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- 2021年3月3日 第58回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会 議事録
2021年3月3日 第58回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会 議事録
健康局難病対策課移植医療対策推進室
日時
令和3年3月3日 (水) 10:00~12:00
場所
AP新橋 Bルーム(3階) (Web会議にて開催)
議題
- (1)造血幹細胞移植医療の現状と対策について
- (2)造血幹細胞移植推進拠点病院事業について
- (3)その他
議事
- 議事内容
- ○成田室長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第58回厚生科学審議会疾病対策部会造血幹細胞移植委員会を開催いたします。本日はお忙しいところ御参加いただきまして、ありがとうございます。まず、委員会開催に当たり、移植医療対策推進室長の田中より挨拶させていただきます。
○田中移植医療対策推進室長 皆様おはようございます。厚生労働省健康局移植医療対策推進室長の田中でございます。昨年8月に井口の後任として着任をいたしました。委員の皆様におかれましては、日頃から移植医療対策の推進につきまして御支援・御協力を頂きまして、厚く御礼を申し上げます。また、本日は御多忙のところ会議に御参加いただき、誠にありがとうございます。
さて、新型コロナウイルス感染症の流行は、日本だけでなく世界の医療や社会生活に大きな影響を与えております。この造血幹細胞移植もその例外ではなく、当該感染症による影響も少なくありません。今後、新型コロナウイルス感染症のような新興感染症が新たに起こった際に、その影響を最小限にするためには、今回の現状を検証しその対応を行っていくことが非常に重要になってまいります。本日はこの後の議事で、日本の造血幹細胞移植を取り巻く現状を御報告させていただき、委員の先生方から忌憚のない御意見を賜れれば幸いでございます。
また、現状の報告に加えて、造血幹細胞移植医療体制整備事業についても御報告をさせていただきます。こちらの事業の見直については、昨年度に開催の本委員会で御承認を頂き、拠点病院が9施設から12施設へと拡充してまいりました。令和2年度の事業については、各拠点病院から提出いただいた実績報告書等を基に、当該事業の選定・評価会議において、既に御評価を頂いております。事務局より令和2年度の実績等について御説明をさせていただき、今後の当該事業の方向性について御意見を賜れれば幸いです。
新型コロナウイルス感染症の状況を勘案して、Web会議を設定させていただきました。委員の皆様には御不便をお掛けすることもあると思いますが、活発な御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○成田室長補佐 ありがとうございました。本日の委員の皆様の出欠状況ですが、岡本委員、張替委員から欠席の御連絡を頂いております。また、今回より新たに3人の委員に御就任いただいておりますので、事務局から御紹介させていただき、一言御挨拶をお願いしたいと思います。東京都立駒込病院副院長の大橋一輝委員です。
○大橋委員 皆様おはようございます。この度、メンバーに加えていただきました大橋でございます。これまで25年ほど移植の第一線で医療をやってまいりましたが、2年ほど前に今のポジションに移りまして、今は病院の管理・経営、それから最近は専らコロナの対応で終始しているという状況です。今回新たなポジションを得ましたので、移植医療の推進に少しでもお力添えできるように頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○成田室長補佐 ありがとうございました。続きまして、中日新聞社社員教育センター幹事の境田未緒委員です。
○境田委員 おはようございます。改めまして中日新聞社員教育センターの境田と申します。去年から社員教育センターという立場におりますけれども、もともと、ずっと記者をしておりまして、そのときに骨髄バンクなどの取材、医療関係の取材もしていたということで、前任に野村というものがお世話になっておりましたが、この度、加わらせていただくことになりました。何分、素人の弁になりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
○成田室長補佐 ありがとうございました。続きまして、日本医師会常任理事の渡辺弘司委員です。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺でございます。前職の平川先生から代わりまして、渡辺が参加することになりました。本職は小児科で、私は広島県なのですけど、広島大学の前の小児科の教授が骨髄バンクのドナー登録に非常に熱心な方で、一緒に啓発運動しております。今後ともよろしくお願いいたします。
○成田室長補佐 ありがとうございました。また、事務局についても、前回の会議から変更がございましたので、御紹介させていただきます。移植医療対策推進室長補佐の成田朋子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。続きまして、移植医療対策推進室長補佐の山崎翔です。
○山崎室長補佐 この度、一昨日3月1日より着任しました室長補佐の山崎と申します。よろしくお願いいたします。
○成田室長補佐 では、Web会議の進め方について御説明いたします。画面のマイクのマーク、ビデオのマークとそれぞれございますが、マイクのマークが斜線になっているとミュートになっております。ビデオはオン、マイクはミュートの状態を維持、御確認ください。御発言される場合は画面上で挙手いただき、そうしますと小澤委員長より御指名いただきますので、マイクをオンにしていただき、最初にまずお名前をおっしゃった上で御発言をお願いいたします。また、御発言が終わりましたら、再びマイクのマークをミュートにしていただくようお願いいたします。ここまでで、何か御不明な点はございますでしょうか。
引き続きまして、資料の御説明をさせていただきます。議事次第において、資料1「造血幹細胞移植医療の現状と対策について」、資料2「造血幹細胞移植推進拠点病院事業について」、また参考資料は1~3となっておりますので、適宜御活用ください。
本日の審議会におきましては、Webによる開催となっておりまして、委員の皆様にはメールで資料を送付させていただいており、スクリーンにおいても、資料を表示させていただきます。そのまま、スクリーンやお手元の資料を見ていただきながら、議事進行させていただきたいと思います。なお、途中御不明な点等がございましたら、事前にお伝えしている電話番号にお掛けいただければ、お電話にて御案内いたしますので、いつでもお問合せください。以後の議事進行は小澤委員長にお願いいたします。報道のカメラは御退室のほどお願いいたします。
(カメラ退室)
○成田室長補佐 それでは、小澤委員長、よろしくお願いいたします。
○小澤委員長 はい、委員長の小澤でございます。おはようございます。まず、議事に入る前に、委員長代理をお願いしていました坂巻委員が退任されましたので、新しく委員長代理を岡本委員にお願いしたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。いかがでしょうか。
(異議なし)
○小澤委員長 特に異議はないようですので、岡本委員にお願いしたいと思います。岡本委員は本日欠席ですが、内諾を頂いておりますので、岡本委員に委員長代理をお願いするということにしたいと思います。
引き続き、議事に入ります。本日は議事が2つございます。
まず議題(1)の「造血幹細胞移植医療の現状と対策について」、事務局から御説明お願いいたします。
○成田室長補佐 資料1、造血幹細胞移植医療の現状と対策について、報告いたします。1枚目のスライドを御覧ください。大きな1番として、造血幹細胞移植医療に関するデータをお示ししています。非血縁者間の移植実績の推移について、年度単位のグラフで示しております。造血幹細胞移植術の合計数は、近年ほぼ横ばいを示しており、内訳として「臍帯血移植」が「骨髄・末梢血幹細胞移植」を上回る傾向があります。
2枚目のスライドを御覧ください。骨髄バンクドナー登録者数の推移について、年度単位のグラフで示しております。新規のドナー登録者数は近年はおおむね増加傾向で、平成30年度と令和元年度では、一時的に急増しております。こちらは、有名人の移植を必要とする事例などの影響があるかと推測されております。一方、本年度の新規ドナー登録者数については、正式にはこれからの公表となりますが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、低下していることが想定されております。
3枚目のスライドを御覧ください。大きな2番として、新型コロナウイルス感染症への対応について示しております。上の段は「1.ドナー登録者数」についてお示ししています。2019年の青色のグラフでは、一時的に急増しておりますが、2020年のオレンジ色のグラフでは、緊急事態宣言の発令された4月から5月に大幅な減少が見られ、その後は徐々に回復しているところです。下の段では、非血縁者間移植実績数について示しております。左側の「2.臍帯血移植以外」というのは、骨髄・末梢血幹細胞移植を指しておりますが、2020年のオレンジ色のグラフでは、5月から8月に減少し、右側の「3.臍帯血移植」のほうでは、1年を通して増加傾向を認めております。
4枚目のスライドを御覧ください。非血縁者間移植に占める臍帯血移植の割合について、赤色の折れ線グラフで示しております。月別に比較しますと、2020年では6割に達するような時期もありました。今後も臍帯血の需要が増加することが予想されています。
5枚目のスライドは、献血併行型ドナー登録会の実施状況です。例年、新規ドナー登録の9割程度が献血会場で行われております。左の番号、会場区分の1、2、4の会場、つまり屋外会場、役所、会社などの会場では、登録割合が増えており、また会場区分3にあります学域での登録割合が低下しております。これは、学校の休校などの影響があると考えられております。
6枚目のスライドは、骨髄移植等における対応の紹介です。1はドナー登録・コーディネートについてです。(1)ドナー登録会場における感染予防策を徹底していただくため、新型コロナウイルス感染症の罹患者や濃厚接触者等の献血を御遠慮いただく一定の条件をドナー登録会場においても準用して対応しているところです。(2)ドナーの確認検査については、1回目の緊急事態宣言の発令時は、特定警戒都道府県において延期の措置を行いましたが、現在、2回目の緊急事態宣言の発令時には、感染対策を十分に行い、確認検査の延期等は行っておりません。7枚目のスライドに続きます。(3)ドナーの最終同意面談については、1回目の緊急事態宣言の発令時は、7都府県で延期の措置を行いましたが、その後、3密を避けるような広い会議室の使用の対応を頂いたり、また可能な場合はオンラインを導入した最終同意面談の実施をするなど、対応の工夫を頂いているところです。
続いて、2.骨髄・末梢血幹細胞液の保存についてです。新型コロナウイルスの影響により、骨髄等の採取の直前にドナー及びその周辺の方の感染による骨髄等採取の中止リスク増大が懸念されることを受け、基本方針における例外的緊急措置として、骨髄等の凍結の申請を受け付けることといたしました。また、3.臍帯血のバックアップについても、骨髄・末梢血幹細胞液の保存と同様に、ドナーの感染による骨髄等の採取が中止されることを懸念して、当面の間、臍帯血をバックアップとして準備することについて、日本骨髄バンクから通知を行っております。これらの骨髄等の凍結保存や臍帯血のバックアップの対応については、当初は毎月議論しながら継続してまいりました。今後は、適宜議論をさせていただきながら、当面の間、継続することとしております。
8枚目のスライドを御覧ください。臍帯血移植における対応についても、感染拡大を防止する観点から、臍帯血の提供を御遠慮いただく一定の条件を設定してまいりました。
9枚目のスライドを御覧ください。本年度は、新型コロナウイルス感染症に関係して、厚労科研特別研究として3つの研究に取り組んでいただいています。1つ目は、豊嶋班において、新規の骨髄バンクドナー登録数の低下を受け、骨髄等のドナーのリクルートにおけるオンライン登録システムや、自宅で可能なスワブ検査を用いたHLA検査の検証などに取り組んでいただいています。2つ目と3つ目は、今般の臍帯血の需要の増加を受け、加藤班において、臍帯血のバックアップの実態把握や、臍帯血運搬方法の検証等に取り組んでいただいています。木村班においては、臍帯血保存時の効率化を目指した自動判定装置による臍帯血コロニーアッセイ法の開発と検証に取り組んでいただいております。
10枚目のスライドからは、大きな3番として、最近の取組について示しています。(1)国民の理解の増進のため、パンフレットを作成しております。11枚目のスライドには、ACジャパンの啓発資料を紹介しています。12枚目のスライドは、骨髄バンクドナー登録のしおり「チャンス」の紹介になります。13枚目のスライドは、毎年10月の骨髄バンク推進月間の自治体の取組についての紹介になります。
14枚目のスライドを御覧ください。(2)「骨髄バンク推進連絡協議会」については、地域における骨髄バンク事業の推進等を目的とした会議体として、日本骨髄バンクから自治体に対しお願いしている取組になります。本年度はWeb会議等により、実施されていると報告を頂いています。引き続き、設置している自治体においては定期的に継続いただき、未設置の自治体には引き続き設置を促してまいります。
15枚目のスライドを御覧ください。(3)ドナー環境整備についてです。ドナーが実際にドナー候補となり骨髄等を提供する際には、検査や入院などが必要になるため、働いている方がドナー候補となるには休暇取得が必要です。これまでも企業に対する説明会など、啓発活動を日本骨髄バンクにおいて進めてまいりました。本年度は5ポツ目にありますように、経産省及び東京証券取引所が行う「健康経営銘柄」の選定に当たり実施されている「健康経営度調査」の中の特別休暇制度の1つに、「骨髄等移植のドナー休暇制度」が追加されました。このように、企業に対しドナー休暇制度導入の動機付けを図ってまいりました。
16枚目のスライドは、(4)臍帯血の確保対策についての現状と課題を示しています。現状としては、近年の臍帯血公開本数の減少と、臍帯血バックアップも含めた臍帯血需要の増加を踏まえ、臍帯血確保対策の検討をする必要があるとの認識をしております。17枚目のスライドにありますように、現在6つの公的臍帯血バンクが臍帯血供給事業を担っており、6バンクの間の連絡会も継続開催いただいております。
18枚目のスライドは、臍帯血登録(公開)までの流れを示しております。令和元年度の出生数が約86万人程度で、全国には97施設の臍帯血採取施設がありますので、そこで約2万件の臍帯血採取が行われているところ、保存・調製に入る臍帯血が約1.5万件であり、一定の基準の臍帯血を公開することになると、最終的には令和元年度の実績として2,272件になっております。今後は、このような流れの中で、どのような工夫をすることで臍帯血の確保対策につながるのかを検討してまいります。
19枚目のスライドは、臍帯血の各年度末の公開本数とその中の細胞数の内訳になります。全体の臍帯血の公開数は低下傾向ですが、内訳を見ますと細胞数の多い臍帯血が増えてきているところです。20枚目のスライドは臍帯血の新規の公開数ですが、公開される新規の臍帯血においても、細胞数の多い臍帯血の占める割合が高いことが分かります。
21枚目のスライドは、日本地図における公的臍帯血バンクの配置図になります。現時点では都市に配置されており、6バンクの臍帯血の公開検索対象数は、本年度1万件を下回っているようなところです。
最後に、22枚目以降のスライドは、令和3年度の予算案の概要です。造血幹細胞移植対策の推進における予算案は令和2年度と同額で、23枚目のスライドの下に示している移植医療研究の推進における予算案も、同額を確保しているところです。事務局からは以上になります。
○小澤委員長 引き続き、本日欠席の岡本委員から事前に御意見を頂いておりますので、事務局から読み上げをお願いします。
○成田室長補佐 岡本委員からの御意見の代読をさせていただきます。新型コロナウイルス感染症への対応を契機として、JMDPにおいてもドナーリクルートなどのオンライン化を積極的に進めることが重要と考える。米国骨髄バンク(Be the Match)は、既にオンラインドナー登録を積極的に導入しており、今回の新型コロナウイルス感染症の流行下においても、ドナーリクルートが滞ることはなかった。また、Be the Matchでは、電話(スピーカー)を用いて自宅で家族も含めて話を聞き、最終同意を行う。スカイプを用いて自宅で問診、G-CSFの投与、健康状態チェックなどが行われている。今後、JMDPにおいても、ドナーコーディネートから実際の採取に至る全過程において、オンライン化を積極的に導入する検討を進めると同時に、最終同意面談での必須ではなく状況に応じた弁護士の配置など、ドナーコーディネート全般の簡易化についても前向きに見直していく必要があるのではないか。
また、JMDPを介した移植のバックアップとしての臍帯血の確保は、今後も継続されると予想される。これに関して、その確保、使用状況などを定期的に把握するとともに、バックアップに伴う課題を整理し、ガイドライン作成などを検討する必要があるのではないか。このような御意見を頂いております。
○小澤委員長 それでは、本日の議題(1)について事務局から御説明いただきましたが、その内容について何か御意見、御質問はありますか。渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。2点教えていただきたいのですが、先ほど岡本委員が意見でおっしゃったと思うのですが、7ページの臍帯
血のバックアップというのが、現状はどのような活用をされているのか、それともこれから調査をなさるのか。これが1点目のお聞きしたいことです。もう一点は、14ページの連絡協議会の設置に関して、割と大きな県なのに設置されていない所があると思うのですけれども、設置されていない理由が何か分かっておられるのでしょうか。それから、政令市がある場合に、県との連携がうまくいっていないことも結構あるのですけれども、これはやはり政令市の有無にかかわらず県に設置するようにということになっているのでしょうか。この2点を教えてください。
○小澤委員長 事務局から回答をお願いできますか。
○成田室長補佐 まず7ページの臍帯血のバックアップの現状について、事務局から情報共有をさせていただきます。臍帯血のバックアップについては、骨髄移植の予定のあるドナーに臍帯血をキープしていただいているところ、理由としてコロナ感染流行下における理由ということを明示していただいて、最長3か月の期間バックアップの予定をお願いしております。骨髄移植を実施した後には、速やかにバックアップの臍帯血をリリースしていただいております。現状のバックアップの件数や、その後の使用に関しては、厚労科研特別研究の2番目の加藤班においても実態調査をしていただいているところですので、本年度、こちらの報告を受けて共有、検討させていただきたいと考えております。
○小澤委員長 渡辺委員、バックアップの点についてはよろしいですか。
○渡辺委員 まだ結果が出ていないのかなと思ったので、2番目の研究を待たないといけないかもしれないという気もしてお聞きしたのです。情報を持っておられるかどうかを確認しただけです。ありがとうございます。
○小澤委員長 それでは、もう一点の14ページについて事務局からお願いします。
○田中移植医療対策推進室長 御指摘いただきました人口の多いような県で設置が進んでいない理由は、こちらでも少し確認をしているのですが、実際には地域でバンクの活動に関わる方たちがしっかりともう対応をされていて、この会議を設置しなくてもうまくいっているというような回答が多く見られております。一方で、政令市にかかわらず県に設置すると求めているのかという点については、厚労省からも通知を出して設置のお願いをしているのですが、その通知の宛先は県とさせていただいております。この設置は、例えば法律などに基づいて設置しなければならないということではなく、あくまで私どものほうでお願いベースでしている、その対象は県と現状はなっているところです。
○渡辺委員 分かりました。ありがとうございます。
○小澤委員長 ほかにはいかがでしょうか。梅田委員、お願いします。
○梅田委員 梅田です。今の渡辺委員からの御意見で、協議会についての御質問がありました。実は私は千葉県造血幹細胞移植推進協議会の委員を28年務めております。千葉県は千葉市が政令指定都市になっておりますが、この協議会の委員に千葉市の委員の方が入っておられます。ということで、委員は全部で9名いるのですけれども、千葉市とも連携を取りながら推進しています。千葉県の場合は、来週の3月8日が委員会の日だったのですけれども、たまたまコロナで書面会議になってしまいましたが、例年ですと会議が開かれ、かなり活発に意見が出て、県内の骨髄バンクの活動をするのに非常に役立っていると思います。ですので、先ほどの図にもありますが、棒線が入っていて委員会がまだ設置されていない都県においては、是非とも設置いただければと思います。以上です。
○小澤委員長 どうもありがとうございました。この表を見ますと、東北地方や九州エリアはまだ設置されていない県が多いようですし、東京都は大きいのですけれども、まだないのですね。特に東京都は、移植拠点病院が3つ動いていますので、本当は調整したほうがいいかなとは思うのですけれども。早速の登場で申し訳ないのですが、大橋委員、東京都の問題、連絡協議会の設置に関して、何かコメントはありますか。
○大橋委員 御質問ありがとうございます。今、3つの拠点病院で定期的に会議をもっており、拠点病院としての活動が円滑にいくように、それから担当する関東甲信越、東京地区に遍く活動が広がるように準備をしています。それから、これは余談というか追加なのですけれども、東京地区において、バンクの採取施設の状況の大阪モデルを導入するということで、虎の門病院を中心に活動を行っており、来年度には稼動するように理解しております。以上です。
○小澤委員長 そうすると、そういった所を核にして、東京都の骨髄バンク推進連絡協議会に発展させていくようなことも、あるいは可能かもしれないですね。今後の検討課題でしょうけれども。ほかに御意見、コメントはいかがでしょうか。齋木委員、お願いします。
○齋木委員 今、連絡協議会とか骨髄バンクの推進に関する話題が出ましたので、新潟県で活動しているのですが、地方から見たこういった事業について御意見というか、御報告をさせていただきます。新潟県においては、連絡協議会を15年以上前から設置して、新潟県、政令指定都市の新潟市、日本赤十字社の方、そしてボランティアの団体、全員が1つのテーブルに着いて、毎年、話合いを進めてきております。その会議の中では、大変積極的な意見が多く出るのですが、実際にその年度の骨髄バンクのドナー登録に関する活動をしてみると、なかなかお互いの三者の協力が現場ではうまくいっていないということが多く、大変難しさを感じているような状況もあります。
また、地方都市においては、特に私の在住が上越市ということで、今年も大雪で大変だったのですけれども、こういう都市からは、18歳で高校を卒業すると多くの若者が都市部、雪のない所に流出していってしまい、ドナー登録の活動をしていても限界を感じることがあります。骨髄バンクのドナー登録は、18歳以上の方が御自分の意思で判断して登録できる制度ですので、今後、例えば少しでも正しく御自分で決断していただけるような情報を広げていくような機会を、小学生、中学生の頃から一度は経験しておいていただくと、日本全国どこの地域にいても御自分の意思で登録ができてもいいのではないかなと思います。そうなってくると、例えば文部科学省の方の御協力が必要になってきたりということも併せて、ドナー登録に結び付けていかれればいいのではないかということを、日々感じております。
そういった中で、それでも池江璃花子さんというアスリートの方の病気、闘病生活が多く報道されて、多くの方がドナー登録に結び付いたということと、彼女の活躍を多く目にすることで、皆さんの思いにつながるところがあるのかなというのも、日々感じております。以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。ただいま御意見を頂きましたけれども、連絡協議会が設置されている県であっても、それぞれの県によって活動状況が違うと思うのです。非常に活発に活動している所もあるようですし、もうひとつ頑張ってほしいという所もあるのですが、その辺りの全国的な状況をそれぞれの県の担当者が把握できるような、ニュースレターのようなシステムはあるのでしょうか。
○田中移植医療対策推進室長 日本骨髄バンク主催で、各都道府県の担当者の会議を開催させていただいており、厚生労働省もオブザーバーとして参加をしております。今年度行われた当該会議では、幾つかの県から好事例ということで、こういう取組をして良いことがあったというようなことを具体的に御報告いただいたところです。そういったことを参考にしながら、その会議には、会議を設置していない所も参加をしておりますので、そういった情報提供を引き続き行っていきたいと、骨髄バンクとは相談をしているところです。
○小澤委員長 ありがとうございました。それでは、この点はよろしいでしょうか。ほかに何か発言はありますか。梅田委員、お願いします。
○梅田委員 梅田です。9ページの資料で、先ほど岡本委員から、ドナー登録のオンライン化とスワブ化について御意見がありました。この2点は、全国の骨髄バンクボランティアと全国骨髄バンク推進連絡協議会がずっと要望していた事項です。1番の研究内容の「Webを用いた」という所と、その下の「オンラインによるスワブ」は、全国のボランティアが要望していたものです。今、コロナの対策としても、対面せずに登録ができるということで、是非とも推進したいと考えております。
この研究で一歩が進んだという認識ですが、この研究が本格的になるように推進していければと思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。
○小澤委員長 コメントありがとうございました。先ほどの岡本委員からの御意見ですけれども、ドナーリクルートの関係で、米国ではオンラインのドナー登録のシステムがもう導入されているということですが、理由は非常に広域にわたるということもあって、オンライン化が進んでいるのですか。事務局、その辺りの事情は何か分かりますか。
○幕内参与 御質問ありがとうございます。健康局参与の幕内です。御指摘いただいた点については、恐らく小澤先生がおっしゃったとおりだと思います。特に米国においては、本邦とは違い、献血ルームを中心としたドナー登録というよりも、いわゆる大学などの比較的分散した所でドナー登録がされているものと承知しております。したがって、そのような国土の広大さもあり、米国においてはWebにおけるドナー登録が進んでいるものだと認識しているところです。
○小澤委員長 ありがとうございました。
○田中移植医療対策推進室長 米国では、Webだけではなくて、今回研究で検証を行っていただいているスワブによるHLAの検査とセットで行われていると。つまり、全てが自宅において完結するということだと承知をしております。現状、日本では、Webで登録しても献血ルームに行かなければならない。そういったことも併せて、スワブを導入することで家にいながらにドナー登録ができるという取組が日本でも進むような研究を、今していただいているところです。当然、感染の予防の観点からは、できるだけ人との接触を避けるということで、Webで事前に登録をするということは一定の効果があるとは思っておりますが、併せてスワブの導入も検討をする必要があると私どもとしては考えて、今回この特別研究を行っております。できる限り皆様に使いやすいようなWebのシステムがどういうものなのか、それから例えばスワブの説明はどのようにやると分かりやすいのか、Webの登録をする際にどんな情報を欲しいのかみたいなことも併せて、より効果的なプロトタイプを検証いただいているところです。
○小澤委員長 ありがとうございました。日本はいろいろな面でシステムが遅れているようなところが、今回のコロナ問題で表面に出てきたわけですが、是非対応をよろしくお願いいたします。そのほか、何か御意見はありますか。山口委員、お願いします。
○山口委員 2点ほど質問させてください、質問とお願いもあるのですけれども。
今、スワブの話が出たのですけれども、豊嶋先生たちはPEG-G-CSFを用いて1回の投与で末梢血から造血幹細胞を採る研究をされております。実際に、ほぼ採取ができるような一定の条件は見いだしておられるようなのです。多分、今後PEG-G-CSFの承認を持っているキリンが治験をやらないと、最終的には保険償還できないのですけれども、今ですと5日間入院されたりすることがあるのですけれども、もしこのPEG-G-CSFが使えるようになれば、恐らく1回投与だけで採取ができますので、先ほどありました休暇などが非常に楽になる一面があると思うのです。この辺りの対応、保険償還される前にこれが使えるようにならないかということを、事務局から聞かせていただければと思います。
もう一点の質問ですが、先ほど緊急避難的に凍結保存して投与するという緊急措置がとられているという話がありましたけれども、今まで実際に凍結されて投与されたケースがあったのか。そのときに、問題なく投与できたのか、何らかの課題がなかったのかという辺りについて、もし分かりましたら教えていただけたらと思います。以上です。
○小澤委員長 ありがとうございました。事務局から回答をお願いします。
○田中移植医療対策推進室長 1点目の新たな技術の導入についてですが、やはり薬事承認を取るには、必要な治験であるとかというプロセスがあります。例えば、そういったものを経ずに患者様に投与をする方法としては、先進医療なども方法としてはありますが、先進医療自体で薬事承認が取れるわけではないということですので、この辺りは企業の戦略ということがあると思いますし、先進医療であれば、考えていただく大学なりの御協力が必要であると。その辺りも含めて豊嶋先生のほうでより良い形で進めていただくよう、私どものほうでも御相談をさせていただきたいと思います。
○小澤委員長 今の山口委員の最初の部分が少し聞き取れなかったのですが、最初からPEG-G-CSFのことでよろしかったのですね。
○山口委員 はい、そうです。
○小澤委員長 分かりました。ありがとうございました。それでは、そのほか何か御発言いかがでしょうか。
○成田室長補佐 事務局です。すみません、山口委員からのもう1つの御質問にお答えしてもよろしいでしょうか。骨髄の凍結の事例に関してなのですが、現在、骨髄バンクのほうからも報告を頂いていて、ある一定程度、凍結保存された骨髄移植がされていると伺っております。ほぼ全例で、投与後は生着を認めて経過をしていると報告を頂いております。以上です。
○小澤委員長 どうもありがとうございました。
○山口委員 よろしいでしょうか。
末梢血や骨髄の凍結というのは、今回日本では初めてだと思うので、できればそのデータをまとめていただいて、本当に凍結が今回の緊急避難で終わるのか、それとも将来ひょっとしたら冷凍保存の実装化も一つの選択肢としてあり得るのかという、その辺のところの見極めをするためのデータの蓄積を是非お願いしたいと思います。
○成田室長補佐 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。
○神田委員 自治医大の神田です。今の点はもう解析してますので、私からお答えします。
○小澤委員長 神田委員、よろしくお願いします。
○神田委員 凍結保存については、100例強のデータについて既に解析を行っておりまして、末梢血幹細胞、骨髄に分けてそれぞれデータを見ておりますが、特別な理由による早期死亡の患者さんを除いては、ほぼ全て生着をしております。それから、生着への時期についても解析を行っており、通常の移植と比べてほとんど差はありません。それと、もう1つ気になっていた点は、採取から凍結までの時間です。遠方の場合、24時間近く掛かっているような場合もありましたので、その点の影響についても見ておりますが、少なくとも今回の範囲で凍結までの輸送に1日程度の時間が掛かっているわけですが、それについても問題がないことを確認しております。日常診療においては、末梢血幹細胞を凍結保存するということは既に通常どおり行われていて、今回、新たな発見としては骨髄でも問題がないということと、輸送時間が掛かっても問題がないということになるかと思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。
○神田委員 それから、PEG-G-CSFの件につきましては、今、私たちは、日常診療においてドナーさんにG-CSFを打って毎日白血球の数を見て、過剰になったら減量するなどの細かい調整をすることが添付文書でも求められていて、ドナーさんの安全のために丁寧にやっています。PEG-G-CSFの場合には、1回打ったら楽なのですが、その分、上がり過ぎたときに対処ができないので、そういった安全性については、やはり慎重に見てやっていく必要があるかと思っています。
○小澤委員長 コメントありがとうございました。先ほど神田委員がコメントされたことについては、もう資料としてはどこかに出ているという理解でよろしいですか。
○神田委員 3月の学会で、ある程度のデータが出ますが、内容としては、今、論文投稿になっていますので、近々公的なものになると思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。鎌田委員、お願いします。
○鎌田委員 鎌田です。臍帯血バンクについて質問をさせていただきたいと思います。臍帯血のニーズが高まっていると思いますが、かつて質問をさせていただいたときには、臍帯血が現状では不足しているという状況ではないということではあったのですが、今後の見通しとして、高まっていくニーズに対しても、十分対応し得る体制であるのかどうかという点や、臍帯血バンクの統廃合などもありましたが、そういった体制などの現状や課題などという面も、具体的に教えていただければと思います。
○小澤委員長 ありがとうございました。事務局からお願いします。
○田中移植医療対策推進室長 御質問ありがとうございます。まず、臍帯血について現状で明らかに不足しているという状況ではないということが1つ、事務局として思っているところです。本日の資料にもありましたが、まず、採取施設は近年ほぼ横ばいになっております。その理由ですが、やはり採取していただく産婦人科医の先生方の研修や負荷などがかなり大きいので、かなり研修を積んだ先生方に御参加いただいて採取に当たっていただいている現状です。ところが、御存じのとおり出生数が段々減少してきている中で、この臍帯血の採取施設が現状で十分なのかという検証は1つ必要だと思います。一方で、今、バンクが6バンクありまして、細胞の調製に入るまでの時間というのは、先ほど骨髄でもありましたが、何時間何十時間も置いておいていいわけではないので、ある程度、バンクから近距離にある採取施設の御協力が必要と。今後、採取施設を少し拡大をし、数を確保していくことが十分できるのであれば、バンクはこのままの数でも対応可能と思いますし、一方で、もう少し多く採取施設の協力が必要ということであれば、バンクを新たに設置するということが本当に必要であれば、検討をしていく必要があると思っています。
では、臍帯血はトータルで一体幾つあればいいのかということで今、厚生労働科学研究の中の臍帯血の研究をしている班の中で、いろいろと御検討いただいております。実際に、どれぐらいの細胞数のものがどれぐらい必要なのかというニーズをしっかり把握した上で、それを確保するための体制を考えていきたいと思っています。今、日赤等には、より良い細胞数の多いものをしっかりと確保していくという技術的な面をしっかりと取り組んでいただいておりますし、数については、採取施設の御協力を頂いて、1つの施設から効率的に採取に御協力いただけるような、妊婦の方々の御協力を頂けるような取組を進めるといったことを、両輪で進めていくということだと思っています。今は研究で、必要な数といったようなところについて、科学的に検証を頂いているところですので、その研究結果等をもって、私どもとしても検討を始めたいと思います。
○鎌田委員 分かりました。ありがとうございます。
○小澤委員長 ありがとうございました。そのほか、よろしいですか。梅田委員、お願いします。
○梅田委員 梅田です。15ページにドナー環境整備についてという資料がありますが、このドナーの環境整備につきましては、ここで休暇制度が挙がっているのですが、それとドナー助成制度の2つがドナー支援の両輪と考えております。千葉で私はいろいろとボランティア活動等々をやっているのですが、休暇制度につきましては、千葉県にも経済団体というのが幾つかありまして、このうち4つを訪ねていろいろお願いしました。そうすると、千葉県の場合は中小企業が非常に多くて、やはり本社が東京や大阪という非常に大きな所にあって、本社の意向がないとなかなか動けないということを言われるのですね。ということで、ここの資料でもあるのですが、東京の大企業や取りまとめている経済団体の大きな所に働き掛けていただいて、地方の中小企業又は支店、こういう所が動けるような対応をしていただきたいと是非とも思います。
それと、ドナーの助成制度につきましては、これも千葉県や各市町村と我々が一緒に行っている献血併行登録会があるのですが、その登録会の場で、実際の自治体の課長さんや係長さんが直接献血会場に来られる所で、いろいろと制度導入のお願いをしております。千葉県は54の市町村があるのですが、お陰さまで47で導入をしていただいておりまして、この4月にも3つぐらいが導入されそうだということです。これは全国的にまだまだ進んでいない所が多いので、こちらのほうもバックアップいただいて、是非ともドナー支援ということで多くの都道府県の市町村が導入できるといいなと思っております。よろしくお願いいたします。意見です。
○小澤委員長 貴重な御意見をありがとうございました。今の梅田委員の御意見を参考にして、是非、事務局のほうで対応をよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。野崎委員、お願いします。
○野崎委員 恐れ入ります。野崎でございます。私は医療者ではありませんので、内容がよく分かっていないと困るかと思うのですが、今の梅田先生のお話と、資料で言いますと梅田先生のお話は15ページの話だと思うのですが、1、2ページの登録者数との関係についてちょっと教えていただきたいと思います。1ページ目ですが、全体として今の登録者数は53万弱ということになっております。2ページ目を見ますと、その中で臍帯血以外ですかね、臍帯血以外で1,200件程度、年間行われているということかと思います。53万ぐらい登録があって、実際に年間で1,200件ぐらいが移植実績があるということですが、そのマッチング、ドナーとしてマッチするということが分かってから、実際に実施に至る割合あるいは実施に至らない、何らかの事情で奏功しなかったという件数や割合等というのは、どれぐらいになるのでしょうか。そういうことはお分かりになるのでしょうか。
○小澤委員長 事務局から回答できますか。
○成田室長補佐 はい、事務局でございます。御指摘いただいたのは、こちらは非血縁者間移植の報告ですので、骨髄バンクに登録してドナーコーディネートをしながら骨髄移植を完了できた方の割合かというように受け止めさせていただきました。現在の報告としては、約60%程度の方に予定どおり骨髄移植等をしていただいている現状と報告を頂いております。
○野崎委員 恐れ入ります。ドナー側としての話というのですかね、恐らくドナー側でマッチングされましたよという御連絡が行きますよね、行くのだけども、それは移植できませんというように脱落していくというのですかね、そういう割合というのはどんな感じなのでしょうか。今のですと、治療の話として60%の方は骨髄移植等ができるという形ですが、ドナー側としてはどんなことで60%になっているのか、そういうデータというのはおありなのでしょうか。
○幕内参与 ありがとうございます。健康局参与の幕内でございます。まず、御質問の点なのですが、細かい数字は日本骨髄バンクにも確認させていただきましたら、出すことは可能かなと考えております。他方、やはり、今回の骨髄の提供という観点に関しては、例えばドナーさんが仮に10人マッチして3人が提供を可というように回答をしていたとしても、最終的に提供に至るのは1人になります。ですので、白血球の型をHLAと言いますが、患者さんごとのHLAによって、実際にドナーが何人マッチするのかというのも変わってきますが、その中で最終的には1人に絞られます。ドナーさんとして提供が可能であると回答をした人の数というのをまた別で出すことは可能ですので、それがマッチした人のうちのどれくらいかというのは、資料として出すことは可能かなと考えているところです。
○野崎委員 ありがとうございます。梅田先生も御指摘になられておられましたが、やはり医学的な観点ではマッチングの問題というのはあるかと思うのですが、いろいろな社会制度、社会的な企業等の支援ですとか、そういった辺りで何らかの支援ができるような形、なかなか侵襲性の高い方法だと思いますが、やはり必要なことだろうと思います。その辺りの支援との関係で、登録時は積極的だったのだけれども、いろいろな事情で移植に至らないというところについて、どうバックアップしていくかということも検討課題の1つなのかと思いましたので、御質問をさせていただきました。ありがとうございます。
○小澤委員長 ありがとうございました。よろしいですか。事務局のほうもよろしいですね。活発な御意見をありがとうございました。それでは、ただいま頂いた御意見を踏まえ、事務局において引き続き造血幹細胞移植対策を実施してください。
それでは、次に議題(2)の「造血幹細胞移植推進拠点病院事業について」、事務局から説明をお願いします。
○成田室長補佐 事務局です。資料2、造血幹細胞移植推進拠点病院事業について、御報告いたします。1枚目のスライドを御覧ください。これまでも、日本の8ブロック9施設において拠点病院事業を行ってきたところです。本年度からは、9ブロック12施設における拠点病院事業を開始しております。引き続き人材育成やコーディネート支援、地域連携を柱にしているところですが、特に地域連携の中でもフォローアップ体制の構築と充実について、重点的に事業を行っていただきたいという趣旨で、昨年度までに公募を行い、選定してまいりました。
2枚目のスライドを御覧ください。拠点病院選定後の事業の取組の報告・評価の流れについて、参考までにお示ししております。1、2、3、4と流れがございます。1で、拠点病院や地域拠点病院から事業計画を厚労省に提出いただきます。2にあるように、それを評価会議に提出させていただきます。3にあるように、評価会議で評価を頂き、その内容を事務局で本年度の分も整理させていただいているところです。そして、4の本日のこの審議会は、特に各施設の評価をするという場ではなく、事業報告を基に移植医療全体の課題解決に向けた方向性の確認をさせていただきたいと思います。
3枚目のスライドを御覧ください。こちらは日本地図における各拠点病院の配置です。今年度から、沖縄の琉球大学医学部附属病院と北陸ブロックの金沢大学病院、関東では虎の門病院、国立がん研究センターが新たに拠点病院に加わっております。
4枚目のスライドから、各事業の5か年計画と令和2年度の実績についての抜粋をお示ししております。もともと各病院の事情を踏まえて計画を立てていただいている中で、本年度は新型コロナウイルスの影響もあり、こちらにある人材育成事業については、認定HCTCの育成の進捗が遅れている所が認められております。
5枚目のスライドを御覧ください。コーディネート支援事業については、コーディネートに要した期間が短縮されている所が半数ほど認められております。
6枚目のスライドを御覧ください。地域連携事業については、LTFU外来の拡充や地域の医療機関との連携拡大について、更に進めていただきたいと考えております。
7枚目のスライドについては、本年度の新型コロナウイルス感染症による拠点病院事業への影響について、頂いた御意見と事例についてお示ししております。多くの病院では、次年度以降の計画に変更が発生しています。また、研修会の中止やWebによる開催への変更等がございました。
8枚目のスライドについては、各事業の好事例についてお示ししています。人材育成事業においては、地域拠点病院を積極的に活用した医師・HCTCの育成の取組がございました。コーディネート支援事業においては、骨髄等の採取の受入可否の状況に関する情報にWebシステムを導入する取組がございました。また、地域連携事業においては、全国の移植施設のLTFU外来において、一定の質の担保された患者指導を行うためのリーフレット等の作成や、就労支援に関して社会保険労務士にオンラインで相談できる体制の整備といった取組がございました。今後も、評価会議の御意見の整理の中でフィードバックさせていただきながら、より良い拠点病院事業につなげていきたいと存じます。事務局からは以上です。
続きまして、本日欠席の岡本委員からの御意見の代読をさせていただきます。移植推進拠点病院事業の評価においては、1つのブロックに複数の拠点病院が設置されている場合、お互いがどのように効率良く連携しているのかを知りたいところ。現状の報告書では把握することが難しいこともあります。この点に関して、報告書のフォーマットや項目等の見直しも必要ではないか。また、拠点病院が計画、実行した事業、特に地域連携事業のアウトカムをどのように評価するかに関する記載があるとよいのではないか。このような御意見を頂いております。
○小澤委員長 最後の岡本委員からのコメントについては、事務局から回答なり御意見はありますか。
○成田室長補佐 事務局としましても、本年度はコロナの影響もありましたが、報告書等、計画の内容も、より拠点病院にきちんと説明していきたいという中で、また報告書や評価の方向性もまとめていきたいと考えております。
○小澤委員長 1つのブロックの中に複数の拠点病院が設置されている場合に、互いにどう連携していくのかというところ、報告書にはその辺が不十分だということでしたので、その辺はまた今後検討していただければと思います。
それでは、議題(2)について、委員の皆様の御意見、コメントはいかがでしょうか。境田委員、お願いします。
○境田委員 中日新聞の境田と申します。素人の素朴な質問で申し訳ないのですが、評価の作業でいろいろ見ていて、これが補助金につながるのかなと思ったのですが、現状でコーディネートの日数とか、いろいろな面で遅れている所、ざっと見た限りでは、西高東低と言うか、大阪のほうが進んでいて、システムなども整っていてという印象を抱きました。そうすると、補助金の支給について、いい病院にたくさん補助金をあげてとやっていると、もっとやらなければいけない病院には補助金が行かないのかなとか、今の現状や取組と、厳しい言い方をすると怠慢なのか、それとも人材やお金がないからできないのかという問題があると思うのですが、その辺の相関関係はどうなっているのでしょうか。
○小澤委員長 事務局からお願いします。
○田中移植医療対策推進室長 御意見ありがとうございます。まず、私どもが予算を確保する際には、この事業全体として、造血幹細胞移植がより良い形で進められていることをPRして予算を取っていきます。個別の予算の配分については、先ほど説明させていただきましたが、選定評価会議での評価を踏まえて行っておりますので、評価委員の先生方が、今御指摘いただいたように、その評価を基にお金を配分することになりますが、基本は評価の仕方だと思っています。なかなか人材育成が難しいような地域で、ここであれば5人育てればかなり頑張ったのではないかというようなことは、私ども行政だけではなくて、そういった専門の先生方の御知見のほうがよりお分かりいただいているのかなという気はしておりまして、そういった先生方の評価を基に決めさせていただいておりますので、御指摘いただいた点も含めて、評価委員の先生方には評価をお願いしたいと思います。
○小澤委員長 ただ、KPIの設定の仕方も難しいですよね。低く設定すれば、それをクリアするのは比較的簡単ですし、高いハードルを設定すれば、なかなか難しいとか、この評価の仕方というのもまだまだ検討する余地があろうかと思います。ほかに御意見はいかがでしょうか。渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。どうしても行政がやるとブロックという形で地域を分けると思うのですが、実際の病院の連携とか人の流れというのは、必ずしも行政が作ったブロックと一致しないのではないかという気がしております。例えば東北ブロックとか九州ブロックとかいろいろあるのですが、九州とか北海道の辺りは独立していると言うか、個別な感じがしますが、中部、北陸、東海、関東甲信越ブロック、関東甲信越は新潟まで全部入っているのかどうかも分からないのですが、ブロックごとでの連携をある程度、前の協議会のような形でなさっておられるのか。それとも、ブロックというのは、あくまで行政的な建前で設置しただけで、ブロックということに対して余りこだわっておられないのか。つまり、医療機関というのは、必ずしも拠点病院だけでなさっているわけではないと思うので、拠点病院としてブロックの施設に認定された所と、それ以外の病院の連携というのは、どういう形でなさっておられるのかを知りたいのです。ブロックごとで協議会をしなさいという形になっているのでしょうか、それとも、ブロックの中に拠点病院を設置はしたけれども、あとは独立してやってくださいという形になって、そこの人材育成とか、そういうことだけを拠点病院でやるような形になっているのですか。その辺りの運営の仕方を教えていただければと思います。
○小澤委員長 御質問ありがとうございます。現在のブロックも一度、軌道修正された結果ですが、事務局から説明をお願いできますか。
○幕内参与 御指摘の観点につきましては、確かにおっしゃるとおりかと思っております。今、出させてもらっている日本地図ですが、令和2年度からこの体制になっております。この体制にするのは、いままでの拠点病院事業の反省を生かしました。以前の拠点病院は、御指摘のとおり行政区分で分かれていたところがあるのですが、今回、その弊害を鑑みまして、日本造血細胞移植学会と相談しまして、学会のほうで、いわゆる地域の実態に合わせて、人であったり、患者であったり、あるいは医療従事者であったり、そういう人の流れを勘案した形でどうなるかを検討してもらった上で、このような形のブロック割り、それに応じた形での拠点病院を提案していただきまして、選定に至っているところです。ですので、確かに御指摘のとおり、少し行政区分に似たような形にはなっているのですが、人の動きが少し特殊な形になっている、例えば東海と北陸については、東海と北陸を細かく分けたり、あるいは、例えば近畿であったら、兵庫県も西播のほうは岡山に近いので中国地方の担当がやったりと。そのような形で、少し人の動きを勘案した形のブロック割にさせていただいた結果が、こちらであるという御理解を頂けましたらと思います。
また、そのブロック内における拠点病院とそのほかの病院との連携については、スライドの1を御覧ください。拠点病院事業の概要という所の一番上にありますが、ブロックの中の拠点病院が、各都道府県の代表的な病院を地域拠点病院という形で指名、また業務委託しまして、地域拠点病院をハブとして地域をしっかりとグリップできるような体制を組んでいるところです。その上で、ブロック内のほかの移植施設あるいは非移植施設も含めて、しっかりと連携が取れるような形で、連絡会議等を開いていただく形の事業とさせていただいております。
その中で、例えばブロック同士の連携等を図る機会も、同時に考えておりまして、拠点病院は12施設ありますが、それぞれが相互に連携が取れるような形での会議は定期的にやっていただいているところです。
○田中移植医療対策推進室長 今、出てきました地域拠点病院については、参考資料2-1に、昨年の造血幹細胞移植委員会で御議論いただいた資料がありまして、それぞれのブロックごとに、どこの地域拠点病院と組んでいるのかということが分かるような資料になっておりますので、必要に応じて御活用いただければと思います。
○小澤委員長 例えば関東甲信越ブロックも拠点病院は3つあるのですが、そのカバーする地域拠点病院は相当入り組んでいるのです。ですから、もともと連携されている実態に基づいた組織化になっているかなと思います。
細かい話なのですが、例えば福井大学などは2つのブロックに入っていたと思いますが、その辺は実際問題として、どうしてそのような形になっているのですか。
○幕内参与 個別の事例になりますが、福井大学に関しては、もともと拠点病院事業の流れもあったので、東海と連携してやっていたのですが、実態として北陸との連携が強いという形でしたので、新体制では北陸と連携してもらって、事業を引き継いでいってもらっている形です。
○小澤委員長 移行措置のような感じなのですね。
○幕内参与 はい。
○小澤委員長 ほかに御意見、御質問等はいかがでしょうか。特にありませんか。評価方法は実際問題としては非常に難しいところがあるのですが、今はその作業の最中であると思います。では、この議題はここまでといたします。頂いた御意見を踏まえて、事務局において必要な対応をお願いいたします。
次に、議題(3)の「その他」です。委員の先生方から、何か御発言等がありましたら、よろしくお願いいたします。この委員会も久しぶりの開催になりましたが、是非取り上げてほしいテーマとか、何かありましたら御発言いただければと思います。渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 日本医師会の渡辺です。最初の議題のときにもお話があったと思いますが、池江さんの話が出たように思いますが、いかに広報が大事かということがよく分かる事例だと思うのです。ああいう方が偶然おられたから、うまくいったというのは、システムとしては望ましいことではなくて、本来は絶えずそういう状況になっていかなければいけない。そういうことから考えると、現在、この造血幹細胞移植委員会というのが、どういうところまで意見を言えるのかというのは分かりませんが、どちらかと言うと今日も医療的な話が多かったと思いますが、本来は、医療者のほうに啓発をするとか教育をするというのは、本来のシステムにもう入っているのが普通なので、それよりも、むしろ国民に対してどういう時期から、どういう啓発を進めていくか。
例えばがん教育などでしたら、子供のときからそういう話を徐々にしていくわけです。最初から、突然「骨髄バンクがね」という話が出てきても、面を食らうのが普通だと思います。だから、なぜそのようなものが要るのかという基礎的な知識を、子供の時期から知っておられて、それから何が必要かという話に展開していくほうが望ましいように思うのです。だから、パンフレットを作って、骨髄バンクに登録しましょうという話が唐突に出てくるのではなくて、より早い時期からどういうものが必要かと。
私は小児科ですし、ほかの審議会とよく重なるのですが、例えば出生前診断とか、緊急避難における性教育というのは、早い時期から要るのではないかということです。それから、障害者施策に関して、障害者との共生を図るというときに、なぜ差別ということが起きるのかといったら、障害者に対する理解が十分にできていないというところから入る。純粋な子供の頃から教育と言うか、ある程度の倫理の中に入っていくような形で進めていかないと、皆さんが唐突にそういうことに興味を持ってくれるわけではないのではないかと思うのです。
そういう意味で、文科省が入っているような会ではないと思うのですが、この委員会の趣旨が私は本来分かっていないのですが、でも、国民への啓発ということをする場合に、ある程度の年齢になって伝えるのではなくて、より早い時期から、どうして必要かという基礎知識を与えていくという概念があっていいのではないかと思うのです。これは今後の課題ということになるし、ここの担当は厚労省ですから、そんなにすぐには動かないと思うのですが、啓発の在り方を、もっと基本的なところからお考えになっていただいたらいいかなという気がしております。
○小澤委員長 ありがとうございました。この委員会は、かなり幅広いテーマを扱っておりますので、ただいまの渡辺委員の御意見は非常に重要かつ参考になると思います。事務局としては、何か御意見はありますか。
○田中移植医療対策推進室長 御意見ありがとうございます。普及啓発活動については、私どものほうで予算を確保し、日本骨髄バンク等に様々な取組を行っていただいております。資料については、10ページにあるような小・中学生向けのパンフレット、中高生向けパンフレットを作成いただいているのですが、御指摘いただいたのは、その活用というところだと承知しております。なかなか省庁の壁というのも厚いのですが、そういった省庁間の連携は、私ども行政がしっかりと進めていく内容と承知しておりますので、御意見を踏まえ、どのようなことができるか、私どもとしても考えたいと思います。
一方で、いろいろな普及啓発が、今までどういう所にフォーカスが当たって、どういう考えの下に行われてきたのかは、先生の御指摘も踏まえて、今後御紹介を、今日の資料などは「このような啓発資材があります」という御紹介にしかなっておりませんので、そうではなくて、どういう視点で進めてきたのかというような、もう少し掘り下げて普及啓発事業を御紹介できるような機会を設けたいと思います。
○小澤委員長 そのほかに何か今後のこの委員会の活動に向けて御意見やコメントがありましたら、御発言をお願いします。よろしいでしょうか。しばらく厚労省もコロナ対策で本当に忙しくて、少し落ち着いてから、じっくりといろいろな課題に取り組むということになるかなと思います。特に追加の発言がないようでしたら、本日の議題は以上となりますが、事務局から何かございますか。
○成田室長補佐 事務局です。本日は活発な御議論を頂き、ありがとうございました。次回以降の開催につきましては、改めて事務局から御連絡させていただきます。本日はありがとうございました。
○小澤委員長 それでは、本日の会議を終了いたします。どうもありがとうございました。
照会先
健康局難病対策課移植医療対策推進室
代表:03(5253)1111
内線:2363