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第11回 社会保障審議会企業年金・個人年金部会 議事録
日時
令和2年6月17日(水)10:00~11:55
場所
TKP新橋カンファレンスセンター 15階ホールD
出席者
神野部会長、森戸部会長代理、井戸委員、臼杵委員[オンライン]、
内田委員、大江委員、小川委員、金子委員、小林委員[オンライン]、
白波瀬委員[オンライン]、藤澤委員、細田委員
(オブザーバー)鮫島企業年金連合会理事長、松下国民年金基金連合会理事長
内田委員、大江委員、小川委員、金子委員、小林委員[オンライン]、
白波瀬委員[オンライン]、藤澤委員、細田委員
(オブザーバー)鮫島企業年金連合会理事長、松下国民年金基金連合会理事長
議題
(1)制度改正の進捗状況と今後の検討課題・進め方について
(2)厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について
(2)厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について
議事
- 議事内容
- ○神野部会長
それでは、定刻でございますので、第11回を数えますが、ただいまから「社会保障審議会企業年金・個人年金部会」を開催したいと存じます。
皆様にはコロナ問題でもって御対応のみぎり、かつ外は既に気温計で30度を超えているみたいなので、非常にお暑い中を御参集くださいましてありがとうございます。
本日の委員の出欠状況でございますけれども、伊藤委員、渡邊委員から御欠席との御連絡を頂戴いたしております。
また、変則ではございますけれども、今回は新型ウイルス感染症の状況を考慮しながら、臼杵委員、小林委員、白波瀬委員におかれましては、オンラインにて御参加いただくことになっております。御出席いただきました委員の皆様方が3分の1を超えておりますので、会議は成立していることを、まず、御報告申し上げたいと思います。
今回は半年ぶりの開催でございまして、昨年の12月、その後は疾風怒濤の時代になるのですが、その前に開催をいたしておりまして、企業年金・個人年金部会における議論の取りまとめを行いました。部会の取りまとめを受けた改正法が今回成立をしておりますので、その御報告を頂戴するとともに、残された課題もございます。そのため、議論を再開したいと考えております。
再開に当たりまして、高橋年金局長から一言御挨拶をいただけるということでございますので、よろしくお願いいたします。
○高橋年金局長
神野部会長、また、委員の皆様、日頃より大変ありがとうございます。
この審議会は昨年の2月からスタートいたしまして、1年間精力的な御議論をいただいて、昨年12月にお取りまとめをいただきました。それに基づきまして通常国会に法案を提出いたしまして、公的年金、私的年金を通じまして、今年の段階でできるものをいろいろ盛り込みまして、改正法を提出させていただいたわけでございますけれども、国会審議をいただきまして、与野党の賛成をいただいて、先般の5月29日に参議院本会議で成立し、6月5日に公布をさせていただいたところでございます。
公布即施行するものもありますけれども、段階的な施行になってございますので、周知、広報、また、いろいろなシステム面の準備もございます。そういったところにつきましてしっかりやってまいりたいと考えております。
一方で、今回できた課題のほかにできなかった課題もまだございます。私的年金の分野におきましても、さらにより公平な仕組み等に向かって課題が残されて、その辺りも12月の取りまとめでも課題として引き続きということを書いていただいたかと思います。残された課題につきましては、すぐできるものと少し時間軸の長いものといろいろあると思います。その時間軸に沿いながら急ぐものから検討し、今回の改正と合わせて行うと効果的なものも含めまして御議論をいただきたいと思っております。
重ね重ねこういう季節、また、コロナの折、今日の開催のレイアウトも特別仕様になっておりますけれども、そういった中でお集まりいただきまして誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、議事に入ります前に、4月1日から企業年金連合会におかれましては理事長の御交代があったようでございまして、鮫島正大理事長が御就任されていらっしゃいます。御紹介させていただきたいと思います。
○鮫島企業年金連合会理事長
鮫島でございます。今日から参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○神野部会長
よろしくお願いします。
それでは、議事に入らせていただきたいと思います。カメラの方はいらっしゃらないみたいですね。どうもありがとうございます。
そして、本日の議題でございますが、お手元の議事次第を御参照いただければと思います。議事として、主要な議事を2つ用意してございます。
1つは「制度改正の進捗状況と今後の検討課題・進め方について」、2つ目が「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について」でございます。
まず、事務局の方から資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
企業年金・個人年金課長です。本日はよろしくお願いします。資料の確認をさせていただきます。
本日の資料としましては、
資料1「企業年金・個人年金制度改正の進捗状況について」。
資料2「今後の検討課題・進め方について」。
資料3「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会の開催状況について」。
参考資料1「2020年改正の施行について」。
参考資料2「企業年金・個人年金制度の現状等について」。
参考資料3として、委員名簿を用意しています。
事務局からは、以上になります。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、第1の議題、「制度改正の進捗状況と今後の検討課題・進め方について」に入らせていただきたいと思っております。
事務局から資料の御説明をまず頂戴した後、御審議を頂戴したいと思いますのでよろしくお願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
それでは、制度改正の進捗状況と今後の検討課題・進め方について説明します。資料1をお開きください。制度改正の進捗状況について説明します。
1ページ、年金部会とは別の専門の部会、当初は「企業年金部会」が設置されて以来、2度の法改正を伴う制度改正が行われました。
一つは、2016年の確定拠出年金法等の改正で、2017年1月以降、段階的に施行されました。もう一つは、「企業年金・個人年金部会」への改組後、2019年12月に取りまとめられました「議論の整理」に基づく改正、2020年改正です。2020年改正は、より多くの人がより長く多様な形で働く社会へと変化する中で、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため、公的年金の見直しとともに、確定拠出年金の加入可能要件の見直し等の措置を講じたものです。法改正事項にとどまらず、政省令・運用面の改善事項を含めて、7回に分けて段階的に施行されます。
2ページ、企業年金・個人年金部会の第1回、キックオフの回に、「企業年金・個人年金を取り巻く状況と主な検討課題」を整理し、以降、御議論をいただきました。ページの下半分が主な検討課題ですが、赤字の部分が今回の2020年改正で対応した項目になります。
3ページ、公的年金を含む2020年改正法の全体像になります。赤枠部分が企業年金・個人年金部分になります。
4ページから6ページまでは、「議論の整理」をまとめていただいた12月の部会の際にも御覧いただいた法改正の内容になりますので、説明は省略させていただきます。
7ページは、12月の議論の整理では様々な内容をまとめていただきましたが、この5項目につきましては法改正に盛り込んだ内容になります。
8ページ、改正法の附則の検討規定に、与野党共同の修正によって項目が追加されました。政府は、国民が高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を行うに当たって、これに対する支援を公平に受けられるようにする等その充実を図る観点から、様々な項目について、税制上の措置を含め全般的な検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じるものとするといったものになります。
また、衆議院厚生労働委員会では検討規定と同内容の附帯決議が、参議院厚生労働委員会では「自営業者等の高齢期の経済基盤の充実を図るため、国民年金基金やiDeCoへの加入の促進を図ること。また、iDeCoの手数料について透明性を確保するため、国民年金基金連合会等に対し、手数料の算定根拠に関する情報公開を定期的に行うよう促すこと。」といった附帯決議が付されました。
続きまして、資料2に移ります。今後の検討課題・進め方について説明します。
1ページ、先ほどの資料1の2ページと赤とグレーを反転させていますが、赤字部分が2020年改正ではまだ対応し切れていない、積み残った課題になります。
2ページ、2015年の企業年金部会の取りまとめになりますが、手続の簡素化、マッチング拠出の在り方、3ページに進んでいただきまして、拠出時・給付時の仕組みや、特別法人税を含む拠出時・運用時・給付時の課税の在り方が今後の検討課題とされました。
4ページ、昨年の企業年金・個人年金部会の「議論の整理」になりますが、赤字部分、「DB・DCともに、公的年金の給付と相まって国民の老後の所得確保を図るものとして、その役割をどう果たすべきかという視点から、拠出や給付の仕組みの在り方について改めて検討していく必要がある」、「検討に当たっては、DBとDCの整合性を確保すること自体を目的とするのではなく、あくまで、社会・経済の構造が変化する中で、公的年金の給付と相まって国民の老後の所得確保を図るという両制度の制度目的を達成するためには、両制度の仕組みはどうあるべきかといった視点から検討していく」、「特別法人税について、2022年度末まで、課税停止措置が延長となったものの、今後、特別法人税を撤廃して、公的年金や公的年金に準じた取扱いとなっていた厚生年金基金同様、拠出時非課税・運用時非課税・給付時課税(EET)という税制上の措置が認められるためには、拠出限度額・中途引き出し・受給の形態といった拠出時・給付時の仕組みの在り方が改めて問われる」と記載されています。
また、5ページに進んでいただきまして、「将来像の検討」として、同じく拠出・運用・給付の各段階を通じた適正な税負担の在り方や、個々人の現在の状況と将来の見通しを全体として「見える化」していくこと、6ページに進んでいただきまして、赤字の部分ですが、拠出限度額・中途引き出し・受給の形態といった拠出時・給付時の仕組みの在り方、リスク分担型企業年金の合併時・分割時等の手続、定年延長等の雇用延長に伴う給付設計の見直しに当たっての手続、支払保証制度及び年金バイアウト、企業型DCのガバナンス、手続面について、引き続きの検討課題とされています。
7ページは、税制調査会の取りまとめになります。こちらにおいても、税の視点から検討課題として同内容が記載されています。
そこで8ページ、「今後の進め方」です。
引き続き、積み残った課題について御議論いただきたいと考えています。そして、課題は、法改正事項と政省令事項・運用面の改善事項に、また、意見の隔たりが大きい事項と小さい事項に分かれることから、時間軸を意識した議論が欠かせません。なかでも、今回の法改正が段階的に施行されていく際に併せて対応することが望ましい事項については、議論の優先順位が高いと考えています。
改正法附則に検討規定が追加されましたが、企業年金部会や企業年金・個人年金部会におけるこれまでの議論の中でも、拠出限度額をはじめとする拠出時・給付時の仕組みは引き続きの検討課題となっています。
拠出限度額等の見直しは税制と関連しますが、税制面においても、税制改正大綱等に示されているとおり、拠出・運用・給付の各段階を通じた税の在り方が検討課題とされています。こうした状況を踏まえれば、企業年金・個人年金部会としては、毎年度行われる税制改正を見据え、拠出限度額をはじめとする拠出時・給付時の仕組みを制度面の視点から議論していくこととしてはどうか。
また、企業年金・個人年金制度を安定的に運営するための体制整備についても積み残った課題の一つであるが、制度の在り方と制度運営の体制の在り方は一体不可分であり、併せて議論していくこととしてはどうか。
意見が分かれている、リスク分担型企業年金の合併時・分割時等の手続、定年延長等の雇用延長に伴う給付設計の見直しに当たっての手続、支払保証制度、年金バイアウトについては、厚生労働省においてそれぞれの意見の考え方を整理した上で議論することとしてはどうか。
企業型DCガバナンスについては、継続投資教育、運営管理機関等の評価、運用商品モニタリング、運用商品提供数、商品除外手続、指定運用方法の設定などについて、2016年改正の施行後の実態を厚生労働省において把握・分析した上で議論することとしてはどうか。
手続の改善については、2021年1月から始まる予定の個人型DCの加入申込み等のオンライン化などの施行状況をモニタリングするとともに、見直しの要望が強い第2号被保険者が個人型DCに加入する際に必要となる事業主証明の発行の事務等の改善に向けて議論することとしてはどうか。
参考資料まで通しで説明させていただきます。
まず、参考資料1をお開きください。今回の改正では7回に分けて段階的に施行されると説明させていただきましたが、その7回ごとに改正内容をまとめています。内容については、これまで幾度となく御説明させてきていただいた事項ですので、かいつまんで説明させていただきます。
3ページ、DCの運営管理機関の登録手続の見直しとして、法律事項の役員の住所については、登録事項から削除する改正を既に公布日から施行しているところですが、省令事項の「主要株主の商号・住所・持株割合」につきましても、金融機関を監督する類似の業法同様、登録事項から削除する省令改正を予定しています。パブリックコメントを経て本年10月からの施行を予定しています。
8ページ、DBのガバナンス確保に向けた法令上の手当てについては、政省令を改正して本年10月の施行を予定しています。
9ページ、10ページ、本年10月の施行に伴って、法令解釈通知の改正を要します。その改正に併せて、加入者資格について同一労働同一賃金ガイドラインを踏まえることを明記するなど、これまでの議論を反映させます。
9ページの右の欄を御覧ください。DCの法令解釈通知ですが、まず、第1、規約の承認基準等に関する事項ですが、冒頭がDBと異なり頭書の4行分がなかったことからその点を追記した上で、1の「一定の資格の内容」の冒頭に、赤字の部分になりますが、一定の資格を設けることができるが、同一労働同一賃金ガイドラインの基本的な考え方を踏まえることと明記しています。これは、左の欄のDBの法令解釈通知においても明記をすることとしています。
DCの欄に戻っていただきまして、1の(3)、労働条件が異なる場合のグループ区分の記載がなく、運用で認めていたことから、DBと同様、法令解釈通知に明記します。
「2.事業主掛金に関する事項」の(3)は、いわゆる選択型DCについて、事業主は従業員に正確な説明を行う必要があることと明記しています。
「第2 中小事業主掛金に関する事項」は、iDeCo+の対象範囲が拡大されたことに伴って形式的な改正をするものです。
10ページ、DCの投資教育の重要性が国会審議でも度々取り上げられましたが、第3の資産運用、投資教育に関する事項について、下線部分、これまで老後資産としての必要額が国民一律であるかのように受け止められかねない記載ぶりになっていたことから、「現役時代の生活設計を勘案しつつ、自身が望む老後の生活水準に照らし」、「なお不足する費用」とし、また、資産形成の計画や運用の目標についても、リタイヤ期前後となりますと、就労継続の見込み、保有している金融資産、公的年金、退職金等を踏まえたより具体的な資産形成の計画や運用目標の考え方が必要となってきますので、その旨を記載し、年齢に応じた投資教育を促します。
(4)の「また」以降の段落です。資産運用は、「退職時期を意識しリスク管理を行うことが一般的であり、老後までに時間がある若年層は比較的リスクが取りやすく、老後を間近に控える高齢層や資産を取り崩しながら受給する期間はリスクを抑えるといった投資の基本的な考え方を意識づけることが望ましい。」とし、受給期間もリスクを抑えた投資が必要となりますので、その旨を記載し、こちらも状況に応じた投資教育を促します。
12ページからは、iDeCoの加入申込み等の手続の見直しです。
13ページは、オンライン化です。2021年1月施行を予定していますが、その効果になります。
14ページは、参議院の附帯決議でもありましたが、iDeCoの手数料の現状です。
少し飛びまして、23ページを御覧いただきたいと思います。DCの加入可能年齢が65歳に引き上がった際、60歳以降で初めてDCに加入するような方の受給開始時期はどうするのかと大江委員から御指摘をいただいた点ですが、3つ目のマル、60歳前までの加入期間が1か月から2年未満と短い場合には60歳から65歳までの5年間は老齢給付金の支給の請求ができないこととなっていますが、この取扱いとの公平を図り、60歳前までの加入期間を有しない者については、企業型年金加入者となった日から5年を経過したときに老齢給付金の請求ができることとしています。これは法律上手当てをしてあります。
24ページを御覧いただきまして、現行でもそうですが、iDeCoや国民年金基金は公的年金を受給したとき、つまり65歳前に公的年金を繰上げ受給した場合は加入できません。また、DCは引き出しが自由の貯蓄ではありませんので、一旦受給の計画を立てて取り崩し始めた場合は、再加入して資産を再度積み上げていくことはできない形になっています。
これを前提に25ページを御覧いただきまして、DCの加入可能年齢の引上げと受給開始時期の拡大をみますと、現行は、企業型DC加入者は60歳前の転職をした際、資産を持ち運ぶことになります。60歳以後は、現状ですと、同一事業所で継続して使用される厚生年金被保険者に限り65歳になるまで加入可能で、退職後は運用指図者になり、70歳までの間に受給を開始します。60歳以後に、再就職を仮にして、その企業がDCを用意していても、企業型DCには加入できませんでした。
改正後は、60歳を過ぎて退職した場合、同じく運用指図者になり、75歳までの間に受給の開始を選択していただきます。その間に仮に受給をしていない場合に限りますが、転職時に企業型DCに資産の持ち運びが可能になります。
27ページ、こちらも大江委員から御指摘をいただいていた点ですが、企業型DCから中途引き出しをする場合、一旦、iDeCoに移換する必要がありましたが、この点の改善を図っています。これも法律上手当てをしてあります。
32ページ、企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和です。この点は金子委員から御指摘をいただいていた「年単位化」の場合の取扱いです。3つ目のマル、例外的にごく一部で採用されている年単位化に対応しようとすると、大規模なシステム改修を要すること、のちに事業主掛金が増額された場合にはiDeCoの掛金の還付が生じるなど、制度・実務が複雑になること等を踏まえ、取扱いを検討します。これは政令事項になります。
最後に、参考資料2をお開きください。制度の現状等につきまして、今後の議論に向けて資料を用意しています。
2ページ、我が国の年金制度の体系図です。企業年金・個人年金は年金制度の3階と位置づけられていますが、一方で、3ページ、企業年金は退職給付制度の一つ、個人年金は個人の資産形成を支援するものの一つでもあります。
4ページ、退職給付制度の類型です。この真ん中にあります4つが一般的に企業年金と呼ばれるもので、そのうち、適格退職年金は既に廃止、厚生年金基金も新設が終了していますので、確定給付企業年金(DB)と企業型確定拠出年金(企業型DC)、この2つが我が国の企業年金の中核となります。
5ページ、退職給付制度の実施状況ですが、企業年金よりも、社内積立の退職一時金の実施率が高く、また、企業年金を実施していても、退職一時金と組み合わせていることが多くなっています。
また、中退共の実施率が比較的高いわけですが、国会審議の中でも、DCの普及のみならず、中退共の普及や見直しも必要ではないかといった議論もありました。
6ページから8ページまでは、これまでの部会でも何度か振り返ってきました企業年金制度の変遷です。我が国の場合は、退職金・退職一時金がまず広く普及していた中で、企業年金が整備されてきましたが、企業年金もDB型が基本にあって、それに新たな企業年金制度としてDCが組み合わさってきた歴史であることは御案内のとおりです。
9ページからは、DB・DCの現状の数字になります。
11ページや13ページを御覧いただきますと、我が国の企業年金は中小企業や非正規雇用労働者のカバー率が低くなっているという現状が見てとれるかと思います。
少し飛びまして、16ページ以降は、企業年金・個人年金制度に係る税制です。この点もなかなか理解しにくい点です。そういう御意見もいただきますので、資料を整理しています。
17ページの上の箱です。我が国の税制は、あらゆる経済的利得について発生時点で課税ベースに算入されます。拠出時課税、運用時課税、給付時非課税のいわゆるTTE型が原則となります。つまり、貯蓄は課税済みの所得から行われ、その運用益はそれが取得されたときに課税の対象となり、元利についてそれらを実際に得る、引き出す時には課税がなされないという仕組みが原則になります。
マル1のNISAなどは、政策的配慮により運用益が非課税、TEE型とされています。
マル2の公的年金については、事業主・本人が拠出した保険料は全額所得控除が認められ、運用益とともに給付時に課税されるEET型となっています。
18ページ、では、企業年金・個人年金に係る税制はどうなっているかですが、下線部分、公的年金の代替としての性格を持つ厚生年金基金については、公的年金に準じた税制上の措置として、運用時原則非課税のEET型となっています。
一方、DB・企業型DC・個人型DCについては、かつての適格退職年金と同様、拠出時において、事業主拠出は損金算入、ただし、掛金については、本来、拠出時に給与として課税すべきとの考え方の下、給付時まで課税を繰り延べる、運用時において特別法人税課税、給付時において課税となっています。
19ページ、特別法人税の考え方です。2つ目のマル、適格退職年金については、所得税の課税を受給が確定するまで繰り延べるわけですが、繰り延べに当たって、3つ目のマル、非課税の「たまり」ができるので、そこに課税するのが特別法人税課税の考え方になります。
20ページを御覧いただきまして、マル1の「給与の場合」の絵を見ていただきたいと思います。事業主から従業員に支払われるときに課税されます。そして、従業員は課税後所得で運用し、運用益を得れば、さらに課税される、TTEが基本になります。
一方、マル2の「企業年金の場合」は、拠出時に事業主拠出が所得として課税されません。受給時まで課税が繰り延べられるわけですが、この課税の時点がずれても、マル1とマル2の課税を公平にしようというのが特別法人税の考え方になります。
どう公平にしているかというと、21ページで具体的な数字を見ていただきたいと思います。
表1を御覧ください。税率を比例税率で20%と仮定し、1年目に所得100を稼得し、2年目・3年目は税引き後所得を全て収益率10%の運用方法で運用した場合、3年目の資産は、緑色の部分ですが、93.312になります。
表2はNISAなどですが、この元本と運用益から生じる収益を非課税にすると、3年目の資産は96.8になります。ピンクの部分です。表1の93.312との差が運用益非課税の効果となります。
表3は、課税繰延をしつつ特別法人税を課税しない場合、3年目の資産は同じく96.8になります。つまり表2のTEEと1度のTの税率が同じであれば、期末の資産は同じになります。
表4は、課税繰延をしつつ特別法人税を課税すると、表1とほぼ同じの数字になります。これは税率を精緻化すれば同じ数字にすることも可能になります。表1のTTEの最初のTの課税時期を後ろにずらしますが、効果を同じに、本来の原則であるTTEと同じにしているというのが、いわゆる特別法人税だということが、この数字を見ても見てとれるかと思います。
22ページ、特別法人税については、多くの関係団体の皆様から、DBとDCの普及のためには撤廃して運用時非課税とすべきという御要望をいただいています。今回、令和4年度末までの3年間、課税凍結を延長していただいています。引き続き、十分御議論をいただきたいテーマだと考えています。
23ページ以降は、DB・DCの目的・役割です。
24ページ、公的年金の代行部分を持つ厚生年金基金は、制度創設当時は、厚生年金保険と同一の給付設計で一時金での受給が認められない「代行型」が中心でしたが、その後、上乗せが企業独自の給付設計である「加算型」が中心になり、企業における退職給付制度の一方策であることを踏まえた柔軟な制度設計へ変化しました。
DBとDCは、代行部分がなく公的年金の代替としての性格を持たず、給付水準の基準等もないものの、「公的年金の給付と相まって国民の生活と福祉の向上に寄与することを目的とする」ことが法律において明記され、公的年金の上乗せとしての役割・機能があります。
公的年金の上乗せとしての役割・機能を十分に果たすことができるよう、DB・DCともに、受給権保護のための様々な仕組みが整備されています。
25ページは、厚生年金基金が「代行型」から「加算型」中心になってきたことが見てとれるかと思います。
27ページ、28ページは、DB・DCとも、掛金・積立金は、企業財産から分離され、外部で積み立てられていることの資料です。29ページはDBにおける積立基準、30ページはDBにおける給付減額基準、31ページはDBにおける受託者責任、32ページはDCにおける受託者責任と、様々に受給権保護のための仕組みが用意されています。
33ページは、DBとDCの拠出と給付の仕組みの全体像になりますが、今回の法改正を全面施行した形に修正をしています。
34ページ、DCの拠出限度額です。今回の制度改正よって、企業型DCの加入者のiDeCo加入が容易になり、組み合わせることが可能になっていますので、概念図として34ページのような形になるので、修正を加えてあります。
35ページからは、DBの財政運営や掛金等に関する資料です。様々な財政運営の方式、また、掛金の種類・算定方法がありますが、DBのポイントは、掛金・積立金が集団で管理・運営されているということです。
38ページ、企業型DCの拠出限度額は、厚生年金基金における特別法人税の非課税水準を基に設定しました。
39ページ、確定給付型を併せて実施する場合の企業型DCの拠出限度額は、企業型DCのみを実施する場合の拠出限度額の一律半額、現行月額2.75万円となっていますが、この点は従来から課題として指摘をされている部分です。
40ページ、企業年金がある国民年金第2号被保険者のiDeCoの拠出限度額の考え方ですが、マッチング拠出の実態の大半をカバーする水準を勘案して設定しました。企業年金がない国民年金第2号被保険者のiDeCoの拠出限度額は、企業年金を実施している企業の事業主掛金と加入者掛金の実態の大半をカバーする水準を勘案して設定しました。
41ページは、第2号被保険者がiDeCo加入時に必要となる事業主証明書等でして、これについては、42ページ、関係団体の皆様から見直しに関する御意見を頂戴しています。
43ページ、中途引き出しです。DB・DCは、公的年金の給付と相まって国民の老後の所得確保を図るという制度の目的は共通していますが、DCは原則として60歳到達前の中途引き出しは認められていない一方で、DBは支給開始時期到達前の退職時にも支給される仕組みです。
44ページは、受給の形態です。DB・DCともに、年金による支給を原則としつつ、労使による合意がある場合に限って、一時金の選択肢を設けることができる仕組みとなっていますが、45ページ、実態はDB・DCともに、相当数が一時金受給を選択しています。
46ページは、懲戒解雇等の場合における給付の減額・没収、いわゆるバッドボーイ条項になります。DBは、規約で定めるところにより、懲戒解雇等の場合、給付の全部又は一部を行わないことができることとされています。こうした様々な仕組みの在り方について、十分御議論をいただきたいテーマだと考えています。
企業年金は退職金としての性格を持ち、労働条件の一つとして労使合意に基づき任意に実施される仕組みである一方、年金制度の3階という性格を持ち、国民の老後の所得確保を担っていることから、税制を含めて、どうあるべきかが問われていると考えています。
長くなりましたが、以上です。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
資料1と2に基づいて、現在までの進捗状況と今後の議論の課題と進め方について御説明を頂戴いたしました。これから御議論を頂戴していく課題等々ございますので、改正法の施行や今後の進め方について御意見を頂戴できればと思います。いかがでございましょうか。
どうぞ。
○金子委員
金子でございます。
部会が今日から再スタートということなので、若干総論的な感想を2点と、最後に1点だけ質問をさせていただきたいと思っています。
まず、感想めいたことからなのですけれども、閉会中に、昨年の部会を通じた大きな問題意識は何なのかなということを、部会に用いられた資料を見直すことによって探ってみました。要は暇だったからということなのですけれども、部会の資料、端的に言うとグラフ、いろいろなグラフを使って状況を御説明いただいたと思うのですが、グラフを区分して整理して、どれが一番使われているのかをばかみたいに数えてみたのです。
そうしたら、今日も引用されていますけれども、今日のですと参考資料2の11ページにある「企業年金の実施状況(従業員規模別)」というのが最も使われていまして、5回使われておりました。これと同様のものが、ちょっとグラフ化したようなものが同じく5回ということだったのですけれども、やはりこれを見ても分かるように、小規模の企業での退職給付制度の実施率が低い、低下しているということが最も大きな問題なのだろうなと思っております。個人年金も含めて一般化すれば、高所得者だけではなくそれ以外の所得層の方もできるだけ多くの人に退職給付ですとか、個人の資産形成を利用あるいは取り組んでいただくような状況をつくることが大事なのだろうと改めて認識した次第でございまして、今後の議論の中でも常に念頭に置かなければいけないことなのかなと思っております。
それから、これも感想めいたものの2点目なのですけれども、資料2の8ページの手続の改善とかオンライン化とか電子化に関してなのですが、前回、昨年度の議論の中でiDeCoの加入申込み等のオンライン化を着手できるところから着手し、この先も進めていくということを方針として示されたということだと思うのですけれども、コロナの災いの中、そういう状況を踏まえますと、社会のデジタル化に対する物の見方が少し変わってきて、デジタル化に関する要求水準が随分高くなってきたのだなと感じております。この点は留意すべきだと思っています。手続の改善ですとかオンライン化に関しては、そういう意味では一層加速させていくべきだと思うわけでございます。
ただ、その際に、やみくもにオンライン化するということではなくて、投資対効果というのを見極める必要があろうかと思っております。そういう意味では、参考資料1の32ページ目にあるような感じの、システム化する際にシステムをいたずらに複雑にしないためにも、例外的なものへの対応を行わないといったような発想は重要なのかなとは考えております。ちょっと感想めいたものは2点です。
最後はすごくシンプルというか単純なことなのですが、資料2の8ページ目にあった「時間軸を意識した議論」というのは一体どういうことなのかなと。もう少し分かりやすく具体的に御説明いただけないかなと思っております。
以上でございます。
○神野部会長
では、質問にお答えいただいた上で、2つの御感想についてコメントがあればお願いできますか。
○吉田企業年金・個人年金課長
まず、御質問の点ですが、積み残った課題につきましては、資料にも書かせていただきましたが、法改正事項と政省令事項・運用面の改善に分かれ、また、労使を中心に意見の隔たりが大きい事項と小さい事項に分かれますが、私的年金制度は税制上の措置と一体不可分であって、その税制については、御案内のとおり、毎年度、税制改正要望を厚生労働省として行い、そして、与党で御審議をいただいて、年末に決定されるというプロセスがあります。
このため、私的年金の制度の改善や見直しを図りたいとしても、必要な税制改正の要望をタイミング・タイミングで行っていかなければならず、当部会での御議論で、ある程度の成熟度と言いますか、相場観を得たところで、厚生労働省として必要な要望をしていかないと、制度を見直したいとしても税制がついてこないという形になってしまいます。
分かりやすい例を挙げれば、拠出限度額でして、拠出限度額の見直しの要望は皆様方からいただいています。拠出限度額の金額自体は政令事項ですが、これを見直すには税制が関係します。拠出限度額は一例で、私的年金は制度と税制が一体不可分ですので、多くが税制改正と関連します。令和3年度にももちろん税制改正があり、それに向けた要望が例年は8月末ですが、1か月ずらすという話もありますが、必要な税制改正要望をしていきたいと考えています。
金子委員から、中小企業の企業年金の実施率が低いという資料がたくさん使われているという御指摘でありましたが、参考資料2の11ページや13ページ、我が国の上乗せ年金である企業年金ですが、先ほど説明したように、中小企業での実施率が低かったり、非正規雇用労働者の適用率が低かったりといった点が国会でもいろいろ議論がありました。税制上の支援というものは広く公平に行き渡るべきではないかという御指摘もあり、附則の検討規定に与野党共同の修正で必要な規定が盛り込まれた、政府として検討すべきという規定が盛り込まれたと認識しています。
手続の改善に当たって、システム面への負荷、また、費用対効果、こういうものを当然考えていかなければいけないという御指摘はごもっともでして、これもiDeCoの手数料が高過ぎるという指摘は国会の中でもありまして、参議院の附帯決議では、その積算の根拠の情報開示を国民年金基金連合会に促して、透明性をもって手数料の設定をすべしという御指摘をいただいています。新規の加入2,829円で、毎月百何円を取っていますので、この手数料が膨れ上がるというシステム改修は慎むべきという御指摘かと思っています。しっかり肝に銘じて、国基連と共同で考えていきたいと思います。
○神野部会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょうか。
内田委員、どうぞ。
○内田委員
電気連合の内田です。丁寧な御説明ありがとうございました。
私からは、依頼と質問と意見ということで述べさせていただきます。
先ほどの御説明の最後にも触れていただきましたが、企業年金は退職給付由来であり労働条件の一部であるということと、その観点から、労使自治を引き続き尊重していただきたいということを、今後の議論の中でも十分に踏まえていただくことをお願いしたいと思います。
また、今後の論議の進め方のところにもちょっと記載はなかったのですが、企業年金のカバレッジを高めていく取組こそが優先的に議論すべき課題ではないかと考えております。カバレッジが低いまま拠出限度額の引上げ等の様々な要件緩和を行うことは、企業年金がある労働者と企業年金がない労働者の間の格差を助長することにもなりかねないと考えております。
言うまでもなく、パートや有期などで働く方への企業年金の適用は、私たち労働組合に課せられた課題でもあるということは認識しておりますが、先ほど、参考資料でよく使われているとおっしゃっていた参考資料2のスライドの11にもありますように、従業員規模が小さいほど企業年金の実施率が低下していることや、退職一時金制度が占める割合が高まっていることに対するさらなる政策的対応が求められているのではないかと思います。その際には、個人の自助努力への支援である個人年金の加入促進ではなく、あくまでも企業年金の普及を強力に進めていただくことをお願いしたいと思います。この点は、今回の法改正による対応で十分なのか。カバレッジの向上という論点について、部会で引き続き議論をなされるのかどうか、事務局のお考えを伺いたいと思います。
最後に、意見になりますが、今回、今後の議論の進め方で示されました論点について、今後の議論におきまして御留意いただきたい点を3点申し上げたいと思います。
第1点は、拠出限度額についてですが、特にDBは退職給付としての性格が強く、実施企業への影響も大きいことから、限度額の設定は行うべきではないと考えております。
第2点ですが、リスク分担型企業年金の合併時等の手続についてですが、定年延長などの雇用延長に伴う給付設計の見直しに当たっての手続について、受給権保護の観点から、給付減額に係る個別同意等の要件緩和は行うべきではないと考えております。
第3点ですが、DCのガバナンスについて、加入者や労働組合による関与監視の実効性を確保するための条件整備が重要であると考えております。継続投資教育の充実化はもとより、定期的な運用状況のモニタリングや運営管理機関の評価などを、労使合意の委員会や労使協議等で定期的に実施するよう徹底を促すことが重要だと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○神野部会長
これもよろしいですか。よろしくお願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
御指摘ありがとうございます。御質問もございましたが、まず、カバレッジを広げていかなければいけないという御指摘はまさにそのとおりでして、それは先ほど来説明しているように、企業年金・個人年金が一部の企業、一部の正社員が利用するだけであってはならなくて、広く公平に税の支援というものが行き渡る環境を作っていかなければいけません。その問題意識は連合とも共有できていると思っていますし、そういう観点で、まさに検討していきたいと思っています。
企業年金は、労使自治の上に成り立っているという御指摘もそのとおりでして、退職金としての性格を持っていて、労働条件の一つとして労使合意に基づいて任意に導入・実施される一方で、年金制度の3階という性格を持っています。この両方の性格を併せ持っている私的年金というものが、では、税制上どういう仕組みであるべきかということが、まさに我々に投げかけられているのだろうと思っています。つまり、企業が労使の自治で自由にやれる、任意でやれるということになれば、それに対する税制優遇を講ずる意義は一体何なのだろうか。公的年金制度の3階という性格づけを持っているからこそ税制優遇というものは正当化できる点もあると指摘をされるわけです。
厚生年金基金は、代行部分を持っていたので、その代行部分は公的年金と同様、税制優遇は当然あって、EET型になっていました。
さらに、上乗せ年金の部分も、言わば代行部分をかすがいにして、一定程度までは税制優遇が認められていたわけですが、では、そのかすがいがないDB、企業型DCというものはどういう意味で税制優遇を正当化していくのか。こういうところをしっかり検討していかなければいけないのだろうと思っています。
○神野部会長
ほか、いかがでございましょうか。
どうぞ。
○井戸委員
井戸でございます。よろしくお願いします。御説明ありがとうございました。
検討課題に上げられていることなのですけれども、3つお願いしたいと思います。
先ほど、拠出限度額は税制改正に関連するというお話がございました。参考資料2の34ページの新しい図もすごく分かりやすい図でありがとうございます。ですけれども、会社員のこの上限額の枠と、それから、会社の掛金が幾らあって実際自分が幾らまで上積みできるのかとなると難しくて、分かりづらいです。なので、これから検討されていくことですが、誰でも分かるようにシンプルにお願いしたいと思います。
それから、2つ目です。企業型DCのマッチング拠出とiDeCoの関係でございます。今、企業の掛金と同額までマッチングできるのですけれども、そうなると、iDeCoの方が例えばたくさん上乗せできるならiDeCoを選ばれるということもあると思います。そうすると、信託報酬などを個人で比較をしていきたい。全ての運管の提示商品はインターネットで確認できるようになっていますけれども、もうちょっと平均値はどのくらいなのかなとか、個人で見て、例えば企業規模であるとか業態の違いでどの辺が一般的なのかなとか、そういう指標が分かるようになればいいと考えております。
最後でございます。公的年金も一緒に併せていろいろな働き方になっていって、長く働いて75歳まで運用できたりとか繰下げができたり、在職、定時改定など、長く働くことが前提になっています。個人でいろいろな考え方を入れていけるわけです。75歳まで運用できるということは、時間軸が長くなるので投資の考え方もちょっと変わってくると思うのです。なので、資料2にありますように、個々人の見える化というのをいつも掲げていただいていますけれども、いつまでどう働いてどう運用したらいいのか。そうすることによって老後の生活がどう安定するのかというような、個人で考えやすいようなプラットフォームみたいなのがあれば非常にありがたいと思っています。
以上です。
○神野部会長
事務局の方でコメントがありましたらお願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
まず、参考資料2の34ページに、新しくなるDCの拠出限度額表を書かせていただきました。左から2つ目の箱ですが、企業型DCが、事業主拠出が3.5万円を超えていると2万円のiDeCoの枠が少しずつ逓減していくという形になるわけです。
この点は、参考資料1の31ページにも入れさせていただいていまして、これは12月の「議論の整理」でも示させていただきましたが、今後は、RKのホームページで、自身が拠出可能な見込額を掲載するような形をお願いしていますので、事業主拠出が仮に3.5万円を超えているときには、自分があと1万円なのか5,000円なのか、拠出可能額が見えるような仕組みをお願いしているところです。
それ以外にも、井戸委員御指摘のとおり、老後の個人の選択というのは多種多様なわけでして、それの選択に資するように公的年金と私的年金全体の見える化というものは講じていかないといけません。制度が複雑ですので、国会の中でも、RKのホームページというものも少し改善を図るべきではないかと議論がありました。そして、この点、RKだけに任せるのではなくて、公的なある程度のインフラというものも、イギリスとかではダッシュボードという話もあるので、こういうものも引き続き検討していかなければいけないと思っています。
○神野部会長
ありがとうございます。
ほか、いかがでございますか。
どうぞ。
○細田委員
商工会議所の細田でございます。
これまでの議論をいろいろとまとめていただきましてありがとうございました。商工会議所としましても、iDeCo+の対象範囲の拡大ですとか、企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和などを実現いただきまして本当にありがたいことと思っております。
今もずっと議論されておりましたけれども、今後、iDeCoや企業型DCの拠出限度額の引上げについてぜひ積極的に御検討いただきたいと思いますし、従来から商工会議所で主張しておりますけれども、iDeCoや企業型DCの組合せを自由にできるようにして、いわゆる穴埋め型にしていく方が、国民の皆さんにも分かりやすいのではないかなと思っておりますので、ぜひこちらも御検討いただきたいと思います。
それから、この部会ではあまり議論がなかったかなと思ったのですけれども、特別法人税の撤廃についても今回は触れていただきました。本件、商工会議所としては、今後の企業年金の普及・拡大という観点からぜひお願いしたいと思っております。
それから、この部会自体も半年ぶりなのですが、多分コロナというのが皆さんにも大きな影響になっていると思います。私もこの年齢になって在宅ワークとかテレワークというのを初めて経験しまして、こういうことが今後の仕事のやり方になっていくのかなと思ったのですけれども、中小企業の中でもそういったことがだんだん進んできています。
従来ではできなかった、できないだろうと思われていたような企業ですとか仕事の分野でもテレワークが進みつつあるという中で、デジタル化というのは今後大きな課題になってくると思います。手続の簡素化の話が今出ましたし、デジタル化の話も出ていますので、特に普及が進んでいない中小企業に広めていく意味でも、デジタル化の推進と同時に、手続の簡素化も検討していただきたいと思います。
それと、企業の立場で言わせていただきますと、このコロナ禍の不況の中で、いろいろと負担が増えてまいります。この部会で直接扱うテーマではないのですが、最低賃金の問題とかそういったことも含めて、企業には企業側の事情もあると思います。企業が倒れてしまっては従業員の雇用の確保とか、そちらの方にも影響してくる重要な問題だと思っておりますので、企業の負担というのにも限界があるということも議論の中のどこかに置いておいていただければありがたいかなと思います。
以上でございます。
○神野部会長
ありがとうございます。
どうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
参考資料2の34ページ、幾度となく見ていただいていますが、このDCの限度額が、今までは企業型DCと個人型DCで同じ限度額を共通化するという考えは取っていなかったわけですが、今回の制度改正で、5.5万円の枠を内数として2万円はiDeCoを使えるという形になってきます。限度額を個別に管理するのではなくて、1つを企業型と個人型で分け合っていくという発想は、今回の制度改正で第一歩を踏み出したと思っています。
特別法人税につきましては、今日も縷々御説明をしましたが、なかなか難しい問題です。令和4年度末、つまり令和5年3月まで、課税が停止を一旦されていますので、それまでに精力的に議論をし、今は延長を繰り返している状況ではありますが、次の一歩を踏み出せるよう検討していく必要があると思っています。
手続の改善については御指摘のとおりですが、今回、iDeCoのオンラインの申込みが2021年1月からはできる形になっています。政府全体でも、行政手続について書面規制であったり、押印の在り方であったり全体的に見直していこうとしています。iDeCoのオンライン申込みをするときには判こは要らなくなり、運営管理機関において、申込み時において本人確認というものを免許証であったり、パスポートであったり、マイナンバーの公的認証を使ってもらってもいいのですが、様々な仕組みで押印というものもなくなっていくわけです。
政府全体での精力的な見直しもありますので、その一環でも企業年金・個人年金制度内の書面規制・押印規制というものを引き続き検討していきたいと思っています。
○神野部会長
ありがとうございます。
ほか、いかがでございましょうか。
大江委員、どうぞ。
○大江委員
大江でございます。いろいろ資料を取りまとめていただいてありがとうございます。
皆様からもいろいろ意見が出ていたのですけれども、やはり今後の議論の進め方の中で、特に拠出の部分というのは非常に重要な部分だと思いますので、いろいろな制約はあると思うのですけれども、多角的な議論ができるように、しっかりここは時間を割くスケジュール感でお願いします。前回の議論のときは割とほかの議論をしなければいけないので、あまりここをじっくりできなかったかなと思っておりまして、時間をしっかりここは取って本格的に議論をすべき事項であろうかと思います。
あとは、皆様から特別法人税の話が今回出ていまして、非常に重要ではありながら先送りというか本格的な議論がなかった部分でございます。直近、個人のiDeCo加入者の方からも、個人で残高が積み上がっていってその残高に対して1.何がしという特別法人税がかかるということになっていくと、自分が積み上げていって老後資産を準備しているのだけれども、そこが増えていくスピードが落ちますよねと。老後資金を一生懸命貯めようと思っているのですけれども、これはどうなるのですかみたいな質問を個人から受けました。私はとても衝撃というか、不安を持たれてしまうと制度としてよくないので議論しなければいけないなと、直近非常に強く感じたというところです。
あと、システム面、デジタル面もまさしく皆様がおっしゃっているとおりで、費用対効果を考えるべきで、参考資料で出ておりました年単位などあまり対象がない部分にシステム費用をかけるということにつきましては、私もここは抑制すべきだと思います。
あと、まずは加入のところのデジタル化から進んでおりますけれども、受け取りの部分も、今は紙、押印、証明書となっております。まだ課題があろうかと思いますので、包括的な中で議論に含めていただけると非常にありがたいなと思います。
最後に1つだけ、もしお伺いできればと思ったのですが、議論の進め方の中で企業型DCのガバナンスについて、その実態を厚生労働省において把握・分析した上で議論してはどうかというお話がありました。ここについてこういうデータからとか、地方厚生局でヒアリングをするというお話も途中あったかと思うのですけれども、何か進められていることがあればお伺いできればと思います。
以上です。
○神野部会長
質問も含めて、よろしいですかね。どうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
何点かいただきましたが、まず、iDeCoにも今は特別法人税が本来的にはかかる形になっています。凍結はされていますが、参考資料2の20ページに、今回は特別法人税の資料を入れさせていただいていますが、本来は課税をされるとETTなので、通常の貯蓄のTTEと何ら変わりません。逆にNISAは運用益非課税で税制優遇メリットがあるという形になっています。企業年金から始まってその限度額の中でiDeCoを使えるという全体の流れの中で、特別法人税課税、ETT型になっています。こういうところをどう考えていくのかを、まさに国民の老後所得の確保に資する部分ですので、そういう観点で特別法人税の在り方は議論していかなければいけないのだろうと思っています。
あとは、書面の話もいただきました。iDeCoの申込みのところは今回オンライン化できます。当初の2021年1月は申込みのところだけですが、順次、変更などもやっていく段取りにしております。引き続き受給なども考えていきます。
あとは、企業年金連合会も関係しますが、今は企業間のポータブルも実は資産移換を紙でやっています。前近代的なようなことをやっているわけですが、この紙原則というものはそろそろ見直していかなければいけないと思っています。
企業型DCのガバナンスは、昨年の7月に御議論いただいて、そのとき2016年の制度改正の施行後の状況がまだ統計数字も出ていなくて、継続投資教育等もそうだったのですが、情報を今、集積をしていますので、然るべき時に、もちろん401k協会の必要なデータもその時も出しましたが、必要な資料を準備して、議論に供したいと思っています。
○神野部会長
ありがとうございます。
オンライン参加の小林委員、どうぞ。
○小林委員
経団連の小林です。
私からは、資料2の8ページで今後の議論の進め方として記載いただいた内容を中心に幾つか申し上げたいと思います。
まず、今回成立しました改正法に関してですが、DCの加入可能年齢の引上げや、DB・DCの受給開始時期の選択肢拡大といった、新たに可能となった事項につきましては、今後、実務的な対応を含めて円滑に施行されるように十分周知等を行っていただきたいと思います。
一方で、引き続き積み残った課題のうちの拠出時・給付時の仕組みについては、基本的に法改正事項であると承知しておりますが、御指摘のように様々な意見があり、税制との関連性が深いと認識しております。改正に向けた必要事項を整理した上で、時間軸を意識しながら毎年度の税制改正を見据えてステップを踏んで取り組むことが望ましいと考えておりますが、制度面の課題については、制度を実施する企業やその制度の加入者である従業員の退職後生活に多大な影響を与える問題でもありますので、足元の運営実態を十分に踏まえた上で丁寧に議論する必要があると認識しております。
1点、個別の話ですが、8ページの3項目に記載のありますマル1からマル4のうち、マル1のリスク分担型の合併・分割時の手続、マル2の定年延長等に伴う給付設計の見直し手続に関しては、経団連の会員企業からも各社で制度改定を検討する上で、既に問題になっているという意見が出ております。可能であれば今後の日程感あるいは見通しをお示しいただきたいと思います。
最後に、先ほど何人かの委員の方からも御意見が出ていましたが、今般の新型コロナウイルス感染症で社会情勢は大きく変化していると考えます。企業経営の在り方や従業員の労働環境もまた大きな変化、変革が避けられない状況と認識しております。同様に、企業年金・個人年金制度を取り巻く環境も大きく変化しつつあることを踏まえて、制度の普及や持続可能性の向上に資する改革を加速することはもちろんのこと、手続面についても引き続き抜本的な見直し、簡素化をぜひお願いしたいと思います。
私ども経団連としましても、議論が深まるように協力していきたいと考えておりますので、御対応をぜひよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○神野部会長
コメントと質問事項でした。お答えできますか。
○吉田企業年金・個人年金課長
お答え申し上げます。
まず、冒頭にしっかりと施行に向けて周知をして欲しいというお話がありました。私的年金は公的年金以上に複雑だと私は思っていまして、見直し内容はしっかり広報していきたいと思っています。現在、厚生労働省のホームページに今日の部会資料を少し切り貼りしたような形で、私的年金の制度改正の詳細というのを順次載せていっています。また、iDeCoの改正部分についてはiDeCoの公式ホームページも国基連と協力をしながらアップをしていきたいと思っています。
議論の時間軸として、リスク分担型の話であったり定年延長のお話をいただきました。先ほど、大江委員からは拠出限度額の話をしっかり時間を取ってという話もありました。拠出限度額は税制改正事項ですので、しっかり時間を取って、まず優先順位を上げて議論をしたいと思いますが、拠出限度額は先ほど、連合の内田さんからの指摘もありましたように、額を引き上げるというよりは、カバレッジと言いますか、公平化を図っていくという観点も、「拠出限度額の在り方」には含まれていると思っていますので、しっかり資料を用意して御議論いただきたいと思っています。
併せて、リスク分担と定年延長の話は、税制とは関係しませんが、小林委員御指摘のとおり、労使の運営面でまさに今、問題になっている点があると認識しています。リスク分担を導入している企業は13件ほどですが、問題を抱えておられます。我々、法令上の手当てのミスという部分もあります。冒頭、内田委員からは御留意をという御指摘もいただきましたが、労使の意見はこうで制度としてはこうあるべきではないかというものを、資料を用意して議論ができる環境を極力早く整えたいと思っています。
手続面の抜本改正は、繰り返しになりますが、政府全体の中でも書面原則、押印原則の在り方を見直そうという話になっています。部会の「議論の整理」の中でも今回の取組にとどまることなくやっていくのだという話になっており、しっかり検討をしたいと思っています。
○神野部会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでございますか。
小川委員、どうぞ。
○小川委員
日本年金数理人会の小川でございます。よろしくお願いいたします。分かりやすい資料のおまとめ、どうもありがとうございました。
私からは1点だけですけれども、資料2の今後の検討課題の進め方の8ページに、今後の議論の進め方の課題を上げていただいておりますうちの2点目についてコメントさせていただきたいと思います。
まず、次回以降に議論を深めていくことになると思うのですけれども、皆さんから上がっておりますように、特別法人税の在り方につきましては中途引き出しとか選択一時金の在り方にも絡みますので、引き続き丁寧な議論が必要だと私も思っております。
また、参考資料2の34ページの下の方の脚注に書いてございますように、現在、DBには御案内のとおり拠出限度額がありません。これにつきましては、昨年の12月の第10回の部会も含め、私からこれまで既に3回述べましたとおり、老後の所得確保の中心的位置づけとなっている本制度普及の観点から、今後ともDBの掛金の拠出そのものには非課税限度とか拠出限度を設けないことが堅持できたらいいなと考えております。
一方、同じ資料の39ページになりますけれども、DBを併せて実施する場合の企業型DCの拠出限度額が一律月額2.75万円となっている点につきましては、これは制度創設からの課題でありますし、また、日本年金数理人会としても、一律になっていることによって企業型DCへ拠出できる額を本来より低く評価されてしまっている先に貢献して、もって国民の老後所得確保を支援するためにも見直しが必要ではないかなと考えております。この場合は、具体的にはDBの給付水準というのをDCのように掛金に換算することが必要になってくるわけですけれども、これについても従来から申し上げておりますとおり、我々年金数理人並びに年金数理人会としての知見を最大限に生かして貢献したいと考えております。
最後ですけれども、これについての実際の運営、導入に関しては、以下の2点について配慮が必要ではないかなと考えております。
1点は、既にDBと企業型DCを併設している先がありますけれども、これを見直すことによって企業型DCの方の拠出限度額が2.75万円より少なくなってしまう先というのがあるかもしれません。もし、そういうのがあった場合には、DB・DC併せた企業年金制度の普及の観点から、例えばですけれども、経過措置的に引き続き実施できるとかの対応が必要ではないかなと考えております。
2点目は、個別化をしていくとすると、導入に際しては受託機関でのシステム改修だけではなく、DCとしての掛金への換算の計算作業が必要になってくると、その結果を基金とか企業さんの方の加入者に説明をしていくのに十分な時間が要るのではないかなと思っておりますので、いつ導入するかという導入時期とか、例えば以前、このような制度改正を行ったときに倣って、DB側の、通常5年ですけれども、財政計算という見直し時期が到来する都度順次導入するとか、これは一つの例ですけれども、こういったことの導入方法とかの十分な配慮をしていただいた方がいいのかなと、一緒に考えさせていただきたいと思いますけれども、以上、コメントでございます。
○神野部会長
どうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
小川委員御指摘の、まず、特別法人税は、御指摘のとおり丁寧な議論をしていかなければいけないと思っていまして、これは度々お答えしていますが、凍結期限が令和4年度末の令和5年3月までとなっていますので、それまでに丁寧な議論を積み重ねていく必要があると思っています。
DBを併せて実施する場合の企業型DCの拠出限度額は、参考資料2の39ページになりますが、これは度々、小川委員からも御指摘をいただいてきた部分です。企業型DCのみを実施する場合の拠出限度額の一律半額としていますが、これは確定給付型に加入している方と加入していない方との不公平が生じないよう、企業型DCのみを実施する場合の拠出限度額、今は5.5万円ですが、そこから確定給付型に拠出する掛金相当額を控除するという基本的な考え方に立って、制度創設当時の厚生年金基金1,583の給付水準の平均から一律に算定をしたものですが、公平性の観点から従来から課題とされてきました。これは参考資料の39ページにも書かせていただきましたが、DC法施行後の5年後の見直しを検討してきました企業年金研究会が取りまとめた2007年の検証結果の中でも、「現状の取扱いはやむを得ない措置であると考えられるが、なおきめ細かい対応ができないか、実務上の対応の可能性を含め、引き続き検討すべき」という指摘をいただいていながら、以降見直しができていないという部分です。御指摘のとおり、給付水準からの換算をどうするのか、さらには、施行時期、DBへの配慮、経過措置を含めという御指摘をいただきましたが、様々考えなければいけない課題であろうと認識しています。拠出限度額の在り方の一つのテーマだと思っていますので、時間を割いて御議論できるようにしたいと思っています。
○神野部会長
ありがとうございます。
森戸部会長代理、どうぞ。
○森戸部会長代理
森戸です。
分かりやすい御説明と分かりやすい資料をありがとうございました。大体そういうふうに言う決まりがある感じですけれども、今回の資料は本当に分かりやすくて、施行日ごとに並んでいたりするのは非常によかったと思います。
コメントと質問が2つぐらいあるのですけれども、ちょっと細かい話になるかもしれません。
一つは、これもどうでもいいコメントですけれども、「時間軸を意識して」というのは非常にいい表現だなと思ったのですけれども、金子委員が質問した結果、要は税制改正を意識することだとなってしまったので、ちょっとがっかりしたのですけれども、それは置いておいてここから真面目になります。
一つは、先ほど、吉田課長が御説明の中でちょっとおっしゃったのですけれども、中退共について国会でも議論が、質問があったと。そのときに普及と見直しとおっしゃった気がするのですけれども、ぱっと聞いて、普及と見直しというのが結構逆方向な気もして、どんなような感じの質問が、話があったのかをちょっとお伺いしたいと。それは私が不勉強で知らないだけなのですけれども、お伺いしたいというのが一点です。
これでお伺いしたいのは、結局その質問とか議論自体がというよりも、中退共であったりほかの公的年金もそうでしょうけれども、要は企業年金なり個人年金の話をするときに、老後所得保障に広く関わる制度と一体的に議論しなければいけないということをある意味象徴することだと思いますので、その点を確認させていただければというのが一点です。
もう一点は、参考資料1になりますかね。2020年改正の、先ほどのまさに施行日順に並んでいる資料の、例の同一同一の話です。DB・DCの法令解釈通知の改正、9ページですかね。こういう同一同一ガイドラインを意識してこういう通知を書きますという話が前の部会のときから出ていて、こういうふうにするということで分かるのですけれども、なかなか難しいのは分かるのですが、この内容は、要は同一同一ガイドライン、この指針の「基本的な考え方」を踏まえることという書き方になっています。ただ、その同一同一ガイドラインの「基本的な考え方」というのは、まあまあ長いのです。さっき確認したのですけれども、A4で2ページぐらいあって3段落あるのです。では、どこを踏まえるのだよと普通に考えたら、私たちはここで議論しているから何となく分かっているのだけれども、これを結局どうすればいいのですかということを恐らく皆さんが思うと思うので、それをどの程度説明するかという問題がありますが、こういうふうに理解していいのかどうかということなのですけれども、要はこの「基本的な考え方」の方には、結局、退職手当については同一同一ガイドラインも明確に触れていないが、退職手当等も含め不合理な格差はいけないのだよということですというのが、恐らくガイドラインの「基本的な考え方」に書いてあることで、それがここに書いてあるということは、DBもDCも退職手当もしくはそれに準ずるものとして不合理な格差があってはいけないのだよという意味で書いてあると理解していいのかということの確認をさせていただければと思います。
以上です。
○神野部会長
どうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
まず後者の御質問ですが、そのとおりでして、回りくどく書いてあるわけですが、同一同一のガイドラインの基本的考え方の中には、森戸委員が御指摘のとおりなのですが、「退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇や、具体例に該当しない場合についても、不合理と認められる待遇の相違の解消が求められる」、「このため、各事業主において、労使により、個別具体の事情に応じて待遇の体系について議論していくことが望まれる」となっていて、この同一同一のガイドラインには企業年金というのが明示されていない、まさに退職手当等の「等」の部分なのですが、御指摘のとおり、そこに含まれるということです。
この点は、既に今はDB・DCについては、加入者について一定の資格を設けることが認められているわけでして、特定の者に対し不当に差別的であってはならないということも法律上書いてあります。この解釈についてこの法令解釈通知で示していますので、そこにも同一同一のガイドラインは適用されるわけですが、もう一度入念的に書かせていただいているという整理です。
あとは、中退共の御議論の話ですが、今回、DC法の改正の中で、中小事業主向けの制度の改正として、簡易型DCとiDeCo+を実施可能な従業員規模を100人から300人に引き上げました。
中退共の方は、中小企業の定義が中小企業基本法を引っ張っていまして、業態別によって、例えば卸売業ですと従業員が100人以下に、資本金要件もあったり、小売ですと従業員規模がまた違っていたりと、様々に従業員規模等が違っています。そして、DCの世界で単純に300人に引き上げるのであるなら、中退共の対象範囲も業態別に50人とか100人とかではなくて、一律300人にするなどの充実が図れるのではないかという御指摘が国会の御質問であったということが、中退共の見直しに関してになります。
一方、中退共の普及に関しては、特に国の補助金もあるので、利用したいと思われている事業主にもちゃんと選択肢として行き届くように普及に努めるべきという御指摘があったと理解をしています。
○神野部会長
ありがとうございます。
藤澤委員、どうぞ。
○藤澤委員
藤澤でございます。説明の方、どうもありがとうございました。
資料2の7ページの税制調査会の資料の中に、諸外国の事例としてカナダに関する記載がございます。ここに記載があるように、カナダでは私的年金に共通の非課税拠出限度額が設けられています。この共通の限度額が導入されたのは1990年頃でして、その後、約30年間大きな変更もなく今日に至っていると認識しています。税制調査会がカナダを参考にするのは、より公平な税制を目指しているということだと思いますが、例えば参考資料2の34ページ、何度か参照している図ですけれども、このDCの拠出限度額の区分の中で、日本の場合はDBがある場合、企業型DCの拠出限度額が一律半額になるという説明がございました。
この部分について、先ほど、小川委員からもコメントがありましたが、何らかの換算する手法が必要になってくると思います。カナダの場合は、Factor of Nineと呼ばれる係数を用いて、DBの給付の増分を拠出建て制度の掛金に換算するという取扱いを行っています。この9倍という係数は、いろいろな前提を置いて数理的に計算したものでして、ある意味では割り切った換算方法ですが、簡便性を優先して一律の係数としたと言われています。
公平な税制を考えるというときに、完全に公平という理想的な世界を目指すわけではなく、今よりも公平な税制というように、相対的に公平な世界を目指すべきなのかなと考えています。DBがある場合に企業型DCの拠出限度額を一律半額とするという今の日本の取扱いは、御説明がありましたように、簡便な手法ですが、カナダと比較すると簡便過ぎる手法で、公平性が犠牲になっているという見方もできると思っています。
検討課題とされた拠出時・給付時の仕組みを議論する際には、誰にとっての公平性が今よりもどの程度公平になるのか。そして、その際に犠牲となる簡便性が実務の世界において許容され得るのかどうか。また、一般の個人がそれを理解できるのかといった視点で今後の議論ができるとよいと考えています。
その上で一点、お願いしたいことがございます。厚生労働省様の方では、DBの状況に関する報告を受けていると思います。今後の議論のために何かのデータがないとなかなか議論がしにくいと思っています。例えば、DBの給付水準や掛金の水準の実態は、実はかなり低くなっているのではないのかと感じています。こういった実態を踏まえた上で議論が行われることを期待しています。
以上です。
○神野部会長
どうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
藤澤委員からは小川委員に引き続きまして、DBがある場合の企業型DCの拠出限度額について御指摘をいただきました。掛金が拠出段階で個人別管理資産として個人ごとに管理・運営されるDCと異なり、DBの掛金額は、当該DBの加入者全体で、まさに集団で管理・運営されるという特徴を持っていますし、掛金の種類も今日の資料に入れておりますが、標準掛金のほか特別掛金、特例掛金、リスク対応掛金といった補足掛金というものがありますので単純に掛金額だけを積み上げていても駄目でして、小川委員にもお答えしたとおり、給付水準からの逆算が必要になってきます。その際、理論的にも、また、実務的にもどういう計算方式を取った方が、より公平でかつ簡素で分かりやすいかというところを追求していかなければいけないのだろうと思っています。
税の基本原則である公平と簡素というのは度々答えていますが、トレードオフの関係にあって、公平を追求すればするほど複雑になって、簡素にしようとすればするほど公平性が失われるという関係になっています。現在、DBがある企業の企業型DCの拠出限度額は、エイヤーで2分の1にしていますので、非常に簡素にしているという意味で公平性が失われているという御指摘かと思います。その際に飽くなき公平性を追求していくと、また複雑怪奇になって国民が分からなくなります。ここのところをどう折り合いをつけていくのか、実務面を含めての御指摘だと思いますので、しっかり検討をしたいと思います。
御指摘いただいたようにDBのデータにつきましては、業務報告書というものを毎年度1万2000のDBから厚生労働省に提出をしていただいていますので、しっかりした議論ができるようデータを提示したいと思います。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
どうぞ。
○鮫島企業年金連合会理事長
企業年金連合会の鮫島でございます。
初めて議論に参加させていただくのですが、今回の制度改正については、企業年金に関係する者として、まず感謝申し上げたいと思います。
今回の制度改正は多くの改正点がありますけれども、高齢期が長くなる、就労が拡大するという環境の中で、公的年金制度の改正と併せて老後の経済基盤の充実に役立つ方向のものであり、大変ありがたく思っております。
特に企業年金、先ほども御紹介ありましたけれども、企業年金の実施率が中小企業で低下しているという実態がある中で、中小企業向け制度の対象範囲が拡大されたこと、それから、企業型DC加入者のiDeCo加入要件が緩和されたこと、こういった点は被用者の年金資産の形成に貢献するものでありますので、私どもとしても高く評価をしております。
それから、今回の制度改正において私どもに関連することについて申し上げますと、まず、企業型DCから私ども連合会への年金資産の移換が可能になりました。働き方が多様化する中で制度間のポータビリティーの拡充は重要な課題でありますので、私どもとしましても、先ほどもこれは吉田課長から紙ベースという話がありましたが、移換手続の利便性の向上ということにも取り組みながら、受入れ体制を整えてまいりたいと考えております。
また、もう一点、今回私どもは、国民年金基金連合会からiDeCoの継続投資教育の委託を受けることができるようになりました。申すまでもありませんが、加入者が運用指図をしリスクを負うDCについては、有効な継続投資教育を行うことが非常に重要であります。私どもはこれまでに企業型DCの実施事業主から委託を受けまして継続投資教育を行ってきましたが、今後そのノウハウも活用しながらiDeCo加入者のニーズを踏まえたコンテンツの作成といったことに取り組み、国民年金基金連合会と連携してiDeCo加入者の資産形成に役立つような投資教育を目指していきたいと考えております。
それから、改めて議論のスタートということでありますので、今後残された課題について議論していくのに当たって、私どもの考え方を簡単に一言申し上げますと、私どもはかねて申し上げておりますけれども、高齢期の長期化に対応して老後の経済基盤の充実を図るという観点から、DB・DCをともに普及発展させていくことが重要であるというスタンスで考えております。今後の議論もそういった方向で議論していただくことが必要と思っています。
私どもは企業年金のナショナルセンターでございますので、今後も企業年金の現場の声をお届けするという立場から議論に参加してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○神野部会長
コメントはいいですか。では、臼杵委員、お願いいたします。
○臼杵委員
臼杵です。
御説明ありがとうございます。よく分かりましたし、皆さんがその後にいろいろな御指摘いただいている点もありまして、非常に建設的な議論ができるのではないかと期待しております。私からは感想めいたコメントを3つぐらい申し上げたいと思います。いずれも時間軸というお話からいくとやや中期的なことかなとは思います。
1点目は、iDeCoの手数料というお話もあったのですが、前から申し上げているように、iDeCoとマッチングというのは、ある意味で経済的な機能は似ているわけで、そういう意味からすると、iDeCoの管理を企業型DCのプラットフォームである程度できるようにしていくことで、その手数料の節約になるのではないか。ある事業主の雇用者の個人型も含めて、そこの企業型DCのプラットフォームで管理できるということも今後考えていってもいいのではないかなと思いました。
2点目は、税制のことです。いろいろな問題があり、できるだけ公平にしていかなくてはいけないということなのですが、その中で一つ、特法税について申し上げると、もちろんEETという中で特法税を廃止していただくというのが一番いいと思うのですが、税率があまりにも今の金利の状況と合致していないというか、特法税を仮に残されるとしてもほとんどゼロ%の金利のような中で、たしか7.3%でしたか、日歩2銭か何かそんなのでしたけれども、そういう観点からするともっと下げるという交渉のやり方もあっていいのかなと思います。
さらに、これは3点目ということかもしれませんが、EETという中で、多分、これはやや企業年金税制というよりもむしろ税調のことなのかもしれませんけれども、退職一時金があると結局、企業年金の税制をある程度きれいにしても、場合によっては、そのやり方によっては一時金、あるいはさっきからお話に出ている中小企業退職金共済の方に制度が逃げるというか流れるということも考えられます。個人的には一時金も、EETのむしろそのTの方ではなくて最初の拠出と考えて、IRAのような勘定に拠出したときだけ控除を認めるという方向が中長期的には多分あると思うのですが、そういうことも含めて時間軸ということでいくと、ビジョンを持ちながら議論してもいいのかなという気がしています。
以上です。
○神野部会長
どうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
御指摘ありがとうございます。
特別法人税の税率ですが、利子税率を使っていて、臼杵委員おっしゃるとおりの当時の日歩2銭の数字ですので7.3%です。これを前提に積算されて国税で1%と特別法人税率は決まっているわけですが、この利子税率は今は低くなっていまして、7.3%から大分下がってきています。
あと、臼杵委員がおっしゃられたように、IRAのように非課税口座に退職金を受給せず移換し、年金受給をしていっていただくというやり方も従来から指摘をいただいています。穴埋め型のときによく言われる話題でもありますが、こういうのも税制面を含めて検討すべき課題でして、比較的、中長期の検討課題になるとは思うのですが、念頭に置いておきたいと思います。
○神野部会長
ありがとうございました。
それでは、オンラインの白波瀬委員、どうぞ。
○白波瀬委員
よろしくお願いします。
説明も資料もとても分かりやすかったと思います。ありがとうございました。ただ、やはりここでの議論というのは極めてテクニカルというか、私が一番一般の方々に近い者だと思うので、それを最大限に活用しながらコメントということなのですけれども、まず、公平と簡素化の話につきまして、やはりこれについてはトレードオフだと思いますけれども、やはりこれだけの高齢化が進んで、そのサイズとしてできるだけ多くの方の老後保障という観点から考えると、簡素化を重視してできるだけ広めていただくのがよいのではないかと。ただ、そのときに公平性というのも絶対概念ではなくて、いろいろな側面での公平性というのがあると思うのです。ですから、どこでの公平性を重視するかという優先順位を設定していただくのがよいかと。それぞれの制度設計時においてその背景によりどころとした概念や理念があります。公平性概念ということについては非常に大きいので、そこの丁寧な説明を常に意識していただきながら、最大公約数で展開していただくというのが重要かなと考えています。
あとは、若干コロナのことで、これも過大、過小評価はできないと思いますけれども、このたびのことでもちろん企業様のいろいろな難しい状況というのもあるのですけれども、個々人の将来に対する投資とか老後に関する考え方というのも変わっていくのではないかというふうにも考えられます。そういう意味で75歳まで投資可能ということなのですけれども、そこの中でやはり格差が付きまといます。このたびのコロナ禍についてもそうなのですけれども、非常に社会のいろんな側面で格差が深化するというか深刻になるという状況があるので、この個人・企業年金のところでどこまでをすくい上げることを最優先として制度設計していただくのかを明確にしていただくことが必要となります。つまり、これだけで高齢期の格差解消というのができるわけではないので、その辺りの少し仕切も必要ではないかと思います。いろいろな意味で不安が大きいので、分かりやすい説明があると、複雑な制度に対して分かりやすくその周知効果は大きくて、魅力的になるのかなというのがあります。
最後にデジタル化の話なのですけれども、これもゼロか100かでデジタル化が進むわけではなくて、多分、共存という形になるかと思います。この中で教育というのも重要なのですけれども、そこの中にリテラシーの話があって、デジタル化が進めば進むほど、もう一つはリアルタイムでデータが取れるというメリットもございますので、幾人かの委員からの御指摘もあったと思いますけれども、できるだけリアルタイムのデータをもって議論もできるととても生産的だと思います。
以上です。
○神野部会長
ありがとうございます。
コメントがあればどうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
老後の資産というのは、もちろんこの企業年金・個人年金だけではありませんし、企業年金・個人年金は公的年金の上乗せにすぎません。特に所得再分配機能というのは基礎年金しか持っていないわけでありまして、基礎年金、厚生年金、さらに上乗せの企業年金・個人年金というものをどういうふうに制度設計として組み合わせていくのか、また、個人のライフプランの設計の中で組み合わせていただくのかという全体像をイメージしながら議論をしていかないと、拠出限度額をどうこうしたから済むというものでは決してないと思っていますので、大局観を持ちながら検討していきたいと思います。
デジタル化の話がありました。資料をしっかりアップデートするとともに、デジタル化が進んでいますので、もちろんDBの情報、業務報告をもらっていますので、昔のようにエイヤーで2分の1にして不変にしておくということの必要性は本当に適切か。時代は変わってきているので、その時代に合った公平でかつ簡素で分かりやすい企業年金・個人年金にしていかなければいけないと思います。
○白波瀬委員
ありがとうございます。
○神野部会長
ありがとうございます。
松下オブザーバー、どうぞ。
○松下国民年金基金連合会理事長
国民年金基金連合会の松下でございます。
今日はiDeCoの運営に関しましても皆様から大変多くの御意見をいただきましてありがとうございました。実施機関として若干コメントをさせていただきたいと思います。
当連合会といたしましては、今般の法案の成立も受けまして、まず制度面ではiDeCoの加入可能年齢の引上げや企業型DCとiDeCoの同時加入の要件緩和、iDeCo+の対象拡大等についての対応ということです。
それから、手続面とか運用面につきましては、これも再三御意見を頂戴しておりますが、2021年の1月を目標にしておりますけれども、加入申出時のオンライン化への対応。それから、先ほど企業年金連合会さんからお話もありました投資教育面での連携。さらには、手数料水準の検証、改定につきまして、今後、厚労省や関係者の皆様と連携して実施に向けた検討や対応を進めてまいりたいと考えております。引き続き御支援、御指導をお願いしたいということでございます。
また、今後の検討課題につきましては、拠出限度額をはじめとする拠出時・給付時の仕組みに加えまして、制度を支える体制整備、基盤強化等につきましても取り上げていただいております。今後さらなる御審議を本会でいただければ大変ありがたいと考えております。
最後に、国民年金基金につきましても一言コメントをさせていただきたいと思います。今回の法改正には残念ながら盛り込まれておりませんけれども、昨年度の本会でも何度か要望させていただいております第2号・第3号被保険者への加入拡大でありますとか、拠出限度額の引上げにつきましてもぜひ引き続き本部会で御議論をいただき、制度改正が実現するよう強くお願いしたいと考えております。
私からは以上でございます。
○神野部会長
ありがとうございました。
どうぞ。
○吉田企業年金・個人年金課長
今回の制度改正で、iDeCoの実施主体である国民年金基金連合会には多大な御苦労をおかけしますので、しっかり制度を施行できるよう一緒に進めていきたいと思っています。企業年金連合会も含めてですが、両連合会は、企業年金・個人年金制度を支える大事な体制・基盤・プラットフォームであると思っています。今回の制度改正で、両連合会でiDeCoの投資教育は連携してやっていくという形になっていますので、先ほども申し上げましたが、企業が実施する企業年金と個人が自らの資産形成手段で行う個人年金は、両制度の長所を生かしながら制度としても組み合わせていかなければいけないですし、個人のライフプランの設計の中でも組み合わせていただくことが必要だと思っています。両連合会のますますの充実・連携というものも引き続き議論をしていただきたいと思っています。
○神野部会長
ありがとうございます。
まだまだ御議論があるかもしれませんけれども、一渡り委員の皆様方に御議論を頂戴し、生産的な御意見を頂戴したこと、深く感謝を申し上げる次第でございます。
事務局から説明がありましたように、次回以降も引き続き御議論させていただきますので、御審議を頂戴するのはこの辺で終わらせていただいて、次の議題「厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会における議論の経過について」でございますが、これは事務局から御報告いただければと思います。よろしくお願いします。
○吉田企業年金・個人年金課長
資料3をお開きください。厚生年金基金の特例解散等に関する専門委員会の開催状況について御報告します。
厚生年金基金の特例解散については、当部会の下に専門委員会が置かれており、森戸部会長代理に専門委員会の委員長をしていただいています。
資料の2の部分、開催状況の部分を御覧いただきまして、2019年4月から2020年3月までの昨年度1年間の専門委員会の開催状況について御報告いたします。この間、専門委員会は2回開催しまして、納付計画の変更について御審議をいただきましたが、いずれも法令上の「納付することができないやむを得ない理由」には当たらず、変更は認められないとされました。
以上、報告です。
○神野部会長
御質問あれば頂戴しておきたいと思いますが、ありますか。いいですか。
○森戸部会長代理
いいです。
○神野部会長
特に御質問、御意見なければ、御承知おきいただければと思います。
それでは、一応、予定しておりました議事を終わりました。御発言も特にないようでございますから、この辺で本日の議事は終了させていただきます。
次回以降の開催につきまして、事務局から連絡をお願いできればと思います。
○吉田企業年金・個人年金課長
次回の部会の開催日時と議題につきましては、事務局から各位の御都合をお伺いした上で正式な御案内をお送りしますので、またよろしくお願いします。
以上です。
○神野部会長
どうもありがとうございました。
これにて、第11回「企業年金・個人年金部会」を終了させていただきます。お忙しい中を御参集くださいまして、また、最後まで熱心に御議論を頂戴したこと、深く感謝を申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。