- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 労働政策審議会(職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会) >
- 2020年9月14日 第57回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録
職業安定局雇用開発部建設・港湾対策室
2020年9月14日 第57回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録
〇日時:令和2年9月14日(月)
〇場所:厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)
〇出席者
公益代表
中窪座長、大橋委員、小野委員、勇上委員
労働者代表
小倉委員、小林委員、髙島委員、森山委員
使用者代表
大木委員、本多委員、最川委員、若鶴委員
参考人
国土交通省不動産・建設経済局建設市場整備課 奥原課長
国土交通省不動産・建設経済局国際市場課 中見課長
事務局
達谷窟高齢・障害者雇用開発審議官、福岡建設・港湾対策室長
大橋建設・港湾対策室長補佐、中田建設・港湾対策室長補佐
〇議題
(1)建設業の現状と課題について
(2)その他
〇議事
○大橋補佐 ただいまから第57回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会を開催いたします。私は、厚生労働省建設・港湾対策室の大橋と申します。冒頭は事務局が進行させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
マスコミの方に留意事項を申し上げます。カメラ等での撮影をされる場合に関しては、議事が始まる前まででお願いします。また、会場の皆様方におかれましては、会場入口に備付けの消毒液の御利用をはじめ、マスクの着用や咳エチケットに御配慮ください。
本日の専門委員会については、公益委員の大橋委員、小野委員、勇上委員はオンラインでの御参加となっております。
若干、オンライン関係で御説明いたします。オンライン参加の委員の皆様方には、操作方法のマニュアルをお手元に御準備ください。現在、画面には中窪座長を中心とした会議室全体の模様が右肩上に出ていると思います。画面の右下に「ミュート解除」「ビデオ停止」というボタンがあると思います。今「ミュート解除」については斜線が入っていると思います。御発言される際には、カメラに向かって物理的に挙手をしていただきたいと思います。座長から御指名があった場合には、「ミュート解除」のクリックをして御発言をお願いしたいと思います。
なお、会議の進行中に通信トラブル等、接続が切断された場合、音声が聞こえなくなった場合等ありましたら、操作マニュアルに記載の事務局担当者宛の携帯まで御連絡ください。
次に、配付資料の確認をいたします。会議室にお集まりの委員におかれましては、お手元のタブレット端末を御覧ください。画面の上部に「マイプライベートファイル」と記載されており、資料一覧画面が表示されております。今回の資料ファイルについては、「資00【議事次第】」「資01【資料1】」から「資10【資料4】」までが10種類の資料です。最後に「資11【参考資料】」の合計12類のファイルとなっております。
なお、オンライン参加の皆様方におかれましては、事前に送付しておりますファイルが、今、申し上げた資料構成となっておりますので御確認ください。ここまでで御不明なことがありましたら、個別に御説明いたしますのでお申し出ください。
次に、前回の専門委員会以降に新たに専任されました委員の御紹介をいたします。なお、参考資料が付いておりますが、こちらが最新の委員名簿となっております。今般、労働代表委員として、日本建設産業職員労働組合協議会政策企画局次長髙島綾香委員が新たに選出されております。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、髙島委員より一言御挨拶をお願いできればと思います。
○髙島委員 日本建設労働組合から来ました髙島と申します。出身は西松建設で、ゼネコンのホワイトカラー層の産別で、そちらで働き方改革に関連する取組について活動しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○大橋補佐 ありがとうございました。続いて、本日の委員の出欠状況です。委員全員の方に御出席いただいております。なお、大橋委員におかれましては、御都合により14時45分項に退席される予定とのことです。それでは、以後の進行については、中窪座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○中窪座長 中窪です。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、早速、議事に入ります。本日は議事次第にありますように、議題は2つです。1つ目が「建設業の現状と課題」、2つ目は「その他」です。前回は第十次建設雇用改善計画の策定に向けて、策定スケジュールや建設労働者を取り巻く状況について事務局より説明を受けたところですが、今回から「建設業の現状と課題」と題して、関係機関及び団体へのヒアリングを行います。
本日は、行政及び労働者団体からヒアリングを予定しておりますが、まずはじめに、行政機関として国土交通省不動産・建設経済局建設市場整備課の奥原課長及び同局国際市場課の中見課長よりヒアリングを行いたいと思います。30分程度、御説明いただいた後、各委員からの質問を30分を目安に行います。なお、質疑の後、国土交通省のお二人については御退席いただくことになっております。
その後、労働者団体として全建総連の小林委員、日建協の髙島委員、基幹労連の森山委員の3名よりヒアリングを行いたいと思います。これらについては、3団体の説明を各10分ずつ行っていただき、質問についても3団体まとめて進めたいと思います。それでは、国土交通省のヒアリングから始めます。御説明の方は、自席から御説明をお願いいたします。
○奥原課長(国土交通省) ただいま御紹介いただきました国土交通省不動産・建設経済局建設市場整備課長の奥原です。本日はよろしくお願いいたします。では、着座にて御説明させていただきます。
それでは、資料1「建設産業の担い手の確保・育成について」を御覧ください。一番最初のページの一番上に青い帯に白い文字で「建設産業の役割と課題」とあります。皆様、御承知の方も多いと思いますが、昨今、非常に自然災害が多くなってきているところであり、建設産業に携わられている方々は多忙を極めている状態です。その下に役割とありますが、建設産業は、地域のインフラの整備やメンテナンス等の担い手であると同時に、地域経済の雇用を支え、さらに災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う地域の守り手として国民の生活や社会経済を支える大きな役割になってきているということです。
下の写真のとおり、左側の災害の応急対応であれば、東日本大震災や熊本地震等々の事例がございます。加えて、高度成長期を中心として社会資本整備が着々と進められてきましたが、それが長年の時間経過に伴い、老朽化が進み、従前よりも非常に大きな課題となっているところです。下の矢印を見ていただきますと、現下の建設産業を取り巻く環境として、近年の建設投資の急激な減少や競争の激化等によって、建設企業の経営を取り巻く環境の悪化と現場の技能労働者の減少、若手入職者の減少といった構造的な課題に直面しているところです。中長期的なインフラの品質確保のため、地域づくりの担い手として持続可能な建設産業の構築が課題となっているところです。
これから、数字を用いて概況を御説明したいと思います。次のページは「建設投資、許可業者数及び就業者数の推移」です。上の箱を見ていただきますと、建設投資額はピーク時の1992年の84兆円が、2011年度の42兆円まで一度落ち込みました。その後、増加には転じてきておりますが、ピーク時から約33%減という状況です。
一方、建設業者数、建設業就業者数は下の2つの○に記載がございます。現在、建設業者数は約47万業者でピーク時から21%減、就業者数は499万人で約27%減となっているところです。かつては約600万人、約60万業者という数を誇った建設業ですが、それぞれ減となっております。
続いて、次のページは「建設業就業者の現状」です。技能者等の推移は左上の緑の箱です。先ほど申し上げたとおり、一番上の○の建設業就業者数は、685万人から現在は499万人となっております。技術者と技能者、事務職も含めたグラフがこの下のグラフです。概ね、技術者に対して技能者は約10倍程度の数字になっていることを御認識ください。それから、右側は就業者数の高齢化の進行です。建設業就業者数は、55歳以上が約35%、29歳以下が約11%と高齢化が進行している状況です。この折れ線グラフを見ていただきますと、真ん中の▲が全産業ですが、それに比べて建設業はそれぞれ高齢者割合が増加し、若年労働者割合が減少しているのが見てとれると思います。
次のページは、建設業への定着の状況です。離職の状況は、こちらには3年目までの離職率を示しております。上の箱を見ていただきますと、建設業離職率は他産業よりも高く、年々改善しているものの、特に、1年目の割合が高くなっており、建設業への定着が大きな課題となっているところです。大きなグラフ、平成28年3月卒を見ていただきますと、青色が引き続き就労している者、一番左が建設業で、よく比較されるのが製造業です。それぞれ高卒・大卒で書いております。製造業と比較しますと、1年目、2年目、3年目と徐々に離職の数は、当然、少なくなってくるものの、製造業と比べて高い割合で離職が進んでいることがわかります。
次のページは、労働時間、労働日数の関係です。上の箱の中の年間の総実労働時間については、他産業と比べて約2割程度長く、また、10年ほど前と比べても建設業はほぼ横這いで、大幅な改善は見られていない状況です。
次の6ページは、建設業の男性全労働者等の年間賃金支給額の推移です。凡例を御覧ください。黄色の折れ線グラフが建設業の男性生産労働者、赤色が建設業の男性全労働者となっています。全労働者については、例えば、スーパーゼネコンなどが過去最高益が続々と出ている状況の中で、非常に大きな伸びが示されているところです。また、建築関係でいえば、御承知のとおりオリンピック需要というものが牽引してきたのではないか、また、国土強靱化のための支出が反映の要素として考えられるところです。
しかしながら、御案内のとおりコロナ禍の中で見通しが不透明になってきているところです。一方で、黄色の男性生産労働者については、その1つ上の青色の四角の折れ線グラフ、製造業の男性生産労働者と比べても、まだ賃金が下回っているということで、年々近づいてきてはいる状況ではありますが、まだ低い状態が続いているところです。
次のページは、これから少しデータではなく、周辺の制度改正の状況に触れたいと思います。新・担い手3法と言われておりますが、公共工事品質確保法、建設業法、公共工事入札契約適正化法が一体として改正されたところです。平成26年、これらの法律については一度改正がされています。そのときには、ダンピングが非常に大きな課題の1つとして挙げられており、そのダンピング対策を徹底することが主な目的となっておりました。
今回は、新たな課題に対応し、その5年間の成果をさらに充実させるということで、左上に「新たな課題・引き続き取り組むべき課題」とありますが、冒頭に触れました相次ぐ災害を受け、地域の守り手としての建設産業への期待、働き方改革の促進による長時間労働の是正、i-Constructionの推進等による生産性の向上といった新たな課題やダンピング対策等々の成果を反映させていくということで、下のオレンジと青色のところで制度改正がなされているところです。
オレンジ色は、公共工事品確法の改正法が議員立法で成立されました。青色は建設業法・入契法で政府提出の改正法です。それぞれ主に3つ、働き方改革、生産性の向上、災害時の緊急対応強化や持続可能な事業環境の確保という大きな観点からの改正が行われたところです。これに加え、公共工事品確法で、少し右側にはみ出ているところがありますが、工事だけでなく、調査・設計も、もともと概念としては入っておりましたが、明確に、法律上、文言として位置付けされたということです。働き方改革で見ますと、オレンジ色の下に発注者の責務とありますが、適正な工期の設定や施工時期の平準化が発注者の責務として挙げられております。
同じく、建設業関係で見ますと、青色でこちらも工期の適正化ということで、中央建設業審議会が、工期に関する基準を作成・勧告するという規定が盛り込まれたところです。また、同じく青色の2つ目の太い文字は、現場の処遇改善で社会保険の加入について、これまで取り組んでいたところではありますが、建設業の許可の要件化がされたところです。したがいまして、企業レベルでいいますと、5年に1回の許可更新の時期が5年後には一巡いたしますので、社会保険の加入がしっかりと取り組まれていくことになります。
真ん中の生産性向上への取組は、特に、青色のところは技術者に関する規制についてです。監理技術者については、一定程度の要件の下で兼任を容認する規制緩和が行われたところです。災害時の緊急対応の発注者の責務について、まず1つ目は、緊急性に応じた随意契約・指名競争入札等の適切な選択をしていく。これは実は、自治体レベルでおそらく十分にといいますか、これまでどおりやられたところですが、国の発注については、特に、国土交通省の直轄工事では一般競争入札を追求し、また、総合評価を大きく取り入れたところです。それにとらわれることなく、緊急時には随意契約・指名競争を活用していく。また、災害協定も実際に国や自治体レベルで行われているところですので、これを活用していくということです。
さらに、労災補償に必要な費用の予定価格への反映や見積り徴収の活用をしていく。それから、建設業の許可の関係で申し上げますと、同じように、災害時における建設業団体の責務の追加として、建設業者と地方公共団体等との連携を努力義務化していく。また、一定の合理化として、経営業務を管理する責任者について、必置規制ではなく、一定の合理化を図っていく。こういった改正が行われたところです。
8ページは、今、私どもの課で最重要事項となっております「建設キャリアアップシステム」の構築です。「建設キャリアアップシステム」というのは、枠囲いの中の1行目にあるとおり、技能者の資格、社会保険の加入状況、現場の就業履歴等を業界横断的に登録・蓄積する仕組みです。
次の○は、若い世代にキャリアパスと処遇の見通しを示す。キャリアパスというのは、8ページの右下にレベル分けとありますが、技能者の技能レベルに応じてレベル1~4までレベルを分けていき、資格や就業履歴によって、どのレベルに該当するのかレベル判定をし、技能者の能力を評価していこうというシステムです。それぞれのレベル2~4について、処遇の見通しを各業界でしていただこうと、賃金の目安ですね、この能力評価と賃金の目安を示すことによって若い世代に見通しを立てていただけるようにしようということです。
3行目の真ん中です。技能と経験に応じて実際に給与を引き上げていく。将来にわたり、建設業の担い手を確保し、ひいては、建設産業全体の価格交渉力を向上させていこうと、ダンピングの防止にも役立てていこうというものです。
「建設キャリアアップシステム」の概要は、下にもありますとおり、先ほど簡単に触れましたが、左側の赤色のところに「事業者情報」「技能者情報」「現場情報」の3つがあります。これをそれぞれ登録していただくというものです。特に、「技能者情報」の本人情報、保有資格、社会保険の加入状況、上の2つがキャリアアップに必要な情報になってくるということです。
この情報を一度登録していただいた上で、工事現場にカードリーダーを置いております。カードリーダーにカードをタッチしていただくと就業履歴、すなわち、この現場にどのような立場、どのような職種で入ったのかが客観的に蓄積されていくシステムです。この就業履歴を蓄積し、先ほど触れましたレベル1、2、3、4と、レベルアップしていこうというものです。レベル1については、下にあるとおり一番最初の方で見習いです。2、3、4と上がっていくに従い、経験年数や立場、班長経験、職長経験が上がるにつれてレベルアップもできるということです。
9ページでもう少し詳しく御説明します。説明が重複して恐縮ですが、1つ目の○にありますとおり、就業履歴や保有資格がキャリアアップシステムに蓄積されます。下のオレンジ色の帯が3つありますが、オレンジ色左側の一番上の帯の下に円筒型の図があります。キャリアアップシステムは、一番上の何日働いたのかという就業日数、真ん中の保有資格、3つ目の立場、つまり、どのような立場で働いたのかが蓄積されていく。ここまでがキャリアアップシステムで蓄積する情報です。緑の矢印を見ていただきますと、能力評価基準というものを策定し、前ページにも同じような図がありましたが、レベル分けをしていくと、経験を積めばレベルアップしていけるということです。
10ページは「専門工事企業の施工能力の見える化」です。1行目にありますとおり、専門工事企業の施工能力の見える化については、その能力の高い専門工事企業が適正に評価され、選ばれる環境が整備されることによって、業界に対する安心感が熟成されるための仕組みを構築するために行うものです。先ほど申し上げました就業履歴をどんどん蓄積していく建設キャリアアップシステムと技能者の能力評価レベル判定システムと連携した形で行い、企業は、専門工事企業の施工能力の見える化を図っていこうというものです。
下の青色と赤色の表を御覧ください。繰り返しで恐縮ですが、青色のところには技能者情報や事業者情報が蓄積されており、これを用いた項目として、赤色の箱の基礎情報、施工能力、コンプライアンスに分け、共通評価内容、選択評価内容を作成していこうと思っております。基礎情報については、許可の有無や年数、財務状況等、社員数や団体加入状況。施工能力については、建設技能者の人数、キャリアアップカードの保有数やそのレベル、1~4とありましたが、又は施工実績等を評価項目と位置付けているところです。
右にあるとおり、☆1~4で評価していく予定です。この施工能力の見える化については、現在、まだ検討中で、来年4月から運用開始予定です。ということで、情報を蓄積し、評価し、それから企業の施工能力評価にも反映していくのがキャリアアップシステムの大きな取組です。
11ページは、「建設キャリアアップシステム普及・活用に向けた官民施策パッケージ」です。こうした取組は、今、申し上げたようなキャリアアップシステムの取組を加速していこうということで、3つほど書いてあります。CCUSというのは、建設キャリアアップシステムのことですが、こちらへの完全移行をしていくと、今まで建退共は、証紙、切手みたいなものを貼って、それを最終的に退職金を頂くときに提出するという極めてアナログの世界でしたが、こちらの電子化を進めていくと、それをCCUSの活用と併せてやっていこうというものです。
社会保険の加入の確認についても、CCUSのデータの中に蓄積されていきますので、こちらによって確認していこうというものです。Ⅲは国の直轄工事においても、このCCUSの活用を義務化するモデル工事を開始したところです。こういったことと、さらに、オレンジ色のところにありますとおり、賃金の目安を設定したり、職長手当等のマネジメントフィーの見積りへの反映をやっていこうと思っております。
また、情報が客観的に蓄積されていくことになりますので、ピンク色のところにありますとおり、CCUSの情報セキュリティ強化や人材の引抜き防止といったこと等々も行っていくということです。ここまでが建設キャリアアップシステムの話です。
12ページは、公共工事の設計労務単価についてです。全国で公共工事について、労働市場での実勢価格を適切・迅速に反映していくということで、47都道府県・51職種別に単価を設定しているところです。平成25年度からの棒グラフを見ていただきますと、必要な法定福利相当額を反映し、8年連続で上昇しております。
次のページは、「社会保険加入状況調査結果について」です。この円グラフを見ていただくと一目瞭然です。企業別については、ほぼ、加入が進んでいるということがわかります。労働者別については、1つの企業で加入していたとしても、その中の労働者に偽装請負が行われると、必然的に、この数字が落ちてくるということで、非常に大きな改善は進んでいるところですが、さらなる改善を進めていく必要があるということです。
それから、14ページについて、改正建設業法の施行、先ほど、新・担い手3法を申し上げましたが、その中でも社会保険加入について、許可の要件化をされたと申し上げたと思いますが、これに加え、5.6.に、労働者単位で社会保険加入の確認を強化していこうということで、官民施策パッケージのところでも少触れましたが、キャリアアップシステムによって作業員名簿で社会保険加入の確認ができるということです。また、一人親方対策として、今、一人親方に関する検討会を立ち上げて、令和2年度中に中間取りまとめを行おうと思っているところです。
15ページは、「戦略的広報の展開]です。一番上の箱にありますとおり、建設産業に対する一般の方々のイメージアップ、また、若年・女性に対して効果的な情報発進・広報活動が必要ということで、関係者が一体となった取組として、平成25年8月に建設産業戦略的広報推進協議会を立ち上げたところです。紫色のところは情報発信の強化として、就職支援のコンテンツの拡充や女性活躍応援コンテンツの拡充といったことをやっております。
また、広報イベントの推進として、学校に実際に行って、出前授業をする学校キャラバン、下の中頃で現場見学会の開催、それから、「子ども霞が関見学デー」に従前より、ずっと参加しております。お子様については、体験することが非常に魅力あるコンテンツとして評価を受けているところです。
16ページは、女性の定着促進に向けた建設産業行動計画を策定しております。こちらは男性も含めて定着というところが非常に大きな課題というのは、幾つかのデータでお示ししたところですが、女性については、特に、その点が挙げられるということで、一番上の箱の4行目の真ん中にあります「働き続けられるための環境整備」を中心に女性の定着促進に向けた行動計画を令和2年1月に策定したところです。オレンジ色、青色、緑色の枠がありますが、オレンジ色が定着です。目標として離職者数の割合を令和6年度まで、計画策定から5年後ですが、前年度比で減少させていこうということです。取組の主な例としては、一番目にもありますとおり、社内広報などで宣言を見える化していく、一般的に行われている取組が進んでおりますテレワークやフレックスタイムといったものは、女性の定着促進により一層活用できるのではないか。快適トイレや更衣室などの導入促進。これは極めて大きな取組だと思っております。
また、青色の選択されるという観点ですが、入職者に占める女性の割合が、令和6年度までに前年度比で増加させていこうということで、こちらも同じく、一番目にPR活動、現場の見学会や出前講座の実施。2.と4.にありますとおり、好事例を集めて情報発信をしていく。さらに、3.にありますとおり、i-Constructionの取組は、力が相対的には弱い女性にもi-Constructionが大きな力になっていくということです。
緑色の取組の継続促進ということで、〇2にありますとおり、令和6年度までに都道府県単位で活動している団体のネットワーク、「建設産業女性定着支援ネットワーク]への加入を全ての都道府県で目指すこととしております。
最後になりますが、17、18ページで、「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」です。これは平成28年12月に公布されたところですが、こちらの法律に基づく18ページの計画の改訂時期になっております。第3の一番下の5.に、策定後、2~3年で調査等を行った上で本基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを速やかに変更するということで、現在、計画の変更作業に着手しているところです。具体的には、業界団体の皆様に、これから御意見を伺っていこうというところです。私からは以上です。
○中見課長(国土交通省) 引き続きまして、簡単に建設業における外国人受入れについて御説明をさせていただきます。先ほど御説明させていただいておりますとおり、御高齢の労働者の方の大量離職などに伴い、建設業においては人手不足の問題が顕在化しつつあるというような状況にあります。それに対して当然ながら若者、女性も含めた国内人材の確保、働き方改革なども含めた生産性向上の取組を進めていくのですが、それでもなお足りない部分については、外国人も含めて担い手になっていただこうということで、取組を進めているところです。御承知のとおり、外国人受入れに関しては、建設業に限らず、もともと技能実習制度がありまして、こちらは国際貢献、技術移転などを主目的にした制度になっています。
そういった中で、右下になりますが、2015年度から、外国人建設就労者受入事業を新しく始めています。こちらはオリンピックを想定した建設業の人材需要の高まりに対応するために、時限的な措置として、2022年度まで外国人の就労者を受け入れるということで、技能実習から引き続いて、建設業で従事していただけるといった制度になっています。
それに加え、左下の部分ですが、昨年度から建設業も含む全14分野ですが、特定技能の制度が設けられたということです。建設業に関しては、この特定技能の制度について、後ほど御説明させていただきますが、ある意味特別な基準を設けさせていただいております。背景にもともと技能実習制度の課題があり、端的に申し上げますと、他の分野と比べまして、失踪される方の割合が非常に高かったという反省があります。そういった部分について、特定技能制度は、導入に当たり何らかの対応が必要だろうということで、特別な基準を設けています。失踪の割合が多かった背景としては、我々が考えているのは、建設業は現場に応じて就労する場所が異なるというような特殊な事情、また季節によって忙しい時期と仕事がない時期の差が激しいので、暇な時期にやはり他の仕事をしたくなってしまうという理由が働くというようなこと、さらに、受入先が主に中堅、中小の会社が多く、しっかりとした管理体制を作るのがなかなか難しいというような事情もあったと考えておりますので、そこのところについて本格的な担い手になっていただくために、どのように対応すべきかというのが大きな課題だと認識しています。現状は主にこの3つの制度で外国人を受け入れているということです。
次ページです。実績ですが、先ほど申し上げました技能実習については、今のところはかなり多数を占めていまして、2019年度の数字で約6万5,000人となっていまして、オリンピックの建設需要に対応する就労者については5,000人以上。2019年度から始まりました特定技能外国人の就労については、2019年度末時点で267人ですが、6月の最新の数字ですと374人で着実に増えているということです。我々としては、なるべく特定技能の外国人の方を増やしていきたいということで取組を進めているところです。
次ページです。先ほど申し上げた建設分野特有の制度をまとめたものですが、建設分野の特定技能の受入れに関しましては、受入れ先の企業の基準を設けまして、それに適合するかどうかを国土交通大臣の方で、認定するという手続きを取っています。その際に認定の基準として設けているのが〇1から〇7です。例えば先ほど御説明した外国人の方もキャリアアップといいますか、キャリアプランを立てていただくということで、キャリアアップシステムへの登録を義務づけたり、特定技能外国人受入事業実施法人、JACと申しますが、受入れの企業はそちらに御加入いただいて、適正な受入れを行うことを遵守していただくというような仕組みを設けています。後ほど御説明させていただきます。
あと〇4ですが、当然ではありますが、同じような技能を有する日本人と同じ額の賃金を支払っていただくということで、こちらについても受け入れるときにきちっと書類を出していただいて、チェックさせていただいているということです。
〇5は、外国人の方に事前にきちっと理解できるように説明する。〇6は日本に来られた後、自分にどういった権利があるのかということを、外国人の方に直接御説明するような講習を受講していただくことを義務付ける。
最後ですが、適正就労関連機関を設けており、こちらが巡回指導して、今申し上げたようなことがきちっと守られているかどうかを確認していくという仕組みも設けてており、こういった受入れの審査については、法務大臣の在留資格の審査と合わせて同時並行で、国交大臣の方でやっていくということです。
〇3の所で申し上げました、特定技能外国人受入事業実施法人についてですが、こちらは、業界団体が共同で設立した法人になります。趣旨としては、先ほど申し上げた失踪などの結果として、不法就労になることの未然の防止ということもありますが、一方で、低賃金や労働環境の悪い状況での就労ですとか、保険未加入ですとか、そういった外国人の受入れのやり方をしてしまうと、結果的に日本人を含めた建設業全体の就労者の就労状況のレベルが下がってしまうということもありますので、やはり受入れの所で、そこの所はきちっと担保していかなければいけないというようなこともあり、こういった組織で行い、そういったことを守らないブラック企業を排除していきたいというような趣旨で、取組を進めてきているところです。
こちらの法人では、外国人の方が転職などを希望する際のマッチングなどの仕事もしていくと考えています。
最後、まとめですが、今まで技能実習で3年から5年だったところを、例えば先ほどオリンピック需要に対する建設就労者受入事業で、プラス2、3年ということなのですが、今後特定技能に移行されたら、特定活動(建設就労者受入事業)から引き続いて就労することができますし、結果として10年ですとか、10数年ですとか、引き続き滞在していただけるということになります。将来的には特定技能2号というのも設ける予定にしています。こちらについては在留期間、更新の制限がなく、家族も連れて来ていただけるということで、本格的に日本の建設業の担い手になっていただくという道を開いたということになっています。
もう1つ付け加えますと、今回の特定技能の制度については、技能実習の経験がある外国人は、移行対象職種であれば試験免除でそのままこちらの就労の制度に入ることも可能となっています。今現状で、技能実習職種13職種22作業からの特定技能移行対象職種として設けています。説明は以上です。
○中窪座長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問等がありましたら挙手をお願いいたします。
○大橋委員 途中で退席してしまうものですから、質問というかコメントいたします。御説明ありがとうございました。建設キャリアアップシステムに関しては、期待も大きいと思いますが、他方で事業者に対して、その必要性をしっかり宣伝していただかないといけないと思っているわけですが、このキャリアアップシステムは、ロードマップというか、どういうような感じで普及していくかという見通しを現時点でお持ちであれば教えていただければと思いました。
○奥原課長 ありがとうございます。資料の11ページにも少し触れさせていただきましたが、11ページに官民施策パッケージを今年の3月に講じています。こちらの箱の中にもありますとおり、令和5年度からの建設業退職金共済制度と、キャリアアップシステムの完全移行と連動して、あらゆる工事におけるキャリアアップシステムの完全実施をスケジュールとして掲げさせていただいています。令和5年度ということで、少し先の話にはなりますが、令和5年度を節目として、あらゆる工事でキャリアアップシステムの活用が1つの区切りになっていくのかなと思っています。
それから、必要性については、業界様の方でもメリットがなかなか見いだしにくいといった御指摘を受けております。元請け、下請け、技能労働者それぞれの立場でどこがメリットなのかなということが、実感で感じにくいという御指摘もいただいておりますので、そこは分かりやすい資料の作成や広報を引き続き推進していきたいと思っております。
○大橋委員 応援しておりますので、ありがとうございます。
○中窪座長 その他の方いかがでしょうか。
○小倉委員 全建総連の小倉です。非常に多岐にわたる課題について御説明いただきましてありがとうございます。正に今御説明をいただきましたが、建設産業、この間非常に大きく変化をしてきた、正にその変革の時代の中に今あるのだろうと思っております。こうした中、国交省としましても、建設雇用改善に資する様々な施策がこの間、展開をされてきたというように承知をしているわけですが、今回の改善計画の見直しに当たり、国土交通省として期待をしているもの、あるいは重視すべきと考えているものがもしありましたらお教えいただきたいと思っております。以上です。
○奥原課長 ありがとうございます。私の説明の中でも少し触れさせていただきました。建設業というのは御承知のとおり、国土作りの担い手であります。これであると同時に地域の経済の雇用を支えていると。さらには災害時に最前線で対応していくということで、地域の守り手として国民生活や社会経済を支えているという、非常に重要な役割を担っていただいているのではないかということです。
一方で、先ほど少しデータでもお示しさせていただきましたが、建設業は他産業を上回る高齢化が進行しているということで、近い将来、高齢者の大量離職ということで、担い手の減少が見込まれている。目の前に待ったなしの状況になっているということです。将来の建設業を支えていただく若年の入職者の確保が喫緊の課題ということです。今現状の雇用改善計画においては、女性の労働者の入職促進、社会保険適正加入、さらには外国人労働者についての対応といったことも記載をされておりますが、こちらについては引き続き推進していく必要があると思います。
その上で、今申し上げたような、若年の入職者の確保という観点で申し上げますと、説明の中にあります建設キャリアアップシステムが、将来の担い手の確保のために不可欠なものであると認識しています。このキャリアアップシステムについて、次の計画にしっかりと位置付けた上で、国土交通省、厚労省さん、関係業界の皆様と一丸となって、推進に向けて取り組んでいきたいと思っているところです。
○中窪座長 小倉委員よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、他の御質問ございますか。
○若鶴委員 日建連の若鶴でございます。幅広い御説明ありがとうございました。実はコロナの影響についてお伺いしたいのですが、いろいろ見通しはあるのですが、今後コロナの影響が、場合によってはリーマンショック以上になるのではないかというような話もちょっと出ております。リーマンのときに何が起きたかといいますと、要はコストと工期のダンピングみたいなものが起きて、業界の健全性がかなり損なわれたようなこともあった
かと思うのですが、そのようなことを防ぐために国交省様のほうで何か見通しとか方針みたいなものがありましたら教えていただきたいのですが、いかがでございましょうか。
○奥原課長 なかなか先の見通しをということで、私どもとしてもこれから丁寧に対応し、状況に応じてしっかりと取り組んでいくということが大事なのかなと。先ほど委員の御指摘にありましたとおり、ダンピングというのはおっしゃるとおり、リーマンショックのときに大きな問題になっていたと。この点については最初の担い手3法の中で、価格のダンピングについては、しっかりとした低入札価格調査のやり方とか、かなりそこは特に公共工事、特に国土交通省直轄工事においては、低入札価格調査というのは、極めて重大に重く受け止めておりますので、そこはしっかりとやっていくという、手続面も含めて整備されているところです。
それから、工期については、先の国会で公共工事の品確法や、建設業法の改正の中で、工期の基準について、中央建設業審議会のほうから勧告がありました。そこで新しく適正工期というものが、これまでとは大きな違いになってくると思います。しかしながら、工期についてはこれからといいますか、実際勧告を受けて運用していくという段階ですので、社会経済情勢の動きをしっかりと捉えながら、業界の皆様とも対話を丁寧にしていきながら、対応していくことが重要かなと思います。
○若鶴委員 ありがとうございました。
○中窪座長 その他いかがでしょうか。なければ私のほうから、外国人の特定技能についてですが、コロナの関係で出入国がかなり厳しくなっておりますが、その中で順調にというか、伸びていく見込みは立っているのでしょうか。
○中見課長 特定技能制度は、今数字でお示しした移行されている方々につきましては、基本的に技能実習から新しい就労制度に移行されている方ということになります。
外国から新たに入られる方については、確かにちょっと見通しが立たないところではありますが、そこはコロナの影響が終息したら、受け入れが進むように準備だけは進めていきたいと考えていまして、現につい最近ですが、ベトナムとの間で話もまとまったりしていますので、そういったことになりましたら、きちっと対応するように準備を進めていくというように考えております。
○中窪座長 ありがとうございます。その他いかがでしょうか。では、他にないようでしたら、ここで労働者団体のヒアリングに移りたいと思います。国土交通省のお二人はここで御退室いただきます。どうもありがとうございました。
それでは、全国建設労働組合総連合小林委員より御説明をお願いいたします。御説明は今と同様に自分のお席からお願いいたします。
○小林委員 皆さん、こんにちは。御紹介いただきました労働者団体の全建総連の小林と申します。資料2-1、2-2を今回提出させていただいております。まず資料2-1、2枚もののペーパーでありますが、御用意ください。私ども全建総連、全国建設労働組合総連合の概要ということで組織の概略の紹介でございます。最初3行ありますように「全建総連は」とありますが、建設労働者の処遇改善、正にこの委員会の大命題でありますが、それや社会的地位の向上を目的に1960年に結成され、現在47都道府県の中に53、県連・組合で組織をしております。
左の点線枠の中に「現況」とありますが、組合員数は約62万7,000人弱というところでございます。組織をしている対象者(組合員)でありますが、建設に携わる、いわゆる技能労働者・職人でございます。この中には、いわゆる事業主、先ほどお話がありました一人親方、また複数雇用する事業主もいらっしゃいます。そういった事業主も小・零細の私たちの規模になりますと、経営者でありながら現場に行って施工に携わる、そういった方々の集まりです。もちろん雇用されている方の、雇用組合員、国保組合、訓練校の運営にも一定携わっているというところでございます。
次のページです。「全建総連の主な取り組み」ということで、この後幾つかお話もいたしますけれども、社会的地位向上・処遇改善に向けて、左上のゴシックにあるような取組を行っています。一番右に写真が上から3枚続いておりますけれども、特に若年者の技能向上に向けて、全建総連独自で厚生労働省にも後援を頂いております全国青年技能競技大会といった大工技能の競技会を開催し、また、真ん中の写真は、地域の子供たちを対象に技能の楽しさといったものを経験してもらうイベントを開催しています。一番下は今も熊本で建設が続いております仮設住宅の建設につきましても、全建総連の大工組合員を就労者として建設を、この写真は長野ですけれども、現在も熊本で4年前の熊本地震の規模を超える戸数を現在進めているところでございます。全建総連の概要、2-1につきましては以上でございます。
2-2をお開きください。建設技能労働者の現状ということで、全建総連のこの取組の中で、今回の議論に関連するところの御紹介と、もう1つは第十次計画に向けて、全建総連としての一定の考え方を示したペーパーになります。1つ目は先ほどの、国交省の資料の中でもありますけれども、処遇の中でもとりわけ重要視される賃金の状況であります。全建総連の独自の調査ですけれども、2019年の調査の結果です。真ん中に数字の一覧がありますけれども、2015年からそれぞれ常用、一人親方という、全建総連はこの間こういう分け方でやっております。雇用されている技能労働者は常用の中に入ります。逆に言うと常用・手間請の中には雇用されている人もいれば、いわゆる専属外注という形で働いている方もいらっしゃいますので、ここを分けていくのは今後の課題ということで、今回の結果は両方が入っているというように御覧いただければと思います。
下のほうに特徴を書いておりますけれども、これは日額でありますが、増加傾向にこの間あります。特にこの2年間については、連続して増加しております。特に5年前、2015年から比較すると、大体どの階層でも5%前後上がっていると、このようになっております。ただ、ちょうど上の表の一番下に、先ほど国交省の資料でも紹介されました設計労務単価を参考までに載せておりますが、2015年からの伸び率16.2%に対して、私どもの組合員さんの賃金調査は、おおむね5%前後の伸びということで、設計労務単価の伸び率との乖離が大きくなっているという状況が見て取れるという結果です。
2ページを御覧いただきたいのですけれども、今度は年収です。年収につきまして2014年から、これは2018年までの結果になります。直近が2018年になりますが、この年収につきましても、およそ5年前の2014年から比較すると、各階層でおよそ1割程度増加しているわけですけれども、一番下の3つ目のポツの2行目にありますように、製造業男性労働者の水準よりは、直近で言っても10万円以上低い。また全産業の男性労働者と比較しても17%程度低い。増加傾向にあるけれども、いまだに低い状況というのは否めないというところです。
3ページです。この年収につきまして年収階層別に分けたものです。〇1〇2〇3とありますが、〇1は全国の平均です。一番最多帯を黄色のマーカーを引いておりますけれども、最も多いのが300万円から400万円というところ、これがほぼ3分の1を占めている手間請・常用、一人親方においても4分の1はこの金額帯が占めているというところです。首都圏と首都圏以外を〇2〇3で分けておりますけれども、首都圏でも400~500万円が30%、一人親方でも20%と最も多いわけですが、首都圏以外になりますと常用・手間請では300万~400万円というところが3分の1以上と、一人親方でも300万から400万円が30%弱、首都圏と首都圏以外の所でも大きな開きが出ております。
特に首都圏以外の所でいきますと、4ページの一番上に500万円未満8割、400万円未満になりますと、400万円未満も常用・手間請で半数以上、一人親方でも半数弱という状況に賃金はなっているというところです。賃金のピークにつきましても他産業に比べると低い金額でピークを迎えて、その後伸びが見られないというところが見て取れるという結果です。
5ページにつきましては、先ほど国交省からのお話でもありました資料に関連するものを付けております。5ページの参考資料の上に、全建総連も議論に携わりましたCCUSを介して、このレベルごとの目標年収、これを業界として設定して実現を求めていこうというところで、全建総連も建築大工技能者の部分で他団体とともに議論し、一定の金額を目標として示させていただいたところです。
6ページです。大きな2番ですが、「技能労働者育成の取り組みの状況」です。(1)は学校におけるキャリア教育ということで、この間全建総連は30年ほどにわたって学校の教育現場と連動・連携して学校教育の一環として建設技能の重要性や魅力を伝える取組を実施してきております。2018年度が直近の結果ですけれども、1年間で464校、各地域の組合、また組合員が実施して、2万7,535人の生徒の方々に指導を行ったところです。この間の累計でいきますと20万人以上の小・中・高校生に対して建設技能の重要性、魅力、ものづくりの楽しさ等を伝えてきたところです。また学校関係者からは高い評価を頂いていると認識しております。
(2)ですが、全建総連の地元の各県連組合、認定職業訓練校の運営に直接的又は間接的に携わって運営を盛り上げているところです。ちょうど2段落目、全建総連関係の認定職業訓練校の数は現在79校、そのうち10校は今は休校という状況です。訓練生の数は749人で、主に木造建築が多いというところです。この749人なのですけれども、この間減少しております。3年連続の減少で、最も少ない738人の次に少ない状況に今なっております。この段落の下から3行目ですけれども、訓練生の人数のピークは1996年、3,254人ということですので、直近の749人は7割以上減少している。こういう状況の中で訓練校運営も極めて厳しい状況が慢性化しているところです。
そういう中で次の段落、「これまで」というくだりがありますけれども、訓練校の数そのものも2001年の119校をピークに減少している。先ほど全建総連を御紹介差し上げる資料の中には訓練校の数80とありますけれども、これが残念ながら1校廃校しているというのが直近の数字です。
3番目です。資格取得に向けた団体としての直接支援ということで、全建総連として組合員に対して一定の資格を取得した場合に報奨金という形で支援を差し上げようと、こういう取組を2018年度から行っております。2行目からですけれども、取得者が期待される役割などによって対象資格を給付額の異なる3つの区分に分けて、最大でいうと1万円。厳密に言うと1万円、それから6,000円、3,000円というふうに3つの区分に分けているわけですけれども、技能士、登録基幹技能者、職業訓練指導員免許、建築士、施工管理技士、作業主任者等々、幅広く対象として2019年度は3,460件、2,200万円の給付をしたところです。内訳については7ページにかけて記載させていただいております。
7ページのこの章の下から2段落目、4行目です。2020年3月に先ほども御紹介があったキャリアアップの整備がされたことから、来年度からは35職種のレベル3以上の資格は全てこの報奨金の対象にしていこうということで、整備を今、行っているところです。全建総連はこの資格取得報奨金を通じて技能の見える化としてのCCUS登録、それから能力評価を推奨・推進して、レベルに応じた職業の実現を目指していきたいと思っております。
そして最後ですが、大きな3番、「第10次計画策定に向けて」ということで、全建総連の、この10次計画に向けた基本的な考え方をお示ししました。要点はゴシックの3行にありますように、第10次計画では第9次計画による施策をさらに前進させていくとともに、新たな仕組みであるCCUS及びこのCCUSに関連する仕組みを活用する技能者、事業者を強力に支援する方向性というのを10次計画の中で是非打ち出していただきたいということです。下に文章がありますが、1段落目、2段落目は現状認識ですのでお目通しいただけますでしょうか。
上から7行目から2019年度に建設キャリアアップシステムが、また2020年度からは能力評価、さらには2021年度からは見える化が始まっていくと。そして2021年度からは、ここに書いておりませんが、能力評価につきましても全ての技能者が能力評価が受けられると、こういう環境が整うというように国交省は今、議論を進めているというところです。正にこの10次計画は、このCCUSを軸としたソフトインフラが出そろうと、こういう中での第10次計画になろうかと思います。
最後の段落、下から7行目からですけれども、CCUSを軸に連動するこれらの新たな仕組みは、建設技能労働者の処遇改善、建設業の未来を担う若年層の入職促進・確保を可能とする仕組みであり、第10次計画における5年間は、9次計画の内容を基本としながらも、建設技能労働者の処遇改善を実現するため、CCUS登録の促進はもちろんのこと、仕組みの重要な要素である資格取得や技能向上、これに向けた認定職業訓練やレベルに応じた処遇改善を行った事業主への支援、CCUSを活用する技能者、事業者、これらを支援する内容とすべきであると考えております。これらの施策に必要な財源についてもしっかりと確保していく必要があるだろうと、このように全建総連では第10次計画の策定に向けて考えております。以上です。
○中窪座長 ありがとうございました。次に日本建設産業職員労働組合協議会、髙島委員より御説明お願いいたします。
○髙島委員 日建協の髙島と申します。発言させていただきます。資料をたくさん付けてしまったのですけれども、資料3-1から3-6がございますが、まずは日建協の説明を少しさせていただきます。資料3-1を御覧いただきたいと思います。日建協は1954年12月に結成されました、ゼネコンのホワイトカラー最大の産業組織となっております。現在は34の加盟組合、約3万8,000人の組合員で構成されております。加盟組合については真ん中のほうに一覧がございますので御覧いただきたいと思います。
活動の役割なのですけれども、下のほうにイメージ図があるのですが、行政、発注者、又は日建連、電気などの業界団体、メディアなどと、又は連合とも友好加盟組織としても産業内外の労働団体と情報交換や意見交換を行って、産業の魅力向上又は労働環境の改善に取り組んでいるところでございます。
続きまして資料3-4です。時短アンケートの概要というものがあるのですけれども、今日は手元にお配りさせてもらったのですが、冊子化しております。是非手に取ってもらいたいと思いまして配らせてもらいました。お荷物を増やしてしまって申し訳ございません。こちらでもよろしいですし、タブレットのほうの資料でもよろしいのですけれども、見ていただきたいと思います。こちらの調査は1972年から始まりまして、毎年行っておるものです。昨年度は3万7,000人のうち約1,000人を対象に行いまして、1万5,000人からの回答を頂きました。
こちらの1ページ目になりますが、「所定外労働時間の推移」という所になります。2019年の調査では日建協平均が43.7時間となりまして、全ての職種で減少しましたが、外勤建築は61.7時間、外勤土木は59.5時間と、依然として高い数字のままでした。
また、それにつきまして5ページ、図の11になります。「休日取得の日数について」という表になるのですけれども、19年11月の休日は10日ありましたが、全体の休日取得日数は8.6日です。内勤が9.6日、外勤が7.7日、内勤がほぼ暦どおりに休日を取得できているのに対して、外勤は2日ほど休日出勤をしている状況になりました。
続きまして真ん中のほうの図12になります。こちらは弊社設定での「休日取得について」になりますが、4週8閉所を設定している作業所では、9.21日取得しているのに対して、4週3閉所以下になりますと、6.4日しか取得できていないという状況でした。1か月の休日の中で2.8日の違いがありまして、特に土曜日だけでも2日の違いがありました。外勤休日取得には作業所の閉所設定が大きく影響しているということになります。
続きまして一番下の図13になりますが、土曜閉所を増やしていく上でも問題点ということでアンケートを取りましたところ、「短工期発注による工程の厳しさ」が圧倒的に多く、また、「突発事態での工程調整ができなくなること」、「発注者の対応が遅いことによる工程上の遅れ」、「発注者の理解」といった発注者に起因する問題も多く挙がりました。作業所の閉所を進めていく上では適正な工期設定など、発注者の理解が不可欠であると考えております。
続きまして7ページを御覧いただきたいと思います。こちらは有休取得の状況についてのページになりますが、図16、上のほうの図になります。有休取得の昨年5日間の取得義務がなされたことによりまして、1972年に調査を始めて以来、外勤で初めて5日を超えました。しかし、業界全体の平均と比較しても、まだ9日の差があります。休むことに対してためらいを感じるかどうかと聞いたのは、8ページの図19になりますが、こちらは内勤ではためらいを感じなくなるほど休日の取得日数が増えますが、外勤ではためらいを感じても感じなくても、休日の取得日数に大きな変化はありませんでした。
また、図の20になりますが、平日に休むうえで何が必要かという設問に対しては、内・外勤ともに「休日を取りやすい職場の雰囲気」が一番多く選択されました。また外勤では2番目に多かったものとして「職場の人員の増加」ということになりまして、外勤ではとりわけ人手が足りない状況が窺えます。休みやすい環境を作るためには職場の環境整備と、それから職場の雰囲気づくりが必要であると考えております。
続きまして10ページ、図23になります。建設産業に魅力を感じる割合についてのアンケートの結果になりますが、魅力を感じるか否かにかかわらず、「建設したものが後生に残る」と回答しております。また、魅力を感じない組合員は「特にない」といった割合が、また多くなっております。
図24になりますが、魅力を感じない点は何ですかと聞きましたところ、やはり「労働時間が長い」というものが最も多く選択されました。また、下のほうに水色とピンクで自由意見を出しているのですけれども、こちらは魅力を感じない点を聞いたところ、魅力を感じる人、感じない人で労働時間に対する捉え方が大きく異なりまして、魅力を感じていない組合員からは、長時間労働で休日が取得できないことに関する意見が多く、また魅力を感じるという組合員からは、それらの状況が改善しているので魅力を感じますという意見が多く挙がっております。
続きまして11ページになります。図25です。転職への意識になりますが、年代別で見ますと、50歳以上では8割の組合員が定年まで働きたいと回答しているのに対しまして、29歳以下では4割にまで減少しております。
また12ページにいきまして、図27になりますが、転職したい理由なのですけれども、こちらでもやはり労働時間が長く休日が取れないというものが多く選択されました。以上のことから、今働いている私たちにとっても魅力的な産業であることは、担い手確保や建設産業の発展につながると考えております。また、そのためには長時間労働の削減、休日の取得が喫緊の課題であると切に感じております。
続きまして資料3-6です。2019年度「日建協出前講座アンケート結果報告」になります。こちらは2006年から活動しております建築土木を学ぶ大学生を対象に行っておりまして、ゼネコンの魅力ですとか若手職員のリアルな1日などを伝えている活動になります。
こちらの3ページを御覧いただきたいと思います。上の図です。ゼネコンに対するイメージを聞いた結果になっているのですけれども、図の上の表では社会貢献度が高い、必要な産業であり安定性が高いというものが挙がっておりますが、図の下のほう、「残業が少ないとは思わない」ですとか、「残業が多いと思う」、「休みが取れないと思う」、「異動・転勤が多いと思う」など、労働環境に対するイメージがマイナスな印象でした。
続きまして4ページの下のほうの折れ線グラフです。こちらは学生の希望就職先を聞いたところ、昨年まではずっとゼネコンが1位だったのですけれども、2位に転落するという結果になりました。
ゼネコンを選ばなかった理由を聞いた結果が9ページに記載されております。やはりこちらでも「労働時間が長そう」といった意見が多く挙がっております。以上のことからも、やはり長時間労働の削減、又は休日取得、労働環境の改善が急務であると考えております。
そこで我々日建協が国土交通省に対して提言活動を行っておりまして、そこでも週休2日の取得などについての提言を今年、行いました。その資料が次の資料3-2、「日建協2020年政策提言書」になります。こちらは今紹介した時間アンケートの他に個人に取っているアンケートになるのですけれども、作業者単位で回答してもらっている作業者アンケートというものもございまして、そちらを基に作成したものになっております。
2ページ目を御覧いただきたいと思います。「週休2日を実現するために」という項目になります。上のグラフは作業者アンケートで週休2日(原則土曜閉所)を実現するために何が必要かという設問に対しての回答になりますが、こちらでは「適正な工期設定での発注」が最も多く回答されました。また、その下のグラフ、2024年までに週休2日が実現すると思いますかと聞いた回答ですが、組合員の66.8%が実現しないと考えていることになりました。
以上のことから、週休2日又は長時間労働の是正について4つの提言を行いました。3ページ目になります。週休2日が実現しないと思う理由において、「工期設定に土日閉所の概念がいまだに反映されていないため」といった声が多く挙がりました。そこで提言1で改正建設業法で規制する「著しく短い工期での請負契約の締結禁止」について、中建審が策定する工期の基準において、土日閉所を原則とした基準設定を明示し、運用の設定を訴えました。
また4ページ目、週休2日は実現しないと思う理由において、「受注者の責によらない着工遅れや荒天、施工上の突発的な課題に対応する適切な工期の見直しがされていないため」といった声が多く挙がりました。そこで提言2として、建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインに規定されたとおり、工期の見直しなど運用の徹底と民間工事への波及を訴えました。
続きまして5ページになります。週休2日は実現しないと思う理由において、「完全土曜閉所は日給制技能労働者の収入減につながり、結果的に技能労働者が減り産業が立ち行かなくなるため」といった声が多く挙がりました。そこで提言3として、「原則すべての公共工事を週休2日工事と位置付け、土日閉所を前提とした日給制技能労働者等の処遇水準の確保を見据えた労務費、その他必要経費の見直し」を行っていただくように伝えました。
次に6ページになりますが、こちらは主に建築のアンケートから挙がってきた意見ですが、提言4は「ガイドラインの趣旨にのっとり、圀、自治体等の行政機関に年度繰り越し制度の適切な運用を促進し、補助金事業の事業主へ理解促進に努めていただきたいと訴えました。長時間労働の是正、週休2日の取得については以上になります。
また1つ、最後に22ページになるのですけれども、帰宅旅費の非課税化というものがございまして、こちらは本日、黄色いリーフレットを配らせてもらったのですけれども、2014年から取り組んでいる活動になります。こちらは建設産業の組合員、既婚者のうち27.9%、特に外勤にフォーカスしますと41.5%が単身赴任をしている状況があります。多くの会社で帰宅旅費を支給していますが、現行の税制度では会社が支給する帰宅旅費は所得税、地方税の課税対象となりまして、単身赴任している人としていない人を比較しますと、手取り収入に影響があります。週休2日の取組が進む中、週末は自宅に帰って家族と過ごしたいと思っても、帰宅旅費出費に伴う税負担が生活を圧迫します。また、建設産業は現地一品生産という特性上、ダムやトンネル工事など自宅から通うことが困難な作業所に従事する組合員や監理技術者の資格要件や実務経験を有する組合員が特定の案件に配置配されるために、単身赴任をせざるを得ない状況というものがございます。仕事のために単身赴任をしているのに税金が重くこんな圧迫しているのでは、仕事にかけるモチベーション低下にもつながりかねないということで、単身赴任が多いという建設産業の構造的な問題については所轄官庁として理解していただきまして、力添えをお願いしてまいりました。日建協からは以上になります。
○中窪座長 ありがとうございました。最後に日本基幹産業労働組合連合会の森山委員より御説明をお願いいたします。
○森山委員 基幹労連の森山です。よろしくお願いします。私からは、資料4、基幹労連の「建設業の現状と課題について」ということで御覧ください。2ページ目、簡単に基幹労連の概要です。基幹労連は、御存じの方が多いと思いますが、主に製造業の労働組合の団体です。建設部門としては、2014年から、それまで建設連合という単体の産業別の労働組合として活動しておりましたが、2014年以降、基幹労連と統合して、現状は基幹労連の中の建設部会ということで、11労組、約4,000名の規模で活動をしております。 3ページ、本日、これから申し上げる内容について簡単に項目を並べております。大まかに、処遇面について、それから労働時間について、そして労働災害についてということで簡単に御説明します。
4ページ以降を順に御説明します。4ページ、連合の賃金レポートから少し引っ張ってきております。1997年から2018年ということで、少し長いスパンになるかと思いますが、この間のそれぞれの業界の平均賃金の上昇率、それから個別の賃金の上昇率の比較となっております。平均賃金について言いますと、年齢層、それから学歴等様々な要素を踏まえた上で平均賃金というのがありますが、それに対する個別の賃金というのは、お一人、お一人の賃金をそれぞれ比較したということになります。この表を見ていただきますと、総合工事業、いわゆるゼネコン管理職員の皆さんといったものについては、基本的に1997年からの比較ということで言いますと、平均の賃金の上昇率については、これは左側の軸になりますが、プラス側ということで働いております。個別で見ますと下の軸です、マイナス、全体としては上がっているのですが個別で見ると上がっていない。これは職別工事と真ん中よりやや下にありますが、そちらについてはさらに顕著で、平均の賃金自体はなかなか上がっていない中で、個別についてはさらに下がっているといったこともあります。この主な要因としては、枠の中にも書いていますが、いろいろな要素がありますが、主には高年齢化に伴って、平均の賃金の上昇に比べて個別の賃金の伸びが少ないと考えられると思っております。
5ページ、産業別の賃金ポジションの推移です。これも1988年からの推移ということで見ております。左側の軸が1988年時点での賃金のポジション、それから下の軸が2018年の軸になります。斜めの線よりも下に行っている業種については、1988年に比べれば賃金のポジションが上昇している業種、それから線の上については上昇していない業種と、ざっくり見ることができます。これを見ると分かりますが、総合工事業ということでは相対的にポジションの上昇が見られますが、職別の工事ではもうほとんど変化がないという現象が見られます。
6ページ、公契約条例の制定状況です。2010年2月に千葉県野田市で全国で初めて施行されまして、それ以降、57の自治体で制定をされました。特に公契約の環境の改善について、非常に大きな役割を果たしているのが公契約条例だと考えております。57の自治体で制定されているうち賃金保証型が24、具体的に最低賃金等々を定めてあるのが24。一方で理念にとどまっているのが33ということがありますので、公契約条例を制定する自治体そのものは少しずつ増加をしておりますが、まだまだ内容も含めてさらなる広がりが必要とされているのではないかと考えております。
7ページ、労働時間です。これは年間総実労働時間数の推移ということで、既に厚労省のデータ等で公表されている内容でもありますが、調査産業、全体の合計、青い軸になりますが、それに比べると建設業については、まだまだ総実労働時間が長い状態が続いております。製造業も2,000時間を切ったような感じですが、建設業については相変わらず2,000時間を大きく超えた状態が、引き続きまだ続いている現状だということです。
8ページ、これは2018年度の出来高に関しての国土交通省の統計から引っ張ってきたものです。これはよく言われる、いわゆる工期発注時期の平準化の問題といったことです。各建設会社、それから一人親方等でやられているいろいろな業者さんがいらっしゃいますが、年間を通じて一定の工事の発注があれば年間を通して大体労働時間は一定になるかと考えられますが、現実はなかなか、実際年度のはじめは発注がどうしても少なくて、年度の後半に行くにつれて、予算の執行の関係もありまして、どうしても年度の後半が忙しくなる状況があります。特に、グラフにも載せておりますが、紫の公共事業の、特に土木工事については、一番少ない所と比べると36%ほど年度の後半で増えてきている。これは、以前はもっと大きな差がありました。徐々に縮まってきてはおりますが、まだまだ年度の後半になりますと、どうしても負荷が掛かるという状況が続いている、工事量が一定していないことが見られるかと思っております。
9ページ、これはサンプルの数としては決して多くはないのですが、我々は基幹労連の建設部会の中で6月の閉所の状況を独自で調査をしたということです。4閉所以下から8閉所以上まで、6月1か月間でどれだけ閉所ができたか。これは、閉所という言い方をしております。いわゆる一つ一つの作業所、工事現場の全体が休めたかどうか。個人として休めたかではなくて、作業所全体が休めたかどうかという観点で調査をしたものです。これは、御覧になるとお分かりのように、上から2つ目の建築の工事については、やはりまだ4閉所以下、実際は、これを個人別に見ると、それぞれ交代をしながら、お一人、お一人では4週6休ですとか、7休、8休と休みを取ろうとしているかと思いますが、作業所全体でお休みができているかと言いますと、やはり建築を中心にまだ厳しい状況があるということで認識をしております。特に建築に関して言いますと、民間の工事が多いので、民間工事については閉所のさらなる促進というのを、まだ進めていく必要があろうかと考えております。
10ページ、これは令和元年の産業別の死亡災害について、製造業と建設業をピックアップしたものです。就業者数が、建設業については499万人に対して、死亡災害に占める割合ということで見ますと、やはり非常に死亡災害が多いということもあります。特に余裕がない中で厳しい作業に従事している方々が多いこともあります。もっと余裕をもって作業ができるような環境もやはり作っていく必要があるかと考えております。
11ページ、まとめということで簡単にまとめております。公契約条例制定の促進をしていただくこと。それから、既に法律等も変えていただいて、新・担い手3法、その中にも適正な工期の設定ですとか、先ほど申し上げた工期の平準化といったようなことは、既に取り組んでいただいているかと思いますが、さらなる推進をしていただいて環境改善の取組を進めていただければと考えております。それから、2番目、労働時間短縮の取組としては、先ほどの新・担い手3法のさらなる推進をしていただくことで、サービス残業の撲滅とか、ここに記載されているようないろいろな問題の解消を進めていくことが、必要であろうと思っております。
それから、やはり何と言いましても、建設業として、12ページに書いておりますが、4週8休、週休二日というのが建設業でも常識になるように、建設業界全体を上げて取組を進めていく必要があるかと考えております。それが最終的には安全衛生の面でも、死亡災害の撲滅ということにつながるのではないかと考えております。私からは以上です。
○中窪座長 ありがとうございました。それでは今、3人の委員から御説明いただきました内容について御質問等がありましたら御発言をお願いします。勇上委員、どうぞ。
○勇上委員 途中で音声が途切れるかもしれませんが、その際には御了承ください。非常に詳細な御報告ありがとうございました。大変勉強になりました。3つの御報告について共通する問題、関心としてお伺いしたいのです。建設業で高齢化が進んでいることとも関連するのですが、先ほどの御報告の中では、最後に基幹労連さんの御報告の中で、高齢化によって平均賃金が上がってきているという話があったように思うのです。一方で、全建総連様のほうでは詳しい資料を御教示いただいて、そのときには、年齢に応じて必ずしも日給が上がっているような感じは見受けられなかった。これは対象としている労働者の方が職員の方だったり、技能労働者の方だったりということだと思うのですが、まず、いわゆる経験に応じて処遇が上がっていないのではないかという問題があるのは、どういった層の方なのかをお聞きしたいです。
これは、先ほどの建設キャリアアップシステムの所で、経験を重ねた方の適切な評価をしていくこと等とも関連していると思いましたので、あれは技能労働者ですが、それは例えば職員の方については特に問題にならないのかとか、そういったところをお伺いしたいと思いました。職員によってそういった問題、報酬の問題というのは違うのかどうかというところです、職員の方とか技能者の方の。
○中窪座長 ありがとうございます。どなたか。小林委員からお願いします。
○小林委員 全建総連の資料2-2で、今、御質問の所に関しては4ページがこれに当たるかと思っております。文章の中の一番下の文章でも御紹介したとおり、賃金構造基本統計調査によれば、製造業の技能労働者のピークは55歳から59歳でピークを迎える。これは非常に一般的であるわけです。全建総連の調査からすると、首都圏以外では50歳から54歳で、さらに首都圏では45歳から49歳でピークを迎えて、そのピークそのものも、先ほどお話をしましたとおり、他産業に比べると低いところで頭打ちで、以降は伸びないというところです。国交省もこの間、CCUSの仕組みの中でしっかりと担保していきたいのは、十分に熟練した技能と経験を持っている人たちの、いわゆる管理者としての能力、これをしっかりと賃金に反映させていく、ここの部分が今、この調査からすると欠けている今後の課題として認識しております。
○森山委員 基幹労連の森山です。少し自分の個人的な感覚も入るかと思いますが、今、御指摘いただいた点について1つ感じるのは、正規雇用の職員の方については、ある程度年功に応じて給与が増加していく仕組みがある一方で、技能労働者の方についてはどうしてもなかなかそういった仕組みがありません。先ほど御説明にもありましたように、これからのそういった個別の技能の増加にしたがって、それをどうやって具体的な処遇につなげていくかという仕組み作りについては、キャリアアップシステムを中心としてこれからしっかりと反映をしていただきたい部分です。
一方で、特に公共工事の発注の際には、個別の労働者がどのように評価されているかではなくて、あくまでもその工事がどのような職種の人たちによって作られているかというように、職種の単価ということで設定されてしまっている部分がありますので、なかなか今、個人の能力の高い低いというところに賃金が結び付いていかないというのは、これは仕組みとして1つ大きな問題がそこにあるかと考えております。以上です。
○中窪座長 ありがとうございました。勇上委員、よろしいでしょうか。
○勇上委員 はい、ありがとうございます。
○中窪座長 その他いかがでしょうか。もしよろしければ使用者側の委員の方からでも。最川委員、どうぞ。
○最川委員 御説明ありがとうございました。今の技能労働者不足の点と、技能者と技術者はちょっと考え方はそれぞれ違うと思うのですが、特に技能者不足に対応して、やはりある程度、今日の技能に応じた賃金を払っていくのは本当に大事なところだと思います。全建総連さんに調べていただいたデータの中にもあるのですが、年齢に応じてというよりも、やはり経験年数、特に建設業の場合は高年齢になって転職して経験が少ないという方も結構いて、CCUSにもあるように、技能労働のある程度能力がないと、ものを作るのに、やはり建設業は請負になっていますので、能力に応じたお金というものがどうしても発生してくるので、ただ年齢が上がれば増えるかというとそうではなくて、そこは仕方がないところだと思います。今後の調査も、ただ年齢というよりも、やはり経験年数とか職長なのかとか、その辺をしっかり調べていかないと、その賃金に合ったその人の能力なのかというところが重要になってくると思います。ただ年齢が上がれば賃金が増えるというところだけ目指していくと、とんでもない金額に、もともと10億円でできるものが15億円掛かってしまうとかそういうことが発生してしまうので、その辺は今後の調査をできれば調べていただきたいなというのが要望です。以上です。
○中窪座長 ありがとうございました。何か今のコメントについて答えがありましたら。
○小林委員 御指摘ありがとうございます。サンプルとしては非常に大きく取っているのですが、今、御指摘のようなことも含めて検討していかなければいけない。また、実はここには、全建総連の私のほうの資料には書いていませんが、25歳未満の方のデータは省いた上で計算しているのです。というのは、一人前にまだ至っていない人のデータを入れると、現状がはっきり出なくなるのではないかという趣旨でこの間そうしてきたのですが、これからの若い皆さんの入職、若い皆さんの魅力ある賃金が本当に今、現状どうなっているのかを知るためには、先ほどおっしゃられたような観点も含めて、若い人の現状も見えるような形で、集計をしていくところも必要かなという認識はしているところです。ありがとうございます。
○中窪座長 ありがとうございました。その他にいかがでしょうか。大木委員、どうぞ。
○大木委員 全建総連さんにお尋ねします。一人親方のデータが出ていました。労働者と一人親方の人数の割合がどのくらいなのか。あるいは、一人親方だと労働者ではないので、経費、交通費だとかいろいろな経費も親方として持たなければいけない。実質、手取りは一人親方のほうが少なくなってしまうのではないかということもあるのですが、その辺をお伺いしたいなと。
○小林委員 御指摘のとおりなのです。この調査でいきますと、先ほど私、さらっと雇用されている人も常用という中に含まれる。その常用の中には、雇用されていない方で専属的に外注としてそこに携わられている職人さんも含んで、一緒くたに常用と言っているということでした。実は、この調査の中で、もともとの数字で労働者なのか、それとも雇用、いわゆる雇用されている人なのか、それともいわゆる一人親方として手間請としてやっているのかというところは、ここでは分析はされていません。両方が一緒くたです。
今は全建総連では、いわゆる雇用されている人だけの調査を一昨年から始めたところですが、実は今年についてはコロナの関係でその調査が実施できておりません。全建総連としても、雇用されている人、それから雇用されていないところの実態を、明確に分けた形で出さなければいけないという認識はしていて始めたところなのですが、その数字が直近では今回出せていないところです。
○中窪座長 その他いかがでしょうか。最川委員。
○最川委員 今、ちょっと一人親方の話が出たのであれなのですが、私は一人親方という言い方自体がどうなのかなというのもあります。あるときは労働者、あるときは事業主というような、それが一人親方みたいなのがあやふやなところで使われていて、実際は個人事業主というところでいかないと、労働者の中に一人親方のデータが入っているということは、実質、やはり労働者と本人も思っている人が入っていると思うのです。その辺の定義を、本当は一人親方という言い方を私は使ってほしくないと思っているのですが、その辺、一人親方だけ、どういう実態なのかというのをやはりはっきり定義付け、これが一人親方、というか個人事業主なのか労働者なのかという線引きをしっかりしないと、保険を払いたくないから、あるときは個人事業主にしてとか労働者とか、何かいいとこ取りしている人もいたり、業者、事業主にも、何て言うのですか、個人事業主に保険を払わせないで個人事業主にしているのだけれど、実質の使い方は労働者みたいな。そういう使われ方も実際ある中で、そこの線引きをきちんとしていないところが一番の問題だと思うのです。そこをはっきり決めないと議論が、あるときは労働者で議論が行われて、あるときは個人事業主で行われるということは終着点が見えなくなってしまうので、そこの線引きをちゃんとしていただきたいというのをお願いします。以上です。
○福岡室長 事務局の建設・港湾対策室長の福岡です。一人親方の関係は前回も大木委員からも御提案いただいておりまして、次期の計画には何らかの形で記載が必要かと思っております。先ほど国交省からも話がありましたとおり、一人親方で今、検討会を、私もその委員になっておりますが、開催しておりますので、その動向も注視しつつ、また、次回の28日の委員会では蟹澤先生が、おそらく一人親方の現状認識等について御説明があると思いますので、そういったものと、今、最川委員からありました御指摘は正にそのとおりだと思いますので、そうしたものを次々回の論点整理で、私どもで整理させていただいて皆さんに御議論いただきたいと考えております。
○中窪座長 ありがとうございました。その他いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、これについては以上とさせていただきます。どうも3人の委員の皆さんありがとうございました。
次に2つ目の議題「その他」になります。これは各委員から御意見、御質問などその他としてございますでしょうか。よろしければ、これは特にないということで進めさせていただきます。その他に何か特に御発言ございますか。よろしければ、本日の審議はこの辺りにしたいと思います。最後に、今後の日程等について事務局から説明をお願いします。
○大橋補佐 ありがとうございます。次回の日程について申し上げます。次回については、御案内のとおりですが、9月28日の月曜日、13時から前回の会場でもあります航空会館5階の会場で開催したいと考えております。議題につきましては、本日に引き続きまして関係者のヒアリングを行いたいと思います。具体的には、学識者として芝浦工業大学の蟹澤教授、そして使用者団体を予定していますのでよろしくお願いします。事務局からは以上になります。
○中窪座長 ありがとうございました。それでは、本日の委員会は以上といたします。最後に、本日の会議の議事録の署名については、労働者代表は小倉委員、使用者代表は若鶴委員とさせていただきます。よろしくお願いいたします。では、本日はお忙しいところをどうもありがとうございました。
〇場所:厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)
〇出席者
公益代表
中窪座長、大橋委員、小野委員、勇上委員
労働者代表
小倉委員、小林委員、髙島委員、森山委員
使用者代表
大木委員、本多委員、最川委員、若鶴委員
参考人
国土交通省不動産・建設経済局建設市場整備課 奥原課長
国土交通省不動産・建設経済局国際市場課 中見課長
事務局
達谷窟高齢・障害者雇用開発審議官、福岡建設・港湾対策室長
大橋建設・港湾対策室長補佐、中田建設・港湾対策室長補佐
〇議題
(1)建設業の現状と課題について
(2)その他
〇議事
○大橋補佐 ただいまから第57回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会を開催いたします。私は、厚生労働省建設・港湾対策室の大橋と申します。冒頭は事務局が進行させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
マスコミの方に留意事項を申し上げます。カメラ等での撮影をされる場合に関しては、議事が始まる前まででお願いします。また、会場の皆様方におかれましては、会場入口に備付けの消毒液の御利用をはじめ、マスクの着用や咳エチケットに御配慮ください。
本日の専門委員会については、公益委員の大橋委員、小野委員、勇上委員はオンラインでの御参加となっております。
若干、オンライン関係で御説明いたします。オンライン参加の委員の皆様方には、操作方法のマニュアルをお手元に御準備ください。現在、画面には中窪座長を中心とした会議室全体の模様が右肩上に出ていると思います。画面の右下に「ミュート解除」「ビデオ停止」というボタンがあると思います。今「ミュート解除」については斜線が入っていると思います。御発言される際には、カメラに向かって物理的に挙手をしていただきたいと思います。座長から御指名があった場合には、「ミュート解除」のクリックをして御発言をお願いしたいと思います。
なお、会議の進行中に通信トラブル等、接続が切断された場合、音声が聞こえなくなった場合等ありましたら、操作マニュアルに記載の事務局担当者宛の携帯まで御連絡ください。
次に、配付資料の確認をいたします。会議室にお集まりの委員におかれましては、お手元のタブレット端末を御覧ください。画面の上部に「マイプライベートファイル」と記載されており、資料一覧画面が表示されております。今回の資料ファイルについては、「資00【議事次第】」「資01【資料1】」から「資10【資料4】」までが10種類の資料です。最後に「資11【参考資料】」の合計12類のファイルとなっております。
なお、オンライン参加の皆様方におかれましては、事前に送付しておりますファイルが、今、申し上げた資料構成となっておりますので御確認ください。ここまでで御不明なことがありましたら、個別に御説明いたしますのでお申し出ください。
次に、前回の専門委員会以降に新たに専任されました委員の御紹介をいたします。なお、参考資料が付いておりますが、こちらが最新の委員名簿となっております。今般、労働代表委員として、日本建設産業職員労働組合協議会政策企画局次長髙島綾香委員が新たに選出されております。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、髙島委員より一言御挨拶をお願いできればと思います。
○髙島委員 日本建設労働組合から来ました髙島と申します。出身は西松建設で、ゼネコンのホワイトカラー層の産別で、そちらで働き方改革に関連する取組について活動しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○大橋補佐 ありがとうございました。続いて、本日の委員の出欠状況です。委員全員の方に御出席いただいております。なお、大橋委員におかれましては、御都合により14時45分項に退席される予定とのことです。それでは、以後の進行については、中窪座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○中窪座長 中窪です。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、早速、議事に入ります。本日は議事次第にありますように、議題は2つです。1つ目が「建設業の現状と課題」、2つ目は「その他」です。前回は第十次建設雇用改善計画の策定に向けて、策定スケジュールや建設労働者を取り巻く状況について事務局より説明を受けたところですが、今回から「建設業の現状と課題」と題して、関係機関及び団体へのヒアリングを行います。
本日は、行政及び労働者団体からヒアリングを予定しておりますが、まずはじめに、行政機関として国土交通省不動産・建設経済局建設市場整備課の奥原課長及び同局国際市場課の中見課長よりヒアリングを行いたいと思います。30分程度、御説明いただいた後、各委員からの質問を30分を目安に行います。なお、質疑の後、国土交通省のお二人については御退席いただくことになっております。
その後、労働者団体として全建総連の小林委員、日建協の髙島委員、基幹労連の森山委員の3名よりヒアリングを行いたいと思います。これらについては、3団体の説明を各10分ずつ行っていただき、質問についても3団体まとめて進めたいと思います。それでは、国土交通省のヒアリングから始めます。御説明の方は、自席から御説明をお願いいたします。
○奥原課長(国土交通省) ただいま御紹介いただきました国土交通省不動産・建設経済局建設市場整備課長の奥原です。本日はよろしくお願いいたします。では、着座にて御説明させていただきます。
それでは、資料1「建設産業の担い手の確保・育成について」を御覧ください。一番最初のページの一番上に青い帯に白い文字で「建設産業の役割と課題」とあります。皆様、御承知の方も多いと思いますが、昨今、非常に自然災害が多くなってきているところであり、建設産業に携わられている方々は多忙を極めている状態です。その下に役割とありますが、建設産業は、地域のインフラの整備やメンテナンス等の担い手であると同時に、地域経済の雇用を支え、さらに災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う地域の守り手として国民の生活や社会経済を支える大きな役割になってきているということです。
下の写真のとおり、左側の災害の応急対応であれば、東日本大震災や熊本地震等々の事例がございます。加えて、高度成長期を中心として社会資本整備が着々と進められてきましたが、それが長年の時間経過に伴い、老朽化が進み、従前よりも非常に大きな課題となっているところです。下の矢印を見ていただきますと、現下の建設産業を取り巻く環境として、近年の建設投資の急激な減少や競争の激化等によって、建設企業の経営を取り巻く環境の悪化と現場の技能労働者の減少、若手入職者の減少といった構造的な課題に直面しているところです。中長期的なインフラの品質確保のため、地域づくりの担い手として持続可能な建設産業の構築が課題となっているところです。
これから、数字を用いて概況を御説明したいと思います。次のページは「建設投資、許可業者数及び就業者数の推移」です。上の箱を見ていただきますと、建設投資額はピーク時の1992年の84兆円が、2011年度の42兆円まで一度落ち込みました。その後、増加には転じてきておりますが、ピーク時から約33%減という状況です。
一方、建設業者数、建設業就業者数は下の2つの○に記載がございます。現在、建設業者数は約47万業者でピーク時から21%減、就業者数は499万人で約27%減となっているところです。かつては約600万人、約60万業者という数を誇った建設業ですが、それぞれ減となっております。
続いて、次のページは「建設業就業者の現状」です。技能者等の推移は左上の緑の箱です。先ほど申し上げたとおり、一番上の○の建設業就業者数は、685万人から現在は499万人となっております。技術者と技能者、事務職も含めたグラフがこの下のグラフです。概ね、技術者に対して技能者は約10倍程度の数字になっていることを御認識ください。それから、右側は就業者数の高齢化の進行です。建設業就業者数は、55歳以上が約35%、29歳以下が約11%と高齢化が進行している状況です。この折れ線グラフを見ていただきますと、真ん中の▲が全産業ですが、それに比べて建設業はそれぞれ高齢者割合が増加し、若年労働者割合が減少しているのが見てとれると思います。
次のページは、建設業への定着の状況です。離職の状況は、こちらには3年目までの離職率を示しております。上の箱を見ていただきますと、建設業離職率は他産業よりも高く、年々改善しているものの、特に、1年目の割合が高くなっており、建設業への定着が大きな課題となっているところです。大きなグラフ、平成28年3月卒を見ていただきますと、青色が引き続き就労している者、一番左が建設業で、よく比較されるのが製造業です。それぞれ高卒・大卒で書いております。製造業と比較しますと、1年目、2年目、3年目と徐々に離職の数は、当然、少なくなってくるものの、製造業と比べて高い割合で離職が進んでいることがわかります。
次のページは、労働時間、労働日数の関係です。上の箱の中の年間の総実労働時間については、他産業と比べて約2割程度長く、また、10年ほど前と比べても建設業はほぼ横這いで、大幅な改善は見られていない状況です。
次の6ページは、建設業の男性全労働者等の年間賃金支給額の推移です。凡例を御覧ください。黄色の折れ線グラフが建設業の男性生産労働者、赤色が建設業の男性全労働者となっています。全労働者については、例えば、スーパーゼネコンなどが過去最高益が続々と出ている状況の中で、非常に大きな伸びが示されているところです。また、建築関係でいえば、御承知のとおりオリンピック需要というものが牽引してきたのではないか、また、国土強靱化のための支出が反映の要素として考えられるところです。
しかしながら、御案内のとおりコロナ禍の中で見通しが不透明になってきているところです。一方で、黄色の男性生産労働者については、その1つ上の青色の四角の折れ線グラフ、製造業の男性生産労働者と比べても、まだ賃金が下回っているということで、年々近づいてきてはいる状況ではありますが、まだ低い状態が続いているところです。
次のページは、これから少しデータではなく、周辺の制度改正の状況に触れたいと思います。新・担い手3法と言われておりますが、公共工事品質確保法、建設業法、公共工事入札契約適正化法が一体として改正されたところです。平成26年、これらの法律については一度改正がされています。そのときには、ダンピングが非常に大きな課題の1つとして挙げられており、そのダンピング対策を徹底することが主な目的となっておりました。
今回は、新たな課題に対応し、その5年間の成果をさらに充実させるということで、左上に「新たな課題・引き続き取り組むべき課題」とありますが、冒頭に触れました相次ぐ災害を受け、地域の守り手としての建設産業への期待、働き方改革の促進による長時間労働の是正、i-Constructionの推進等による生産性の向上といった新たな課題やダンピング対策等々の成果を反映させていくということで、下のオレンジと青色のところで制度改正がなされているところです。
オレンジ色は、公共工事品確法の改正法が議員立法で成立されました。青色は建設業法・入契法で政府提出の改正法です。それぞれ主に3つ、働き方改革、生産性の向上、災害時の緊急対応強化や持続可能な事業環境の確保という大きな観点からの改正が行われたところです。これに加え、公共工事品確法で、少し右側にはみ出ているところがありますが、工事だけでなく、調査・設計も、もともと概念としては入っておりましたが、明確に、法律上、文言として位置付けされたということです。働き方改革で見ますと、オレンジ色の下に発注者の責務とありますが、適正な工期の設定や施工時期の平準化が発注者の責務として挙げられております。
同じく、建設業関係で見ますと、青色でこちらも工期の適正化ということで、中央建設業審議会が、工期に関する基準を作成・勧告するという規定が盛り込まれたところです。また、同じく青色の2つ目の太い文字は、現場の処遇改善で社会保険の加入について、これまで取り組んでいたところではありますが、建設業の許可の要件化がされたところです。したがいまして、企業レベルでいいますと、5年に1回の許可更新の時期が5年後には一巡いたしますので、社会保険の加入がしっかりと取り組まれていくことになります。
真ん中の生産性向上への取組は、特に、青色のところは技術者に関する規制についてです。監理技術者については、一定程度の要件の下で兼任を容認する規制緩和が行われたところです。災害時の緊急対応の発注者の責務について、まず1つ目は、緊急性に応じた随意契約・指名競争入札等の適切な選択をしていく。これは実は、自治体レベルでおそらく十分にといいますか、これまでどおりやられたところですが、国の発注については、特に、国土交通省の直轄工事では一般競争入札を追求し、また、総合評価を大きく取り入れたところです。それにとらわれることなく、緊急時には随意契約・指名競争を活用していく。また、災害協定も実際に国や自治体レベルで行われているところですので、これを活用していくということです。
さらに、労災補償に必要な費用の予定価格への反映や見積り徴収の活用をしていく。それから、建設業の許可の関係で申し上げますと、同じように、災害時における建設業団体の責務の追加として、建設業者と地方公共団体等との連携を努力義務化していく。また、一定の合理化として、経営業務を管理する責任者について、必置規制ではなく、一定の合理化を図っていく。こういった改正が行われたところです。
8ページは、今、私どもの課で最重要事項となっております「建設キャリアアップシステム」の構築です。「建設キャリアアップシステム」というのは、枠囲いの中の1行目にあるとおり、技能者の資格、社会保険の加入状況、現場の就業履歴等を業界横断的に登録・蓄積する仕組みです。
次の○は、若い世代にキャリアパスと処遇の見通しを示す。キャリアパスというのは、8ページの右下にレベル分けとありますが、技能者の技能レベルに応じてレベル1~4までレベルを分けていき、資格や就業履歴によって、どのレベルに該当するのかレベル判定をし、技能者の能力を評価していこうというシステムです。それぞれのレベル2~4について、処遇の見通しを各業界でしていただこうと、賃金の目安ですね、この能力評価と賃金の目安を示すことによって若い世代に見通しを立てていただけるようにしようということです。
3行目の真ん中です。技能と経験に応じて実際に給与を引き上げていく。将来にわたり、建設業の担い手を確保し、ひいては、建設産業全体の価格交渉力を向上させていこうと、ダンピングの防止にも役立てていこうというものです。
「建設キャリアアップシステム」の概要は、下にもありますとおり、先ほど簡単に触れましたが、左側の赤色のところに「事業者情報」「技能者情報」「現場情報」の3つがあります。これをそれぞれ登録していただくというものです。特に、「技能者情報」の本人情報、保有資格、社会保険の加入状況、上の2つがキャリアアップに必要な情報になってくるということです。
この情報を一度登録していただいた上で、工事現場にカードリーダーを置いております。カードリーダーにカードをタッチしていただくと就業履歴、すなわち、この現場にどのような立場、どのような職種で入ったのかが客観的に蓄積されていくシステムです。この就業履歴を蓄積し、先ほど触れましたレベル1、2、3、4と、レベルアップしていこうというものです。レベル1については、下にあるとおり一番最初の方で見習いです。2、3、4と上がっていくに従い、経験年数や立場、班長経験、職長経験が上がるにつれてレベルアップもできるということです。
9ページでもう少し詳しく御説明します。説明が重複して恐縮ですが、1つ目の○にありますとおり、就業履歴や保有資格がキャリアアップシステムに蓄積されます。下のオレンジ色の帯が3つありますが、オレンジ色左側の一番上の帯の下に円筒型の図があります。キャリアアップシステムは、一番上の何日働いたのかという就業日数、真ん中の保有資格、3つ目の立場、つまり、どのような立場で働いたのかが蓄積されていく。ここまでがキャリアアップシステムで蓄積する情報です。緑の矢印を見ていただきますと、能力評価基準というものを策定し、前ページにも同じような図がありましたが、レベル分けをしていくと、経験を積めばレベルアップしていけるということです。
10ページは「専門工事企業の施工能力の見える化」です。1行目にありますとおり、専門工事企業の施工能力の見える化については、その能力の高い専門工事企業が適正に評価され、選ばれる環境が整備されることによって、業界に対する安心感が熟成されるための仕組みを構築するために行うものです。先ほど申し上げました就業履歴をどんどん蓄積していく建設キャリアアップシステムと技能者の能力評価レベル判定システムと連携した形で行い、企業は、専門工事企業の施工能力の見える化を図っていこうというものです。
下の青色と赤色の表を御覧ください。繰り返しで恐縮ですが、青色のところには技能者情報や事業者情報が蓄積されており、これを用いた項目として、赤色の箱の基礎情報、施工能力、コンプライアンスに分け、共通評価内容、選択評価内容を作成していこうと思っております。基礎情報については、許可の有無や年数、財務状況等、社員数や団体加入状況。施工能力については、建設技能者の人数、キャリアアップカードの保有数やそのレベル、1~4とありましたが、又は施工実績等を評価項目と位置付けているところです。
右にあるとおり、☆1~4で評価していく予定です。この施工能力の見える化については、現在、まだ検討中で、来年4月から運用開始予定です。ということで、情報を蓄積し、評価し、それから企業の施工能力評価にも反映していくのがキャリアアップシステムの大きな取組です。
11ページは、「建設キャリアアップシステム普及・活用に向けた官民施策パッケージ」です。こうした取組は、今、申し上げたようなキャリアアップシステムの取組を加速していこうということで、3つほど書いてあります。CCUSというのは、建設キャリアアップシステムのことですが、こちらへの完全移行をしていくと、今まで建退共は、証紙、切手みたいなものを貼って、それを最終的に退職金を頂くときに提出するという極めてアナログの世界でしたが、こちらの電子化を進めていくと、それをCCUSの活用と併せてやっていこうというものです。
社会保険の加入の確認についても、CCUSのデータの中に蓄積されていきますので、こちらによって確認していこうというものです。Ⅲは国の直轄工事においても、このCCUSの活用を義務化するモデル工事を開始したところです。こういったことと、さらに、オレンジ色のところにありますとおり、賃金の目安を設定したり、職長手当等のマネジメントフィーの見積りへの反映をやっていこうと思っております。
また、情報が客観的に蓄積されていくことになりますので、ピンク色のところにありますとおり、CCUSの情報セキュリティ強化や人材の引抜き防止といったこと等々も行っていくということです。ここまでが建設キャリアアップシステムの話です。
12ページは、公共工事の設計労務単価についてです。全国で公共工事について、労働市場での実勢価格を適切・迅速に反映していくということで、47都道府県・51職種別に単価を設定しているところです。平成25年度からの棒グラフを見ていただきますと、必要な法定福利相当額を反映し、8年連続で上昇しております。
次のページは、「社会保険加入状況調査結果について」です。この円グラフを見ていただくと一目瞭然です。企業別については、ほぼ、加入が進んでいるということがわかります。労働者別については、1つの企業で加入していたとしても、その中の労働者に偽装請負が行われると、必然的に、この数字が落ちてくるということで、非常に大きな改善は進んでいるところですが、さらなる改善を進めていく必要があるということです。
それから、14ページについて、改正建設業法の施行、先ほど、新・担い手3法を申し上げましたが、その中でも社会保険加入について、許可の要件化をされたと申し上げたと思いますが、これに加え、5.6.に、労働者単位で社会保険加入の確認を強化していこうということで、官民施策パッケージのところでも少触れましたが、キャリアアップシステムによって作業員名簿で社会保険加入の確認ができるということです。また、一人親方対策として、今、一人親方に関する検討会を立ち上げて、令和2年度中に中間取りまとめを行おうと思っているところです。
15ページは、「戦略的広報の展開]です。一番上の箱にありますとおり、建設産業に対する一般の方々のイメージアップ、また、若年・女性に対して効果的な情報発進・広報活動が必要ということで、関係者が一体となった取組として、平成25年8月に建設産業戦略的広報推進協議会を立ち上げたところです。紫色のところは情報発信の強化として、就職支援のコンテンツの拡充や女性活躍応援コンテンツの拡充といったことをやっております。
また、広報イベントの推進として、学校に実際に行って、出前授業をする学校キャラバン、下の中頃で現場見学会の開催、それから、「子ども霞が関見学デー」に従前より、ずっと参加しております。お子様については、体験することが非常に魅力あるコンテンツとして評価を受けているところです。
16ページは、女性の定着促進に向けた建設産業行動計画を策定しております。こちらは男性も含めて定着というところが非常に大きな課題というのは、幾つかのデータでお示ししたところですが、女性については、特に、その点が挙げられるということで、一番上の箱の4行目の真ん中にあります「働き続けられるための環境整備」を中心に女性の定着促進に向けた行動計画を令和2年1月に策定したところです。オレンジ色、青色、緑色の枠がありますが、オレンジ色が定着です。目標として離職者数の割合を令和6年度まで、計画策定から5年後ですが、前年度比で減少させていこうということです。取組の主な例としては、一番目にもありますとおり、社内広報などで宣言を見える化していく、一般的に行われている取組が進んでおりますテレワークやフレックスタイムといったものは、女性の定着促進により一層活用できるのではないか。快適トイレや更衣室などの導入促進。これは極めて大きな取組だと思っております。
また、青色の選択されるという観点ですが、入職者に占める女性の割合が、令和6年度までに前年度比で増加させていこうということで、こちらも同じく、一番目にPR活動、現場の見学会や出前講座の実施。2.と4.にありますとおり、好事例を集めて情報発信をしていく。さらに、3.にありますとおり、i-Constructionの取組は、力が相対的には弱い女性にもi-Constructionが大きな力になっていくということです。
緑色の取組の継続促進ということで、〇2にありますとおり、令和6年度までに都道府県単位で活動している団体のネットワーク、「建設産業女性定着支援ネットワーク]への加入を全ての都道府県で目指すこととしております。
最後になりますが、17、18ページで、「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」です。これは平成28年12月に公布されたところですが、こちらの法律に基づく18ページの計画の改訂時期になっております。第3の一番下の5.に、策定後、2~3年で調査等を行った上で本基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを速やかに変更するということで、現在、計画の変更作業に着手しているところです。具体的には、業界団体の皆様に、これから御意見を伺っていこうというところです。私からは以上です。
○中見課長(国土交通省) 引き続きまして、簡単に建設業における外国人受入れについて御説明をさせていただきます。先ほど御説明させていただいておりますとおり、御高齢の労働者の方の大量離職などに伴い、建設業においては人手不足の問題が顕在化しつつあるというような状況にあります。それに対して当然ながら若者、女性も含めた国内人材の確保、働き方改革なども含めた生産性向上の取組を進めていくのですが、それでもなお足りない部分については、外国人も含めて担い手になっていただこうということで、取組を進めているところです。御承知のとおり、外国人受入れに関しては、建設業に限らず、もともと技能実習制度がありまして、こちらは国際貢献、技術移転などを主目的にした制度になっています。
そういった中で、右下になりますが、2015年度から、外国人建設就労者受入事業を新しく始めています。こちらはオリンピックを想定した建設業の人材需要の高まりに対応するために、時限的な措置として、2022年度まで外国人の就労者を受け入れるということで、技能実習から引き続いて、建設業で従事していただけるといった制度になっています。
それに加え、左下の部分ですが、昨年度から建設業も含む全14分野ですが、特定技能の制度が設けられたということです。建設業に関しては、この特定技能の制度について、後ほど御説明させていただきますが、ある意味特別な基準を設けさせていただいております。背景にもともと技能実習制度の課題があり、端的に申し上げますと、他の分野と比べまして、失踪される方の割合が非常に高かったという反省があります。そういった部分について、特定技能制度は、導入に当たり何らかの対応が必要だろうということで、特別な基準を設けています。失踪の割合が多かった背景としては、我々が考えているのは、建設業は現場に応じて就労する場所が異なるというような特殊な事情、また季節によって忙しい時期と仕事がない時期の差が激しいので、暇な時期にやはり他の仕事をしたくなってしまうという理由が働くというようなこと、さらに、受入先が主に中堅、中小の会社が多く、しっかりとした管理体制を作るのがなかなか難しいというような事情もあったと考えておりますので、そこのところについて本格的な担い手になっていただくために、どのように対応すべきかというのが大きな課題だと認識しています。現状は主にこの3つの制度で外国人を受け入れているということです。
次ページです。実績ですが、先ほど申し上げました技能実習については、今のところはかなり多数を占めていまして、2019年度の数字で約6万5,000人となっていまして、オリンピックの建設需要に対応する就労者については5,000人以上。2019年度から始まりました特定技能外国人の就労については、2019年度末時点で267人ですが、6月の最新の数字ですと374人で着実に増えているということです。我々としては、なるべく特定技能の外国人の方を増やしていきたいということで取組を進めているところです。
次ページです。先ほど申し上げた建設分野特有の制度をまとめたものですが、建設分野の特定技能の受入れに関しましては、受入れ先の企業の基準を設けまして、それに適合するかどうかを国土交通大臣の方で、認定するという手続きを取っています。その際に認定の基準として設けているのが〇1から〇7です。例えば先ほど御説明した外国人の方もキャリアアップといいますか、キャリアプランを立てていただくということで、キャリアアップシステムへの登録を義務づけたり、特定技能外国人受入事業実施法人、JACと申しますが、受入れの企業はそちらに御加入いただいて、適正な受入れを行うことを遵守していただくというような仕組みを設けています。後ほど御説明させていただきます。
あと〇4ですが、当然ではありますが、同じような技能を有する日本人と同じ額の賃金を支払っていただくということで、こちらについても受け入れるときにきちっと書類を出していただいて、チェックさせていただいているということです。
〇5は、外国人の方に事前にきちっと理解できるように説明する。〇6は日本に来られた後、自分にどういった権利があるのかということを、外国人の方に直接御説明するような講習を受講していただくことを義務付ける。
最後ですが、適正就労関連機関を設けており、こちらが巡回指導して、今申し上げたようなことがきちっと守られているかどうかを確認していくという仕組みも設けてており、こういった受入れの審査については、法務大臣の在留資格の審査と合わせて同時並行で、国交大臣の方でやっていくということです。
〇3の所で申し上げました、特定技能外国人受入事業実施法人についてですが、こちらは、業界団体が共同で設立した法人になります。趣旨としては、先ほど申し上げた失踪などの結果として、不法就労になることの未然の防止ということもありますが、一方で、低賃金や労働環境の悪い状況での就労ですとか、保険未加入ですとか、そういった外国人の受入れのやり方をしてしまうと、結果的に日本人を含めた建設業全体の就労者の就労状況のレベルが下がってしまうということもありますので、やはり受入れの所で、そこの所はきちっと担保していかなければいけないというようなこともあり、こういった組織で行い、そういったことを守らないブラック企業を排除していきたいというような趣旨で、取組を進めてきているところです。
こちらの法人では、外国人の方が転職などを希望する際のマッチングなどの仕事もしていくと考えています。
最後、まとめですが、今まで技能実習で3年から5年だったところを、例えば先ほどオリンピック需要に対する建設就労者受入事業で、プラス2、3年ということなのですが、今後特定技能に移行されたら、特定活動(建設就労者受入事業)から引き続いて就労することができますし、結果として10年ですとか、10数年ですとか、引き続き滞在していただけるということになります。将来的には特定技能2号というのも設ける予定にしています。こちらについては在留期間、更新の制限がなく、家族も連れて来ていただけるということで、本格的に日本の建設業の担い手になっていただくという道を開いたということになっています。
もう1つ付け加えますと、今回の特定技能の制度については、技能実習の経験がある外国人は、移行対象職種であれば試験免除でそのままこちらの就労の制度に入ることも可能となっています。今現状で、技能実習職種13職種22作業からの特定技能移行対象職種として設けています。説明は以上です。
○中窪座長 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御質問等がありましたら挙手をお願いいたします。
○大橋委員 途中で退席してしまうものですから、質問というかコメントいたします。御説明ありがとうございました。建設キャリアアップシステムに関しては、期待も大きいと思いますが、他方で事業者に対して、その必要性をしっかり宣伝していただかないといけないと思っているわけですが、このキャリアアップシステムは、ロードマップというか、どういうような感じで普及していくかという見通しを現時点でお持ちであれば教えていただければと思いました。
○奥原課長 ありがとうございます。資料の11ページにも少し触れさせていただきましたが、11ページに官民施策パッケージを今年の3月に講じています。こちらの箱の中にもありますとおり、令和5年度からの建設業退職金共済制度と、キャリアアップシステムの完全移行と連動して、あらゆる工事におけるキャリアアップシステムの完全実施をスケジュールとして掲げさせていただいています。令和5年度ということで、少し先の話にはなりますが、令和5年度を節目として、あらゆる工事でキャリアアップシステムの活用が1つの区切りになっていくのかなと思っています。
それから、必要性については、業界様の方でもメリットがなかなか見いだしにくいといった御指摘を受けております。元請け、下請け、技能労働者それぞれの立場でどこがメリットなのかなということが、実感で感じにくいという御指摘もいただいておりますので、そこは分かりやすい資料の作成や広報を引き続き推進していきたいと思っております。
○大橋委員 応援しておりますので、ありがとうございます。
○中窪座長 その他の方いかがでしょうか。
○小倉委員 全建総連の小倉です。非常に多岐にわたる課題について御説明いただきましてありがとうございます。正に今御説明をいただきましたが、建設産業、この間非常に大きく変化をしてきた、正にその変革の時代の中に今あるのだろうと思っております。こうした中、国交省としましても、建設雇用改善に資する様々な施策がこの間、展開をされてきたというように承知をしているわけですが、今回の改善計画の見直しに当たり、国土交通省として期待をしているもの、あるいは重視すべきと考えているものがもしありましたらお教えいただきたいと思っております。以上です。
○奥原課長 ありがとうございます。私の説明の中でも少し触れさせていただきました。建設業というのは御承知のとおり、国土作りの担い手であります。これであると同時に地域の経済の雇用を支えていると。さらには災害時に最前線で対応していくということで、地域の守り手として国民生活や社会経済を支えているという、非常に重要な役割を担っていただいているのではないかということです。
一方で、先ほど少しデータでもお示しさせていただきましたが、建設業は他産業を上回る高齢化が進行しているということで、近い将来、高齢者の大量離職ということで、担い手の減少が見込まれている。目の前に待ったなしの状況になっているということです。将来の建設業を支えていただく若年の入職者の確保が喫緊の課題ということです。今現状の雇用改善計画においては、女性の労働者の入職促進、社会保険適正加入、さらには外国人労働者についての対応といったことも記載をされておりますが、こちらについては引き続き推進していく必要があると思います。
その上で、今申し上げたような、若年の入職者の確保という観点で申し上げますと、説明の中にあります建設キャリアアップシステムが、将来の担い手の確保のために不可欠なものであると認識しています。このキャリアアップシステムについて、次の計画にしっかりと位置付けた上で、国土交通省、厚労省さん、関係業界の皆様と一丸となって、推進に向けて取り組んでいきたいと思っているところです。
○中窪座長 小倉委員よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、他の御質問ございますか。
○若鶴委員 日建連の若鶴でございます。幅広い御説明ありがとうございました。実はコロナの影響についてお伺いしたいのですが、いろいろ見通しはあるのですが、今後コロナの影響が、場合によってはリーマンショック以上になるのではないかというような話もちょっと出ております。リーマンのときに何が起きたかといいますと、要はコストと工期のダンピングみたいなものが起きて、業界の健全性がかなり損なわれたようなこともあった
かと思うのですが、そのようなことを防ぐために国交省様のほうで何か見通しとか方針みたいなものがありましたら教えていただきたいのですが、いかがでございましょうか。
○奥原課長 なかなか先の見通しをということで、私どもとしてもこれから丁寧に対応し、状況に応じてしっかりと取り組んでいくということが大事なのかなと。先ほど委員の御指摘にありましたとおり、ダンピングというのはおっしゃるとおり、リーマンショックのときに大きな問題になっていたと。この点については最初の担い手3法の中で、価格のダンピングについては、しっかりとした低入札価格調査のやり方とか、かなりそこは特に公共工事、特に国土交通省直轄工事においては、低入札価格調査というのは、極めて重大に重く受け止めておりますので、そこはしっかりとやっていくという、手続面も含めて整備されているところです。
それから、工期については、先の国会で公共工事の品確法や、建設業法の改正の中で、工期の基準について、中央建設業審議会のほうから勧告がありました。そこで新しく適正工期というものが、これまでとは大きな違いになってくると思います。しかしながら、工期についてはこれからといいますか、実際勧告を受けて運用していくという段階ですので、社会経済情勢の動きをしっかりと捉えながら、業界の皆様とも対話を丁寧にしていきながら、対応していくことが重要かなと思います。
○若鶴委員 ありがとうございました。
○中窪座長 その他いかがでしょうか。なければ私のほうから、外国人の特定技能についてですが、コロナの関係で出入国がかなり厳しくなっておりますが、その中で順調にというか、伸びていく見込みは立っているのでしょうか。
○中見課長 特定技能制度は、今数字でお示しした移行されている方々につきましては、基本的に技能実習から新しい就労制度に移行されている方ということになります。
外国から新たに入られる方については、確かにちょっと見通しが立たないところではありますが、そこはコロナの影響が終息したら、受け入れが進むように準備だけは進めていきたいと考えていまして、現につい最近ですが、ベトナムとの間で話もまとまったりしていますので、そういったことになりましたら、きちっと対応するように準備を進めていくというように考えております。
○中窪座長 ありがとうございます。その他いかがでしょうか。では、他にないようでしたら、ここで労働者団体のヒアリングに移りたいと思います。国土交通省のお二人はここで御退室いただきます。どうもありがとうございました。
それでは、全国建設労働組合総連合小林委員より御説明をお願いいたします。御説明は今と同様に自分のお席からお願いいたします。
○小林委員 皆さん、こんにちは。御紹介いただきました労働者団体の全建総連の小林と申します。資料2-1、2-2を今回提出させていただいております。まず資料2-1、2枚もののペーパーでありますが、御用意ください。私ども全建総連、全国建設労働組合総連合の概要ということで組織の概略の紹介でございます。最初3行ありますように「全建総連は」とありますが、建設労働者の処遇改善、正にこの委員会の大命題でありますが、それや社会的地位の向上を目的に1960年に結成され、現在47都道府県の中に53、県連・組合で組織をしております。
左の点線枠の中に「現況」とありますが、組合員数は約62万7,000人弱というところでございます。組織をしている対象者(組合員)でありますが、建設に携わる、いわゆる技能労働者・職人でございます。この中には、いわゆる事業主、先ほどお話がありました一人親方、また複数雇用する事業主もいらっしゃいます。そういった事業主も小・零細の私たちの規模になりますと、経営者でありながら現場に行って施工に携わる、そういった方々の集まりです。もちろん雇用されている方の、雇用組合員、国保組合、訓練校の運営にも一定携わっているというところでございます。
次のページです。「全建総連の主な取り組み」ということで、この後幾つかお話もいたしますけれども、社会的地位向上・処遇改善に向けて、左上のゴシックにあるような取組を行っています。一番右に写真が上から3枚続いておりますけれども、特に若年者の技能向上に向けて、全建総連独自で厚生労働省にも後援を頂いております全国青年技能競技大会といった大工技能の競技会を開催し、また、真ん中の写真は、地域の子供たちを対象に技能の楽しさといったものを経験してもらうイベントを開催しています。一番下は今も熊本で建設が続いております仮設住宅の建設につきましても、全建総連の大工組合員を就労者として建設を、この写真は長野ですけれども、現在も熊本で4年前の熊本地震の規模を超える戸数を現在進めているところでございます。全建総連の概要、2-1につきましては以上でございます。
2-2をお開きください。建設技能労働者の現状ということで、全建総連のこの取組の中で、今回の議論に関連するところの御紹介と、もう1つは第十次計画に向けて、全建総連としての一定の考え方を示したペーパーになります。1つ目は先ほどの、国交省の資料の中でもありますけれども、処遇の中でもとりわけ重要視される賃金の状況であります。全建総連の独自の調査ですけれども、2019年の調査の結果です。真ん中に数字の一覧がありますけれども、2015年からそれぞれ常用、一人親方という、全建総連はこの間こういう分け方でやっております。雇用されている技能労働者は常用の中に入ります。逆に言うと常用・手間請の中には雇用されている人もいれば、いわゆる専属外注という形で働いている方もいらっしゃいますので、ここを分けていくのは今後の課題ということで、今回の結果は両方が入っているというように御覧いただければと思います。
下のほうに特徴を書いておりますけれども、これは日額でありますが、増加傾向にこの間あります。特にこの2年間については、連続して増加しております。特に5年前、2015年から比較すると、大体どの階層でも5%前後上がっていると、このようになっております。ただ、ちょうど上の表の一番下に、先ほど国交省の資料でも紹介されました設計労務単価を参考までに載せておりますが、2015年からの伸び率16.2%に対して、私どもの組合員さんの賃金調査は、おおむね5%前後の伸びということで、設計労務単価の伸び率との乖離が大きくなっているという状況が見て取れるという結果です。
2ページを御覧いただきたいのですけれども、今度は年収です。年収につきまして2014年から、これは2018年までの結果になります。直近が2018年になりますが、この年収につきましても、およそ5年前の2014年から比較すると、各階層でおよそ1割程度増加しているわけですけれども、一番下の3つ目のポツの2行目にありますように、製造業男性労働者の水準よりは、直近で言っても10万円以上低い。また全産業の男性労働者と比較しても17%程度低い。増加傾向にあるけれども、いまだに低い状況というのは否めないというところです。
3ページです。この年収につきまして年収階層別に分けたものです。〇1〇2〇3とありますが、〇1は全国の平均です。一番最多帯を黄色のマーカーを引いておりますけれども、最も多いのが300万円から400万円というところ、これがほぼ3分の1を占めている手間請・常用、一人親方においても4分の1はこの金額帯が占めているというところです。首都圏と首都圏以外を〇2〇3で分けておりますけれども、首都圏でも400~500万円が30%、一人親方でも20%と最も多いわけですが、首都圏以外になりますと常用・手間請では300万~400万円というところが3分の1以上と、一人親方でも300万から400万円が30%弱、首都圏と首都圏以外の所でも大きな開きが出ております。
特に首都圏以外の所でいきますと、4ページの一番上に500万円未満8割、400万円未満になりますと、400万円未満も常用・手間請で半数以上、一人親方でも半数弱という状況に賃金はなっているというところです。賃金のピークにつきましても他産業に比べると低い金額でピークを迎えて、その後伸びが見られないというところが見て取れるという結果です。
5ページにつきましては、先ほど国交省からのお話でもありました資料に関連するものを付けております。5ページの参考資料の上に、全建総連も議論に携わりましたCCUSを介して、このレベルごとの目標年収、これを業界として設定して実現を求めていこうというところで、全建総連も建築大工技能者の部分で他団体とともに議論し、一定の金額を目標として示させていただいたところです。
6ページです。大きな2番ですが、「技能労働者育成の取り組みの状況」です。(1)は学校におけるキャリア教育ということで、この間全建総連は30年ほどにわたって学校の教育現場と連動・連携して学校教育の一環として建設技能の重要性や魅力を伝える取組を実施してきております。2018年度が直近の結果ですけれども、1年間で464校、各地域の組合、また組合員が実施して、2万7,535人の生徒の方々に指導を行ったところです。この間の累計でいきますと20万人以上の小・中・高校生に対して建設技能の重要性、魅力、ものづくりの楽しさ等を伝えてきたところです。また学校関係者からは高い評価を頂いていると認識しております。
(2)ですが、全建総連の地元の各県連組合、認定職業訓練校の運営に直接的又は間接的に携わって運営を盛り上げているところです。ちょうど2段落目、全建総連関係の認定職業訓練校の数は現在79校、そのうち10校は今は休校という状況です。訓練生の数は749人で、主に木造建築が多いというところです。この749人なのですけれども、この間減少しております。3年連続の減少で、最も少ない738人の次に少ない状況に今なっております。この段落の下から3行目ですけれども、訓練生の人数のピークは1996年、3,254人ということですので、直近の749人は7割以上減少している。こういう状況の中で訓練校運営も極めて厳しい状況が慢性化しているところです。
そういう中で次の段落、「これまで」というくだりがありますけれども、訓練校の数そのものも2001年の119校をピークに減少している。先ほど全建総連を御紹介差し上げる資料の中には訓練校の数80とありますけれども、これが残念ながら1校廃校しているというのが直近の数字です。
3番目です。資格取得に向けた団体としての直接支援ということで、全建総連として組合員に対して一定の資格を取得した場合に報奨金という形で支援を差し上げようと、こういう取組を2018年度から行っております。2行目からですけれども、取得者が期待される役割などによって対象資格を給付額の異なる3つの区分に分けて、最大でいうと1万円。厳密に言うと1万円、それから6,000円、3,000円というふうに3つの区分に分けているわけですけれども、技能士、登録基幹技能者、職業訓練指導員免許、建築士、施工管理技士、作業主任者等々、幅広く対象として2019年度は3,460件、2,200万円の給付をしたところです。内訳については7ページにかけて記載させていただいております。
7ページのこの章の下から2段落目、4行目です。2020年3月に先ほども御紹介があったキャリアアップの整備がされたことから、来年度からは35職種のレベル3以上の資格は全てこの報奨金の対象にしていこうということで、整備を今、行っているところです。全建総連はこの資格取得報奨金を通じて技能の見える化としてのCCUS登録、それから能力評価を推奨・推進して、レベルに応じた職業の実現を目指していきたいと思っております。
そして最後ですが、大きな3番、「第10次計画策定に向けて」ということで、全建総連の、この10次計画に向けた基本的な考え方をお示ししました。要点はゴシックの3行にありますように、第10次計画では第9次計画による施策をさらに前進させていくとともに、新たな仕組みであるCCUS及びこのCCUSに関連する仕組みを活用する技能者、事業者を強力に支援する方向性というのを10次計画の中で是非打ち出していただきたいということです。下に文章がありますが、1段落目、2段落目は現状認識ですのでお目通しいただけますでしょうか。
上から7行目から2019年度に建設キャリアアップシステムが、また2020年度からは能力評価、さらには2021年度からは見える化が始まっていくと。そして2021年度からは、ここに書いておりませんが、能力評価につきましても全ての技能者が能力評価が受けられると、こういう環境が整うというように国交省は今、議論を進めているというところです。正にこの10次計画は、このCCUSを軸としたソフトインフラが出そろうと、こういう中での第10次計画になろうかと思います。
最後の段落、下から7行目からですけれども、CCUSを軸に連動するこれらの新たな仕組みは、建設技能労働者の処遇改善、建設業の未来を担う若年層の入職促進・確保を可能とする仕組みであり、第10次計画における5年間は、9次計画の内容を基本としながらも、建設技能労働者の処遇改善を実現するため、CCUS登録の促進はもちろんのこと、仕組みの重要な要素である資格取得や技能向上、これに向けた認定職業訓練やレベルに応じた処遇改善を行った事業主への支援、CCUSを活用する技能者、事業者、これらを支援する内容とすべきであると考えております。これらの施策に必要な財源についてもしっかりと確保していく必要があるだろうと、このように全建総連では第10次計画の策定に向けて考えております。以上です。
○中窪座長 ありがとうございました。次に日本建設産業職員労働組合協議会、髙島委員より御説明お願いいたします。
○髙島委員 日建協の髙島と申します。発言させていただきます。資料をたくさん付けてしまったのですけれども、資料3-1から3-6がございますが、まずは日建協の説明を少しさせていただきます。資料3-1を御覧いただきたいと思います。日建協は1954年12月に結成されました、ゼネコンのホワイトカラー最大の産業組織となっております。現在は34の加盟組合、約3万8,000人の組合員で構成されております。加盟組合については真ん中のほうに一覧がございますので御覧いただきたいと思います。
活動の役割なのですけれども、下のほうにイメージ図があるのですが、行政、発注者、又は日建連、電気などの業界団体、メディアなどと、又は連合とも友好加盟組織としても産業内外の労働団体と情報交換や意見交換を行って、産業の魅力向上又は労働環境の改善に取り組んでいるところでございます。
続きまして資料3-4です。時短アンケートの概要というものがあるのですけれども、今日は手元にお配りさせてもらったのですが、冊子化しております。是非手に取ってもらいたいと思いまして配らせてもらいました。お荷物を増やしてしまって申し訳ございません。こちらでもよろしいですし、タブレットのほうの資料でもよろしいのですけれども、見ていただきたいと思います。こちらの調査は1972年から始まりまして、毎年行っておるものです。昨年度は3万7,000人のうち約1,000人を対象に行いまして、1万5,000人からの回答を頂きました。
こちらの1ページ目になりますが、「所定外労働時間の推移」という所になります。2019年の調査では日建協平均が43.7時間となりまして、全ての職種で減少しましたが、外勤建築は61.7時間、外勤土木は59.5時間と、依然として高い数字のままでした。
また、それにつきまして5ページ、図の11になります。「休日取得の日数について」という表になるのですけれども、19年11月の休日は10日ありましたが、全体の休日取得日数は8.6日です。内勤が9.6日、外勤が7.7日、内勤がほぼ暦どおりに休日を取得できているのに対して、外勤は2日ほど休日出勤をしている状況になりました。
続きまして真ん中のほうの図12になります。こちらは弊社設定での「休日取得について」になりますが、4週8閉所を設定している作業所では、9.21日取得しているのに対して、4週3閉所以下になりますと、6.4日しか取得できていないという状況でした。1か月の休日の中で2.8日の違いがありまして、特に土曜日だけでも2日の違いがありました。外勤休日取得には作業所の閉所設定が大きく影響しているということになります。
続きまして一番下の図13になりますが、土曜閉所を増やしていく上でも問題点ということでアンケートを取りましたところ、「短工期発注による工程の厳しさ」が圧倒的に多く、また、「突発事態での工程調整ができなくなること」、「発注者の対応が遅いことによる工程上の遅れ」、「発注者の理解」といった発注者に起因する問題も多く挙がりました。作業所の閉所を進めていく上では適正な工期設定など、発注者の理解が不可欠であると考えております。
続きまして7ページを御覧いただきたいと思います。こちらは有休取得の状況についてのページになりますが、図16、上のほうの図になります。有休取得の昨年5日間の取得義務がなされたことによりまして、1972年に調査を始めて以来、外勤で初めて5日を超えました。しかし、業界全体の平均と比較しても、まだ9日の差があります。休むことに対してためらいを感じるかどうかと聞いたのは、8ページの図19になりますが、こちらは内勤ではためらいを感じなくなるほど休日の取得日数が増えますが、外勤ではためらいを感じても感じなくても、休日の取得日数に大きな変化はありませんでした。
また、図の20になりますが、平日に休むうえで何が必要かという設問に対しては、内・外勤ともに「休日を取りやすい職場の雰囲気」が一番多く選択されました。また外勤では2番目に多かったものとして「職場の人員の増加」ということになりまして、外勤ではとりわけ人手が足りない状況が窺えます。休みやすい環境を作るためには職場の環境整備と、それから職場の雰囲気づくりが必要であると考えております。
続きまして10ページ、図23になります。建設産業に魅力を感じる割合についてのアンケートの結果になりますが、魅力を感じるか否かにかかわらず、「建設したものが後生に残る」と回答しております。また、魅力を感じない組合員は「特にない」といった割合が、また多くなっております。
図24になりますが、魅力を感じない点は何ですかと聞きましたところ、やはり「労働時間が長い」というものが最も多く選択されました。また、下のほうに水色とピンクで自由意見を出しているのですけれども、こちらは魅力を感じない点を聞いたところ、魅力を感じる人、感じない人で労働時間に対する捉え方が大きく異なりまして、魅力を感じていない組合員からは、長時間労働で休日が取得できないことに関する意見が多く、また魅力を感じるという組合員からは、それらの状況が改善しているので魅力を感じますという意見が多く挙がっております。
続きまして11ページになります。図25です。転職への意識になりますが、年代別で見ますと、50歳以上では8割の組合員が定年まで働きたいと回答しているのに対しまして、29歳以下では4割にまで減少しております。
また12ページにいきまして、図27になりますが、転職したい理由なのですけれども、こちらでもやはり労働時間が長く休日が取れないというものが多く選択されました。以上のことから、今働いている私たちにとっても魅力的な産業であることは、担い手確保や建設産業の発展につながると考えております。また、そのためには長時間労働の削減、休日の取得が喫緊の課題であると切に感じております。
続きまして資料3-6です。2019年度「日建協出前講座アンケート結果報告」になります。こちらは2006年から活動しております建築土木を学ぶ大学生を対象に行っておりまして、ゼネコンの魅力ですとか若手職員のリアルな1日などを伝えている活動になります。
こちらの3ページを御覧いただきたいと思います。上の図です。ゼネコンに対するイメージを聞いた結果になっているのですけれども、図の上の表では社会貢献度が高い、必要な産業であり安定性が高いというものが挙がっておりますが、図の下のほう、「残業が少ないとは思わない」ですとか、「残業が多いと思う」、「休みが取れないと思う」、「異動・転勤が多いと思う」など、労働環境に対するイメージがマイナスな印象でした。
続きまして4ページの下のほうの折れ線グラフです。こちらは学生の希望就職先を聞いたところ、昨年まではずっとゼネコンが1位だったのですけれども、2位に転落するという結果になりました。
ゼネコンを選ばなかった理由を聞いた結果が9ページに記載されております。やはりこちらでも「労働時間が長そう」といった意見が多く挙がっております。以上のことからも、やはり長時間労働の削減、又は休日取得、労働環境の改善が急務であると考えております。
そこで我々日建協が国土交通省に対して提言活動を行っておりまして、そこでも週休2日の取得などについての提言を今年、行いました。その資料が次の資料3-2、「日建協2020年政策提言書」になります。こちらは今紹介した時間アンケートの他に個人に取っているアンケートになるのですけれども、作業者単位で回答してもらっている作業者アンケートというものもございまして、そちらを基に作成したものになっております。
2ページ目を御覧いただきたいと思います。「週休2日を実現するために」という項目になります。上のグラフは作業者アンケートで週休2日(原則土曜閉所)を実現するために何が必要かという設問に対しての回答になりますが、こちらでは「適正な工期設定での発注」が最も多く回答されました。また、その下のグラフ、2024年までに週休2日が実現すると思いますかと聞いた回答ですが、組合員の66.8%が実現しないと考えていることになりました。
以上のことから、週休2日又は長時間労働の是正について4つの提言を行いました。3ページ目になります。週休2日が実現しないと思う理由において、「工期設定に土日閉所の概念がいまだに反映されていないため」といった声が多く挙がりました。そこで提言1で改正建設業法で規制する「著しく短い工期での請負契約の締結禁止」について、中建審が策定する工期の基準において、土日閉所を原則とした基準設定を明示し、運用の設定を訴えました。
また4ページ目、週休2日は実現しないと思う理由において、「受注者の責によらない着工遅れや荒天、施工上の突発的な課題に対応する適切な工期の見直しがされていないため」といった声が多く挙がりました。そこで提言2として、建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインに規定されたとおり、工期の見直しなど運用の徹底と民間工事への波及を訴えました。
続きまして5ページになります。週休2日は実現しないと思う理由において、「完全土曜閉所は日給制技能労働者の収入減につながり、結果的に技能労働者が減り産業が立ち行かなくなるため」といった声が多く挙がりました。そこで提言3として、「原則すべての公共工事を週休2日工事と位置付け、土日閉所を前提とした日給制技能労働者等の処遇水準の確保を見据えた労務費、その他必要経費の見直し」を行っていただくように伝えました。
次に6ページになりますが、こちらは主に建築のアンケートから挙がってきた意見ですが、提言4は「ガイドラインの趣旨にのっとり、圀、自治体等の行政機関に年度繰り越し制度の適切な運用を促進し、補助金事業の事業主へ理解促進に努めていただきたいと訴えました。長時間労働の是正、週休2日の取得については以上になります。
また1つ、最後に22ページになるのですけれども、帰宅旅費の非課税化というものがございまして、こちらは本日、黄色いリーフレットを配らせてもらったのですけれども、2014年から取り組んでいる活動になります。こちらは建設産業の組合員、既婚者のうち27.9%、特に外勤にフォーカスしますと41.5%が単身赴任をしている状況があります。多くの会社で帰宅旅費を支給していますが、現行の税制度では会社が支給する帰宅旅費は所得税、地方税の課税対象となりまして、単身赴任している人としていない人を比較しますと、手取り収入に影響があります。週休2日の取組が進む中、週末は自宅に帰って家族と過ごしたいと思っても、帰宅旅費出費に伴う税負担が生活を圧迫します。また、建設産業は現地一品生産という特性上、ダムやトンネル工事など自宅から通うことが困難な作業所に従事する組合員や監理技術者の資格要件や実務経験を有する組合員が特定の案件に配置配されるために、単身赴任をせざるを得ない状況というものがございます。仕事のために単身赴任をしているのに税金が重くこんな圧迫しているのでは、仕事にかけるモチベーション低下にもつながりかねないということで、単身赴任が多いという建設産業の構造的な問題については所轄官庁として理解していただきまして、力添えをお願いしてまいりました。日建協からは以上になります。
○中窪座長 ありがとうございました。最後に日本基幹産業労働組合連合会の森山委員より御説明をお願いいたします。
○森山委員 基幹労連の森山です。よろしくお願いします。私からは、資料4、基幹労連の「建設業の現状と課題について」ということで御覧ください。2ページ目、簡単に基幹労連の概要です。基幹労連は、御存じの方が多いと思いますが、主に製造業の労働組合の団体です。建設部門としては、2014年から、それまで建設連合という単体の産業別の労働組合として活動しておりましたが、2014年以降、基幹労連と統合して、現状は基幹労連の中の建設部会ということで、11労組、約4,000名の規模で活動をしております。 3ページ、本日、これから申し上げる内容について簡単に項目を並べております。大まかに、処遇面について、それから労働時間について、そして労働災害についてということで簡単に御説明します。
4ページ以降を順に御説明します。4ページ、連合の賃金レポートから少し引っ張ってきております。1997年から2018年ということで、少し長いスパンになるかと思いますが、この間のそれぞれの業界の平均賃金の上昇率、それから個別の賃金の上昇率の比較となっております。平均賃金について言いますと、年齢層、それから学歴等様々な要素を踏まえた上で平均賃金というのがありますが、それに対する個別の賃金というのは、お一人、お一人の賃金をそれぞれ比較したということになります。この表を見ていただきますと、総合工事業、いわゆるゼネコン管理職員の皆さんといったものについては、基本的に1997年からの比較ということで言いますと、平均の賃金の上昇率については、これは左側の軸になりますが、プラス側ということで働いております。個別で見ますと下の軸です、マイナス、全体としては上がっているのですが個別で見ると上がっていない。これは職別工事と真ん中よりやや下にありますが、そちらについてはさらに顕著で、平均の賃金自体はなかなか上がっていない中で、個別についてはさらに下がっているといったこともあります。この主な要因としては、枠の中にも書いていますが、いろいろな要素がありますが、主には高年齢化に伴って、平均の賃金の上昇に比べて個別の賃金の伸びが少ないと考えられると思っております。
5ページ、産業別の賃金ポジションの推移です。これも1988年からの推移ということで見ております。左側の軸が1988年時点での賃金のポジション、それから下の軸が2018年の軸になります。斜めの線よりも下に行っている業種については、1988年に比べれば賃金のポジションが上昇している業種、それから線の上については上昇していない業種と、ざっくり見ることができます。これを見ると分かりますが、総合工事業ということでは相対的にポジションの上昇が見られますが、職別の工事ではもうほとんど変化がないという現象が見られます。
6ページ、公契約条例の制定状況です。2010年2月に千葉県野田市で全国で初めて施行されまして、それ以降、57の自治体で制定をされました。特に公契約の環境の改善について、非常に大きな役割を果たしているのが公契約条例だと考えております。57の自治体で制定されているうち賃金保証型が24、具体的に最低賃金等々を定めてあるのが24。一方で理念にとどまっているのが33ということがありますので、公契約条例を制定する自治体そのものは少しずつ増加をしておりますが、まだまだ内容も含めてさらなる広がりが必要とされているのではないかと考えております。
7ページ、労働時間です。これは年間総実労働時間数の推移ということで、既に厚労省のデータ等で公表されている内容でもありますが、調査産業、全体の合計、青い軸になりますが、それに比べると建設業については、まだまだ総実労働時間が長い状態が続いております。製造業も2,000時間を切ったような感じですが、建設業については相変わらず2,000時間を大きく超えた状態が、引き続きまだ続いている現状だということです。
8ページ、これは2018年度の出来高に関しての国土交通省の統計から引っ張ってきたものです。これはよく言われる、いわゆる工期発注時期の平準化の問題といったことです。各建設会社、それから一人親方等でやられているいろいろな業者さんがいらっしゃいますが、年間を通じて一定の工事の発注があれば年間を通して大体労働時間は一定になるかと考えられますが、現実はなかなか、実際年度のはじめは発注がどうしても少なくて、年度の後半に行くにつれて、予算の執行の関係もありまして、どうしても年度の後半が忙しくなる状況があります。特に、グラフにも載せておりますが、紫の公共事業の、特に土木工事については、一番少ない所と比べると36%ほど年度の後半で増えてきている。これは、以前はもっと大きな差がありました。徐々に縮まってきてはおりますが、まだまだ年度の後半になりますと、どうしても負荷が掛かるという状況が続いている、工事量が一定していないことが見られるかと思っております。
9ページ、これはサンプルの数としては決して多くはないのですが、我々は基幹労連の建設部会の中で6月の閉所の状況を独自で調査をしたということです。4閉所以下から8閉所以上まで、6月1か月間でどれだけ閉所ができたか。これは、閉所という言い方をしております。いわゆる一つ一つの作業所、工事現場の全体が休めたかどうか。個人として休めたかではなくて、作業所全体が休めたかどうかという観点で調査をしたものです。これは、御覧になるとお分かりのように、上から2つ目の建築の工事については、やはりまだ4閉所以下、実際は、これを個人別に見ると、それぞれ交代をしながら、お一人、お一人では4週6休ですとか、7休、8休と休みを取ろうとしているかと思いますが、作業所全体でお休みができているかと言いますと、やはり建築を中心にまだ厳しい状況があるということで認識をしております。特に建築に関して言いますと、民間の工事が多いので、民間工事については閉所のさらなる促進というのを、まだ進めていく必要があろうかと考えております。
10ページ、これは令和元年の産業別の死亡災害について、製造業と建設業をピックアップしたものです。就業者数が、建設業については499万人に対して、死亡災害に占める割合ということで見ますと、やはり非常に死亡災害が多いということもあります。特に余裕がない中で厳しい作業に従事している方々が多いこともあります。もっと余裕をもって作業ができるような環境もやはり作っていく必要があるかと考えております。
11ページ、まとめということで簡単にまとめております。公契約条例制定の促進をしていただくこと。それから、既に法律等も変えていただいて、新・担い手3法、その中にも適正な工期の設定ですとか、先ほど申し上げた工期の平準化といったようなことは、既に取り組んでいただいているかと思いますが、さらなる推進をしていただいて環境改善の取組を進めていただければと考えております。それから、2番目、労働時間短縮の取組としては、先ほどの新・担い手3法のさらなる推進をしていただくことで、サービス残業の撲滅とか、ここに記載されているようないろいろな問題の解消を進めていくことが、必要であろうと思っております。
それから、やはり何と言いましても、建設業として、12ページに書いておりますが、4週8休、週休二日というのが建設業でも常識になるように、建設業界全体を上げて取組を進めていく必要があるかと考えております。それが最終的には安全衛生の面でも、死亡災害の撲滅ということにつながるのではないかと考えております。私からは以上です。
○中窪座長 ありがとうございました。それでは今、3人の委員から御説明いただきました内容について御質問等がありましたら御発言をお願いします。勇上委員、どうぞ。
○勇上委員 途中で音声が途切れるかもしれませんが、その際には御了承ください。非常に詳細な御報告ありがとうございました。大変勉強になりました。3つの御報告について共通する問題、関心としてお伺いしたいのです。建設業で高齢化が進んでいることとも関連するのですが、先ほどの御報告の中では、最後に基幹労連さんの御報告の中で、高齢化によって平均賃金が上がってきているという話があったように思うのです。一方で、全建総連様のほうでは詳しい資料を御教示いただいて、そのときには、年齢に応じて必ずしも日給が上がっているような感じは見受けられなかった。これは対象としている労働者の方が職員の方だったり、技能労働者の方だったりということだと思うのですが、まず、いわゆる経験に応じて処遇が上がっていないのではないかという問題があるのは、どういった層の方なのかをお聞きしたいです。
これは、先ほどの建設キャリアアップシステムの所で、経験を重ねた方の適切な評価をしていくこと等とも関連していると思いましたので、あれは技能労働者ですが、それは例えば職員の方については特に問題にならないのかとか、そういったところをお伺いしたいと思いました。職員によってそういった問題、報酬の問題というのは違うのかどうかというところです、職員の方とか技能者の方の。
○中窪座長 ありがとうございます。どなたか。小林委員からお願いします。
○小林委員 全建総連の資料2-2で、今、御質問の所に関しては4ページがこれに当たるかと思っております。文章の中の一番下の文章でも御紹介したとおり、賃金構造基本統計調査によれば、製造業の技能労働者のピークは55歳から59歳でピークを迎える。これは非常に一般的であるわけです。全建総連の調査からすると、首都圏以外では50歳から54歳で、さらに首都圏では45歳から49歳でピークを迎えて、そのピークそのものも、先ほどお話をしましたとおり、他産業に比べると低いところで頭打ちで、以降は伸びないというところです。国交省もこの間、CCUSの仕組みの中でしっかりと担保していきたいのは、十分に熟練した技能と経験を持っている人たちの、いわゆる管理者としての能力、これをしっかりと賃金に反映させていく、ここの部分が今、この調査からすると欠けている今後の課題として認識しております。
○森山委員 基幹労連の森山です。少し自分の個人的な感覚も入るかと思いますが、今、御指摘いただいた点について1つ感じるのは、正規雇用の職員の方については、ある程度年功に応じて給与が増加していく仕組みがある一方で、技能労働者の方についてはどうしてもなかなかそういった仕組みがありません。先ほど御説明にもありましたように、これからのそういった個別の技能の増加にしたがって、それをどうやって具体的な処遇につなげていくかという仕組み作りについては、キャリアアップシステムを中心としてこれからしっかりと反映をしていただきたい部分です。
一方で、特に公共工事の発注の際には、個別の労働者がどのように評価されているかではなくて、あくまでもその工事がどのような職種の人たちによって作られているかというように、職種の単価ということで設定されてしまっている部分がありますので、なかなか今、個人の能力の高い低いというところに賃金が結び付いていかないというのは、これは仕組みとして1つ大きな問題がそこにあるかと考えております。以上です。
○中窪座長 ありがとうございました。勇上委員、よろしいでしょうか。
○勇上委員 はい、ありがとうございます。
○中窪座長 その他いかがでしょうか。もしよろしければ使用者側の委員の方からでも。最川委員、どうぞ。
○最川委員 御説明ありがとうございました。今の技能労働者不足の点と、技能者と技術者はちょっと考え方はそれぞれ違うと思うのですが、特に技能者不足に対応して、やはりある程度、今日の技能に応じた賃金を払っていくのは本当に大事なところだと思います。全建総連さんに調べていただいたデータの中にもあるのですが、年齢に応じてというよりも、やはり経験年数、特に建設業の場合は高年齢になって転職して経験が少ないという方も結構いて、CCUSにもあるように、技能労働のある程度能力がないと、ものを作るのに、やはり建設業は請負になっていますので、能力に応じたお金というものがどうしても発生してくるので、ただ年齢が上がれば増えるかというとそうではなくて、そこは仕方がないところだと思います。今後の調査も、ただ年齢というよりも、やはり経験年数とか職長なのかとか、その辺をしっかり調べていかないと、その賃金に合ったその人の能力なのかというところが重要になってくると思います。ただ年齢が上がれば賃金が増えるというところだけ目指していくと、とんでもない金額に、もともと10億円でできるものが15億円掛かってしまうとかそういうことが発生してしまうので、その辺は今後の調査をできれば調べていただきたいなというのが要望です。以上です。
○中窪座長 ありがとうございました。何か今のコメントについて答えがありましたら。
○小林委員 御指摘ありがとうございます。サンプルとしては非常に大きく取っているのですが、今、御指摘のようなことも含めて検討していかなければいけない。また、実はここには、全建総連の私のほうの資料には書いていませんが、25歳未満の方のデータは省いた上で計算しているのです。というのは、一人前にまだ至っていない人のデータを入れると、現状がはっきり出なくなるのではないかという趣旨でこの間そうしてきたのですが、これからの若い皆さんの入職、若い皆さんの魅力ある賃金が本当に今、現状どうなっているのかを知るためには、先ほどおっしゃられたような観点も含めて、若い人の現状も見えるような形で、集計をしていくところも必要かなという認識はしているところです。ありがとうございます。
○中窪座長 ありがとうございました。その他にいかがでしょうか。大木委員、どうぞ。
○大木委員 全建総連さんにお尋ねします。一人親方のデータが出ていました。労働者と一人親方の人数の割合がどのくらいなのか。あるいは、一人親方だと労働者ではないので、経費、交通費だとかいろいろな経費も親方として持たなければいけない。実質、手取りは一人親方のほうが少なくなってしまうのではないかということもあるのですが、その辺をお伺いしたいなと。
○小林委員 御指摘のとおりなのです。この調査でいきますと、先ほど私、さらっと雇用されている人も常用という中に含まれる。その常用の中には、雇用されていない方で専属的に外注としてそこに携わられている職人さんも含んで、一緒くたに常用と言っているということでした。実は、この調査の中で、もともとの数字で労働者なのか、それとも雇用、いわゆる雇用されている人なのか、それともいわゆる一人親方として手間請としてやっているのかというところは、ここでは分析はされていません。両方が一緒くたです。
今は全建総連では、いわゆる雇用されている人だけの調査を一昨年から始めたところですが、実は今年についてはコロナの関係でその調査が実施できておりません。全建総連としても、雇用されている人、それから雇用されていないところの実態を、明確に分けた形で出さなければいけないという認識はしていて始めたところなのですが、その数字が直近では今回出せていないところです。
○中窪座長 その他いかがでしょうか。最川委員。
○最川委員 今、ちょっと一人親方の話が出たのであれなのですが、私は一人親方という言い方自体がどうなのかなというのもあります。あるときは労働者、あるときは事業主というような、それが一人親方みたいなのがあやふやなところで使われていて、実際は個人事業主というところでいかないと、労働者の中に一人親方のデータが入っているということは、実質、やはり労働者と本人も思っている人が入っていると思うのです。その辺の定義を、本当は一人親方という言い方を私は使ってほしくないと思っているのですが、その辺、一人親方だけ、どういう実態なのかというのをやはりはっきり定義付け、これが一人親方、というか個人事業主なのか労働者なのかという線引きをしっかりしないと、保険を払いたくないから、あるときは個人事業主にしてとか労働者とか、何かいいとこ取りしている人もいたり、業者、事業主にも、何て言うのですか、個人事業主に保険を払わせないで個人事業主にしているのだけれど、実質の使い方は労働者みたいな。そういう使われ方も実際ある中で、そこの線引きをきちんとしていないところが一番の問題だと思うのです。そこをはっきり決めないと議論が、あるときは労働者で議論が行われて、あるときは個人事業主で行われるということは終着点が見えなくなってしまうので、そこの線引きをちゃんとしていただきたいというのをお願いします。以上です。
○福岡室長 事務局の建設・港湾対策室長の福岡です。一人親方の関係は前回も大木委員からも御提案いただいておりまして、次期の計画には何らかの形で記載が必要かと思っております。先ほど国交省からも話がありましたとおり、一人親方で今、検討会を、私もその委員になっておりますが、開催しておりますので、その動向も注視しつつ、また、次回の28日の委員会では蟹澤先生が、おそらく一人親方の現状認識等について御説明があると思いますので、そういったものと、今、最川委員からありました御指摘は正にそのとおりだと思いますので、そうしたものを次々回の論点整理で、私どもで整理させていただいて皆さんに御議論いただきたいと考えております。
○中窪座長 ありがとうございました。その他いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、これについては以上とさせていただきます。どうも3人の委員の皆さんありがとうございました。
次に2つ目の議題「その他」になります。これは各委員から御意見、御質問などその他としてございますでしょうか。よろしければ、これは特にないということで進めさせていただきます。その他に何か特に御発言ございますか。よろしければ、本日の審議はこの辺りにしたいと思います。最後に、今後の日程等について事務局から説明をお願いします。
○大橋補佐 ありがとうございます。次回の日程について申し上げます。次回については、御案内のとおりですが、9月28日の月曜日、13時から前回の会場でもあります航空会館5階の会場で開催したいと考えております。議題につきましては、本日に引き続きまして関係者のヒアリングを行いたいと思います。具体的には、学識者として芝浦工業大学の蟹澤教授、そして使用者団体を予定していますのでよろしくお願いします。事務局からは以上になります。
○中窪座長 ありがとうございました。それでは、本日の委員会は以上といたします。最後に、本日の会議の議事録の署名については、労働者代表は小倉委員、使用者代表は若鶴委員とさせていただきます。よろしくお願いいたします。では、本日はお忙しいところをどうもありがとうございました。
(了)