第29回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

令和4年1月26日(木) 10:00~12:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事内容
○大塚予防接種室長補佐 大変お待たせいたしました。それでは、ただいまから第29回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ、御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開になります。また、前回の分科会と同様、議事の様子はYouTubeで配信いたします。あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意したYouTube撮影用以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方におかれましては、「傍聴に関しての留意事項」を遵守いただきますよう、お願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
次に、本日の出欠状況について御報告いたします。
合田委員、坂元委員、福島委員、今岡参考人から御欠席の連絡をいただいております。
また、信澤委員におかれましては、遅れる旨の連絡を受けております。
現在、委員18名のうち14名の方に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
次に、資料の確認をいたします。
本分科会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイルを用いて行います。番号01の議事次第及び委員名簿から番号09の利益相反関係書類までを用意しております。
資料の不足等がありましたら、事務局にお申しつけください。
それでは、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○大塚予防接種室長補佐 それでは、これからの進行につきましては、脇田分科会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 皆様、おはようございます。今日もまたよろしくお願いいたします。
それではまず、事務局から審議参加に関する遵守事項等についての御報告をよろしくお願いいたします。
○大塚予防接種室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。
本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告いただきました。各委員及び参考人からの申告内容につきましては、資料番号09の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日は、議事内容に関し、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受取について、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しく内容を申告いただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、本日の議事に入ってまいります。
議事次第を御覧ください。
今日の議題ですけれども、「新型コロナワクチンの臨時接種について」、「その他」となっています。主には小児の臨時接種の件が中心だと思いますけれども、まずは国立感染症研究所感染症疫学センターの鈴木先生に、オミクロン株の新型コロナワクチンへの影響、新型コロナワクチンの国内における有効性の疫学研究結果について御説明をいただきます。
鈴木先生、よろしくお願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。感染研感染症疫学センターの鈴木です。
それでは、資料のほうは鈴木提出資料を御覧いただきたいと思います。
2ページ目を御覧ください。
感染症疫学センター予防接種グループでは、新型コロナワクチンに関する情報を定期的にアップデートして感染研ウェブサイトに公開しております。
こちらは1月14日時点のものから抜粋した表になります。国内で使用可能な3つのワクチンについて、それぞれデルタ株、オミクロン株に対する効果の違いを定性的に矢印で示しております。まだ海外の治験も限られている段階ではありますけれども、いずれのワクチンについても初回シリーズ、つまり、2回接種後の有効性は、デルタ株に比べるとオミクロン株については減弱しているといったエビデンスがそろってきている状況です。特に感染と発症を防ぐ効果については大きく減弱しています。ファイザーまたはモデルナ社製のワクチンを接種した者では、2回接種2~4週間後で有効率が70%程度ですけれども、20週後には10%程度まで低下いたします。アストラゼネカ社製のワクチンも2回接種から20週後には、効果がほぼ0%近くまで消失しているという報告がございます。
これら感染と発症に対する効果の減弱に比べると、重症あるいは入院を防ぐ効果については一定程度保たれてはいますが、それでも2回接種2~24週後では有効率が70%、25週後以降では52%とやはり一定程度の減弱が確認されています。
これに対して、ブースター接種、3回目の接種をするとどうなるかですが、これによって有効性の回復が期待されるといった報告がなされています。ファイザーを2回接種後、3回目ファイザー、あるいはファイザー2回接種後、モデルナのブースターを行うことで、ブースター接種後5~9週間後には70%程度まで有効性が上昇するといった報告があります。ただ、これらの値自体、2回接種後のデルタ株に対する有効性に比べればやや低いということ、さらに、この効果がどの程度の期間持続するのかについてはまだ分かっていないというのが現在までに言えることになります。
3ページ目を御覧ください。
こちらは前回の分科会でもお示ししました0~4歳、5~11歳の中等症以上の症例の数と割合を更新したものになります。前回、昨年の3月までに比較して4月以降の値の割合が少し高いことについて御質問をいただきました。再度データを吟味いたしましたが、やはりこの期間の中等症、重症以上の割合が上昇していることは間違いありません。この理由については、検討の結果、主にアルファ株、デルタ株に置き換わったことによる重症化リスクの上昇が大きく影響していると考えております。
一方で、一番右側、今年1月以降、オミクロン株への置き換わりが進行した段階からでも、やはり中等症、重症の症例は少ないながら報告されております。ただし、これらはどれがデルタ株なのか、どれが残っているデルタ株なのか、あるいはオミクロン株かについては、このデータでは区別はできません。
4ページ目を御覧ください。
こうした重症度の変化について、発生届の情報に基づいて、届出時に肺炎より重症な症状が記録されている症例の割合を年齢群別、時期別に算出しました。方法の詳細は資料を御覧ください。
5ページ目、結果です。デルタ株が流行していた昨年の31~47週、オミクロン株が流行している今年第1週以降について、肺炎以上の割合が届出時に記録されていた症例の割合を表に示しております。欄の一番右側はその比率を取ったものの値です。
0~4歳では、デルタ株流行期に比べて、オミクロン株流行期では肺炎以上が占める割合が0.34倍、同様に5~11歳では0.3倍と少なくとも届出時の症状については明らかに重症の割合が低下しているということが分かります。それより上の世代についてもワクチンの接種歴別に算出しておりますが、やはりワクチンの接種の有無にかかわらず、0.1~0.3倍とオミクロン株の置き換わりによって重症例の占める割合が低下していることがお分かりかと思います。
最後に、7ページ以降、長崎大学の森本教授を中心とするグループが行っておりますワクチン有効性研究の最新の報告を共有させていただきます。こちらは全国多施設共同研究で行われているもので、詳細については8ページ、9ページを御覧ください。
早速結果ですが、11ページを御覧ください。
今回は、オミクロン株の置き換わりが進んだ今年1月1日以降に限って、16~64歳を対象に分析を行ってもらっています。417例を対象とした結果、ワクチンの有効性は51.7%。これは発症を防ぐ効果ですが、51.7%と算出されています。サンプルサイズが小さいので、信頼区間が2~76.2%とかなり幅は広いですけれども、先ほどの海外からの報告と同様に、やはりオミクロン株への置換によってワクチンの有効性が低下してきているということを確認させるデータであると考えております。
私からは以上になります。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
それでは、今の説明につきまして、御質問、御意見等ありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。もしあれば、挙手をしていただければ指名をさせていただきます。
では、私から1件、最後のワクチンの発症予防効果51.7%は少し幅があるわけですけれども、ワクチンの効果のウェイニングと、それから、オミクロン株というところがありますが、ウェイニング期間を考えても、やはりこれはオミクロン株によって置き換わりが進んでいるとすると低下していると考えるのか、それともオミクロン株に対して考えるとそれなりに予防効果が保たれていると考えるのか、どういった解釈をすればよいでしょうか。
○鈴木委員 ありがとうございます。
確かにそこの2つの部分が重なっていると考えています。3回目接種はまだ国内では進んでおりませんので、基本的には2回接種後の効果ということになります。大半の方々は2回接種が終わってから既に半年以上が経過しておりますので、そもそも2回接種後の効果が減弱しているということ。一方で、今年1月以降ですので、各対象施設においてはおおむね8割以上オミクロン株に置き換わっているということを考えると、基本的には2回接種後のオミクロン株に対する効果がメインであると考えております。
一方で、そうだとすれば、最初にお示しした海外のデータからすれば、ほとんど効果は期待されないはずなのですが、それにしては、信頼区間が広いですけれども、50%という期待値が出てきておりますので、まだ効果が保たれているのかなと。むしろ予想よりもちょっと高かったかなと私は解釈しているところです。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
森内先生、どうぞ。
○森内参考人 参考人の堀内です。
どうしても効果を見るのに検討しなければいけないファクターが多いかと思いますが、例えば年齢別、年代別でのワクチン効果というのも知りたいところで、ただ、高齢者は大分時間がたっていて、若い人は比較的まだ2回の接種が終わって時間がたっていないので、この小さいnではサブ解析は無理だとは思うのですけれども、年代別の傾向というのが何か出ていたら教えていただけたらと思います。
○鈴木委員 ありがとうございます。
実際にまだそこまでの分析ができておりません。前回の第2報においては、65歳以下、65歳以上で別々に計算をして、高齢者でも、あるいは活動度の高い世代においても効果はほぼ同等であるということは確認しております。ただ、こちらはデルタ株流行期のデータとなります。今回に関しては、いかんせんnが極めて小さいので、対象がそもそも65歳未満に限ったデータとなります。もう少しデータがそろえば年代別の効果について検討をできると考えております。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
白井先生、どうぞ。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
5ページの届出時の肺炎以上の症例割合なのですが、母数は発生届があった人になっていると思いますけれども、オミクロンの流行になってからかなりそれが減ったというような効果というか結果が出ていると思うのですが、これを人口当たり、人口10万人とか何万人当たりとかという形になるとまたかなり少ないと思うのですけれども、ワクチンの効果に、どういうふうに接種をお願いするということになったときに、発生するまでの人たちにワクチンを接種していただくので、どれぐらいの影響があるのかとか、その辺のことを、発症したらこれぐらいになりますよということもあるのですが、人口10万人当たりぐらいでどれだけの影響が、肺炎があるかということもデータとしてあってお示ししたほうがいいのではないかなと思っているのですけれども、その辺は、今からでもいいですけれども、どのように解析なされるかお聞きしたいなと思いました。
よろしくお願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
大変重要な御指摘です。要するに、まずオミクロン株に置き換わったことによって、デルタ株よりも重症の占める割合が低下しているということを確認するためのデータということでお示ししております。ただ、今御指摘があったように、割合が低下していても、そもそも分母の数が大きくなれば、当然中等症以上の数が以前よりも多くなるということは間違いありません。それを抑えるためにワクチンが必要であるといった議論が当然成り立ちますので、それについてはしっかりと分析を進めて共有したいと考えております。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
そのほか、よろしいでしょうか。
それでは、先に進ませていただきます。
次は、今日は日本小児科学会の森内理事に参考人として御参加いただいています。日本国内の小児におけるCOVID-19の実態とワクチン接種についての考え方について御説明をお願いいたします。
それでは、森内先生、よろしくお願いいたします。
○森内参考人 よろしくお願いいたします。日本小児科学会で予防接種感染症対策委員会の担当理事を務めております森内と申します。
私は、日本小児科学会、それから、日本集中治療医学会で把握している国内小児の疫学状況や臨床的特徴を提示して、それを米国の状況と比較したいと思います。また、米国で既に870万回以上接種されているワクチンの成績を紹介した上で、日本小児科学会としての考え方をお示ししたいと思います。
まず、スライド番号1番と書いているところを御覧ください。
日本小児科学会で行っている症例のレジストリは、重症度を問わず、外来症例を含めて登録しています。ただ、小児科医を受診することの少ない15歳以上の症例とか、そもそも受診することもない軽症例は捉え切れておらず、登録例は国内小児患者の1.3%程度であることが限界となっております。
次に2番を御覧ください。
この調査から見えてきたことの一つは、子供たちの感染の約7割は家庭の中において親からうつされていたということです。
3番を御覧ください。
しかし、オミクロン株に変わって、幼稚園・保育所での感染例がかなり増え、学校での感染例も増えています。小児が感染する場所がオミクロン株になって明らかに変化しています。
次に4番を御覧ください。
レジストリでは、罹患後に遷延する症状、いわゆるLong COVIDについても調査しています。まだ検討症例は少ないのですが、2.7%と成人に比べて少ないながら、国内小児にもLong COVIDが存在するようです。
5番を御覧ください。
それによって、少数とはいえ、一部の子供たちは長期間にわたり日常生活への影響を受けている可能性があります。
次に6番を御覧ください。
次いで小児の重症例について述べますが、まず、小児特有の重症病態である小児多系統炎症性症候群(MIS-C)の説明をいたします。川崎病に似たところもありますが、アフリカ系、ヒスパニック系に多い何らかの遺伝的素因があった上で、新型コロナの感染が誘因となり発症すると思われます。
7番を御覧ください。
川崎病との大きな違いの一つは発症年齢で、小児多系統炎症性症候群は8~9歳を中心に起こります。また、致命率が1%ですので、川崎病よりもはるかに重症です。
8番を御覧ください。
この小児科系統炎症性症候群を含め、重症または中等症の小児例が日本集中治療医学会のほうでまとめられています。
9番を御覧ください。
本日のデータは1月16日時点のもので、累積で51例になります。昨年夏の第5波の際に多くの症例が登録されましたが、10月下旬以降は静まり、1月になってからまた報告されてきました。
実は、これ以降も、昨日までに新たに9例登録されています。
10番を御覧ください。
内訳を見てみますと、地域別では関東に最も多く、中部地方、近畿地方がそれに続いています。
11番を御覧ください。
年齢別には、新生児・乳児で4分の1を占めます。学校区分で分けているので、明確ではありませんけれども、5~11歳は恐らく同等ではないかと思います。
12番は飛ばします。
13番を開けてください。
実際にこのような子供たちが入ったところは、PICU/ICUだけではなく、約4割は一般小児病棟や成人との混合の感染症病棟でした。
次に14番を御覧ください。
入院、入室の理由となったのは、肺炎が約4割、小児多系統炎症症候群が約2割、そのほかにけいれん、脱水などが挙がっていました。
次に15番を見てください。
ECMOを必要としたのが1例、人工呼吸を要したのが17例で、合わせて全体の約3分の1を占めています。それから、ネーザルハイフローを含めた酸素投与で対応したのが約4割です。
16番を見てください。
以上述べた日本国内の小児の重症度を米国と比較してみます。昨年11月までの累積で5~11歳の小児190万人が感染し、8,300人が入院、そして、94人が死亡しています。
17番を見てください。
新型コロナは米国で5~11歳の死因の第8位で、インフルエンザ肺炎に匹敵します。
次に18番を御覧ください。
ワクチンで予防できるほか様々な疾患と比較すると、入院はかつての水痘や最近のインフルエンザに匹敵します。
19番を御覧ください。
死亡数は髄膜炎球菌感染や水痘、風疹、ロタウイルス胃腸炎をしのいでいます。
次に20番を御覧ください。
以上より、米国の子供たちにとって新型コロナの疾病負荷は大きいと言えます。
次に21番の表を御覧ください。
日米で比較すると、米国では単に感染者が非常に多いだけではなく、罹患した子供の致死率が無視できないレベルになっています。日本では5~11歳で死亡報告は上がっていません。ただ、さきに述べたように、重症化し、集中治療を行うことで救命できた症例は少なからずいました。決して軽んじるべきではありません。
22番を御覧ください。
これ以降は簡単にアメリカのワクチン治験のデータのまとめをいたします。
ワクチン試験が行われたのは昨年の6月から9月、つまり、オミクロン株の出現より前のことになります。
23番を御覧ください。
用量が3分の1であるためか、局所の痛みなどは16~25歳に見られるよりも軽い傾向にあります。また、プラセボでも結構訴えがあります。
24番を御覧ください。
全身症状もほぼやはり軽い傾向にありました。
25番を御覧ください。
抗体陽転率、中和抗体の値などは、3倍量を用いる16~25歳と遜色のないレベルになっています。
次に26番を御覧ください。
発症予防効果は90%以上でした。ただ、注意すべきはオミクロン株出現前のデータであり、子供たちにおけるオミクロン株への効果はまだ示されていません。
27番を御覧ください。
以上より、米国において、ワクチンのベネフィットとリスクのバランスを考え、推奨に至ったわけですが、ベネフィットのうち、MIS-C(小児多系統炎症性症候群)は日本ではまれです。また、今のワクチンは、オミクロン株の感染を防ぐ効果は非常に乏しいために、これをベネフィットとは言いがたいと思います。
次に28番を御覧ください。
リスクが危惧される心筋炎は、12~24歳における発症頻度の10分の1程度であり、いずれも軽症でしたので、過度な心配は不要と思います。
29番を御覧ください。
5~11歳に対して合計870万回接種された上での副反応報告のまとめです。
30番を御覧ください。
医療従事者を介した報告システムVAERSでは4,249件の報告がありました。そのうち97.6%は深刻なものではありませんでしたが、その中で接種の人為的エラーによるものが最も多かったことは特記すべきです。深刻な副反応とされた2.4%(100件)のうち、最も多かったのは熱、次いで嘔吐でした。
31番を御覧ください。
当事者からの報告システムV-safeにおいては、4万2000人以上が報告を寄せています。2回目接種に関しては、局所反応が約6割、全身反応が約4割、日常生活に支障を来したのが7.4%、登校できなくなったのが10.9%、医療を必要としたのが1.1%、入院が0.02%と報告されています。
32番を御覧ください。
以上を受けて、日本小児科学会は、まず感染状況とワクチンについての知見を以下のようにまとめています。
1)国内の5~11歳の小児における新型コロナの大多数は軽症であるものの、中等症例は散発的に報告されており、今後、感染者数の増加に伴って中等症、重症の症例の絶対数は増えると予想されます。
2)2歳未満や基礎疾患のある小児においては、重症化リスクが高いことが報告されています。
3)長期化する流行したでの行動制限が子供たちに直接的、間接的に大きな影響は抱いています。
33番を御覧ください。
4)今回承認されたファイザーのワクチンは、従来のワクチンと比べて、mRNA含有量が3分の1になっただけではなく、製品そのものが違うので、取扱いに注意が必要です。また、有効性のデータはオミクロン出現前のものになりますので、そこにも注意が必要です。
5)から7)は先ほど述べた内容になります。
次を御覧ください。34番です。
以上の知見を受けて、日本小児科学会は、このワクチンの接種について以下のように考えています。
1)子供を守るには、周囲の大人への接種が重要です。
2)基礎疾患のある子供への接種により、重症化を防ぐことが期待できます。この子らの接種に当たっては、主治医と養育者との間で事前によく相談することが望ましいと考えます。
3)5~11歳への接種は12歳以上と同様に意義があると考えます。接種に当たっては、発症予防、重症化予防のメリットと副反応などのデメリットを本人と養育者が十分に理解し、接種前、接種のとき、接種後のきめ細やかな対応が必要です。
4)12歳以上とは異なる製剤ですので、その取扱いには細心の注意が必要です。また、集団接種にはいろいろとデメリットがあり、それを軽減するような十分な準備をしておくことが必要だと思われます。
35番をお開けください。
今後、さらに詳しいデータ、例えばオミクロン株の有効性や安全性についてのさらなる経験の蓄積があれば、接種に対する考え方は随時検討し直すことになると思います。
36番以降は日本小児科医会の見解になりますので、詳細な説明は割愛いたします。ただ、子供たちへのワクチン接種における具体的な注意点を押さえて説明されていますので、ぜひ後でお読みいただければと思います。
御清聴ありがとうございました。私からは以上です。
○脇田分科会長 森内先生、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御発表に関して、委員の先生方から御意見、御質問等あればお願いいたします。
どうぞ。
○沼尾委員 沼尾でございます。
資料の確認をさせていただきたいのですが、最新で送っていただいたものと今御説明いただいているものはちょっと違うようで、事務局のほうでどの時点で送った資料を使ったのかということをお話しいただけますか。
○脇田分科会長 事務局からお願いできますか。
○沼尾委員 今、ウェブページにアップされていたものも違ったもののようで、削除されているようなのですけれども。
○事務局 事務局でございます。
資料なのですけれども、鈴木委員提出資料と森内参考人の提出資料につきまして、事務局のほうで誤りがございまして、審議会開始直前にホームページの差し替えを行わせていただきました。今ホームページに掲載しているものが最新の資料になります。大変申し訳ございません。
○沼尾委員 今、ホームページからは一切ダウンロードできない状態になっているようなのですけれども、差し替えたものについてもダウンロードしようとしたのですが、やはり違ったものがダウンロードされてしまって、今、確定しているものにアクセスできない状態になっているのです。
○森内参考人 当初は確かに間違ったものがアップされていたのですけれども、今、私のほうで確認した限りは、私が手持ちで持っている資料と同じものがアップされているようではあります。
○沼尾委員 分かりました。ありがとうございます。もう一度アクセスし直してみます。
お送りいただいているものとしては、いつの時点で送っていただいたものになるのでしょうか。見つけられないので、申し訳ないのですけれども、教えていただければと思います。
○事務局 すぐさまメールのほうでお送りさせていただきます。申し訳ございません。
○沼尾委員 ありがとうございます。申し訳ございませんでした。お願いいたします。
○脇田分科会長 それでは、森尾先生、お願いいたします。
○森尾委員 森尾です。
森内先生、分かりやすい説明をありがとうございました。
日本で小児の新型コロナウイルスの重症者が少なくて、MIS-Cが少ないというのは本当に幸いなことだと思っています。
それで、先生が挙げられていたLong COVIDについての質問なのですが、こちらについて、諸外国と日本との小児における頻度の差というのは、もしデータがあれば教えていただけたらと思っております。これが1点目です。
あと、オミクロン株になってからの小児でのLong COVID、1か月以上、となるとぎりぎりの感じになるのですけれども、もし外国でデータがあれば教えていただけたらなと。これが少ないような感じなのか、あるいは同じぐらいの感じなのか。これは森内先生がおっしゃったように、軽症の方でもLong COVIDは問題になり得るということは一つのポイントと思っております。
2つです。以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
森内先生、お願いできますか。
○森内参考人 森尾先生、御質問どうもありがとうございました。
おっしゃるとおり、Long COVIDについては小児でのデータがあまりはっきりしていません。実は統計も定義がいろいろ違ったりしていますので、比べるのは難しいところがありますけれども、かなり軽症な子供たちで、例えばスウェーデンにおける前向き調査では、十数人中2人とかというものが出ていたと思います。どちらも嗅覚、味覚障害が中心だったと思います。別のイギリスの調査においても、頻度はかなり低いながらも、年長児とか大人に比べると低いながらも、年少児でも多少見られるみたいだということです。ただ、年少児はブレインフォグとか自分で訴えることができるかとか、嗅覚、味覚障害をきちんと分かるように周りに伝えることができるかというところで、それが把握できないというところもあるかと思います。
オミクロン株に関しては、まだ出てきて間もなくなので、それが果たして遷延しているかどうかは今のところ情報として全く入ってきていません。海外の知り合いからも、まず嗅覚、味覚障害が子供においても大人同様かなり少ないということで、一番多いLong COVIDの症状である嗅覚、味覚障害がそもそも急性期から少ないというところで、もしかしたら少なくて済むのかもしれませんけれども、ただ、軽症であってもいろいろなことが起こるこのLong COVIDですので、今後のデータを見るまでは何とも言えないかと思います。それは子供における疾病負荷を考える上でも非常に重要なことだと思いますので、今後の国内外のデータをしっかりと見定めながら、ワクチンの有効性や安全性などを考える上でも、疾病負荷にこれを加えることはとても大事なことになるだろうと思っています。
○森尾委員 ありがとうございました。
○佐藤委員 それでは、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。産経新聞の佐藤です。
御説明ありがとうございました。
まず3ページなのですけれども、子供の感染の場所が変化してきているというところです。私自身は、子供のワクチン接種を考えるに当たって一番怖いのは、ワクチン接種が全年齢層で進んでいる中で、ワクチン処女地である子供の間で新型コロナが流行することだと思っています。今回はたまたま致死率の低い株であったわけですけれども、そうでない可能性はあるわけで、そういう意味で言うと、子供の間で流行しやすい環境になっているのではないかと恐れています。3ページにある幼稚園、保育関係者など子供たちの間で流行しているというのは、ワクチンを打っていない子供の間で新型コロナが流行する余地があると見てもいいのでしょうかというのが1つ目の質問です。
もう一つの質問は、最後の34ページの3)のところです。先生は5~11歳の健康な子供へのワクチン接種について12歳以上と同様に意義があると表記していらっしゃいますけれども、これは12歳以上の健康な子供と同様に、5~11歳の健康の子供に対してもワクチン接種に十分なメリットがあるという意味だと捉えてよろしいでしょうか。
以上2点です。よろしくお願いします。
○脇田分科会長 森内先生、お願いいたします。
○森内参考人 御質問ありがとうございました。
確かにオミクロン株になってから、子供の感染する場所の変化が起こっていますけれども、例えば幼稚園・保育所で増えてきている理由の一つは、今の流行の中心である20代、30代、つまり、保育士さんとか幼稚園の教諭がこの年代層に当たるというところだろうと思います。
これまで子供たちはいろいろな理由で感染の拡大がしにくかった、これは社会的な理由と生物学的な理由があったわけですけれども、オミクロン株になって感染効率が非常に高くなったことなどを踏まえ、子供たちに一旦入った後で、子供たちの中での流行がどんどん広がっていっているということを反映していると思います。
今のワクチンは感染予防効果があまり期待できないことを考えると、この子らにどんどん接種しても、今のオミクロン株であれば流行の拡大を抑えるということにつながるのかどうかは疑問がありますけれども、ただ、オミクロン株が最後の変異株である可能性はあまり高いと思っておりませんし、今後、どういうものが出るか分かりません。それが、今のワクチンによって少なくとも重症化を防ぐことにつながるのであれば、基礎免疫を急ぐという考え方も出てくるだろうと思います。ただ、今の時点で言えることはかなり限界があるかなと思います。オミクロン株に対して有効性も分からないし、子供の疾病負荷に関しても、日本の場合にはどうであるのか、急性期だけではなく慢性的なことも含めて、そういったものが十分ではない中で、どのくらい強い推奨を出すかというところが難しいというのが2つ目の質問につながるだろうと思います。
今分かっている有効性のデータや安全性のデータ、安全性のデータも、ちょっと前までと違って、今は870万回のデータとして出ておりますので、それはかなり信頼性の高いものになったと受け止めておりますけれども、アメリカにおける疾病負荷を考えると、アメリカは圧倒的にメリットが大きくて、私もアメリカで小児科医をしているのであればあまり迷わずにどんどん進めていくことになると思います。
日本での疾病負荷がアメリカよりも明らかに軽いということを考えると、それでもメリットはあるだろうと。ただし、90%以上という有効性がオミクロン株に関して出るかどうかは今全く分かっていないということを踏まえると、メリットはある、意義はあるということ、そして、デメリットは当初心配されていたほどのものではないということは言えるけれども、ただ、高齢者とかいろいろな基礎疾患のある大人、それから、子供たちへの接種の推奨の強さに比べると、そこまで強い推奨ということではないのかと思います。
当然、ワクチンの中でも強く推奨しているものからある程度ハイリスクの人に限って勧める、例えば髄膜炎球菌ワクチンなどは後者に当たりますけれども、そういういろいろな位置づけの中で、今のワクチンで、今のオミクロン株の流行の中で、今出ているデータで強く推奨するということではない。それは基礎疾患を有する子供たちに対することではありますけれども、5~11歳、12歳以降の子供たちに関しては、今分かっている中でメリットはデメリットを上回るのでということで意義があるものだという説明にとどめているということになります。これは、今後もっとデータが新たになってくれば、当然この推奨の度合いとかは変わってくることになりますけれども、現時点での学会としてのスタンスを示したものということになります。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
池田先生、お願いいたします。
○池田委員 池田でございます。
子供に対するワクチンの有効性はまだいろいろと不確実な部分があるということについては理解したつもりなのですが、ワクチン接種の考え方というところでまず最初に書かれているのは、周囲の成人へのワクチン接種が重要だということかと思います。これを読みますと、5~11歳の健康な子供へのワクチン接種とその周囲の成人への接種、ある意味、優先順位を考えると、まずは例えば成人の方の3回目の接種を順番としては優先し、その後の感染状況もありますし、ワクチンの供給の状況もありますし、接種体制のこともあると思うのですが、5~11歳の健康な子供はその次の順番でいいと、そのように理解していいのか、それとも逆なのか、そこを教えていただければと思います。
○森内参考人 確かに今のワクチンのオミクロン株に対する感染予防効果があまり高くないことを考えると、周囲の大人がワクチン接種をすれば、子供たちにウイルスをうつすことがないということを強く期待することはできないだろうと思います。
ただ、周囲の大人たち、例えば医療的ケア児であったり、重い基礎疾患を持っている子供たちに身近に接して、家庭でもいろいろなところでも、それから、いろいろな場面場面でそういう子供たちに対応してくれるプロの方たちなどがもし感染をしてしまい、十分なケアができなくなると、やはりそういう子供たちのリスクも高くなるという考え方も当然出てくると思います。何よりも、健康な子供たちと健康の大人たちで比べれば、同じように健康であっても大人のほうが致死率は高くなっているわけですので、それを考えても、やはり周囲の大人たち、子供にとって大事な御両親、祖父母などをしっかりと守る、そして、子供たちを支えてくれるプロフェッショナルの人たちをしっかりと守るということが、そのまま子供を守ることにもつながるということは私たちが出しているスタンスということになります。
○池田委員 ありがとうございました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
信澤先生、どうぞ。
○信澤委員 ありがとうございます。入室が遅れて申し訳ありません。
今説明していただいた内容に直接関係していないかもしれないのですけれども、森内先生に伺っていいのかよく分からないのですが、感染した小児から大人に感染したという例は、オミクロンになって増えている、とかという何か情報はあるのでしょうか。
○森内参考人 これも例えば押谷先生たちの研究などでも出ていたのですけれども、大人から子供はよく起こるし、それから、子供から子供というのはそんなに起こらない。さらに、子供から大人というのはもっと起こりにくいと言われていて、ただ、それはあくまでもこれまでのデルタ株よりも以前のところのデータではあったのですけれども、いろいろ言われている中で、子供の感染しにくさというのは、社会的にはもちろんあまりあちこち動いて回ってもらうことが少ないということ、生物学的には受容体であるACE2の発現レベルが低いと言われていましたけれども、子供からの感染が低い理由として、流体疫学などの研究される人は、子供の肺活量が小さいということもあって、出てくるウイルス量が大人とは全然比較にならないぐらい少ないからということとか、飛沫が飛んだりするのも大人から子供に上から下には降りてきても、子供から大人に上のほうに上がることは少ないのだとか、いろいろな理由で説明がされていたみたいです。
ただ、程度の問題であって、オミクロン株になって全体的に感染力が拡大している中で、これまでは比較的少なかった子供から大人への感染はやはり起こるようになっていますし、それはより密なケアをする家庭の中において小さい子供を見ているお母さんお父さんがかかるとか、保育士さんたちがかかるかということに関しては、これまでは割合少なかったのが今後は目立ってくるだろうと思います。
○信澤委員 ありがとうございました。
○脇田分科会長 それでは、ここまでにさせていただいてよろしいですか。
森内先生、ありがとうございました。
○森内参考人 ありがとうございました。
それでは、次に進ませていただきます。
次は、事務局のほうから新型コロナワクチン接種の現状についての御説明です。
資料3で、九十九補佐ですか。お願いします。
○九十九予防接種室長補佐 よろしくお願いいたします。予防接種の九十九でございます。
まず3ページ目を御覧ください。
こちらは新型コロナウイルス感染症の国内発生動向でございます。御承知のとおり、1月に入りまして陽性者数が急増している状況でございます。
4ページ目を御覧ください。
こちらは年齢階級別の入院治療等を要する者における重症者の割合を示したものでございますが、約1か月前に開催した審議会時に比べまして、その割合は低下している状況でございます。
続きまして、5ページ目は死亡者割合のリバイスでございますので省略いたします。
6ページ目を御覧ください。
現在、これは1月25日の公表時点でございますが、3回目の接種の完了者が2.1%となってございます。
続きまして、7ページ目を御覧ください。
こちらもワクチンの接種率の状況でございまして、説明は省略いたします。
8ページ目、9ページ目は日本での供給が予定されているワクチンでございますが、9ページ目の武田/モデルナ社ワクチンの状況について更新がございますので、御確認いただければと思います。
以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
それでは、本日の新型コロナワクチン接種に関する議題は資料3の11ページを御覧ください。
1番から3番となっておりますので、この順番に議論を進めていきたいと考えております。
まず最初に、オミクロン株の新型コロナワクチンへの影響ということであります。
事務局から御説明をお願いいたします。
○九十九予防接種室長補佐 よろしくお願いいたします。
資料14ページ目を御覧ください。
こちらは1月20日のアドバイザリーボードの資料でございますが、下の2ポツ目、御承知のとおり、オミクロン株の市中感染が拡大しておりまして、多くの地域でオミクロン株への急速な置き換わりが進んでいますが、引き続きデルタ株も検出されている状況でございます。
続きまして、15ページ目を御覧ください。
こちらは、英国健康安全保障庁(UKHSA)が定期的に報告しているオミクロン株に対するは新型コロナワクチンの発症予防効果、または入院予防効果は次のページにありますけれども、それを示したものでございます。
研究内容でございますが、11月27日から1月6日までの研究に参加した18歳以上の者を対象としまして、これはテストネガティブデザインを用いた研究でございます。オミクロン株及びデルタ株に対するワクチンの2回接種後、また、追加接種後の発症予防効果の推移を分析したものでございまして、オミクロン株陽性者は約76万、デルタ株陽性者は23万6000人程度解析に含まれてございます。
まとめでございますが、新型コロナワクチンのオミクロン株に対する発症予防効果は2回目接種直後からデルタ株より低く、ファイザー社またはモデルナ社ワクチンを2回接種した2~4週間後は65~70%でございましたが、20週後には10%程度まで低下しております。また、追加接種の2~4週後は65~75%と回復するものの、追加接種後の10週後以降は45~50%となってございます。
続きまして、16ページ目を御覧ください。
同じくUKHSKの今度は入院予防効果に関する報告でございます。これはいずれも1月14日の報告でございますが、まとめでございます。新型コロナワクチンの2回目接種後25週以降のオミクロン株に対する入院予防効果、こちらは右の表に書いておりますが、44%でありましたが、追加接種の2週目以降では89%に回復したとされております。また、下の表は65歳以上のものでございますが、オミクロン株に対する入院予防効果に関しましては、追加接種後の2~9週で94%、10週以降で89%という報告がございます。
続きまして、17ページ目からは日本の追加接種の状況について御説明申し上げます。
18ページ目を御覧ください。
こちらは前回のこのワクチン分科会で提示した資料でございますが、1番、医療従事者等及び高齢者施設等の入所者等に対する追加接種は2か月前倒し可能としておりまして、2番、その他の高齢者に対する追加接種は1か月前倒し可能としてございました。
19ページ目を御覧ください。
今ほど申し上げましたオミクロン株の状況等を踏まえまして、3c、本年3月から、先ほど申し上げましたその他の高齢者に関しましても、接種間隔をさらに1か月前倒しとしておりまして、一般、職域の方も1か月前倒ししたところでございます。
このような状況を踏まえまして、20ページ、これまでの予防接種実施要領を改正いたしまして、具体的にはa、b、cと書いておりますようなそれぞれの対象者ごとに接種間隔について記載を改めたものでございます。
21ページ目を御覧ください。
まとめでございますが、現時点で得られておりますオミクロン株の新型コロナワクチンへの影響を整理しますと、オミクロン株に対する1、2回目接種による発症予防効果は、デルタ株と比較して低下するものの、3回目接種により発症予防効果が回復することが示唆されてございます。
今度はオミクロン株に対する1、2回目接種による入院予防効果でございますが、デルタ株と比較して一定程度の低下を認めるものの、発症予防効果と比較すると保たれておりまして、さらに、3回目接種により入院予防効果が回復することが示唆されてございます。
オミクロン株の感染拡大が懸念される中で、ワクチンの供給力や自治体の接種体制等を踏まえまして追加接種の前倒しを行うため、先ほど申し上げました予防接種実施要領の見直しを行うものとしております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
ただいま、事務局のほうから主に追加接種に関することの説明がありましたけれども、御意見、御質問等はありますか。追加接種に関してもこの分科会でいろいろと議論はしてきましたけれども。
信澤先生、どうぞ。
○信澤委員 ありがとうございます。
一つは、これから輸入するあるいは国内で製造されるワクチンというのは、いずれも3年前の武漢株の遺伝子で作られたものですよねということと、今、モデルナがオミクロンでワクチン製造が3月から可能だというようなことも言っていますけれども、ブースター接種をするときに、先を見て、古い株を常に打っていくのではなく、なるべく流行するであろうウイルスに近いワクチンを接種する、インフルエンザウイルスの場合も予測して決めていくわけですけれども、そういうこともそろそろ検討していただく時期ではないかなという気がします。
接種の前倒しはもちろん構わないと思いますし、反対することではないですが、医療従事者や高齢者などハイリスクの人は今にでも、今月中に打ち終わるのであれば非常に効果はあると思うのですが、今、前倒しをしたところで、打ち終わる頃はオミクロンのピークは終わっていて、恐らく1月下旬、2月上旬ぐらいまでには海外と同じ流行の様子になるのであれば終わっていると思いますので、オミクロンの波が終わったところで一生懸命ブースター接種をするということは、日本の場合、5月とか8月、11月の3つぐらい感染者の山があったと思うのですが、次のことを考えて打つことになると思いますが、そうした場合、3月、4月に武漢のワクチンを打って、5月または8月ぐらいに来るであろうウイルスに備えるということになるので、備えないよりは備えたほうがいいと思うのですが、海外の状況を見て、なるべく先手先手で新しいワクチンの製造が始まるのであれば、すぐにでも交渉を開始して、なるべく先回りして打てる体制を整えていただければと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがですか。よろしいですか。
では、事務局から何かコメントございますか。
○九十九予防接種室長補佐 御質問ありがとうございます。
ワクチンの開発に関しまして、開発の状況が以前の武漢株に対するものかどうかという質問に関しては、最新の状況を確認しておりますので、少しお待ちいただければと思います。
○脇田分科会長 それでは、ほかにありますか。
現在の追加接種の進行状況を見ると、今、信澤先生から御指摘があったとおり、オミクロン株の今の流行状況を押さえていくということではなかなか効果を期待するのは難しいというような状況ですけれども、さらに今後のコロナの再拡大ということも懸念がありますから、それに対して追加接種を進めていくということは、初回接種から半年以上たってきて効果が徐々に低下してきているということを考えると、追加接種を進める必要があると私は考えるところです。そこは皆さん多分合意していただけるのかなと。
釜萢先生、どうぞ。
○釜萢委員 まだあまりデータはないのだろうと思いますけれども、国民の皆さんも非常に関心を持っておられるところなので、話題に出したいと思いますが、イスラエルにおいて3回のワクチンを非常に進め、かつ4回目のワクチンというような話もある中で、一部の報道によれば4回目をやってもあまり効果がないというような報道もあって、そのことをどういうふうに評価するかという医学的な論文がまだまとまっていないように私は認識しているのですけれども、事務局はその点についてどういう御認識か確認をさせていただきたいと思います。
○脇田分科会長 それでは、白井先生、先にコメントをください。どうぞ。
○白井委員 白井です。ありがとうございます。
3回目の接種の完了率なのですけれども、予想よりも低いのではないかなと思っているのですが、前倒し、前倒しということも言われながらこのような状況になっていることについて、逆にこの流行状況を見ると、前倒しを早めるのではなくて、もう少し皆さんに接種していただくような運動というか働きかけを国としてするのか、またはこれを自治体に任せにされるのか、どういう思いを持っていらっしゃるか、その辺のことをお聞きしたいなと思いましたので、併せてよろしくお願いします。
○脇田分科会長 ほかはよろしいですか。
それでは、今、釜江先生から4回目の接種の効果についての考え方はどうかということ。それから、白井先生からは3回目の追加接種はなかなか進んでいないけれども、ここからそれをさらに進めるためにどのような働きかけを考えているかということです。
事務局のほうからお願いします。
○鶴田予防接種室長 事務局です。
釜萢先生からは4回目の接種について御質問をいただきました。4回目については、各国はまだスタンスを明確にしていないというのが現状だと思いますし、今後またいろいろな知見が出てくるかと思いますので、そういったものをしっかりと情報収集をした上で、この審議会でも議論できるように事務局として準備していきたいと考えております。
また、白井先生からは3回目接種の広報について御質問をいただきました。国としましては、追加接種の前倒しを積極的に取り組んでいく必要があるという問題意識を持っております。これに関しては、自治体任せにするというわけではなく、国もしっかりと汗をかいて広報活動をしていく必要があると考えておりますので、自治体の皆様方と協力しながら、追加接種が前倒しで、しかも、ペースアップができるように取り組んでいきたいと思っておりますので、御協力をよろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
4回目の接種についてはようやくデータが出始めているというところで、必ずしも効果がないというわけでもないよということがあったと思います。
中山先生、お願いいたします。
○鶴田予防接種室長 脇田先生、事務局ですけれども、もう一つよろしいでしょうか。
○脇田分科会長 では、まず事務局からどうぞ。
○大坪大臣官房審議官 恐れ入ります。事務局です。審議官の大坪です。
先ほど信澤先生からいただきました御質問に補足をさせていただきます。
2022年から供給を受けるワクチンは、事務局資料3の9ページにお示ししているところです。モデルナ社が9,300、ファイザー、ノババックスの数字がここに記載されております。これから来るワクチンにつきましては、海外のほうで世界的にワクチンの株が切り替わることがあれば、日本で契約されているワクチンにつきましても供給を受けるということになっておりますので、現在は確かにオリジナル株に対するワクチンでございますが、それがファイザーもモデルナも開発をしてオミクロン用に世界的に供給が切り替わるということであれば、この契約の中でワクチンの種類が変わるということになっております。
また、今後の4回目があるかどうかということも含めてですが、そのワクチンの供給についても現在様々情報を集めながら話をしているところでございます。
以上、補足です。
○脇田分科会長 たしかファイザーはオミクロン株に特化したワクチンの治験を開始したといった報道がされていたと思いますので、今後そういったものが利用される可能性はありますけれども、まだそこは決まっていないということかなと思っています。
中山先生、それから、佐藤先生の順番でお願いします。
○中山委員 先ほど信澤先生が、3回目の接種をするとしても、オミクロンのピークはひょっとすると過ぎているかもしれないということで、そういうことであれば、皆さんできるだけ急いで3回目を打たれたほうがいいと思うのですけれども、私の住んでいる自治体でも、やはりモデルナの会場は空いています。モデルナを受けたい人は先に接種券を発行しますというような通知が来ていまして、今、私も確認しましたけれども、どうもモデルナの会場のほうが空いていて、人気がないのかなと思うのですが、もし3回目はできるだけ早くということであれば、この分科会はワクチン分科会ですから、もっと積極的にモデルナのワクチンを打とうということを発信してもいいのではないかなと思いました。その辺が専門家の先生たちの御意見も伺いたいなと思いました。
以上です。
○脇田分科会長 佐藤先生、お願いします。
○佐藤委員 御発言に賛成です。
3回目を早くというのは、今日議論する子供の接種を考えるに当たっても、周りの大人がきちんと接種することが大事だというのは御指摘があったところでもあり、高齢者を含めて、大人のワクチン接種をきちんと早く進めることが大事だと思います。
御専門の先生方の間からは、ファイザーかモデルナにかかわらず早く打つことが大事だという御指摘をしばしば聞きますし、混合接種のほうがむしろ抗体価が上がるというような御指摘もある中で、そのような情報がなかなか届いていないのではないかという感じがしており、その部分については反省点があるのではないかと思います。
また、これからの開発状況を鑑みて、きちんと常に合う株に対して接種をするということが大事だというのは全くおっしゃるとおりだと思います。ただ、今回、子供の接種についても、オミクロンに対してどうかということがしばしば大きく取り上げられるわけですけれども、今この瞬間はやっているものに対してどうなのかということで考えるとすれば、常にあたふたと最も新しいものを入れて、それをいかに早く打つかという話になるわけですが、この間のワクチンの確保の状況を見ますと、日本が欧米と比べて開発しなかった、つまり、自前のワクチンを持つことができなかったことも考えると、最も新しいものが得られるかというとなかなか難しいところで、現実問題として社会の中で基本的な抗体価を上げていく、という表現が正しいのかどうか、あまり正しくないような気がするのですけれども、そういうことを考えたほうが現実的なのではないかという気が、私はしました。
以上です。ありがとうございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
川俣先生、お願いします。
○川俣委員 皆さんの議論の中にもありますけれども、自治体としましては、早めにやるということは、やはりモデルナは安全性があり、効果があるということを公で言ってくださることが一番早く進むかなと思っています。現実に、今までの集団接種で使っていたファイザーに対する信頼度が高いので、モデルナに切り替えるということがなかなか皆さんからは了承が得られていないのかなと思っています。ですから、その情報をたくさん流していただければ、その分会場が広がりますから、受ける回数が増えるので、できたらそういう報道をしていただけるとありがたいかなと。
また、モデルナは武田製になるので、日本製だということをアピールしても、日本人にとっては案外それが信頼につながるのかなということもありますので、その辺のことを広報していただけるとありがたいと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
今、中山委員、それから、川俣委員からモデルナのことですね。安全性、有効性については我々の議論の中で、ファイザーの3回目接種、モデルナの3回目接種は大きな差はない、どちらも有効であって、安全性についても大きな差はないといったことで議論を進めてきたと思いますので、そこはしっかりと周知をしていくということですね。モデルナの会場が空いているということでありますので、そこはさらに広報をしっかりし、我々も折があればもちろんそういうことは言っていくわけですけれども、国のほうからもお願いをしたいということですので、そこはよろしくお願いします。
それから、佐藤委員からありました3回目、これは信澤委員からも株に合ったものを出していくべきではないかという意見もありますけれども、現在の状況から言えば、次に何が来るかといったことを予測するのはなかなか難しいと思いますので、基本的な免疫ということで現在のワクチンを進めるべきではないかといった意見だと思いますけれども、この点についてそのほかの先生方で何か御意見はありますか。
鈴木先生、この点についてはどうでしょうか。
○鈴木委員 ありがとうございます。
私も佐藤委員の先ほどのコメントに賛成しております。
今、国内においてブースター接種を進めなくてはいけない。この議論は、そもそもがデルタ株の流行の時点において、2回接種後半年以上経過すると効果が減弱するから、その効果を回復させるために速やかにブースター接種を行うといった議論で、今、一生懸命進めているという状況です。
そこにオミクロン株が出てきたのはたかだか2か月前で、オミクロン株に備えてこの3回目接種を、もちろんもうちょっと早く3回目接種ができていればもっとオミクロン株に備えられていたかもしれませんが、これは結果論であって、そこのところは残念ながら現実的には切り離して考えざるを得ないのかなと思います。
まずは3回目のブースター接種を速やかに進めていく。一方で、オミクロン株に対する効果は減弱しているというエビデンスが出てはきつつも、まだしっかりと分かっていないので、そちらのほうはしっかりとモニタリングしつつ、次のオミクロン株を想定されるワクチンは今トライアルが始まったといった報道もありますので、次のワクチンの計画についてまたエビデンスをそろえつつ備えていく。このように考えて進めていく必要があるのかなと私も考えております。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 モデルナとファイザーのワクチンの件でありますけれども、2回目のモデルナの接種において、特に若い方々は大変高い熱が出てつらい思いをしたということが割合皆さん大きく共有されているわけです。そのことは、今回のモデルナの3回目のワクチンは半量にしたということで、そのことがどのくらい伝わっているのか分からないのですけれども、医療従事者を中心に接種を行ったのはファイザーがほとんどだろうと思うので、このモデルナの2分の1量になった場合の状況というのはまだあまり集計がされていないように思いますが、伊藤先生、その辺り、何か御示唆がありましたらお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
先週金曜日の副反応検討部会で報告できなかったのがこんなところでボディブローのように効いているのだなと思っておりますが、モデルナ社のワクチンは追加接種が半量になっておりますので、今集計している安全性の情報からみますと、モデルナ社の2回接種のときよりは発熱や全身倦怠感などが低い頻度で出ていると集計結果はでてきております。次回、報告をさせていただきますが、ファイザーのものよりは少し高めな頻度になっております。抗体価について、ファイザーのものについて接種前と比較した幾何平均抗体価倍率が50倍程度になっていることを報告しておりますが、モデルナのものについても近々に報告できるようにいたします。
○脇田分科会長 伊藤先生、どうもありがとうございます。
それでは、中野先生、お願いします。
○中野委員 中野でございます。御指名ありがとうございます。大体、ほかの委員の先生方おっしゃったことと大体変わりはないのですけれども、オミクロン株がどうだ、今流行しているかどうかというのはもちろんとても大切なことなのですけれども、新型コロナ感染症ですから、予防接種・ワクチン分科会としてはやはり予防するというのが一番の有効な対策である。そのために最も有効で安全な方法は何なのか。今日、鈴木先生や森内先生がお示しくださった資料の中には、国内のデータ、海外のデータ、私たちがこれまで知らなかった新しいこともたくさん盛り込まれていたと思います。また、先ほど伊藤先生からも現在調査中のモデルナの半量も追加のデータもこれから出てくると思います。
私も小児科医ですから、5~11歳の小児の接種を考えるに当たって、成人で若年層ほど副反応の頻度が高かったり、心筋炎の頻度が高かったり、確かに私も小児科医でもありますし、子供を持つ父でもありますので、その気持ちは非常に分かるのですけれども、森内先生の今日のデータを拝見しても、必ずしも低年齢の子供ほど心筋炎の頻度が高いというわけではないというアメリカのデータも出始めておりますし、そういったことをアップデートしつつ、国民の皆様と情報共有をして、国民の皆様に適切な御判断をいただくということがワクチン分科会の果たすべき役割であると考えております。
以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
それでは、大体よろしいですか。
今のところは皆様から御意見をいただいたというところでよろしいかと思いますので、それでは、この件はここまでにしまして、事務局におかれましては必要な手続を進めていただきまして、今、委員から意見がありました周知をさらにしっかりやってほしいというようなことがありますので、そこも含めてよろしくお願いいたします。
議題のその次、小児(5~11歳)の新型コロナワクチンの接種についての議論に移っていきたいと思います。
まず、事務局から資料3の続きの御説明をお願いいたします。
○九十九予防接種室長補佐 よろしくお願いします。
それでは、22ページを御覧ください。
続きまして、小児の新型コロナワクチンの接種について御説明申し上げます。
23ページ目を御覧ください。
こちらが前回2回目となりました12月23日のワクチン分科会における主な御意見をまとめたものでございます。小児の新型コロナワクチンの接種については、5~11歳の小児に対しても接種の機会を確保するべきではないかという意見を多くいただいたと認識しております。
一方で、副反応や有効性などアップデートされる情報につきましては、国民に情報提供を行っていく必要があるということと、小児の接種に当たっては広域な接種体制を整える必要があるのではないかという意見をいただいております。
また、努力義務に関しましては、小児また妊娠中の者に関して意見をいただいておりまして、努力義務を課すことで心理的圧迫を感じるという意見がある一方で、多くの市民は努力義務を意識していないという意見もございました。また、努力義務を課すことは接種の環境づくりには役に立つのではないかといった意見もいただいております。
24ページ目からは、前回鈴木委員に提出いただきました資料を事務局でまとめたものでございますが、小児における新型コロナウイルス感染症に関しましては、中等症や重症例の割合は少ないものの、中等症や重症例の症例数は増加傾向であることをお示しいただきました。
25ページ目を御覧ください。
同じく鈴木先生の資料からでございますが、感染者数全体に占める5~11歳の新型コロナウイルス感染症の報告割合は増加傾向であることをお示しいただきました。
また、26ページ目でございますが、数理モデルを用いたシミュレーションによりますと、11歳以下の新型コロナワクチンの接種が進むことによりまして、同世代における、重症例の発生が抑制されるのみでなく、中高年世代を含む人口全体の感染者数や重症者数を減少させる効果が期待できることをお示しいただきました。
続きまして、28ページ目を御覧ください。
こちらは小児を対象とした新型コロナワクチンの接種に係る諸外国の対応状況のリバイスで、1月25日時点のものでございますが、前回と変更があったところは、英国に関しまして、先月お示ししたところでは小児に関する推奨に関して規定がございませんでしたが、このように臨床的なリスクを有するグループに属する小児または家庭内で免疫不全者と接触のある小児は設置すべきという推奨がされてございます。また、フランスに関しまして、先月の時点では、重症化リスクのある小児等に対して限定したものが、そういった限定がなくなりまして、小児に対して接種を推奨している状況でございます。
30ページ目を御覧ください。
こちらは先日行われました薬事審査の報告でございますが、PMDAは審査報告書におきまして5~11歳の小児におけるファイザー社ワクチンについて一定の有効性が期待できると判断しております。
具体的には表4、表5を御覧いただきたいのですけれども、表4は中和抗体化に関しまして、真ん中に書かれておりますのが16~25歳のものでございまして、これと5~11歳の抗体価の上昇を比較したものでございますが、GMRが1.04となってございます。
また、表5は中和抗体の応答率を見たものでございますが、16~25歳と比較しまして抗体応答率の差が0.0ということで、いずれも事前に設定した成功基準が達成されたことが示されてございます。
31ページ目を御覧ください。
同じく審査報告書の今度は安全性に係る記載でございますが、表11、表7に具体的なこういった反応原性事象、副反応に関する事象に関して報告がございますが、PMDAの評価によりますと、許容できないリスクを示唆する情報は得られていないと判断されてございます。
32ページ目、33ページ目はこれまでお示ししております臨床試験の結果でございます。
34ページ目を御覧ください。
こちらに関しましては、米国のV-safeの解析結果によるものでございまして、青が5~11歳、オレンジが12~15歳の2回目接種後7日間の追跡で認めた副反応の状況を示したものでございますが、これは1月5日のACIP Meetingの資料でございます。結論としましては、5~11歳の小児の副反応に関しまして、12~15歳よりも頻度は少ないという報告でございます。
続きまして、35ページ目を御覧ください。
今度は同じく米国ですが、VAERSの解析結果で先ほど心筋炎について御討議いただきましたところでございます。これも1月5日のACIP Meetingの資料ですが、これは100万回の接種当たりの報告の変動を見たものでございます。
心筋炎のリスクに関して、中段の男性のところを見ていただきたいのですけれども、100万回当たり、12~15歳におきましては45.7の報告、16~17歳が70.2の報告に対しまして、5~11歳の年齢では4.3と報告が低いという状況でございます。
36ページ目、37ページ目は、子供や保護者のワクチンに関する考えを再掲したものでございます。
38ページ目を御覧ください。
まとめに入りますが、小児の5~11歳の新型コロナ口ワクチンの接種に関しましての知見をまとめております。
1つ目の○です。繰り返しでございますが、新型コロナウイルス感染症は小児に関して中等症や重症例の割合は少ないものの、新規感染者数の増加に伴い、中等症、重症例の症例数は増加傾向であり、感染者数全体における報告割合が増加傾向であるということ。
また、知見に関しまして、これは注で記載してございますが、オミクロン株の出現以前の知見であり、オミクロン株のワクチンへの影響については引き続き情報収集を行うというところでございますが、数理モデルを用いた結果や現在分かっている発症予防効果、あるいは安全性に関するものをまとめたものでございます。
諸外国の状況ですが、全ての小児に対して接種を進めている国と限定的な対象者に対して接種を推奨している国がある状況でございます。
また、子供または保護者のワクチンの受け止めに関しても記載してございます。
このようなところから、論点でございますが、小児(5~11歳)の初回シリーズにおける新型コロナワクチンの接種に関しまして、小児における新型コロナウイルス感染症の動向や、ワクチンの有効性や安全性、諸外国の対応状況、子供や保護者の新型コロナワクチンに対する考えなどを踏まえまして、ファイザー社ワクチンを用いることについてどう考えるか、本日も御議論いただきたいと考えてございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
国内で小児(5~11歳)へのファイザーのワクチンの接種が承認されたということで、今後、新型コロナワクチンを小児に接種をしていくというところをどう考えるかということであります。
公的な関与についてはまたこの後議論しますので、まずはこのファイザーのワクチンを小児への接種に用いることについての議論をしていきたいと思います。
それでは、阿真参考人、森内参考人、鈴木委員から手を挙がっています。順番にお願いいたします。
○阿真参考人 ありがとうございます。
公的な関与については論点3のほうでということなのですが、今日はこれで失礼させていただくので、公的な関与についてもちょっとだけ触れさせていただきます。
○脇田分科会長 どうぞ。お願いします。
○阿真参考人 先日の分科会のときにもお話しした内容なのですけれども、オミクロン株が流行したことで、また親御さんたちと話をする機会を持ちました。一般の保育園や小学生に通う30人ほどの親御さんとお話をしまして、一般の元気なお子さんの親御さんたちとお話ししたときには、今打ちたいという人は誰もいなかったのです。様子を見たいという方がほとんどで、日本の子で打ってみてどうなっているかを知りたいというようなことをおっしゃる方が多かったです。多かったというか、全員そうだったということです。でも、その中で、お子さんの中には早く打ちたいと話す子もいました。こんな生活が嫌だというようなことをおっしゃる子がいて、3年生ですけれども、打ってもこの生活は続くよという話はしたのですけれども、元気なお子さんの中でも打ちたいという子はいました。
一方で、御病気を持ったお子さんの親御さん10人ほどの方ともお話をする機会を持ったのですけれども、持病を持ったお子さんをお持ちの方々は3月でも遅いぐらいだと発言される方が多くて、基礎疾患のあるお子さんの親御さんたちは特にそうでした。これも前回も分科会でお伝えしたことと重なりますけれども、一刻も早くという声を上げておられました。
打ちたくないという人の気持ちはもちろん尊重したいですし、打たないという選択は自由で、可能なことだと思います。その気持ちを尊重するのと同じように、全体から見ると数は少ないけれども、打ちたいと思う人の気持ちは尊重されるべきだと考えます。
前回の発言と重複するのですけれども、努力義務ではなくていいと思っていまして、努力義務にする必要はないですが、希望する人が接種できる仕組みを整えることが必要だと考えます。論点3の内容になってしまって申し訳ありません。
話しっぱなしで申し訳ありません。これで失礼いたします。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、森内先生、お願いします。
○森内参考人 ありがとうございます。
質問とコメントになりますけれども、前回もしかしたら議論されているのを私が知らないだけかもしれませんが、26ページに出ている数理モデルを使ったシミュレーションですけれども、これは当然どういう数字を入れるかによってみんな変わってくる中で、オミクロン株になって感染予防効果がどのくらいあるかというのは今のところまだよく分かっていないと思いますが、それを入れると大分話が変わってくるのかなという気がします。社会の中における流行動態の影響を、今のオミクロン株で、今のワクチンで果たしてどの程度出るものかということで、そういう限界とかをしっかりと示しておかないでこれだけ出すと、世論を誘導しているかのごとく受け取られると、かえってワクチンに対して反対するような気持ちとかにつながるのかなとちょっと危惧されました。それが一点です。
それから、36ページの成育医療研究センターのほうで行ったアンケート調査ですけれども、これが行われた時期が昨年9月であるということ、それから、先ほど阿真先生からお話がありましたけれども、最近も調査の仕方というのはいろいろなので、それぞれのいろいろなバイアスがかかるとはいっても、最近聞いた調査などではむしろためらっている人のほうがかなり多いとかというところがあります。
その中の一つの理由として、ここで受けたい理由の中に、もうこんな生活は嫌だ、日常生活を取り戻したいとか、痛いのは嫌だけれども早く世の中でコロナがなくなるように僕たちも協力するのだみたいなこと、さらには、いじめの対象になるからそれを避けたいとかということ、これは全部感染予防効果ということを期待しての発言だと思います。いじめになるのも、みんなが接種すれば修学旅行に行けるぞみたいな中で接種しない人がいるからいじめるのだということにつながるわけです。
ですけれども、今の感染予防効果があまり期待できないという前提に立って物事を進めていかないと、例えば子供たちが受けたいとか受けたくない、親も受けさせたいとか受けさせたくないという理由の中で、感染予防効果があまり表に出ていると、それは今分かっているデータの中では正直ではない議論が進んでいくようなところを危惧しています。それが逆に裏切られたという気持ちでワクチンに対するに対する忌避につながっても、それをもっといけないことかと思いますので、こういう資料の出し方とかに解説などがきちんと加わっていかないといけないのかなと思いました。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
客観的なデータの部分と、それを踏まえて私の見解の部分についてお話しします。
まず、データについては、まさに今、森内参考人から御指摘あったところですが、前回、感染症疫学センターで5~11歳への接種拡大により期待されるインパクトということでシミュレーションをお示しいたしました。ただ、これはデルタ株が流行していて、オミクロン株が登場する前の段階から準備をして前回の分科会でお示ししたものです。ですから、デルタ株を想定して行ったシミュレーションということになります。
その後、オミクロン株の流行を踏まえて、更新を進めているところです。ただ、実際のところ、オミクロン株に対する二次感染予防効果、それから、重症度を抑制する効果、特に前者についてはほとんど期待できないということが念頭に置かれるということ。一方で、発症予防効果、重症予防効果については、この世代についてはほとんどエビデンスがないという状況において、どのようにパラメーターを設定するのか、まさにこちらで吟味をしているところです。
その状況ですので、今日の段階ではまだお示しできる状況ではないということで、現在鋭意作業中ということになります。
ただ、頭で考えれば分かることではありますけれども、いずれにせよ、二次感染、他人にワクチンを打って感染した後、他人に感染させることを抑制する効果があまり期待できないということになると、前回お示ししたようないわゆる間接効果、子供に積極的に接種することでほかの世代の感染も抑制されるといった効果は極めて限定的であろうということは当然のことになると思います。それについては当然前回の資料には考慮されておりませんので、今日の資料は今分かりませんが、そういったところが書かれていないようであれば、森内参考人から御指摘あったように、これはあくまでデルタ株を想定したものであって、オミクロン株のものではないということは明記しておく必要があると私も考えます。
それを踏まえた上での私の一専門家としての見解ですけれども、いずれにしましても、オミクロン株に対するエビデンスは世界的に見ても限られています。特に小児については限られているというのが実情です。ただ、エビデンスが限られているから判断ができないというわけではないと考えます。オミクロン株に対する有効性の値自体は明確ではありませんけれども、これまでアルファ株、デルタ株に対する効果、安全性が確立されてきているということ。先ほども議論があったように、成人に対するブースター接種も積極的に進めていくべき段階であるということ。さらに今、オミクロン株の流行を踏まえて感染規模が非常に大きくなっている。その中で、小児においても重症例が少なからず発生していくということを考えれば、総合的にやはり5~11歳に対する接種拡大をすること自体の意義はあると私は考えております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 これまでのデルタ株までの経験の新型コロナウイルス感染症と、それがオミクロン株の感染が大部分になった状況とでは、医療現場あるいは臨床における患者さんの対応等もいろいろな困難な場面が大分変わってきていて、そして、感染症としての特徴が大分変わってきたなという印象を持っています。そして、医療現場からの私どもに寄せられる意見としては、全く別の感染症になったような感じを持っているという意見がたくさん寄せられます。
そのような中でこのワクチンをどういうふうに考えるかということですが、オミクロン株でもって今後コロナがそれだけになるということは私はないだろうと思っておりまして、新たな変異株がまた出てきて、大分様子が変わってくる場合もあるということの中で、やはり新型コロナウイルス感染症全体を考えてワクチンを議論しなければならないと思います。
今、オミクロン株が大変流行していて、それに対応するワクチンがすぐに大量に供給できるというわけではないし、流行している株と接種可能なワクチンとのずれというようなものは今後も出てくるだろうと思うのですけれども、全体として新型コロナウイルス感染症の予防にワクチンが有効かどうかという視点で、今日御説明いただいた様々な内容を総合して考えますと、5~11歳の年齢にワクチンの接種をお勧めするということは私はぜひ必要だろうと思いまして、その方向で皆様の御意見がまとまるといいなと思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
沼尾委員、お願いします。
○沼尾委員 ありがとうございます。
先ほどは資料の件で御迷惑をかけました。
基本的なところで、分からないので教えていただきたいのですが、今日の資料の御説明で、5~11歳の子たちにワクチンを接種するということに対して、一定の効果や安全性というところについて慎重に検討されているというところはとてもよく理解できました。
そういった意味で、希望する人たちに対して接種するという選択肢を広げるというところに対しては、私もそれはあっていいのではないかと思うのですけれども、1点教えていただきたいのは、そもそもこのワクチンを広げるというときに、mRNAワクチン自体が本当に新しいもので、これがどのような形で将来何が起こるかというところに関してはまだ全く分からないところがある。それが、高齢者の場合には、今の生命を守るという観点からベネフィットが非常に高いのだけれども、年齢が若くなればなるほど将来のリスクというところが非常に分かりづらいというような話が過去の議論で出ていたと思うのですが、そういった観点から、今回5~11歳の子たちに対するワクチン接種というところについては、専門家の先生たちはどういう検討ないしは議論されているのかというところを、これを判断するに当たって教えていただけないかと思いまして質問させていただきました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
その点はまた専門家というか委員の先生方にお伺いしたいと思いますが、そのほかに御質問、御意見はよろしいですか。
そうしましたら、シミュレーションの件に関しては、これはオミクロン株ではなくてデルタ株に関するものだということはしっかりと明記していく必要があるというのはもちろん当然のことだろうということです。
それから、今、沼尾先生から御意見があったmRNAワクチンの将来にわたってのリスクを専門家としてどう捉えているかということなのですけれども、ここは何か御意見はございますか。といっても、かなり難しいかもしれません。
森内先生、どうぞ。
○森内参考人 もちろん分からないことは分からないということになると思います。特に将来的な影響というのは本当に将来にならないと分からないことなので、ただ単に理屈としてありそうな話かどうかということで言えば、mRNAというのは非常に不安定で、スパイクタンパクの設計図としての役割が終わったらすぐになくなってしまうようなものです。非常に不安定ですぐなくなるからこそ、マイナス70度で保管とか溶かしたら使い切り、溶かした後は揺さぶっては駄目だとか、混ぜるときでもこんなふうにしては駄目だよと、そのぐらいデリケートであっという間になくなってしまうものだということにもなります。
それが体内にずっと残って何か悪さをするという確率は、ゼロですかと言われるとゼロではないと思いますけれども、ただ、それで起こるぐらいだったら、私たちは生まれてから何百回もの間RNAを持っているウイルス、RNAウイルスと言われるようなかぜのウイルスに山ほどかかって、山ほどRNAが私たちの細胞の中にぶち込まれている中で、それが残って将来悪さをする可能性はと言われると、それも非常に低いですけれども、ただ、このmRNAワクチンによって起こる確率よりはそちらのほうが圧倒的に高いだろうと思います。
ただ、現実は起こっていない。それが起こるのは、レトロウイルスみたいな私たちのゲノムの中に入り込むような特殊なウイルス、あと、ごく一部のDNAウイルスでもそれが起こっていますけれども、RNAウイルスの圧倒的大多数を占めるかぜのウイルスの中のそういったものや今回のこのmRNAワクチンによって起こるかと言われると、理論的な可能性であって、本当にそれをほかの明らかに分かっていることと並べて議論するような話かと言われると、私はあまり意味がないことかなと思っています。
○脇田分科会長 mRNAの長期的なリスクというのは、もちろんまだ全く分かっていない面が多いわけですけれども、当然、子供たちが新型コロナウイルスに感染した場合の長期的なリスクについても分かっていないというところです。そこをどう比較、考慮するのかということであって、今、森内先生からはやはりウイルスの感染のリスクを十分に考える必要があるという話だったかなと思いました。
ほかはいかがですか。よろしいですか。
事務局にお答えしていただくことはあまりなかったかと思いますけれども、事務局、何かコメントはありますか。お願いします。
○九十九予防接種室長補佐 御指摘ありがとうございます。
1点だけ、先ほど森内先生から御指摘いただきましたシミュレーションのところのスライドでございます。こちらに関して、38ページ目の論点のまとめのところでは、これまで事務局が説明してまいりました科学的知見に関しましては、オミクロン株の出現以前の知見であり、引き続き情報収集を行うと書いておりますが、御指摘のとおり、このスライド自身にもそういった明記が必要という御意見をいただきましたので、鈴木先生とも相談しながら、次回以降反映したいと考えております。御指摘ありがとうございました。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
今、様々意見をいただきましたけれども、いずれにしても小児(5~11歳)にも接種の機会を提供するという意味で、今回ファイザーワクチンが承認されて使用することが可能になったということで、接種を進めるという方向性については了承をいただけますか。よろしいですか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 ありがとうございます。今、大きな反対はなかったということで御了承いただいたと思います。
それでは、この件に関しまして、事務局におかれましては諮問案を次回用意していただくということとともに、これは接種の準備が必要ですから、自治体に向けて小児(5~11歳)への新型コロナワクチンの接種に向けた体制の準備を改めてお願いするなど、必要な手続を進めていただくということだと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、3番目の論点に進みます。小児・妊娠中の者に対する公的関与の規定の適用についてということについて議論したいと思います。こちらは前回も様々御意見をいただいたところでありますので、妊娠中の方に関することも含めて議論をしてまいりたいと思います。
それでは、まず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○佐藤予防接種室長補佐 予防接種室の佐藤と申します。よろしくお願いいたします。
冒頭、予防接種法の公的関与に係る規定ということでございまして、40ページから御説明をさせていただきたいと思います。
この後、努力義務の考え方等を御検討いただくに当たりまして、これまでの予防接種法における接種義務等の規定に関する経緯をまずお示しさせていただいております。
昭和23年の予防接種法の制定時には、感染症の流行がもたらす社会的損失防止への対応が急務でありまして、感染症に対する社会防衛を強力に推進する必要があったということから、接種は国民の義務であり、これに違反した場合は罰則が科されるという立てつけになっておりましたところでございます。
その後、予防接種による健康被害を背景に、昭和51年の予防接種法改正で、接種義務に違反した場合の罰則は廃止された。ただ、接種の義務自体は残ったということでございますけれども、その後、感染症による患者・死者急減、あるいは個人の意思の尊重が進むといった予防接種を取り巻く環境が大きく変わる中で、平成5年の公衆衛生審議会で今後の制度の考え方をまとめていただいております。すなわち、先ほどコメントをいただきましたが、予防接種につきましても個人の意思を反映できる制度とすることが必要であるというまとめをいただいている一方で、感染症の発生及び蔓延の防止に果たす予防接種の重要性は変わらないということでございまして、国民は疾病予防のために予防接種を受けるという認識を持ち、接種を受けるよう努める必要があるというまとめをいただいております。
こうしたことがありまして、翌平成6年には予防接種については努力義務とされたわけであります。最終的には個人の選択によって接種を判断できるという立てつけになっております。
その後、平成13年の法改正で、定期接種につきましては努力義務のない二類疾病が創設されました。
なお、接種勧奨につきましては長らく法律上に明示されてございませんでしたけれども、平成23年の予防接種法改正によって規定が創設されたという経緯でございます。
続きまして、次の41ページに参ります。
こうした新型コロナワクチン以前の経緯もございまして、新型コロナの話が出てくるということでございますけれども、こうした考え方の上に立ちまして、新型コロナワクチンにつきましても原則として接種勧奨と努力義務の規定が適用されるということでございます。
上の点線のボックスの中を御覧いただきたいのですけれども、こちらは昨年2月15日の分科会資料からの抜粋でございます。基本的な考え方でございますけれども、新型コロナワクチンにつきましての蔓延予防のため、緊急に実施する臨時接種として接種勧奨と努力義務の規定が適用される。ただし、新型コロナワクチンの情報量に制約があったという特殊事情もございまして、こうしたことを踏まえまして、新型コロナワクチンの接種につきましては原則として努力義務、接種勧奨の規定を適用することとしつつ、必要に応じて例外的に適用除外とできることとされております。
今のところは昨年の資料からの抜粋でございますけれども、点線のボックスの下でございますが、具体的に考え方を記述してございます。
2つ目のポツを特に御覧いただければと思いますが、法律上も新型コロナワクチンにつきましては例外としての適用除外、公的関与の規定でございますけれども、その適用除外のためのメルクマールを2点法文上に書いております。1でございますが、要するに蔓延の状況。あるいは2予防接種の有効性、安全性その他の情報を踏まえて判断することとされております。
御案内のとおり、妊娠中の方は公的関与の規定、特に努力義務の規定の適用除外を受けておりますが、これは昨年2月の分科会で御議論いただいた内容でございます。このとき、妊娠中の方のほかに若年者等が議論の俎上に上がっておりまして、その点、次の42ページのところで再掲させていただいております。
昨年の資料でございますので、手短に御紹介させていただきますが、妊娠中の方につきましては臨床試験の対象から除外されておりまして、被験者数が限られており、海外では接種の対象だったものの、胎児への影響については必ずしも明らかではなかったという状況でございましたが、一方で、実際の使用の場面で特段の懸念があったわけではなく、また、重症化リスクが高いことも報告されていた。あるいは、若年者につきましては重症化率や死亡率が低いが、感染者数が多く、個人社会への影響が大きいものとされておりました。
こうしたことを踏まえて、接種勧奨につきましては対象者全員に適用とした上で、努力義務については妊娠中の方は慎重に判断できるよう適用除外とされておりました一方で、若年者につきましては感染者、重症者、死亡者の動向と医療提供体制の影響も勘案し、適用は除外しないことと当時されておりました。
ここで説明者を一旦変わらせていただきます。
○九十九予防接種室長補佐 続きまして、44ページ目を御覧ください。
妊娠中の者の新型コロナワクチン接種に関する諸外国の対応状況について、1月11日時点で調べたものでございますが、主要国におきましては、一般の接種対象者と同様に妊娠中の者への新型コロナワクチン接種を推奨している状況でございます。しかしながら、日本のように努力義務の規定というものが設けられていない状況でございます。
続きまして、46ページ目以降を御覧ください。
妊娠中の者に対する新型コロナウイルス感染症のリスクについてでございます。これは国内における報告でございますが、国内の新型コロナウイルスの入院患者レジストリを用いた研究でございます。1月から4月の期間におきまして、妊娠中の者における中等症から重症の新型コロナウイルス感染の割合が、この表に示しておりますとおり、妊娠されていない方よりも高かったことが報告されているものでございます。
続きまして、47ページ目を御覧ください。
妊娠中の者に対する新型コロナワクチンの有効性に関してでございますが、これはイスラエルの報告でございますが、ここにお示ししているとおり、ファイザー社ワクチンの2回目接種後2か月の感染予防効果は96%、発症予防効果は97%、入院予防効果は89%という報告がございます。
続きまして、安全性でございます。48ページ目を御覧ください。
妊娠中の者に対する新型コロナワクチンの安全性ですが、これはmRNAワクチンを接種翌日の局所・全身副反応の発生割合は、妊娠中の者と妊娠していない女性の間で同様であったという報告がなされております。
続きまして、49ページ目を御覧ください。
今度は胎児に対する新型コロナワクチンの安全性に関する知見でございますが、妊娠中の者に対する新型コロナワクチン接種は、ワクチン未接種の妊婦と比べまして、早産またはSGA児のリスクの増加と関連を認めなかったという報告がございます。
こうした中で、50ページ目を御覧ください。
先ほど佐藤から御説明申し上げましたとおり、公的関与の規定の適用に関しては1、2の観点、公衆衛生の見地あるいは予防接種の有効性及び安全性に関する情報、その他の情報に関して十分にあるかなどを踏まえて検討する必要があるかと思っております。
小児・妊娠中の者それぞれに関して、このような枠組みの中でお示ししたものでございます。
先ほど小児に関しまして、オミクロン株出現以前の知見であるという指摘もなされましたので、私、先ほど次回以降の資料に反映と申し上げましたが、今後ホームページに本資料をアップする際にそういった注釈についても追記させていただきたいと思ってございます。
5~11歳のところは先ほど申し上げたことと内容が重なりますので割愛しますが、このような公衆衛生の見地があるという観点からこのような記載になってございます。また、安全性、有効性に関しましても、先ほどお示ししたとおり、こういった知見が蓄積されている状況でございます。
妊娠中の者でございますが、こちらは公衆衛生の見地としまして、妊娠中に新型コロナウイルスに感染した場合、妊娠後期に感染すると早産率が高まり、患者本人も一部は重症化することが報告されております。
入院患者のレジストリに関しては先ほど申し上げたとおりでございます。
また、妊娠中の者に関する予防接種の有効性、安全性でございますが、こちらに関しましては先ほど申し上げたとおりの知見が集まってきている状況でございます。
51ページ目を御覧ください。
まとめのスライドでございます。
小児の接種勧奨・努力義務につきまして、まず、小児の感染者数は増加傾向にあり、重症化するケースも見られる。また、新型コロナウイルス感染症による個人や社会への影響がある程度あると考えられ、医療提供体制にも一定の影響を与えていると評価ができます。
また、小児のワクチン接種が進むことにより、中高年世代を含む人口全体における感染者数や重症者数を減少させること効果が期待できる。ただし、これはオミクロン株出現以前の治験の推計でございます。
また、現在、新型コロナワクチン接種は小児に関しましても高い有効性を示唆する報告がございまして、安全性に関する特段の懸念を示唆するエビデンスもない状況でございます。
こうした状況を踏まえ、小児、これは法律上保護者に係るものでございますが、新型コロナワクチン接種の努力義務を適用することについてどう考えるか。また、接種勧奨についても、緊急の蔓延予防のために実施する臨時接種の趣旨や、海外でも広く接種が進められていることを踏まえ、小児、これは繰り返しですけれども、法律上は保護者に係りますが、適用することをどう考えるか御議論いただきたいと思っております。
あわせまして、前回論点としていただきましたこの妊娠中の者の努力義務についてですが、妊娠中の者につきましても、コロナウイルスに感染した場合、重症化リスクが高いことを示唆する報告がございます。
また、妊娠中の者に対するコロナワクチンの接種について、高い有効性を示唆する報告があり、安全性に関する特段の懸念を示唆するエビデンスはない状況でございます。
こうした状況を踏まえまして、妊娠中の者に関しましても新型コロナワクチン接種の努力義務を課すことについてどう考えるか、御議論いただきたいと考えております。
以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
主に公的関与ですけれども、この中で努力義務についてどのように考えるか。特に小児の接種、それから、妊婦の場合には努力義務が外されたわけですけれども、それについても現時点ではかなりエビデンスが出てきていますので、その点についても、前回、妊婦に関する努力義務についても併せて検討してはどうかという御意見をいただいて、今回の事務局のまとめをしていただきました。
それで、前回までの議論もあったわけですけれども、この臨時接種は接種勧奨と努力義務というものが前提になっていて、そのため、公費負担というセットの枠組みになっているということがございます。努力義務は蔓延防止のために接種を受ける努力をするということで、義務という言葉になっていますけれども、これは接種を受ける義務ではなくて、接種を受ける努力をするということであるということをまず大前提として共有しておきたいと私からも思います。
それも前回も議論しましたけれども、例えばこの努力義務によって接種しやすい環境が整備をされることである。保護者が接種に付き添うときに休みやすくなるとか、あるいは情報提供をしっかりするということで、市とか県、国がこの予防接種を実現するために公的関与をすることができるといった枠組みだと理解しています。その努力義務というものを小児の接種にも課すかどうかというところを議論するということであります。
妊婦のことについても、情報がそろってきたというところでどう考えるか。こちらについても御意見をいただきたいと思います。
それでは、御意見のある先生方、どうぞお願いいたします。
森内先生、どうぞ。
○森内参考人 まず妊婦さんに関することでは、かなり知見もいろいろなデータもエビデンスは得られていると思います。安全性はしっかりとしておりますし、妊婦さん自身もインフルエンザほどではないにしても重症化する。そして、早産などのリスクもある。さらに、生まれてきた赤ちゃんに関しても経胎盤、経母乳で移行抗体によって赤ちゃんを守ることも十分期待することができる。この状況によっては、やはり強い推奨をしていくというスタンスだろうと思います。
アカデミア、学会という立場としては、努力義務がどうのこうのということに踏み込む予定は今のところございませんし、今から述べるのは私個人の見解であって、小児科学会の見解ということではございませんけれども、目的はやはりきちんと示すべきだと思います。ワクチンは、まず接種される本人の発症を防いだり、重症化を防ぐという効果、もう一つ、感染予防効果のあるワクチンであれば、それを広く接種していくことによって社会の中での流行を食い止め、いろいろな理由でワクチンを接種できない、もしくはワクチンの効果が期待できないような弱者を集団免疫によって守るという観点もあると思います。ですので、これはそれぞれの疾患とそれに対するワクチンによってみんな違ってくるだろうと思います。
今のこのワクチンは、アルファ株のときまでは、もしくはデルタ株でも他のことを組み合わせることによって感染予防効果を期待することができたものですけれども、今のオミクロン株にはあくまでも重症化を防ぐものということが目的であり、感染の広がりをどんどん食い止めるために多くの人が接種するのだという論点を混ぜるのは、接種義務がどうこうということは別としてもちょっとおかしいことになるだろうと思います。
ですので、あくまでもどういう人たちがハイリスクであるということをきちんと提示して、その人たちにどんどん接種していく。そのために必要な準備をできるだけきちんとしてあげる。それは接種義務という言葉を使わないとうまくいかないということであれば、それはそれでも構わないのですけれども、ただし、その言葉の中にあるものとして、これをどんどん接種することによって社会の流行を食い止めることができるのだということを盛り込むと、打たない子供たちがいじめの対象になったりすることにもつながります。実際にそれは現時点では科学的には正しくないわけです。ですので、少なくとも理由として盛り込むことをきちんと説明をする上で、物事を決めていただきたいと思っております。
ハイリスクの定義についてもいろいろあります。先ほどの28ページでも、諸外国の小児を対象とした新型コロナワクチンの状況について、イギリスに関しては、下のほうに説明として、慢性肺疾患、慢性心疾患ということが掲げてあります。ついでに言うと、一番最後に妊娠とありますけれども、こういったものを掲げてあったり、もしくは抗体医薬のほうでも、ロナプリーブであったりソトロビマブのほうでも、年齢以外にも、肥満であったり、心血管疾患、慢性肺疾患等、いろいろなハイリスクの病気の条件というものが出たりしています。これが全部網羅されているかどうかということをきちんと検証しないといけませんので、それは日本小児科学会でも特にこういう基礎疾患の人たちは注意が必要だということをちゃんと訴えていく必要はあると思っておりますけれども、やはり何よりも、そういうハイリスクの人たちにちゃんと打つワクチンである。
実際にそういう子供さんたちを抱えている親御さんたちからは、3月まで待てないという声は確かに上がっています。今、ワクチンがあるのだから、その3分の1の量なのでしょう。今のワクチンを3分の1使うということだって認めるようにしてくれたらいいのではないですかという議論まで出ています。それは簡単には乗り越えられない問題ではあると思いますけれども、ただ、本当に待ち望んでいるようなところに一刻も早くきちんと接種ができるようにしていくということを最優先すべきであり、それ以外のところは希望される方に滞りなく接種ができるような体制を整えるというところで、次に進んでいくべきことかと思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
釜萢先生、お願いいたします。
○釜萢委員 前回も少し発言したかもしれませんが、この努力義務という名称が平成6年の法改正のときに出てきたときは、それまで義務接種で、場合によっては罰金まで想定した考え方であったものを大きく転換し、本人及び保護者の理解と同意の上で接種するというのが平成6年のときの法改正の趣旨であって、私自身は、努力義務という言葉は、接種を受けるほうがしっかり接種の選択ができるという意味でずっと使ってきました。しかし、努力義務は「義務」という言葉が入ることに対して強制性を連想され、拒否反応をおこされる方もおられるのだろうと思いますが、もともとはそういう趣旨であったということ。これは脇田先生もおっしゃられたとおりです。
それから、インフルエンザのワクチンを定期に入れるときに、副反応等の対応については1ランク下げるというところでもかなり議論されたわけでありまして、それらの様子と現状までの状況を総合的に判断すると、私は小児に対して接種勧奨をして、努力義務のもとで、しっかり行政が関わった形で接種をする。しかし、今、森内先生がおっしゃったように、その内容についてはしっかり周知するということは必要ですけれども、その方向でいいと思います。妊婦さんについてはエビデンスがそろうまでということでペンディングにしていたわけですから、今回はきちんと決断して、接種勧奨と努力義務ということで整理をするのがよいと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、白井先生、お願いします。
○白井委員 お願いします。白井です。
小児に対する有効性だったり必要性ということについて、森内先生がおっしゃったとおり、それには本当に説得力もありますし、そういうようなお話を国民の皆様に聞いていただきたいなと思っているのですけれども、努力義務という言葉について、先ほど釜萢先生もおっしゃいましたけれども、努力ではなくて努力義務になったという形が、今、義務がなくなったので、努力義務しかなくなったので、一般の人に見たら、やはり義務の努力をするのではないかというか、そういう意識になっていると思うのです。ですから、これはどういう意味か。もちろん厚労省のホームページで見たのですけれども、努力義務は義務ではありませんと書いていただいているのですが、何の意味が分からないと思うのです。
それと、接種するように努めなければいけないのは保護者とかということが書いてあるのか確認していないのですけれども、自治体とか国が努力するように努めないといけないと読み替えたら、それでいいのではないかなと思うのですが、そういう意味では、お子さんとか保護者に義務はありませんということをしっかり言っていただくことと、努力をするのは自治体というか体制の側ですという言い方をしたほうがいいのではないかなと思います。そのために予防接種の費用もきちんとします、それと、副反応報告だったり、保障もしますということを明記していただくことが、今の努力義務の法律的な意味ですよということを言っていただく必要があるかなと思います。
子供さんについても、同調圧力によってすごく悲しい思いをしたり、逆に精神的負担ということも最初から言われていると思いますので、そういうものを軽減するというか払拭するように、最初から努力義務の意味をきちんと伝えていただかないといけないと思いますし、あまり意識していない人は言わないのです。やはり意識しているだけがそういう意見を言っていただくということについては、私は身体についての警鐘だと思うのです。副反応はやはり怖いなと思っている方もいらっしゃると思いますし、今までの話の中で発生割合は低いですよと言ったけれども、起こった人にとっては100%であるので、そういったための保障もあるのですよということをきちんとお伝えすることが接種体制をする上での努力ではないかなと私は思っています。よろしくお願いします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
中野委員、お願いします。
○中野委員 ありがとうございます。
努力義務という言葉の解釈とか使い方が個人個人でも立場立場でも異なることがあって、そこがここで一番議論がある意味かみ合わないことになっていることかなと思っているのです。ただ、今日御説明いただいた事務局の資料の40ページとか、先ほどの分科会長並びに釜萢先生からのコメントでかなりクリアにしていただいたのではないかなと思っています。
私は予防接種法のカテゴリーの中で考えて、努力義務なし積極勧奨ありだと新臨時接種になると思うのです。蔓延防止のためで病気の重篤度は弱い。その位置づけになってしまうと思うのです。そのような位置づけでもしかりそめにも考えてしまうと、先ほど来阿真参考人からも森内参考人からも出ていた、このワクチンの要望が一番高いのは基礎疾患がある子供たちで、確かに基礎疾患のある子供たちは重症化することを考えると進めたい対象ではあるのですが、やはりもともと体が弱い子であり、副反応、因果関係はともかくとして接種後に体調不良が起こりやすい子供たちなので、その子たちに打ったときの救済が手薄になるというのは許せないことであって、そこは絶対に小児科医としては譲れないところであると私は考えています。
妊婦のことも考え合わせて思ってみると、妊婦から努力義務を除外したのは、この前も発言したかと思うのですが、推奨の度合いが少し軽いよというような印象を私としては受け取ってしまっていて、そうであれば、妊婦の努力義務というものも今回見直すこともできるのではないかと思いますし、この新型コロナが5歳から11歳にとって重い病気なのか軽い病気なのかは、今日もたくさん資料を出していただきましたが、まだこれから分かってくることがいっぱいあると思うのです。だから、ここは、ほかとの整合性も含めて、最終的に国のほうでどうお決めいただくのかということになるとは思うのですが、場合によってはそこの再度見直しも含めて、今後の方向性を国民の皆様に一番いい方法で選んでいけたらなと考えています。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
川俣委員、お願いします。
○川俣委員 昨日のレクチャーを受けた段階で、この努力義務に関して大分意見が出ました。皆さんのところにも届いていると思うのですけれども、全国のいろいろな方々から努力義務を抜いてくれという投書もいただいております。その中で、要するに、個人の努力義務というより、市町村とか自治体の努力義務ということにしていただけると、私たちが推奨することはあるけれども、皆さんは選べるよと。それが分かってもらえたほうがいいのかなと思っています。
最初に脇田先生がおっしゃったように、やはり自治体としては、ある程度休んだにしても認めるよということを企業とかにも言えることがありがたいことです。だけれども、このままただの努力義務ではなく自由参加になってしまうと、そういうことはこちらから言えないので、その辺のところの優遇性は必要かなと思っています。基礎疾患の子たちを優遇するのは私の中でもいいし、この議論をもうちょっとさせていただいて、時期をもってもいいのかなと思っています。先ほどからオミクロンのデータがないという話もありますから、時期を見て、様子を見るというのもありなのか。ただ、今回、私どものほうで、子供たちはかなり感染が広がって大変な思いをしています。今、ちょっと落ち着いてきましたけれども、小学生以下から広がってしまったのでちょっと大変なのですが、重症化はやはり聞いていません。そういうことを考えると、そこまで強制的にするという意味合いは取っていただいて、地域のほうの自治体が義務なのだという形に言葉で変えてくれると、皆さんも安心できるのかなと思っています。
妊婦のほうも、私も同じように、強制ではないけれども、義務に入れておいたほうがいいのかなという感じはいたします。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
順番に御意見を伺っていきます。
伊藤委員、お願いします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
脇田先生、釜萢先生も言われたことに賛成するのですが、努力義務がないということは、打つ必要がないというふうに捉えられているのではないかというイメージがあるので、もちろん国民に接種をする義務があるということではなくて、行政サイドの義務であると切り替えるということについては強く賛成するのと同時に、打つ必要がないという国民の方々に対するメッセージとして捉えられないためには、努力義務についてはそのままですというほうがいいのではないかという気がします。
また、そうすることによって打つことを決意された子供たちを保護者の方々が接種会場なり小児科医の先生方のところに連れていくことが容易にできるのではないかと思います。
これは意見です。以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
磯部委員、お願いします。
○磯部委員 磯部です。
努力義務というところで、何とも法的に分かりにくい用語を使っていることを申し訳なく思うのですけれども、それは法律上、対象者であれ、子供の場合には保護者などが予防接種を受けるよう努めなければならないと法律上書いてあるので、これを勝手に行政サイドの義務に読み替えるといったことはもちろんできないわけです。行政の側は別の条文の中で予防接種を勧奨するものとするとなっていて、しかるべき法的に位置づけ、もちろん副作用があったときには、健康被害を救済し、受けたいと思う方には受ける機会はこういうものがありますよということをきちんとお伝えして、アクセスが十分できるようにするということをするべき義務は既にあるわけです。
その上で、したがって、努力義務は法的義務ではないので、究極的には御本人あるいは保護者の自由だという意味であるといったことは釜萢先生などの御説明のとおりではあるのですけれども、既に今回新型コロナのワクチンについて、妊娠中の方については努力義務を適用除外するという扱いをしてしまったものだから、努力義務が及ぶものと、努力義務は適用除外され勧奨するだけなのと、その分かれ目には何なのかということがやはり問われるわけです。
妊婦さんについては、今日の資料のどこかにもあったと思いますけれども、ファイザーの臨床試験の対象から除外されていたとか、データ、エビデンスがないといったことが理由だったのだろうと理解します。それでは、今回小児についてはどうなのですか、十分努力義務とするだけのデータがあると言えるのかということが問われなければならず、お話を聞いている限り、もう少しデータが集まるのを待つのでもいいのかなという気がしたのですけれども、そこは本当は専門家の方に伺いたいという感じでいました。
私からは以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
頭の整理ができている感じではないのですけれども、努力義務をかけることにはためらいを感じます。蔓延防止の観点からは、蔓延防止に資するためにはかなり接種率を高めなければならず、そのような根拠があるかというと、そこはなかなか難しいところではないかと思っています。
一方で、今、ここでも多く出ましたとおり、努力義務をかけなかった場合のアナウンスメント効果には懸念を覚えるところです。努力義務という言葉に多くの人が誤解も含めて様々なイメージを持っていて、分科会が努力義務をつけなかったときにあたかもお勧めしないのだと取られることは、恐らくこの分科会の本意ではないのではないかと思います。
また、自治体の方からるるお話が出たように、努力義務をかけることによって環境を整えることができたり、保護者の方がワクチンを受けにいったりすることがよりしやすくなるという効果は大変大きな効果で、そういった部分については大事にしなければならないところだと思っています。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
努力義務という言葉自体の意味については、先ほど磯部委員から整理いただいたとおりなのかと理解します。少なくとも私の頭の中では、それは個々人に課される義務ではないと理解はいたしました。
ただ一方で、純粋に公衆衛生上の意義という観点から言えば、5~11歳に対する接種の推奨の強さを12歳以上に比べて温度差をつける必要があるのかどうかということについては、私は疑問を持っております。オミクロン株に対する二次感染を予防する効果、発症予防効果あるいは重症予防効果に関するエビデンスが限られているというのは、子供だけの話ではなく、成人、高齢者についても同様です。現状、成人、高齢者に対しても努力義務という状況になっているのであれば、小児についても同様であるのではないかと私は考えております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
中山委員、お願いします。
○中山委員 ありがとうございます。
私も先ほど磯部委員がおっしゃったのと同じで、前回のときに妊婦さんに対して努力義務を外した。そこで外したときの理由と、今回外すという選択肢もあると思うのです。それが、妊婦さんのときに外せたのだから、今回も外すことはできると思うのです。外さないのと、もう少しデータが集まってきて、今回の妊婦さんのように努力義務をまたかけましょうということもできるのではないかなと思って、現段階で5~11歳までにも努力義務を課すという判断に傾いた一番の要因を教えてほしいと思いました。
○脇田分科会長 沼尾委員、お願いします。
○沼尾委員 今、最後に中山委員がおっしゃってくださったことと同じことを私もお伺いできればと思ったのですけれども、そのことが一つです。今回、小児に対する努力義務を適用するというところについて、今のエビデンスでいけるのかというところについてどういう判断があるのかというところを確認できればということが一つです。
あと、先ほどからも意見が出ているのですけれども、やはり努力義務とは何かということについて誤解のないように伝えていくことが大切で、努力義務を適用した、あるいは適用しないというところでどういう判断があったのかというところを国民の皆様に分かりやすく伝えて、現場で誤解がないようにしていくというところがとても大切かなと思います。
あとは、努力義務の適用する、しないというところによって、つまり、財政措置に違いが出てくるというようなことがあるのか、ないのかというところも含めて、自治体の現場などは心配がないように対応していくというところも必要かなと思いました。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
今まで様々意見をいただきました。ありがとうございました。
その中でやはり大きかったのは、努力義務という言葉の意味です。これが様々な意味で捉えられているというところがありますので、これは接種の義務ではないということは明確にして、様々な情報を我々も、それから、国の自治体のほうからも提供していただいて、メリット、デメリットに基づいて個人個人が判断をしていただくということですから、接種の義務ではないということは明確にするべきであるということはごもっともだろうと思います。
それに加えて、努力義務は妊婦のときも外したので外せるのではないか。ただし、それはどういった理由で外せると考えるかというところです。こちらは事務局のほうで整理をしていただいた2掛ける2の表がありましたよね。50ページですね。まず1が蔓延の状況(公衆衛生的な見地)、2が安全性、有効性の情報に関するところ。これが十分ではないというところにおいては、もちろんそういう判断もあり得るということなので、その点が十分にあるかというところになるかもしれませんけれども、委員の何人かの先生方から、今回、妊婦のときとは違って、努力義務をかけるほうに傾いた理由についてというお話がありましたので、その点については事務局のほうでもしコメントがあればお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
以上でございます。
○九十九予防接種室長補佐 御質問ありがとうございます。
中山委員から、今回努力義務をかけることについてどういったところが判断基準かという御指摘をいただきましたが、今ほど脇田座長から御指摘いただきました50ページを御覧いただきたいのですけれども、まさに小児に関しましても薬事承認は通っているわけではございますが、そういった中で、このような公衆衛生の見地で、また、予防接種の安全性、有効性に関する情報を整理した中で、これに関してまださらに少し不十分であるとかといったところがあるので、努力義務を外すべきではないかとか、そういったことを中心に御議論いただければと思っていまして、事務局として整理したものでございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
委員の先生方から御意見をいただきましたけれども、事務局のほうからそのほかの点に関してのレスポンス等は何かありますか。よろしいですか。
○九十九予防接種室長補佐 先ほど申し上げたところと少し重なるのですけれども、努力義務をもし外すべきだという御意見、あるいはかけるべきというところを議論するに当たりまして、今後、事務局でも整理を続けていく中で、どのようなエビデンスあるいはどのような考え方がそれを判断するにまだ少し不十分であるとかといったことをぜひお示しいただいて、議論いただければと思ってございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 分かりました。
事務局からはそういったお話で、これは議論をもう少しするべきだということは私も思いますので、今日は結論は出せないと思いますから、さらに御意見をいただいていくということだと思います。
その上で、努力義務というのはこういうものだということをはっきりお示ししていくことは当然のことだろうというところ。それから、もし外すのであれば、例えばオミクロン株に対する情報がまだ十分ではないのでということになると、今、成人に対してまだ1回目の接種の勧奨を進めているところですよね。そういったところも努力義務を外すのかというような見地もあるというところも鈴木先生から御指摘をいただいたところだと思います。オミクロン株でこの流行が終わるのかということが必ずしも保障されている状況でもなく、接種によってオミクロン株に対する免疫反応が全く誘導されないということでもない。広く変異株に対する有効性も誘導されるということも様々な報告でされているような状況もあろうかと思います。
皆さんの御意見でまたこれは議論して結論を出すべきだと思っていますので、次回の審議会の議論に向けては、今の50ページの1の公衆衛生的な見地、2の有効性、安全性に関する情報、その他の情報に懸念があるというようなことがあれば、事務局のほうに具体的な意見を提出していただければと思いますので、よろしくお願いします。
妊婦のほうに関しては意見はかなり集約してきたのかなと思いますので、その点に関しても、さらに議論をしていきたいと思いますので、事務局はそういった意見も集約していただいて、次回提示していただければと考えています。
この点に関して、さらに委員の先生方から何か御意見はございますか。
今日のところは、この取りまとめというか、次回またさらに議論するという形でよろしいですか。
どうもありがとうございます。
それでは、「その他」のところで、新型コロナワクチン接種以外の議題で事務局から御説明をお願いいたします。
時間を超過して申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
○九十九予防接種室長補佐 脇田先生、すみません。先ほどのところでございます。今後の審議会に向けて、またこの努力義務について議論するに当たりまして事務局に意見をいただきたいのですが、これは今後早々にまた事務局としても整理する必要があると感じておりまして、大変恐縮なのですけれども、できれば今週中に委員の皆様から御意見をいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 分かりました。
そうしましたら、今日御欠席あるいは途中退席の委員の先生方がいますので、そちらにも周知していただいて、今週中に意見を周知していただけますか。
○九十九予防接種室長補佐 承知いたしました。事務局から御案内いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 よろしくお願いします。
それでは、説明のほうをお願いいたします。
○佐藤予防接種室長補佐 資料4に基づいて御説明を申し上げます。
「その他の論点について」というペーパーでございます。
風疹とHPVワクチンについての2点ございます。
3枚目でございますけれども、風疹に関する追加的な対策についてでございます。先月の基本方針部会と感染症部会合同開催の際に御議論いただいた内容となっておりまして、新型コロナウイルス感染症に伴う受診控え等により、当初の見込みより進んでいないということで、3年間延長するという方向性だということでございます。
これを踏まえて、4ページ目の改正イメージを御覧いただければと思いますけれども、政令改正案を御用意しております。こちらにつきましてお諮りいたします。今回の追加的対策の期限を3年間延長するということで、赤字のところを令和7年としております。実際の諮問資料につきましては、後ほどと重複いたしますが、資料5になります。
続きまして、HPVワクチンのキャッチアップ接種についてでございまして、こちらは6ページでございます。1枚にまとめておりますが、いわゆるキャッチアップ接種について、こちらは前回分科会で御議論いただいた内容でございまして、令和4年度から6年度までの3年間、積極的勧奨の差し控えによって定期接種の機会を逃した方に対するキャッチアップ接種を行っていただける内容の政令改正をお諮りしたいと思います。実際の諮問資料は同じく資料5になります。
こちらについてお諮りを申し上げます。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そうすると、風疹の追加的な接種に関する政令の改正案の諮問に対してお答えするということですので、こちらはお認めいただけますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 皆さん首肯していただいていると思いますので、事務局におかれましては、政令の公布のための事務手続を進めるようによろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
それでは、本日の議事は以上になりますが、そのほか、事務局から何かございますか。
○大塚予防接種室長補佐 本日は長時間にわたり、活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきたいと思っております。
以上でございます。
○脇田分科会長 それでは、少し延長しましたけれども、今日も活発な御議論をどうもありがとうございました。
これで終わりたいと思います。ありがとうございました。