第161回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和3年11月29日(月) 9:30~11:00
 

場所

 オンラインによる開催
 厚生労働省 仮設第1会議室
 

議事

議事内容
○伏木雇用保険課長補佐 皆様、おはようございます。
本日も、お集まりいただき、ありがとうございます。
開催に先立ちまして、事務局より開催について御案内を申し上げます。
本日も、こちらの厚生労働省の会場とオンラインでの開催となります。部会の進行中は、オンラインで参加されている皆様のマイクはオフとさせていただきますが、発言なさる際は、会場の方は挙手をしていただきまして、オンラインの方は、Zoomの「手を挙げる」機能で手を挙げていただければ、部会長から指名の上で御発言いただければと思います。会議進行中に通信トラブルで接続が途切れてしまった場合や音声が聞こえなくなった等、トラブルがございましたら、チャットないし御案内しております電話番号まで御連絡をお願いします。通信遮断が大きい場合には、部会を一次休憩とさせていただくこともございますので、あらかじめ御容赦くださいますようお願いいたします。
なお、傍聴につきましても、本日もコロナウイルス感染症蔓延防止の観点から、別会場にてオンラインで行わせていただいております。傍聴の皆様におかれましても、御理解いただきますよう重ねてお願い申し上げます。
進行に関する説明は以上となりますので、以降、部会長の進行でお願いいたします。
○守島部会長 皆様方、おはようございます。
お忙しい中、お集まりいただき、どうもありがとうございました。
ただいまより、第161回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
本日の出欠状況ですけれども、公益委員の水島委員が御欠席です。
公益代表の酒井委員と小畑委員は、所用により途中で退席される御予定であります。
それでは、議事に入りたいと思います。
なお、マスコミの方々は、頭撮りはここまでとさせていただければありがたいです。
(カメラ退室)
○守島部会長 それでは、議事に入ります。
本日の議題は、「雇用保険制度について」です。
まず、事務局から資料について御説明いただき、その後、委員の皆様で御議論いただきたいと思います。
事務局、御説明をお願いいたします。
○山口調査官 それでは、資料1-1と1-2について御説明を差し上げます。
資料1-1「これまでの主な議論の整理」は、これまでいただいた御意見をまとめたものになっております。
資料1-2を御覧ください。議論を踏まえた見直しの方向性について整理したものでございます。
まず、「1 基本手当及び令和3年度末までの暫定措置等」でございますが、令和3年度末に期限が到来する暫定措置については、コロナ禍からの経済の回復の途上にあることも踏まえる必要がある一方、あくまで厳しい雇用情勢下で設けられた暫定措置であることを踏まえ、一定期間暫定的に延長することについてどう考えるかとしております。暫定措置の具体的な内容は注に記載をしてございますが、雇い止めをされた労働者の方の所定給付日数を拡充する措置やリーマンショック時と比べて雇用情勢が悪い地域における個別延長給付といった内容になっております。次に、コロナ延長給付でございます。コロナの影響で離職を余儀なくされた方々について個別延長給付を60日間延長するものでございますが、こちらについては、コロナ禍からの経済の回復途上にあることや感染再拡大のリスクへの備えの観点から、当面は制度として存続させることとした上で、緊急事態措置が終了してから一定期間経過後に終期を設定することについてどう考えるかとしております。こちらは、現時点では終期の設定が行われておりません。この点につきまして、制度としては終期を設けるものではございませんけれども、各都道府県ごとに出される緊急事態措置が終了してから一定期間経過した後でありますとコロナの影響により離職したと言えないのではないかということで、終期を設定してはどうかと考えております。次に、基本手当の水準でございますけれども、基本手当受給者の再就職状況等の指標について大きな変化が見られないこと等を踏まえ、今回、見直しは行わないこととした上で、暫定措置に加え、自己都合離職者の給付制限期間の短縮やマルチジョブホルダーへの適用といった近年の制度改正も含め、制度全体を一体として効果検証を行うことについてどう考えるかとしております。
次に、「2 教育訓練給付」でございます。教育訓練給付については、今回、助成率等の制度の枠組みは維持しつつ、当面、以下の取組を進めることについてどう考えるかとしております。指定講座について、土日開催・オンライン開催といった受講しやすい環境整備を進める。制度周知を強化して利用を促進する。デジタル関係など、社会的要請があるにもかかわらず講座数が少ない分野について、産業界のニーズも踏まえ、指定講座の増加を図る。失業予防・早期再就職といった制度趣旨に沿って、効果の検証を行うとしております。次に、2ページを御覧ください。令和3年度末に期限が到来する教育訓練支援給付金については、コロナ禍からの経済の回復の途上にあることも踏まえる必要がある一方、指定講座や受講者に偏りが見られるなどの課題も踏まえ、一定期間暫定的に延長することについてどう考えるかとしております。その上で、本給付金は支給期間も長期にわたることに鑑み、費用対効果の観点も踏まえつつ、専門実践教育訓練の対象資格取得や雇用継続・再就職状況の面等から、効果検証を行うこととしてはどうかとしております。
「3 求職者支援制度」でございます。コロナ禍において講じている所得要件等の特例については、コロナ禍からの経済の回復の途上にあること等も踏まえ、新たに世帯収入要件の見直しや在職者等への利用の拡充を図ることとしてはどうか。その上で、この制度の受講者の裾野の拡大に取り組んでいる中であることを踏まえ、例えば、令和4年度末まで延長することについてどう考えるかとしております。職業訓練受講給付金は10万円の給付でございますが、水準等の制度の枠組みは維持しつつ、当面、以下の取組を進めることについてどう考えるか。制度の利用者が大幅に増加しない要因について不断に検証する、就職率や職場定着といった効果の検証を行うとしております。
4点目と5点目の論点につきましては、今後、方向性をお示ししていきたいと考えております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見、御質問があったらお受けしたいと思います。よろしくお願いいたします。
杉崎委員が手を挙げていらっしゃいますね。
○杉崎委員 ありがとうございます。
非常に幅広いテーマですが、一つ一つ意見を申し上げます。
まず、令和3年度末に期限が到来する暫定措置について、事務局が提示した見直しの方向性案では一定期間暫定的に延長する旨が示されていますが、雇用情勢が本格的に回復するには相応の時間を要すると思われることから、国庫負担を少なくとも本則に戻すことを大前提に、1年など短期間での暫定的な延長とすることが適当であると思います。また、仮に延長するにしても、期限を明確に定め、効果検証もしっかりと行うべきであり、利用者目線で制度継続の予見可能性を高めるために、暫定措置の継続や終了を判断する際の考え方もあらかじめ明確にしておく必要があると思います。
次に、コロナ特例延長給付につきましても、国庫負担を少なくとも本則に戻すことを大前提に、雇用情勢が本格的に回復するまでの間は適用することはやむを得ないと思います。ただし、財政への影響額が大きいことや現下の雇用保険財政を勘案いたしますと、1年など短期間での延長とすべきであり、加えて、法定されていない特例の期限を明確に定めることや効果検証を行うことが不可欠であると考えます。
次に、基本手当の水準につきましては、事務局案のとおり、見直しを行う必要はないと思います。なお、効果検証に関しましては、ワイズスペンディングの観点から、制度全体を一体として行うのではなく、個々の措置ごとに検証すべきであると考えます。
次に、教育訓練給付については、事務局案のとおりとすることが妥当であると思います。
教育訓練支援給付金につきましては、仮に暫定的に延長するならば、給付金受給者の受講内容の偏りを解消することや、資格取得や雇用定着への効果をデータやエビデンスに基づき検証することが不可欠です。また、教育訓練給付金を含め、財源は雇用保険のみならず一般会計によっても支援すべきです。
次に、「求職者支援制度」につきましては、利用者が大幅に増加していない要因や就職率が5割台にとどまっている要因を分析・検証するとともに、改善策を講じる必要があると思います。なお、事務局案に記載されている「世帯収入要件の見直し」につきましては、効果が分かるデータやエビデンスを提示していただいた上でその是非を議論すべきです。また、在職者等への利用の拡充にはつきまして、雇用吸収力のある産業への円滑な労働移動の促進や非正規労働者の正規化の促進が喫緊の課題であることや、厳しい雇用保険財政を考慮しますと、あくまで「正規への転換」を前提とすべきであり、「定着」への効果を検証する必要もあります。次に、「所得要件等の特例の令和4年度末までの延長」につきましては、財源の一般会計化や効果検証を大前提に、1年程度など短期間の延長はやむを得ないと考えます。なお、これらの事務局案にはつきまして、あくまで「実施ありき」ではなく、効果が分かるデータやエビデンスを基に、本部会においてその是非をしっかりと議論していく必要があると思います。
次に、雇用調整助成金等について、1月以降の特例措置の取扱いが公表されましたが、財源確保のめども立ち、妥当な措置であると思います。宿泊・飲食業など、コロナ禍でいまだに厳しい業況の企業から特例措置の延長を希望する声が非常に多い中で、業況、地域特例が現行の内容のまま3月末まで維持されることはありがたく、評価いたします。
最後に、財政運営についても申し上げます。雇用保険財政が厳しい状況の中、雇用調整助成金の特例措置等、コロナ禍の長期化に伴う一連の措置は二雇用保険二事業ではなく一般会計による国費で負担すべきこと、一般会計から資金を投入することで雇用調整助成金の支給が滞る事態は回避すべきこと、二雇用保険二事業を含めた雇用保険財政の安定化を早急に確保すべきことをかねてから主張してまいりました。そうした意味で、このたびの補正予算案に一般会計から2.2兆円の繰入が盛り込まれたことは妥当であると考えています。なお、来年度の雇用保険料率は「弾力条項」により引き上がることが考えられますが、長引くコロナ禍により厳しい業況の企業がいまだに多く、加えて、料率0.1%が約1900億円に相当するなど負担の規模が大きいこと、また、先日閣議決定された経済対策に「労使の負担感も考慮しつつ」との文言があることから、コロナ禍が終息し経済が回復するまで間は料率が引き上がることがないよう強く要望します。さらに、雇用保険料率の引上げは、将来にわたり、できる限り回避していただきたいと思います。国庫負担につきましては、経済対策に「国の責任の在り方を含め、雇用保険制度の安定的な財政運営の在り方を検討する」旨が記載されていますが、国会の附帯決議には「国庫負担は雇用政策に対する政府の責任を示すものであり、安定した財源を確保した上で暫定措置を廃止すること」が明記されていることから、国庫負担は少なくとも本則に戻すべきです。なお、失業等給付から雇用保険二事業に貸し出している資金は令和3年度末で2.6兆円に達すると見込まれていることから、今後の議論において、この資金の取扱いをどうするのかについても検討することが不可避であると思います。
最後に、先日、厚生労働省が来年度の保険料率を1000分の6程度に引き上げる方向で調整している旨の報道がありましたが、本部会において具体的な料率に関する議論をしていない中でこうした報道が出たことに違和感を持たざるを得ませんでした。この報道に対する見解につきまして、事務局からお答えをいただきたいと思います。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
御質問の点をお答えいたします。
○長良雇用保険課長 雇用保険課長でございます。
先週、保険料率あるいは国庫負担などの報道がなされたようでございますけれども、当然来年度予算編成の過程であり、かつ、保険料率や国庫負担は今後本部会において議論がなされるという状況でございまして、現時点で何ら方針は決まっておりません。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続いて、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます。労働側の佐藤でございます。
私からは、資料1-2の1の部分に関わる内容で、2点、申し上げたいと思います。
まず、1点目、基本手当に係る暫定措置についてでございます。2014年改正と2017年改正で暫定措置を延長した際の雇用保険部会報告を私も改めて確認してみましたけれども、雇用情勢の厳しさが改善された中で暫定措置を終了した場合の影響なども踏まえ延長する判断がなされたと認識しております。今回、暫定措置の延長を検討するに当たりまして、現下の雇用情勢や暫定措置を終了した場合の影響をどのように捉えていらっしゃるのか、もし厚労省から見解を伺えればお伺いしたいと思っております。
もう1点が、基本手当の水準についてでございます。この間、労働側が繰り返し申し上げてきておりますように、2000年と2003年の改正で2度にわたって給付の引下げが行われて現在に至っております。こうした経緯も踏まえた、基本手当の賃金日額、所定給付日数の在り方等については、雇用情勢や景気動向を踏まえて検討していくことが必要であるということが労働側のスタンスでありますので、繰り返しになりますが、申し上げておきたいと思います。
私からは、以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
○長良雇用保険課長 ただいまの御質問で、暫定措置の終了に関わる影響でございますが、資料でもお出ししておりますように、現在の動向といたしましては、総じてコロナ禍からの経済の回復の途上にあるというところを踏まえる必要があるのではないかという認識でございます。
個別の給付に関しては、それぞれどのような制度設計を行うか、今後、また御議論いただければと思いますが、事務局の認識といたしましては、今の方向感として、ただいま申し上げたような経済情勢を勘案する必要があるのではないかということで、今回の見直しの方向性をお示ししているということでございます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、菱沼委員、お願いいたします。
○菱沼委員 ありがとうございます。中央会の菱沼でございます。
事務局から資料1-2を御説明いただいたところでございます。資料を御用意いただき、ありがとうございます。
1、2、3ということで、その3点について御意見を申し上げたいなと思っております。
1の暫定措置につきましては、一定期間延長という案が示されているところでございますけれども、基本手当等の財源となる積立金残高につきましては、資料を見ていただければ分かりますけれども、安定資金残高の貸出があるとはいえ、急激に残高を減らしている状況でございます。先ほど杉崎委員からも国庫負担の本則復帰というお話がありましたけれども、まさにそのとおりかと思います。延長とはいえ、強弱をつけながら、財源を注視して事業運営していくべきではないかと考えます。
2の教育訓練給付につきましては、基本的にそのとおりかと思いますけれども、国が要請している、社会的要請というところがありますので、本来であれば労使負担だけではありますけれども、国の負担があってもいいのかなというところは引き続き思っております。
資料の2ページ、3点目の求職者支援制度につきまして、2つ目の○でございます。職業訓練受講給付金の水準の話が出ていると思うのですけれども、1つ目のポツに制度の利用者が大幅に増加しない要因を検証という形になっているのですけれども、まずは求職者支援制度を知ってもらって、自分が受講できるのだということを知ってもらうことで、まず、受講したい方を導いていくことが本筋ではないかと。それに基づいて教育訓練受講給付金が出てくると思っておりますので、その点を十分に考えるべきだと思いました。意見として申し上げます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、小林委員、お願いいたします。
○小林委員 ありがとうございます。
私からは、1点、意見を述べさせていただきたいと思います。
2の教育訓練給付の教育訓練支援給付金の部分についてです。暫定措置の取扱いの検討に当たっては、資格取得を通じて賃金の上昇が達成されることや安定して安心して働ける環境が得られることなどのステップアップの効果の程度も確認する必要があるとは考えているところですが、既存のデータのみではそのような効果検証を行うことが難しいのではないかと。この前の第158回の部会でいただいた資料の中の教育訓練支援給付金の受給者の受給後の状況というデータがあったと思います。そちらのデータからそういう効果検証を行うのはなかなか難しいのではないかと考えているところでございますので、受講者を追跡して調査するなど、情報収集をすることが今後はまた必要ではないかと思っておるところですので、こちらを今後検討していただきたいと思っているところです。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、千葉委員、お願いいたします。
○千葉委員 ありがとうございます。
私からは、求職者支援制度について意見を申し上げたいと思います。
今回の資料の中で「新たに世帯収入要件の見直しや在職者等への利用の拡充を図ることとしてはどうか」という記載になってございますが、新たな特例を検討する際には、現行の要件が本制度の目的達成のボトルネックになっていることの根拠や現行の要件が設定されていることの意味合いが示されるべきであることは、以前の部会の中でも申し上げた次第でございます。また、併せまして効果検証の具体的な方法や特例の継続判断を行う時期においても事前に示されるべきではないかと考えてございます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、三島委員、お願いいたします。
○三島委員 ありがとうございます。
私からは、財政運営について、補正予算が成立するまでの雇用調整助成金の支給についてであります。使用者側からも同じような見解とかが出ておりましたけれども、11月19日までの今年度の雇用調整助成金は、緊急雇用安定助成金の額を除いても約1.6兆円に上り、今年度予算額と前年度繰越金の合計額を大きく上回っております。雇用調整助成金の支給が滞るようなことがあっても決してなりません。このことから、補正予算が成立するまでの間の収支の見通しについてお伺いしたいので、よろしくお願いいたします。
○長良雇用保険課長 雇調金の現時点での執行の状況は、資料でこれまで御提示させていただいているとおりでございます。今般、補正予算案でございますけれども、雇用勘定に一般会計からの繰入を行うことによりまして、当面の雇調金の財源は確保される見込みが立ったという認識ではございますけれども、それまでの間で申し上げると、ある意味、資金繰りのような面もございますけれども、現在、雇用勘定の中でやりくりを続けているところでございまして、補正予算成立におきましてやっと財源が確保されて、その分、しかるべく措置を行うということでございます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
続いて、酒井委員、お願いいたします。
○酒井委員 私からは、この御提示いただいた方向性に関する是非というわけではないのですけれども、求職者支援制度に関して、若干瑣末な質問になるのですけれども、させていただきたいと思います。
これまで求職者支援制度は公共職業訓練とは別建てで議論してきたかと思いますけれども、実態としては、雇用保険被保険者も求職者支援訓練を受講できるということで、相互乗り入れみたいな形になっていると認識しております。この相互乗り入れは、資源を有効に利用するという観点からは非常にいいことだと考えていますけれども、私から確認しておきたいのは、雇用保険被保険者の方が求職者支援訓練を受ける場合の基本手当等の給付金の受給はどういうふうになっているのかを伺いたく思います。すなわち、公共職業訓練を受講する場合と同様に基本手当が同じようになっているのかという点について、今回でなくてもいいのですけれども、確認させていただけたらと思います。これまでの縦割りの議論の中で抜け落ちていたことかと思うので、質問させていただく次第です。
○守島部会長 ありがとうございました。
○長良雇用保険課長 雇用保険の関係でございますので、私から御回答いたします。
基本手当受給者が求職者支援訓練を受ける場合の取扱いでございますが、まず、求職者支援訓練を受ける場合であっても、失業状態であるとの認定を行うことは可能な扱いとなっているところでございます。一方で、雇用保険受給者が公共職業訓練を受ける場合は、法律上、ハローワーク所長の受講指示という仕組みがございまして、この受講指示を行った場合には、例えば、訓練期間中、基本手当の給付日数が延長される、あるいは、訓練を受けている日における技能習得手当の支給の対象となるという法律上の枠組みでございますが、現在、求職者支援訓練を雇用保険受給者が受講する場合には、そのような取扱いにはなっていないというところでございます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見等はございますでしょうか。
よろしくお願いします。
○平田充委員 ありがとうございます。
念のため、確認ですが、資料2は後ほど御説明いただけるということですね。
○守島部会長 そうです。この後の議題です。
○平田充委員 分かりました。それではまず、資料1について、意見を申し上げます。御説明ありがとうございました。
資料1-2、見直しの方向性についてでございますこれは資料1-1にあるこれまでの主な議論の整理を踏まえたものと理解しております。やむを得ないのかもしれませんが、1-2の見直しの方向性には、制度の安定的な運営という観点からは肝となるであろう雇調金の問題や財政についての記述がなく、主に給付面での暫定措置等についてしかの言及しかありません。資料1-1の上から5つ目の○に記載がありますけれども、暫定措置等についても財源確保策とセットで議論すべきであると考えております。今の時点でこれ以上のコメントは控えたいと思います。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見や御質問等はございますでしょうか。
よろしいですか。
それでは、資料1についてはこれで終わりにさせていただきまして、続きまして、資料2に入りたいと思います。
資料2の御説明を事務局からいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○山口調査官 それでは、資料2について御説明を差し上げます。
まず、1ページ目でございますが、先般、11月19日に閣議決定されました経済対策の抜粋でございます。本文を御覧いただきますと、雇調金の特例措置等は、特に業況が厳しい企業等に配慮しつつ、令和4年3月まで延長と。具体的には、業況特例、地域特例について、3月末まで日額上限・助成率の特例を継続、その他については、3月末まで現行の助成率の特例を継続しつつ、日額上限は段階的に見直すとしております。同時に、成長分野等へ労働者が円滑に移動できる環境整備を図るために、在籍型出向を助成金でしっかりと支援するほか、職業訓練と再就職支援を組み合わせて、労働者のスキルアップや労働移動を図る事業の強化を行うとしております。また、当面の雇調金等の財源確保及び雇用保険財政の安定を図るため、臨時特例法に基づき、一般会計から雇用勘定に任意繰入を行う。これを含め、雇調金等の支給や雇用保険財政の安定のため多額の国庫負担を行っていることも踏まえ、労使の負担感も考慮しつつ、保険料率や雇用情勢及び雇用保険の財政運営状況に応じた国の責任の在り方を含め、令和4年度以降の雇用保険制度の安定的な財政運営の在り方を検討し、次期通常国会に法案を提出するとしてございます。こちらを踏まえまして、令和3年度補正予算案に、一般会計から雇用勘定への約2.2兆円の繰入を計上しているところでございます。
2ページを御覧ください。この2.2兆円の内訳について示した資料になっております。一般会計から雇用勘定へお金を入れるルートが2つございます。1つは、一般会計から失業当給付の事業に1.7兆円を入れたこと、「雇用安定資金」という記載がございますけれども、雇用保険二事業に雇調金の日額上限超え部分の中小企業部分に相当するものとして0.4兆円を繰り入れる案となっております。四捨五入の関係から、こちらは両方を足し上げて2.2兆円になるということでございます。
3ページを御覧ください。失業等給付関係収支状況でございます。今回の補正等による前提といたしまして、令和3年度の年度末時点の見込額を概数で示しております。「収支イメージ」という欄でございます。まず、「収入」の欄を御覧いただきますと、保険料収入は今回の補正では特段は変わっておりません。0.4兆円となっております。失業当給付に係る国庫負担金が1.7兆円を繰り入れたということで、当初予算で270億でございましたので、合計して1.8兆円と記載がございます。また、「支出」の欄でございますけれども、失業当給付費1.4兆円で、足元の実績に応じて見込額を置いております。令和2年度とそれほど変わらない支出の規模になっております。結果といたしまして、差引剰余が0.6兆円になっております。また、雇調金の所要額を置き直した関係から、雇用安定事業費への貸出額が増加しておりまして、1.2兆円の貸出となっております。こちらを踏まえまして、令和2年度末の積立金残高が1.9兆円、これに対して令和3年度収支イメージで差引剰余+0.6兆円で雇用保険二事業への貸出で-1.2兆円、差し引きをいたしますと令和3年度末時点での積立金残高は1.3兆円、また、雇用安定事業費への貸出累計額が2.6兆円になっております。
4ページを御覧ください。雇用保険二事業関係収支状況でございます。同じく、令和3年度末時点の見込額を概数でお示ししております。まず、「支出」の欄を御覧いただければと思いますけれども、現在、雇用調整助成金は毎月2000億強の支出が続いておる状況でございますので、それが12か月継続すると見込みまして、雇調金の事業規模を2.6兆円と置いてございます。これに休業支援金や産業雇用安定助成金を加えまして、「うち雇用調整助成金等」という欄が2.7兆円になっております。それ以外の事業が0.7兆円でございますので、支出の規模は全体で3.4兆円となっております。これに対して、「収入」の欄を御覧いただければと思いますけれども、保険料収入は補正の前後で変わっておりません。0.6兆円でございます。「うち一般会計より受入」の欄でございますが、今回、0.4兆円が新たに入りましたので、予算現額と足し合わせまして0.8兆円となっております。支出に対して収入が足りない部分の残りは積立金よりの受入となりますので、借入額が1.2兆円となっております。以上を踏まえまして、差引剰余が0円、安定資金残高も0円、積立金からの借入累計額が2.6兆円となっております。
5ページを御覧ください。前回の部会にもお出しした資料でございますが、右下の欄に今回の1.7兆円の補正による任意繰入を追記してございます。その結果といたしまして、令和3年度の積立金残高が約1.3兆円となっております。
6ページを御覧ください。こちらも今回の補正の結果といたしまして、令和2年度、令和3年度から吹き出しが出ておりますが、積立金からの借入累計見込額が2.6兆円程度となっております。
7ページと8ページは、前回部会にお出しした資料でありますので、説明を割愛させていただきます。
9ページを御覧ください。論点として、2つ、まとめてございます。令和3年度補正予算案における一般会計の繰入や経済対策の内容も踏まえ、令和4年度以降の保険料率や国庫負担等の雇用保険財政の在り方について、どう考えるか、また、臨時特例法で講じられた一般会計からの任意繰入の特例措置について、従来の国庫負担の考え方に照らしてどのように評価するかとしております。
私からは、以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見がありましたらお伺いしたいと思います。
菱沼委員が手を挙げていらっしゃいますかね。菱沼さん、よろしくお願いします。
○菱沼委員 ありがとうございます。
今事務局に御説明いただいた点で、何点か意見を申し上げたいと思っております。
いただいた財政運営の資料の1ページの経済対策やポンチ絵のような形になっています繰入額の内容で、令和3年度の補正予算案において、一般会計から約2.2兆円の繰入を行って、令和3年度の財源は応急措置で何とか確保できる形になっていると理解しております。先ほどの長良課長の御発言からも、そのとおりかなと思っているところでございます。
別の話で、雇用保険二事業につきましては、この2ページの図などを見ていただきますと、失業給付の積立金で受け入れて借り入れる形となっているところでございます。中央会としては、積立金から借り入れるのではなくて、これまで借りていた積立金からの借入金を含めて直接繰入をして、財政の立て直しを含めた対応を要望したところであるので、本来であればまず、財政の立て直しも考えなければいけないのかなと思っています。厳しい状況なのかなと思っています。
リーマンショックの際に安定資金残高の底から戻るのに5年近くかかっていると、参考資料であったかと思っております。資料の6ページにもありますとおり、過去の部会で私から発言しているところでございますが、今回、借入累計が2.6兆円に膨れ上がったという形になっておりますので、借りた以上は返済を考えないといけないのではないかと考えております。失業等給付に係る分については、国庫負担、本則に戻るべきでありますように、先ほど言い忘れていましたけれども、求職者支援制度についても本則復帰が必要かと考えておるところを意見として申し上げます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、杉崎委員、お願いいたします。
○杉崎委員 ありがとうございます。
財政運営に対する意見は、先ほど縷々申し上げたとおりです。
先ほどの意見に加えて、論点2に示されております、特例法で講じられた一般会計からの任意繰入の特例措置にはつきまして、来年度以降も継続していく必要があると思います。
加えて、1点だけ、財政運営に関連して、激甚災害の指定を受けた災害や大規模な感染症の際には雇用調整助成金の財源を全額一般会計で負担する制度を創設するなど、保険料財源では対応が困難な有事の場合における国の責任の範囲、すなわち、一般会計からの資金投入の考え方についても検討しておく必要があると思います。ただし、そうした措置を仮に講じるにしても、国庫負担については少なくとも本則に戻すことが不可欠であると考えています。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに、御意見、御質問等はございますでしょうか。
平田充委員、お願いいたします。
○平田充委員 ありがとうございます。経団連、平田充です。
意見を1つと、懸念を申し上げておきたいと思います。
まずもって、今回の補正で財源を確保いただいたことには感謝おります申し上げ。財政の安定に向けてこの財源を適切に活用することが重要おりますが、資料2の収支イメージでは、追加的に1.2兆円を雇用安定事業に貸し出すことになっています。つまるところ、事業主負担とされていると理解しております。今回確保したいただい財源につきましては、休業要請という国の政策の結果、雇調金が多く利用されたということを踏まえて、適切な費用分担を考えることが必要になるのではないかと考えております。
次に、二つの懸念を申し上げておきたいと思います。
まず、1つ目でございます。コロナ特例による支出については、特例開始当初の関係者の予測をはるかに上回っています。借入額は、先ほど御説明もありましたが、今年度中に3兆円近くまで膨れ上がる可能性が高く、当初全く想定していなかった状況と理解しております。こういった想定を大きく上回ることとなった支出や借入について、その全てを当初の特例法の枠組みで処理していくことに対しては、大きな疑問と強い懸念があります。雇調金の本来の役割や範疇を大きく超えるような長期間の特例運用の結果、雇調金本来の運用をしていれば既に失業給付に移行していたような部分までカバーをし、失業給付に係る労使・国庫の負担を実質的に軽減したという見方も可能ではないかと思っております。
もう1点の懸念です。特例法の枠組みによって、長期にわたる特例の運用が生じた結果、多額の借入金の将来にわたる影響について思いますで。恐らく想定される返済期間は極めて長期間となり、場合によっては数十年にわたることも考えられると思っております。長期間にわたって制度として債務を引きずっていくことの弊害は計り知れないと考えております。多額の債務の存在によって、負担と給付の両面における今後の議論の幅や可能性を大きく制約するのではないかということを強く懸念しております。
以上、申し上げた借入金の問題につきましては、今後の労使の保険料負担や国庫負担の在り方とも大きく関係すると考えておりますい。したがって、本部会においてこの問題を重要な課題として位置づけ、今後、議論・整理をしていくことが必要なのではないかと思っております。
今申し上げた二つの懸念については、財政当局にも御認識いただきたいと思っておりますので、事務局におかれましては、お取り計らいをお願いします。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続いて、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
まず、論点1でございますけれども、従来から申し上げておりますとおり、国庫負担が入っている意義でございます。これは雇用政策に対する国の責任を示すものだと考えておりますので、そういったことからすれば、時々の財政状況によってその責任が変化するものではないと考えているところでございます。したがって、補正予算が今回は措置されることになりますけれども、それにかかわらず、国庫負担割合については本則に戻すべきと考えているところでございます。
また、55%水準まで引き上げることにつきましては、過去の附帯決議においても「時限的な引下げ措置が継続されることは遺憾であり、2021年度までの2年間に厳に限ること」とされていることを踏まえれば、議論の余地はないと考えているところでございます。
雇用保険料率につきましても、労働者の賃金や一時金の影響を考えれば、弾力条項の適用による1000分の4の引下げがなくなることによる料率の上昇と1000分の2の時限的引下げが期限を迎えることによる料率上昇の両方を受け入れられる状況にはないことには変わりないと考えております。現行の1000分の2の引下げを最低限として時限的引下げを継続すべきだと考えているところでございます。
前回も申し上げましたけれども、先ほど杉崎委員からもございましたけれども、今回、保険料率に関する報道がございましたが、こういった審議会で議論する前に方向性を恣意的に誘導するような報道があることについては、違和感を覚えているところでございます。
また、論点2につきましても、先ほど申し上げたとおりでございまして、国庫負担については雇用政策に対する国の責任を示すものと考えれば、緊急時における一般会計からの任意繰入とは切り離して議論されるべきだと考えているところでございます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに、御意見、御質問等はございますでしょうか。
ほかにいらっしゃらないようなので、これで資料2については終わりにさせていただければと思います。
ほかに何か、御質問や御意見等、全体的にございますでしょうか。
ないようです。
予定されている議題は以上ですので、本日の部会はこれで閉めさせていただければと思います。
皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、どうもありがとうございました。