにとどめるなど、大きな効果を発揮したところでございます。その結果、雇用保険財政は保険料率及び国庫負担が令和3年度末まで暫定的に引き下げられていたともあって、支出が保険料収入を大幅に上回り、その補填のために安定資金残高は令和2年度末でゼロとなり、積立金もほぼ枯渇するという極めて厳しい状況に至ったところでございます。
このため、先般、経済対策、あと、令和3年度補正予算という対策を講じたところでございます。当面の雇用調整助成金の財源及び雇用保険財政の安定のために一般会計から労働保険特別会計に対して2.16兆円の繰入れを実施するとともに、雇用調整助成金等の支給や雇用保険財政の安定のための多額の国庫負担を行っていることも踏まえ、労使の負担感も考慮しつつ保険料率や雇用情勢及び雇用保険の財政運営状況に応じた国の責任の在り方を含め、令和4年度以降の雇用保険制度の安定的な財政運営の在り方を検討し、次期通常国会に法案を提出すると経済対策に盛り込まれたところでございます。
これによりまして、令和3年度中の支出に充てた後に残る令和3年度末の積立金残高でございますが、これが約1.3兆円となる見込みでございます。しかし、令和4年度におきましても多額の雇調金の支出が想定されると引き続き財政状況は厳しいということでございますし、保険料率及び国庫負担の暫定的な引き下げ措置、それから、臨時特例法によって設けられた財政運営上の特例措置が今年度末で終了するといったことも踏まえまして、令和4年度以降の安定的な財政運営について検討する必要がございます。
また、給付面につきましても、雇止めによる離職者等々の方々について、給付面の暫定措置を行っておりますけれども、こちらも今年度末で期限を迎えるということになっております。
3ページでございます。こうした状況を踏まえて今年の9月以降、雇用保険制度全般について部会で御議論いただいたところでございまして、以下のとおり見直しの方向について結論を得たと申しております。
第2といたしまして「雇用保険制度等の見直しの方向」と題しております。まず、基本手当についてでございますが、基本手当の水準については、その支給状況等について当部会において検証したところであるが、基本手当受給者の再就職状況等の指標について大きな変化が見られないこと等から、現時点で改正を行うことはしないとしております。
※書きで、この点に関しまして労働者代表委員から、基本手当の水準は平成12年及び平成15年の雇用保険法改正によって法定日額や所定給付日数が引き下げられた経緯がありまして、これを踏まえて所定給付日数等について雇用情勢や景気動向も踏まえた検討が必要ではないかという意見が示されたところでございます。
次に、効果検証について記載をしてございます。次に述べる暫定措置ですとか、令和2年10月から施行されている自己都合離職者の方の給付制限期間の短縮、令和4年1月からの施行が予定されておりますマルチジョブホルダーに対する試行的な適用といった近年の制度改正も含めて個々の制度に係る検証と併せて、制度全体について施行状況を検証すべきとしてございます。
次は、離職後に起業した場合の話でございますけれども、基本手当の受給期間は離職後1年間を原則としておりますが、被保険者の方が離職をして、基本手当の受給資格を取得した後に求職活動を行わずに、またはそれを中止して起業するという場合について、その後、やむを得ず廃業に至って改めて求職活動に入る場合にも基本手当を受給できるように受給期間の特例を設けるべきであるとしております。
(2)は基本手当関係の暫定措置についてでございます。3種類ございますけれども、まず雇止めによる離職者について所定給付日数を特定受給資格者並みの水準とするというもの、それから、就職促進手当の支給を受けた場合の受給期間延長の対象とすること。就職が困難な求職者に対する延長給付等の暫定措置というものが講じられております。これらの暫定措置につきましては、厳しい雇用情勢下で設けられた暫定措置であるといった経緯を考慮しつつ、現在、コロナ禍からの経済の回復途上にあることも踏まえまして、3年間に限り延長すべきとしております。
次のポツはコロナ延長給付についてでございます。こちらは臨時特例法において創設をされた仕組みでありまして、令和2年度の支給実績が約1000億円を超えるといったことなど広く活用されているものでございます。こちらの制度につきましては、コロナ禍からの経済の回復途上にあることや、感染の再拡大のリスクに備えるといった観点から当面は制度として存続させる必要があるとした上で、その制度の適用となる期間の終期を設けることが適当ではないかということが記載をされてございます。具体的には、緊急事態措置が終了して一定期間が経過した場合には、求職活動に対するコロナの影響も相当程度減少していると考えられることから、都道府県ごとに緊急事態措置が終了してから1年経過後はコロナ延長給付を行わないこととすべきであるとしております。
次に、教育訓練給付でございます。最初のポツはこれまでの制度改正の経緯について記載をしているものでございます。
5ページを御覧いただきまして、教育訓練給付についての課題ということなのですけれども、その制度周知を図って制度利用を促進するとともに、指定講座についてはオンライン、土日開催を進めるなど利用しやすい環境整備を図るほか、市場ニーズを基にその内容の充実を図り、指定講座の偏りの是正を図るべきであるとしております。
次のポツは効果検証について触れてございます。教育訓練給付についても職業能力の向上を通じて失業予防、早期再就職を図るといった制度趣旨に沿って運営される必要がありまして、受給者の動向を確認する手法の見直しも検討しつつ、効果検証をしっかり行い、さらなる制度改善につなげるべきであるとしております。
次が、教育訓練支援給付金でございます。こちらは教育訓練給付の中でも専門実践教育訓練給付という高度な訓練を受けておられる方のうち45歳未満の若年離職者の方の生活費の補助といったものでございますけれども、こちらは令和3年度末までの時限措置となってございますが、コロナ禍からの経済の回復途上にあることも踏まえまして、3年間延長すべきであるとしております。ただし、こちらにつきましても効果検証ということを行うべきという御指摘がございまして、費用対効果の観点も踏まえつつ、訓練の対象資格の取得状況や雇用継続、再就職状況の面から効果検証を行うべきであるとしております。
3番目が求職者支援制度でございます。こちらにつきましては、コロナ禍で非正規労働者の離職やシフト減等の雇用への影響が深刻化する中で、より必要性が高まっている制度となっております。令和3年度におきましては、10万円の職業訓練受講給付金につきまして、本人収入要件、世帯収入要件、出席要件の緩和や訓練対象者の拡大、訓練基準の緩和といった特例措置を講じるとともに、年間受講者数、目標5万人を掲げて制度周知や受講勧奨を行ってきたところでございます。
こうした特例措置でございますけれども、コロナ禍からの経済の回復途上にあるといったことですとか、こうした要件緩和によって必要な方が受講できる環境整備に取り組んでいる途上であるといったことを踏まえまして、令和4年度末まで延長すべきとしております。
次のポツでございますけれども、求職者支援訓練をハローワークの所長の受講指示の対象とすべきであるという件についてでございます。現行制度においては、雇用保険受給資格者が求職者訓練を受ける場合については受講指示の対象とならず、結果として訓練延長給付や技能習得手当の対象ともされておりません。これについて、雇用保険受給者の訓練受講選択肢の拡大や早期かつ安定的な就職を促すといった観点から、こちらも受講指示の対象とすべきであるとしております。
次の2つのポツは効果検証についての記載でございます。まず、求職者支援制度における10万円の給付金ですけれども、この水準等の制度の枠組みは維持をしつつ、当面、まずは制度利用の周知を図って、利用者が大幅に増加しない要因について不断に検証するとともに、就職率や職場定着といった効果検証を行うべきであるとしております。
さらにこれまで1~3に述べました各給付について、制度利用のボトルネックや制度趣旨に沿った効果を上げているかを含めて令和4年度に効果検証を行い、その結果を踏まえて、必要な見直しを検討すべきであるとしております。
4番目は雇調金の特例・休業支援金についてでございます。雇調金はコロナの感染拡大が休業要請や外出自粛により経済雇用情勢にも大きく影響を与えたということに鑑みて、企業の雇用維持を支援する中心的な政策として講じられてきたというものでございます。特に中小企業におきまして人員面、資金繰りの面から休業手当の支払いもままならないといった状況が見られたことから、臨時特例法によりまして中小企業の労働者に対して個人申請を可能とする休業支援金制度が創設をされたということですとか、一般会計によって支援を行う緊急雇用安定助成金、雇用保険被保険者以外の方にも支援を行うといった給付金が創設をされたところでございます。
その後、累次の宣言の発令ですとか、雇用経済情勢の影響が長期化してきたことに鑑みまして、大企業についても雇用調整助成金の助成率を10分の10とするとともに、休業手当が支払われない状況が見受けられたシフト制労働者につきましても休業支援金の対象とする等、制度を拡充したところでございます。
その後ですけれども、雇用情勢を見極めながら雇調金を段階的に縮減することとされておりまして、感染拡大地域や業況の厳しい企業に対して支援を重点化するという観点から特例措置が見直されてきているところでございます。
支給実績につきましては、最終的に報告書をまとめる段に直近の金額を記載したいと考えておりますけれども、12月17日時点で雇調金は累計約4.7兆円の支給というところに至っているものでございます。こちらもコロナ禍における社会経済活動を制限した中での国の雇用対策として極めて重要な役割を担ったといえると考えております。
この雇調金の特例措置ですけれども、部会で様々な御意見をいただいたところでございます。当面の特例措置の継続が必要であるといった御意見があった一方で、長期にわたる特例措置が産業の新陳代謝を遅らせている可能性は否めず、労働者のスキルや労働意欲の低下が懸念されるといったことから、エビデンスに基づいて縮小を議論する時期に来ているといった御意見もございました。
こうした議論を踏まえまして、骨太の方針において雇用情勢を見極めながら、この特例措置について段階的に縮減していくとされていることを踏まえまして実施していくことが適当としております。これに伴って当面の措置として、令和4年度に限り以下のとおりの対応とすべきであるといたしまして、休業支援金についても制度としては存続させつつ、雇調金の対応に合わせて制度の在り方を検討する。それから、臨時特例法により設けられた中小企業の日額上限を超える部分について、一般会計により負担する仕組みを延長するとしております。
また、当面の二事業の安定的な運営を図るために、二事業に積立金から借り入れることができる仕組みにつきましては、3年間継続することが適当としております。
さらに今後の雇用対策でございますけれども、雇調金による雇用維持支援策と併せて成長分野等へ労働者が円滑に移動できる環境整備等を図るために、在籍型出向を通じた雇用確保を支援する産業雇用安定助成金の活用促進、さらに労働者のスキルアップや労働移動を支援するような事業といったことを着実に実施することが重要であるとしております。
その実施に当たりましては、事務処理体制が十分でない中小企業においてもこうした支援策がしっかりと活用されるように、ノウハウの提供や在籍型出向に関するマッチング事例の紹介や横展開など、配慮をきめ細かく行うべきであるとしております。
財政運営については項目内のみ記載をしております。
説明は以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見・御質問がありましたらお願いしたいと思います。
杉崎委員、どうぞ。
○杉崎委員 まず、「1基本手当」に記載されている内容につきましては、前回の部会で発言いたしましたとおり、経済雇用情勢がコロナ禍からの回復途上であることを踏まえとる、やむを得ない措置であると考えておりますい。なお、基本手当を含む全ての項目において、今回の措置による効果や課題を部会に報告し検証するなど、効果検証をしっかりと行っていただきたいと思います。
また、これらの措置に係る国庫負担は本則に戻すべきであるという考えに変わりはございません。
次に、「2教育訓練給付」に記載されている内容につきましては妥当であると思います。
「3求職者支援制度」につきましては、報告案には令和3年度に講じた特例措置を令和4年度まで延長すべきと記載されておりますいが、この件は特に効果検証をしっかりと行っていただきたいと思います。そのほか、安定所長による受講指示の対象とすること、制度利用者の増加や就職定着への効果を検証することは妥当であると思います。
「4雇用調整助成金の特例・休業支援金等」につきましては、7ページの4つ目の○に記載されている内容はおおむね妥当であると思います。特に「特例法により設けられた、中小企業の基本手当日額の上限を超える部分について一般会計により負担する仕組みを延長する」ことは、宿泊・飲食業など、コロナ禍でいまだに厳しい業況の企業から特例措置の延長を希望する声が非常に多いことから、ありがたい措置であると考えます。なお、令和4年度以降の取扱いにつきましても経済・雇用情勢を踏まえ、柔軟に対応していく必要があると思います。
8ページの1つ目の○に記載の「雇用保険事業に積立金から借り入れることができる仕組み」につきましては、雇用保険事業会計には各種雇用対策事業に充当する相応の資金を確保しておく必要があり、さらには雇用調整助成金の支給決定件数・金額のペースが落ちておらず、新たな変異株による先行き不安がある中で、この借入規定がないと令和4年度の雇用調整助成金等の予算が組めない状況にあります。したがいまして、安定的な財政運営の観点から、「雇用保険事業に積立金から借り入れることができる仕組み」を一定期間延長することは不可欠であり、3年間継続するとの案は妥当であると考えます。
また、2つ目の○に記載されているとおり、雇用調整助成金等の雇用維持支援策と併せて、成長分野等への円滑な労働移動を促進していくことが不可欠であり、特に雇用の7割を占める中小企業において支援策が十分に活用されるということが重要ですあるため、厚生労働省におかれましては、施策の周知と中小企業に対するきめ細やかな支援をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続いて、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 私からは労働側の意見を3点申し上げたいと思います。
まず、1点目が基本手当の暫定措置でございまして、雇止め離職者の所定給付日数を特定受給資格者並みの水準とする暫定措置等につきましては、雇止めによる離職者の再就職に要する期間が顕著に短期化してきたなどの状況変化が確認されない限りは現行措置を延長し続けるべきであるということを、労側から繰り返し申し上げてまいりました。報告案の記載を見ますと、基本手当以外の暫定措置は3年間延長すべき、3年間継続することが適当となっておりますけれども、基本手当のところだけが3年間に限り延長すべきとされ、「限り」が入っております。過去には暫定措置を終了した場合の影響も踏まえ、延長する判断がされてきておりまして、他の表記に合わせ、3年間延長すべきと修正する必要があると考えております。
2点目は、雇用調整助成金に関する当部会の議論の記載でありまして、7ページになりますけれども、長期にわたる特例措置が産業の新陳代謝を遅らせている可能性のところでございます。まず、本部会におきまして、これまで縷々主張してまいりました労使の意見などの記載がない中で、この件にのみ意見があったと本文中に記載されていることには違和感がございます。もし仮にこの記載を残されるということであれば、報告書の各所に労使がこれまで主張してきた意見があったと追記されない限りはバランスが取れないと考えておりますし、反対でございます。産業の新陳代謝の議論について労側働委員として一言申し上げれば、あくまで労働者の保護や労働者本人の意思が尊重されることが前提であるということを申し上げておきたいと思っております。
それから、雇用調整助成金の今後の措置内容ということで3点目でございますけれども、1月からの原則的な措置の引き下げについて議論した際、これは11月に本部会で議論したと思いますが、雇用への影響に最大限配慮する必要があり、今後、雇用情勢が悪化した場合には、それに応じて措置内容を機動的に引き上げることが大前提であるという内容を労働側より申し上げてまいりました。こういった経緯も踏まえて労働側の意見でございますけれども、段階的な縮減ありきではなく、今後の雇用情勢や感染状況を受けた政府の感染症対策などを踏まえた引き上げについても言及が必要だということを意見として申し上げたいと思います。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
三島委員、お願いいたします。
○三島委員 私からは3の求職者支援制度の項目の最後の6ページでありますけれども、「上記1~3に述べた各給付については、制度利用のボトルネックや制度趣旨に沿った効果を上げているかを含めて令和4年度に効果検証を行い、その結果を踏まえて必要な見直しを検討するべき」という記載があります。今後の雇用保険部会で暫定措置延長などの検討を行う際には、一定規模以上の調査や効果検証の結果を示していただき、そういったエビデンスに基づかない議論を進めることがないよう改めてお願いします。
また、先ほどの記載については、3の求職者支援制度の項目にのみ記載すると、1~3の全てに係る内容であることが明確にならないと判断します。また、第2の雇用保険制度等の見直しの方向のすぐ後や、1~3の各項目に記載するなどの工夫をしていただきますようお願いいたします。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
平田委員、お願いいたします。
○平田委員 質問と意見でございます。
まず、3ページ目でございます。下から2つ目の○です。起業後廃業した場合とございますありが、まず「やむを得ず」ということをどのように定義するのか。それから、特例を設けるべきだという方向性が書いてあります。一定期間ということだろうかと思いますけれども、どれぐらいの期間をとするのか、何か適切な理由づけが必要ではないかと思っております。
それから、4ページ目の上から2つ目の○のコロナ延長給付のところです。当面は制度として存続させる必要があると書かれていますが、ここは期限を区切っていないのかどうか、これは御質問でございます。
それから、5ページ目の上から2つ目の○の下から3行目の後半のところです。「受給者の動向を確認する手法の見直しも検討しつつ効果検証をしっかり行い」という記述ですけれども、具体的にどういうことなのか、もう少し記述したほうがよいのではないかと思います。
最後に6ページの雇調金、休業支援金についてです。制度拡充の事実が書かれておりますけれども、皆さん御存じのとおり、休業支援金は個人給付で、事業主への助成が基本という中で異例の措置を取ったという事実もぜひ書き込んでいただければと思っております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、質問の部分をお答えください。
○長良雇用保険課長 1点目の受給期間の特例のところでございます。こちらは現在、疾病、あるいは出産、あるいは育児というような、やむを得ない事情があって求職活動を直ちに行うことが困難であるようなケースで、最大4年の受給期間の延長という仕組みが設けられているところでございます。今般のいわゆる起業を行って廃業された方に関しましても、一定の期間の目安としては同様の4年間を想定しているところでございまして、例えば離職をされてから起業して廃業に至る期間というのが、通常は短いところで3年程度が見込まれるのではないかと思っておりますし、あるいは育児などの理由で受給期間を延長される方も長くて3年程度の延長というのが想定され得ることも踏まえて、このような期間で設定してはどうかということでございます。
あと、やむを得ず廃業に至りの「やむを得ず」というのは、法令上の要件として何らか設定することは想定しておりませんが、廃業して求職活動に入るというのは、ある意味雇用労働者として求職活動に入るわけでございますので、いわゆる起業の状態から切り替えるということで通常やむを得ないというような状況下であるのではないかということを表現しているものでございます。
2点目のコロナ延長給付でございますけれども、コロナ延長給付の制度設計に関連いたしましては、現在、臨時特例法におきまして終期が特段定められておりませんが、こちらに関しては、緊急事態宣言の終了後1年をめどに延長給付の対象としては外れていくというような考え方を想定しているところでございます。ただ、緊急事態宣言、あるいは緊急事態措置というのは、当然今後も発動される可能性がありますので、その場合に延長給付はその地域において復活するというようなケースもございますし、そういう意味で、地域ごとに少しまだら模様な制度になろうかとは思いますけれども、ベースの部分の延長給付の仕組み自体は残っていくと想定しているところでございます。
3点目、受給者の動向の確認というのは教育訓練給付の部分でございますけれども、教育訓練給付の制度のいわゆる効果に関しましては、これまでデータとしてお示ししてきたものが、主として雇用保険データを参考といたしまして、雇用継続というのは雇用保険の被保険者として継続されているか、あるいは資格を取って2割の上乗せの専門実践の給付の対象となっているか、こういったところを主に効果検証の対象としてきたところでございますが、これまでの教育訓練給付に係る御意見の中では、もう少しきめ細やかに、受給者が例えばどういう水準のお仕事に就いたか、どういう賃金水準になっているのか等々、受給者が訓練を受けてどうなっているかというところをもう少しつまびらかに検証できないかというところでございます。したがいまして、従来型の雇用保険のデータだけで把握できないところも含まれておりますので、そういう意味で、この受給者の動向を確認する手法の見直しも検討しつつという表記を加えているということでございます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見とか御質問はございますでしょうか。大丈夫ですか。
それでは、資料1については終わりにさせていただいて、資料2に行きたいと思います。
まず、事務局から資料2について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山口調査官 それでは、資料2について御説明をいたします。
まず、2ページを御覧いただければと思います。「令和4年度予算編成の前提としている制度的枠組み」と題した資料でございます。こちらは本日の午前中に大臣折衝が行われました内容をしたためたものとなっております。
令和4年度以降の雇用保険制度の安定的な財政運営を図るという観点から、以下のとおりとするとされておりまして、まず最初に、雇用保険料でございますが、令和4年度に限り、失業等給付の雇用保険料を本則(0.8%)から引き下げ、4月から9月は0.2%、10月から令和5年3月は0.6%とするとしてございます。
また(2)で国庫負担とございますけれども、マル1の求職者給付につきましては(1)雇用保険の財政状況及び雇用情勢に応じた国庫負担とするため、以下のとおりとするとしております。イとロがございますけれども、イで雇用勘定の財政状況及び雇用情勢が一定の基準に該当する場合、こちらは現行の本則(4分の1等)が適用され、それ以外の場合は、現行の本則の10%とすることになっております。
注1のところで、この一定の基準の中身が具体的に記載をされておりますけれども、前々年度の各月における基本手当の受給者実人員の平均が70万人以上かつ前々年度の弾力倍率が1未満となっております。
(2)でございますが、この(1)の外枠でございます。予算で定めるところにより失業等給付等に要する費用の一部を国庫が負担することができることとするとしております。
国庫が負担できるときの具体的なケースというのが注2のところに記載をしてございます。雇用保険料が本則(0.8%)以上である場合、もしくは次年度に本則(0.8%)となる見込みである場合、または積立金の状況や雇用保険財政の状況に照らして必要と認める場合に限るとされております。
また、この項目に基づいて負担した額、繰り入れた額ですけれども、この額は注1にあります前々年度の弾力倍率というところの計算に含めることとするとしております。
マル2が育児休業給付でございます。同給付の収支状況等を踏まえまして、現行の国庫負担を令和6年度末まで維持をし、本則(8分の1)の10%とするとしております。また、求職者支援制度につきましては、雇用保険被保険者以外に対するセーフティーネット機能を強化する観点から、令和4年度以降当分の間、本則(2分の1)の10%から55%とするとしてございます。
さらに(3)で臨時特例法に基づくものですが、新型コロナ禍に対応するために、一般会計からの繰入規定について令和4年度末まで可能とするとしております。
3ページで、以上を前提とした上での令和4年度の失業等給付の収支のイメージをお示ししてございます。まず、3年度の収支のイメージを御覧いただきますと、収入の2段目の欄、保険料収入がありまして、さらにその下に国庫負担というのがございます。3年度は1.8兆円ということでお金が入っております。2年度と比べていただきますと、かなり巨額の国庫負担が入っているということで、これは先般の補正予算で1.7兆円、一般会計から繰り入れたものがここに入っております。
その結果といたしまして、令和3年度末の積立金残高ですけれども、1.3兆円となっております。こちらは補正が入る前は0.4兆円でございましたから、一般会計が入ったことによって積立金が増強されたということになっております。
以上を踏まえて、令和4年度のイメージなのですけれども、先ほど御説明をいたしましたように保険料率が上半期は0.2、下半期が0.6ということでございまして、こちらは通年で考えますと、0.4%に相当する収入になっております。0.1%が2000億相当でございますので、0.4%は8000億ということに相当いたします。
一方で、支出を3年度と同程度ということで横置きをしておりまして、その結果といたしまして、収支差がマイナス0.8兆円ということになっております。このマイナス部分をどうやって補填するかということですけれども、令和3年度の積立金残高1.3兆円から、ここの穴を埋めるといったことになります。積立金は通常、労使の方々からいただきました保険料が積み上がっているものでございますが、3年度につきましては、国庫負担1.7兆円を繰り入れたことによって、積立金残高が1.3兆円を確保できているということでございまして、これを使って収支差の補填を行っているものでございます。
1.3兆円の積立金残高から0.8兆円を使ったということでございますので、残りは0.5兆円でございます。これが積立金残高令和4年度末というところに計上されているのですけれども、このほか雇調金の貸し出しということを4年度もやはり実施する必要があると考えております。現在、金額につきましては予算編成過程でございますので、まだ精査中というものでございますけれども、ここで貸し出した額というのは積立金残高から減るという構造になりますので、貸し出した残りの額が令和4年度末の積立金残高になるといった構造になっております。
4ページを御覧いただければと思います。先ほどの大臣折衝の中に書いてありました国庫負担の率なのですけれども、字で分かりにくいものですから、マトリックスに整理をしたものでございます。左側が雇用情勢でございまして、受給者実人員について70万人以上か、70万人未満かというところで分かれてございます。上が雇用保険の財政状況ということで、弾力倍率で表現をしておりますけれども、1未満か、1以上2以下か、2を超えているかといったところで分けております。
雇用情勢(実人員)が70万人以上で、かつ弾力倍率が1未満のときは、国庫負担率は4分の1、それ以外のときは40分の1ということになっております。
このルールと並行いたしまして、新たな国庫繰入規定というのが右側にございます。この国庫を繰り入れられる場合というのが具体的にどういう場合かということでございますけれども、保険料率が本則であります0.8%以上である場合、もしくは次年度に0.8%となる見込みである場合ということ、具体的には前年度の弾力倍率が2以下であるときには、本則になるということでございます。
それから、積立金の状況や雇用保険財政の状況に照らして必要と認める場合も発動可能になっておりまして、具体的には弾力倍率が2を超えるときでありましても、当該年度の雇用情勢等が急速に悪化しているというようなケースを想定しておりますが、こういった場合も発動可能ということになっております。
これらの繰入規定とはまた別に、その下の※書きのところですけれども、令和4年度につきましては、臨時特例法に基づく一般会計からの任意繰入規定というものを延長することで考えております。
一番下の※のところですけれども、こちらは受給者実人員と弾力倍率双方に係る注書きでございます。いつの時点でいつの数字を判断するのかということを書いておりますけれども、N年度の隔月における実人員の平均、それから、弾力倍率によって、N+2年度の国庫負担率を判断するということになっております。
こちらの全体像の全てでパッケージとして負担率ということを考えておりまして、例えば40分の1から4分の1の間のところ、さらに4分の1を超える場面といったものにつきましても、要件を満たせば失業等給付に必要な額を繰り入れることができるといった仕組みになっております。
5ページを御覧いただければと思います。育児休業給付の財政運営資産というものでございます。育児休業給付に係る国庫負担の暫定措置、原則×10%といった暫定種水準でございますが、これは3年間延長された場合の財政運営試算を行ったものでございます。上の四角が従来どおりの試算ということなのですけれども、過去3年間の支出の平均の伸び率、年8.3%のペースで今後も支出が伸びていくと仮定をしております。他方、収入の欄のところを括弧書きで(うち国庫)と記載をしておりますが、これは本則×10%水準が続くという前提で数字を置いたものでございます。
結果といたしましては、令和5年度、6年度で差引剰余でマイナスになるのですが、育児休業資金残高が取り崩すことによって、令和6年度末までは安定的に運営ができるといった見通しになっております。
一方、下の四角でございますが、こちらはリスクシナリオでございます。支出が過去3年最大の伸び率(11.1%)、年率で伸びると仮定を置いたものでございます。この場合になりますと、令和6年度末におきまして、育休資金残高が資金不足に陥る恐れがあるということになっております。このため6ページを御覧いただければと思います。
(1)のマル3というところを御覧いただければと思いますけれども、育児休業給付に要する経費を積立金から借り入れることができるという仕組み、図で御覧いただきますとマル3の矢印が伸びておりますが、失業等給付の積立金から育休にお金を貸すことができるという仕組みが臨時特例法によって令和2年度、3年度限定で設けられているということでございます。こちらは実際にお金を貸したという実績はないのですけれども、育休の国庫負担の暫定措置が延長されたという中におきまして、育児休業給付の増加率が高い水準で推移をした、リスクシナリオのような形で推移をしたという場合に備えまして、令和6年度まで延長することが適当と考えております。
また、この借入れが実際に必要になるかどうかは分からないのですけれども、実際に必要となった場合につきましては、その返済の取扱いを検討することとしてはどうかと考えております。
また、臨時特例法に基づきますほかのマル1、マル2、マル4という矢印についてでございますけれども、マル1とマル2につきましては、当面コロナの影響というものが続いておりますことから、令和4年度に限り延長するという形で考えているところでございます。また、マル4の積立金から二事業へ貸し出しできるという仕組みにつきましては、令和6年度までの3年間延長することが適当と考えております。
(2)雇用安定資金の累積債務の取扱いというものがございます。現在、二事業の剰余で黒字が出れば、全額積立金に債務の返済に充てるということになっておりますけれども、この場合ですと雇用安定資金が積み上がらず、機動的な雇用対策を講じることができないということでございますので、毎年度の二事業の剰余の2分の1の範囲内で雇用安定資金にも積み立てができるようにするということ、さらに雇用保険財政の状況や二事業の実施の状況等を勘案して、返済必要額から控除することができるという仕組みを設けることが適当と考えております。
また、マル1で雇用安定資金に積み立てた金額を含めて未返済額の返済の在り方につきましては、二事業への貸出原資である積立金に労働者が拠出した保険料が含まれていることや失業等給付の積立金及び安定資金の状況等も踏まえて、令和6年度までをめどに改めて検討することとしてはどうかと考えております。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして御質問・御意見等がありましたら、お伺いしたいと思います。
冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 まず、前回のこの審議会において、唐突にこの国庫負担の部分の論点が示されたところについて、労働側としては強い意見を申し上げたわけでございます。それに伴って事務局には内容について再考を求めたわけですけれども、今回の内容については前回と同様のものでございまして、そこについては大変遺憾に考えているところでございます。
また、令和4年度の予算編成の前提となる制度的枠組みが2ページに示されておりますけれども、この予算編成の前提として保険料収入の前提となる雇用保険料率が上期0.2%、下期0.6%、国庫負担金の前提となる国庫負担割合は2.5%となっているところでございます。公労使の合意形成の場である労働政策審議会における議論結を得ることなく、このような前提の2022年度予算案が示されたことは、政策決定の進め方として適正でないばかりではなく、本部会の委員に対する誠意を著しく欠くものではないかと考えているところでございます。
続いて、国庫負担割合と一般会計繰入についてでございます。国庫負担割合の規定による国費の購入というところが記載されているわけでございますけれども、これは当然のことながら今までずっと申し上げてきたように、時々の財政状況によらず、政府の雇用政策に対する責任を示す趣旨で本則が設定されているものということで認識しておりますし、この間ずっとそのように申し上げておりました。
ここに書いてあるように本則の引き下げを行うからには、提起されている一般会計からの繰入れによる国費の投入について、雇用保険会計の決算結果を待たずに機動的に実施されることはもちろんのこと、制度として規定されているものの実際には危機的状況にあっても繰入れの条件を満たせず実施されないような、といったことが起こらないような条件設定が不可欠ではないかと考えます。その観点からすれば、今回の条件設定というのは機動的な繰入れにつながらないのではないかと考えているところでございます。
また、この労政審の重要性というところを考えれば、一般会計からの繰入れというのは、この雇用保険部会での公労使の合意により機動的に決定できるものでなければいけないと考えておりますし、そのことは不可欠だと考えているところです。
少し飛びますけれども、臨時特例法による財政スキームのところでございます。こちらにつきましては、安定的な財政運営をしていく上では、年度内の不測の事態に機動的に対応していくようにすることが必要でございますので、現行の財政状況においては特例の延長は不可欠だと考えているところでございます。
次に、雇用安定資金の累積債務でございます。これは以前から申し上げておりますけれども、累計借入額の議論に端を発して二事業が縮小されるようなことは決してあってはならないということは、まず申し上げたいと思っております。
一方で、この二事業への貸し出し原資である積立金、ここには労働者が拠出した保険料が含まれているということを踏まえれば、貸出額がしっかりと保全されるべきものということは言うまでもないということを改めて申し上げておきたいと思います。
また、マル2のところに返済必要額から控除することができる仕組みを設けるとございますけれども、これは当然一般会計から繰り入れられた額が返済に充当されることを意味すると考えておりますので、その旨が分かるような記載に変更すべきだと考えております。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
菱沼委員、お願いいたします。
○菱沼委員 今、事務局から御説明いただいたところでございますが、一昨日、雇用保険部会を開催したばかりでございますので、論点出しとか骨子をいろいろいただいたところであります。資料1で報告案という形で出たのですけれども、5.の財政運営についてということで(1)(2)(3)(4)という形で、まだ記載がないまま議論が始まって、こういった財政運営で今、大臣折衝みたいな御説明があったということなのです。いろいろ御努力は理解しますけれども、やはりプロセスといいますか、そこの進め方はちょっと配慮いただけたらなと思いましたので、そこは意見として申し上げます。
それから、3点ほど申し上げたいと思います。
雇用保険料につきましては、国の支援を得ながら失業等給付の財政を支えてくれるということで、前回論点出しのところに激変緩和ということがありましたけれども、それについて御理解いただいたと認識しております。
後ほど確認したいことなのですけれども、雇用保険料が4月から9月が0.2%ということと、10月から令和5年の3月まで0.6%とするという形になっているのです。これは固定ということでよろしいのかという確認でございます。何か事情が変わって、10月からも変更ないということなのかという確認をしたいと思っています。
それから、国庫負担についてですけれども、何度も申し上げているとおりでございますが、平成29年の雇用保険部会報告ですとか、国会の附帯決議は重いということで、ここに数字的には残っていますけれども、本則復帰については強く主張したいところでございます。数字上は4分の1という形で残っているのですけれども、冨髙委員もおっしゃったように現実的には厳しい数字かなと思っています。雇用保険財政を不安なく制度を維持していくためには、先ほど説明資料にありましたマル1の(ⅱ)で国庫が負担することができる規定ですとか、注2にあります必要と認める場合がしっかり機能する必要があるのではないかなと思います。
最後に、雇用保険の臨時特例法のスキームについてちょっと御意見を申し上げます。現状、積立金から安定資金の借入れの流れでは、本来払うべき失業給付の支払いへの懸念について、先ほど冨髙委員からも発言があったかと思います。雇用安定資金への直接繰入れとか、累積債務の返済の仕方を含めて財政の立て直しを図っていくべきだと、こういった法律がちゃんと機能しているか、この辺もやはり検証していく必要があるのではないかなとは思っておりますので、その辺も意見として申し上げます。
確認事項だけお答えいただけたらと思います。お願いいたします。
○長良雇用保険課長 雇用保険料の記載でございます。令和4年度に限り4月から9月は0.2%、10月から令和5年3月は0.6%という前提で予算案を作成し、それに関連する法案の提出の準備を進めたいと考えております。それに際しては、0.2%、0.6%、いずれも本則水準ではございませんので、法律で書き切るという形で考えているところでございますので、固定という意味では固定ということになろうかと思います。
以上です。
○菱沼委員 ありがとうございます。
実は、この会議に臨む前に、雇用保険料の申告書の書き方とか、いろいろと資料を見てきたのですけれども、労働保険料は概算で年間保険料とか、一括ないしは分割して払って最後は次の年に精算という流れになるかと思うのです。年度途中で保険料率を変更するというのはあまりないケースかなと思っておりますので、そういったところをこのままの予算を取って、この数字になるようであれば、丁寧に周知する必要があるのではないかということを意見として申し上げます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
続いて、小林委員、お願いいたします。
○小林委員 私のほうからは4ページ目についてです。提案のマル1の要件のところ、4分の1の部分ですが、こちらは現実味がないのではないかと思っているところです。バブル崩壊後の不況を除いて、雇用情勢の受給者の実人数が70万人以上というところと、弾力倍率が1%未満という両方の要件を満たしている時期はどれだけあるのかということを疑問に思っているところでございます。特に受給者の実人員70万人以上というのは、雇用危機が到来しようとも雇調金などのセーフティネットが機能すればするほど現実味が薄れてくるのではないかなと考えているところです。
また、新たな国庫繰入規定につきましても、現行の臨時特例法に基づく一般会計からの繰入規定に比べても要件が大きく制約されるものであるのではないかと思っています。
また、ここにある「当該年度の雇用情勢等が急速に悪化している場合」というのは、具体的にどういうことなのでしょうか。前回の資料には、「国の雇用対策に係る責任をより機動的に果たし得るよう」という記載があったかと思います。これが真に機動的な対応といえるのかどうか疑問であるということもありますし、雇用保険会計の決算を待つまでもなく、危機的状況においては一般会計の予算費を投入することでしか機動的な対応はできないのではないかと考えておりますので、意見として述べさせていただきたいと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
続いて、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 労働側の佐藤でございます。私からは2ページの注2のところにあります弾力条項と申しますか、そこの点でございます。
過去、本部会で国庫負担割合とか、雇用保険料率の引き下げ措置延長の議論のときにも労側から申し上げておりますけれども、この弾力倍率というのはあくまで雇用保険料率をプラスマイナス動かす基準の話だと理解をしておりまして、それ以外の判断に用いるものなのかというところについては、そうではないのではないかという意見を労働側としては持っております。
今回の財政運営についての資料の中、今ほど申し上げました注2のところでございますけれども、弾力倍率を国庫負担割合の適用の基準として用いるということだと読んでおりまして、注2のところに失業等給付等に要する費用の一部を国庫が負担した額についても弾力倍率の計算に含めるというようなことが記載をされております。ここなのですけれども、これは従来の雇用保険料率の調整に使ってきた弾力倍率とは違うもの、似て非なるものなのかと読めるのですけれども、事務局から見解というか、コメントをいただければと思っております。労働側としてはむやみに制度を複雑化させるべきではなくて、国庫負担の割合の本則回帰をしっかりと行った上で、年度内の予備費の投入でありますとか、補正予算により一般会計での繰り入れを可能とすべきではないかと考えております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
○長良雇用保険課長 ただいまの2ページの注1のところでございます。弾力倍率の計算自体は保険料のいわゆる変更の水準と同じような計算方式を想定してございますが、この保険料の計算に当たっての弾力倍率というのは、基本的な考え方といたしまして単年度、1年分の失業給付に要する費用、この給付費を積立金の残高が下回るようなケースというのは、非常に財政的に危ない状況であるというようなことでございまして、一定の財政を推し量るメルクマールと考えているところでございます。
したがいまして、この弾力倍率1未満というところが、今般、国庫負担、つまり国庫を投入するに当たっての一つの基準として設定してはどうかというところが、こちらの基本的な考え方でございます。
もう一つ、注2にある本項に基づき負担した額は注1の弾力倍率の計算に含めるということでございますので、この予算で定めるところにより、国庫が負担することができる旨の規定、こちらに関しましては、いわゆる機動的に補正予算、あるいは予備費などで繰入れが可能となるものとなります。繰り入れた額につきまして、弾力条項の計算式にも入れていくということを想定してございますが、こちらに関しては実は法律上の措置が必要となってまいります。詳細を口頭で申し上げるのはかなり限界がございますので、できれば次回、少し資料をお出ししたいと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
三島委員、お願いいたします。
○三島委員 これまでも、また、前回の部会でも同様の内容を申し上げてきましたけれども、育児休業給付等については、雇用保険会計によらず、政府の責任により一般会計で実施するなどの制度の抜本的な議論について速やかに開始すべきであります。そして、その検討は今回示された財政運営試算の結果に縛られるものではなく、次年度の雇用保険部会から議論を開始すべきであることを再度申し上げます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
杉崎委員、お願いします。
○杉崎委員 まず、雇用保険財政に対する現状認識としては、雇用保険は将来にわたり安定的な運営を確保し、予期せぬ景気変動のみならず、コロナ禍のような大規模な感染症や災害を含め、雇用情勢の急激な悪化が生じたとしても十分に対応できる財政にしておく必要があります。一方で、保険料率に関しては、財政状況や労使の負担等を勘案して設定することが求められます。
来年度の保険料率につきましては、弾力条項が発動せず、引き上がることが考えられますが、長引くコロナ禍により厳しい業況の企業がいまだに多く、料率0.1%が約1900億円から2000億円に相当するなど負担の規模が大きいことから、コロナ禍が収束し、経済が本格的に回復するまでの間は料率を引き上げるべきではなく、さらには料率の引き上げは、将来にわたりできる限り回避すべきことをこれまでの部会においても主張してまいりました。
対して、本日の大臣折衝の結果につきましては、コロナ禍の影響による経済への影響が残っている状況や、労使の負担感を踏まえ、来年の4月から9月までは現状の料率である0.2%を据え置き、10月から3月までは0.6%とする内容となりました。これらの具体的な料率は今日以降の部会で協議されるものですが、年度の前半は現在の料率が据え置かれることにつきましては、長引くコロナ禍により厳しい業況に苦しむ企業や労働者への配慮がなされていることから妥当であり、ありがたく思おります。
また、年度後半に1000分の6に引き上げることにつきましては、年度途中で1000分の4引き上がるものの、本則から1000分の2が引き下げられていることから、労使の負担軽減に一定の配慮がなされていると受けとめておりますい。なお、料率の時限的な引き下げは法律事項であるかと思いますが、新たな変異株による先行き不安など、今後の経済・雇用情勢には不確実性があることから、来年の夏から秋の経済・雇用状況いかんでは1000分の6からさらに引き下げられる余地を残しておくことが不可欠であると思います。
また、10月は例年、新たな最低賃金が発行される時期であり、現状の案では、事業主にとっては雇用保険料の引き上げと最低賃金の引き上げが重なるとことから、特に中小企業の負担感を考慮し、各種支援策をきめ細やかに実施していただくなど、配慮をお願いしたいと思います。加えて、年度途中に料率が変わることを労使双方に対して幅広く周知していく必要も思います。
なお、雇用保険二事業に係る保険料率につきましては、弾力条項が発動しないことにより、今年度の1000分の3から来年度は本則の1000分の3.5に引き上がることも考えられますが、事業主の負担増を考慮していただきたいと思います。
次に、国庫負担について、先日の部会や本日の大臣折衝の結果では、雇用情勢等に応じて国が機動的に財政投入できる負担の在り方として、雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合には4分の1、悪化していない場合には40分の1、これらとは別枠で国庫からの繰入れを可能とするというスキームが示されました。
また、財政状況が悪化しているか否かの判断基準として、前々年度の各月における基本手当の受給者実人員の平均が70万人以上、かつ前々年度の弾力倍率が1未満ということが示されました。しかし、基本手当の受給者実人員は、リーマンショック時の平成21年度は85万人でしたが、コロナ禍の令和2年度は48万人であり、今年度は予算上59万人と想定されていることから、仮にこのスキームが採用されるならば、現在4分の1であり、時限的に40分の1に抑えられている国庫負担率は、当面40分の1が継続することになります。
また、国の責任の在り方は財政状況によって変化するものではありませんし、国会の附帯決議に、おける「時限的な国庫負担率の引き下げ措置の継続については、令和3年度までの2年度間に限った措置とすること」との記載にも反することから、来年度以降の国庫負担率はこれまでの主張通り、少なくとも本則の4分の1に戻すべきです。
一方で、令和2年度・3年度の時限的な措置として規定されている国庫からの繰入れを法定し常設・恒久化する考えが打ち出されました。繰入れには一定の要件はありますが、この措置により雇用情勢が急激に悪化し雇用保険の財政状況が悪化した局面において、国庫負担や保険料率を引き上げるよりも迅速に、かつ必要に応じた資金を機動的に繰り入れることができる財政運営が可能となり、雇用保険財政の持続可能性の確保や財政の安定化にも資すると思います。
また、配付資料「令和4年度の失業等給付の収支イメージ」を見ますと、国庫負担率が40分の1の状況下におけまする令和2年度の国庫負担金は230億円であり、これを10倍、すなわち本則である4分の1の負担率であるならば2300億円ということになります。
一方で、令和3年度の収支イメージでは、補正予算で「雇用保険財政の安定等」として2.2兆円が盛り込まれたことにより、国庫負担金は本則である4分の1における2300億円をはるかに上回る1.7兆円、これは当初予算と合わせると約1.8兆円となっておりますい。令和4年度の収支イメージですが、雇用調整助成金等に充当する二雇用保険事業会計への貸出金が未定である状況条件の下で積立金は0.5兆円であり、これまでの雇用調整助成金の支給状況に鑑みますと、積立金は実質ゼロ、場合によっては足りなくなる恐れもあることから、「国庫からの繰入れ」がない限り、雇用保険財政の持続可能性は著しく低下するということが見て取れます。
さらに失業等給付は義務的経費であり、また雇用調整助成金も支給継続の要請が非常に強い支援策でありますので、資金の枯渇により支給が滞る事態は絶対に避ける必要がございましてあり、こうした要素も勘案する必要があるのではないかと思います。したがいまして、この国庫負担の額の規模や財政運営の機動性等を踏まえますと、「国庫からの繰入れ」の部分につきましては前向きに評価をしたいと思っています。
仮に、このスキームが採用されるならば、「国庫からの繰入れ」は「雇用情勢の急激な変動による雇用保険の財政悪化等に備えるための枠組み」であることから、時々の財政当局の方針や考え方によって運用が変わることがあってはなりません。「国庫からの繰入れの実効性」をいかに担保するのかまた、予見可能性をいかに確保するのかが極めて重要であり、このスキームの根幹に関わることから、どの程度の財政悪化のときに国庫からどの程度の金額を繰り入れるのかということに関して、考え方や方針を明確にすべきであると思います。
次に、育児休業給付につきましては、配付資料「財政運営試算」では、国庫負担を本則の10%に抑える暫定措置が3年間延長された場合、従来どおりの試算では令和7年度にまた、リスクシナリオでは令和6年度に資金不足に陥る恐れがあります。改正育児介護休業法の施行、特に出生児育児休業制度の創設により支出が想定よりも増える可能性があるなど、安定的な財政運営を図ることができない可能性があることを踏まえる、国庫負担は少なくとも本則に戻すことが不可欠であると考えます。
また、求職者支援制度につきましては、そもそも対象者が雇用保険被保険者ではないことや、また、経済対策や骨太の方針等に労働移動の円滑化や求職者支援制度等のセーフティーネットの強化が盛り込まれているなど、国策の一環として実施されていることから、こちらにつきましても国庫負担は少なくとも本則に戻すことが不可欠であると考えます。
次に、コロナ禍における財政運営、臨時特例法における財政スキームにつきましては、「新型コロナ等の影響による経済情勢の変化及び雇用保険財政の状況を踏まえた、失業等給付に対する国庫からの任意繰入れ」は、一定要件の下で実施される「国庫からの繰入れ」の常設・恒久化とは別に、令和4年度は継続することが不可欠であると思います。
次に、「雇用安定資金の累積債務の取扱い」につきましては、雇用保険二事業収支の剰余の2分の1以内の範囲で雇用安定資金にも積み立てができるようにすること、また、令和6年度までをめどとするなど、雇用調整助成金等の支出が平常化するなどコロナ収束後に借入額に係る返済の在り方を検討すること、これらの措置については現実的であると考えます。
また、二雇用保険事業会計から雇用調整助成金が想定以上に支給されたことは、雇用維持や事業継続への効果があった反面、失業等給付に係る労使や国庫の負担を肩代わりしているという側面があり、全額を事業主のみが負担することは適当ではないことから、返済必要額から控除することができる仕組みなど、特例措置を設けることは適当であると考えます。
なお、「弾力条項の取扱い」につきましては、二雇用保険事業への「貸付金」の取扱いが焦点となりますが、これはあくまで「貸付金」であり、直ちにではないものの返済の見込みがあるという資金ですが、「弾力倍率の計算において返済されていない貸借額は考慮せず」との取扱いは雇用保険の財政運営上適当であり、やむを得ないと考えています。
長くなりまして恐縮でございます。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
平田委員、お願いいたします。
○平田委員 御説明ありがとうございました。前回と重複することは申し上げませんけれども、幾つか質問も含めてということでございます。
まず、2ページ目の大臣折衝の資料ですけれども、国庫負担の求職者給付の繰入れのところ、2のところですけれども、3つのケースが書かれていて、最後の「又は」以下について「積立金の状況や雇用保険財政の状況に照らして必要と認める場合に限る」とありますが、これは具体的にどういう状況をイメージすればいいのか教えていただければと思います。
それから、この資料の最後の(3)の臨時特例法に関して、このとおり制度改正すれば、2種類の任意繰入れができると理解しました。この特例法での任意繰入れについては、令和4年度末まで可能とするとありますが、先ほどの給付に関する取りまとめのところでは、コロナ特例は当面制度として存続させる必要があるとあって、給付に関しては当面となっている一方、こちらの繰入れは令和4年度末まで可能とするときっちり区切っていることが少しバランスを欠くのではないかと思っております。今後報告書にまとまっていくのかもしれませんけれども、少なくとも令和4年度末までということがあるべき姿なのではないかと思っております。
最後に質問です。6ページ目の育児休業給付の借入れの件について、最後に「また、借入が必要となった場合には、返済の取扱いを検討する」とありますが、これは具体的にどういうことなのか、具体的に教えていただければと思います。
以上でございます。
○長良雇用保険課長 2点の御質問でございます。
1点目、国庫繰入規定の条件で2ページに記載がございます積立金の状況や雇用保険財政の状況に照らして必要と認める場合、こちらの具体的な内容は4ページの右側の○の3つ目の括弧書きで記載しておりますが、前々年度の弾力倍率が2を超える場合、この場合には保険料を下げることも可能でございますが、こういった場合で、その年度の雇用情勢などが急速に悪化している場合というのを想定しております。実際にはこういう必要と認める場合という形を法定いたしまして、括弧書きにあるようなケースというものは政省令以下で規定するようなイメージで現在考えているところでございます。
もう1点、6ページの育児休業給付でございますが、借入れが必要となった場合には返済の取扱いを検討するという部分であります。これは失業給付と育休資金、区分経理がされているところでございますけれども、育休の制度に当然給付と負担の関係もございますので、どのような形でバランスを取るかという観点が恐らく必要になってこようかと思います。
したがいまして、返済の扱いをどうするか、例えば雇用安定資金などでは一定期間猶予をするというような枠組みを設けたりしたわけでございますが、この育児休業給付に当たっても制度運営に関して独立した財政で運営するわけでございますので、このスキームを維持するために、いろいろな扱いが想定されるかと思います。具体の扱いまで現時点で特定することはちょっと困難かなと思っておりますけれども、こういった検討する旨の内容を何らかの法律上の規定として設けることを想定しているところでございます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 内容に関わることではないのですけれども、先ほど菱沼委員のほうからもございましたように進め方の部分、先ほど私も申し上げましたけれども、やはりこれは雇用のセーフティネットに関わる本当に重要な話ですので、進め方としてあまりにも拙速ではないかなと思いますので、事務局におかれましては、準備も含めてしっかり丁寧に議論をしていただきたいと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかに御意見・御質問はございますでしょうか。
ちょっと私から一言申し上げたいと思います。今日も財政、特に国庫負担を中心にいろいろな御意見をいただきました。ありがとうございます。特に国庫負担の本則復帰という点に関しては当部会が繰り返し求めてきたところですし、また、精神を軽視しているということにならないためにも、事務局はぜひ十分尊重していただきたいと思います。ただ、やはりこの問題は国家財政の構造的な制約にも絡むところがありますので、当部会だけで解決できる部分、必ず全てが解決できる問題ではありません。そういう意味で難しい問題でございます。
そういうことを前提として、本日提示された資料の感想をちょっと申し上げますと、雇用保険財政がほぼ枯渇している状況下で、全体の制度的枠組みを見ると、育児休業資金への貸し出し、雇用安定資金への貸し出し3年延長を含め、新たな繰入規定が軸となっております。そういう意味では雇調金や育児休業給付への財源確保を含めて雇用保険財政全体を支えるという構造になっていると理解をします。その意味では、国の責任を果たすという観点からは、これは委員からの御意見にも大分ありましたけれども、今回の繰入規定の実効性が本当に担保されているのかというところが一つの問題になるのではないかなと思います。
事務局におかれましては、この点に関して御説明をいただくとともに、この繰入れが実際に発動が考えられる場面等の具体例をお示しいただいて、委員の皆様に御理解をしていただきたいと思います。そういう意味では、事務局には次回何らかの資料の提出をお願いしたいと思います。
累積債務の問題も当面の雇調金の財源確保の問題と関連しております。雇調金の財源には労使の保険料も含まれておりますけれども、今回の補正予算での繰入れがなされて、一般財源で相応の補填、支援があるとなされております。今後の繰入れが実際にどのようになされるかということも含めて議論する必要があるのではないかと考えております。
前回も申し上げましたけれども、いずれにいたしましても雇用保険財政の安定化というのは喫緊の課題でございます。残されたわずかな期間で一定の成案をまとめていく必要性は変わっておらず、委員各位も引き続き御協力をお願いしたいと思います。
以上でございます
それでは、ほかに何も御意見等がございませんようでしたら、本日予定されている議題は以上ですので、本日の部会はここで終了させていただきたいと思います。
皆様におかれましてはお忙しい中、活発な御議論をどうもありがとうございました。