第5回労働政策審議会職業安定分科会地方連携部会 議事録

日時

令和3年9月1日(水) 10:30~

場所

厚生労働省職業安定局第1会議室(オンライン会議会場)

議事

○公共職業安定所運営企画室長補佐 議事に先立ちまして、本日はズームによりますオンライン会議とさせていただいておりますので、簡単に操作方法について御説明します。事前にお配りしております「会議の開催・参加方法について」を御参照ください。まずポイントですが、議事進行中は委員の皆様方のマイクはオフ、いわゆるミュートにさせていただいております。御発言をされる際に「手を挙げる」ボタンをクリックし、指名があった後にマイクをオンにしていただき、お名前を名乗ってから御発言いただくようお願いいたします。御発言いただいた後には必ずマイクをオフ又はミュートにしていただきますようお願いいたします。操作方法などについて質問、トラブルがありましたら、チャット機能若しくは事前に御連絡しております電話番号に御連絡いただければと思います。なお、通信状況によりましては議事を一時休憩とさせていただくこともあろうかと思いますが、その点あらかじめ御容赦いただければと思います。円滑な議事運営に御協力のほどよろしくお願いいたします。事務連絡は以上です。
○公共職業安定所運営企画室長 それでは、ただいまから第5回労働政策審議会職業安定分科会地方連携部会を開催いたします。改めまして、皆様におかれましては本日は御多用のところ御参集いただきありがとうございます。初めに、4月27日付けで委員の改選がありましたので、御報告をさせていただきます。資料1を御覧いただければと思います。資料1の委員名簿で、公益委員として、京都大学大学院人間・環境学研究科教授の小畑史子委員が新たに就任をされております。
 続いて、委員の皆様の出欠状況の報告資料の確認をさせていただきます。本日の委員の出席状況については、全員御出席をいただいております。本日の資料は、議事次第と資料1、資料2、参考資料2つを用意しております。出欠状況の報告と資料の確認は以上となります。
 続いて、委員改選後初めての本部会の開催となりますので、部会長の選出をさせていただきたいと思います。参考資料1を御覧いただければと思います。参考資料1として審議会令を付けておりますが、2枚目を御覧ください。審議会令第7条第4項によりまして、労働政策審議会の本審に所属する公益委員の中から、本審に所属する委員により選出されることとなっております。本部会においては小畑委員のみが該当しておりますので、部会長は小畑委員にお願いしたいと思っております。頭撮りはここで終わりです。それでは、以降の進行については小畑部会長にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小畑部会長 皆様、おはようございます。部会長に選出されました小畑史子です。委員の皆様の御協力を頂戴しながら円滑な議事運営に努めてまいりたいと存じますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
 まず、部会長の就任に当たり、労働政策審議会令の7条6項において、部会長が公益委員から部会長代理を指名することとなっておりますので、当該規程に基づきまして堀委員を部会長代理に指名させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。それでは、議事に入ってまいります。議題1、雇用に関する国と地方公共団体との連携状況等について、事務局から御説明をお願いいたします。
○公共職業安定所運営企画室長 髙橋が御説明いたします。資料2を御覧ください。連携状況についてまとめております。表紙の次の目次をご覧下さい。全体像としては、一体的実施事業、雇用対策協定、ハローワーク総合評価、コロナ禍の状況を踏まえた連携事例、その他の連携施策といった構成となっております。
 2ページ目、一体的実施事業の状況について順次御説明いたします。3ページを御覧ください。一体的実施事業の概要です。一番上にありますが、この事業については、希望する地方公共団体において国が行う無料職業紹介と地方公共団体が行う各種支援を一体的に実施するというものです。左下にあります図ですが、地方公共団体と国との間で協定を締結し、運営協議会を設置するといった形で運営方針を決定し、施設を設置し運営していく。こちらについては当初だけでなく、毎年運営に当たっての方針などを協議会で決めていっていただく。それにのっとって運営をしていく形でやっております。
 上の箱の真ん中辺り、事業の実施状況としては、令和3年4月現在、184団体で実施をしております。右下のグラフに推移がありますけれども、こちらで濃い色の棒グラフが地方公共団体数で、183となっておりますが、先ほどの184と1の違いについては、184は4月から新たに実施したものを含んでいるということで、1の違いがあります。
 続いて4ページ、こちらについては参考として実際に実施している自治体名を列挙しております。5ページ、国及び地方公共団体が実施する業務、支援対象者ということで、一体的実施施設において実施している業務、どのような対象者を支援しているかといったことで整理をしているものです。左下、業務で整理をしたものですけれども、国は無料職業紹介を行いますが、地方公共団体においては地域の事情に応じた様々な支援ということで、一番多いのは福祉業務を行っている団体、拠点ということになります。続いて多いのが就労支援ということで、こちらの就労支援については、それぞれ若者であったり女性、中高年といったように、その地域において特に課題として重視しているものに焦点を当てて実施する形で運営が行われています。右側に行っていただき、支援対象者という形で整理をいたしますと、業務として福祉が多いことと関連いたしますが、生活保護受給者を対象に支援をさせていただく形が多くなっております。そのほか、障害者であったり又は若者、子育て、中高年といった形になっております。
 6ページです。一体的実施事業の取組状況と利用者の声です。左下で、事業目標達成状況を御覧ください。先ほど運営協議会で毎年事業の方針などを立てていただくという御説明を申し上げましたけれども、その際に、その年度の目標も立てていただいております。その目標を達成した拠点は230拠点ということで、拠点の中で67.8%という状況になっております。その下の円グラフの横、過去3年間の目標達成状況を表としてございます。こちらを御覧いただきますと、平成30年、令和元年、2年と若干低下しておりまして、特に令和2年度の落込みが大きくなっております。こちらについては※1でどのような目標を立てているかということですが、就職件数・率、利用者数であったり、面接会の開催件数といったものを目標として立てております。特に令和2年の落込みが大きいことに関しましては後ほどの御説明とも重なりますが、コロナ禍において施設の閉鎖であったり、面接会を開催しなかったというようなこともありまして、目標達成に至らなかったという状況になっているものです。
 右側の利用者アンケートの結果を御覧ください。こちらについては利用者の方の95.6%が満足といった回答を頂いております。そしてその下、利用者の声を4つほど挙げておりますが、全体を通して言えるのは、身近な場所で親身になって相談に乗ってもらえて助かるといったような声が多くなっているところです。
 7ページ、一体的実施事業における就職件数の推移です。折れ線グラフが就職率で、棒グラフの濃い色が職業相談件数、薄い棒グラフが就職件数となっております。御覧いただいてお分かりいただけますように、就職率は低下傾向です。職業相談件数については、若干減っておりますけれども、引き続き高水準を推移している一方で、就職件数について令和2年は大きく落ち込んだ状況です。こちらについては、7ページの上にあります最初の※を御覧ください。先ほどの御説明と重なりますけれども、新型コロナウイルス感染症拡大による臨時閉庁、あとは来所の自粛も行ったことに加え、実施している面接会の中止、延期といったような施設もあったということで、利用者確保が十分に進まなかった。また、マッチング機会も減少し、就職件数の大幅減となり、就職率の低下につながったと考えております。就職率を全体平均しますと、一体的実施としては34.1%ということで、ハローワーク全体の就職率は上回っているという状況で、連携の成果は引き続き発揮していると考えております。引き続き地方公共団体と連携しながら施設運営を行い、地域の課題解決といったような事業効果の向上を図っていく必要があると考えております。
 8ページです。今後の取組の方向性、課題といったことで整理をしております。右上の表を御覧ください。就職件数・率、利用者数など最近は若干低下、減少傾向です。ただ一方で今後、コロナ禍、コロナ後の雇用情勢への影響を考えますと、引き続きこの拠点の地域において果たす役割は大きいのだろうと考えております。就職率は平均しますと34.1%ですが、拠点によっては1桁台の就職率であったり、10%台の就職率といった拠点もあります。そういった所については、しっかりと事業効果を上げていく必要があると考えています。特にこちらは自治体の費用負担も頂き、国も雇用保険二事業を活用しながら運営している事業ですので、費用負担者、住民に対する説明責任を果たしていくために、しっかりと実績を積み重ねていく必要があると考えております。
 そこでということで真ん中、今後、これからの取組ということで、効果を更に発揮するため、その向上に向けた取組を行っていきたい。1つ目が、PDCAサイクルによる事業管理の徹底、メリハリのある事業運営。2つ目が連携の深化による利用者の確保、来所によらないサービスの展開により施設の活性化を図るということです。1点目のPDCAサイクルによる事業管理の徹底について、左下を御覧ください。施設ごとに就職率、相談件数といったことを毎年度評価を行っていきたいと考えております。その結果に基づき、実績が低調な場合は、地方公共団体とともに改善計画を策定、実行していく。それでも実績が上がらない場合は施設の在り方も検討ということで、地域における連携した雇用対策として、こういった拠点でやっていくのがいいのか、そのほかの在り方がいいのかといったことも含めて、検討していくということを考えております。
 その下の「特に」という所ですけれども、この一体的実施をやっている拠点の中で幾つかの拠点については、委託事業を更に実施している所もあります。したがって、これまで委託事業の成果も含めて、拠点全体での結果の評価を我々はしていたところですが、今後はその委託事業を特別に実施しているということを踏まえ、委託事業そのものの成果についても検証し、成果に応じたメリハリのある事業運営を検討していきたいと考えております。
 右側で2つ目、利用者の確保による施設の活性化についてです。地方公共団体と連携して実施させていただいておりますので、そこの自治体の窓口との連携の深化をさせていくといったことで、自治体の窓口に来られた方を着実に就職相談の窓口に誘導することを更に徹底していく。2つ目ですけれども、昨年のコロナ禍の中で、電話相談とかオンラインといった新しいサービス展開というのも各拠点で工夫してやっておりましたので、これについては一過性のものとせずに、今後の事業展開の中でも追加し、サービス展開の幅を広くすることで利用者の裾野を拡大していくといったようなことに取り組んでいきたいと考えております。
 3点目については、地方公共団体・国それぞれが連携、あるいは独自のチャネルを使い広報を行いながら掘り起こしをしていくといったようなことを考えています。こういった2つの柱の取組を評価して、事業の成果を発揮して、地域の課題解決につなげていきたいと思っているところです。
 9ページ、事業効果の向上に向けた取組の事例として2つほど例を挙げています。左側が郡山ですが、令和元年度就職者数についての目標は未達成でした。その要因として、令和元年度の上のほうの文章で、雇用情勢が堅調な中で、就職意欲の高い方の就職は一定程度進んだと。その中で、生活保護を受給する中で就職準備が十分に整っていない方が残ってしまい、その方を就職に結び付けるのがなかなか困難でした。そういった現状を踏まえて、翌年度に向けてですが、市の担当者と連携を図りながら、就職準備が整っている方を取りこぼさないように、しっかりと就職支援の窓口に誘導していただいて、一緒になって就職支援を行うといった取組を強化したところ、令和2年になりまして目標値の達成に至りました。
 右側、島根の江津の例ですが、こちらは利用件数を目標値として挙げておりましたが、過疎化が顕著で新規求職者が年々減少傾向にありました。翌年度に向けて利用件数の目標値の達成に向けて、窓口誘導の強化、企業ガイダンスのイベントの開催数の上積みを図る計画を練りました。それで、令和2年については目標値の達成に至りましたが、その取組として、コロナ禍でありましたので、積極的な来所は控えながらも、電話などによる情報提供、相談を実施しました。あとは、8月以降の下期にかけて、イベントについて感染予防を取った上で集中的に開催するという取組をして目標達成につながりました。こういったように、目標達成できない原因を自治体と一緒になって分析し、それに対応した取組を実施していただいて、目標の達成に向けて取り組んでいただきたいと考えております。
 10ページ、これ以降、一体的実施事業の取組について幾つか例を挙げております。香川の事例です。こちらについては、市とハローワークで連携して、生活保護受給者や生活困窮者といった課題のある方への支援を連携して行っている事例です。市では生活や福祉に関する支援、ハローワークは個別支援、就職の支援を行ったわけですが、特にコロナ禍ということで、真ん中の箱の3つ目、心理面に配慮した職業相談、カウンセリングができるようにと、キャリアカウンセラー、精神保健福祉士、公認心理師といった資格を有する専門家の所に積極的に誘導して、支援を行うといったことに取り組んだ事例です。
 11ページ、群馬の高崎の例です。こちらも生活困窮者の支援ということで、左上に書いてありますが、新型コロナウイルス感染症の影響によって、住居確保給付金、総合支援資金融資といった申請を行うため、生活困窮者の相談が急増した状況です。こういった方々は、このために来て、連絡が途絶えてしまうという一時的な相談に陥ったケースもあるようで、そこをそういった形に終わらないようにすることを意識し、ハローワークの就労支援コーナーへしっかりと誘導することを徹底しました。その際、就労支援コーナーへ誘導した後、ケースワーカーも同席しながら一緒に相談を行うという連携をした取組の事例です。
 12ページ、岐阜の高山の事例です。高山は広大な面積を有するので、市とハローワークで一体的に連携し、巡回相談を実施しました。その際、市で各市庁舎内に会議室の確保、場所の提供を頂いて、そこにハローワークの相談員が出向いて相談を行う形で、連携をしながら面的なサービスの充実を図った事例です。
 13ページ、福岡の事例です。中高年就職支援センターです。ここの施設における課題認識として、真ん中、新規求人の大幅減、ミスマッチ対策の重要性が増しているという課題がありました。左側、県でその重要性を踏まえて、センター独自の求人開拓員を配置し、そこで求人の開拓をしていただきました。そして、その求人を活用させていただきながらハローワークで、求職者に対して求人を含めた情報提供を行って、就職の幅を広げた相談に応じることができるようになりました。あとは、福岡も広い所ですので、ニーズをくみ取りながら、地域で面接会、出張相談を行いました。出張相談に関しては、左下の効果にありますが、県内17か所、従来行っていた所に加えて新たに9市町村で追加実施を行った事例です。以上が一体的実施事業の御説明です。
 14ページ以降が、雇用対策協定の御説明になります。15ページ、締結状況です。上の箱にありますが、雇用対策協定については、国と地方公共団体がそれぞれの役割を果たしながら、一緒に雇用対策に取り組み、地域の課題に対応するために協定を締結する。締結することにより、1つ目としては、その地域の課題をそれぞれ整理し、それぞれの持っているツールをどのように活用していくのか、どのように連携していくのかを明確化して、それで課題に取り組んでいく。あとは、協定を作るに際し、目標を設定する場合もあるので、そういったことを基にPDCAサイクルを回して、しっかりと効果のある対策を連携しながら取っていくという効果が期待できるものです。実施状況については、真ん中、213団体で締結に至っています。その下に小さくありますが、令和2年度において、新たに8市での締結に至りました。
 16ページからが事例です。1つ目は群馬の事例です。真ん中の所、群馬県と群馬労働局の間で協定を締結しておりまして、その中でUIターンを実施することを取り組んできたもので、過去5年間は都内で実施をしていましたが、令和2年度の状況を踏まえ、群馬県内での開催に至りました。吹き出しにありますが、更にその協定の範囲として、地元の新聞社とも協定を締結して、特に新聞社には周知、PRの点で御協力を頂く形での連携を図りました。右下、双方の声で、労働局の声にありますように、協定を締結していたことにより、施設を駅の近い便利な所を貸していただけました。設備の整った施設でありましたので、新型コロナウイルスの対策もしっかりできて安心して御参加いただけました。
 17ページ、山形の事例です。マザーズジョブサポート山形では子育て中の女性の方などへの就職の支援を行っていますが、ハローワーク山形の窓口において紹介状を交付し、その交付された方を対象に、県でスーツ、靴、バッグ、面接に必要な物を用意いただいて、御希望される方に貸出しをする形を取っていました。こちらは、求職者の声に応えて県で貸出しをしていただくことで好評を得ています。
 18ページ、昨今の雇用対策協定の動向です。上の箱にありますように現在、47都道府県、都道府県レベルでは全ての都道府県と雇用対策協定の締結に至っています。したがって今後、基礎自治体との協定締結について引き続き取り組んでいきたいと思っております。
 先ほど申し上げましたとおり、令和2年度で新たに8市が締結する状況で、今年度に入って、右下、島根においては、これまでは県との協定だけでしたが、7月に新たに3市と雇用対策協定の締結に至りました。この締結に至ったきっかけとしては、これまでも締結の呼び掛け、相談はしていたのですが、従来からハローワークとの連携は取れているので協定締結まではというようなことであったようですが、昨今のコロナ禍の雇用情勢や地元の雇用の問題などがありまして、そういった中で締結をしてしっかり一緒に連携して取り組んでいこうという機運が高まって締結に至りました。引き続き、こういった御意向を聞きながら締結をし、締結することそのものが目的ではなくて、これを締結することでいかに効果的な雇用対策を実施していくことが重要かと思いますので、そういった取組をしっかりしていきたいと思っております。
 19ページ、ハローワーク総合評価です。20ページ、ハローワーク総合評価については、ハローワーク自身において行っているものです。どういったものかが20ページです。平成27年度から目標管理、業務改善の取組、拡充を柱とするハローワーク総合評価を開始しています。こちらについては例年、全てのハローワークにおいて業務ごとに目標値を設定し、達成状況で4段階の相対評価を行っています。その結果を公表しております。
 ここで御説明したいのは、21ページ、どのような指標で評価しているかを一覧にしています。その中で、右下、2の(2)の所重点項目です。こちらの項目は、中長期的なマッチング機能向上のための職員の資質向上、継続的な業務改善の取組に関する評価指標について挙げています。丸で囲っています、地方公共団体との連携の推進といったことも評価の項目として、例えば雇用対策協定を新たに締結したとか、日頃イベントを開催したとか、そういったような取組、連携をしっかり取り組んだものについては評価をする形を取っています。したがって、日頃の業務の中においても、連携をしっかり図っていくことを意識し実行しております。
 22ページ以降、コロナ禍の状況を踏まえた連携事例です。23ページ、長野の事例で、県の振興局と労働局で情報共有を図りながら、ともに求人開拓を図った事例です。真ん中にありますように、県と局において雇用対策協定を締結しておりまして、今回、コロナ禍で会議の構成も、学校団体、金融機関、建設業協会、業界団体といった範囲を拡大した形で会議を開催しました。そういった中で、求人確保連絡会議の開催に至り、経済団体、産業団体に対して、県・市町村との連名で行政文等の発出、あとは一緒に求人会等を行いました。左下、求人確保の実績として、本部設置以後、5,408事業所へ訪問、約2万の求人の確保に至りました。県と一緒に取り組んだことで、より事業所の理解も得られたとの声もいただいております。
 24ページ、在籍型出向の取組の事例です。岐阜県の事例です。真ん中で、コロナ禍において労働力需給のミスマッチ解消を目的として、雇用維持、継続人材マッチング支援事業を県で立ち上げました。その中で、労働力シェアマッチングを支援する特設サイトを開設しました。そこのサイトにおいては、一番上に書いていますが、県側の在籍型出向、人事交流、兼業・副業の求人情報を発信する役割を担いました。それを見た送り出したい企業がいた場合には、一番下にありますが、必要に応じて就業規則の改訂等が必要な場合には、県で無料の社労士相談の場の提供を行い、併せて局はそういった場も活用しながら雇用調整助成金の活用周知を行いました。
 25ページ、富山の事例です。こちらについては、県でコロナ離職者を対象としたトライアル雇用の助成金を創設しました。真ん中にありますが、対象者は新型コロナウイルス感染症の影響によって離職された方、(4)助成金の種類は、3か月間の人件費が最大5万円。中小企業に限ってですが、トライアル雇用の後で正規雇用とされた場合には、最大15万円の助成をするといったものです。下の所で、局とハローワークと県の連携です。県で用意していただいた助成金制度を使いながら、ハローワークにおいては求人、求職者、双方に対して周知・広報を行い、対象となる求人の受理をし、その求人を活用させていただいて職業相談、職業紹介を行うといった形で、より就職の支援を強化することができ、早期再就職の支援に結び付けた取組の事例です。以上が連携事例の御紹介です。
 27ページ、その他の連携施策です。こちらは分権一括法の概要全体をまとめておりますが、これまで御説明してきたのは左側で、雇用対策法の改正において措置されたものについての取組状況を御説明してきました。この後は右側、職業安定法の改正に伴って整備されました地方版ハローワークや求人・求職情報の提供についてです。
 28ページ、地方版ハローワークについてです。改正職業安定法の内容が真ん中にありますが、民間の職業紹介事業者とは異なる位置付け、公的な主体として無料職業紹介を地方公共団体が実施できるというものです。設置状況です。下にありますが、905所・431自治体で、昨年から45所・13自治体の増となっております。
 29ページ、求人情報のオンライン提供です。こちらの実施状況については、上にありますが、令和3年6月1日時点で2,026団体です。昨年から265団体が増加している状況です。
 30ページ、求職者の情報の提供サービスです。利用状況ですが、対象団体数は622団体、昨年と比べて132団体増えております。利用希望求職者数については3万6,000人ほどで、新規求職者の約6.7%の状況です。
 31ページ、参考として求職情報の提供サービスの仕組みを掲載しております。ここでのポイントは、あくまで希望する求職者の方のみでして、提供する際には氏名、連絡先の個人情報は最初は提供せずに、それを閲覧できる事業者についても一定の要件をクリアした事業者とし、利用者の保護をしっかり図った上で行っている点です。
 以上が資料全体です。これまで御説明してきましたように、雇用対策協定、一体的実施、地方版ハローワーク、求人・求職情報の提供といった様々な連携のメニューを御用意して取り組んできております。したがって、その地域に合ったメニューを活用しながら、その地域における雇用の解決に引き続き連携して取り組んでいきたいと考えております。説明は以上です。
○小畑部会長 御説明どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明について、御質問や御意見をおっしゃっていただくという段階に移りたいと思います。冒頭に事務局から御案内がありましたとおり、御発言に当たりましては、「手を挙げる」というボタンをクリックし、私が指名させていただきますので、その後、マイクをオンにして、お名前をおっしゃってから御発言いただきますようにお願いいたします。御発言が終わられましたら、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。それでは、御質問、御意見などありましたら挙手をお願いいたします。堀委員からお手が挙がりましたのでお願いいたします。
○堀委員 労働政策研究・研修機構の堀と申します。御説明どうもありがとうございました。一体的実施事業についてお伺いしたいと思います。資料の6ページですが、この一体的実施事業はとても意味のある事業だと思っておりますし、公益性の高いものだと思っておりますが、コロナの影響で今回、目標の未達成が32.2%だったという御紹介がありました。この未達成の多さというのは一時的なものかもしれないのですが、例えばコロナ前から、昨年度、その前ぐらいから未達成が続いている自治体はどのぐらいあるのでしょうか。また、もし未達成が続きやすいような何か特徴がありましたら教えていただけないかと思います。以上です。
○小畑部会長 御質問ありがとうございます。それでは、事務局からお答えをお願いいたします。
○公共職業安定所運営企画室長 ありがとうございます。大変恐縮ですが、継続して未達成な施設というのは現在、手元で把握していない状況です。ただ、重要な視点でありますので、また一覧として整理して分析したいとは思っております。目標が未達成な所というのは、1つはそもそも目標設定が妥当なのかというところもあり、もう1つは施設の特徴上、目標が達成しにくいというような施設も実はあるのではないかと思っております。
 1点目は、最初に意欲的な目標を立てて、やはりその目標を達成すべく頑張りたいという思いがあって掲げ続ける所もあると聞いておりますので、意欲的な目標を立てることは重要ですが、施設の利用状況とか実態に見合った目標を立てることも必要なのかなと考えています。2つ目は、施設特性について言うと、代表的にはUIターンのような施設がありまして、都内でUIターンを推進すべく窓口を設けているのですが、UIターンの特性上、相談に来てもすぐに就職に至るという場合はそんなに多くないものですから、結果として反映しにくい事例もあるということです。以上です。
○小畑部会長 堀委員、いかがでしょうか。
○堀委員 御説明ありがとうございます。また詳細を御検討いただければと思います。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。続けて御質問、御意見などありましたら、「手を挙げる」をクリックしていただきますようお願いいたします。原田委員は挙手をされましたか。
○原田委員 経団連の原田です。まず、コロナ禍の厳しい状況の中で、一体的実施事業が引き続き進められていることに対して、関係者の皆様に改めて感謝を申し上げたいと思います。
 その上で、コロナ禍は、非正規雇用の方、特に女性や障害者など社会的に弱い立場の方へのしわ寄せが大きいと言われております。本事業は国が行っている雇用関係のサービスと、自治体が行っている福祉関係のサービス、これらの連携が取りやすいものと思っております。資料の中にも23ページ以降に事例がありましたが、今後も引き続き連携を強化し、好事例を多くの地域に横展開して、コロナ禍に応じた形で取組を進めていただければと思います。そうした中でコロナ禍の影響を最小限にしていただければ有り難いと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。私からは以上です。
○小畑会長 大変重要な御指摘と存じます。御意見として承りたく存じます。ありがとうございます。続いていかがでしょうか。山本委員からお手が挙がりましたのでお願いいたします。
○山本委員 使用者側委員の岡崎商工会議所、山本京子と申します。御説明ありがとうございました。私からの意見を申し上げます。本日の御説明を通して、多くの地方公共団体が、国と雇用対策協定を締結し、各地域の実情に沿った業務を展開されていると理解いたしました。一方、一体的実施事業の効果については、全国の就職支援施設の平均就職率が34.1%と、ハローワーク全体の就職率を上回っており、一体的実施としての連携成果が見られるものの、事前レクチャーの中では、施設によっては就職率10%以下の所もあると伺いました。今後そういった実績が低調な施設におかれましては、地方公共団体とともに効果的な改善計画を策定されて、実行していただきたいと切に願います。
 先ほどの説明でもありましたが、とりわけ本事業の財源である雇用保険二事業は、事業主のみが負担するものであり、雇用調整助成金の特例措置とコロナ禍の長期化による一連の措置に伴い、既に枯渇化が必至の状況です。その財源を使用する一体的実施事業は、その事業効果を最大限発揮するための事業管理の徹底が不可欠と考えます。地域の実情に応じた地方公共団体の業務と国の職業紹介を組み合わせ、効果的な就職支援を実現する本事業は、大変有効であると思いますので、是非、事業の成果目標の達成に向けた取組を実施していただきたいと思います。
 もう1点、好事例の全国的な横展開についてのお願いです。厚生労働省からの発表によりますと、新型コロナウイルスの影響で、解雇・雇止めされた人が見込みを含めて8月中旬には11万3,000人余りに上るとされ、長引くコロナ禍の影響で生活保護受給者や生活困窮者が増えている中、本日御説明いただいた一体的実施事業が各地域において果たす役割は、ますます重要になってくると思います。また、生産年齢人口の減少などから、正社員を希望しながらも不本意に非正規で働いている若年層や、様々な事情により求職活動をしていない長期の無業者、いわゆる就職氷河期世代の方々を含めた人材の就職・活躍に向けた支援も、官民一体となって推進していくことが求められています。そうした中で、資料10ページに記載されている、コロナ禍の状況を踏まえた、心理面に配慮した就職相談やカウンセリングといったきめ細やかな支援など、国と地方公共団体が連携して取り組む就労支援の好事例については、是非積極的に横展開していただきたく思います。
 また、資料16ページに紹介されている若年層のUIターン促進の取組は、地方創生の観点からも、大変有効であると思います。是非そちらも分かりやすく周知を頂けたらと思います。さらに、足元の雇用維持への取組に加え、ポストコロナを見据え、デジタル化など産業構造の変化への対応を念頭に、雇用吸収力がある産業や成長分野の失業なき労働移動を円滑に進めていくことが重要であると思われます。資料24ページには、一時的に雇用過剰となった企業と人手不足業種や成長分野の企業をつなぐ在籍型出向等による雇用の維持に向けたマッチング支援事業の事例も紹介されておりますが、こうした好事例についても、是非全国的な横展開を図っていただきたいと思います。一方的に話しまして失礼いたしました。以上です。
○小畑部会長 貴重な御意見、どうもありがとうございました。御意見として承りたく存じます。たくさんお手が挙がっているのですが、小林委員、お願いできますでしょうか。
○小林委員 労働者側委員、連合新潟の小林です。よろしくお願いいたします。私からは在籍型出向の周知について意見を述べさせていただきたいと思います。現在のコロナ禍においても、一体的事業の中において、地方自治体による地域実情に応じた支援、国・ハローワークによる就職支援などが行われています。これについては大変重要な取組だと思います。一方で、地方でも、コロナ禍の影響は長引いており、さらに感染が拡大をしている状況です。そのため、なかなか雇用情勢回復の兆しが見えてこないというのが現状であることを踏まえ、意見を述べたいと思います。
 資料2、コロナ禍の状況を踏まえた連携事例の中で御紹介いただいた岐阜労働局の取組のように、雇用維持を目的とした在籍型出向は、徐々に活用されてきています。在籍型出向は、働く者からすれば失業なき労働移動として、非常に重要なものです。コロナ禍においては業種によって、その影響のばらつきが非常に大きいですので、有効な手段ではないかと思います。
 しかし、地方では、この出向のマッチングを行う産業雇用安定センターの知名度がまだまだ低いところもあります。新たにグループ内企業の在籍型出向でも、産業雇用安定助成金の活用ができるようになったということも含めて、地域における制度などの周知・広報とともに、雇用維持のための在籍型出向が適正に活用されるよう、在籍型出向のマッチング好事例の水平展開を行っていただきたいと思います。また、一体的事業においても、こうした在籍型出向について、各地域の企業に対して周知をお願いしたいと思います。私からは以上になります。
○小畑部会長 どうもありがとうございました。本当にコロナ禍がなかなか収まらず、全国的に大変残念な状況になっておりますので、今の御指摘は大変重要かと存じます。御意見として承りたく存じます。それでは、たくさんお手が上がっていて、後になって申し訳ないのですが、鮎川委員、お願いいたします。
○鮎川委員 全国中央会の鮎川と申します。御説明ありがとうございました。国と地方公共団体との連携が着実に広がっており、利用者の方々の満足度も引き続き高いものがあるということを改めて認識をいたしました。コロナ禍において様々な取組の工夫をしておられる関係者の方々の御尽力に対して、先ほども御意見がありましたが、私からもまず感謝を申し上げます。その上で、私から2点申し上げたいと思います。
 いずれも先ほどあった御意見と重複いたしますが、まず1点目です。先ほどいろいろな事例を御紹介いただき、私自身、大変参考になりました。国と地方公共団体の連携した取組には地域性も関わってくるとは思いますが、その中でも他の取組事例はとても参考になるものではないかと思いますので、是非幅広な共有、横展開を図っていただければと思います。
 2点目は資料2の8ページですが、事業効果の向上に向けた今後の取組の方向性の中で、PDCAサイクルによる事業管理の徹底、メリハリのある事業運営との記載がありますが、ここは是非お願いをしたいと思います。先ほどの御説明の中でも、拠点によっては就職率が10%台の所もあるとのお話があったかと思いますが、特に実績が低調の所、またその状況が継続している所があれば、その要因の分析はしっかりと行っていただく必要があるのではないかと考えております。地方公共団体では税財源が使われる一方、国においては雇用保険財源からの手当がなされているものと承知しております。コロナ禍において雇用保険財政は非常に逼迫しており、そうした中では効率的な事業運営に努めていただく必要があるのではないかと思います。従来から意識していただいているとは思いますが、これまで以上に効果等や事後の検証というものを十分に行っていただければと考えております。私からは以上です。
○小畑部会長 承りました。それでは青木様、お願いできますでしょうか。
○青木委員 労働者代表委員の青木です。様々な事例報告をありがとうございました。御説明を頂きました資料2の7ページですが、一体的実施事業における就職件数等の推移のグラフを拝見すると、コロナ禍において職業相談件数は微減であっても、就職件数が大きく減少しています。このコロナ禍の影響で、マッチング機会の減少もあったということですが、求職者が希望する職に就くことができない、そのような状況にあったではないかと推察できます。今後も、しばらく現状のような厳しい状況が続くとすれば、この一体的実施事業において様々な事情を抱えた利用者が就職できるように、これまで以上に細やかな支援と工夫が必要ではないでしょうか。また、この就職件数の向上に向けて、窓口では、これまで以上に利用者一人一人に対応する時間なども増えてくることが予想されます。もともと人員不足である自治体やハローワークの現場では、新型コロナウイルス感染症対応によって業務量も増えており、個々の負担はますます大きくなっているところです。今後もコロナ禍において利用者への丁寧な対応や支援を行っていくためには、人員増を図った上で、オンラインでの対応なども含めた相談体制の強化が必要ではないかと考えます。以上、意見として述べさせていただきます。
○小畑部会長 意見として承ります。ありがとうございます。それでは漆原様、お願いできますでしょうか。
○漆原委員 労働者側の漆原です。私からは、オンラインを活用した求職登録や職業紹介のシステムについて意見を述べたいと思います。今ほどもお話がありましたが、コロナ禍は現時点では、なかなか収束を見通せない状況です。今後も、感染拡大の防止のため、あるいは育児・介護などのため、窓口まで行くことのできない求職者の方々への配慮として、オンラインによる求職活動は効果的だと考えております。
 その一方でハローワークの窓口ですとか、対面による相談活働もオンラインとは別の効果があると思いますので、引き続き、それを維持していただくことも重要だと考えております。御紹介いただいた、オンラインを活用して対象団体を経由しての職業紹介、その効果はあると思いますが、我が国はILO第188号条約を批准しておりますので、引き続き全国的体系の公的な職業安定組織を維持するだけでなく、ハローワークなどによる求人開拓や就職相談、そうした体制を更に強化していくことが今後も必要であると思っているところです。以上です。
○小畑部会長 御意見ありがとうございます。ずっと御意見を拝聴しておりますが、事務局から今まで寄せられた御意見について、何かお話はございますか。
○公共職業安定所運営企画室長 皆様、御意見ありがとうございます。多く頂いたのが、取り組んでいる事例の横展開をしっかりしていくということだと受け止めました。今、ホームページでも事例などを公表していますが、若干見にくいところもあるので、順次ホームページも改訂しながら、なるべく見やすくなるように工夫をしているところです。したがって、更にそれを進めて、事例が見やすく展開できるように工夫して取り組んでいきたいと思っております。そういったことで各事例を見ながら、各拠点において参考にしていただいて、全体としての底上げをより図っていくといったことで、利用者の方の満足度、あるいは就職に至るというようなものに結び付けていければと考えております。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。更に御発言がありましたら挙手をお願いできますか。皆様の御意見、十分に承れましたでしょうか。ほかに御意見や御質問などありませんか。それでは、次に議題2、その他について事務局から御説明をお願いいたします。
○公共職業安定所運営企画室長 事務局からですが、現時点で次回の開催の予定の具体的な日は決まっておりませんが、今後、開催の必要性が出た場合には部会長と御相談し、また各委員宛てに御連絡をさせていただきます。そのほか、こういった場のみならず国と地方公共団体の連携について、何か御意見、御要望、あるいはお問合せなどありましたら、御遠慮なく頂ければと思っております。よろしくお願いいたします。以上です。
○小畑部会長 ありがとうございます。それでは、以上をもちまして、本日の部会は終了とさせていただきたく存じます。なお、労働政策審議会の運営規程が改正されまして、議事録の署名が廃止となりました。ですから、今回より議事録署名人の指名は行わないということになっております。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。