- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 労働政策審議会(労働条件分科会) >
- 2020年7月30日 第162回労働政策審議会労働条件分科会 議事録
2020年7月30日 第162回労働政策審議会労働条件分科会 議事録
労働基準局労働条件政策課
日時
令和2年7月30日(木) 13:00~15:00
場所
労働委員会会館講堂(労働委員会会館7階)
出席者
- 公益代表委員
- 荒木委員、安藤委員、川田委員、黒田委員、藤村委員、両角委員
- 労働者代表委員
- 川野委員、仁平委員、八野委員、森口委員、世永委員
- 使用者代表委員
- 池田委員、大橋委員、早乙女委員、佐久間委員、鈴木委員、鳥澤委員、山内委員
- 事務局
- 坂口労働基準局長、村山安全衛生部長(併)労働条件政策、賃金部門、久知良総務課長、黒澤労働条件政策課長、石垣監督課長、井内労働衛生課長
議題
- (1)「経済財政運営と改革の基本方針2020」等について(報告事項)
- (2)副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方について
- (3)労働基準法に基づく届出等における押印原則の見直しについて
議事
- 議事内容
- ○荒木分科会長 それでは、ほぼ定刻ですが、お集まりいただける方は御出席ということですので、ただいまから、第162回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の委員の出欠状況ですが、御欠席の委員として、公益代表の平野光俊委員、水島郁子委員、労働者代表の北野眞一委員、櫻田あすか委員、津村正男委員、使用者代表の佐藤晴子委員と承っております。
最初に、事務局から定足数の報告と、本日の議事運営について説明をお願いいたします。
○労働条件政策課長 定足数について御報告いたします。
労働政策審議会令第9条第1項により、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
次に、本日の議事運営について申し上げます。新型コロナウイルス感染症対策として、本日も原則として、報道関係者のみの傍聴とさせていただいており、さらに傍聴席の間隔を広げるなどの措置を講じた上で、運営をさせていただいております。
会場の皆様におかれましては、会場備付けの消毒液の御利用をはじめまして、御配慮いただきますよう、お願い申し上げます。
また、換気のために常時窓を開けさせていただいております。あらかじめ御承知おきください。
以上です。
○荒木分科会長 カメラ撮りはここまでということでお願いします。
本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
本日の議題「『(1)経済財政運営と改革の基本方針2020』等について(報告事項)」につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○総務課長 総務課長の久知良でございます。
私のほうから議題1の関係の説明をさせていただきます。
資料No.1を御覧ください。例年、夏になりますと、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針のほか、幾つか閣議決定がなされるわけでございますけれども、今年は7月17日に閣議決定がなされております。その内容について、関連部分の御報告を申し上げます。
1ページおめくりいただきまして、2ページについては、経済財政諮問会議の会議体の説明でございますので、説明は省略させていただきます。
3ページを御覧ください。この部分が「経済財政運営と改革の基本方針2020」の中での関連の部分ということでございます。
第3章に「『新たな日常』の実現」ということで、コロナとの関係での「新たな日常」ということでございますけれども、そのうちの1番目に「『新たな日常』構築の原動力となるデジタル化への集中投資・実装とその環境整備」という章がございます。その中の「(3)新しい働き方・暮らし方」という部分のマル1に「働き方改革」というものが来てございます。
内容といたしましては、働き方改革関連法の着実な施行を労働関係法令の適正な運用を図りつつ取り組むとともに、感染症への対応として広まったテレワーク等がもたらした新たな働き方やワークライフバランスの取組の流れを後戻りさせることなく、最大限活かし、従業員のやりがいを高めるためのフェーズ2の働き方改革に向けての取組を加速させるというようなことが記載されております。
また、労働時間の管理方法のルール整備を通じた兼業・副業の促進など、複線的な働き方、それから育児や介護など、一人一人の事情に応じた多様で、柔軟な働き方を労働者が自由に選択できるような環境整備をして、RPAの活用を含む生産性向上ですとか、不本意非正規雇用の解消といったようなことが記述されております。
次のパラグラフですが、テレワークの関係でございます。テレワークの定着・加速を図るために、新たなKPIを策定する。それから、中小企業への導入に向けて、専門家による無料相談の対応や、全国的な導入支援体制の構築などの各種支援策を推進する。さらに、事業場外みなし労働時間制度の適用要件に関する通知内容の明確化や関係ガイドラインの見直しなど、実態を踏まえた就業ルールの整備に取り組むといったことが記載されております。
その次は、ジョブ型正社員の関係で、さらなる普及・促進に向け、雇用ルールの明確化や支援に取り組むということが記載されております。
その下のパラグラフが、労働者が職務の範囲内で裁量的・自律的に業務を遂行でき、企業側においても、こうした働き方に即した成果型の弾力的な労働時間管理や処遇ができるよう、裁量労働制について実態を調査した上で、制度の在り方について検討を行うという記載がされております。
最後がフリーランスの関係でございますが、安心して働ける環境を整備するため、政府として一体的に保護ルールの整備を行うという記載がなされておるところでございます。
以上が骨太の方針の関係でございます。
次に、成長戦略の関係でございます。
4ページ以降の資料になりますけれども、5ページ、6ページについては関係の会議体の説明でございますので、省略させていただきます。
7ページからが中身でございます。まず、成長戦略実行計画の中で、第2章の「新しい働き方の定着」の1番目に「兼業・副業の環境整備」が記載されてございます。
第2パラグラフにありますように、兼業・副業を希望する者は、近年増加傾向にあるものの、他方、実際に兼業・副業がある者の数は横ばい傾向であり、働く人の目線に立って、兼業・副業の環境整備を行うことが急務であるということが記載されている上で、次のパラグラフですが、この背景に、兼業・副業について、兼業・副業先と労働時間を通算して管理することとされている中で、兼業・副業先での労働時間の管理・把握が困難であるとして、兼業を認めることに対する企業の慎重姿勢があるということが記載されてございます。
未来投資会議の審議においても、兼業を認めると、自社の労働力が減るにもかかわらず、逆に管理工数が上がる中で、企業の労務管理責任の範囲・在り方についてしっかりとルールを整備し、企業が安心して兼業・副業を認めることができるようにすることが重要との指摘がある。
その上で、その下の最後のパラグラフですが、このため、労働時間の管理方法について、以下の方向で労働政策審議会における審議を経て、ルール整備を図るとされたところでございます。
その以下の方向の「(1)労働者の自己申告制について」ということで、兼業・副業の開始、それから兼業・副業先での労働時間の把握については、新たに労働者からの自己申告制を設け、その手続及び様式を定めることが記載されてございます。この際、申告漏れや虚偽申告の場合には、兼業先での超過労働によって上限時間を超過したとしても、本業の企業は責任を問われないこととするということが記載されてございます。
(2)として「簡便な労働時間管理の方法について」ということでございます。本業の企業(A社)が兼業を認める際に、以下のマル1、マル2の条件を付しておくことで、A社が兼業先(B社)の影響を受けない形で、従来どおりの労働時間管理で足りることとなるということにした上で、マル1でございますが、兼業を希望する労働者について、A社における所定の労働時間を前提に、通算して法定労働時間または上限規制の範囲内となるよう、B社での労働時間を設定すること。
マル2としまして、上記の場合、A社において、所定の労働時間を超えて労働させる必要がある場合には、あらかじめ労働者に連絡することにより、労働者を通じて、必要に応じてB社での労働時間を短縮させることができるものとすることということが記載されてございます。
(3)については「労働者災害補償保険の給付の拡充」ということで、これは先般の通常国会で法案が成立しておりますので、その内容について円滑な施行を図るというような趣旨のことを書かれているということでございます。
8ページでございます。同じく第2章の「新しい働き方の定着」の中での2つ目に「フリーランスの環境整備」が記載されてございます。
2パラ目にありますように、フリーランスは多様な働き方の拡大、ギグエコノミーの拡大による高齢者雇用の拡大、健康寿命の延伸、社会保障の支え手・働き手の増加などの観点からも、その適正な拡大が不可欠であると記載された上で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、フリーランスとして働く人に大きな影響が生じており、発注のキャンセル等が発生する中、契約書面が交付されていないため、仕事がキャンセルになったことを証明できないといった声もある。
こうした状況も踏まえ、政府として一体的にフリーランスの適正な拡大を図るため、以下の保護ルールの整備を行うということとされてございます。
その(1)が「実効性のあるガイドラインの策定」ということでございます。マル1に「基本的考え方」と記載されてございます。
第1パラグラフのほうは独占禁止法ですとか、下請代金支払遅延等防止法の適用について記載がされております。それらについて考え方を整理して、ガイドライン等により明確にする必要があるという認識が示されております。
第2パラグラフの「他方」以下は労働関係法令の関係でございます。他方、これらの法律の適用に加えて、フリーランスとして業務を行っていても、実質的に発注事業者の指揮命令を受けて仕事に従事していると判断される場合など、現行法上「雇用」に該当する場合には、労働関係法令が適用される。こうした法令の適用関係を明らかにするとともに、独禁法、下請代金支払遅延等防止法、労働関係法令に基づく問題行為を明確化するため、実効性があり、一覧性のあるガイドラインについて、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省連名で年内を目途に案を作成し、意見公募手続を開始するとされているところでございます。
マル2が「ガイドラインの方向性」でございます。
ガイドラインの具体的な内容として、以下の点を検討するということで、幾つか書かれている中で(現行法上「雇用」に該当する場合)というところで、フリーランスとして業務を行っていても、実質的に発注事業者の指揮監督下で仕事に従事しているか、報酬の労務対償性があるか、機械、器具の負担関係や報酬の額の観点から見て事業者性がないか、専属性があるかなどを総合的に勘案して、現行法上「雇用」に該当する場合には、契約形態にかかわらず、独占禁止法等に加え、労働関係法令が適用されることを明確化するとされているところでございます。
その下に「(4)労働者災害補償保険等の更なる活用」ということで、フリーランスとして働く人の保護のため、労災保険の更なる活用を図るための特別加入制度の対象拡大等について検討すると記載されてございます。あわせて、フリーランスとして働く人も加入できる共済制度の活用促進ですとか、フリーランスとして働く人のリモートワークの環境の整備の支援といったことも記載されているところでございます。
9ページを御覧ください。第9章ということで「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえた対応」の章でございます。
その中の(3)に「強靭な経済構造の構築」がございまして、その中で「テレワーク、遠隔教育などICT等による非接触・遠隔サービスの活用」という中で、テレワークの推進等が書かれてございます。
企業におけるテレワークの取組が促される中で、テレワークの場合の労務管理の方法の明確化を図る。また、中小企業によるテレワークのための通信機器の導入について支援の強化を図る。さらに、中小企業等のサイバーセキュリティー対策を支援するといった記載がされてございます。
続きまして「成長戦略フォローアップ」の部分でございます。ここの部分でも「新しい働き方の定着」の中に「兼業・副業の環境整備」「フリーランスの環境整備」といった記載がございますが、これは前の部分と重なりますので、省略させていただいてございます。
「テレワークの推進」ということで、テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドラインの周知啓発を行うとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からも、テレワーク相談センターの設置・運営やテレワーク導入に係る助成等による導入支援を強力に推進するとされてございます。
「主体的なキャリア形成を支える労働市場のインフラ整備」ということで、解雇無効時の金銭救済制度について、可能な限り速やかに、法技術的な論点についての専門的な検討を行い、その結果も踏まえて、労働政策審議会の最終的な結論を得て、所要の制度的措置を講ずるとされているところでございます。
「生産性を最大限に発揮できる働き方に向けた支援」ということで、マル1が「長時間労働の是正をはじめとした働く環境の整備」ということになってございます。
大企業、中小企業とこの働き方改革の時間外労働時間規制が適用されたということで、引き続き、適切な施行に努めるということでございます。あわせて、2024年4月からの建設業や医師等への適用に向けて、相談体制の充実、制度の周知徹底、適用猶予期間においても必要な法整備を含め、時間外労働の削減や労働者の健康確保のための取組を行うよう、働きかけや支援を行うなど、円滑な法の適用に向けた取組を行うとされてございます。
その次のポツにつきましては、建設の関係でございます。適正な工期の確保や施工時期の平準化による働き方改革、それから電子申請化ですとか、技能者の処遇改善を図る建設キャリアアップシステムを活用した生産性向上を通じ、建設業の担い手の確保を推進するとされてございます。
7で「地域のインフラ維持と中小企業・小規模事業者の生産性向上」の中に「国家戦略特区の推進」という項目がございまして、その中で「『新たな生活様式』に対応した規制改革の推進」の中に、デジタルマネーによる賃金支払いの解禁が入ってございます。
これはペイロールの話でございますけれども、賃金の資金移動業者の口座への支払いについて、賃金の確実な支払い等の労働者保護が図られるよう、資金移動業者が破綻した場合に、十分な額が早期に労働者に支払われる保証制度等のスキームを構築しつつ、労使団体と協議の上、2020年度できるだけ早期の制度化を図るとされております。
あわせて、諸外国の事例も参考にしつつ、マネー・ロンダリング等についてリスクに応じたモニタリングを行うとされているところでございます。
次が規制改革実施計画についてでございます。
11ページは組織体の説明でございますので、説明を省略させていただきまして、12ページに規制改革実施計画において取り上げられている実施事項でございますが、最初の部分でございます「労働基準関係法令の適用対象となる労働者性の判断基準の周知」ということで、内容としましては、契約形式の如何を問わず、実質的に労働者性があると判断される者については、労働基準法等の労働基準関係法令が適用されるため、厚生労働省は労働基準監督署等を通じ、労働者性の判断基準を分かりやすく周知し、問題が認められる場合にはその是正を図るとされております。実施時期としては、令和2年度措置とされているところでございます。
次が「雇用ルール(無期転換ルール)の周知」でございます。こちらについては、令和元年度に実施した無期転換ルールの適用状況についての調査結果等を踏まえ、労働契約法で定められる無期転換ルールが労働者に周知徹底されるよう、有期契約が更新されて5年を超える労働者を雇用する企業から当該労働者に通知する方策を含め、労働者に対する制度周知の在り方について検討し、必要な措置を講ずるとされております。これについても令和2年度措置とされているところでございます。
次が「時間外・休日労働に関する協定等の届出における電子申請の推進」でございます。36協定ですとか、就業規則の届出の電子申請について、その利用実態を把握した上、電子申請利用率向上のために、利用者の利便性を高めるべく、システム改修や企業等への周知も含めた効果的な方策について検討し、結論を得ることとされてございます。
bとして、aで得た結論については措置を講ずる。なお、システム改修に当たっては、将来的な機能の拡張等も可能となるよう留意するとされてございます。
aの部分の検討・結論の部分は令和2年とされてございます。bの措置の部分については令和2年度とされているということでございます。
簡単ではございますが、私からの説明は以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見があればお願いいたします。
森口委員。
○森口委員 ありがとうございます。
労働側の森口でございます。
私からはテレワークや働き方の部分について意見を申し上げたいと思います。資料については、3ページと9ページが関連する部分になりますので、よろしくお願いいたします。
まず、テレワークについてです。新型コロナ対策ということで、テレワークの加速が求められている状況でありますけれども、現状でいきますと、中小企業は大企業よりも進んでいないという現状がございます。
そのような中で、今回、骨太方針や成長戦略実行計画において、中小企業への導入を支援するとされていることについては、労働側として評価できるものであると考えておりますし、雇用維持と感染防止の観点で、十分な支援をお願いしたいと考えております。
その上で、テレワークにつきましては、我々として課題もあるのではないかと認識をしております。
先日、連合でテレワークに関する調査を行いました。今回、その中の3点に絞って共有させていただきますと、1点目は、労働時間の管理をされていない人が従業員99人以下の企業で2割いるということ。2つ目は、通常の勤務より長時間労働になったという方が5割いたということ。3つ目は、時間外労働を申告しなかった人が6割、また、申告したのに認められない人が5割との結果となっております。
このようなテレワークの実態を踏まえますと、労働側としては、車でいうと両輪に例えますけれども、テレワークの加速・定着と併せまして、課題への対応も同時に進めていくべきではないかと考えております。
取組に当たりましては、労働時間の管理、長時間労働の抑制、賃金の支払いなどが適正に行われるよう、ガイドラインの周知、監督指導の徹底に加えて、課題の改善についても点検をお願いしたいと思います。
続いて、今回の骨太方針の中では、事業場外みなし労働時間制のガイドラインの見直しや、裁量労働制の検討を行うとされておりますが、労働側としましては、事業場外みなし労働時間制は厳格に運用すべきだと考えておりますし、裁量労働時間制につきましては、適正な労働時間管理と長時間労働の抑制、そして健康確保こそ必要であり、対象業務については拡大すべきではないと考えておりますので、その点については指摘しておきたいと考えております。
以上、意見として申し上げます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
鈴木委員。
○鈴木委員 ありがとうございます。
ただいまの森口委員からのお話にありました連合の調査に関しましては、しっかりと受け止めなければならない部分も多くあると感じました。その上で、裁量労働制についての話題もございましたので、経団連として一点お話をさせていただければと思います。
裁量労働制については、法令が定める要件や手続は、当然ながら厳格に満たす必要があります。過重労働防止のためにも、労使が対象社員の職務や裁量の有無の精査、実効性のある健康確保措置の導入を確認することによって、適正で信頼が得られる制度と運用体制を構築しなければなりません。そのため、経団連では毎年出しております「経営労働政策特別委員会報告」という冊子等を通して、適正な運用の徹底を呼びかけております。
一方で、裁量労働制は、労働者に裁量の幅を持たせる働き方をする方を対象としている点で、自律的・自主的な働き方にマッチした仕組みであると思っております。現在行われております厚生労働省の実態調査も踏まえ、使用者側としましては対象業務を広げる方向での見直しを期待しているところでございます。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
池田委員、どうぞ。
○池田委員 どうもありがとうございます。
確認したい点があるので、教えていただきたいのですが、資料の7ページ目の左下の「簡便な労働時間管理の方法について」でございます。
マル1のところで、兼業を希望する労働者について、A社における所定の労働時間を前提に、通算して法定労働時間または上限規制の範囲となるよう、B社での労働時間を設定することとあって、その※1の注記のところに「所定の労働時間」とは、各企業と労働者の間で決められる、残業なしの基本的な労働時間のことで、通常は、法定労働時間の範囲内で設定されるという記載がございます。
これまでの当分科会での議論でいうと、これでいうA社のほうで36協定を締結していれば、その範囲までA社での労働時間が設定できるという議論になっていて、ちょっと※1のところの「残業なしの基本的な労働時間」とは違う形で議論が進んでいたように私は思っているのですが、これは7ページ目の左上で、最終的には労働政策審議会における審議を経て、ルール整備を図るということになっていますので、これまでの分科会の議論が尊重されて決まっていくと思いますので、一応その点の確認です。
よろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 よろしくお願いします。
今、資料No.1の御説明をしていただきましたが、これは基本方針2020等についてのこれからの予定というか、方向性について教えていただいたところであります。
そこの中で、フリーランスの関係が7ページまたは8ページに掲載されているわけですが、ここで8ページの下あたりに、ガイドラインを年内に作成するということが記載されています。
下請法絡みのものであって、フリーランスという概念が対象になるのか否かということもあるのですけれども、まず雇用類似、いわゆるその形態としてのフリーランスを全体として定義づけていくことが必要なのではないでしょうか。例えばここでは労働者性を有するからといっても、新たに労働者と事業者の中間的なものをつくるとか、そういう議論がまだなされていない中で、一挙にガイドラインとしてとりまとめることが非常に分かりにくいところがあるかと感じております。
8ページの中段に記載されています(a)から(d)までですが、例えば、指揮命令下とか、労働者性を判断できる事項があれば、全て「雇用」に該当するという概念もあると思います。これは私の個人的なものかもしれませんけれども、いわゆる労働者性を判断するときに、基本的には「フリーランスというのは事業者である」という認識をしております。フリーランス等の個人事業者が労働保険などを活用するとなると、制度のいいところ取りになるのではないか等の議論も生じます。例えば労災の関係とか、どこまでそういうものを活用することができるかとか、そういう論点をこれから詰めていかなければいけないと思います。
それと、次の議論の場になりますけれども、副業・兼業は、今回のこの労働条件分科会では、雇用者という立場で議論をしていこうということの定義づけをしたところでございますけれども、この年内にガイドラインをとりまとめていくとなると、この兼業・副業の関係も、ここにも「事業者性」を議論する必要が出てくるので、今回の労働条件分科会では、副業・兼業は「雇用」・「雇用」ということで進めていくことを再度確認したい。事業者としてのフリーランスの関係のガイドラインとか、そういうものに触れないというか、そこのところは明確にしていって、議論を進めていただければと考えております。
以上でございます。
○荒木分科会長 いろいろとお尋ねもありましたので、事務局からお答えいただければと思います。
○労働条件政策課長 事務局でございます。
多岐にわたってございますので、私のほうからまとめて申し上げたいと存じます。
初めに、森口委員からテレワークのお話がございました。やはり想定外の事態の中で急遽対応したというような現実もある中で、様々なよい面、よくない面が出ているのであろうと思います。今後の様々な検討の中で、先ほど御紹介いただいたような点も踏まえながら、あるべき姿といったものを考えていくべきであると受け止めた次第でございます。
また、森口委員、鈴木委員から裁量労働制に関して御指摘がございました。これは骨太の方針にも書かれておりますように、実態調査を踏まえた上で、今後議論がされていくというようなものでございますので、今後の課題であると考えてございます。
それから、池田委員からの御質問がございました副業・兼業の関係でございますが、こちらの成長戦略で言われておりますことと、この労政審労働条件分科会で議論しておりますものは、軌を一にしておりまして、矛盾をしている点はないと考えてございます。
先ほど御指摘いただいておりますこの注釈1というのは、あくまで「所定の労働時間」という言葉の解説がされている部分でございます。7ページ左下のマル1はA社において残業がない場合のことが書いてございまして、実は7ページの右側の真ん中辺のマル2で、A社で所定を超えて、要は残業がある場合というパターンがございます。
したがいまして、前回御議論いただいた場合におきましても、A社において残業がない場合もあれば、ある場合も両方ありまして、前回御議論いただいたところと軌を一にしておりますし、労働条件分科会での御議論を踏まえた上で整理をするというものでございます。
最後に、佐久間委員でございます。フリーランスに関しては、今回のこのガイドラインといいますものは、ここに書かれておりますように、あくまで現行法上の整理というものであると理解をしてございます。
御指摘がございましたように、労働時間の通算というのは、前回も御議論いただきましたとおり、労働基準法上の労働者ということになりますので、そことの関係におきましては、特に変更はないものであると理解をしてございます。
○荒木分科会長 今の点はよろしいでしょうか。
世永委員、お願いします。
○世永委員 今、議論になりました基本方針について、私のほうから発言をさせていただきます。
資料1の3ページ、8ページ、12ページです。特に今、御説明があった8ページのフリーランスの保護については、独占禁止法などの経済法制をベースに契約の書面や取引上の禁止行為などについて、ガイドラインを策定するとしています。
フリーランスとして働く者の中には、実態として労働者と変わらない働き方をする者も多くいます。現行の法解釈においても、労働者性が認められるものに対しては労働関係法令が適用されることをもう一度、労働者と事業主に周知することが必要であり、厳正に監督指導を行うことが必要であると思っております。
また、雇用形態の多様化に伴い、現行の労基法上あるいは労組法上の労働者概念では捉えられない働き方が増えているということです。労働者概念の判断基準を見直していくことが必要であると考えております。現行の労働者概念の判断基準は、1985年の「労働基準法研究会報告」において示されて以降、見直しの議論が行われていません。
報告から35年が経過しておりますので、労働者概念を見直すことで、労働関係法令の適用の範囲を拡充し、就業者保護を図っていくべきと労働側としては考えております。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかに御意見等はございましょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、議題1は報告事項ということですので、以上といたしまして、次の議題に移りたいと思います。「(2)副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方について」です。
事務局より説明をお願いいたします。
○労働条件政策課長 事務局でございます。
資料No.2を御覧いただきたいと存じます。
ページ数でいうと、まず3ページでございますが、昨年秋にまとめておりました「今後検討すべき事項のイメージ」として、赤枠で囲ってございます「副業・兼業の場合の競業避止、情報漏洩、安全配慮義務等」という部分が本日御議論いただきたい点でございます。
5ページを御覧いただきたいと存じます。今般の議論の目次のようなものが書いてございます。
薄くなっております1~5の労働時間の通算管理の部分に関しては、前回御議論をいただいたところでございます。本日は、残っておりました6番の先ほどの部分の「競業避止、情報漏洩、安全配慮義務等」に関して御議論をいただきたいというところでございます。
内容としては6ページからでございます。
まず、6ページのところで冒頭5行に問題意識を書いてございます。
最初の2行でございますが、労働契約法におきまして「労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない」とされております。いわゆる信義誠実の原則でございますが、これに基づきまして、3~4行目でございますが、使用者、労働者は労働契約上の主たる義務、すなわち賃金を支払うということと労務を提供するということのほかに、多様な付随義務を負っているとされてございます。
5行目でありますが、副業・兼業の場合には、以下の点に留意をする必要があるということでございます。以下4点に関して、整理をさせていただいております。
「(1)安全配慮義務」でございます。これにつきましては、1つ目の○の1~2行目にございますように、労働契約法の5条におきまして「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」とされてございます。したがいまして、2行目の最後からでありますが、副業・兼業の場合には、副業・兼業を行う労働者を使用しております全ての使用者がこの安全配慮義務を負うということになります。
3行目後半からでありますが、副業・兼業に関して問題となり得る場合としては、使用者が労働者の全体としての業務量・時間が過重であることを把握しながら、何らの配慮をしないまま、労働者の健康に支障が生ずるに至った場合などが考えられるわけでございます。
「このため」ということで、次の○でございます。労務管理上、考えられることといたしまして、一つとして、まず就業規則におきまして、長時間労働等によって、労務提供上の支障がある場合につきましては、副業・兼業を禁止または制限することができるということにしておくということ。
2つ目といたしまして、副業・兼業の届出等の際に、副業・兼業の内容について、労働者の安全や健康に支障をもたらさないか確認をするということ。
3つ目といたしまして、副業・兼業の開始後に、副業・兼業の状況について、労働者からの報告などにより把握し、労働者の健康状態に問題が認められた場合には、適切な措置を講ずることなどが考えられると整理をいたしてございます。
続きまして、ページが飛びますが、9ページを御覧いただきたいと思います。(2)として「秘密保持義務」を整理させていただいております。
1つ目の○でありますが、労働者は使用者の業務上の秘密を守る義務を負っている。秘密保持義務でございます。副業・兼業に関して問題となり得る場合といたしましては、一つとして、自ら使用する自社の労働者が、自社の業務上の秘密を他社の下で漏えいをしてしまうという場合。今度は逆に、他社の労働者を自社で受け入れた場合に、他社の労働者が他社の秘密を自社で漏らしてしまうという逆の場合も考えられます。
2番目の○で「このため」といたしまして、一つとして、就業規則において、業務上の秘密が漏えいする場合には、副業・兼業を禁止または制限することができることとしておくということ。
二つとして、副業・兼業を行う労働者に対して、業務上の秘密の漏えいが生じないよう、注意喚起することなどが考えられると整理をさせていただいております。
10ページが3番目の「競業避止義務」でございます。
1つ目の○といたしまして、労働者は、一般に在職中、使用者と競合する業務を行わない義務を負っていると解されております。競業避止義務でございます。
副業・兼業に関して問題となり得る場合といたしましては、自ら使用する労働者が他の使用者の下でも労働することによりまして、自社との関係で競業避止義務違反が生ずる場合。あるいは、他社の労働者を自社でも受け入れることによりまして、他社との関係で、その労働者が負っている競業避止義務に違反が生じてしまうといった場合が考えられます。
2番目の○で「したがって」といたしまして、使用者は競業避止の観点から、労働者の副業・兼業を禁止または制限することができるというわけでございますが、競業避止義務は使用者の正当な利益を不当に侵害してはならないことを内容とする義務でございますので、使用者は労働者の自らの事業場における業務の内容や、副業・兼業の内容などに鑑みまして、その正当な利益が侵害されない場合につきましては、たとえ同一の業種・職種であった場合でございましても、副業・兼業を認めるべき場合も考えられるわけでございます。
3番目で「このため」といたしまして、一つとして、就業規則において、競業により自社の正当な利益を害する場合には、副業・兼業を禁止または制限することができることとしておくこと。
二つとしまして、副業・兼業を行う労働者に対しまして、自社の正当な利益を害することがないよう、注意喚起をすること。
3つ目といたしまして、他社の労働者を自社で使用する場合には、その労働者が他社に対して負う競業避止義務に違反しないよう、確認や注意喚起を行うことなどが考えられると整理をいたしてございます。
12ページでございます。4番目の「誠実義務」でございます。
1つ目の○といたしまして、誠実義務に基づき、労働者は先ほど御説明いたしました秘密保持義務、競業避止義務を負っておりますほか、使用者の名誉・信用を毀損しないといった、誠実に行動することが要請されてございます。
2つ目の○で「このため」といたしまして、一つとして、就業規則において、自社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合には、副業・兼業を禁止または制限することができることとしておくこと。
二つとして、副業・兼業の届出等の際に、それらのおそれがないか確認することなどが考えられるとしてございます。
以上の4点を踏まえまして、14ページでございます。(5)といたしまして「副業・兼業の禁止又は制限」として、全体をまとめてございます。
1つ目の○といたしまして、副業・兼業に関する裁判例におきましては、一つとして、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるとされてございます。
一方で、2つ目のポツといたしまして「例外的に、労働者の副業・兼業を禁止又は制限することができるのは」ということで、マル1労務提供上の支障、マル2業務上の秘密の漏えい、マル3競業により自社の利益を害する、マル4自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合のいずれかに該当する場合であることとされております。すなわち、先ほど(1)から(4)で申し上げましたような点に関しまして、支障がある場合に関しましては、例外的に副業・兼業を禁止、制限することができるというものでございます。
2番目の○で「このため」といたしまして、就業規則におきましては、一つとして、原則として、労働者は副業・兼業を行うことができることにしておくということ。
一方、2つ目のポツといたしまして、例外的に、上記のマル1~マル4のいずれかに該当する場合には、副業・兼業を禁止または制限することができることとしておくことが考えられると整理をしてございます。
3つ目の○でございます。なお書きでございますが、副業・兼業に関する裁判例におきましては、就業規則において、労働者が副業・兼業を行う際に、許可などの手続を求め、これへの違反を懲戒事由としている場合におきまして、形式的に就業規則の規定に抵触したとしても、職場秩序に影響せず、使用者に対する労務提供に支障を生ぜしめない程度・態様のものにつきましては、禁止違反に当たらないとし、懲戒処分を認めていないところでございます。
最後の○で「このため」といたしまして、労働者の副業・兼業が形式的に就業規則の規定に抵触する場合でありましても、懲戒処分を行うか否かにつきましては、職場秩序に影響が及んだか否かなどの実質的な要素を考慮した上で、あくまでも慎重に判断することが考えられるとしてございます。
この最後の点に関しましては、前回の当分科会におきましても御議論があったところでございまして、整理をさせていただいた次第でございます。
以上が、本日の6番目の項目の御説明でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見があれば、お願いいたします。
大橋委員。
○大橋委員 大橋でございます。
御説明ありがとうございました。
私からは、安全配慮義務に関して、使用者側の意見を1点申し上げたいと思います。
安全配慮義務につきましては、使用者として当然守らなくてはいけない、履行しなくてはいけない義務ですので、労働者の方が兼業・副業を行っているかどうかに関係なく、これをやらなければいけないということについては、当然理解をしております。ただ、兼業・副業をされている方の安全配慮をするためには、その兼業・副業先での働き方の実態を知らないと、配慮のしようもなかなか難しいということだと思います。
労働時間については、労働者の方の申告に基づいて把握することができると思うのですけれども、例えば他社の仕事の負荷の程度といったことについては、把握することはなかなか難しいというのが実態ではなかろうかと思っています。
資料の7ページに書いていただいている、真ん中のところからある補足の部分の2つ目のチェックのところに、労働者から副業・兼業の申出があった場合、上司や人事担当者はその副業・兼業が競業に当たらないか、いつ、どこで副業・兼業を行うのか、どの程度の就業時間、業務量になるのかなどを確認してくださいと書いていただいております。
仕事の内容、場所、時間は労働者の方の申告からそれなりに明確に分かると思うのですけれども、仕事の物量、それからそれが心身にどのぐらいの負荷を与えるものであるのかというような実態は、他社のことでありますので、企業が正しく把握するというのは、現実問題としてはかなり難しい面があるという点につきまして、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 池田委員。
○池田委員 ありがとうございます。
今の大橋委員の発言にも若干絡むのかもしれませんが、2点確認をしておきたいと思います。
安全配慮の過重性の判断の予見可能性として得られるものが、これでいうと労働者の自己申告なりで伝えられる労働時間が具体的な要件なのかと考えられますので、それを基に判断されるということでよろしいかということがまず1つです。
また、例えばその労働者の方の顔色が明らかに悪いとか、体調が悪そうなことが分かった場合に、企業としては、当然、その労働者の方とコミュニケーションを取った上ですけれども、必要に応じて副業を禁止したり、制限したりすることができるということは認められるということかどうかというのを確認しておきたいと思います。
よろしくお願いします。
○荒木分科会長 質問もありましたけれども、幾つか御発言をいただいた後にまとめてにしましょうか。
仁平委員。
○仁平委員 ありがとうございます。
私も安全配慮義務に関係する発言をさせていただきたいと思っております。
前回までが、労働基準法38条の世界における労働時間の通算、本日は、労働契約法も含めて、より広くベーシックな課題なのだろうと考えておりまして、私が1点確認をさせていただきたいのは、この労働時間が通算されない非雇用の形で副業・兼業を行う場合や、労働者が副業・兼業を申告しない場合でも、使用者としての安全配慮義務を負うという理解でよろしいのかということです。
若干補足して申しますと、副業・兼業は記載のとおり、労働者の意思で行うということが多く、労働者の側としても、健康への影響や業務への支障がないように自己管理を求められるというのが、社会通念上、当然なことなのだろうと思っております。
しかし、前回も発言させていただきましたが、一方では自由意思とはいえ、生活のために行っているという人も実は多数派でございまして、裁量のある働き方の人は、そういう場合はほとんどおらず、自己申告もしづらいという状況があるというのが実態であります。立場も弱く、使用者からの配慮がそういう意味では不可欠なのではないかと思っている次第です。
また、その安全配慮は労働者がいかなる事情を抱えていようとも、全ての労働者が等しく安全に労働できるように配慮するという理念が求められるのではないかと思っております。
こうしたことを踏まえるならば、申告しなかったら、安全、健康の確保は労働者の自己責任なのだと、使用者の安全配慮はなくなるのだという整理をするのは不適切なのではないかと思っております。
前回、労基法第38条の議論の中では、事務局の説明の中で、労働者の申告では知り得なかったことに対してまで、使用者が責任を問われることはないという御答弁、説明はいただきましたが、安全配慮に関しては、労働者のほうから申告がなかったのだから、使用者に安全配慮の責任はないということになれば、現状より後退してしまうのではないかと思っております。
自己申告をしなくとも、あるいは副業・兼業が非雇用であったとしても、使用者は安全配慮義務を免れるものではないということを確認させていただきたいのと、そうした趣旨について、明確に位置づけて、現場の労使にそれが伝わるようにお示しをいただきたいという意見でございます。
○荒木分科会長 安全配慮義務についての議論になりますが、八野委員、どうぞ。
○八野委員 ありがとうございます。
同じく、安全配慮義務のところで少し考え方を述べさせてもらいたいと思います。今回の資料の6ページのところから安全配慮義務になっていますが、ここの中ほどの「安全配慮義務」の最初の○の中ほどのところでは、「副業・兼業を行う労働者を使用する全ての使用者が安全配慮義務を負っている」とされています。これは今、使用者側の委員からも出てきましたが、この認識の下で見ていったときに、安全配慮義務については具体的な対応として、「このため」というところの下の2つ目のポツですが、副業・兼業の届けの際に、健康状態の報告や把握のルール等、こちらに書いてあるようなものを定めること、または副業・兼業の開始後は、副業・兼業の状況について、労働者からの報告等により把握し、労働者の健康状態に問題が認められた場合には適切な措置を講ずることが考えられるとされています。
そういう中で見ていくと、いつ、どのぐらいの頻度で健康状態を確認することが適切なのかということは、ガイドラインに記載するとなると、業務の実態は様々なので一律に定めるのは非常に難しいところはあるのですけれども、何らかの目安があったほうが、より確実に実施されると思っています。
先ほど指摘があったわけですけれども、7ページの下の「労働者が副業・兼業を始めたら」ということで、企業の雇用者と労働者がコミュニケーションを取る、または8ページの「モデル就業規則」の下の「企業における対応例」というところで、対象者に対する健康管理方法ということで2つ挙げられております。
相談しやすい、またはコミュニケーションを取りやすいという環境をつくってもらうということを前提として、労働者が過重労働で心身の健康を損なわないようにする健康配慮の義務という視点から、時間外の上限規制や長時間労働者の医師による面接指導は、1か月単位の労働時間を基にした設計になっているわけなので、このような運用と併せて毎月の健康状態を確認するといったような例示をガイドラインにある程度示していく必要があるのではないかと考えています。
この点について、今、使用者側からもどうすればいいのかというような御意見もありましたので、そういうものを含めて、ガイドラインに記載をしていくことをやっていかないと、やはり混乱を招くのではないかと思います。
以上です。
○荒木分科会長 鳥澤委員、どうぞ。
○鳥澤委員 ありがとうございます。
まず、私が前回の会議でも発言しましたが、副業・兼業は、スキルや経験が本業につながるよいものだと思っております。
一方で、企業の立場からすると、その推進に当たっては、労働時間の通算規定は廃止すべきといった声や、社員の長時間労働に対する懸念、労務の煩雑さ、また情報漏えいを懸念する声がいまだに多いのは事実です。
そういった中で、簡便な時間管理方法については、企業の実態に沿った内容であることから、方向性としては妥当であると思います。
その上で、本日の論点について申し上げますが、先ほど仁平委員からもあったように、前提として、兼業・副業がされるとき、本来の目的であるスキルや経験を得るというよりも、どちらかというと、生活のため、収入を得るためという、いわゆるダブルワーク等になる可能性が多いのではないかと私は思います。
そのことを前提に話しますと、所得や収入を得るためとなると、他業種に行くというよりも、自分の今あるスキルを生かせる同業種に行く可能性が多いのではないかと思います。そうすると、競業避止、情報漏えいが非常に問題になってくるのではないかと思います。情報漏えいが発生すると、その責任は労働者個人にとどまらず、企業の社会的信用喪失にも及ぶことから、非常に重要な問題だと思います。
したがって、副業・兼業をしようとする労働者に対して、事前にどのような職種や仕事に就くのかというのを申告、届出をさせ、本業先の企業が承認するという制度にすること、また、申告漏れや虚偽の申告、届出の場合には、本業の企業が責任を問われないというような制度にすることがやはり大事ではないかと思います。それは単なる就業規則ということではなく、それを担保する法的なものが必要なのではないかと考えます。
また、副業・兼業をしようとする労働者が本業先の企業へ申告、届出をする際に、本業先の企業に対して、過度な事務負担や責任を負わせるべきではないということを十分に留意して行う必要があるのではないかと思います。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
競業避止義務の話も出ましたけれども、一旦、安全配慮義務の議論について、事務局よりお答えいただきましょうか。
○労働条件政策課長 ありがとうございます。
大橋委員、池田委員、仁平委員、八野委員、それから鳥澤委員も安全配慮の部分も含めてかとは思いますが、まとめて御説明申し上げますと、今回、労働時間に関しては、通算をするということを維持し、かつ管理のモデルなどにおきましても、上限を超えないようにしていくという考え方でございますので、まずもって副業・兼業によって、長時間労働によって健康を害することがないようにということには、大変重きを置いて整理をさせていただいて、御議論をいただいたものであると考えてございます。
まず、入り口の段階におきまして、この労働時間の長さという観点において、そういった法令を遵守できる範囲内でやっていくということは当然必要になると思っております。その上で、実際に働いた後について、どのように把握をしていくのかという点であると思います。
まさにそのような問題意識から、6ページの一番下のポツにおきましても、副業・兼業が始まる前に確認することも当然ございますし、そこで問題を予防することもできる場合もあろうと思います。しかし、実際に始まった後においても、問題が起きないようにしていくということはやはり必要であるという問題意識でございます。
その中で、例えば明らかに本人の状態がおかしい場合に、必要によってはこの副業・兼業を禁止・制限できるかというのは、もちろん個別の事案によりますけれども、本業の労務提供に支障があるような場合には、そういった場合もあり得ると考えられますので、そのように禁止・制限すべき場合というものも当然出てくるものと考えてございます。
一方、例えば労働時間の通算に関しては、申告などを通じて把握するということを前回御議論いただきました。その申告がなかった場合ということでございますが、先ほどの労働時間の通算の申告は他社の労働時間を把握する場合の手法でございますので、ここで御議論いただいております民事的な安全配慮義務の話とは別の問題でございますので、こういった申告の有無といったものにかかわらず、一般論として、安全配慮義務といったものがかかっているという理解でございます。
一方、副業が雇用形態ではない場合ということでございますが、この安全配慮義務は労働者を雇っている労働契約に伴うものでございますので、労働者を雇っている使用者であれば、一般論として、この安全配慮義務は認められる。したがって、仮に自社で雇用している労働者の方が副業をしていて、その副業が雇用形態でなかったとしても、だからといって安全配慮義務がなくなるというものではない。
さらに言えば、副業・兼業をしているかどうかにかかわらず、労働関係の中で安全配慮義務は存在をしているということでございます。
八野委員からございましたこのガイドラインの記載の部分は、さらに改善の余地がないか少し検討させていただいて、御相談をさせていただきたいと思います。
一方で、この安全配慮義務で難しいのが一律にどうこうというところが言えず、逆に一律に言うことによって、本来問題を防ぐべき端緒が奪われてもいけません。そういった点も踏まえまして、さらなる工夫ができないか、ちょっと検討させていただいて、各側委員の皆様とも別途御相談をさせていただきたいと存じます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
今の安全配慮義務について、さらに何か御意見があれば伺います。
川野委員。
○川野委員 ありがとうございます。
先ほど、安全配慮義務に関わる議論で、事務局がガイドラインの見直しの検討に若干触れられましたので、加えて言いますと、使用者は、副業・兼業の労働時間等の内容の把握に限らず、健康確保についても責任があるということが、ここの文言の中では、広義に言えば含まれているという解釈ができるのかもしれませんが、健康確保についても責任があるということを明確に示しておく必要があるのではないかと考えます。
また、これに関して、先ほども若干触れられましたが、副業・兼業の場合の健康確保をどのような方法で行うのかについて、ルール等を定めておくことが望ましい旨をどこかに記載をするということが必要かと考えますので、発言させていただきました。
よろしくお願いします。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
山内委員。
○山内委員 ありがとうございます。
冒頭で森口委員からございました、連合でのリモートワーク調査結果における労働時間管理のお話にもつながりますが、労働者が本当にしっかりと仕事ができているかだけでなく、健康かどうかといったことや、出社して顔を突き合わせればわかるようなことを、使用者側は把握できずにとても苦労したという点において、リモートワークと兼業・副業は共通点があるのではないかと思っております。
そのような中では、ルールを決めることと併せて、あうんの呼吸で理解をし合うのではなく、契約の段階で約束事を決めるということが重要だと思います。先ほど川野委員からお話がありましたように、やはりある程度のガイドライン等を設けなければ、結果的に曖昧なままのやり取りとなり、後で問題が起きる恐れがあるということは、皆さま方の共通の認識だと思います。
これは例なのですが、私どもは勤務間インターバルを導入しようとしておりまして、勤務間インターバルの時間が2つの会社ですと積算の仕方や把握の仕方が難しくなるので、どうしたものかと思っております。
これを使用者側から提案するのはどうかという意見もあるかとは思うのですが、例えば副業を行う場合、1日の就業は1社に限るとか、あるいは休日等における勤務の仕方を約束事やルールできちんと決めるといったことをガイドライン等で何かお示しいただけると、後でコンフリクトが起きないのではないかと使用者側も考えているところであります。
大事なのは契約時点のコミュニケーションであろうかと思いますが、先ほどのお話にもありましたとおり、兼業・副業で新しい価値創造をしてもらうことが一番の目的なので、それを実現するためには、そういったガイドラインをつくっていただければと思った次第です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
鈴木委員からも手が挙がっていましたが、鈴木委員。
○鈴木委員 ありがとうございます。
各委員の方々からもご意見がございましたとおり、各社が安全配慮等の取組をされる際に参考になるという点で、私もガイドラインは有益であると思っております。
一方で八野委員から、例えば毎月健康状態を確認することをガイドラインで示してはどうかという御提案がございましたが、労働時間以外の健康状態をどこまで把握するかを具体的に定めることは現実的には難しい面があり、労働者のプライバシーに関わる問題が発生することも懸念されますので、企業が能動的に副業先の情報を把握するかについては、慎重な議論が必要ではないかと思います。
以上です。
○荒木分科会長 八野委員、どうぞ。
○八野委員 今、鈴木委員からあったお話については、労働側も同じ考えをもっています。
ただ、副業・兼業については、本当に健康で働けるというところをどのようにして工夫をして、守っていくのかということがやはり重要だと思いますし、それは、これから兼業・副業が増えてくるということを考えたときに、今まで労使の中ではそこのところはあまり触れてこなかったところです。今は、副業・兼業を行うことを希望する者が多いということが、先日の生産性本部の調査の中にも出ています。ですから、そこをきちんと慎重に議論していく必要はあると思います。
また、先ほど使用者側の委員から、1日1企業という話がありましたけれども、これは生活を維持するということで、サービス業のパートタイマーの人たちなどは、1日2社で働かれている実態もありますので、自分の能力を高めていこうとする副業・兼業の在り方と、仁平委員が言っておりました生活のために働かざるを得なくてやっているというような両方の実態を見て、労働時間管理をガイドラインの中で示していかなくてはいけないと思います。安全配慮義務についても、そういう観点で見ていく必要があるだろうと思います。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、安全配慮義務以外の副業・兼業に関わる課題についてもどうぞ御発言ください。
早乙女委員。
○早乙女委員 ありがとうございます。
私からは、10ページの競業避止義務について、事務局に確認をしたいと思います。
2つ目の○にございます「使用者は、労働者の自らの事業場における業務の内容や副業・兼業の内容等に鑑み、その正当な利益が侵害されない場合には、同一の業種・職種であっても、副業・兼業を認めるべき場合も考えられる」と記載がございます。この場合の正当な利益とは具体的に何を指すものでしょうか。
11ページに、正当な利益が侵害されない場合の裁判例が記載されておりますが、イメージが湧きにくいため、裁判例に基づいて参考となる例などがございましたら、御教示いただきたいと思います。
もう一点、14ページの「副業・兼業の禁止又は制限」につきましても、1つ目の○の2ポツ目に、企業はマル2「業務上の秘密が漏洩する場合」、マル3「競業により自社の利益を害する場合」に、例外的に副業・兼業を禁止または制限できると記載されております。個別のケースごとに判断が異なってくる点かと思いますが、企業側の実務担当者といたしましては、非常に分かりにくく、企業として判断に不安を感じるところでございます。
こちらにつきましても、例えばこういった競業避止、情報漏洩といったリスクをどこまで勘案して副業を許可すればいいのか、裁判例に基づいて目安となる考え方などがございましたら、ぜひ御教示いただきたいと思います。
以上でございます。
○荒木分科会長 それでは、御質問ですので、事務局よりお願いいたします。
○労働条件政策課長 ありがとうございます。
この競業の部分の正当な利益などでございます。この競業あるいは使用者の正当な利益といった範囲に関しましては、その性格上、一概に一律にお示しすることは難しいものと考えてございますが、裁判例などの御指摘もございましたので、一般的には競業といいますと、自社と事業内容あるいは顧客が競合しているような場合などが一般的だろうと思われます。また、この場合の使用者の正当な利益としますと、例えば先ほどもございました秘密の漏えいでございますとか、あるいは使用者の有する情報を利用しての顧客の争奪といったような事態などが考え得るのではなかろうかと思います。
これに関しても、副業の実態に応じて様々に考えられ得るところではございますけれども、裁判例の御紹介というような御指摘も頂戴しておりますので、今後、こういった問題を周知する中におきましても、なるべく参考となるような事例なども入れられるように、少し検討をして取り組んでまいりたいと考えてございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
○早乙女委員 ありがとうございました。
先ほどからも意見が出ておりますが、今おっしゃっていただいたように、ガイドラインなどでそういった裁判例などを分かりやすく周知いただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
川野委員。
○川野委員 今ほどの早乙女委員のご発言と若干重なる部分があるかと思いますけれども、秘密保持義務、競業避止義務に関わって、自社の正当な利益を害する場合には、就業規則で副業・兼業を禁止または制限することができるようにしておくこととか、これらの義務に違反しないよう、注意喚起することということが考えられるとされているところです。そこで、副業・兼業を申告する場合、申告の際に、義務違反に当たるか否かを労使である程度認識することができるようになっている必要があります。あるいは、労働者が申告しない場合、何が義務違反に該当するのかということがあらかじめ明らかになっていないと、副業・兼業をやっているという事実が判明したときに、労使の解釈や認識が一致しないということが発生し、紛争が生じるようなことに発展する可能性があるということです。また、今後、副業・兼業を考えている人たちが義務違反の該当内容等が明確になっていることで、その未然防止の効果が得られるということもございます。
秘密保持義務、競業避止義務というと、イメージ的に高度な、専門性を有する特殊な業種・職種に限られるような印象を持ってしまいがちですが、実際には、ごく一般的な業種や職種で幅広く競業避止義務、秘密保持義務を理由として、同業他社での就労が禁止されている例があると聞いているところでございます。
そこで、何が義務違反に該当するのかについても、就業規則等で明らかにしておくことが望ましい旨を、今ほど来出ていますガイドラインやそのほかに記載できないか検討いただきたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかに御意見はいかがでしょうか。
今の川野委員ご指摘の点について、事務局からは何かございますか。
○労働条件政策課長 川野委員からの御指摘、ありがとうございます。
少し思いましたのが、一律にはなかなか言えないこととはいえ、先ほどの安全配慮も全体を通じまして、ルールをきちんと自社ではっきりさせておいて、もちろん会社としてもそうですけれども、働く側としても、それがちゃんと分かる状態にしておくというのが一つのポイントなのであろうと思いました。
したがって、最終的にはまた公益の先生方にも御相談した上で、少し工夫を検討させていただきたいと思いますけれども、今申し上げたような趣旨で労使の方々の今後のお取組を進めていくという助けにもなるような観点も含めて、少し工夫を検討させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、第2の議題については、以上ということにさせていただきます。
これで副業・兼業の場合の労働時間の在り方については、一通りの議論が終了したということになります。そこで、事務局におかれては、次回の分科会において、これまでの議論を整理して、提示いただくように準備を進めておいていただきたいと思います。
次の議題に移ります。「(3)労働基準法に基づく届出等における押印原則の見直しについて」です。
事務局より説明をお願いいたします。
○監督課長 ありがとうございます。
事務局でございます。
それでは、資料No.3に基づきまして「労働基準法に基づく届出等における押印原則の見直しについて」、御説明をさせていただきたいと思います。
1枚おめくりいただきまして、1ページ目を御覧いただきたいと思います。
まず、一番上の箱ですが「経緯」と書いております。新型コロナウイルス感染症への緊急対応を契機としまして、規制改革実施計画などにおきまして、行政手続における押印原則の見直しが明記されたところでございます。
2ページを御覧いただきたいと思います。(参考資料1)ということで、閣議決定文書の抜粋を2つほど記載させていただいております。
上のほうの箱でございますが、規制改革実施計画の中の抜粋でございます。「6.デジタルガバメント分野」の「(3)新たな取組」ということで<行政手続における書面規制・押印、対面規制の抜本的な見直し>ということで記載がされております。お話としては大きく2つございます。
1つ目のパラグラフとしましては、コロナ対策などの一環で、緊急対応として、所管する行政手続などのうち、法令や慣行などによりまして、国民や事業者などに対して紙の書面の作成・提出を求めているもの、押印を求めているもの、対面を求めているものにつきましては、優先順位の高いものから必要な措置を講じるとともに、その周知を行うとされているのが一つでございます。
2つ目は、次のパラグラフでございまして、そういった緊急対応を行う手続だけではなくて、原則として、全ての手続につきまして、恒久的な制度的対応として、同じように年内に必要な検討を行いまして、法令、告示、通達などの改正をして、オンライン化を行っていく。
こういったことが実施計画として掲げられておりまして、一番下の括弧書きのところですが、制度的対応については、令和2年措置ということになっております。
下のほうの2つ目の箱でございますが、「経済財政運営と改革の基本方針2020」のほうでも、2行目に線を引かせていただいておりますが、全ての行政手続を対象に、見直しを行いまして、原則として、書面・押印・対面を不要とし、デジタルで完結できるように見直すということでございます。
このような閣議決定文書になっているのは、政府全体のものでございますが、これに関連して、36協定などにつきましては、若干個別の経緯がございますので、参考資料をもとに補足で御説明をさせていただきます。
参考資料2を御覧いただきたいと思います。こちらの右方のほうに書いてございますが、今年の6月5日に開かれました第10回「デジタルガバメントワーキング・グループ」の資料から抜粋をさせていただいております。この中には、各府省の項目につきまして、一番上に公正取引委員会から記載がございますけれども、書面・押印・対面の状況などを書かせていただいております。
1ページ目は公正取引委員会、金融庁、下のほうに財務省ときまして、2ページから厚生労働省の各種手続を抜粋しております。
御覧いただくとお分かりのように、この中で、軒並み緊急対応としては、書面や押印の手続が要らないとなっている中で、その時点でマル5として「労働基準法に基づく就業規則、36協定等の届出」は、書面・押印を求めるとしていたところでございます。
以下、3ページ、4ページと御覧いただきましても、書面・押印の手続を不要としているような政府全体としての扱いになっているという状況でございます。
次に、恐縮ですが、参考資料1を御覧いただきたいと思います。こちらの右方のほうに枠囲みをしておりますけれども、第11回「デジタルガバメントワーキング・グループ」が6月18日に開催されましたが、そのときに私ども厚生労働省の事務方のほうから、ワーキング・グループの委員の皆様に対しまして説明した資料に、電子政府化、オンラインの推進という観点などから問題があるということで大変厳しく御指摘をいただきまして、その後、7月9日に修正した、修正後のものをお持ちしております。
大きくは、この資料の1ページ目を御覧いただきますと「論点」と書いてあるものが左側にございますが、この中でマル1の書面主義の見直しということと、真ん中ほどのマル2ということで、押印原則の見直しについて御指摘をいただいておりまして、本日は押印原則の見直しについて御議論をお願いしたいと思っておりまして、この点について厳しい御指摘をいただいた結果、少しページを飛ばさせていただいて恐縮でございますが、6ページを御覧いただければと思います。こちらのほうに赤枠で2つ囲っております。内容のところは、重要な部分は同じでございますので、上のほうのマル2のイのほうで御説明をさせていただきます。
上から5行目でございますが「新型コロナウイルス感染症対策が必要な間、事後届出を前提として、押印又は署名がなくても受け付ける」という手続にするということになっております。これは先ほど参考資料2で御覧いただきましたような緊急事態のときについては、制度的に仮に押印や署名が必要であっても、それがなくても受け付けるようにするということでございます。
次に「また」以下のところですが、制度的な対応のほうについても、速やかに見直しをということで、ワーキング・グループのほうからはお求めがございました。ただ、私どもとしましては、これは労働基準関係の実務でも非常に重要な手続でございますので、労働政策審議会で御審議をいただきまして、その中で結論をいただくようにしなければいけないということを規制改革会議のほうにも申し上げまして、その結果、先ほど御説明したようなものを踏まえまして、政府の方針を審議会で御議論をいただいて、結論を得て、必要な措置を講ずるということを求められているという状況でございます。
大変恐縮ですが、資料No.3のほうにお戻りいただきたいと思います。こうしたことで、先ほど申し上げましたように、政府全体として規制改革実施計画などで実施をしていくことが求められているわけでございますが、この中で特に36協定届などにつきましては、個別に着目をして、速やかに議論をすることが求められているところでございます。
1ページに戻りまして、現行制度の御説明をさせていただきます。
1つ目の○でございますが、36協定届は、下のほうに少し縮小して示しております様式第9号等の法令様式を用いまして、使用者が行政官庁に届け出ることで免罰的効果を及ぼすものとなっております。
2つ目の○でございますが、この様式第9号等の法令様式は、必要な事項の最小限度の記載をすべきことを定めるものであり、異なる様式を用いることを妨げるものではありませんが、届出に際しましては記名・押印または署名をしなければならないということで、労働基準法施行規則に定められております。
今回、その規制改革推進会議から先ほどの経緯で求められておりますのは、この下の縮小した様式の一番下のほうに赤枠で囲っております、届け出る際に使用者の方に押していただく押印欄ということでございます。こちらのほうについて、政府の方針を踏まえて、見直す方向で御議論をお願いしたいということでございます。
なお、今回、36協定についてお話をさせていただいておりますが、1ページおめくりいただきまして、3ページ以降のところを御覧いただきたいと思います。
(参考資料2)と上のほうに書いてございますが、こちらに「使用者の押印を求めている省令様式」としまして「労働基準法施行規則」で一番左側に様式第1号から順番に関連する法条項、則の条項、様式名などを一覧として書かせていただいております。一つ一つはお時間の関係もあるので省略しますが、次のページをおめくりいただきまして、5ページ目まで記載がございます。
6ページ目でございますが、様式という形ではありませんが、労働者の押印を求めている各省令がございます。就業規則に係る意見書、事業附属寄宿舎規則・建設業附属寄宿舎規則の届出などもございまして、こういったものも範囲に含めて、全体を御議論いただきたいと思いますが、こういったものをまとめて御議論いただくのには、また次回以降、整理をしてお願いをする部分も出てこようかと思いますが、全体としては、こういった範囲まで含めて御議論をお願いしたいということでございます。
雑駁でございますが、事務局からは以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問、御意見があればお願いいたします。
鈴木委員。
○鈴木委員 ありがとうございます。
今月8日、経団連会長の中西と関係者が連名で「『書面、押印、対面』を原則とした制度・慣行・意識の抜本的見直しに向けた共同宣言」を公表させていただきました。経団連はその公表の前から、デジタルガバメントの推進を求めており、今般の新型コロナウイルス感染拡大防止を契機にアナログ行政を全廃し、新しい行動様式としてのテレワークを定着・普及させることを、最大限取り組んでいる最中でございます。こうした中、17日に閣議決定された「規制改革実施計画」に基づき、厚生労働省が押印原則の見直しに向けた検討に着手されたことを歓迎したいと思います。
まずは「時間外労働・休日労働に関する協定届」における使用者側の押印に焦点を当てた議論を行い、さらに労働関連法の各種届出についても、見直しの議論につなげていくことが重要だと考えております。テレワークの定着や生産性の向上という観点から、この「時間外労働・休日労働に関する協定届」における使用者押印欄の廃止が適切だと考えております。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
仁平委員。
○仁平委員 ありがとうございます。
我々は現場を背負っておるものですから、これまで労政審でやってきた議論もきちんと踏まえて、足元では働き方改革などを社会に定着させていかなければいけないし、その中で引き続き、ずっと問題になっていることはあるのだろうと思っています。そういう課題も含めて、責任ある対応をどうするのかということを今回求められているのだろうというのが我々の問題意識でございます。
今回御提案をされているのは行政への届出の話でございますが、まずは36協定そのものの話から触れさせていただきたいと思っております。
御案内のとおり、36協定は労働者保護の最低基準を解除するとともに、その罰則を免れさせる効果を有しておるものでございます。ゆえに、協定締結の当事者である過半数労働組合、過半数代表者というのは、そこに関わる重大な責任を負っているものでございます。
ところが、過半数代表を適切に選出されていないということが従来から問題になってきているわけでございまして、36協定届は、運用上、過半数組合や過半数代表者と使用者が署名または記名・押印することによって、協定書を兼ねることができるとされておりまして、中小企業においては、協定書と協定届を兼ねている場合も多くあるとお聞きをしているところであります。また、さきほどの罰則つきの上限規制の法改正も含めて、労使の責任というのは、こういったことでより重くなっているのだろうと思っています。
議事録の中に残っておりますが、2018年の当分科会で協定届の省令様式を検討した際も、労働側からは、労働側の代表の押印も必須とすべきなのではないかといった議論も過去にしてきた経緯もあるところでございます。
今日御提案のあった行政手続の全般において、押印主義を見直して、デジタルガバメントを推進するという大きな方向性というものは理解した上で、今回、36協定届の押印原則等についての検討に当たっては、過去のこういった議論の経過、実態ということも踏まえて、過半数代表の適切な選出の徹底に資するような方向で議論をすることが必要なのではないかと考えております。この議論の切り口といいますか、こういったことについて、事務局の見解を確認したいというのが1点目でございます。
また、過半数代表者の選出方法については2018年のJILPTの調査を拝見させていただきましたが、使用者の指名によって過半数代表者を選んでいるというのは法的に違法なもの、無効なものだと思いますが、これは2割を超えているということで、その前にやった調査と比べてもあまり改善が進んでいないのではないかと思っております。
そもそも36協定を締結している割合は、日本全体でどの程度あって、本当にそれで全ての届出がカバーされていると言えるのか、その中で、届出をしている36協定は現場できちんと労働者に周知されているのか、過半数代表者の選出方法がどうなっているのかといったもろもろの今の実態について、議論の前提になるのだろうと思っておりまして、こういったデータも含めて、次回の分科会で示した上で、この議論をぜひ進めていただきたいと思っております。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
それでは、事務局よりお願いいたします。
○安全衛生部長 基本的認識について、私のほうからお答えさせていただきたいと思います。
ただいま、使用者側、続いて労働者側の取りまとめ委員から御発言がございましたが、デジタルガバメント推進という大きな方向性につきましては、一定の共通理解を前提とした上で、特に今、仁平委員から強調してお尋ねがあった点に関しましては、過去の労働政策審議会、働き方改革関連法の施行において、特別条項も含めた新しい様式をつくったときの御議論を引いてのお話がございました。この点につきましては、過半数代表者の適正選出等の課題があることは、この場でも共有され、一方では、あのときの議論では、その記入の心得のところで一定の記載をすることで共通理解を得て、その後の状況を見ようということになったという経過かと思います。
その上で、その点をきちんと押さえているのかという点でございますけれども、ただいまお話がございましたように、まさに2018年時点という御指摘がございましたが、直近のJILPTの調査でも、使用者の指名によるものが21.4%、また社員会とか親睦会の代表の方を自動選出している比率が6.2%と、いずれもその前の2007年の調査よりは一定のポイントを低下している、またこの具体の資料については、お話もございましたので、各側と御相談の上、次回に提出もさせていただきたいと思いますが、比率は低下しているものの、一定の課題があることは事実であるという認識は私どもも持っているところでございます。
また、およそ全ての時間外・休日労働において、届出が必要な場合に、協定が届け出られているのかという点につきましても、監督指導の実情等から言いまして、まだまだ課題がある。しかし、一方では、労使双方の御努力にもよりまして、先ほど申しましたように、適正選出の方向に進んでいることも間違いありませんし、また、様々な行政機関の監督指導だけではなくて、まさに各団体の自主的な御尽力もありまして、取組が進んできていることも事実だろうと思っております。
そして、今回のお話に関しましては、押印原則の見直しにつきまして、先ほど担当課長からも御説明差し上げましたように、国全体の新型コロナウイルス感染症対策への緊急対応を契機としたものではございますが、この押印欄の位置づけに関して、見直すに当たっては、過去の審議会の経緯も踏まえて、また、過半数代表者の選出等をめぐる問題について、様々な議論が重ねられてきているという経緯も踏まえて対応してまいりたいと考えております。
なお、先ほど担当課長から申しました6月18日のデジタルガバメントワーキング・グループで、事務方が対応しましたと説明を申し上げましたが、対応した事務方は私でございます。その際にも、労働政策審議会において、過去にも経緯のある問題であるということ、また、その際に過半数代表者の適正選出等をめぐる問題が、押印の問題とある意味で表裏一体の問題として取り上げられてきているということの上で、しかし、一方で、国全体の議論の流れの中でしっかり対応していくように、これはぜひ労政審で一度議論をさせてほしいということを申し上げまして、その上で先方からの理解も得た上で、今日の流れになっているということも御理解いただければと思います。
若干長くなりましたが、経緯と認識については以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
佐久間委員。
○佐久間委員 ありがとうございます。
今の村山部長の回答によって、ほとんど入っているのかもしれませんけれども、私も中小企業の立場として一言申し上げたいと思っています。
実際、中小企業は、時間外労働をするために、就業規則は何人というのはありますけれども、時間外労働をさせるために36協定を結ばなければいけないというのがまだまだ遅れている状況というのは皆様も認識があるところだと思います。これを推進しなければいけない。
特に今年の4月からこの新型コロナ等の影響もあって、時間外労働の上限規制の関係も併せてやりながら、この影響にも対応しなければいけないということで、周知等が遅くなってきているのかということも認識をしております。
そこの中で、私が知る限りなのですけれども、中小企業の多くは、協定と様式第9号の届出が別々のものというか、この一体で兼ねているという様式を届けている例が多いのではないかと思っています。別々の協定で労使の合意があって、それでこれは届出なのだ、だから使用者が届けるということになりますから、印鑑があるのだという認識を知らないまま、実務上、監督署のほうに労使の記名・押印をしたりとか、捺印をして届けているのが現状ではないかと感じております。ですから、基本はまず労使協定があって、それで双方の合意があったものについて届け出る様式なのだということの理解を重ねて周知をしていくいい機会なのかと逆に思っています。
特にこのデジタルガバメントは押印の省略というか、省いていくというのも世の中の流れではありますので、推進をしていく上でも、ぜひこういう理解を深めていっていただきたいと思っております。基本的に私もその流れは賛成でございます。
あと、事務局に1点お伺いしたいのが、先ほど申し上げましたように、私が知る限りですと、多分大企業のほうは協定と届出という書類的なものが別々でていをなし得ていると思うのですけれども、中小企業の多くはこの様式第9号の1、一般的なものを使って届け出るのが多いのではないか。
各実務ベースなのですが、監督署等のほうで、規模別で、どのぐらいの割合でこの様式第9号を使った協定を兼ねている届出を行っているのか、協定と届出は別でやっているのかというのを感覚的なものでも構いませんので、もし何か分かれば教えていただきたいと思うのですけれども、よろしいですか。
○荒木分科会長 事務局よりお願いします。
○監督課長 ありがとうございます。
事務局でございます。
今、お尋ねがございました36協定自体とその届出書を一体化して出している割合自体は統計で取ってはいないのですけれども、少しそれに近いと思われる参考になるものということで、昨年1年間で届け出られました36協定届の中で、過半数組合の方と締結をして出してこられているものと、労働者代表の方と締結をして出してこられているものと大きく2つに分けることができます。現場のほうで受け付けている感覚としましても、労働者代表の方と結んだものは、協定自体と届出書が一体になっている場合が多いというような形で認識をしております。
その労働者代表のほうで結ばれている36協定届の割合ということで言いますと、9割をちょっと超えるぐらいの数字でございまして、残りの1割弱ほどが過半数の組合の方と締結をしている36協定届ということになっております。
正確な統計がなくて恐縮でございますが、大体の割合としては以上でございます。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
川野委員。
○川野委員 ありがとうございます。
今ほど佐久間委員から発言がありました中小企業の現場に付随してでございます。
この間、当分科会の中でも、労働法の理解が進んでいないようなことから派生する様々な課題が明確になってきたところでございます。佐久間委員が御指摘いただいたとおり、36協定の協定書と協定届の解釈というか、違いを十分に理解しているかというところは、十分な理解が進んでいるとは思っていないということでございます。
そうしたことから、今回の押印廃止によって、全ての手続を廃止したという解釈の誤解が発生して、広まっていくという懸念が一つ。もう一つには、そのことによって、使用者の一存で作成した協定書が提出されるようなことも生じかねないという危惧も持っているところでございます。
我々労働者は、過半数代表者の選出や協定の締結が適正に行われることが大変重要だと考えています。したがって、協定届の省令の様式の使用者の押印を廃止するということであるならば、その代わりに協定届が使用者の一存で作成されたものではないということが何らかの形で担保できる仕組みができないかと考えておりまして、過半数代表者が適切に選出されて、労使合意の下で協定が締結される届出がされたということが確認できる何らかの仕組みが必要不可欠だと思っているところでございます。
例えば、過半数代表者の連絡先とか、メールアドレスとかの記載を求めて、無作為に労働局、労働基準監督署がそうしたところに、あなたは労働者代表の手続に携わられましたか、そういう協定を結びましたかということを確認するという仕組みも、一つの例として考えられると思っていますし、そうしたことの事後確認ができる方法が必要かと思っているところでございます。
今回の押印原則の見直しは、先ほどの資料の3ページ以降にありますように、労働者の生活や健康に関係する重要なものが大変多く含まれています。その全てを押印廃止という大きな方針で画一的に処理するのではなくて、現場の実態、または誤解のおそれ等があることも含めて、現実に対する現状の影響を考慮して、慎重に検討を進めるということも必要だと思っているところでございます。問題が生じないように十分に留意しながら、議論を進めていただきたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
鳥澤委員。
○鳥澤委員 ありがとうございます。
私どもは中小企業ですが、慢性的な人手不足という中では、押印を電子化するというのは、非常にありがたいことだと思います。特に、地方で行政機関に赴くだけでも時間がかかり丸一日使うというようなところにとっては、業務の効率化に寄与するものだと思いますので、押印原則を見直すのは賛成です。
ただ、そういった中でも、現在でも就業規則や36協定書の電子申請システムによる届出が可能にもかかわらず、利用率が僅か1%にとどまっていると伺っています。
したがって、厚生労働省におかれては、ヒアリング等を通じて、なぜまだ利用率が少ないのかということを分析していただきたいと思います。
また、先ほど申し上げた業務の効率化に資するためには、単に押印の見直しをするだけではなく、提出も電子メール等、また添付ファイル等で出せるようなものにしていただかないと意味がないと思いますので、電子申請の促進を押印原則の見直しと同時に実現していただきたいと考えます。
以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
事務局から、お願いします。
○監督課長 ありがとうございます。
事務局でございます。
川野委員からのお話にもございましたけれども、私どもといたしましては、先ほど御説明をいたしましたように、今回、その見直しということでは、36協定の届出に当たる部分の使用者の方が届けていただく部分の手続ということでございまして、いわゆる分けた場合でいうところの本体の部分は、行政としては、今までも押印は義務として求めているものではありませんが、労使の合意などによって行われてきたものでございまして、そこはそういう手続で変わらないということは、見直した場合におきましては、よく周知をして、混乱が生じないようにしないといけないと考えております。
それから、鳥澤委員からお話がございました電子申請のさらなる活用がされるようにということは、これも今回の議題ではございませんが、規制改革推進会議のほうから御指摘をいただいておりまして、ユーザーたる企業の皆様方、経済団体の皆様方からお話を伺って、より使いやすいものとなるようにするということは、いろいろな手法で考えていきたいと思っておりまして、そこは引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
以上です。
○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
この押印の廃止の問題については、種々御意見をいただいたところでございます。押印原則の見直し自体につきましては、政府の方針であるということもありますけれども、今回提出された御意見の中でも、方向性自体については理解が示されたと受け止めたところでございます。
しかし、同時に、従来、働き方改革について、2018年にもこの審議会で議論いたしましたけれども、中小企業においては、36協定と様式第9号の届出を兼ねた状態で運用されている実態があって、法定基準を引き下げる重要な36協定というものが適正に作成されていくことの確認は非常に重要であるということから、そのときにも両者を兼ねた場合の協定届についての工夫なども議論したところであります。そういう経緯について、今日は労側委員からも御指摘があったと理解したところです。その重要な御指摘も踏まえて、次回、さらに議論を続けたいと思います。
また、36協定以外にも同様の届出等がありますので、これらについても視野に入れながら、事務局においては、次回、本日の議論を踏まえた議論ができるように資料等を用意いただければと考えております。
それでは、ほぼ定刻となりましたので、本日の議論はここまでとさせていただきたいと存じます。
最後に、次回の日程について、事務局よりお願いいたします。
○労働条件政策課長 次回の労働条件分科会の日程、場所につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
○荒木分科会長 それでは、第162回の労働条件分科会はこれで終了といたします。
なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の仁平委員、使用者代表の早乙女委員にお願いいたします。
本日は以上といたします。どうもありがとうございました。