第155回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和3年9月24日(金) 13:00~14:30
 

場所

 オンラインによる開催
 厚生労働省 9階 省議室
 

議事

議事内容
○伏木雇用保険課長補佐 皆様、本日も御出席いただきまして、ありがとうございます。
開催に先立ちまして、オンラインでの部会開催の御案内をいたします。
本日も、新型コロナウイルス感染症まん延防止の観点から、部会長以外の委員の皆様にはZoomを利用して御出席いただいております。部会進行中、委員の皆様のマイクはオフとさせていただいておりますが、事前に送付しておりますZoomの参加方法に従いまして、発言の際には挙手をしていただき、部会長の許可があった後にマイクをオンにして御発言いただくようにお願いいたします。
また、会議進行中に通信トラブルで接続が途切れてしまった、ないしは音声が聞こえなくなったなど、トラブルがございましたら、チャットないしは御案内しております電話番号まで御連絡ください。
また、通信遮断が大きい場合には部会を一時休憩とすることもあり得ますので、御容赦いただきますようお願いいたします。
また、傍聴につきましても、本日もまん延防止の観点からオンラインで行わせていただいております。傍聴の皆様におかれましても併せて御理解いただくようお願いいたします。
オンライン開催に関する説明は以上となります。
それでは、部会長、よろしくお願いいたします。
○守島部会長 皆さん方、こんにちは。お忙しい中、お集まりいただき、どうもありがとうございます。
ただいまより第155回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
本日の出欠ですけれども、公益代表の酒井委員が御欠席でございます。
まず、開催に当たって、事務局からの御説明がありますので、よろしくお願いいたします。
○長良雇用保険課長 雇用保険課長の長良でございます。本日は、よろしくお願いします。
事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。
まず、職業安定担当審議官に富田望。
○富田審議官 富田です。どうぞよろしくお願いします。
○長良雇用保険課長 雇用開発企画課長に中村かおり。
○中村雇用開発企画課長 中村でございます。よろしくお願いいたします。
○長良雇用保険課長 以上が就任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
○守島部会長 マスコミの方々の頭撮りはここまでということで、お願いいたしたいと思います。
それでは、議事に入ります。本日の議題は「雇用保険制度について」及び「その他」でございます。
それでは、事務局から、既にお渡ししてある資料について御説明をいただき、その後、委員の皆様に御自由に御議論いただきたいと思います。では、よろしくお願いします。
○山口調査官 では、資料1につきまして事務局より御説明をさしあげます。
「基本手当の現状について」と記載された資料でございます。
まず、5ページを御覧ください。こちらは、離職者の類型別に基本手当の概要を整理した資料になっております。
一番左側に類型とございますけれども、特定受給資格者は、いわゆる倒産・解雇等によって会社都合で離職を余儀なくされた方々についての基本手当でございますが、受給に必要な被保険者期間は、離職前1年以内に6か月。それから、所定給付日数は最も手厚くなっておりまして、給付制限期間もないという仕組みになっております。
特定理由離職者につきましては2種類に分かれておりまして、有期契約労働者の方が更新を希望したにもかかわらず更新されなかったことによって離職した場合と、正当理由がある離職ということに分かれております。いずれも受給に必要な被保険者期間につきましては1年以内に6か月となっておりまして、給付制限期間もございません。有期契約の雇止めの場合についてのみ、所定給付日数が手厚い仕組みになっておりまして、こちらは今年度末までの暫定措置になっております。
それ以外の一般の受給資格者につきましては、受給に必要な被保険者期間は2年以内に12か月、給付制限期間は2か月となっております。
一番下の※2でございますけれども、令和2年5月1日から当面の間の暫定措置といたしまして、コロナの感染予防の観点からやむを得ず離職した場合には、特定受給資格者として扱っているところでございます。こちらは法律ではなく、省令に規定されている事項でございます。
6ページを御覧ください。基本手当に係る主な制度の変遷について記載してございます。
日額、日数、給付率の3つの要素に分けて整理しておりますけれども、まず、法定賃金日額につきましては、平成23年に改正におきまして引上げを行っております。賃金構造基本調査の決まって支給される給与の分布に従って、上限と下限を設定しております。上限は上位12.5%のところに線を引いておりまして、下限につきましては下位5%に合わせております。
また、平成29年改正におきまして、※1のところにございますけれども、最低賃金額と逆転を起こさないように比較する仕組みというのを導入してございます。
所定給付日数につきましては、平成21年の改正におきまして、特定理由離職者も特定受給資格者と同じ給付日数にしております。
下の注のところに記載がございますが、この特定理由離職者の給付日数の延長措置につきましては、21年改正で導入されまして、その後、更新を累次重ねてきているところでございます。
7ページに特定受給資格者の基準を記載してございます。いわゆる会社都合による離職と言われているものでございますけれども、解雇の中には、契約トラブルで離職した場合ですとか、パワハラ、マタハラによって離職した場合ということも含まれております。
8ページでございます。特定理由離職者の概要ということで、類型が大きく2つに分かれております。
1つ目が、有期契約労働者の方が更新を希望されたにもかかわらず、更新されずに離職したというケースでございまして、会社都合の場合と同様に基本手当が手厚く支給されるという暫定措置が設けられております。
2つ目が、正当理由のある自己都合離職ということでございまして、体力が減退したために仕事が続けられなくなったとか、通勤を継続することが不可能になったということによって離職した場合でございます。
次に、9ページでございます。基本手当の受給資格決定件数の推移のデータになっております。令和2年度でございますけれども、151万件、受給資格決定件数となっておりまして、前年度に比べて12.4%増加しております。こちらは、コロナの影響で離職が増えたということの反映になっておりますが、10ページをさらに御覧いただきますと、この決定件数を特定受給資格者とそれ以外で分解した数字を記載してございます。令和2年度の特定受給資格者につきましては45万6751件、前年度と比べますと、件数的に悪化しているという状況でございます。
特定受給資格者以外の方につきましては、自己都合の離職になりますけれども、件数としては少し減っております。これは、コロナの影響で、転職時期を選んで能動的転職を控える動きが現れているのではないかと見ております。
次に、11ページでございます。基本手当の受給者実人員の推移のデータでございます。令和2年度は47万5700件ということで、前年度と比較して約2割増となっております。
12ページに、この受給者実人員数を、特定受給者とそれ以外に分解したデータを記載してございます。令和2年度ですけれども、特定受給資格者が17万9374件となっておりまして、前年度から比較して6割増ということで、コロナの影響が見てとれるところでございます。
他方で、特受以外の方々ですけれども、前年度から比べて7.2%増ということで、少し伸びている。ただ、特受に比べれば、そこまで伸びていないという状況でございます。
次に、13ページに主要指標の推移ということで記載がございますが、令和2年度の初回受給者数が130万人となっております。
平均受給日数につきましては、前年度から少しだけ増えているということで110日。
平均受給日額はほとんど横ばいでございます。
総支給額につきましては7372億円ということで、前年度から1600億円増えているところでございます。
14ページ、御覧ください。平均給付日数につきまして、特定受給資格者とそれ以外で分解したデータでございます。
全体としては、令和2年度、110日となっておりますけれども、特定受給資格者のほうは雇用情勢の影響を多少受けておりまして、経年的に御覧いただきますと140日から徐々に減っていたのですけれども、足元、昨年度と比べて微増しているという状況でございます。
他方、特定受給者以外の方につきましては、ほとんど変わっておりませんで、90日前後で推移しているところでございます。
次に、15ページを御覧ください。特定受給資格者の方の基本手当の受給状況のデータでございます。年齢と被保険者期間の区分に応じまして、テーブルごとに所定給付日数というのが決まっております。こちらの日数を100とした場合に、どの程度受給日数があるかということの平均値を出したものでございます。
下の表を御覧いただきますと、5割から8割程度の受給率となっているという状況でございます。こちらが令和2年度の数字ですけれども、16ページにコロナの影響が出る前の景気がよかった頃の平成30年度の数字を記載してございます。
両者を比較したものが17ページにございます。全体的に見ますと、受給率というのはそんなに変化していないのですけれども、35歳以上45歳未満の、被保険者期間が1年以上5年未満のところが5.7%増加。それから、45歳以上60歳未満で1年以上5年未満のところが5.9%増加しているところでございます。こちらは、中高年の加入期間がそれほど長くない、恐らくパートで働かれている方々の受給率がわずかに増えているということが見てとれます。
他方、10年以上の加入期間の方々、恐らく正社員の方が多いと考えられますが、こちらには余り変化が見られないところでございます。
次に、18ページでございます。特定受給者以外の方の基本手当の受給の状況でございます。同じように年齢と被保険者期間に応じてテーブルを分けて、その受給率ということを見ていきますと、所定給付日数の8割から9割を受給しているということでございます。
同じく、令和2年度と平成30年度を比較した資料が20ページでございます。こちらを御覧いただきますと、受給率に大幅な増減は生じていないということで、自己都合離職者の方々の行動の変容は見てとれないという結果になっております。
次に、21ページでございます。基本手当受給者の方々の再就職の状況というのを、基本手当を支給終了してから1年以内までトレースして整理した資料になっております。
一番右側に完全失業率のデータがございますけれども、一般的に景気が悪化すると基本手当受給期間内の就職率が下がり、景気がよくなるとそこが上がるといった傾向にございます。直近の数字が令和元年度となっておりますけれども、令和2年度の方々はまだ基本手当受給中であったり、受給が終わってから1年たっていないという方がいらっしゃいますので、比較可能なデータが存在していないため、記載がございます。
こちらのデータを特定受給資格者とそれ以外に分けた資料が22ページと23ページになっております。いずれも大きなトレンドというのは変わっておりませんで、基本手当の支給までに就職した方々の割合ですけれども、特定受給資格者で令和2年度、令和元年度、66.8%、特定受給資格者以外の方につきましては63.8%となっております。
23ページを御覧いただきますと、特定受給資格者以外の方の再就職の状況でございますが、待機期間7日間、それから給付制限期間は、この時代ですと3か月。それから、受給は大体90日の方が多いですけれども、その間に63.8%就職しており、支給終了してから1か月以内に12.5%が就職しているといった状況になっております。
次に、暫定措置について御説明いたします。25ページ。前に出てきた資料と同じでございますが、特定理由離職者の概要の資料になっておりまして、これのマル1、雇止めの方々について暫定措置が設けられているところでございます。
26ページでございますが、この暫定措置の受給者数の推移のグラフを記載してございます。暫定措置は平成21年度に創設されておりますが、そのときが14.1万人と最も多く、景気の改善に伴って、だんだん人数が減ってきていたところでございます。令和元年度から2年度にかけまして、コロナの影響で非正規の離職の方が非常に増えたということの影響で、暫定措置の対象者が増えております。
なお、参考で青い色で非正規雇用労働者数のデータを記載してございますが、元年から2年にかけて非正規が非常に減っております。その結果と呼応するように、特定理由離職者の暫定措置の対象者が増えているということでございます。
それから、27ページでございますが、この暫定措置を受けておられる方々の就職率のデータでございます。70%から75%前後でずっと推移してきておりまして、元年度、2年度と若干減っておりますが、これは基本手当が終了してから、まだ1年以内に就職という結果が出ていない方々の影響の部分がございますのと、あとは、コロナで雇用情勢が若干悪化している部分が反映されているのではないかと見ております。
28ページでございます。暫定措置の対象となっている方々の再就職の状況でございますけれども、先ほど特定受給資格者全体の方々の基本手当受給中の就職率が66%というデータを御覧いただきましたが、それよりも10ポイント程度低いといったデータになっております。こちらは、特理の暫定措置の対象となる方々というのが、非正規で雇止めをされた方々ということで、少し就職状況が悪くなっているのではないかと考えております。
29ページでございます。特定理由離職者の方の暫定措置が前回延長されました。平成29年雇用保険法改正の際の附帯決議を記載してございます。この際は暫定措置が5年延長されましたけれども、附帯決議といたしまして、特定理由離職者に係る所定給付日数を拡充する暫定措置については、恒久化も含めて今後の在り方を検討し、必要な措置を講ずることとされています。
次に、地域延長給付の概要でございます。30ページを御覧ください。こちらもリーマンショックの際に創設されました個別延長給付の一種でございます。雇用機会が不足していると認められる地域にお住まいの方々で、ハローワークの所長が必要だと認めた方について、基本手当の日数が60日間延長されるという措置になっております。こちらにつきまして、令和4年3月31日までの暫定措置ということで、何もしないと、この給付がなくなってしまうということになっております。
31ページに指定基準等の変遷の記載がございます。制度を創設した際には、一番左側ですけれども、地域の指定の考え方ですが、労働局単位で地域指定を行っておりました。また、全国平均の有効求職者割合ですとか、基本手当の受給率といったことと比較して、それを下回っているかどうかということで地域の指定をしておりました。
平成24年度につきましては、地域区分を安定所単位といたしまして、よりきめ細かく地域指定をするようにいたしまして、さらに26年度からは、全国平均と比較する際に、リーマンショックのときの雇用の水準と比較するというふうに基準変更いたしました。
さらに、平成29年度でございますが、いわゆるベッドタウン要件と言われるものを入れておりまして、ベッドタウンでは一般的に住んでいるところで就職するのではなくて、例えば県庁所在地とか、ハローワークの管内が少し違うところで働く傾向がございますので、そうした場合まで地域指定されないように要件を設けたところでございます。
その結果といたしまして、32ページでございますが、地域指定の推移のデータを入れてございます。平成21年度、制度創設当初は35労働局で指定がございましたけれども、指定基準を厳しくするに従って、徐々に指定が減ってまいりまして、令和元年度には1労働局・1安定所というところまで来ておりました。ただ、足元、ちょっと増加しておりまして、令和3年度で5労働局・7安定所の指定となっております。こちらは、ハローワークの管内で一時的に離職者が増えまして、さらに基本手当受給者が非常に滞留して、なかなか再就職できないというケースが生じますと、スポット的に影響が生じて指定される箇所数が増えているということでございます。
33ページに地域延長給付の支給状況のデータを記載してございます。令和2年度の実績でございますけれども、初回受給者数が23名、支給額が417万と、極めて少ない実績となっております。
次に、コロナに対応した特例につきまして御説明いたします。36ページを御覧ください。コロナの影響で離職された方々の給付日数を60日間延長するという仕組みが、昨年6月に成立いたしました臨時特例法に基づいて設けられているところでございます。こちらの個別延長給付の対象になる方々ですけれども、緊急事態宣言期間中に離職したかどうかということによって、対象者が区分されているところでございます。
宣言が発令する以前に離職された方々につきましては、宣言が出るということを予見しないうちに離職してしまっておりますので、離職理由を問わず、全ての方々をこの個別延長給付の対象にしております。
他方、宣言期間中に離職されたというケースにつきましては、再就職活動がしにくくなるということを分かっていて辞めておられますので、自己都合退職の方は対象にしないということにしております。
さらに、宣言が解除された後に離職したというケースにつきましては、一定程度、経済的な影響は残っておりますけれども、直接的に行動制限といったことが存在するわけではございませんので、離職を余儀なくされた特定受給資格者、それから雇止めの方に限って、個別延長給付の対象としているところでございます。
なお、37ページに御参考でつけておりますが、個別延長給付の概要という資料がございます。こちらは臨時特例法ではなくて、雇用保険法本体の中で恒久的な措置として規定されている仕組みでございます。対象となっているのが難病患者、発達障害者、災害によって離職された場合の方々について、所定給付日数を超えて基本手当が60日間延長されるという仕組みでございます。
感染症につきましては、災害とは別ということで臨時特例法をつくっておりますけれども、このような災害等の場合の恒久的な個別延長給付が雇用保険法の中にあるということも踏まえて、今後どうするかということを検討していく必要があると思っております。
それから、38ページでございます。個別延長給付の支給状況でございます。初回受給者数ですが、こちらは創設された平成21年度から徐々に人数が減ってきておりましたが、元年度から2年度にかけて急速に増えております。45万2291人ということで、ほとんどがコロナの個別延長給付の対象の方でございます。
左下の参考にございますが、令和2年度の総支給額が1166.9億円ということで、1000億以上の支給が行われているところでございます。
次に、39ページでございますが、個別延長給付の初回受給者数の月別に経緯を示したグラフでございます。昨年の4月、5月に宣言が行われまして、その際に基本手当を受給されていた方が所定給付日数を終えられて、さらにその個別延長に入ったということで、少しタイミングがずれておりまして、9月、10月ぐらいに山が来ております。その後、少し波が去りまして、今年に入ってからは非常に落ち着いた状況になっております。
その下のところが離職理由別で、この初回受給者数を分けたものですけれども、それぞれピークが来る時期というのは若干ずれが生じておりますが、最近は非常に落ち着いた状況ということは変わりないということになっております。
40ページでございますが、これが宣言期間中に離職したかどうか等によって対象者を分けている図でございます。
マル1が昨年の4月、5月にだけ宣言が出て、その後宣言が出ていないという地域でございます。宣言期間中は特受・特理の方だけが対象、宣言より前は離職理由を問わず、宣言が終わった後というのが特受、それから一部の特理の方、雇止めの方が対象になっているということで、特段お尻が切られていないということになっております。
マル3が東京に該当しますが、直近の宣言が令和3年7月8日から今月末までの予定となっておりまして、その期間が特受・特理の方々で、それより前は離職理由を問わず、宣言終了後は特受と雇止めの方が対象ということになっております。
41ページでございます。これは、令和2年5月1日以降にコロナの感染予防のために離職された方を、特定受給資格者と扱っているという特例措置の実施の状況でございます。対象となっている方々を月ごとに見ますと、2000人前後で推移しておりまして、そこそこ存在しているという状況でございます。
最後に、42ページでございます。
論点でございますけれども、基本手当に係る以下の暫定措置について、現下の雇用情勢も踏まえ、就職までの生活の安定及び再就職の促進を図るという雇用保険の趣旨の観点から、その在り方について、どのように考えるかということで論点設定をしてございます。
また、基本手当自体につきましても、上記の趣旨や制度の適用の状況等を踏まえ、どのように考えるかということで御議論いただければと考えております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、委員の皆様から御質問、御意見がありましたら、御自由にお願いいたします。
まず、三島委員が手を挙げられましたかね。三島委員、お願いします。
○三島委員 御説明ありがとうございます。
論点にあります、特定理由離職者に対する所定給付日数の緩和の暫定措置ですけれども、28ページのデータについては、令和元年度までであり、コロナ禍による直接的な判断はできかねますけれども、当面続くコロナ禍においては、契約更新を希望していながら、雇止めによって離職した者が再就職するには、長期にわたる求職活動を要することが想定されます。現状、コロナ禍の収束を見通すことができない上で、仮に就職したとしても、すぐに景気などが回復するとも限らないものですから、現状においては暫定措置を当面は延長すべきであると考えます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 ありがとうございます。仁平です。
私は、地域延長給付の関係です。御説明いただいた資料を見ますと、ここ最近、この支給実績というのは低い水準で推移しているわけでありますが、今後発生し得る特定地域での雇用危機に備える必要性というのはいささかも変わらないだろうなと思います。地域延長給付は、自分自身では力の及ばない外部の要因によって再就職が困難になった、そういう労働者に対する支援でありますので、その点は、個別延長給付の激甚災害の事由と親和性が高いのかなと思わなくもないです。例えば、平成28年度までのように、暫定措置の終了後に個別延長給付の中に再度取り込むということで、地域ごとの課題にも適切に対応できるようにしていくということもどうかと思いますので、意見として申し上げておきたいと思います。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
続きまして、杉崎委員、お願いいたします。
○杉崎委員 ありがとうございます。
まず、「マル1期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の期間がないことにより離職した者に対する所定給付日数を拡充する措置」につきまして、平成21年に措置されて以降、数次にわたり延長され、今年度末までが期限となっています。この暫定措置に関しては、資料29ページの「平成29年法改正時における国会での附帯決議」において、「恒久化も含めて今後の在り方を検討し、必要な措置を講ずる」とされています。
この暫定措置に対しては、コロナ禍で非正規労働者の雇用に大きな影響が出ているということ、また、資料の28ページに記載の「特定理由離職者の暫定措置受給者の再就職状況」によれば、特定受給資格者全体よりも、おおむね10ポイント低い傾向にあること、コロナ禍が長引いており、雇用の本格的な回復には相応の時間を要すると思われること、といった点を踏まえると、一定期間の延長はやむを得ないと考えます。
ただし、雇用保険財政の安定化が急務であることや、いずれコロナ禍が収束し、雇用状況が改善すると思われること、雇用調整助成金などコロナ禍に係る一連の措置は緊急事態宣言等の状況に基づき月単位で延長されていることを踏まえると、恒久化ではなく、また過去の措置との比較において、1年程度などの短期間での暫定的な延長とすることが現実的であると思います。
なお、暫定措置を延長するならば、時限的に本来負担の10分の1に抑えられている国庫負担を、令和4年度以降は少なくとも本則に戻すことが大前提であると考えます。
次に、マル2の論点である、「マル1の同対象者に係る就業促進手当の支給を受けた場合の受給期間延長措置」や、「マル3地域延長給付」についても、マル1と同様の対応とすることはやむを得ないと考えます。ただし、マル1からマル3の暫定措置は、厳しい雇用情勢下で措置されたものであるため、期限を明確に定めて、その期限をもって一旦終了すべきであると考えます。その上で、期限到来時には暫定措置が終了となった場合の影響を踏まえて、必要があれば改めて措置を検討することが求められます。
また、「マル4雇用保険臨時特例法に基づく特例延長給付」についても、基本手当受給者のおおむね3分の1が特例の対象になっているということ、また、コロナ禍におけるセーフティネットとして有効に機能していることから、先ほど申し上げたマル1に対する考え方と同様に、国庫負担を少なくとも本則に戻すことを大前提とし、雇用情勢が回復するまで適用するということはやむを得ないと考えます。
ただし、現下の雇用保険財政の状況を勘案すると、特例の期限を明確に定めておくことが不可欠であると考えます。さらに、これらの特例措置や暫定措置に係る効果や財政負担は、本部会において、しっかりと検証していく必要があると思います。
次に、基本手当に関する論点については、受給状況、再就職状況を見ても、所定給付日数や基本手当日額等について拡充する必要はないと考えます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、平田充委員、お願いいたします。
○平田充委員 ありがとうございます。
2点申し上げます。
まず、1点目です。暫定措置とか特例の御説明をいただきましたが、コロナ禍において利用率が高いものもあって、真に必要としている方には役立っているのではないかと認識しておりますい。 一方、以前から申し上げている通り、雇用保険財政は非常に厳しい状況にあり、財源確保の見通しが立っていない中にあって、暫定等の措置の継続については、財源確保策と併せて慎重に検討していくことが必要だと思っておりますい。
2点目です。論点の2つ目の○の問いかけ、具体的には「基本手当自体についても」とあります。この基本手当自体について、何か問題が起こっていて、見直しを行わなければいけない理由があるのか、可能な範囲で教えていただければと思います。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
○長良雇用保険課長 ただいまの点につきまして、雇用保険課長でございます。
基本手当に関しての制度変遷を資料の6ページにつけさせていただきました。こちらの制度が骨格となると考えております。法定賃金日額、所定給付日数、それから給付率と。それ以外の部分につきましても論点はございますけれども、例えば特定受給資格者に関しては7ページという形で資料を今回お示しさせていただいたところでございまして、主な点について、制度変遷を踏まえまして、どのようにお考えになるかというのは御議論いただければと思いますけれども、様々な暫定措置、特例に関して、主に所定給付日数において措置してきたところでございます。
リーマンショックのときについてもしかりではあるのですけれども、いわゆる雇止めの方に関して特定受給資格者の扱いにする、あるいは、給付日数に関して特別に延長する枠組みを設けるといった措置を、景気の変動などに対応して講じてきたところでございまして、私どもといたしましては、この平成21年の改正のような形で、少なくとも景気変動に関しては、こうした給付日数を軸に考えていくことが適当ではないのか。そのような観点から、様々な措置をこれまで講じてきたところでございます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、水島委員、お願いいたします。
○水島委員 ありがとうございます。
暫定措置についての三島委員、仁平委員、杉崎委員、平田充委員の御意見はいずれも納得のいくものでした。
その上で質問ですけれども、暫定措置の継続や終了を判断する際の判断基準や判断指標がありましたら、教えていただければと思います。
よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございます。
○長良雇用保険課長 引き続きまして、事務局からでございますが、判断指標というものが何か明確に定まっているものではございません。どちらかといいますと、定義論として我々御説明させていただくことになるかと思います。先ほどの資料、御紹介いたしましたけれども、制度といたしましては、今、申し上げたような暫定措置を講じてきたところでございます。
一方、例えば延長給付の枠組みに関しましては、31ページにございますように、地域延長給付などに関しましては、平成26年度で指定基準の枠組みをリーマンショックと比較するという形に変えました。これは、リーマンショックと比較して雇用情勢が悪い安定所単位の地域ということでございますので、すなわち、この地域延長給付の位置づけを、その当時の状況下に一定地域があるというレベルでの雇用情勢の悪さというのをメルクマールに置いたということがございます。いずれも、これは審議会での御議論の上、このような形で整理したわけでございますけれども、大きく影響があるとすれば雇用情勢ということになろうかと思います。
ただ、雇用情勢がよいときも悪いときも、同じような延長を講じてきたものに関しては、どのような形で整理していくかということを改めて考えるというのは、あり得ると思っております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続いて、菱沼委員、お願いいたします。
○菱沼委員 ありがとうございます。
先ほど来、各委員から御発言あったかと思いますけれども、暫定措置につきましては、今、こんなに厳しい状況であり、暫定措置がすごく機能しているという平田充委員らのお話もあったかと思いますが、そういった機能している部分につきましては、引き続きと考えてもいいでしょうし、利用が少ないということであれば、どこかに同じような制度、仁平委員のお話もあったかと思いますけれども、そういったところで見ていくというのがあるかなと思っています。いずれにしても、暫定措置を組むということであれば、ある程度の期間等はありますけれども、1年とか2年になってしまうと、すぐに1年後とか2年後には検討が来てしまうので、その辺、考えながらやっていきたいと、議論していきたいと思います。
また、杉崎委員からもありましたけれども、財源の問題ですね。国庫負担とかが低く抑えられている状況にありますので、今、この制度を維持するためには、国庫負担の引上げとか、その辺も検討しなければいけないかなと思っております。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、中窪委員、お願いいたします。
○中窪委員 ありがとうございます。
1点質問ですけれども、最初のところで御説明いただきました特定理由離職者です。私は、その昔、特定受給資格者をつくるときに部会委員をしておりまして、こういう形で解雇・倒産等を特別に扱うということでつくったわけですけれども、その後、特定理由離職者が出てきたときはおりませんでした。この特定理由離職者は、中身が、この5ページでも分かりますが、2つのかなり違うものが入っているように思います。
1つ一が有期の雇止めで、もう一つが自己都合退職したのだけれども正当理由がある場合ですが、後者はもともと正当理由があれば給付制限はないと思いますもので、受給に必要な被保険者期間が短縮されるという点がポイントだと思います。他方で、有期の雇止めのほうは暫定的に、3年にいかなくても特定受給資格者と同じ、手厚い、長い給付が受けられるという形になっております。
この特定理由離職者というカテゴリーをつくったときに、発想として、ちょっと感覚的な言い方で申し訳ないですけれども、特定受給資格者に準ずるようなグループを挙げていって、その中に2つ、こういうものがあって、そのうち雇止めについては暫定的に手厚くしましょうという、まずこのグループがあって、その中で特に切り出した感じなのか、それとも被保険者期間を短縮する必要のある人たちをピックアップしていくと、1つ一に雇止め、もう一つにやむを得ない理由により離職したというのが出てきて、その2つを括って特定理由離職者というカテゴリーをつくりましょうという発想だったのか、その辺り、教えていただければと思います。
○守島部会長 はい。
○長良雇用保険課長 それでは、雇用保険課でございます。
先生おっしゃったように、もともとの特定理由離職者というカテゴリーを法律上設けたのは、平成21年の雇用保険法改正でございます。その前の平成19年の改正のときに、受給に必要な被保険者期間、いわゆる受給資格要件の部分を特定受給資格者とそれ以外で区分いたしました。特定受給資格者相当の方は6か月、自己都合の方は12か月という形で整理いたしたわけでございますが、その中間の部分について、実は国会でも議論になりまして、正当理由の自己都合の方に関しましては、このとき特定理由離職者というカテゴリーがなかったので、暫定的に特定受給資格者扱いにしたという経緯がございます。
その2年後の平成21年改正の際に、受給資格要件のところをちゃんと整理して、特定理由離職者というカテゴリーをしっかりつくりましょうという形の議論と併せまして、そのうち、雇止めの離職の方に関しては、当時のリーマンショック時の雇用情勢を踏まえて、所定給付日数についても手厚い措置を講じてはということで整理をなされたということでございます。
したがいまして、恒久的な制度としては、発想としてあったのが受給資格要件の被保険者期間の部分の整理でございますが、所定給付日数に関しましては、そのときのリーマンショック時の雇用情勢を踏まえた暫定措置という形で整理して現在に至っているというものでございます。
以上でございます。
○中窪委員 分かりました。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続いて、杉崎委員、お願いいたします。
○杉崎委員 たびたびで恐縮でございます。
先ほど事務局から、暫定措置については明確な判断指標はないという旨の説明がありました。今回、論点で挙げられている特定理由離職者の給付日数延長措置については、平成21年改正で措置され、その後、平成24年改正では2年間、平成26年改正では3年間、平成29年は雇用情勢がよかった時期にもかかわらず5年間、延長されている事実があります。財政状況が非常に厳しい中で、本件に限らず暫定措置を講じる上では、どういう状況になれば暫定措置を解消するのかといった基準や考え方を明確にしておく必要があると思います。
暫定措置に関しては特にPDCAサイクルを回し、この部会においても毎年チェックし、措置の効果や財政負担について、しっかりと見ていく必要があると思いますので、意見を申し上げます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたかございませんでしょうか。大丈夫ですか。ありがとうございました。
それでは、資料1についてはこれで終わりにさせていただきまして、続きまして、資料2に移りたいと思います。まず、資料2について御説明いただきたいと思います。
○山口調査官 それでは、資料2につきまして事務局から御説明いたします。「雇用調整助成金・休業支援金等について」という資料でございます。
1ページを御覧ください。いわゆる骨太の方針、今年のものでございますが、その記載の抜粋でございます。雇用調整助成金の特例措置等については、引き続き、感染が拡大している地域、特に業況が厳しい企業に配慮しつつ、雇用情勢を見極めながら段階的に縮減していくとされております。その一方で、在籍型出向を通じた雇用確保とかトライアル雇用等によって円滑な労働移動を支援し、さらに人的投資支援といったことも強力に推進することとされております。
また、雇用保険につきましては、セーフティネット機能を十分に発揮できるよう、その財政運営の在り方を検討すると記載されております。
次、2ページでございます。雇用調整助成金等と一般会計との関係ということでございます。オレンジ色の部分が一般会計を充当する部分、青色の部分が雇用勘定、特別会計を充当する部分というふうにルールメイクされております。
次に、4ページでございます。現在の雇用調整助成金・休業支援金の助成内容ということになっております。先般、部会でも御議論いただきまして、現行の特例措置の内容を11月末まで継続するということになっております。
原則的な措置と、地域特例・業況特例に分かれておりますけれども、大企業の場合は、1月8日に業況特例の内容を公表しております。さらに、中小企業につきましても、5月からこうした特例の対象にするということで運用してきているところでございます。
次に、5ページを御覧ください。リーマンショックのときと現在のコロナの、特例の内容を比較したものでございます。雇用調整助成金につきましては、現在、コロナ特例ということで、助成率、上限額と、極めて手厚い措置を講じさせていただいているところでございますけれども、それ以外の要件につきましても特例措置を講じているところでございます。
例えば、生産指標要件でございますが、通常であれば最近3か月の売上げ等が前年同期に比べて10%以上減少しているかどうかということで判断しておりましたし、リーマンショックのときも3か月で5%以上減少しているかどうかということを見ておりましたが、コロナの場合は、最近1か月の生産指標が、前年同月に比べて5%以上減少しているかどうかという基準にしておりまして、また、比較月も柔軟な取扱いをしているところでございます。
また、対象となる労働者につきましても、雇用保険被保険者が基本的に通常時もリーマンのときも対象者であったのに比べまして、コロナの場合は被保険者でない方々についても、緊急雇用安定助成金という形で助成対象に含めることにしております。
それから、助成内容につきましては、助成率、上限額に加えまして、支給限度日数という要件がございますが、通常時は1年100日、3年150日が上限になっておりまして、リーマンのときも3年300日というルールでございましたが、コロナ特例では、こうした支給限度日数とは別に、緊急対応期間中、つまりコロナ中に実施した休業等の日数の利用が可能となっているところでございます。
6ページでございます。9月17日までの支給の実績の資料になっております。累計で雇調金と緊安金、合わせまして4.4兆円。雇調金で4.1兆円、緊安金で3000億円の支出額となっております。
7ページでございますが、リーマンショックとコロナで支給の状況を比較した図になってございます。リーマンショックの際は、平成21年度に6500億円、平成22年度に3200億円の支出がございましたが、コロナの場合は令和2年度だけで3兆1500億円の支出となっております。
次に、8ページでございます。雇調金・緊安金の支給状況を業種別に分析した資料になっております。
大分類で分解いたしますと、雇調金につきましては製造業が最も支給決定額が多くなっておりまして、全体の4分の1を占めているところでございます。次いで、卸売・小売業、宿泊・飲食サービス業、運輸・郵便業という形で多い順になっておりますけれども、直近で見ますと、飲食サービス業の伸びが非常に大きくなっているところでございます。
それから、緊安金につきましては、3番の宿泊・飲食サービス業というのが全体の4割を占めておりまして、中でも飲食の比率が極めて高くなっております。
9ページに、さらに業種を細かく中分類に分けたものの表を記載してございます。
雇調金につきましては、飲食店が8.2%、宿泊業が6.3%、道路旅客運送業、これは観光バスなどですけれども、5.1%、次いで、自動車となっております。
緊安金につきましては、飲食店が35.4%と最も高くなっておりまして、次いで、宿泊やその他の事業サービス業、それから娯楽業というところで、娯楽業はテーマパークとかパチンコといったものが該当しているところでございます。
10ページでございます。支給決定額を都道府県別に分けた表になっております。
13番の東京を御覧いただきますと、雇調金も緊安金も3割ぐらいが東京での支給決定となっております。
全体で見ますと、都市部での決定額・決定比率が高くなっておりまして、東京と大阪、愛知の3か所で全体の50%をカバーしている状況でございます。
次に、11ページでございますが、企業規模別に支給決定額を分けたものでございます。雇調金の場合は8対2、緊安金の場合は9対1で中小企業の比率が高くなっております。
12ページと13ページは、労働経済白書の抜粋でございます。雇調金が失業率抑制にどの程度効果があったのかということを推計した資料になっております。
13ページを御覧いただきますと、雇調金等による完全失業率の抑制効果を推計すると、その支給により、2020年4月から10月の完全失業率が2.6%ポイント程度抑制されたものと見込まれるとされております。
左の図を御覧いただきますと、雇調金による抑制効果が2.1%ポイント、緊安金を含めた雇調金等による抑制効果が2.6%ポイントとされております。
それから、下の四角囲みのところでございますけれども、JILPTの推計では、リーマンショック期には、雇調金により完全失業率が0.8から1%ポイント程度抑制されたと試算されております。
また、内閣府の推計によりますと、今回のコロナの影響ですが、2020年第2四半期から第4四半期までの各四半期において、完全失業率が2から3%ポイント程度抑制されたと見込まれております。
次に、休業支援金でございます。
15ページに概要を記載してございます。コロナで休業させられた労働者のうち、休業手当の支払いを受けることができなかった方が、個人で申請して受け取ることができる支援金・給付金となっております。
16ページで直近の支給実績の数字を記載しております。9月16日までの金額になっておりますが、1823億円、累計で支出しているところでございます。うち支援金、給付金と分けてございますが、週20時間以上働いていて雇用保険の対象になる方に支払われるのが支援金、20時間未満の方に支払われるのが給付金でございます。金額的には約1対2の比率になっておりまして、支援金が587億円、給付金が1235億円の支給となっております。
17ページでございます。さらに詳しく支給状況を分析した資料になっております。
1人当たりの月額の支給額でございますが、支援金の場合は約8.8万円、給付金は約7万円となっております。
また、一番下の欄ですけれども、1人当たりの平均支給月数が支援金で4.4月、給付金で5.2月となっております。
18ページには、支給対象月別の支給決定件数の推移を整理してございます。
緊急事態宣言期間中は休業が多くなっておりますので、その間の決定件数が高く出るという傾向がございます。
ただ、直近のところが少し下がっているのは、休業し終えた月から一定期間、申請期間というのがあって、その後審査して支給するということですので、まだ件数が上がってきていない部分ということになっておりますので、御承知おきください。
19ページでございます。休業支援金の支給決定件数を年齢別・男女別に分解したものでございます。
全体的に女性の受給が多くなっております。また、20代のところを御覧いただきますと、こちらは男性の件数も多くなっておりまして、学生バイトの方々が受給者増であるということが推認されます。
20ページ以降が就労支援の取組についての資料でございます。
21ページに産業雇用安定助成金とございます。こちらは、在籍型出向によって雇用を維持するという場合に、出向元と出向先の双方の事業主に対して賃金等の一部の助成を行うものでございます。
22ページにその実績の資料を入れてございます。産業雇用安定助成金の場合は、まず出向計画というのを提出いただきまして、その後出向して助成金の支給を行うという流れになっておりますが、その計画ベースで出向労働者数が7107人ということになっております。こちらは、直近の9月3日の実績の数字になっております。
出向元事業所数が683所、出向先事業所数が1062所となっております。
また、企業規模別に分解してみますと、中小企業から中小企業への出向というのが最も多くなっておりまして、2607名となっております。
また、業種別で御覧いただきますと、出向元の業種が青い色の業種なのですけれども、Hの運輸業・郵便業というのが最も多く、2905人となっております。こちらは、航空産業を中心にコロナの影響が一定程度長引くということが見込まれている業界において、積極的に出向が活用されているといった背景がございます。
オレンジ色の業種が出向先の業種でございます。Eの製造業というのが最も多くなっておりまして、1535名となっております。具体的には、自動車の工場の現場などが出向先の主な吸収源となっているところでございます。
なお、異業種への出向割合というのが66%程度ということで、高くなっているところでございます。
23ページでございます。在籍型出向等支援協議会の資料を入れてございます。こちらは、在籍型出向に関する情報とかノウハウや好事例を横展開していくことを目的に設置しているものでございます。全国と地方、それぞれに開催しておりますけれども、全国の協議会は本年2月に第1回が開催され、第2回が10月、間もなく開催される予定となっております。
24ページでございます。トライアル雇用助成金の御紹介です。コロナの影響によって離職を余儀なくされた方々であって、離職期間が3か月を超えても、なお就職できないという場合に、就労経験のない職業に就くことを希望する方について、その試行雇用期間中の賃金の一部を助成するという仕組みになっております。
最後、25ページでございます。論点といたしまして、リーマンショック時との比較も踏まえて、雇用調整助成金・休業支援金のこれまでの支給状況等について、どのように評価するかということで御議論いただきたいと思っております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただきました資料2について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたしたいと思います。
まず、仁平委員が手を挙げておられます。
○仁平委員 ありがとうございます。
私は、論点の設定の仕方について、ちょっと意見を申し上げたいと思っています。雇調金の政策効果のみが今、論点とされているわけですが、コロナ対策を雇調金で対応したということ自体も論点にしてはいかがかと思っております。雇調金が対応すべき本来の守備範囲は、経済上の理由による事業活動の縮小だと認識しているわけでありますけれども、今回の感染防止のために国が社会経済活動を制限して、その影響を緩和するために雇調金を使ったと。そして、当初想定していたより期間が長期化している。その政策判断自体もどうなのかといったことについて、この部会としての認識をそろえておくべきではないかという思いでございます。
論点となっている雇調金等でございますが、コロナなどの緊急的な状況下での国の雇用対策の一部ではありますが、極めて重要な役割を担ったと認識しておりますが、その緊急的な状況下での国の役割はどうなのか。そのところについて棚上げにして、雇用保険財源で対応することを前提として、その範囲の中で雇用保険料負担と政策効果を、ある意味天秤にかけて、お金がないのだから雇用保険料の範囲内でやるという狭い議論になるのはどうかと思いますので、意見として申し上げたいと思っております。
それと、雇調金の政策効果のところですけれども、直接的な雇用維持の効果のみならず、仮にこの特例がなかった場合の社会的な影響とかコストというものを視野に入れるべきだと思いますし、そうした際の労働者の生活とか企業の将来の事業の持続性なども含め、幅広くこの辺は捉えて議論を進めるべきじゃないかなと考えておりますので、意見として申し上げておきます。
ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。
続いて、杉崎委員、お願いいたします。
○杉崎委員 ありがとうございます。
失業率をはじめとした雇用関連指標を見ても、長引くコロナ禍において雇用調整助成金等の特例措置が、「雇用の維持」や「事業の存続」、「社会の安定」に果たしている役割は大きく、有効に機能しているものと認識しています。成長産業や雇用吸収力のある産業への労働移動を促していく必要もありますが、特例措置の期限延長自体は妥当であると思います。
ただし、コロナ禍の長期化に伴う一連の助成措置の財源である雇用保険二事業会計の枯渇化が必至な状況であることを踏まえると、その取扱いに関しては、本来、収入確保策と同時に議論する必要があります。
また、本制度を含むコロナ禍の長期化に伴う一連の措置は、事業主のみが負担する共同連帯の制度である雇用保険二事業の範疇を大きく超え、感染症対策としての性格が極めて強いことから、その財源は、本来全て一般会計による国費で負担すべきです。ワクチン接種の進展もあり、政府においては日常生活の回復に向けた検討も進められていますが、本格的な雇用の回復には時間を要することが想定されます。雇用調整助成金は、既に今年度の予算をほぼ使い切っている状況ですが、支給が滞る事態に陥らないよう、速やかに一般会計による財政措置を講ずるべきであると考えます。
なお、来年度以降の雇用保険料率は、コロナ禍の厳しい経済情勢を踏まえ、引き上がることがないよう、強く要望します。加えて、雇用のセーフティネット機能の確保、労働者の能力の開発・向上に向け、時限的に本来負担の10分の1に抑えられている国庫負担につきましては、令和4年度以降は少なくとも本則に戻すことはもとより、一般会計による財政措置を講ずることで、雇用保険二事業会計を含めた雇用保険財政の安定化を早急に確保すべきです。
さらに、コロナ禍のような国家レベルの非常事態が今後発生する可能性があることを念頭に、雇用調整助成金等の在り方や雇用保険財政の在り方をどのように考えるのか、ということについても、本部会において議論していく必要があると思います。
最後に、在籍型出向について一言申し上げます。在籍型出向の促進を通じて雇用を維持していくことが求められますが、日商が本年2月に全国の中小企業に対して実施した調査では、「他社社員の出向での受入れを検討したい」と回答した中小企業は一定数ありました。一方で、在籍型出向の実施・検討に当たってのネック・課題については、人件費等出向の相手先企業との経費負担の取決め、出向の相手先企業との出会い・マッチング、自社の就業規則の見直しや出向契約の締結に係るノウハウなど、多岐にわたります。
商工会議所といたしましても、産業雇用安定センターと連携しマッチング支援に取り組んでいますが、中央・地方の協議会における具体的な取組や、中小企業に対するマッチング・ノウハウ面での支援をぜひともお願いしたいと思います。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、小林委員、お願いいたします。
○小林委員 ありがとうございます。
私のほうから、雇調金の機能について、どういう評価をしたいかということで意見させていただきたいと思います。
労働経済白書とか内閣府の推計の失業抑制効果については、コロナ禍における特例措置である助成率・助成額の引上げであったり、被保険者要件の撤廃、あとは提出種類の簡素化もありましたし、支給限度日数の緩和などによる複合的な効果があったと思いますし、雇調金が雇用のセーフティネットとして十分に機能したということが考えられます。
また、雇用の危機においては、切れ目なく制度が機能することが重要であるという観点では、支給限度日数の緩和が果たした役割は特に大きいという形で認識しておるところです。
雇調金に対しては、労働者のモチベーションやスキルの維持だったり、成長産業への労働移動を阻害しているという指摘もございましたが、ローテーションなどで一定数を休業としているケースも多く、現場で仕事を分け合っているため、必ずしも労働者のモチベーションやスキルが低下しているとは限らないと考えております。
また、コロナ禍が終息した後の事業の再開を見据えて、スキルを持った労働者を雇用し続けたいという企業側の意見と、現在の仕事を今後も続けたいという労働者の側の両者の意向がマッチしているからこそ、雇用が維持されてきているのだと考えておりますので、両者の意見がマッチしていない場合については、雇用吸収力のある成長産業への労働移動については、この制度の有無にかかわらず、労働市場の需給の範囲内でこれまでも進んできたのではないかと考えております。ですので、雇調金の制度につきましては評価すべきであると考えているところです。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、菱沼委員、お願いいたします。
○菱沼委員 ありがとうございます。中央会の菱沼です。
事務局の方には、資料を作成、説明いただきまして、ありがとうございます。
雇用調整助成金と企業支援金につきましては、皆さん、資料を見ていただいても分かりますとおり、白書で、先ほど小林委員からもお話ありましたけれども、失業の抑制とか、その辺では寄与していて、役に立ってきた制度だなとは思っております。
ただ、前回の資料で、雇用保険二事業の関係収支状況などを御説明いただいた際、保険料収入自体、使用者側の保険料という形になるかと思いますけれども、令和2年度の決算見込みで5709億円という話だったと思います。今日出された資料の7ページには、雇用調整助成金の支給実績という形になっていて、リーマンショックと新型コロナ時期の支給実績の資料を出していただいたのかなと思っています。二事業の保険料の収入から見ると、リーマンショックの頃であれば、平成21年度で6536億円、前の積立てとかを崩して対応したり、困ったときに、たしか本体給付から借りてということだったのですけれども、それが返せる限度だったのかなと思うのですけれどもね。
この数字、グラフを見ても分かりますとおり、大分上に行ってしまって、この雇用保険二事業の保険料だけではとてもできないなということがよく分かる資料だなと思っております。先ほど仁平委員からも保険料だけの議論でということがあったと思うのですけれども、これはリーマンショックを超えた、経済的なものではなくて感染症ということでありますので、対応の仕方がちょっと変わってくるのかな。雇用保険料だけではとても厳しい状況にあるということで、一般財源とか、その辺が必要になってくるのかなというのが見てとれる資料だなと思ったところでございますので、御意見として申し上げます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
続きまして、平田充委員、お願いいたします。
○平田充委員 資料の御説明ありがとうございました。
雇調金等、コロナで特例措置が講じられて、失業予防対策として有効に機能したという認識を基本的にはしております。
それで、一方、今日は財政の資料が出ていませんけれども、雇用保険二事業の保険料収入、全体の収入と言ったほうがいいのですかね。平時で6000億前後だったと理解しております。そういうことを考えると、先ほどの御説明の資料にもありましたけれども、現在、毎月2000億円ほど支給されているということを考えると、異常事態なのではないかなと思っておりまして、制度の持続可能性という観点からは非常に懸念しているということを申し上げておきたいと思います。
そこで、この際ですけれども、先ほども意見が出ておりましたけれども、感染症対策として一般財源で手当てしているものと、失業予防対策として手当てしているものに分けて議論していくべきではないのかなと思っております。恐らくコロナが始まった頃は、こんなに長く続くとは誰も想定していなかったと思いますので、そういったことも踏まえて、ここまで長引いていて、ここまで支出している。保険料収入は6000億程度ということですので、慎重に検討していくことが必要なのではないかと思っております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
続きまして、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
支援金・給付金について申し上げます。資料2の17ページの記載を見ますと、雇用保険被保険者以外が対象となります給付金の支給決定額は、支援金・給付金の合計額の約7割を占めていると見てとれます。これは、2ページの図のオレンジ色と先ほど事務局が説明されておりましたけれども、一般会計から支給がなされているということでございます。また、雇用保険被保険者を対象とする支援金のうち、中小企業に勤める方については、休業前賃金の80%を超える部分も一般会計から支給がなされております。
こうした点を踏まえますと、雇用保険会計から支給されている割合は、ここは本部会でも財源に関し、これまで意見が出ていたところでございますので、言葉を選ぶわけでありますが、本資料を見る前のイメージと比べれば多くはないということではないかと思います。
もう一点、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金に関連して、昨年5月の本部会においても、労働側から、事業主が休業手当を支払い、それを国が雇用調整助成金で支えるというのが基本であるということ。やむを得ず休業手当が支給されない場合に限って、労働者が直接支給できる新たな給付金制度を活用する立てつけにすべきという点について御意見申し上げております。本来、事業主が活用すべき雇調金が活用されずに、休業支援金の申請がなされる事例が現在も一定数発生している状況でありまして、そうした事例については十分な分析を行って公表していただきたいと考えておりますので、意見として申し上げておきます。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、千葉委員。
○千葉委員 ありがとうございます。
私からは、資料2の22ページ目の産業雇用安定助成金の出向計画受理状況に関連して、1点御要望申し上げたいと思っております。このページの中でデータが示されておりますけれども、コロナ禍における在籍型出向については、産業雇用安定センターが関与していないものでありましたり、地方自治体への出向、また、要件が緩和される前に実施されたグループ内企業への出向など、助成金の対象にならない案件も多数あったと思われます。そうした事例がどの程度あったのかというデータも、雇用情勢を把握する上では重要だと思われますので、どこかのタイミングで広く在籍型出向の件数についても調査いただきたいと考えております。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
続きまして、小畑委員、お願いいたします。
○小畑委員 どうもありがとうございます。
1つお願いがございまして、4ページに出てくる地域特例・業況特例の現状に関しての資料を御用意いただけないかというお願いでございます。地域特例・業況特例のカバーに関する資料を頂戴した上で議論していくということが有益かと存じますので、よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。
○中村雇用開発企画課長 雇用開発企画課長の中村でございます。
現在の特例措置の形で5月から実施しているところでございますけれども、直近の8月分をざっくり申し上げますと、支給決定金額のうち特例分が6割弱を占めているところでございます。次回の部会において、もう少し詳しいデータをお示しいたしたいと存じます。
ありがとうございます。
○小畑委員 ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに御意見とか御質問ございますでしょうか。
平田充委員が手を挙げられました。どうぞ。
○平田充委員 すみません、先ほどまとめて申し上げればよかったのですけれども、1つ質問です。説明を聞き漏らしたかもしれませんけれども、資料の19ページの年齢別・男女別支給決定件数の説明がありました若い。世代は別として、女性のほうがかなり多いという結果になっておりますけれども、この背景とか理由とか、もし分析されているのであれば、可能な範囲で御説明をいただければと思います。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
○長良雇用保険課長 では、この件、雇用保険課からでございます。
定量的なデータは、給付のシステムから取ることがなかなかできませんので、推測に近いお答えになってしまうのですが、女性が多い、それから年代層が若いところと中高年のところという状況であるという事実と。
もう一つは、雇用保険被保険者以外の給付の、いわゆる休業給付金の支給の割合が高くなっているということから、特に中高年のパートの方などを中心として利用されているのではないかというのが1点。
もう一つは、同様の理由で、20代が多いということで、雇用保険に入っていない学生のアルバイトの方の支給が多いのではないかという見立てを私ども、しているところでございます。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたか、御意見とかございますでしょうか。御質問でもいいですけれどもね。大丈夫ですか。
それでは、ほかに御意見、御質問がないようなので、本日予定されている議題は以上ですので、これで部会を終了いたしたいと思います。
皆様方、お忙しい中、お集まりいただき、活発な御議論をどうもありがとうございました。