第145回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和2年12月25日(金)10:00~12:00
 

場所

厚生労働省 オンライン及び職業安定第一会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館12階)

議事

議事内容
○伏木雇用保険課長補佐 皆さん、おはようございます。
 本日もお忙しい中、ありがとうございます。
 事務局から開催に先立ちまして、オンラインの御案内だけ差し上げます。また、これまでタブレットの開催が多かったですが、今日は機材の都合上、紙の資料になってございますので、オンラインの案内のみさせていただきます。
 一部の委員の皆様はZoomを利用して御出席いただいております。本日も部会の進行中は、委員の皆様のマイクはオフとさせていただきます。発言なさる際は画面上で挙手いただいて、部会長から御指名があった後、マイクをオンにして御発言をいただきますようお願いします。
 会議進行中、通信トラブル等ございましたら、チャットないし御案内しております電話番号まで随時御連絡をいただければと思います。また、大きな通信遮断等ありましたら、部会を一時休憩とすることもあり得ますということは、会場の皆様も含めて御容赦くださいますようお願いします。
 オンラインに関する説明は以上となりますので、部会長、よろしくお願いいたします。
○阿部部会長 おはようございます。
 それでは、ただいまから第145回「雇用保険部会」を開催します。
 本日の委員の出欠状況ですが、使用者代表の湊元委員が御欠席です。オンラインでの御出席は、公益代表の中窪委員、小畑委員、田島委員、水島委員です。なお、使用者代表の湊元委員の代理として、日本商工会議所産業政策第二部担当部長の杉崎様が出席されます。よろしくお願いいたします。
 なお、事務局の田中職業安定局長は所用のため、一時退席される予定となっております。
 それでは、議事に移ります。
 本日は、議題が3つございます。まず、議題1の「財政運営について」です。まずは事務局から資料について御説明いただき、その後、委員の皆様に御議論いただきたいと思います。それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○伏木雇用保険課長補佐 では、伏木から御説明差し上げます。
 お手元の資料、資料1の財政運営をお開きください。
 雇用保険の財政状況につきまして、11月のこの部会でも概算要求の状況ということで、一度御説明を差し上げておりましたけれども、今般、この間に令和2年度の三次補正予算、令和3年度の当初予算案をそれぞれ政府案として閣議決定してございまして、その内容も含めて本日御説明を差し上げるというものでございます。
 1ページ目、黄色く色づけしているところが、令和2年度の三次補正後予算案、ピンクの色づけのところが令和3年度の予算案というところでございます。
 上から2段目の保険料収入でございますけれども、令和2年度において保険料率は1,000分の2としておりました。令和3年度の当初予算を組む際に当たっても、同じく1,000分の2として予算案を組んでございます。
 ※1に注釈を書いています。もともと育児休業給付の保険料率を区分したということと、令和2年度、3年度は暫定的に2引き下げている状態にあります。その上で積立金の状況に応じて1,000分の4の範囲内で変動させることが可能ということで、それを踏まえた設定としてございます。弾力条項のことにつきましては、この後、御説明を差し上げます。
 続きまして、支出の欄です。うち失業等給付費ということで、令和2年度の三次補正後予算案においては二次補正から変えてはおりません。この範囲内で令和2年度内はやっていくという予定です。令和3年度の予算案については、1,000億ほど2年度よりも高い数字を積んでいます。後ほど御説明します。
 令和3年度の収支ですが、差引剰余としては、マイナス1兆3,500億ほどという数字になります。
 積立金残高になりますが、それに先立ちまして、その一つ下の雇用安定事業への貸出の欄を御覧ください。これまで雇用調整助成金等に使うために、二次補正後の5,000億円を貸出ししていると御説明してまいりましたけれども、この後、二事業の御説明もしますが、三次補正後予算においては5,797億円、令和3年度の当初予算では6,100億円の追加的な貸出しをするという予算にしております。
 ということで、まず、令和2年度が予算どおり全てを消化したとすれば、実際の積立金残高としては2兆1,323億円で、令和3年度いっぱい、4年の3月まで、予算どおり消化したとすれば、積立金残高は1,722億円ということになります。一番下にその貸出しの累計を掲載してございますが、1兆6,900億円ほどというところになってまいります。
 おめくりいただきまして、これは積立金ないし保険料率等のグラフであります。過去最高6兆円あったものについて、貸出し分はあるということではありますが、それを除けば御覧のようなグラフになります。また、青い折れ線グラフが失業等給付の計算のベースになる受給者実人員という数字です。令和元年度までは確定値ということで、一月当たり39万人程度だったのですけれども、令和2年度は補正後予算で年間にならすと54万人ほどという水準です。令和3年度は少し高めに積みましたと先ほど言いましたけれども、59万人ほどということで想定しています。2ページの御説明は以上です。
 3ページに、先ほど54万人とか59万人とか申し上げましたが、足元の実際の各月の受給者実人員としては、やはり55万人、53万人で、実は本日は11月分がちょうど公表のタイミングですが、御参考までに、今、49万人ほどということにはなっております。
 続きまして、4ページは雇用保険二事業の収支状況ということです。先ほどと同じく黄色が三次補正後予算、ピンクが3年度の当初予算ということです。保険料収入につきましては、保険料率1,000分の3として、令和2年度、令和3年度ともに計算をしています。一般会計からの受入れと積立金からの借入れで、積立金からの借入れが先ほど申し上げた額に対応してございます。
 支出の欄に転じていただきまして、雇用調整助成金等ということにしていますが、まず、雇用調整助成金です。黄色の欄で、まず予算の数字として今回、1.3兆円ほど積み増しをしています。なので、2兆7,849億円という数字になっています。
 ただし、その横に赤い枠をつけていますが、雇用調整助成金の支給等を円滑に行うために、雇用勘定の中でのやりくり等を実施しています。具体的には予備費として550億円。また、雇用安定資金を直接取り崩すという規定がありまして、一番下にマイナス1,000億円として予算総則に基づく組入れというものがあるのですが、そうしたものも活用して1,000億円を取り崩しています。また、雇用保険二事業の中のほかの事業の執行状況等を見まして、支障がない範囲でこちらの雇用調整助成金にも活用するということを合わせまして、令和2年度においては3兆5,882億円の支出が可能なように対応しています。
 令和3年度の予算案のところでは、6,117億円を計上しています。雇用調整助成金の執行状況は今も一定数出ていますけれども、今のペースで行けばおおよそ2年度内に3兆円ほどと思われます。そこからやや余裕を見た数字が3.6兆円ということで今、申し上げましたけれども、2年度内に休業した分が3年度の最初のほうに申請が出てくるとかいったこともありますので、要は3.6兆円から一定浮いた部分がもし出れば、3年度に繰り越してそこを使うということもある程度は想定されるということであります。
 その一つ下の欄で、産業雇用安定助成金というものを新設で計上しています。若干新聞報道等でもありましたけれども、出向に対する助成ということで、新たな助成でしっかりと実際に働いていただいているところに助成していくということで、これだけの金額を積んでいます。
 その下、上記以外というところは、雇調金とかを除いたこれまでの二事業で実施してきたような事業であります。令和3年度におきまして、5,873億円ということですが、保険料収入が5,878億円とほぼ同じレベルで赤が出ないような形での運営としております。
 差引剰余ということで、令和2年度はマイナス1兆3,500億円ということですが、令和3年度においてはゼロということになります。こちらは積立金から幾ら借り入れるかというところで、黒が出ても結局積立金の借入れのところで調整するという形で、ここの部分はゼロという数字になります。安定資金の残高は864億円で、こちらは2年度が終わった段階であっても3年度が終わった段階であっても、同じく864億円を想定しているというものであります。
 5ページは雇用保険二事業のグラフであります。安定資金残高は令和元年度末においては、1兆5,000億円ほどあったわけですが、2年度、3年度においては864億円で、これに加えて借入額がこの吹き出しの額だけになっていますということであります。
 6ページは、後ほど御説明すると申し上げましたが、弾力条項について御説明します。まず、失業等給付のほうでありますけれども、今、法律上の原則は、育休を除いて原則1,000分の8が労使折半ということです。それが暫定的に2下がっているので、令和3年度まで1,000分の6です。一定の要件を満たす場合には、雇用保険料率を変更可能というのが弾力条項であります。
 弾力条項の計算式はその下にありますが、弾力倍率が2を上回っていれば、1,000分の4まで引き下げることが可能ということです。これは決算額で確認をしますので、赤字にありますとおり、今ですと令和元年度の決算額を元に計算することになります。それが計算しますと2.36という数字になりますので、1,000分の2までの引下げが可能ということであります。
 こちらは労働政策審議会の意見も聞いて変更することができるという規定も下にありますけれども、11月に御説明した際にも若干御意見などをいただいておったかと思いますが、本日もこうした点の御意見等があればいただければと思います。
 7ページは、雇用保険二事業の雇用保険料率です。こちらは、原則は1,000分の3.5で事業主の負担ということです。一定の要件を満たす場合には、大臣による変更が可能ということではなく、必ず自動的に変更されます。こちらも同じく令和元年度の決算額で計算しますと2.52ということになりますので、令和3年度の保険料率は判断ということではなくて自動的に1,000分の3に引き下がります。
 8ページは御参考ですが、今年の3月の法改正で弾力条項の見直しについても御審議をいただいております。その内容がこちらになります。計算式の中で、景気変動によって影響を受けない給付も一緒に計算してしまうと、必要以上に積立金を積み立ててしまうのではないかといった議論をした上で、このような計算式に変更するということになっています。ただし、これが水色の右上にありますが、令和2年度の決算からこちらの計算式を使うということになりますので、本日は参考としてお示しをしています。
 9ページは、雇用調整助成金の特例などに関する、これまでもお示しした資料です。御参考です。
 10ページは、雇用調整助成金の支給状況についてということで、今は12月18日までの数字が入っています。一番右下で支給決定額の累計、雇用勘定で言えばうち雇用調整助成金という欄を御覧いただければと思いますが、2兆2,909億円という数字になっています。
 11ページは、休業支援金・給付金で、こちらは合計ということで恐縮ですが、一番右下に528億6,900万円という支給状況であります。
 12ページ、13ページは国庫負担でありますとか、これまでの推移についての資料で御参考ということですので、説明は割愛させていただきます。
 私からの説明は以上です。よろしくお願いします。
○阿部部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の説明に関しまして、御質問や御意見がありましたら、お願いします。いかがでしょうか。
 では、仁平委員、その後に杉崎代理にお願いしたいと思います。
○仁平委員 ありがとうございます。
 資料の12ページに国庫負担についての資料がございます。雇用保険の国庫負担率の引下げ措置はこの審議会でも議論してまいりましたが、雇用保険財政の安定的な運営が維持されると見込まれるという前提に立っていたところ、もはやその前提というのは崩れているのではないかと考えております。
 令和4年度については、ぜひ本則の25%に復帰するということを強く求めたいと思いますし、来年度においても緊急対応も含めた措置を取ることができるように、早急に検討していただきたいと思います。
 以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。
 それでは、御意見として承りたいと思います。
 では、杉崎代理、お願いいたします。
○湊元委員(代理 杉崎担当部長) ありがとうございます。
 雇用調整助成金の利用が進んでいる中で、日商が本年9月に実施いたしました調査で、新型コロナによる経営への影響が続いている企業のうち、雇用関連の対応として「従業員の人員整理を検討・実施」と回答した企業は、4月、6月調査に引き続き、わずか4.3%にとどまっておりますことから、多くの中小企業は雇用調整助成金を活用しながら「事業の存続」と「雇用の維持」に懸命な努力をしているということがうかがえます。
 こうした中で、雇用調整助成金の特例が2月末まで延長されることは、感染が再び拡大基調にある中で、大変に心強い措置でございます。加えまして、さらなる延長を求める声が多いことから、現在の特例措置は3月末まで延長していただくとともに、雇用情勢を注視しながらその後の再延長についても柔軟に検討していただきたいというのが商工会議所のスタンスでございます。
 一方で、二事業関係収支の動向を踏まえますと、弾力条項により、二事業の保険料率は、令和4年度に1,000分の3から1,000分の3.5に引き上がるということが予想されます。二事業の財政を回復させ、保険料率をできるだけ早期に1,000分の3に戻すためには、事業主の意見や費用対効果を十分に勘案の上、コロナ対策以外の事業は大幅な見直しを断行すべきであると考えております。
 また、コロナ禍は国家の非常事態であることから、雇用調整助成金など、雇用維持に係る支援は一般会計による国費で負担すべきです。最低賃金や事業主拠出金など、企業の負担が増加していることから、二事業や失業等給付に係る雇用保険料は、将来にわたり引き上がることがないよう、強く要望いたします。
 なお、コロナ禍で失業等給付の積立金残高も急速かつ大幅に減少しております。したがいまして、時限的に本則の10分の1としている国庫負担率の引下げに係る措置は、昨年12月の雇用保険部会報告や衆参厚生労働委員会での附帯決議、雇用保険法附則第15条の規定に則り、令和3年度までの2年間に厳に限るべきであり、令和4年度以降は安定した財源を確保し、本則に戻すべきであることを主張いたします。
 以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
 御意見として承りたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、菱沼委員、お願いいたします。
○菱沼委員 ありがとうございます。
 まず、資料4ページのほうで、雇用保険二事業の数字を出していただいたかと思います。三次補正後の数字で一般会計から約1兆800億円の受入れと、失業等給付の積立金から約1兆800億円とほぼ同額の借入れを受けて、保険料収入と合わせた約2兆7,000億円の収入で制度を支えていくというのは資料にあるとおりかと思います。
 一方で保険料収入は、約5,800億円で来年度も続いていくかと思うのですけれども、ほぼ一定の保険料収入で倍以上の額を果たして返せるのかどうかというのがちょっと不安でございます。これまで使用者側委員から再三主張していますように、事業主負担だけの保険料だけではこの制度が成り立たなくなってきているのは明らかなのだということで、一般財源の対応を強く申し上げたいというところでございます。
 また、1ページに戻り、失業等給付の収支状況などを見ますと、令和3年度の安定資金残高については、雇用保険二事業への貸付けとかがあることは承知していましても、約1,700億円という積立金残高という厳しい現実を突きつけられたのかなというところでございます。
 来年度、この制度そのものの在り方が問われる1年になるかと思いますので、公労使で知恵を出しながら雇用保険制度というセーフティーネットを維持すべきだと考えておりますので意見として申し上げます。
 以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。
 御意見として承りたいと思います。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 3点申し上げたいと思いますけれども、まず、これまでも既に意見が出ておりますが、積立金と安定資金の両方とも令和3年度で過去最低額ということで、財政にしても厳しい状況というふうに理解しました。そこで、一般財源を投入して手当をしていくべきなのではないかと思っておりますし、少なくとも国庫負担は原則の負担割合に戻していくべきと考えております。
 2つ目ですけれども、経済が回復するまでは雇用保険料率の引上げは避けるべきだと考えております。
 最後、3点目ですけれども、今回の感染症拡大といった場合にまで事業主の負担だけで賄う雇調金で対策を行うことはもはや限界なのではないかと考えておりますので、一般財源を活用した新たな仕組みの整備が必要なのではないかと思っております。
 以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、ほかに御質問や御意見がないようでしたら、今回、いろいろと皆様からいただいた御意見を踏まえまして、雇用保険財政について、またいずれ審議をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次の議題に移りたいと思います。議題2でございますが「育児休業給付について」です。初めに、事務局から資料について御説明いただきまして、その後、委員の皆様に御議論いただきたいと思います。それでは、事務局、お願いいたします。
○伏木雇用保険課長補佐 続きまして、資料2について御説明します。
 資料2ですが、資料2-1と2-2の2つに分かれておりますので、お手元を御確認ください。横置きの2-1と縦置きの2-2であります。もし、足りない等ありましたらお知らせください。
 まず、横置きの紙で説明を差し上げます。
 おめくりをいただいて「(1)男性の育児休業取得促進策等について」という資料になります。11月のときも少し御説明しましたが、均等分科会のほうで検討が進められております男性の育児休業取得促進策等についてという部分であります。
 3ページを御覧いただきまして、本日は若干データ等も交えながら御説明差し上げたいと思います。育児休業取得率の推移ということで、女性は80%程度の高い率が続いていますが、男性は水準としては低い。近年、上昇傾向ではあるけれども、足元7.48%ということであります。
 4ページに参りますと、男性が伸びてきているというところは、育児休業給付の支給状況というところでも男性の受給者数はおおむね2年で2倍というペースで増えてきているというところでも現れているかと思います。
 5ページは、出産・育児を目的として休暇・休業を利用しなかった理由というアンケート調査であります。青いところが上位3つということで、会社で取得しづらいとか整備されていない、収入を減らしたくなかったからという理由に加えて、赤いところの残業が多い等業務が繁忙であるとか、自分にしかできない仕事や担当している仕事があったからという業務上の理由というものが男性については女性よりも多い割合で回答があるのかなと見受けております。
 そうした状況も受けまして、均等分科会のほうで議論をされているということでありますが、横置きの資料のほうでは12月14日の均等分科会の資料をお出ししていますが、縦置きの資料のほうが昨日開催された均等分科会の資料ということで、「男性の育児休業取得促進策等について(案)」ということで、これは審議会の建議の素案という形で示されているものでありますので、こちらで御説明をしたいと思います。資料2-2を御覧ください。
 「はじめに」として、今、少し申し上げたようなことも含めて検討の背景が説明されています。
 具体的な制度のところについての御説明をしますと、2ページに入っていただきまして、男性の育児休業促進策について、「(1)子の出生直後の休業の取得を促進する枠組み」として柔軟で利用しやすい制度として、実際に男性の取得ニーズの高い子の出生直後の時期について、現行の育児休業よりも柔軟で取得しやすい新たな仕組み、新制度を設けることが適当であるという案が示されています。その制度を育児への入り口と位置づけて、さらに男性が育児に参画していけばということが書かれています。
 一番下のポツですが、法的な構成としては、現行の育児休業と同様に労働者の申出により取得できる権利という形での創設を案として示されているということであります。
 3ページに行っていただきまして、その対象期間ないし取得可能日数等というところで対象期間としては、出生後8週とすることが適当であるという案になっています。その中で、取得可能日数ということでは、4週間とすることが適当である。要は、子供が出生後8週の間に4週間の休業を取得できるという新しい枠組みを設けるということが適当であるということがこの建議の素案ということであります。
 その下にもう少し具体的な要件や手続が示されております。申出期限について、今だと1か月前に言いましょうというところの柔軟化ということが書かれています。その下に分割ということで、この8週以内に4週という中で分割して2回取得可能とすることが適当である、撤回したら1回分ということも含めて書いてあります。
 その下、休業中の就労ということで、この出生後8週以内というのは女性が産後休業の期間中であるということも踏まえて、労働者の意に反するものとならないことを担保した上で、労働者の意向を踏まえて、ページをめくっていただいて、事業主の必要に応じ、事前に調整した上でですが、就労を認めることが適当である。11月のときにも少し御説明したのが、今の育児休業制度があくまで一時的、臨時的で、急に必要が生じた場合に例外的に就労することが認められている中で、こちらの新しい制度の中では、事前に調整した上での就労を認めることが適当であるとされています。
 さらにその下、対象労働者等々については、現行の育児休業と同様の考え方で設定することが適当であると示されています。
 その続きも御説明しますが、(2)は労働者に対する個別の働きかけや環境整備ということで、給付制度には直接的にはあまり関係してこないので説明は割愛させていただきます。
 5ページに行っていただきまして、「(3)育児休業の分割取得等」という項目があります。こちらは、先ほどの新しい仕組みとは別途、育児休業のほうの柔軟化ということであります。夫婦交代で育児休業を取得しやすくする等の観点から、分割を可能とすることが適当である。分割の回数は2回とすることが適当である。撤回したら1回分ということは先ほどと同じです。
 また、1歳以降の延長の場合の取扱いということで、こちらは現行制度だと1歳のときと1歳半のときに延長が必要かどうかという判断があって、そのときに夫婦で交代することがあり得たのですけれども、そこの交代のタイミングというものを柔軟化してはどうかと。その結果、男性とかがもともと1歳までに分割して取得していた場合であっても、さらに交代することもあり得るものということが記載されています。
 その下の(4)は育児休業取得率の公表の促進等ということで、こちらは説明を割愛いたします。
 6ページに参りまして、2のその他、有期雇用労働者の育児・介護休業取得促進についてということで、雇用形態にかかわらず、育児・介護休業を取得しやすくなるよう、今、入っている引き続き雇用された期間が1年以上あるという要件について、無期雇用労働者と同様の扱いとすることが適当であるとされています。こちらは、育児休業給付、介護休業給付においても引き続き雇用された期間が1年以上であるという要件を設定しておりますので、育児・介護休業制度のほうでこうした議論がされているということで御説明を差し上げます。
 最後の中小企業への支援については、説明を割愛いたします。
 そうしたことで、均等分科会のほうで建議の素案ということで、おおむね議論の取りまとめに向けた動きになっていますが、大きくは新しい男性の出生直後の休業制度を創設すること、本体の育児休業を分割できるようにするといったこと、有期雇用の労働者の方々の要件を無期の方々と扱いを合わせていくということが大きく検討されているということであります。
 そういったことで育児休業制度ないし介護休業制度についての検討が進められているという状況であります。後ほど、論点という形で改めてお話はさせていただきます。
 続きまして、資料としては11ページの次になりますが、「(2)育児休業給付の効果等について」という中表紙が入っています。資料は13ページ以降になります。
 前回、部会長からも御指摘がありましたが、育児休業制度の在り方を議論するに当たって、育児休業給付がこれまで与えてきた効果のようなことも含めてエビデンスをもって議論をすべきではないかという御指摘もいただいておりましたので、できる限り整理をしたもので御説明を差し上げます。
 13ページは制度の変遷ということで、詳細な説明は割愛をさせていただきます。
 14ページですけれども、参考論文といたしまして『育児休業給付金と女性の就業』という論文の概要をお示ししています。前回、部会長からもこうした論文があるよという御示唆をいただいておったものであります。これを事務局の責任においてまとめた概要ということで御了承ください。
 内容ですけれども、就業構造基本調査を用いて、制度改正の前後の就業継続率というものを見たということです。制度改正といいますのが、※にあるとおり、平成12年の改正の前後を捉えておりまして、このときは育児休業基本給付金というものを10%上げて20%から30%、職場復帰給付金を5%から10%に引上げという改正が行われたときであります。トータルすると、25%が40%に引き上がったということであります。
 その分析結果として、以下のような点が示されているとしています。
 1つ目として、給付金の増額によって法改正後に出産した母親の就業継続率が上昇することが予想されたが、出産2年前から1年後の4地点で確認をしたところ、大きな差がない。下のグラフで、実線と点線でそれぞれグラフがありますけれども、大きな差がないということであります。父親は全体的に高いままということでありますが、要は、3つ目のポツで、労働市場でそう大きな変化があったわけではないという意味でも示されております。
 4ポツ目で、この点の考察としてですけれども、休業後の子育てと就労の両立が難しい。給付率の引上げが、子供が1歳になるまでの収入は増加させるが、その後の収入には大きな変化をもたらさない。働きながら育児をするためには、時間的・金銭的に大きなコストがかかるということを踏まえると、25%から40%と申し上げた点ですが、15%ポイントの給付率の引上げでは就業を継続することの利得を大きく改善はしなかったのだろうという形で示されております。
 続きまして、15ページは出産前有職女性の就業継続率を推移でお示ししたグラフであります。古くは1985年から始まってずっと出ていますけれども、特に正規職員の方は大きく就業継続率が上がっている。その中でも、水色になっているところは、育休を利用して就業継続している方の率ということで、棒グラフの中でも水色の部分の率がかなり高まっているということかと捉えております。パートにつきましても、そこまで高くはないですが、実際に上昇傾向にあるということです。
 こうした就業継続率の推移と、青字で書いています育児休業制度ないし育児休業給付の支給率の変遷とを重ね合わせたものであります。もちろんのことながら、単純にこれが上がったからここの数字が上がりますというふうに端的に関連づけることは難しいと思いますし、先ほど御紹介した参考論文もこうしたことの関連性の分析にトライした一つのものだと考えていますが、全体としてその制度の発展、社会への浸透の状況に応じて、このように就業継続率という形では目に見えて上がってきているというのが事実としてあろうかと思います。
 続きまして、16ページは育児休業給付の支給状況ということで、先ほどもお示ししていたものですが、就業継続率が上がって、さらにその中でも育休を使った就業継続の方の割合が増えてきているということで、こちらはその初回受給者数というところで着実にといいますか、人数としても増えてきているという状況が見てとれます。
 17ページは雇用保険のデータを活用しまして、育児休業給付を受けていた方の雇用継続の状況というものを取りました。過去にもお示しをしたことがありますが、今回は平成30年度の数字というものを集計して入れているということであります。囲みの中に書いていますが、受給終了後に6か月以上雇用が継続している方の割合ということで拾っています。この間、制度変遷の中でもありましたが、職場復帰給付金と基本給付金を分けていた時代から、給付を一本化したときまで含んだ推移ということでありますが、この職場復帰率という意味では大きな変化は見られない。かつ、80%を超える水準で少しずつですが割合が伸びているというのが数字として見てとれるということであります。
 ということで、できる限りでありますが、育児休業給付の効果等について事務局で整理してお示しできるものをお示しいたしました。
 続きは(3)ということで育児休業給付の財政状況であります。
 19ページは、育児休業給付関係収支状況ということで、先ほど失業等給付と雇用保険二事業について御説明しましたが、こちらは育児休業給付に関する収支状況で、三次補正後予算と3年度の当初予算案をお示ししているものであります。育休については、2年度中補正ということは入っていませんので、数字はずっと変わりませんが、予算上は差引剰余が750億円を積み立てる計算で、令和3年度の当初予算では600億ほどを積み立てるという計算にしています。
 20ページにもう少し長い年次での財政運営試算をお示ししています。昨年、区分して経理をしていくというときに、保険料の水準は1,000分の4を設定すると大体5年ぐらい安定した運営が可能であるということでお示ししたものであります。それについて、足元の状況も踏まえてリニューアルをしたのが20ページの資料です。
 収入のところでは国庫負担とかの暫定措置の扱いを反映した数字としていますが、支出の欄については、これまでの育児休業給付の伸びを踏まえて、これからも一定のペースで伸びていくことを織り込んだ試算にしています。
 差引剰余として、令和4年度まではプラスを計上、令和5年度からマイナスに転じて、資金残高というところである程度は積み立てたものを崩すことで5年程度は安定運営が可能。こちらは、昨年お示ししたものからこうした状況に変わりはないという意味で、こちらの資料をお示ししています。
 注2のところを少しだけ申し上げますと、育児休業給付の令和2年度の支出については、この後申し上げますのがやや高い水準になっていると思います。令和3年度以降の支出を計算するときには、2年度は例外的に高いものと捉えて、その前の令和元年度から年8.3%の伸びという前提を置いて計算させていただいています。この年8.3%というのは、男性と女性に分けて計算しているわけではないですが、男女の過去3年の同じ平均を取ると、女性で言えば7.8%、男性で言えば38.1%という割合で延伸して見込んでいるというものであります。
 21ページに、その育児休業給付の支給状況ということで、平均8.3%はここを取っていますというのを赤枠でつけています。男性と女性を分けると、と申し上げたのは、右に男性、女性の内訳が入っていますが、これの3年平均ということで計算すると、先ほどのような数字になるということであります。
 おめくりいただきまして、こちらは足元、月別の支給状況ということで、前回も少し御説明をしましたが、令和2年度の各月の支給が前年よりも20%とか高い割合で伸びて推移しています。
 こちらの要因として、恐らくこういうことが考えられるということで、23ページに支給終了者、育休を延長する方の状況をお示ししていますが、支給終了ではなくて育休延長に入る方が例年よりも多いのは恐らくコロナの影響だと思われるので、そういった意味で令和2年度の支出が例外的に伸びている状況と捉えております。
 というのが、育児休業給付に関する財政状況の御説明であります。
 24ページにまいりまして論点ということですが、11月のときとある程度同じようなもので、1つ目が男性の育児休業取得促進のために検討されている新たな枠組み等の育児休業制度の変更が行われた場合に、それに応じた育児休業給付における対応をどのように考えるかということで、先ほど大きく3つ、新しい枠組みをつくりましょうという話、育休の分割の話、有期雇用の労働者の取扱いの話がありましたけれども、こうした新たな休業制度のほうでの制度検討がなされていることを踏まえて給付制度のほうにおいて、どのような取扱いをするか、給付のほうでも新しい制度をつくるかどうかということも含めての御議論をいただければということであります。
 論点の2つ目は、育児休業給付そのものの在り方ということですが、制度改正経過、就業継続率の変遷等を踏まえて、中長期的な観点から育児休業給付の効果や制度の在り方についてどのように考えるかということも併せて御意見、御議論をいただければと思っております。
 そこから後ろは参考資料ということになりますので、説明は割愛いたしまして、私からの説明は以上といたします。
○阿部部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問や御意見がございましたら、お願いします。
 それでは、杉崎代理の手が挙がっていますので、お願いいたします。
○湊元委員(代理 杉崎担当部長) ありがとうございます。
 私は雇用環境・均等分科会の委員をしておりまして、昨日も、分科会での審議に参加いたしました。まずもって、男性の育児休業取得促進策は、現在、雇用環境・均等分科会で議論している最中であり、結論は確定しておりません。現時点で資料24ページに記載の論点について議論するのは適切とは言えないと思います。あくまで雇用環境・均等分科会における結論が出た後に議論すべきであると考えます。
 したがいまして、本日は仮に雇用環境・均等分科会で提示されている男性の育児休業取得促進策が事務局案の方向で確定することを前提に発言したいと思います。
 まず、1点目の論点である「新たな枠組み等の育児休業制度の変更が行われた場合、それに応じた育児休業給付における対応」につきまして意見を申し上げます。
新制度につきましては、男性の育児休業取得の促進に向け、現行よりも柔軟で取得しやすい制度として分割取得ができることも視野に入れて、創設に向けた検討が現在なされております。また、新制度を取得した後に、現行の育児休業制度を取得することも想定されています。
 したがいまして、新制度を取得した場合には、育児休業給付の対象とすること、また、新制度と現行制度の両方を取得する場合、67%の給付期間は通算すること、さらに、賃金と給付の合計額が休業開始時賃金日額の80%を超える場合は超える額を減額することが、政策的に自然ではないかと考えます。
 育児休業給付率につきましては、昨年末に策定された雇用保険部会報告に、「当面、現行の雇用保険料のうち1,000分の4相当とすべき」ということが明記されております。
また、我が国の育児休業給付率は既に諸外国と比べても相当程度高い水準にありますし、新制度は一時的、臨時的な場合に限らず、予定した就労が認められる見込みであること、さらに資料の14ページに記載のとおり、育児休業給付金の引上げは母親の就業継続の促進に寄与しない旨の研究結果もございます。
 加えまして、多くの中小企業から最低賃金や事業主拠出金、社会保険料等の負担増が続いている中で、給付率の引上げは雇用保険料負担の増加に直結するので慎重に検討すべきであるという声が聞かれております。
したがいまして、育児休業給付率は現行水準を維持すべきです。
 一方で、新制度を含む男性の育児休業取得促進策が具現化されますと、男性の受給者数はさらに増加すると思われることから、育児休業期間中の保険料免除の手続きに関して、事業主の負担を軽減する措置を講じていただきたいと思います。
 次に、2点目の論点である「中長期的な視点から、育児休業給付の効果・制度の在り方」につきまして意見を申し上げます。
資料20ページの「育児休業給付費の財政運営試算」を見ますと、令和3年度以降は、令和元年度支出額に年8.3%増で延伸し、令和4年度以降の国庫負担は本則の55%で計算されている仮定の下で、差引剰余は令和5年度以降に赤字になると試算されております。
新制度を含む男性の育児休業取得促進策が具現化されますと、男性の受給者数はさらに増加すると思われることから、実際にはこの試算よりも厳しい財政運営になることも予想されます。
 一方で、失業等給付はコロナ禍で積立金残高が急速かつ大幅に減少しており、令和4年度には弾力条項に加え、時限的引下げ措置もなくなる予定であることから、料率は1,000分の2から本則の1,000分の8まで一気に引き上がることが考えられます。また、二事業の保険料率も弾力条項により、令和4年度から1,000分の3.5に引き上がることが予想されます。 
こうした状況を踏まえまして、令和4年度以降の育児休業給付に係る国庫負担率は安定した財源を確保の上、本則に戻すべきであります。
その上で、財政措置を講ずる必要がある場合には、育児休業給付に係る雇用保険料率を引上げ、企業にさらなる負担を強いるべきではなく、あくまで少子化対策は国の最重要政策の一つであり、社会全体で子育てを支えていく観点から、国庫負担率の引上げなど税による恒久財源で賄うべきであると主張いたします。
 以上でございます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
 事務局で何かコメントはございますか。よろしいですか。では、御意見として承りたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 ありがとうございます。
 素案の現在の状況について御説明いただきましたが、雇用環境・均等分科会で今後の審議も踏まえて本委員会として議論を進めていくものだと認識しております。その上で、前回も申し上げた意見ですが、少子高齢化は重要な政策課題であり、今すぐにでも取り組むべき課題だと思っておりますので、政府全体の責任の下で一般財源により実施していただくことが適当だと思っております。コロナ禍の下で、家計も企業も大変厳しい状況でございまして、新たな負担に耐えられる状況ではないと考えております。
 また、2番目の論点である中長期的な観点での育児休業制度の在り方についても、時機を見て、育児休業給付全体を一般会計の支出に切り替えていくべきではないかと思っておりますので、意見として申し上げたいと思います。
 以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。
 それでは、田島委員、何かございますか。
○田島委員 先生、大変恐縮なのですけれども、急用が発生しまして、ここで退席させていただきたく存じます。申し訳ございません。
○阿部部会長 了解しました。
 それでは、水島委員、お願いいたします。
○水島委員 ありがとうございます。
 均等分科会の議論はまだ進行中ということですけれども、2点質問があります。
 子の出生直後の休業について、報道では父親産休や男性の産休という表現がありました。分科会では、育児休業に分類するという理解でよろしいでしょうか。これが第1点です。
 仮に、育児休業に分類するという方向でまとまっている場合、分科会では、休業期間中の経済的保障について、何か御意見はあったのでしょうか。産休という名称であれば、健康保険に類するものとして、例えば健康保険法の枠内で行うといった議論も考えられるところですが、健康保険の枠内で行うのではなく、雇用保険で行うべきといった意見はあったのでしょうか。あるいは、経済的保障の議論は特になかったのでしょうか。
 まず、質問を2点させていただきます。
○阿部部会長 それでは、事務局からお願いいたします。
○佐藤職業生活両立課長 職業生活両立課長の佐藤と申します。
 御質問ありがとうございました。
 まず1点目でございますけれども、昨日の分科会では、あくまでこの新制度は育児休業の一つとして位置づけをさせていただきますというお話をさせていただきまして、分科会の中ではそういう位置づけというのは共通認識になっていると承知してございます。産休という言い方は、産後8週の間の育児休業ということで、分かりやすくということでマスコミの方が使っていらっしゃるということでございます。
 2点目でございますけれども、この休業期間中の給付につきまして、育児休業の一種として位置づけるということが共通認識になっているというのもありますけれども、ここについてどうするのかという議論をまさに杉崎委員から御質問いただきまして、そこの給付のところの議論につきましては、まさに雇用保険部会で御議論をいただくことになると思いますという御説明を昨日の均等分科会ではさせていただいたところでございます。
○阿部部会長 では、水島委員、お願いいたします。
○水島委員 ありがとうございます。理解いたしました。
 その上で意見を述べさせていただきたいのですけれども、今般、育児休業給付が雇用継続給付から外れたことにより、雇用保険で行うべきという理由づけが一つ失われたように思われます。また、子の出生直後の休業について、男性の育児休業取得促進という政策目的を達成するために、雇用保険の保険料を財源とすることが本当に適切であるのか、この点は検討が必要ではないかと思います。私も先ほど杉崎代理がおっしゃったことに基本的に賛同します。
 これは意見です。以上です。
○阿部部会長 ありがとうございました。
 では、御意見として承ります。ありがとうございます。
 深澤委員、お願いいたします。
○深澤委員 皆さんの御意見と重なるところもありますけれども、素朴な意見として申し上げたいと思います。
 女性の育児休業給付につきましては、全体としてはやはり継続雇用を選択する方が増えてきているということになっておりますので、失業の抑制にもつながって雇用保険に資する内容でこれまであったと考えております。
 今回、男性の育児休業給付という内容につきましては、御説明の資料のほうにありましたけれども、目指す姿が夫婦で子育てを共有する、その結果として女性の雇用継続につながるという御説明があったかと思うのですけれども、そもそも雇用保険は夫婦セットでという考え方のものでもありませんし、例えば、専業主婦の女性が出産したときに男性配偶者の夫の取得もしていただくわけですので、女性の雇用につながるというのは、説明としても難しいのではないかなと感じました。
 社会全体での子育て支援というのは当然あるべきでしょうけれども、給付が雇用保険の役割なのかは皆様の御意見同様、慎重に検討するべきではないかと考えましたので、意見として申し上げます。
○阿部部会長 ありがとうございました。
 では、事務局のほうからどうぞ。
○佐藤職業生活両立課長 両立課長からでございますけれども、一応均等分科会のほうでは、まさに育児・介護給与法自体も、労働者本人がちゃんと雇用を継続できる、そして、男性が休みたい、休業を取りたいのに取れないというところをどうするかという観点から議論をいただきまして、結果として女性の雇用継続とかそういうものに資するのではないかということで議論いただいていると承知しております。
○阿部部会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、菱沼委員、お願いいたします。
○菱沼委員 ありがとうございます。
 今、男性の育児休業取得促進については皆さん御意見のあるとおり、雇用環境・均等分科会のほうで議論しているということでございますので、部会としては結論によるところかなと思っております。ただ、お金を出す側として、もともと失業等給付よりも育児休業給付のほうが負担というか保険料を切り分けてやったものですから、これは今後とも議論していく必要があるのかなと思っております。
 そこで、論点の2にありますけれども、その2行目に中長期的な観点からということでございますので、制度を進めた上で大体雇用保険部会とかこれまでいただいている宿題ではないですけれども、中長期的な観点というと大体5年程度かなと思っておるので、制度が始まって大体3年ぐらいで数字が出てきて、これからどうしていきましょうという感じで進めていくのかなという理解でよろしいのか、1点だけ確認です。
○阿部部会長 では、事務局からお願いいたします。
○長良雇用保険課長 育児休業給付の論点で提示させていただいた2つ目の論点に関しましては、今、菱沼委員がおっしゃったタイムスパンをどう捉えるかというところでございます。おっしゃるように財政として5年でおおむね収支均衡という形で示させていただいておりまして、これは昨年度の制度改正で育児休業給付の区分経理をしたときと同様の枠組みで設定しているところでございます。そういう意味で何らかの検討というのはその5年の間に不可避な状況になってくるのではないかと私どもも認識しているところでございます。
○阿部部会長 よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 皆様の意見と重なるところもあるのですけれども、休業制度そのものについては均等分科会での議論ということですけれども、1つ質問なのですけれども、資料2-2の2ページの下から6行目ぐらいに「この仕組みがなくてもその水準を保つことができるようになった場合には見直されるべき」ということが書かれていますけれども、この新しくできる制度というのは、何か時限的なものなのかということをもし、お答えをいただけるのであればという疑問を持っている上で意見ですけれども、新たに創設される休業にもこれまでの育児休業と同様の給付をするのかどうかということなのかもしれませんけれども、まず、新しい制度ができてどういう取得の仕方を想定していてとかそういうことを踏まえて、仮に雇用保険で手当てするという前提ですけれども、雇用保険財政にどんな影響があるのかという試算がないと、なかなか深い議論にならないのかなと思っております。これが意見の1つ目です。
 2つ目ですけれども、これは前々回ぐらいにも申し上げましたけれども、雇用保険は失業に対するセーフティーネットということで、労使が保険料を拠出してそれが国庫負担もあると理解しております。育児休業取得を促進していこうという目的と合致しているのかということは疑問がないとは言えないということは申し上げておきたいと思います。社会全体として子育てを支援するという考え方の下、育児休業給付の今後の在り方については、中長期的に雇用保険の役割ですとか、国が担う役割を含めて制度枠組みを改めて検討する必要があるのではないかと思っております。
 以上でございます。
○阿部部会長 では、事務局からお願いいたします。
○佐藤職業生活両立課長 最初に御質問のありました資料2-2の2ページ目の見直されるべきものというのが時限なのかという御質問をいただきましたけれども、均等分科会の中での議論といたしましては、時限ということではありませんが、こういう状態になったら見直されるべきものとしてずっと続くというものではないという位置づけというか、こうなったら見直されるべきものということであるという議論をしていただきました。時限ということではないということでございます。
○長良雇用保険課長 平田委員のおっしゃった仮に新しい制度にのっとって育児休業給付の対象とする場合の財政影響に、いわゆる制度効果のようなものに関しては、改めてまたお示しをさせていただければと思います。
○阿部部会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。
 それでは、この件はこの辺りで、均等分科会での議論が進めば、本件につきましてまた議論をさせていただきたいと思います。
 次の議題に移りたいと思います。議題3は「雇用保険法第十八条第一項及び第二項の規定に基づき同条第四項に規定する自動変更対象額を変更する件の一部を改正する件、雇用保険法第六十一条第一項第二号に規定する支給限度額を変更する件及び雇用保険法第六十一条第七項の規定に基づき同条第一項第二号に規定する支給限度額を変更する件の一部を改正する件」でございます。まず、事務局から資料について御説明いただきまして、その後、皆さんと議論していきたいと思います。では、事務局からお願いいたします。
○伏木雇用保険課長補佐 では、私から御説明いたします。
 こちらも資料3-1と3-2の2つあるかと思いますが、もし、お手元になければおっしゃってください。説明は3-2のほうを用いて説明いたします。おめくりいただけましたでしょうか。概要紙として1枚にまとめておるものです。
 タイトルが長くて大変恐縮ですが、要すれば、告示で示しているもの3件を改正したいということであります。
 概要ですけれども、雇用保険の基本手当日額とか各種の給付の基礎になるような賃金日額などについては、雇用保険法に規定がありますが、毎月勤労統計の平均定期給与額を使って毎年変動を捉えて変更しているというところであります。こちらの毎月勤労統計でこれまでもあった話ではありますけれども、調査計画で500人以上の事業所について全数調査するというところで、一部の県について500人以上の事業所で全数調査を行っているけれども、集計に含められていない事業所が79あったことが確認されているということで、それで再集計をして毎月勤労統計の平均定期給与額が出ているということなので、それに応じて計算をしている雇用保険の各種の日額の変動があったので、告示で改正をしたいというものであります。
 全体として大きな影響がたくさん出ているというものではありませんが、そうした事実があったということで、それを受けて改正をするものであります。
 告示としては3つになっています。1つ目が基本手当の日額の算定の基礎となる賃金日額の上限額です。この上限額ですが、年齢によって定めておりますが、このうち影響されるのが30歳未満のところの上限額で、表の一番上のところのとおりで、1万3,700円のものが1万3,690円と10円単位でやっているので1個下がってしまったということであります。差額は10円です。これが実際の給付額ということでいうと、50%の支給率にはなるので実際の影響額は5円で出ているという形であります。
 2と3で高年齢雇用継続給付の支給限度額というものにつきましても、これは令和元年の8月からの分と今年の8月からの分と2つに影響を生じています。ただ、この2つについては、実際にこの上限に当たる方は出ていないので、実際にこれに影響される方はいらっしゃいませんが、告示において手当はさせていただきたいと考えております。
 1の関係でありますけれども、賃金日額の上限が下がる、これは2年の8月からの分について改正をさせていただくということですけれども、※印で訂正前の額を元に算定してお支払いをした場合、その差額については、これまでもそういう扱いでしてきましたが、受給者からの返還は求めないということで、実際に告示上は手当てするけれども、お支払いしたものを返してくださいということは申し上げない形で対応したいと思っております。
 こちらの告示につきまして、1月下旬には告示をして2月1日から適用ということにしてまいりたいと考えております。御審議よろしくお願いいたします。
○阿部部会長 ありがとうございます。
 本件につきまして、何か御質問、御意見はございますか。
 では、仁平委員、お願いします。
○仁平委員 毎月勤労統計というのは政策のベースになる非常に重要な統計だと思っておりますが、統計の誤りが続いておりますので、いかがなものかと思っております。
 その上で質問なのですが、過去にも問題等が指摘されて、チェック体制も含めてこの間に充実されてきたと思っておすりますが、現在のチェック体制がどうなっているのか、改めて説明をいただけないでしょうか。
 また、そうしたチェック体制の下でも発見されなかった誤りがどのような経緯で発覚したのでしょうか。
この2点について説明をお願いしたいと思います。
○阿部部会長 では、事務局からお願いできますか。
○長良雇用保険課長 まず、毎月勤労統計調査をめぐる今回の件に関しておわびを申し上げたいと思います。
 経緯といたしましては、昨年の11月に統計情報部のほうからプレスをさせていただいているところでございますが、いわゆる500人以上規模の事業所については、全数調査をするということとしておりましたが、昨年1月分の調査から神奈川、愛知、大阪府の500人以上の規模の事業所を全数から抽出に切り替える方法で事務的な準備は進められていたということでございます。
 ただ、昨年のいわゆる毎勤のもろもろの事案の中で、統計委員会からの御指摘によってこの抽出調査の形がいわゆる承認統計の手続との関係で問題視されたということがございまして、この事案についても3府県の抽出調査を計画していたところを撤回したということでございまして、撤回して全数調査で行うことにはしたということでございます。
 その際の事務処理の誤りによりまして、実際には79事業所と聞いておりますけれども、一部の事業所が全国調査の集計に含まれないこととなったということで承知をしているところでございます。そういった事案が重なったことについてはおわびを申し上げたいと思っております。
 チェック体制などにつきましては、今回の事案も受けて、また再発防止などに取り組んでいるということで、具体的にはいわゆる第三者的な専門家のチェックを受けるということも統計の担当からは聞いているところでございまして、引き続き再発防止に努めてまいりたいと思っているところでございます。
○阿部部会長 よろしいですか。
○仁平委員 様々な政策の信頼性に関わる話だと思いますので、改めて再発防止を徹底していただきたいと思います。
○阿部部会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。
 私が先ほど御紹介するのを忘れておりましたが、資料3-1をもう一度御覧いただいて、1枚おめくりいただきますと、本件は諮問案件でございますので、先ほどありましたとおり、上限額及び支給限度額を見直すということで諮問がなされておりますが、これにつきまして当部会では妥当とお認めしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○阿部部会長 ありがとうございます。
 それでは、報告文案の配付をお願いします。
(報告文案配付)
○阿部部会長 ただいま配付いただきました、またオンラインでは御覧いただいておりますが、報告文案に基づきまして労働政策審議会職業安定分科会長宛に御報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○阿部部会長 ありがとうございます。
 それでは、そのような形で報告をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 以上で準備しました議題は終了となりますが、皆様のほうからこの際、何か御質問、御意見等はございますか。よろしいですか。
 それでは、以上をもちまして、本日は終了したいと思います。
 なお、労働政策審議会運営規定の改正により、議事録の署名が今回から廃止されることになりました。したがいまして、本部会より議事録署名人の指名を行わないことにしたいと思います。
 次回の日程につきましては、事務局から改めて各委員に御連絡をいたします。
 それでは、以上をもちまして、本日は終了したいと思います。お忙しい中、本日もありがとうございました。