第146回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和3年1月27日(水)   9:00~10:30
 

場所

厚生労働省オンライン及び 職業安定第一会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館12階)

議事

議事内容
 ○阿部分科会長 おはようございます。ただいまから、第146回雇用保険部会を開催します。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の中窪委員、使用者代表の柴田委員が御欠席です。
早速ですが、議事に入りたいと思います。本日は議題が3つあります。議題1「育児休業給付制度について」です。まず、事務局から資料について説明いただき、その後、委員の皆様に御議論いただきたいと思います。それでは事務局、お願いします。
○長良雇用保険課長 雇用保険課長です。本日はよろしくお願いいたします。資料1ですが、資料1-1、資料1-2と2種類あります。この資料は、本日、御議論いただく育児休業給付制度の関連の背景となる事業に関する説明の資料となります。
資料1-1を御覧ください。タイトルが「男性の育児休業取得促進策等について」です。こちらは右上にありますように、令和3年1月18日労働政策審議会建議ということで、雇用環境・均等分科会でこれまで議論が進められてきた、いわゆる育児休業制度等の見直しに関して取りまとめられた建議です。男性の育児休業取得促進策等について、この建議を念頭に一定の制度の見直しを想定しています。
 まず1つ目の○は背景を書いています。3行目、男性の育児休業取得率は、令和元年度で7.48%ということで、低い水準にとどまるなどの事情が書いてあります。
 2つ目の○は、男性が育児休業を取得しない理由で、業務の都合、職場の雰囲気が挙げられており、業務ともある程度調整しやすい柔軟で利用しやすい制度、育児休業を申出しやすい職場環境等の整備といった取組が必要であるということ。
 4つ目の○は、具体的には、その後の育児の入り口となる子の出生直後の時期の休業の取得を、現行の育児休業よりも柔軟で取得しやすい枠組みを設けることで促進することが考えられるということ。
 それ以外様々な事情、例えば1ページ、下から4つ目の○で、子の出生直後の短期間の休業のみでなく、その後の夫婦交替等でのまとまった期間の休業の取得も念頭に置けば、育児休業を分割して取得できるようにすることも必要であること。
 あるいは、下から2つ目の○、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件について、現状、無期雇用労働者と異なる要件が設定されているが、雇用形態にかかわらず育児・介護休業を取得しやすくしていくことも喫緊の課題であるといった課題認識が示されております。
 2ページ、こうした背景に則り、2.必要な措置の具体的内容です。1.男性の育児休業取得促進策について、(1)子の出生直後の休業の取得を促進する枠組みです。今申し上げた柔軟で利用しやすい制度として、出生直後の時期について、現行の育児休業よりも柔軟で取得しやすい新たな仕組み、これは「新制度」とここでは定義づけておりますが、この新制度を設けることが適当であると書いております。
 この新制度の具体的な中身について、3ページの○の対象期間、取得可能日数等ですが、対象期間に関しては、現在、育児休業をしている男性の半数近くが子の出生後8週以内に取得していること、産後休業が産後8週であることを踏まえて、子の出生後8週とすることとしています。取得可能日数は、この8週の中で年休が年間最長20労働日であること等を参考に、4週間としております。
 次の○は要件・手続きです。現行の育児休業は1か月前までに申し出るということですが、これを短縮し、原則2週間前までとすることが適当である。ただし、過半数代表との労使協定などの例外も定めています。
 4ページ、(分割)です。新制度では分割して2回取得可能とすることが適当であることしています。
 次、(休業中の就労)です。1つ目のポツですが、3行目、労働者の意向を踏まえて、事業主の必要に応じ、事前に調整した上で、新制度に限り、就労を認めることが適当であるとされております。具体的には労働者の意に反したものとならない仕組みとするため、過半数組合等の労使協定を締結している場合に限り、労働者と事業主の合意した範囲内でのみ可能とするとともに、就労可能日数の上限(休業期間の労働日の半分)を設けることが適当である。以下、具体的な流れが書かれております。
 4ページの下、(2)です。妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の働きかけ及び環境整備は、今回の育児休業給付制度とは直接関係ありませんので概略のみですが、休業しやすい職場環境の整備の在り方として、5ページに示されておりますように、新制度及び現行の育児休業を取得しやすい職場環境の整備の措置を事業主に義務付けること。1つ目の○の労働者への個別の働きかけですが、申出をした労働者に対し、個別に周知し、取得の働きかけをすることを事業主に義務付けるという趣旨が示されております。以下、具体的な方法等が書かれています。
 5ページの下では、(3)育児休業の分割取得等として、制度の必要性、出生直後の時期に限らず、その後も継続して夫婦でともに育児を担うためには、夫婦交代で育児休業を取得しやすくする等の観点から、新制度でなく現行の育児休業についても分割を可能とすることが適当である。分割の回数は、2回取得可能とすることが適当であるということです。
 3つ目の○で、1歳以降の延長の場合の取扱いも、延長した場合の育児休業の開始日が、各期間の初日に限定されているため、現行制度では各期間の開始時点でしか夫婦交代ができないが、開始日を柔軟化することで、各期間の途中でも夫婦交代を可能とする。つまり、1歳~1歳半、1歳半~2歳の途中から交代して取得が可能ということが示されております。
 (4)育児休業取得率の公表等の促進です。育児休業給付制度とは直接関連しない部分ですので、概略だけですが、公表の促進のあり方等で、大企業、具体的には、従業員1,001人以上の企業を対象として、育児休業等の取得率の公表を義務付けるという趣旨のことが書かれております。いわゆる「くるみん」ですが、こちらの認定基準の見直しについても示されております。
 7ページ、2.その他です。有期雇用労働者の育児・介護休業取得促進について、雇用形態にかかわらず育児・介護休業を取得しやすくなるよう、今までは有期雇用労働者のみにかかっていた「引き続き雇用された期間が1年以上」の要件について、無期雇用労働者と同様の取扱いとすることが適当であるということです。
 その他、中小企業への支援、施行までの十分な期間を設けること等が示されております。
 以上が、雇用環境・均等分科会で取りまとめられました建議です。
 続いて、資料1-2です。こちらは一枚ものですが、育児休業給付の現行の仕組みで、少し限界事例ではありますが、こうした状況があるという趣旨をまとめたものです。育児休業給付の支給要件として、雇用保険の加入期間が必要となります。この加入期間のカウントの仕方ですが、育児休業の開始日を起点として、(過去2年間まで遡って)12か月以上の被保険者期間、いわゆる雇用保険の加入期間が必要であるという旨が雇用保険法に定められております。しかしながら、この要件をそのまま当てはめますと、全く同様の働き方をしていても、育児休業開始日あるいは出産日によって、この要件を満たす場合と満さない場合が存在します。
具体的にケース1とケース2に分けて表にして整理しております。同じ就職日、例えば平成30年4月、同じ産前休業開始日、平成31年4月5日です。ケース1の方は、出産日が平成31年4月18日、ケース2の方は、出産のタイミングは若干遅れ、平成31年4月30日になります。産後休業は8週ですので、8週経過後の令和元年6月13日、ケース2の場合は6月25日となっております。その翌日が育児休業の開始日となりますので、6月14日、6月26日となります。
 ケース1の場合は、結論として、被保険者期間12月を満たす。つまり、育児休業給付は受給できる。ケース2の場合は、被保険者期間12か月を満たさないという状況になります。
 これを図示しているのが、下の表です。育児休業開始日が、それぞれ6月14日、6月26日となりますので、今の制度の仕組み上、ここから遡って2年間までカウントして、12か月あるかを見ていくことになります。この1か月のカウントですが、月に11日以上就労しているか、していないかということで、月に11日以上就労していれば、被保険者期間として計上できます。
 ここのポイントですが、産休開始から出産を経て育休開始。ここの部分は基本的に働いておらず、賃金が受けられないという状況に制度上陥ることになろうと思います。育休開始から被保険者期間を1か月ずつ遡った場合に、最初の何か月かは被保険者期間がカウントできない期間がどうしても生じます。ポイントとなるのは、大体遡って3つ目ぐらいになるのですが、産休開始をまたぐタイミングの月です。ここが11日以上働いているか、11日以上働いていないか。ケース1の場合は、11日以上働いているということで、これは3月14日から4月5日の産休開始まで11日以上働ける。ケース2の場合は、3月26日から4月5日までで、11日以上就労していないということで、ここで1か月としてカウントできる、できないという差が生じることになります。ここから以下ずっと遡ってまいりますと、おおむね12か月近くあるわけですが、ケース1の場合は全部数えて12か月、ケース2の場合は全部数えて11か月という差が生じます。
 こうした場合にどうするかということですが、上の枠の一番最初の括弧のところですが、例えばケース2のように、こうした被保険者要件を満たさないケースも、産前休業の開始日をカウントして遡っていくと、要件を満たすことが生じます。それが一番右下にあるケース2の赤字で書いてある部分ですが、就職から産休開始まで12か月あり、この期間はおおむね働いているということで、ここからカウントを始めると、12か月を満たす。そういったことから考えますと、現在の育児休業開始日のみを起点とするという取扱いは一定の見直しが必要ではないかという趣旨の資料となっています。
 資料1について御説明をいたしました。以上です。
○阿部分科会長 ただいまの説明について、御質問、御意見がありましたら、お願いします。いかがですか。特段よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、特にないようですので、令和2年11月13日に開催されました第143回雇用保険部会以降の御意見を踏まえ、報告書案を資料として事務局に御用意いただきました。皆様には報告文案として送付されていると思いますが、その資料を御覧いただければと思います。今、画面でも雇用保険部会報告案が出ているかと思いますが、この報告書案について、事務局からまず説明をお願いして、その後議論したいと思います。では、事務局、お願いします。
○長良雇用保険課長 引き続き、私から御説明いたします。資料は、ただいま画面で共有したところです。今しがた部会長から御説明があったとおりですが、昨年11月13日以降、雇用保険部会において育児休業給付制度の御議論をいただいてまいりました。大きな論点として2つありました。そのときは先ほど資料1-1で申し上げた雇用環境・均等分科会での建議がまだ議論途上であったことはありますが、先ほどの男性の育児休業取得促進等に係る育児休業制度の見直しに関する議論を踏まえて、育児休業給付としてどう対応していくかという論点が1つ。もう1つは、そもそもの育児休業給付制度の在り方に関する議論の2つがありました。前回までの御議論等を踏まえて、先ほどの取りまとめられた建議も踏まえて本部会としての報告の案という形で、本日資料としてお示しをさせていただいているところです。
男性の育児休業取得促進等に係る育児休業給付制度等の見直しについてです。この育児休業給付制度等の見直しの必要性を1番に書いております。1つ目の○以降は、若干経緯を書いておりますが、育児休業給付は景気状況にかかわらず一貫して増加していること等を踏まえ、昨年3月の雇用保険法改正により、「子を養育するために休業した労働者の生活と雇用の安定を図ること」を目的とした上で、失業等給付から区分して経理することとされました。
また育児休業給付は、いわゆる「育児・介護休業法」において労働者の権利として位置付けられ、社会的コンセンサスが確立している育児休業を対象として、当該休業を取得する労働者のうち、雇用保険制度上の要件を満たした被保険者に対して支給する枠組みとしているところです。
3つ目の○ですが、今般、労働政策審議会雇用環境・均等分科会におきまして、いわゆる法的整備を求める報告が取りまとめられました。この報告では、育児休業制度等につきまして、①特に男性の育児休業の取得を促進するため、子の出生直後の時期に現行の育児休業よりも柔軟で取得しやすい新たな仕組みを設けること。②育児休業の分割取得等を可能とすること。③有期雇用労働者の育児・介護休業に関する「引き続き雇用された期間が1年以上」の要件について、無期雇用労働者と同様の取扱いとすることが適当とされておりますが、これらの内容は労働者の雇用の継続等を図り、職業生活と家庭生活の両立に寄与するという育児休業制度等の趣旨目的を変更することとなるものではありません。この職業生活と家庭生活の両立に寄与するという育児休業制度の趣旨は、「労働者の生活と雇用の安定を図る」とした令和2年3月改正後の育児休業給付の目的にも引き続き合致することです。
したがって、この改正に伴い、新たに育児休業等の対象となる場合についても、育児休業給付等の対象とすることが適当であると考えられると整理をしております。
 次の○、「一方」のところは雇用保険財政のことを書いております。1つ目の段落ですが、雇用保険制度は雇調金の特例等や受給者実人員の増加等により、令和3年度当初予算案における見込みとして雇用安定資金残高が864億円、積立金残高が1,722億円となる。積立金から雇用保険二事業への貸出額の累計が1.7兆円にのぼる等、雇用のセーフティネットとしての役割を確保していく上で、極めて厳しい財政状況に至っている。これは雇用保険全体ですが、育児休業給付に関しては先ほど御説明したように、失業等給付から区分して経理をされているところです。ただ、育児休業給付についても初回受給者数は、平成21年度の約18万人から令和元年度の約38万人へと10年で倍増。特に男性の初回受給者数は、近年2年で2倍の伸びを示している。給付総額ですが、令和元年度は約5,700億円。近年で申し上げますと、年8%程度の伸びとなっているところです。更に育児休業の延長を行う受給者が多いといった事情もあり、令和2年度は前年同月比20%超の伸びが続く等、例年よりも高い伸び率を示しているところです。
 ここで、もう1つの資料を御覧ください。次の下の行で、今後の育児休業給付の財政運営に当たり、こうした伸びの影響を見込んだ上で一定の前提の下で収支の見込みを試算するということですが、「制度改正の財政影響等(育児休業給付費)」という横置きの資料を御覧ください。こちらは今年度検討中の制度改正に係る財政影響額(1年分)です。いくつかの仮定を置いており、それは左側に書いておりますが、育児休業の新制度により、男性の育児休業取得率、これは政府目標30%で、現行が7.48%、残りが大体23%になってまいります。現在の育児休業給付の男性の受給者が大体2万数千人ですので、仮に育児休業取得率が今の4倍ぐらいになると、受給者としては約7.4万人増えるのではないか。その増加した場合のいわゆる財政に与える影響はどうかということです。休業日数に関しましては人によって異なりますが、平均2週間程度と仮定します。この財政影響額は約66億円ということで試算ができるのではないかと思います。
全体の財政運営との関係でどう見えるかというのが次のページで、育児休業給付費の財政運営の試算です。この新制度の関連の想定を特に考慮せずに試算したものになっております。これも仮定をいくつか置いており、収入は育児休業給付に係る保険料率4%、令和2年度はいわゆる見込みですが、令和3年度以降は大体令和元年度決算をベースに見込みを作っているということです。国庫負担割合等については、令和4年度以降暫定措置が切れるということで、それを前提で算出しているところです。支出ですが、令和2年度は執行の実績を踏まえて見込み、令和3年度以降は、令和元年度支出額に年8.3%の増加。年々伸びている過去のトレンドを踏まえた伸びで想定しているところです。
その結果どうなるかと申し上げますと、令和2年度が、いわゆる育児休業給付の区分経理が始まった初年度で、一定の黒字は発生するだろう。令和3年度、令和4年度で育児休業給付に関しましては、新たに資金が設けられましたが、令和4年度ぐらいまでは資金がたまっていく状況になるのではないか。ただ、育児休業給付費の支出がだんだん伸びていくことを仮定すると、どこかで収支がマイナスになっていく。それが、だんだん拡大していく。令和6年度の資金の残高を1,215億円で算出しているところですが、令和7年度以降になると、この資金が更に減少していき、かなり資金の残高がなくなっていくのではないかという試算をお示ししているところです。
 以上を踏まえ、報告書案の2ページにお戻りください。今後の育児休業給付の財政運営に当たり、こうした伸びの影響も見込んだ上で一定の前提の下で収支の見込みを試算したところ、今般の報告に係る制度改正を行っても、現在の保険料率で今後5年度程度、先ほどの表でいう令和6年度までは安定的に運営可能であることを、報告案において確認したと整理したところです。ただし、この制度改正の影響も含めて受給者の動向等に留意しつつ、引き続き一定期間の財政状況を見通した上で適切な運営を図るべきではないかという形で整理をしております。ここまでが育児休業給付の財政の話です。
次の○が制度の話です。育児休業給付制度については、令和2年5月29日の少子化社会対策大綱におきまして、「男性の育児休業の取得促進等についての総合的な取組の実施状況も踏まえつつ、中長期的な観点から、その充実を含め、他の子育て支援制度の在り方も併せた制度の在り方を総合的に検討する」とされたところです。育児休業給付の在り方については、今般の男性の育児休業取得促進策等に係る制度改正の効果等も見極めた上で、雇用保険制度本来の役割との関係や、他の関連諸施策の動向等も勘案しつつ検討していく必要があると整理しているところです。
 以上を踏まえ、2つ目の論点の育児休業給付制度の在り方に関しては、「令和4年度以降できる限り速やかに、安定した財源を確保した上で雇用保険法附則第13条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止すべきである」とした雇用保険部会報告(令和元年12月)のことを指しておりますが、こちらも踏まえつつ、引き続き、現在の保険料率で安定的な運営が可能と確認できている令和6年度までを目途に検討を進めていくべきであるとしております。
また、労働者代表委員及び使用者代表委員から次のような意見があり、2つ並べております。1つ目のポツですが、我が国の育児休業給付の給付率は非課税であること等も考慮すると、既に諸外国と比べても相当程度高い水準にあり、また、給付率の引上げは雇用保険料負担の増加に直結するため慎重に検討するべきである。2つ目のポツですが、育児休業の取得促進は少子化対策の一環として行われるものであり、育児休業期間中の経済的支援は国の責任により一般会計で実施されるべきであると整理をしております。
 続きまして大きな2番、育児休業給付制度等の見直しの方向で、若干説明が前後してしまい恐縮です。先ほどの1ページ目で書かせていただいた、この新たな育児休業制度に関して育児休業給付等の対象とすることが適当であるという、その具体的な見直しの中身です。育児休業給付制度等については、育児・介護休業法の改正に対応して、以下(1)から(3)までの見直しを行うことが必要である。また、育児休業給付の支給の前提となる休業前2年間に、12か月以上の被保険者期間要件について、対象者の出産日によって、不合理な取扱いが生じることのないよう、以下(4)のような見直しを行うことが必要である。これは先ほどの御説明で言うと、資料1-1の建議、資料1-2の1枚紙のそれぞれを踏まえた内容として整理をしております。
(1)子の出生直後の休業の取得を促進する枠組みに対応する育児休業給付、いわゆる新制度に対応して育児休業給付についても、その一類型として、従来の制度的枠組みに基づく給付とは別に、子の出生後8週間以内に、4週間までの期間を定めて取得する休業に対して支給する新たな給付金を創設する。その際、新給付金については2回まで分割して新制度に基づく育児休業を取得した場合にも、新給付金を受給できること。新制度において一時的・臨時的な就労に加えて休業前に調整した上で就労することが可能となることを踏まえ、休業中の就労の取扱いを最大で10日(これを越える場合は80時間)の範囲内とし、賃金と給付の合計額が休業前賃金の80%を越える場合には、当該越える部分について給付を減額する仕組みとする。ちなみに、この2つの整理ですが、いわゆる就労を前提とした仕組みは現行の育児休業給付の制度にも設けられており、現行の育児休業給付もいわゆる定量的な要件に関しまして、新給付金についても踏襲する枠組みで考えてはどうかという内容です。
3つ目のポツですが、給付率やその他の制度設計については、現行の育児休業給付金と同等とし、現行の育児休業給付金は最初の6か月が67%の給付率が適用されているところですが、今回現行の育児休業給付と別の新給付金ができるわけで、新給付金と、従来型の育児休業給付金と両方取る方も当然いらっしゃいますが、67%の給付率が適用される期間は新給付金と育児休業給付金の期間を通算する形で考えております。なお、支給手続につきましては出生後8週経過以後に一度の手続により行うということです。具体的には、この新制度につきましても2回まで分割する形で対応ができるところで、新給付金も給付できる局面が、分割した制度それぞれについて生じるわけですが、手続については煩雑にならないように1回でやる趣旨を書いております。
 続きまして(2)育児休業の分割取得等です。育児・介護休業法の改正により育児休業を分割して2回取得することができるようになることに対応して、育児休業給付についても、同一の子に係る2回の育児休業まで支給する。事務負担を軽減する観点から、(1)の新制度に基づく育児休業も含め、複数回育児休業を取得した場合、被保険者期間要件の判定や、休業前賃金の算定については、初回の育児休業の際に行うということとしております。
育児休業については、原則として子が1歳になるまでということで有限ですが、その中で今回育児休業を分割して2回取得することができるようになります。2回取得することができる場合に、給付額を計算するとき、あるいは給付要件を算定するときに、被保険者期間をどこで取るか。それから休業前賃金を、どこからカウントするかということが論点となりますが、これは初回の育児休業の際に行うことが適当ではないかという趣旨で書いているところです。
また、育児・介護休業法の改正により、1歳以降の延長の場合も育児休業の開始日を柔軟化して、1歳~1歳半、1歳半~2歳の各期間の途中でも夫婦交替できるようになる、あるいは第2子以降の産休により育児休業が終了し、死産となった場合等の特別な事情があるときの再取得が可能になることがあります。こうしたことに対応して、育児給業給付についても、こうした場合には例外的に3回目以降の育児休業でも支給することができる対応としてはどうかと整理しております。
 4ページです。(3)有期雇用労働者の育児・介護休業の促進ですが、育児・介護休業法の改正により有期雇用労働者の育児休業、介護休業に係る「引き続き雇用された期間が1年以上」の要件につきまして、無期雇用労働者と同様の取扱いとなるということです。現在、育児休業給付・介護休業給付についても、有期雇用労働者に関する独自の要件が省令で規定されているところですが、そうした要件をなくしていくかたちで同様の対応としてはどうかと整理しております。
最後の(4)ですが、みなし被保険者期間の算定方法の見直しです。これは先ほど申し上げた2つのケースで、出産日が異なることによる不合理をどう見直していくかを整理しております。現行制度は、育児休業開始日を離職した日とみなして支給の前提となる被保険者期間を算定しておりますが、育児休業給付は、育児休業による所得の喪失を保険事故としていることから、この原則は維持した上で出産日のタイミングにより、この方法によっては被保険者期間要件を満たさないケースに限り、例外的に産前休業開始日等を起算点とすることとしてはどうかとまとめているところです。
 以上が、雇用保険部会報告の案で、先ほど申し上げたこれまでの議論を踏まえて、文案を整理したものを紹介させていただきました。御議論のほど、よろしくお願い申し上げます。
○阿部分科会長 ただいまの説明につきまして、委員の皆様から御質問、御意見がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○仁平委員 報告書の内容については異存はございません。報告書の2ページ目に、労使の意見がありますが、このことに関して、改めて一言申し上げておきたいと思います。
 労働者側としては、第143回と第145回の雇用保険部会で発言しているとおり、育児休業期間中の経済的支援の全てを一般会計で実施するべきであると考えており、今後、時機を見て、そのための検討も必要であると考えております。この機会に、改めてそのことについて申し上げておきます。
○阿部分科会長 御意見として承りたいと思います。続いて、湊元委員、お願いいたします。
○湊元委員 日本商工会議所の湊元です。私から、雇用保険部会報告案の2ページ中段に記載されている育児休業給付制度の在り方について、3点意見を申し上げたいと思います。
 まず、育児休業給付の財政見通しについて、「制度改正の財政影響等」の資料に記載されている「育児休業給付費の財政運営試算」を見ると、令和4年度以降の国庫負担は本則の55%で計算されている仮定の下で、差引剰余が令和5年度以降に赤字になると試算されています。
 しかしながら、参考資料の「育児休業給付関係」を見ると、男性の受給者数は年々増えており、新制度の創設など、男性の育児休業取得促進等により、今後は更に増加すると思われることから、実際には、試算よりも厳しい財政運営になることが予想されます。つきましては、令和4年度以降の育児休業給付に係る国庫負担率は安定した財源を確保の上、本則に戻すべきであることを強く意見申し上げます。万が一にも、国庫負担率を本則に戻すことなく、育児休業給付に係る雇用保険料率4/1,000を引き上げ、企業に更なる負担を強いるべきではないと考えています。
 第2に、我が国の育児休業給付の給付率につきまして、既に諸外国と比べても相当程度高い水準にある上、多くの中小企業からは、最低賃金や事業主拠出金、社会保険料等の負担増が続いている中で、給付率の引上げは雇用保険料負担の増加に直結するので慎重にすべきとの声が聞かれております。したがいまして、育児休業給付率は現行水準を維持すべきであることを重ねて申し上げたいと思います。
 第3として、今回の部会報告案にも記載のとおり、育児休業の取得促進や、育児休業期間中の経済的支援は、少子化対策の一環として行われるものであり、少子化対策は社会全体で子育てを支えていく観点から、税による恒久財源で賄うべきであると考えております。以上の3点を意見として申し上げました。
○阿部分科会長 では、御意見として承ります。続いて小林委員、お願いします。
○小林委員 育児休業の新しい制度について、こちらは雇用環境・均等分科会で議論されたことは承知しておりますが、今回の新制度の創設を含め、制度の見直しについては、単に取得率の向上を目指すだけではなく、職場の理解と協力が進んで、労働者本人が希望する日数を安心して取得できるようになることが大変重要だと思っております。今後、新制度の創設も雇用保険法の改正の文脈等、その辺の誤解がないような新制度の紹介をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○阿部分科会長 御意見として承ります。続いて深澤委員、お願いします。
○深澤委員 やや繰り返しになってしまいますが、育児休業給付について意見を申し上げます。育児休業給付は、これまでの給付条件の拡大があり、更に今般の男性の育児休業取得の促進も加わりまして、一段と少子化対策の性格が強まっていると見受けられます。
 現時点、制度の中での位置付けは整理されているものの、今後に向けては、雇用のセーフティネットとしての雇用保険制度からは分別することが適切であると考えております。既に、その認識の下で失業給付と区分した経理把握を始めていただいておりますので、報告書案のとおり令和6年を目途に、遅らせることなく少子化対策という目的に合致した、  国全体で支える新たな仕組みを検討し、実施すべきと考えます。意見として申し上げます。
○阿部分科会長 では、御意見として承ります。平田委員、お願いします。
○平田委員 3点意見を申し上げます。まず1点目ですが、今般の報告書案に沿って、育児休業給付制度の制度改正を行っても、現在の保険料率で令和6年度までは安定的な運営が可能と理解をしました。とは言え、今後引き続き制度改正の影響とか、受給者の動向、今後の推移をきめ細かにフォローしていくことが大事だと思っています。
 2点目です。これは今ほどの深澤委員の意見とほぼ同じですが、報告書にも書かれているとおり、景気状況にかかわらず一貫して強化している少子化対策の性格が強い育児休業給付を、雇用のセーフティネットである雇用保険制度の傘下で運営していくことは必ずしも適切ではないのではないかと考えております。失業等給付との区分経理をすることで、見直しが一歩進んだと認識しております。報告書案にもあるとおり、令和6年度までを目途に、少子化対策という目的に合致した、国全体で支える仕組みを検討し、実施していくべきであると考えております。この点は、報告書に労使の意見ということで書かれているとおりだと思っております。
 3点目です。直接は関係ないのかもしれませんが、報告書の1ページの一番下の所で、雇用保険の厳しい財政状況について言及していただいており、そのとおりと理解しております。改めて言うことでもないのかもしれませんが、雇用保険の保険事故である失業については、政府の経済政策、雇用政策とは無縁ではないと。政府もその責任の一端を担うべきという考え方から、国庫が失業等給付に要する費用の一部を出すこととなっていると理解しております。コロナ禍で政府や自治体の要請によって企業活動を自粛しているという実態に照らしますと、雇用情勢悪化の原因は国にもあると考えています。この点を踏まえ、国庫負担を少なくとも本則の25%に戻すことも含めて、思い切った一般財源の投入を決断すべきだと考えております。
○阿部分科会長 御意見として承ります。続いて菱沼委員、お願いします。
○菱沼委員 皆さんと被る部分がありますが、意見として申し上げたいと思います。子育てを社会全体で支える仕組みからすれば、報告書案の2ページにある労使の意見で、育児休業期間中の経済的支援は、本来は一般財政で実施されるべきだというのはもちろんだと思います。今般の制度改正を行っても、今後5年程度は暫定的な運営が可能と財政運営の報告いただいたところです。ただ、1年足らずで雇用保険二事業の予算がなくなったように、雇用情勢は刻々と変化していくものだと思います。新たな制度の導入による保険料率の引上げは、雇用維持に努める企業、そこに働く労働者ともに慎重にすべきだということで、これ以上の負担は一般会計でということを意見として申し上げたいと思います。
○阿部分科会長 御意見として承ります。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 6名の委員からいろいろと御意見をいただきました。今後、それを十分に踏まえて、更に議論もしていきたいと思いますが、報告書の内容について御異議があるとは私は認められませんでしたので、今回の報告書案を当部会としては取りまとめることとしたいと思いますが、そのようにさせていただいてもよろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、後ほど開催されます職業安定分科会へ、この報告書案を報告したいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、職業安定分科会への報告文案の画面共有をお願いいたします。ただいま画面に表示されている報告文案により、後ほど開催される職業安定分科会へ報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきたいと思います。
 次の議題に入ります。議題2「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険料を変更する告示案要綱について」です。こちらは本日付けで厚生労働大臣から諮問を受けております。では、事務局から資料について説明いただき、その後、皆様と御議論したいと思います。事務局からお願いいたします。
○長良雇用保険課長 雇用保険課です。資料2-1の要綱の料率告示、資料2-2の概要などを提示しております。
 まず、告示案の要綱ですが、1月27日本日付けで諮問を厚生労働大臣からさせていただいているところです。次のページが告示案ということで、令和3年4月1日からの雇用保険率について規定をしているものです。具体的な中身については、資料2-2の料率告示関係の資料にのっとって説明させていただきます。
 資料2-2の1ページ、縦置きの概要で整理しています。雇用保険率に関しては、労働保険徴収法により、本則15.5/1,000ですが、法附則におきまして、令和3年度までは13.5/1,000とされているところです。
 ちょっと分かりにくいのですが、本則の15.5/1,000あるいは13.5/1,000となっているのは、雇用保険料は3種類ございまして、いわゆる失業等給付の部分、育児休業給付の部分、雇用保険二事業の部分ということで、3種類を全て足し合わせた数字が、こちらになっているところです。なお、農水、建設業などに関しては上乗せの特例がある関係で、それぞれの料率が異なっています。
 さらに、この雇用保険率は雇用保険財政の状況を踏まえて年度ごとに変更する形になっていまして、法第12条第5項の規定による、失業等給付額などを踏まえた変更です。具体的には、次のページを御覧ください。
 雇用保険料率に関しては、弾力条項がありまして、失業等給付に係る弾力条項、後に御説明します雇用保険二事業の弾力条項がございます。失業等給付に係る弾力条項に関しては、財政状況に照らして以下のような整理がなされておりまして、単年度の失業等給付費と年度末の積立金の残高にいわゆる収支差を足したものを比較し、2倍を超える場合には保険料率の引下げが可能となります。1倍を下回る場合は保険料率の引上げが可能となります。それぞれプラスマイナス4/1,000の範囲でやるという仕組みになっています。
 この弾力条項の計算に当たっては、令和3年度の保険料を決めるに当たりまして、その前々年度(令和元年度)の決算額によって計算されるところです。令和元年度の決算によると、失業等給付費に関して積立金の残高が4兆4,871億円ございました。これを前提に収支、給付費などを比較しまして計算したところ、2.36ということで、上のように、保険料の引下げが可能になっています。失業等給付費に係る部分の雇用保険料率は、原則で言いますと8/1,000になっておりますが、先ほど申し上げたように法律上は暫定的に6/1,000に定めています。そこから更に弾力条項で、マイナス4の引下げが可能ということです。
 1ページに戻っていただきまして、法第12条第8項の規定による、雇用安定事業、能力開発事業に要する費用に当てられた額などを踏まえた変更。これは雇用保険二事業の関係の整理です。
3ページを御覧ください。雇用保険二事業に係る雇用保険料率は、原則3.5/1,000で事業主のみの負担ということです。こちらも財政状況に照らして一定の要件を満たす場合は、雇用保険料率を大臣が変更するということです。
 来年度の料率を決めるに当たっては令和元年度の決算額を用いて、以下のような保険料収入を分母として、年度末の雇用安定資金などを分子とした形の比較をしまして、1.5を超える場合は保険料率が0.5下がるということです。こちらは失業等給付の弾力条項と異なりまして、自動的に下がるという形で、労働保険徴収法上で整理をされているところです。
 令和元年度の雇用安定資金の残高は、約1.5兆円ございました。それにのっとって計算しますと、2.52となります。1.5を超えますので、令和3年度の保険料率は3/1,000に下がる形で整理をされているところです。
 以上を踏まえまして、来年度の保険料全体に関して、1ページに戻りまして、2の告示の概要です。令和3年度の雇用保険率について、9/1,000ということです。
 9/1,000の具体的な内容ですが、先ほど申し上げた失業等給付の弾力条項で、雇用保険率を4/1,000下げるということです。それから、雇用安定事業と能力開発事業、雇用保険二事業の部分ですが、雇用保険率を0.5引き下げるということで、それぞれの弾力条項を効かせて、令和3年度の雇用保険率を以下の表のような形でどうかという内容です。
 合計の雇用保険料率については、9/1,000ということですが、雇用保険二事業に関しては弾力条項で、令和3年度は3/1,000に下がります。したがいまして、二事業分は3/1,000で、これは事業主負担のみです。残る部分は労使折半ですが、育児休業給付に関しては4/1,000で、労使折半で2/1,000ずつで、これは法定でなっていますので、こちらはそのままです。失業等給付に関しては、先ほど申し上げた弾力条項を用いて、保険料率を4/1,000下げた形で、そうすると2/1,000になって、労使折半で1/1,000ずつという形の負担としてはどうかというものです。
 (2)と(3)の農水と建設の事業に関しては、それぞれの法定上の上乗せがありますので、それぞれ合計11/1,000、12/1,000という形で整理をしたいと考えているところです。
 内容は以上ですが、この料率の変更に関しては、毎年、労働政策審議会にお諮りした上で告示する形です。昨年と同じ形で整理させていただいておりますが、料率の合計、それからそれぞれの負担に関しては、令和2年度と同じ形で、据置きとしての整理をしたいというものです。毎年、告示をした上で年度ごとの適用ということですので、令和3年4月1日からの適用としたいという内容となっています。以上の内容が、資料2-1にある料率の告示の要綱として整理をしているところです。御説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。平田委員、お願いします。
○平田委員 基本的に令和元年の決算に基づいて、ルールに従って料率を算出ということですので、基本的に異論はございません。
 一方で、雇用保険二事業の財政は失業等給付からの借入も加味しますと、事実上枯渇化していると認識しております。今後の話ですが、雇用維持の観点から、経済が回復しない中での雇用保険料率の引上げは、雇用維持に尽力している企業に追加負担を課すことになるため避けるべきと思っておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
○阿部分科会長 続いて仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 労働者側としては御提案のとおり、異存ございません。
○阿部分科会長 ほかに御意見のある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
 それでは御意見をいただきましたが、当部会としては「労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険料を変更する告示案要綱」について、おおむね妥当と認めることとして、その旨を職業安定分科会長宛てに報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険料率を変更する告示案要綱の報告文案を画面に表示しますので、御確認ください。ただいま画面に表示されている報告文案によって、職業安定分科会へ報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、この報告文案で後ほど開催される職業安定分科会に報告したいと思います。
 次の議題に移ります。議題3は「その他」です。まずは事務局から資料について説明いただき、その後に議論したいと思います。事務局、お願いします。
○長良雇用保険課長 資料3「雇用保険業務に関する業務取扱要領」の一部改正についてを御覧ください。以前の分科会で、いわゆる押印の見直し、これは政府全体でそのような方向で動いていますが、こちらに関しての省令などをお諮りした際に、押印の見直しにより、特に雇用保険業務ということになりますが、現場で、特にハローワークの現場でのトラブルが生じないようにしっかりと対処すべき旨の御意見がございました。それを踏まえまして、資料3にあるように、雇用保険業務の業務取扱要領を改正したところです。
 現行と改正後を御覧ください。いわゆる離職票、離職証明書の受理に関しての記載があります。記名押印、自筆の要件が課されていた離職証明書ですが、こちらは事業主がハローワークに提出して、3枚複写になっております。その1枚を離職票として労働者にお渡しいただいて、労働者がハローワークに求職申込みをされて、失業等給付の手続をやるという流れになっています。
 その自筆による署名とか記名押印というところの記載を削っている代わりに、今申し上げたような御意見を踏まえまして、左側のように、離職票の記載内容に関しまして、ハローワークでどのような取扱いをするかを明記させていただきました。
 具体的には、離職票は労働者がいらっしゃった際にハローワークが受理しますが、離職者に対して賃金の支払状況に加えて、離職理由などの記載内容に疑義がないかということを確認するということです。それから併せて、これは従来から記載がありましたが、離職理由の記入欄に離職者の氏名、要は離職理由というのは、事業主が記載して、離職者本人にサインさせるという流れになっていますが、ここに氏名がないような離職票を受理した場合に関しては、離職者に主たる理由が何であるかと。これは離職証明書、離職票にいろいろな理由が書かれておりますが、こちらをしっかりと離職者御本人に確認させて、しっかりと記載をする。それから、その確認の氏名を記載するように指導するという形です。それに加えて、氏名の記載があった場合であっても、その記載内容に誤りがないかということをハローワークで改めて確認するということを明記したものです。
 以上の記載内容の変更に関しては、1月22日の職業安定分科会にも御報告したとおりで、改めて、この雇用保険部会にも御報告させていただきたいと思います。
○阿部分科会長 ただいまの説明について、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
○仁平委員 御対応いただき、審議会にも御報告いただき、ありがとうございます。
 失業の状況は厳しさを増しており、この先も更に厳しい局面もあるのではないかと心配をしております。引き続き現場でトラブルが起きないように努めていただければと思うので、改めてお願いしておきたいと思います。ありがとうございました。
○阿部分科会長 そのほかにございますでしょうか。よろしいですか。ほかにないようでしたら、こちらで準備した議題は以上で終了となりますが、この際、委員の皆様から何か御発言はございますか。よろしいですか。それでは、本日はこれで終了したいと思います。次回の日程につきましては、事務局から改めて各委員に御連絡をいたします。それでは、以上をもちまして、本日は終了したいと思います。委員の皆様には早朝から、またお忙しい中、どうもありがとうございました。