照会先
労働基準局安全衛生部化学物質対策課
- 課長
- 木口 昌子
- 課長補佐
- 樋口 政純
(代表電話)03(5253)1111(内線5516)
(直通電話)03(3502)6756
報道関係者 各位
「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」の報告書を公表します
~化学物質への理解を高め、自律的な管理を基本とする仕組みへの見直し~
厚生労働省の「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」(座長:城内博 (独)労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所化学物質情報管理研究センター長)は、このたび、化学物質管理に関する規制の見直しについて報告書をとりまとめましたので、公表します。
現在、国内で輸入、製造、使用されている化学物質は数万種類に上り、その中には危険性や有害性が不明な物質も少なくなく、法令規制対象外の物質が引き起こす労働災害が頻発しています。
この課題について、令和元年9月に学識経験者、労使関係者による検討会を設置し、国際的な規制動向も踏まえ、15回にわたり議論を重ね、職場における化学物質等の管理のあり方を検討してきました。
厚生労働省は、この報告書を受けて、速やかに労働安全衛生法に基づく関係法令の改正の検討を進める方針です。
- 報告書のポイント
- 基本的な考え方
- 労働者のばく露防止対策等を定めた化学物質規制体系を、化学物質ごとの個別具体的な法令による規制から、以下を原則とする仕組み(自律的な管理)に見直す。
- ばく露濃度等の管理基準を定め、危険性・有害性に関する情報の伝達の仕組みを整備・拡充する。
- 事業者はその情報に基づいてリスクアセスメントを行い、ばく露防止のために講ずべき措置を自ら選択して実行する
- 化学物質の自律的な管理のための実施体制の確立
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- 化学物質を譲渡・提供する場合のラベル表示・安全データシート(SDS)※1交付を義務づける対象を、約2,900物質※2(現在、約700物質)まで拡充する。
また、これらの物質の製造・取り扱いを行う場合、リスクアセスメントとその結果に基づく措置の実施を義務づける。- ※1化学物質の性状、危険有害性、取り扱い上の留意点等を記載したデータシート。国連の定めた国際基準(GHS)に基づき作成される。
- ※2国によるGHSに基づく危険性・有害性の分類の結果、危険性・有害性の区分がある全ての物質
- ラベル表示等を義務づける物質のうち、国がばく露限界値(労働者がばく露する濃度の上限値)を定める物質は、その濃度以下で管理することを義務づける。
- 規制対象物質の製造または取り扱いを行うすべての事業場について、化学物質管理者の選任の義務づけや職長教育、雇い入れ時と作業内容変更時に教育を行う対象業種を拡大する。
- 化学物質を譲渡・提供する場合のラベル表示・安全データシート(SDS)※1交付を義務づける対象を、約2,900物質※2(現在、約700物質)まで拡充する。
- 危険有害性情報の伝達強化
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- 安全データシート(SDS)の内容充実(推奨用途と使用制限の項目追加等)と定期的な更新を義務づける。
- 事業場内で他の容器に移し替えるときのラベル表示等を義務づける。
- 特定化学物質障害予防規則等に基づく個別の規制の柔軟化
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- 特定化学物質等に関する健康診断を、一定の要件を満たす場合に緩和する。
- 化学物質の高濃度ばく露作業環境下でのばく露防止措置を強化する。
- がん等の遅発性疾病に関する対策の強化
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- がんの集団発生時の報告を義務づける。