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第99回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会 議事録
日時
令和2年9月25日(金)10:00~12:00
場所
厚生労働省 厚生労働省職業安定局第1会議室(オンライン会議会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 合同庁舎5号館12階)
厚生労働省 仮設第3会議室(傍聴会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館C駐車場2階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 合同庁舎5号館12階)
厚生労働省 仮設第3会議室(傍聴会場)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館C駐車場2階)
議事
- 議事内容
- ○阿部部会長 ただいまから第98回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会を開催いたします。皆様方におかれましては、大変お忙しい中御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。
本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の酒井委員、使用者代表の志賀委員、吉村委員が御欠席です。なお、志賀委員の代理として、日本商工会議所産業政策第二部担当部長の杉崎様に出席いただいております。よろしくお願いいたします。
事務局である職業安定局の幹部にも異動がありましたので、御報告いたします。田中職業安定局長、志村職業安定担当審議官、蒔苗総務課長、宮原雇用開発企画課長、五百籏頭高齢者雇用対策課長、溝口雇用政策課長、安井経済連携協定受入対策室長が、それぞれ就任されております。なお、田中職業安定局長は所用のため途中から御出席されると伺っております。
本日の部会ですが、初めてのZOOMによるオンラインでの開催となります。開催に当たって事務局から説明がありますので、よろしくお願いいたします。
○蒔苗総務課長 総務課長の蒔苗でございます。私から、本日のZOOMのオンライン会議について、簡単に操作方法を御説明いたします。あらかじめ、会議の開催参加方法についてという資料をお送りしておりますので、御参照いただければと思います。
現在、皆様の画面には我々、事務局がおります厚労省の会議室が映っております。それに各委員の皆様が映っていると思います。まず、その画面の下のマイクのアイコンがオフになっていることを御確認ください。部会の進行中は、委員の皆様はマイクをオフにしていただきまして、御発言を希望される場合には手を挙げるボタンをクリックいただきまして、阿部部会長の許可があった後に、マイクをオンにして、お名前を名乗っていただき、御発言をお願いいたします。アイコンの赤い斜線がなくなれば、マイクオンという意味ですので、よろしくお願いします。
本日は諮問を予定してございます。事務局から資料を御説明し、質疑応答いただいた後に、労政審に審議結果を報告することになる場合には、画面上に報告文案を表示。
切れました。委員の皆様、聞こえますでしょうか。
○阿部部会長 今、インターネットの接続が不安定で、皆さん、カメラがオンになっていると思いますが、こちらでは皆さんのお姿は見えないのです。もしかしたら、先ほど事務局のZOOMの会議の説明の途中で聞こえなくなったのではないかと思うのですが、状況を把握中ですので、しばらくお待ちください。
○事務局 皆様、カメラはオフの状態でお願いいたします。何か不具合等がありましたら、チャットで御連絡いただければと思います。申し訳ありません。では、続けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○阿部部会長 もう一度、ZOOMの利用について、事務局から説明をお願いします。冒頭からお願いいたします。
○蒔苗総務課長 総務課長の蒔苗でございます。失礼いたしました。改めて御説明申し上げます。オンライン会議の御説明ですが、あらかじめお配りしている、会議の開催参加方法についてを御参照ください。
現在、皆様の画面には我々、事務局がおります厚労省の会議室、阿部先生が一番前におりますが、その映像と、各委員の皆様の映像は切っておりますので、音だけでお伝えしております。
まず、マイクの下のアイコンがオフになっていることを御確認ください。会議中は、委員の皆様のマイクはオフにしていただきまして、御発言される際には手を挙げるボタンをクリックして、阿部部会長の許可があった後にマイクをオンにして、お名前をお名乗りいただいて、発言をお願いいたします。アイコンの赤い斜線がなくなれば、マイクがオンになったという印です。
本日は諮問を予定してございます。事務局から資料の説明をし、質疑応答を頂いた後に、労政審に審議結果を報告するということになる場合には、画面上に報告文案を表示いたしますので、報告文案の内容を御確認いただき、御意見がございましたら、手を挙げるボタンをクリックいただいて、部会長の許可の後にお名前と御発言をお願いいたします。
先ほどのように、会議進行中に接続が切れてしまった場合、あるいは音声が聞こえないという場合に、トラブルがございましたら、事前にメールでお送りしている電話番号、あるいは先ほどのようにチャットで御連絡を頂ければと思います。通信遮断、通信障害が生じた場合には、先ほどのように部会を一時休憩とさせていただくこともございますので、御容赦いただければと思います。では、本日はよろしくお願いいたします。
○阿部部会長 若干御不便をお掛けしておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。もし何かありましたら、先ほどのようにお電話なり、チャットなりで、お知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、議題に入りたいと思います。まず、議題1「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱等について(諮問)」でございます。高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱、高年齢者等職業安定対策基本方針(案)、高年齢者就業確保措置の実施及び運用に関する指針(案)については、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に諮問がなされたものです。それでは、資料について事務局から御説明をお願いいたします。
○五百籏頭高齢者雇用対策課長 御説明いたします。雇用保険法等の一部改正については、昨年12月25日の労働政策審議会における建議に基づき、先の通常国会に法案を提出し、本年3月31日に成立、公布されたところです。本日は、この改正法のうち、改正高年齢者雇用安定法の施行に向けた省令等の改正について御説明いたします。
本日の資料の構成ですが、資料1-1は本日付けの厚生労働大臣から労働政策審議会への諮問文です。別紙として、省令改正案要綱等が付いています。資料1-2が改正概要及び改正の様式です。資料1-3は参考資料として、改正法の概要、改正案の新旧等となっております。改正案の全体については、7月31日の部会において、御説明させていただいたところですので、本日は割愛させていただきますが、先日の部会での御議論等を踏まえて、3点ほど修正しております。
1点目は資料1-2の4ページを御覧ください。本年6月1日現在における高年齢者雇用状況を御報告いただく様式になります。10継続雇用制度という欄の(イ)の(a)について、7月末の部会では、65歳未満と65歳以上の継続雇用先を1つの項目としておりましたが、65歳未満と65歳以上とでは規定が異なるため、2つに分けることとしております。
2点目は、参考資料の42ページを御覧ください。これは基本方針となりますが、こちらの資料の2の高年齢者の雇用・就業の状況については、現行では(1)(2)と項目を分けておりましたが、内容を精査し、項目を分けずに記載した上で、記載順序の入れ替えと、65~69歳層のデータを追記しております。また、次のページの43ページの2パラ目ですが、高年齢者の勤務形態に関する調査結果について、追記をしております。今般の改正法では、70歳までの就業確保措置の選択肢として、雇用によらない措置も設けております。雇用とともに自営による就業状況も追記する形にさせていただいております。
3点目は、参考資料の98ページを御覧ください。就業確保措置を実施、運営するための指針です。4の賃金・人事処遇制度の見直しの(4)です。就業確保措置において、70歳未満で契約期間が終了する場合の取扱いに関する内容です。下から2行目、「70歳までは契約更新ができる措置を講ずるよう努めること」としております。これは、就業確保措置が努力義務であることから、文言についても「措置を講ずるように努める」という表現に修正しております。以上の3点が、先日の部会からの修正点です。御説明は以上です。
○阿部部会長 それでは、本件について御質問、御意見がありましたら、ZOOMのサービス内の手を挙げるボタンをクリックし、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。ただいま3名のお手が挙がっておりますが、順番にお願いいたします。まず、仁平委員からお願いいたします。
○仁平委員 連合の仁平です。パブリックコメントも踏まえて、今回示された指針等の内容については了解しました。その上で、前回申し上げた労働者性の基準の周知について、改めて確認させていただきます。
労働者性がありながら請負として就業させられる偽装請負が促進されかねないという懸念から、参議院の附帯決議では、労働者性の基準に関する研修や資料提供等の方策を検討・実施するべきであるとされていました。
前回の部会で、制度全体の周知のパンフレットとは別に、労働者性の判断にかかわる判決等の情報も含めた周知用の資料を作成し、それを説明会等で活用していく方向で検討されていると説明がありましたが、そのスケジュールや具体的な内容に関する検討は、今どのような状況にあるのか教えていただければと思います。
○阿部部会長 御質問ですので、お願いいたします。
○五百籏頭高齢者雇用対策課長 ただいま御指摘いただいた点については、大変重要な論点であると認識しております。まず、周知に向けては、きちんと理解していただくためにも、この難しい規程を分かりやすい言葉でしっかり周知していくツールの作成が必要だと考えております。
そこで、私どもとしては、改正省令等の公布後、速やかにそうしたツールを活用しながら、国民の皆様に分かりやすく周知していくことができるよう、準備を進めているところです。労使の皆様をはじめ、関係各方面と連携しながら、この周知の準備、施行に向けた周知広報をしっかりとやっていきたいと考えております。
その際には、先ほど御指摘のあった労働者性の基準についても、判例を含めて、できるだけ分かりやすい形で御説明できるような資料も用意しながら、様々な機会を捉えた御説明の機会を設けていきたいと考えております。
○阿部部会長 仁平委員、付け加えて何かございますか。
○仁平委員 新たな選択肢を含んだ複雑な制度ですので、来年の施行に向けて、平易で誤解を生じさせない内容のツールを早めに現場労使へ展開していただくことが必要だと思っております。労使の意見をしっかりと聞いていただき、丁寧に進めていただきたいと思っております。改めてよろしくお願いいたします。
○阿部部会長 それでは、続いて杉崎代理人からお願いいたします。
○杉崎様 改正高年齢者雇用安定法について意見を申し上げます。日本商工会議所は全国の中小企業3,000社を対象に実施し、昨日公表した調査で、改正高年齢者雇用安定法の認知度を調べたところ、法律の名称、内容を知っている企業及び施行時期を知っている企業は、ともに4割にとどまっております。現時点で考えている70歳までの就業機会の確保措置に関しては、これはあくまで複数回答の調査ではありますが、70歳までの継続雇用制度の導入が56.4%で最も多く、一方で、今回新設される非雇用の選択肢である業務委託契約の新設が17.4%、社会貢献事業に従事できる制度の導入は2.6%という結果であったことから、非雇用の選択肢、取り分け社会貢献事業について、企業は具体的なイメージを持てていない状況であることが推測されます。また、「分からない」と回答した企業が21.9%であったことから、施行が半年後に迫っている中でも、自社における具体的な対応を検討中の企業が多いということが伺えます。
さらに、70歳までの就業機会の確保に当たっての課題については、本人が体力的な面や疾病等の面で難しいとか、労災の増加が懸年されるといった項目がありまして、非常に多岐に渡っておりますし、多くの企業から、日本は雇用の流動性が低い中で70歳までの就業機会の確保が努力義務となることは、非常に負担が重いという声も聞かれております。
こうした状況を踏まえますと、コロナの混乱の最中ではありますが、改正法の更なる周知ですとか、非雇用の選択肢に係る好事例の発掘、横展開、また対象者基準が設定できる旨の適切な周知、内容や手引きの分かりづらさから企業の取組が遅れている同一労働同一賃金への対応支援、安全衛生対策の強化など、多岐に渡る内容や支援策が必要であると考えております。
最後になりますが、施行が半年後に迫っていますので、日本商工会議所としましては、厚生労働省と連携して、中小企業への周知、好事例の発掘、さらには同一労働同一賃金への対応支援に当たってまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○阿部部会長 御意見として伺いたいと思いますが、事務局から何かございますか。
○五百籏頭高齢者雇用対策課長 私どもとしても、しっかり連携させていただきながら、対応を進めてまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○阿部部会長 続いて、新田委員にお願いいたします。
○新田委員 経団連の新田でございます。先ほどの仁平委員の御発言ともかなり重なるのですが、改正高齢法において、70歳までの就業確保措置、その中でも、とりわけ雇用によらない措置である創業支援等措置が新設されるというところが、非常に大きな肝と思っております。
前回の部会でも申し上げましたが、創業支援等措置については、今後民間企業で導入が進んでいき、好事例を積み上げていくことによって、この制度を労使でともに育て上げていくということになろうかと思っています。
先ほど厚生労働省から、各企業が就業確保措置を検討する際の参考となるパンフレット、あるいはQA等が発出されるということで承知いたしましたが、就業確保措置、とりわけ創業支援等措置の導入が進むかどうかは、こうした周知活動が順調に進むかどうかにかかっていると思っております。したがいまして、実務をよく知る関係労使の意見をしっかりと聞いていただいた上で、実務的で分かりやすく使いやすい内容になるように、是非早めの作成と周知をお願いしたいと思います。経団連でも、そういったものを使いながら、説明会等の開催などを行って、周知に当たっていきたいと考えております。意見と要望ということで述べさせていただきました。
○阿部部会長 御意見、御要望として承りたいと思います。続いて、中澤委員にお願いいたします。
○中澤委員 先ほど来のお二人の御意見と被るわけですが、1つは、今回の法律改正は雇用から就業への拡大というものが大きなポイントだと考えております。そういう意味で、就業の拡大の足かせにならないように、十分な相談体制だとか、周知をしていただきたいと思っている次第です。
また、先ほどのお話にもございましたが、中小企業においては、来年の4月から同一労働同一賃金への対応も控えております。今回の法律改正は努力義務ということではありますが、中小企業は人員に余裕がない中で、何をどうすればいいのかということが分からない企業も多々出てくると思いますので、十分な周知と相談体制の整備を是非ともお願いしたいと思っております。
○阿部部会長 続いて、紺谷委員からお願いします。
○紺谷委員 紺谷です。私からは、改正法に基づく就業確保措置とシルバー人材センター事業との関係について、質問させていただきます。現在、シルバー人材センターが行っている高年齢者の就業機会の提供が高年齢者就業確保措置に含まれていると誤解してしまう事業者が出てくるのではないかということを懸念しています。そこで、当該措置に含まれていないということの周知の徹底をしていただきたいと要望させていただきます。パンフレット等を通じて周知をしていただけるかどうか、厚労省の御見解をお聞かせ願えればと思います。
○阿部部会長 御質問ですので、事務局からお願いいたします。
○五百籏頭高齢者雇用対策課長 先ほど頂いた点については、正に創業支援等措置における社会貢献事業の関連の規程を適切に御理解いただく上で重要な点であると考えております。創業支援措置の対象となるのは、事業主が自ら実施する社会貢献事業、あるいは事業主が委託出資等をする団体が行う社会貢献事業ということであり、単純にシルバー人材センター等、そういう機関があることを紹介することだけで足りるということではないという点は、御指摘のとおりです。
こういった点について、国民が誤解することがないようなリーフレットの書きぶりに工夫したいと思っておりますが、具体の書き方については、今後詳細をしっかり詰めて検討していきたいと考えております。
○阿部部会長 紺谷委員、よろしいでしょうか。
○紺谷委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○阿部部会長 続いて春川委員からお願いいたします。
○春川委員 私からは高年齢者の安全対策に関して、質問と意見を申し上げます。指針案では、高年齢者の健康及び安全の確保のため、高年齢者の就業確保措置により働く高年齢者に対して、いわゆるエイジフレンドリーガイドラインを参考に、就業上の災害防止対策として、事業主が積極的に取り組むよう努めることとしておりますし、また、就業支援措置等による就業についても、このガイドラインを参考にするよう、周知広報するとしておりますが、これらの周知広報においては隈なく実施していくことが安全確保という意味では必要だと考えています。
そこで質問ですが、具体的にはパンフレット等を通じて周知していくことになろうかと思っていますが、この安全・健康確保という点については、具体的にどのようになされていくのかということを改めて質問したいと思います。
もう一つ意見としては、そもそもこの就業支援措置等による就業者は、労働法規による法が及んでいないということですので、安全確保においては、以前から言われてきたことでもありますが、就業者保護の観点から、セーフティネットの構築の議論が改めて必要ではないかと考えております。この点は意見として申し上げさせていただきます。
○阿部部会長 御質問がございましたので、事務局からお願いいたします。
○五百籏頭高齢者雇用対策課長 春川委員から御指摘がありました安全衛生に関するガイドラインといったものを、高齢法のリーフレットの中でもしっかり記載させていただいて、様々な機会に周知させていただくということだと考えておりますが、この周知に際しては、安全衛生部局ともしっかりと連携しながら、企業側を含め、御理解いただけるような機会を重ねていきたいと考えております。
また、就業支援措置については、労働者ではないということで、セーフティネットについての課題があるという御指摘でした。このことについては、労災の特別加入の論点などもあると承知しております。それについては、また別途の検討がなされるものと理解しておりますが、私どもの周知リーフレットにおいても、この労働者ではないということを御理解いただきつつも、労働者に準じて安全衛生をはじめ、各種留意していただくべき事項ということを、分かりやすく記載させていただく内容としたいと考えております。
○阿部部会長 春川委員、いかがでしょうか。
○春川委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○阿部部会長 小林委員からお願いいたします。
○小林(妙)委員 1点、質問です。創業支援等措置による就業に関する情報についてですが、業務委託契約とか、請負契約、有償の社会貢献活動等に基づいて就業する者に特化した公式な統計が今は存在しないと思われます。そうした就業に対する正確な理解がまだ浸透されていないと思っていますので、創業支援措置等が講じられていくことに、ちょっと懸念がされるところです。
就業する者の負担する経費とか報酬の額、就業時間や就業日数、事故の発生状況等について、実態把握をすることが重要であると思いますし、また、これを公表することが必要であると思いますが、実態把握やデータなどの公表について検討しているのでしょうか。
○阿部部会長 御質問ですので、事務局からお願いいたします。
○五百籏頭高齢者雇用対策課長 御指摘の統計等調査の論点というのは、認識しております。具体的にどのような対応をしていくかは、今後検討を続けていきたいと考えておりますが、施行後にどのような実態になっているのかということについては、まずはいろいろな相談等を契機に企業の実務における対応状況や、あるいは事例収集といった中で状況を把握していくことが、最速ではできると思っております。
こうした中で、先ほど論点にもあった経費、報酬といったところはどうなっているのかなど、個々の実務の状況を把握しながら、具体的にその後、どのように実態把握をしていけばよいかということを考えてまいりたいと思っております。
○阿部部会長 小林委員、いかがでしょうか。
○小林(妙)委員 データがあって、また更に事例があってこそ、制度の活用が進んでいくと思いますので、是非とも公表等をお願いします。
○阿部部会長 境田委員からお願いします。
○境田委員 私からは、法改正の実効性の向上という観点から御質問させていただきます。この場では話題に上ってまいりましたが、高年齢者の働くことに対する価値観は非常に多様だと思います。雇用、就業を促進していくには多様な価値観に合わせてマッチングを図っていくということが重要なのではないかと思っています。
参議院の附帯決議でも、12番目でも言及されていると思いますが、ハローワークの生涯現役支援窓口とか、はたまた産業雇用安定センターによるマッチング機能の強化について、何か具体的なお考えがあればお伺いしたいと思っております。
○阿部部会長 それでは、事務局からお願いいたします。
○五百籏頭高齢者雇用対策課長 まず、一人一人の高年齢者の希望、ニーズに沿った形で就業を継続していただくということが大事であると考えております。そうしたことから、個々の状況に応じたマッチングができるように、ハローワークでは特別な窓口として生涯現役支援窓口を置いて、ここではチーム支援という形でサポートを展開させていただいております。また、産雇センターともしっかり連携しながら、一人一人のニーズに寄り添うような形で、きちんとマッチングができるよう、現場職員ともしっかり連携、指導をしながら、業務を展開していきたいと考えております。
○阿部部会長 境田委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○境田委員 こうした法改正があった後、実際に動きが出てくると思いますので、そうしたところの課題の中で御対応等をお願いできればと思いますので、よろしくお願いします。
○阿部部会長 そのほかに、御質問、御意見等はございますでしょうか。それでは、特にこれ以上はないようでしたら、様々な御意見を頂きましたので、当分科会は厚生労働省案をおおむね妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思います。報告をするということに関して、まず、公益代表委員の方から御意見等はございますでしょうか。
○玄田委員 結構だと思います。
○阿部部会長 それでは、労働者代表委員から御意見等はございますか。
○仁平委員 仁平です。先程申し上げたとおりです。了解しました。
○阿部部会長 ありがとうございます。使用者代表者委員の方で、御意見があれば御発言をお願いしますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、報告文案の表示をお願いいたします。
(報告文案表示)
ただいま表示されていますが、御覧いただけていますでしょうか。このような報告文案で、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○阿部部会長 御異議がないようですので、この形で報告をさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、次の議題に移ります。次の議題は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱については、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に諮問がなされております。それでは、資料について事務局から御説明をお願いいたします。
○溝口雇用政策課長 雇用政策課長の溝口です。よろしくお願いいたします。資料は2-1と2-2です。資料2-1は諮問する省令案要綱です。資料2-2を御覧いただければと思います。7月31日に、この部会において御議論いただいたものですが、簡単に内容を御説明いたします。まず、概要の部分ですが、労働者総合推進法の改正に伴いまして、労働者数301人以上の大企業に対して、正規雇用労働者が採用者数に占める正規雇用労働者の中の中途採用者の割合の定期的な公表を義務付けるといったものでしたが、これに関連し、法律から省令に委任されている事項がございまして、それが2の改正内容に掲げた事項です。
それぞれの内容ですが、まず(1)ですが、情報公表の方法等ということで、おおむね1年に1回以上、公表した日を明らかにして、直近の3事業年度についてインターネットの利用その他の方法により、求職者等が容易に閲覧できるように行わなければならないこととするといった内容をお示ししております。
(2)通常の労働者に準ずる者ですが、法律においては通常の労働者とこれに準ずる者として、厚生労働省令で定める者の数に占める中途採用により雇い入れられた者の数の割合を公表することとしておりまして、この通常の労働者に準ずるものについて、短時間正社員ということで、規定したいという内容をお示ししているところです。
続きまして中途採用の定義に関係するものとして(3)と(4)です。法律においては中途採用を新規学卒等採用者以外の雇い入れということにしておりまして、新規学卒等採用者については、基本的には学校教育法第1条のいわゆる学校を卒業することが見込まれる者となります。これに学校に類する施設と、第1条の学校を卒業することが見込まれる者に類する者をそれぞれ省令で規定することになっております。
まず、その学校に類するものの施設について(3)で厚生労働省令で定める施設として専修学校とする内容をお示ししております。
次に第1条の学校を卒業することが見込まれる者に類する者として、(4)で1で公共職業能力開発施設又は職業能力開発総合大学校の職業訓練を受ける者であって、修了することが見込まれる者を規定し、2で、学校、専修学校、その他の職業訓練校を卒業することが見込まれる者等に順ずるものとして既卒者を規定するという内容をお示しております。
施行期日が次のページにございますが、令和3年4月1日ということとしております。説明は以上です。
○阿部部会長 ありがとうございます。それでは本件について御質問、御意見がございましたらサービス内の手を挙げるボタンをクリックし、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言を頂きますようお願いいたします。いかがでしょうか。では新田委員が手が挙がっておりますので、新田委員お願いいたします。
○新田委員 経団連の新田です。今回の法改正により、中途採用の比率を公表するということですが、その具体的な内容についてはまだ決まっていないという理解でよろしいでしょうか。例えば1対9とか、それを少数を含めて出すのか、あるいは何分の幾つでとか、具体的な割合の出し方については確定していないという理解でよいのかということを、確認させていただければと思います。
○阿部部会長 はい、では御質問ですので、事務局お願いいたします。
○溝口雇用政策課長 お答えいたします。具体的な内容、少数点どこまでかとか、そういった内容については、これから詳細を詰めてまいりたいと考えておりますし、また、企業の方々に分かりやすい形で周知を行ってまいりたいと考えております。
○阿部部会長 新田委員よろしいですか。
○新田委員 ありがとうございました。
○阿部部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいですか。それでは玄田委員どうぞ。
○玄田委員 今の指標の件ですが、今後御検討いただけるということですが、私は当然何人中何人、それで括弧して何%というような表現が基本かなと理解しておりました。2人のうち1人がというのと、100人のうち100人がというのは当然受け取り手の理解も変わってまいりますので、比率の表現については幅をもった検討というものをなされるといいのではないかと、新田委員の御発言を聞いていて思いましたので、よろしくおねがいいたします。
○阿部部会長 はい、では、玄田委員の御意見は確かに承りたいと思います。また、これを事務局のほうで反映させていただいて、御検討いただければと思います。ありがとうございました。ほかに何かございますか。
それではこれ以上、特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思います。委員の皆様で今の妥当と認めることについて、何か御異議がございましたら、あるいは御意見ございましたら御発言ください。
それでは報告文案の表示をお願いいたします。
(報告文案表示)
ただいま表示されている報告文案で労働政策審議会会長宛てに報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
ありがとうございます。それではそのように報告させていただきたいと思います。ありがとうございます。
では次の議題に移ります。次の議題ですが、現下の外国人雇用の状況についてです。事務局から御説明をお願いいたします。
○石津外国人雇用対策課長 外国人雇用対策課長の石津です。よろしくお願いいたします。お手元の資料3、「現下の外国人雇用の状況について」を御覧ください。1ページは、出入国管理及び難民認定法上の在留資格のカテゴリーについて説明したものです。大きく申し上げて、4つの種類に分けられます。1番目は就労が認められる在留資格です。正確に申し上げますと、就労を目的として我が国に入国し、在留することが認められる在留資格です。2番目が、身分・地位に基づく在留資格です。永住者や日本人の配偶者等、定住者等です。定住者というのは、日系三世なども含まれます。次に、就労の可否が指定される活動によるものです。やや持って回った言い回しですが、特定活動という在留資格があります。最後に、本来就労が認められない在留資格です。文化活動、短期滞在のほかに留学などがあります。留学生は学業を目的としており、本来ならば就労が認められないのですが、資格外活動許可というのが与えられた場合、一定の範囲内、具体的には1週間に28時間の範囲内で就労が認められております。
2ページを御覧ください。我が国で就労する外国人労働者の人数とその内訳です。まず、外国人を雇ったとき又は外国人が離職したときに、事業主からハローワークに届出を出していただいております。その結果を昨年10月末時点で集計いたしますと、外国人労働者の総数は165.9万人いらっしゃいます。先ほど申し上げたものを大くくりにして、就労目的で在留が認められる方、いわゆる専門的・技術的分野の在留資格で働かれている方が約32.9万人、身分に基づく方が53万人です。また、技能実習は、就労目的の方に含まれますがすが、ボリュームが非常に大きいので、ここでは別に数字を出させていただいて38.4万人です。特定活動が4万人程度、資格外活動、端的に申し上げれば留学生のアルバイトが37.3万人いらっしゃるという状況です。
3ページを御覧ください。今申し上げたカテゴリー別の在留資格の外国人労働者の内訳と総数の推移を、届出制度が創設された2008年以降から見ていただけるのがこの3ページのグラフです。
4ページを御覧ください。これは在留資格ではなく、国籍別に外国人労働者の総数と内訳を見たものです。2019年を御覧ください。中国籍が一番多く、全体の4分の1を占めています。中国籍の方が一番多いというのは、これまでもずっと変わらないのですが、近年の特徴は、ベトナム出身の方が非常に多くなっているということです。
5ページを御覧ください。これは在留資格と国籍をクロスして集計したものです。どの国にもどの在留資格にも満遍なく人がいるということではなく、国によって特徴があるというのがこの表の趣旨です。
6~8ページまでは、今年1月以降の外国人の方に係る雇用の状況を、今回、特別集計したものです。6ページは、ハローワークにおける外国人の新規求職者数の推移をまとめたものです。この棒グラフが、各月の外国人の新規求職者数の生の数字と、非常に大くくりではありますが、専門的・技術的分野、身分に基づく在留資格、その他の3つの内訳を示しているものです。ただ、これは原数値と言いますか、生の数値で、季節調整ができておりませんので、トレンドについては前年同月の外国人新規求職者数との割合を見るのが適切だろうと思います。それを示しているのがオレンジ色の折れ線グラフです。オレンジ色の折れ線グラフの前年同月比の外国人新規求職者数の割合を御覧いただきますと、本年1~4月頃までは前年比1、2割程度の間を横ばいで推移していたのですが、6月に急激に上昇して1.89、約1.9倍となりました。その後、7月に向かって低下しております。この低下の傾向が続くかどうかは、依然として注視が必要であると考えております。
それから、内訳を改めて御覧いただければと思います。求職者の大部分は、身分に基づく在留資格の方です。この身分に基づく在留資格というのは、永住者、日本人の配偶者等、定住者の計です。
7ページを御覧ください。先ほど求職者の数を御覧いただきましたが、就職率を見てみたいと思います。このグラフの意味するところは、日本人と外国人の就職率を比較した場合、就職率は外国人のほうが低いというのがこのグラフの大きなポイントです。この原因ですが、外国人を有する職場におけるコミュニケーション能力の水準、あるいは在留資格によって就職できる職業に制約があるといったことが背景になっていると考えられます。
まず日本人を御覧いただきたいと思います。日本人の就職率が赤です。赤の実線が今年1~7月までの日本人の就職率です。念のために赤の点線が前年、つまり2019年1~7月までの就職率です。今年の実線と昨年の点線を比較していただきますと、1~3月頃までは前年同月比で2、3ポイント低いところで就職率が推移しておりましたが、4月以降は5~11ポイントぐらい低いところで就職率が推移しております。ただ、1~7月にかけては、徐々にではありますが、持ち直しの兆しが見られます。
外国人の就職率は青です。青の実線が今年1~7月までの就職率の推移、点線が昨年、2019年の1~7月までの就職率の推移です。この青の実線と点線を比較していただきますと、今年は1~3月頃までは前年同月比で2、3ポイント低いところで就職率が推移していたのですが、4月以降は7~9ポイントぐらい低いところで推移しております。ただ、5月以降は5~7月にかけて徐々にですが、こちらも持ち直しの兆しがあるところです。
8ページを御覧ください。ただいま7ページの資料で青色で示していた外国人の就職率を、在留資格別に分解したのが、8ページのグラフです。ポイントとしては、就職率は在留資格によって相違があるということです。まず折れ線グラフです。一番上で推移しているのがオレンジ色です。これは日本人の配偶者の就職率の推移です。その下の薄い緑色が永住者です。ここからやや離れておりますが、同じような形を描いている灰色の折れ線グラフが、日系三世等の定住者です。一番下のほうを推移しており、グラフの形がやや違うのが専門的・技術的分野の外国人の就職率です。
黄緑色の永住者、オレンジ色の日本人配偶者、日系三世等の定住者については、就職率のトレンドがよく似ておりますが、定住者の就職率は相対的に低いということです。専門的・技術的分野の就職率のトレンドは、永住者、日本人配偶者、定住者といった、これら3つの身分に基づく在留資格と異なり、就職率も相対的に低いということです。背景として、専門的・技術的分野については在留資格により、そもそも就職できる職種に制約があります。また、コロナ禍の下で産業・企業が受けた影響もあり、専門的・技術的分野の方が就職できる職種の求人が不足しているという現状にあろうかと思います。定住者については、日本の職場で求められるコミュニケーション能力が不足しているということが考えられます。
9ページ以降が、政府の対策と厚生労働省の対策を示している資料です。9ページは、今年7月に外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議で取りまとめられた、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策です。これは平成30年12月に策定され、祖その後、年に1回あるいは2回改訂されておりますが、今回7月に改訂された総合的対応策は、新型コロナウイルス感染症対策を含んでいるものです。この中から厚生労働省の施策を抜粋したのが、10ページの資料です。
10ページの資料は、厚生労働省関係の施策を抜き出したものです。厚生労働省は外国人の受入れ・共生の施策に関して、3つの立場があります。1つは、私が今担当しております外国人雇用の支援という立場です。もう1つは技能実習制度について、法務省と共同で制度を所管しているという立場です。3番目が、介護やビルクリーニングといった分野については、事業所管官庁という立場があります。この3つの観点からの施策が、10ページに列挙されております。本日は、この中でもハローワークにおける外国人労働者のための相談支援体制の強化について、詳しく報告をさせていただきたいと存じます。
11ページを御覧ください。ポイントだけを申し上げます。ハローワークにおける外国人労働者に対する相談支援体制です。もともと私ども出先機関であるハローワークのうち、外国人が多い地域のハローワークには通訳を配置し、就職の支援を行ってきました。その上で今年4月の第一次補正予算、そして6月の第二次補正予算で、外国人に対する相談支援を強化するための予算をお認めいただきました。
まず、第一次補正予算のポイントとして3点あります。1つ目は、外国人を含めて労働者の雇用の維持をしていただくことが大事なので、事業主から各種助成金の活用などを含め、外国人の雇用の維持のための相談をきちんと受けられるように、専門の相談員を増員させていただきました。2番目は、さりとて外国人の離職者はやはり出てきますので、外国人の求職者の相談をきちんと受けられるように、相談員も増員させていただきました。3番目として、ハローワークにいらっしゃった外国人は、やはり自分の母国語で相談できるのが一番良いと思いますので、多言語での相談体制を強化すべく、通訳員の増員をしたり、多言語の音声翻訳機器もハローワークに追加配付し、相談体制を強化いたしました。また、各種リーフレット等については日本語を含めた14の言語、日本語についてはやさしい日本語の表現などで、パンフレットを用意して発信しております。
6月の第二次補正予算においても、多言語の相談支援体制を強化するための予算をお認めいただきました。従来日本語でハローワークに来所する前に、電話で雇用に関する相談ができるハローワーク・コールセンターというのがありましたが、今年10月、来月からこれに多言語でも対応できるように運用を開始いたします。
最後に運用の問題です。近々に出先の労働局、ハローワークに指示をしたいと思っておりますが、職業相談業務を改善し、マッチングを促進していくということに取り組んでいきたいと思っております。具体的には外国人が応募しやすい求人を開拓していきます。外国人の能力を活用するということに関心があるであろう企業に対して、私どもの出先のハローワークが求人開拓のための電話をする、あるいは、もともとハローワークにお出しいただいている求人について、具体的に外国人に求める能力を、もう少し詳しく事業主とやり取りをして深掘りし、外国人が応募しやすい求人にしていく求人の改善などをやっていきたいと思っております。
また、専門的・技術的分野の方は、就職できる職種が制限されておりますので、大学で学んだ専門分野は何か、成績表なども見て、きちんとした職業のあっせんをするように、職業相談を強化するといったこともしていきたいと思います。私どもの出先のハローワークにおいては、外国人の職業相談を多く受けているハローワークの現場の知恵というものがあります。その好事例を本省でよく収集して整理し、全国のハローワークに横展開し、全国のハローワークにおける外国人の相談支援のレベルを上げていきたいと思っております。
12ページ以降、若干補足をさせていただければと思います。12ページは予算以前の取組みとして、3月上旬以降、事業主団体の方に対して繰り返し、外国人労働者も含めた雇用維持のお願いをしてきました。
13ページを御覧ください。13、14ページが多言語での情報発信の例です。13ページの左側が3月上旬、厚生労働省として最初に外国人の皆様向けに多言語で発信した情報です。これはやさしい日本語バージョンです。右側が日本人向けのパンフレットで、雇用だけでなく、福祉関係も含めた様々な施策を詳しくまとめたリーフレットがありました。これについても多言語に翻訳し、ハローワークでの配布、あるいは厚生労働省のホームページでの発信といった取組をしております。
14ページを御覧ください。私どもは今回、様々な多言語での情報発信を試みております。多言語に翻訳したリーフレットを例えば厚生労働省のホームページやTwitterで発信するだけでは、情報発信として足りないのではないか、やはり外国人には外国人のライフスタイルや生活圏というものがあり、外国人が目にするメディアに情報を発信しなければいけないのではないかと考えました。そこで、まずは日系人の方が多く住んでいる地域によく配布されているポルトガル語のフリーペーパーに、14ページのような広告を出しました。左側がその広告で、右側がその内容です。ハローワークで職業を探す、支援をするということ、またスマホでこのQRコードを読んでいただければ、最寄りのハローワークが分かるという仕組みです。
最後に、15ページと16ページに入管庁の資料を付けております。今回、コロナウイルス感染症の影響で技能実習が継続できなくなった技能実習生に対し、雇用を維持するために、入管庁において、特別な在留資格を用意したというのが15ページです。さらに16ページですが、技能実習生に限らず、今回のコロナ禍の特徴として、そもそも航空機の定期便が飛ばなくなり、帰国すること自体が困難という事態が生じておりました。そのために最初のページで申し上げた特定活動という在留資格を活用し、法務省が様々な形で外国人が日本に在留できるような措置を取ったのが16ページの資料です。私からの説明は以上です。
○阿部部会長 それでは、本件について御質問や御意見がありましたら、手を挙げるボタンをクリックし、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。仁平委員からお願いします。
○仁平委員 連合の仁平です。御説明いただいた6~8ページのデータは、今回の審議会用に特別に集計いただいたという御説明がありました。感想も含めて、要望を申し上げたいと思います。
5ページに、在留資格別の外国人労働者数の記載があります。そこで、在留資格別の求人数とハローワークの利用率のデータを示していただけると、外国人雇用の促進に向けた取組について深く検討する材料となるのではないかと思います。そもそも外国人労働者を求める会社側の求人票がハローワークに豊富になければ、外国人労働者もハローワークに来ないと思われるため、会社側への働き掛けも重要ではないかと思います。
また、5~6ページのデータからは、専門的・技術的分野のハローワークの利用率が在留資格に比べて低いように見受けられるため、労働者側への働き掛けも必要だと認識しています。働く側のハローワークの認知向上を促す上で、14ページに示されている地域コミュニティ向けのフリーペーパーは、外国人の目に触れる機会が多いと思われます。こうした情報発信を必要な地域と言語で実施していくことが重要ではないかと考えております。
外国人労働者の課題は、政府の様々な場で多岐にわたる切り口で議論が行われているところですが、「労働者」という切り口で雇用や労働条件に深く関わる議論を積み重ねることが重要であると改めて認識しました。
ここからは要望ですが、今後も労政審の場に、こうしたデータを適切に提供していただきたいと思っております。今回はハローワークのデータが中心でしたが、例えば賃金のデータなども示していただけるとよいと思います。加えて、日本国内で就労する労働者としての外国人材の在り方について、公労使で議論をすることが必要であり、厚生労働省として外国人労働者行政を担っていくことが重要であるということを、改めて申し上げたいと思います。
○阿部部会長 事務局のほうから何かありますか。
○石津外国人雇用対策課長 御要望と御指摘、ありがとうございます。先に御要望と言いますか、御意見の方からですが、やはり労働行政は公労使の御意見を頂きながら進めていくことが基本だと思っております。今回、初めてと言うと言い過ぎかもしれませんが、数値のデータを特別に集計し、公労使の皆様に御覧いただきました。私としても引き続きデータを整理し、公労使の皆様の御意見を頂きながら、業務を進めていきたいと思っております。
そして最初の求人の点ですが、外国人のためだけの求人というのはありません。事業主からハローワークにいただく求人は、日本人にも外国人にもオープンである求人なので、御要望のようなものが取れるかどうかというのは、改めて検討させていただきたいと思います。この点も含めて、最後に御意見を頂いた様々なデータを公労使の皆様に御覧いただくという努力は、今後も続けていきたいと思っております。
○阿部部会長 仁平委員、いかがでしょうか。よろしいということですね。分かりました。仁平委員からあった御要望は私の方からも、定期的に毎回というわけではないでしょうけれども、データを提供いただいて、議論をする場をつくっていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、杉崎代理から手が挙がっておりますので、お願いいたします。
○杉崎様 日本商工会議所が昨日公表した調査結果ですが、外国人材の受入れに関しては、コロナ禍で人手不足感が緩和している中でも、受入れニーズがある企業は48.7%という結果でした。中小企業は人手不足業種を中心にコロナの前と変わることなく、外国人材に対して非常に高い期待と関心を寄せているという結果になりました。そこで本日の資料3は、コロナ禍における外国人材就職状況に関する貴重な資料で、現状を分析する上で非常に有効なデータであるかと思います。事務局は相当な御苦労をもって、このデータを整理されたものと考え、感謝をいたしたいと思います。
新規求職者数や就職率の影響については、コロナによる観光、インバウンド関連や飲食、小売業等での深刻な影響によるものと思いますので、まずもって雇用調整助成金などの施策により、外国人材を含めた雇用の維持に取り組んでいくことが重要であると認識しております。また、コロナ禍でやむを得ず離職することとなった外国人材の方々に対しては、外国人材は日本人よりも就職率が低いという実態を踏まえますと、ハローワークが能動的に求人開拓に取り組んでいることや、多言語での相談支援、情報発信にきめ細かく対応されているということは、外国人材の皆様にとっても非常に心強い取組であるかと思います。
加えて先日、四ツ谷の外国人在留支援センター(FRESC)を視察させていただきました。労働や在留に関する相談手続が、多言語かつワンストップで可能な施設で、外国人材受入企業の双方にとって利便性が高く、有効な施設であったと思います。ですから、この施設については幅広く周知していただくとともに、地方自治体への支援にも鋭意、取り組んでいただきたいと思っております。
最後になりますが、今後もコロナ禍における外国人材の就職状況については、引き続き注視していただき、必要な対策を講じていただくとともに、コロナ終息後の平事においても是非、今日御説明いただいたような取組を鋭意、実施していただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○阿部部会長 御意見として承りたいと思います。ほかにいかがでしょうか。では玄田委員、お願いいたします。
○玄田委員 御説明、どうもありがとうございました。資料3の11ページの支援体制の強化の部分に関わってくるとは思うのですが、一方で外国人対策に限らないので、若干的外れになるかもしれません。結論だけ言うと、外国人が応募しやすい求人開拓の中に、テレワークでの就業ということを、コロナ感染を契機にハローワークもそろそろ本腰を入れないといけないタイミングではないか、というのが申し上げたい趣旨です。外国人の働き方としては、対面形式の業務の場合が高かったかと思うのですが、例えば通訳、翻訳、そういうものに関係する営業などは、テレワークでの就業の可能性という分野も少なからずあるのではないかと思います。一方でやはり特性として、出身国が同じ方同士がたくさんいる地域に居住しながら、求人としては遠方、例えば都市部にあるような外国人サービスの特徴もあるやもしれません。そうなったときにテレワークでの就業や求人というのが、外国人に対して一体どのくらいあるのか。
当然、外国人に限らず、高齢者や家庭内で毎日介護に関わる部分で、テレワークを希望する場合も今後、少なからず出てくるのではないかと思っております。恐らく既に安定局の中ではテレワークの求人開拓とか、今後求人票をどういうようにテレワークなどに適する形で示していくかということを、御検討されているのではないかと思います。是非、外国人というものを1つのモデルとして、テレワーク求人の在り方についてもコロナ感染を1つの契機として、より本格的に進めていただければと思っております。もし可能であれば、現状はどういうことをお考えであるかということをお聞かせいただければ、大変有り難く思っております。
○阿部部会長 御質問もありましたので、事務局からお願いします。
○石津外国人雇用対策課長 外国人雇用対策課長です。玄田先生、御指摘ありがとうございます。担当課長として正直に申し上げますが、テレワークの求人開拓について、これまで余り意識が及ばなかったというのが率直なところです。御指摘を踏まえ、職域を最大限に拡大していくということが必要ですので、私どもハローワークとして何ができるかを考えていきたいと思います。やや脱線になるやもしれませんが、恐らくテレワークというのは、国内の企業が日本にいる外国人に職を出すということではなく、実態として国境をまたいだ仕事というのが現にあるやもしれません。そのようなことも意識しながら、日本に在住している外国人の職業の確保、生活の安定を図っていくように頑張っていきたいと思っております。精神論で申し訳ございませんが、以上です。
○田中職業安定局長 職業安定局長の田中です。なかなか鋭い御指摘を頂きまして、ありがとうございます。今回のコロナの一連の状況の中で様々な方々、労使の工夫によってテレワークなど、新しい働き方に取り組んでいただいているということで、雇用が非常に確保されている部分があるというのは、本当にいいことだと思っております。これが構造的に新しい働き方、新しい職種として成立していくということも十分予想されるところです。ハローワークとしては現実の労働市場、あるいは近未来の労働市場をしっかりと想定しながら、効果的なマッチングを考えていく上で、そういった動きについて迅速に捉えて対応していかないといけないと思っております。テレワークを求人あるいは求職の中で、どういう形で要素として捉えてマッチングしていくかというのは、大きな課題だと思っておりますし、しっかり検討していきたいと思います。また、新しい働き方の中では、テレワークだけではなく、副業や兼業などの多様な働き方があります。同じような視点で同じような議論があるのではないかと思っておりますので、また先生方の御意見、御指導を頂きながら対応していきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○阿部部会長 では玄田委員、お願いいたします。
○玄田委員 御説明、ありがとうございました。冒頭に申し上げたとおり、これは外国人雇用対策課だけの議論ではないと理解しておりますし、今、安定局長からもしっかり御発言を頂きましたので、是非、早急な検討をお願いし、また御説明などを頂ければと思っております。
○阿部部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。コロナ禍でいろいろな問題が起こっており、今回は外国人材についての御説明でしたけれども、玄田委員のおっしゃるような在宅ワークなどもあります。また副業、兼業とも関わってくると思いますので、機会があれば議論していただければと思います。特にこれ以上ないようでしたら、議題3については以上とさせていただきます。ありがとうございました。
次の議題は「その他」となっております。事務局のほうで何かありますか。
○蒔苗総務課長 特にありません。
○阿部部会長 特にないということですので、予定されている議題は以上で終了いたしました。本日の部会はこれで終了したいと思います。会議の冒頭、インターネットの接続が不安定になり、皆様には大変御迷惑をお掛けしました。最終的には無事に終了できましたので、皆様の御協力に感謝いたします。本日の会議に関する議事録ですが、労働政策審議会運営規程第6条により、私のほかにお2人の委員から署名を頂くことになっております。つきましては労働者代表の小林妙委員、使用者代表の若鶴委員お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。