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第13回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録
医政局研究開発振興課
日時
令和元年6月6日(木) 13:00~15:00
場所
三田共用会議所大会議室(3階)
議事
- ○伯野研究開発振興課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第13回厚生科学審議会臨床研究部会を開催させていただきます。本日は部会の定数14名に対して、現時点で11名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。なお、清水先生におかれましては、御欠席されるとの御連絡を頂いております。掛江先生、渡部先生におかれましては、少し遅れるということでございます。また、国忠委員におかれましては、開始後20分前後で退室を予定されている旨、御連絡を頂いているところです。なお、本日は、北里大学医学部臨床研究センター教授の熊谷雄治先生を参考人としてお招きさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、本日の会議資料についてです。お手元のタブレットを御覧ください。議事次第、02として座席表、03に委員名簿、04以降が資料です。資料1-1「拠点のあり方に係る関係者ヒアリング」、資料1-2「熊谷参考人提出資料」、資料1-3「国忠委員提出資料」、資料1-4「増田委員提出資料」、資料2「特定領域型拠点の考え方について」、参考資料として、1、2、3がございます。以上ですが、資料の不足等は大丈夫でしょうか。ありがとうございます。
円滑な議事進行のため、頭撮りカメラがございましたら、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。以後の進行につきましては、楠岡部会長にお願いいたします。
○楠岡部会長 本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。それでは早速議事に入らせていただきます。議題1は今後の臨床研究・治験活性化に係る方向性についてということで、関係者に対するヒアリングです。まず、事務局より資料1-1の説明をお願いします。
○吉田治験推進室長 それでは、プライベートファイルの上から4番目、04資料1-1、拠点のあり方に係る関係者ヒアリングというファイルを開けてください。前回に引き続き、今回、関係者のヒアリングを行います。前回は、『中間取りまとめ』の基本的な考え方のⅣ.開発の進みにくい領域の取組に関連する形で、特定領域の臨床研究を推進する拠点の整備に関連するヒアリングを実施しました。本日は、『中間取りまとめ』の基本的な考え方のⅡ.人材育成の強化と財政的リソースの効率化に関連して、拠点が担う臨床研究の支援機能に係るヒアリングとして、以下の3人の方から御意見を頂くことにしたいと思います。まず、北里大学医学部臨床研究センター教授の熊谷雄治先生を参考人としてお呼びしております。そして、製薬業界の立場から見た拠点に求める役割については国忠委員、医療機器業界の立場から見た拠点に求める役割については増田委員、以上3名です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明にありましたように、前回に引き続き、拠点のあり方に係る検討事項の整理に向けたヒアリングについて進めていきたいと思います。冒頭、事務局から申し上げましたように、13時20分頃をめどに国忠委員が退室される予定となっております。まず先に、資料1-3について国忠委員から5分程度で御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
○国忠委員 ありがとうございます。時間がちょっとないもので先にさせていただきます。製薬協として、「臨床研究・治験活性化に係る拠点への期待」ということで、資料を4枚ほどまとめてまいりました。全体、全てまとめますと、その枠の中に書いてあります「高い専門性を活かし、患者・地域・関連機関・企業との連携を通じて世界に発信できる医療の創出を牽引する」ということに尽きるのですが、もう少しかみ砕いて以下の資料で御説明したいと思います。
2枚目、ここでは「高い専門性と機関連携への期待」ということで書いております。ここでは主に、今まで先生方にサイエンスの高さで我々業界は随分助けていただいてきたということ、それから、サイエンスにおけるハブ、そういう機能を持っていただくという2つのことを、分けて書いています。まず1番目はサイエンスです。前回もありましたような開発が進まない領域での研究促進。そこでは、研究計画立案・推進と取りまとめ、あるいはさらに、これからはリアルワールドデータを利用できる仕組みの構築、こういうところで先生方のサイエンスレベルをいかした研究を我々にも利用させていただきたいと考えているということが1つです。
もう1つは、サイエンスハブと申し上げましたが、関連医療機関の指導、教育、サポートということです。ここに書かれていますが、高度な治験、臨床研究実施体制を有して、GCP、臨床研究法等に準拠した研究を牽引していただきたいのだということ。それから、ここには書いておりませんが、私たちが国際共同試験、治験をやる場合に、どうしてもナショナルリードインベストゲーターと言いますか、国内における拠点となる施設がしっかりあることで非常にやりやすいということですから、ナショナルリードインベストゲーターになるような、日本におけるハブになっていただきたいというのが1つです。それから、もちろんそのために、最後に書いてありますが、治験責任医師、CRC、臨床研究専門家、データサイエンティスト、生物統計家、こういう専門機能の育成も進めていっていただきたいと考えております。
次ページ、今のはサイエンスハブというお話ですが、もう1つここに書いてあるのは、ネットワークハブという、治験とか臨床研究における症例の集積に関する期待です。短期間かつ少ない医療機関で十分な患者さんを研究に組み込めるかどうか。それは、領域横断型、あるいは特定領域型ネットワークによって組み込んでいただきたい。さらに、疾患レジストリ等を利用したリクルートを促進していただきたい。それと、治験手続の効率化推進という意味で、実際に認定臨床研究審査委員会ができて、セントラルのIRBが動くことになって、こういうことも可能になっているのだろうと思いますが、その可能になっていることを十分にいかすような動きをしていただきたい。というのが、ここで言っておりますネットワークハブとしての期待です。
最後の紙では、この先の中長期的な将来への期待ということも書かせていただいております。1つは、臨床研究・治験に対する新しい評価方法の試行や開発の取組。例えば、新しい臨床評価手法の開発・構築、あるいは、患者さんが実際に来院しないでも評価できる仕組み、遠隔診療であるとか近隣医療機関での検査実施等、こういう仕組みも作っていっていただけないかどうか。それと3番目に書かせていただいたのは、日本が初となる、日本から発信する国際共同試験を牽引していただけるような中核拠点になっていただけないかということ、これらを期待しております。
それともう1つ、臨床研究・治験におけるリアルワールドデータの利活用推進ということです。領域横断型の拠点においては、地域の患者さんのデータを集めるようなデータベースを作っていってもらえないだろうか。それから、特定領域型の拠点においては、例えば現在進んでいるクリニカル・イノベーション・ネットワークみたいな疾患レジストリの更なる発展というのが、これからできるのではないか、やっていただけないだろうか、そういうことを私たちは期待しております。以上、サイエンスとハブという2つの観点から、拠点に対する期待を述べさせていただきました。ありがとうございます。
○楠岡部会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関して、御質問、コメント等がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○花井委員 御説明ありがとうございます。2つ伺いたいのです。1つは、今、期待というところは伺ったのですが、現状、何が決定的に欠いているかという視点で、おっしゃりにくいかもしれませんが、日本で、やはりここは非常に問題がある、足りないという部分があったら教えていただきたい。
それと、私の理解だと、日本は治験と臨床研究とちょっと立て付けが違うわけですが、治験においては、それなりにICH-GCPという形は、何かアドホックな形で業界様からのいろいろな力添えがあって、ある程度体制等を維持していると考えております。しかし、臨床研究の足腰となると、やはりそこはアドホックではなくて継続的にその機能が要る。そのときに、常に問題になるのはファンドの問題で、そういうときに、治験に限らず臨床研究全体に対して、もう少し足腰の部分で業界から御協力という可能性はあるのでしょうか。具体的に言えば、リアルワールドデータと言っても、データベースはもちろん国が旗を振るのはそうであっても、やはりお金なりというのもあるので、業界のほうで利益があるのであれば、業界と国と一体となってリアルワールドを使えるようなレジストリ構築のシステムを構築するとか、そういう可能性もあると思います。その辺の可能性について教えていただきたいのです。以上2点です。
○国忠委員 ありがとうございます。今、何が足りないかということに関しては、ある面、足りているところが多いかと思っています。ただ、もっとうまくやれるのではないかと思っていまして、アカデミアと業界とがうまく分業して動かせれば、治験はうまく動いてきたわけですから、そういう体制がやはり臨床研究でも起こっていくべきなのではないかと思っています。ちょっと先走って熊谷先生の資料を先ほど見ていたのですが、AROで全ての機能を持っているのはやはり大変なことだと思うのです。ですから、ある部分、企業が役割分担をすることによって、うまく動かせるのではないかと。今のお話は全く最後の質問にも絡むのですが、もちろん企業には、利用できるリアルデータベースに対しては対価を払って使わせていただきたいというのがありますが、足腰となってという意味では、やはり我々が動く部分も多少あるのではないか。それを、今の臨床研究法によって、契約ベースで完全に透明性を持たしてやる分には何ら問題ないと思いますので、そういう形で動かすことによって。ただ私たちは「先生方、頑張ってください」と言うよりもむしろ、「我々は頭がないです、足腰はあると思っています。ですから、我々も、できるところはお手伝いしますので、一緒に活性化しませんか」ということを言いたいと思います。
○楠岡部会長 ほかにございますか。リアルワールドデータということでは、MID-NETをPMDAがやっておられるわけですが、その辺りに関して何かコメントございますか。
○藤原部会長代理 MID-NETは本格運用がまだ始まったばかりなので、これから活用してくる段階なので、今の時点では何とも、活用してくださいとしか言いようがないところもありますが。
○楠岡部会長 やはり製薬業界にとって、このリアルワールドデータということは、MID-NETだけに限らず、コストの面等に関する対価という問題は別として、いろいろなデータがもっと集まって使える状況を進めていただきたいというのが希望ということであります。ほかにございますか。
○羽鳥委員 難病対策委員会、あるいは小児の慢性疾患の委員会に出ているのですが、そこでも指摘されていることですが、データベースがなかなか統一化されていないとかということで、例えば小児から大人になったときのデータがうまく移って行かないとか、そういう基本的な構造が厚労省の中の仕組みとしてできていないというのも、やはり問題だろうと思います。要するに、患者数が非常に限られていて、治験あるいは臨床研究をするにも、症例数を集めることすら大変という所もたくさんあるので、もちろん個人情報に配慮しながらということですが、その辺のデータベースの仕組みを国として全体で考えていってもらえるような、厚生労働省全体で考えていくようなことも必要ではないのかと思いました。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。あと、臨床研究法が施行されて、1つは、COIをはっきりさせること。それから、それに絡んで役割分担もしっかりするということ。ただ、私自身もある新聞の記事で見たので、詳細なレポートを見ているわけではないので何とも言えないのですが、医師主導の臨床試験をされていた研究者に対するアンケート結果の中で、臨床研究法が施行されて、すごくやりにくくなったという意見が出ていました。どこがやりにくくなったかということは読んだ範囲では書かれていなかったので、そこがどこなのか分からないのですが、推測ですが、1つは、今までどちらかというと病院単位でいろいろな手続が行われていたのが、研究責任者自身が行わなければならないという煩雑性は確かにあるかと思います。そうすると、正にそういうところは、拠点なりのサポート機能をうまく活用すれば、できるところではないのではないかと思うのです。これは製薬協にそういう話が届いているかどうか分からないのですが、臨床研究法でやりにくくなったところに関して、製薬協のほうでサポートしてもらえるところはないかという、そういう現場からの要望みたいなものは何か来ていますでしょうか。
○国忠委員 協会自体には特に来ていないと思います。しかし、個社対応は何かやっているのではないかと思うのです。実際に、治験で動き回っていた人間が病院にいろいろ入っていっていると思います。そういう人間が、解釈の仕方とか、あるいは治験とのアナロジーで、それは先生こういうことではないですかとか、幾つかサゼッションすることはできているのではないかと思っております。
○楠岡部会長 そういう意味で、拠点と業界の間での情報交換は、必ずしもこの拠点のあり方だけではなくて、現場に関するいろいろな情報伝達なりの1つのルートとして結構大事なのではないかと思います。ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。
それでは続きまして、資料1-2に戻りまして、参考人の熊谷先生から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願します。
○熊谷参考人 私には、研究者から見たAROの機能の活用ということで、依頼を受けました。このスライド、PDFの2枚目を見ていただきたいのですが、実際に医師主導治験、特定臨床研究も同じですが、こういうものを行いますと、いろいろなことが必要です。どういう支援があるかということでまとめてみたものが、この2つの四角に囲まれているものでして、左側が試験開始前、それから試験開始後、試験開始中になります。シーズ管理から始まって、様々なものがあって、デザイン、研究費の取得、書類、治験届、臨床試験登録、それから開始後には調整、割付、DM、ハンドリング、モニタリング、監査、統計と、このようにたくさんあります。これを研究者が自分で行うというのは、とても無理です。ですから、何らかの支援が必要なのですが、この全てを臨床研究中核病院から受けるということは、実質的には支援を受ける側からも無理だと思いますし、このような機能を全て臨床研究中核病院が担う、持っているべきだというのも、なかなか難しい問題だと感じています。
次に、実際に現在我々が走らせております、心房細動治療薬のフェーズⅡaの試験の支援例を示しています。この赤で囲んだものが、ARO機能を活用している部分になります。まず左側の四角ですが、これは慶應さんから支援を受けておりまして、シーズ開発の管理、臨床研究デザインの相談。その下にありますのが、ARO機能全体としての四角です。慶應さんには監査、それ以外の調整事務局、薬事、DM、モニタリング、こういうものは、うちは中核病院ではないのですが、それなりのARO機能がありますので、そのARO機能を活用しているという状況にあります。
たまたま私たちの所はARO機能がありましたので、この部分を担当することができましたけれども、これはできない所が結構多いのではないかと思います。ですから場合によっては、ほとんど全て丸投げに近いような形の支援を求められることもあるのではないかと想像しています。
次のスライドです。実際に支援を受けた経験からお話しますと、まず試験計画作成に関しての助言というのが、ものすごく有用でした。アカデミアにとって、この試験計画というのは非常に重要なところなのですが、どうしても独りよがりになりやすいというところがあって、同じ専門性を有したほかの人たち、ピアレビューの意味にもなると思うのですが、これは非常に有用で、研究費の取得にもすごく力を頂いたという感覚でおります。これは慶應さんからの支援がなければ、研究費自体も取れなかったと感じております。
それから、実際の実施となりますと、先ほど挙げましたように、支援業務は本当にたくさんあります。ですので、自分の施設でできること、それからAROにお願いすることというのを切り分けていかないといけない。しかし、その切り分け方もまた難しくて、相互に関連し合った問題ですので、かなり綿密な打合せが必要になってきます。
実際、AROに依頼しなくてもできることというのは、かなりあります。だから自分の所でできなくても、それがCROへの委託になりますが、どうしても必要だと思っているものとして、AROにプロジェクトマネジメントは是非お願いしたいと思っています。全体の統括という意味で。それ以外に試験計画作成支援、生物統計の計画のほうですよね、それから、CSRの作成等の科学性に関わる部分、これはAROの関与が必須だと思っております。要するに先ほど国忠委員もおっしゃっていましたが、アカデミアとしてのサイエンスの部分を、きっちりAROが担うということが重要だと思っております。
また、先ほど少しお話しましたが、研究費の申請、AMED対応に関して、経験豊富なAROの助言というのは、非常に我々にとって有用でした。プレゼンが下手だとか、あるいは計画が少し抜けているということで、研究費が取れないということが、ひょっとしたら日本で起こっているとしたら、これは大きな損失ですので、優れたシーズを取りこぼさないという意味でも、目利きが近くにいてくれるというのは心強く感じております。
最後のものですが、この臨床研究中核病院の支援を実際に受けて感じることですが、慶應さんのARO、あるいはほかの中核病院のAROの方々を見ていて思うのは、御自分も研究者なのです。研究をやりたい方たちがたくさんいらっしゃる。でも、その研究をやっている人たちがARO業務で疲弊しているのではないかと。私は自分自身、北里のAROの仕事を昔していたのですが、今は離れてすごく楽になって、自分の研究ができるようになったという状況にあります。それが、やはり今、実際に中核でAROを担当している先生方がAROの業務で疲弊して、研究ができないということは非常に損失だと思いますし、また、今の枠組みでは中核病院自体が研究実績を上げなければいけないということになっています。これもお気の毒だなと思います。また、たまたま我々の所はARO機能を持っておりましたので、余り御負担を掛けていないと思うのですが、場合によってはほとんど丸投げに近くて、どうしてここまで要求されるのだろうということを要求されているようだと思っています。実際に我々がやっているわけではないので、断言はできませんが、そういうことを感じています。
そういうことを考え合わせてみますと、本当に今の日本の中核病院のAROが求められている、試験実施に求められる全ての機能を持つべきかというのは、非常に難しい部分があるのではないかと。参考資料のほうに、欧米のCROの状況を少し書いておりますが、非常に有名なDukeのAROでは、人員が1,200名おります。その1,200名の人員で、たくさんの論文を出す、たくさんの臨床国際共同研究をやるということができています。ただ、それはHarvardもDukeも一緒なのですが、優れたサイエンスとしてのインベストゲーターがいるからなのです。KOLがそこにいて、サイエンスとしてきれいに裏打ちされた臨床研究を、豊富な人材、資金を用いて運営しているという状況にあります。これと同じことを日本の中核病院のAROに求めるのかということが、疑問だなと思っています。実際、現在の中核病院のリソースで、フルのCROサポートは恐らく無理だろうと思いますし、自立もまた難しいのではないか。
それから、今の日本のアカデミアの状況で、臨床研究、臨床試験に携わるスタッフたちのインセンティブといいますか、モチベーションといいますか、それを維持するためのラダー、キャリアパスのラダーがきちんと確立されているかというのは、甚だ疑問であります。そういう状況下にあって、スタッフにモチベーションを持って仕事をやっていただくというのは、これもなかなか難しいことではないかと考えています。
そういうこともありまして、中核病院のAROには、特にこれは領域横断型とか特定のものに関してもそうだと思うのですが、アカデミックなサイエンスの部分をきちんと担当していただくことがまず最重点であって、それから先の部分はケースバイケースで使い分けていくことがいいのではないかと思っています。業務の分担としては、中核病院に積極的に求めたい業務として、薬事、試験計画の作成、安全性情報の取扱い、プロジェクトマネジメント、この辺りは最低やっていただきたいけれども、それ以外のローカルDMですとかモニタリング、監査、統計解析、割付、こういうことに関しては、支援を受ける施設の機能によって考えていいのではないかと私は考えています。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの御発表に対して、何か御質問、御意見はありますか。熊谷委員の一番最後の所で示されているのは、実は今までもいろいろ議論してきたところではありますので、これに関しても御意見はあるかと思いますが、いかがでしょうか。
新谷委員は今までも機能分けされた中核というか、拠点があってもいいのではないかという御意見で、今の熊谷委員の話にも少し通じるところがあるかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○新谷委員 今、北里大学でARO機能を持っていて、本当によかったというお話があったと思います。ですので、全て中核に頼るのではなく、それぞれの施設である程度のARO機能を持つことが非常に重要であると思います。我々の大学でも、外に頼めないけれども中でそういう機能があって助かったという例は、幾つも見ておりますし、その辺の機能も、私たちもしっかり作っていこうと思うのです。ただ、やはりAROのレベルになりますと、なかなか全ての機能を持つということは非常に難しいことでもありますので、今、私たちが考えているのは、AROが協力し合うというところが大事なのではないかということです。
実際に私たちも他大学のAROと連携しておりまして、例えばEDCを持っている施設が貸し出すですとか、統計家が向こうにいるけれども、こちらはデータのモニタリングに入りましょうかですとか、本当にパーツ、パーツに切り分けて、その技術を持ったAROが、一緒に1つの研究をサポートしていくということも、少しずつ始めております。ですので、臨床研究中核病院に対する期待は大きいと思うのですが、中核に入れない施設でも、ARO機能を無視しないで、持てるような支援を国のほうから是非していただきたいと思っています。
○山口委員 今のことに関係してですが、北里大学ではAROの機能を持てていたというのは、何があったから持てるようになっていたのか、ほかで持てていないのはなぜなのかと感じながらお聞きしました。研究をしながら疲弊している方が多いということですが、先ほどのDuke大学が1,200名というのは、研究していない職員の方が1,200名ですか。
○熊谷参考人 研究していない人が1,000名です。200名が教員です。
○山口委員 では、機能に対しての仕事に専任している方が1,000名いらっしゃるということですね。
○熊谷参考人 はい。
○山口委員 日本の場合ですと、AROでどれぐらいの人が働いているのですか。いろいろ規模差はあると思うのですが。
○熊谷参考人 まず、なぜうちがARO機能を持っているか。これは黒歴史でして、うちは昔、治験中核病院でした。それから、治験中核病院の制度が終わった後に、グローバル臨床研究拠点で合計10年間ほど補助金を頂いて、ARO機能を持ちなさいということで、させていただいています。そのときの約束が、研究費が切れても自立しなさいということだったので、必死で今、維持できるように、お金になる仕事もやりながら、やっているところなのです、ですので、ARO機能が一応ある。本当のことを言いますと、自立のためには学内の仕事を余りしたくないのですが、これはアカデミアの使命だからということで、無理にARO機能を有する部門にお願いして、我々の支援をお願いしているという状況です。
○山口委員 例えば北里大学のARO機能では何名ぐらいの方が。
○熊谷参考人 単純計算では難しいのですが、大体30~40名おります。これは調整事務局業務、データマネジメント、統計解析、モニタリング、監査等を含めまして、一番大きいときでは60名ぐらいおりましたが、今は40名ぐらいになっております。
○山口委員 これは恐らく事務局にお聞きしたほうがいいのかなと思うのですが、臨床研究中核病院以外でARO機能を持てているような所というのは、どれぐらいの数あるのでしょうか。先ほど協力し合うとおっしゃったのですが、余りにも数が少なかったら、協力し合うことすらできないかなと思うのですが、把握されていればで結構です。
○伯野研究開発振興課長 恐らくAROという定義によってくるのかなと思いますが、いろいろな病院、大学病院を含めて、具体的に全国で詳細な調査というのは、現時点では記憶はないので、また調べてみます。
○楠岡部会長 AMEDの事業の中で、AROのリストアップと、それぞれの所が引き受けられる仕事の内容のカタログを作ろうという事業があったのですが、結果、余りうまくいきませんでした。調査の対象にしたのが大学病院とナショナルセンターで、ですから全部合わせると100弱くらいです。いわゆる昔の治験管理室とか、臨床試験管理室的な業務はやっているけれども、AROとしてのサポートは全然できていない、内部で手一杯で、外部のサポートはとてもできませんという所から、臨床研究中核病院まで、すごくバラエティがあるので、今、課長がおっしゃったように、どこまでがAROで、どこからがAROではないかというのは、非常に線引きは難しいというところです。
今年度も確かそれの引き続きの事業をやっているはずで、もう少し使えるカタログを作ろうという趣旨と思います。そういう意味では、全国的に臨床研究中核病院だけに集中しないでできるような形というのは、1つの方策としては今進めているところと理解をしています。ほかにありますか。
○新谷委員 米国との比較と、あとオランダのユトレヒト大学とのことも書いてあったのですが、海外と日本の決定的な違いというのは、ここにありますDuke大学でもユトレヒト大学でもそうなのですが、臨床研究の修士なり博士なりプログラムを持っていると。ユトレヒト大学などでは、疫学のPh.DでほぼほぼMDの方が1学年50人レベルいるというような、かなり大規模な教育プログラムを持っているのです。そこで人材を作っていくということです。Duke大学だと1,000人もどこから探したのかと思いますが、活発に教育、人材育成のところをやっているというのが、日本とかなり決定的な違いではないかと思います。
○楠岡部会長 渡部委員は、臨床研究中核病院としていろいろ注文を受ける立場ですが、今の熊谷委員の御意見はいかがでしょうか。
○渡部委員 実際、中核病院のスタッフが疲弊しているというのは、今までの会議でも出てきたところですが、サイエンスとしての、絶対にアカデミアでなければ支援できない部分に絞って支援するというのは、大変良いアイディアではないかなと思いました。そのためには、カタログ等にも載せているのですが、是非頻繁に更新したりですとか、公開してアクセスしやすいような状態にするということも必要ではないかなと思いました。
CROに委託という話も出たのですが、せっかく研究費を確保しても、CROに研究費の大半を持っていかれるような試験もあると思うのですが、そういったものを是非、研究費を確保した施設で、しっかり人材を育てるというところに結びつけていただいて、体力をつけていただく。中核ではない施設に関しても、人の育成ですとか、スタッフをそろえてという体力をつけていただくことが必要ではないかと思ったのですが、そういった試みというのは、北里大学のほうではされていらっしゃるのでしょうか。
○熊谷参考人 はい。幸いにしまして、以前からのARO機能があることと、うちは臨床試験センターが非常に大きいレベルで展開していたということもあって、臨床試験に関わる人員が一時期150名くらいにまでなったことがあります。今は100名を切っているかもしれませんが。その頃からの教育システムというのは今も生き残っていまして、新しく臨床試験センターに配属される職員には、CRC、DM担当者も含めてですが、大体60コマくらいの導入研修を行っていくということをやっています。私自身も医療系大学院で臨床研究開発学というものを担当しておりまして、修士、博士を受け入れておりまして、現在も博士課程に2人おります。教育はずっとやっている状況にあります。
先ほど分担というお話が出まして、正に私もそのとおりだと思っています。中核病院同士で是非いろいろなところを分担していただいて、1つの中核だけではなくて、お願いできる体制になるのは有り難いなと思うのと、我々のような中核でない所でも、例えばDMですとか、監査ですとか、そういうところのお手伝いはできるということで、やはりアカデミア同士の協力を行うということ。CROはおっしゃるように非常に高いときもありますし、嘘だろうと思うような安い値段で泣いてやってくれることもありますし、いずれにせよ、いろいろな所に負担を掛けているのは間違いない。CROとかにも、SMOは余り使いませんが、負担を掛けて安い金額で手伝っていただいている現状もあるように思います。いろいろな所に無理を掛けていると思います。
○楠岡部会長 ほかによろしいでしょうか。藤原委員も元中核病院でサポート側をされていたと思いますが、何か御意見はありますか。
○藤原部会長代理 私の前職の所は100名超の支援部隊を抱えてやっていましたが、それで多施設共同試験、国際共同試験なども全部従事する形にはしておりましたが、国から頂く研究費以外にも、様々な研究費のグラントを取ってくるというのが、施設の維持には大切だなというのを感じています。
それから、臨床研究中核の評価でも、前向きの観察研究みたいなことだけやっているような中核が結構あるので、ちゃんとした臨床試験を組んで、それが承認申請につながるとか、あるいは診療ガイドラインの変革につながるようなことを目指している施設が、余りにも少なすぎるという気はいたします。今日は中核病院の臨床研究の支援機能のあり方なので、支援の評価のときに、観察研究をやっている病院ではなくて、ちゃんと臨床試験をやって、それが承認申請にまでつながるということを意図してやっている病院を、きちんと評価するというような体制が大事かなと思います。
それから、熊谷先生の所は、早期開発とかフェーズⅡくらいの研究を非常にたくさんやっていらっしゃる施設で有名なのですが、一方でcomparative effectiveness researchをして、市販後のお薬の使い方をきちんと評価していくというのは、診療ガイドラインの作成には非常に大事なのです。そこを熱心にやっている中核病院はほとんどないという現状です。サンプルサイズが大きくなるとお金が掛かりますから大変なのですが、アカデミア主導でやると企業がやるよりは3分の1くらいのコストでできますから、そこも今の中核病院の評価では全然評価されていないので、ちゃんと今後はそこを評価する体制にしてもらいたいです。
橋渡し拠点という文科省がやっている事業と、厚労省がやっている臨床研究中核の事業というのは、非常に重複感があるので、その辺もきちんと整理して、お金の流れをきれいにというか、ちゃんと区分けたほうがいいように思います。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。それでは、次の発表に移りたいと思います。熊谷先生、この後に御用がございましたら御退室いただいても結構です。
○熊谷参考人 ありがとうございました。
○楠岡部会長 それでは、続いて、資料1-4について増田委員から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○増田委員 このような場を頂きまして、御礼申し上げます。私は以前意見を述べさせていただきましたが、今回は、我々が先生方や病院と臨床研究をやろうというときに、どういう問題点があり、どのようにお願いしたいかということを説明いたします。
医療機器は医薬品と大分違い、未承認、若しくは適応外使用の研究が非常に多い分野ですので、適応外となるとほぼ特定臨床研究になるという形です。医療機器の場合、当然、我々も必要な治験はどんどん行っていきたいと考えておりますし、さらに、治験ですので、そこに係る費用は企業側が全て持つという形で、今までもこれからも進めていく予定にしております。
治験や臨床研究についてですが、対象となる機器は先生方に使っていただく道具という形になりますので、それを用いる診断、治療、手技に精通されている先生がおられる施設で実施することが非常に多くなっています。実態として中核病院でどれだけ実施しているかと言うと、割合的には多いとは言えない状況にあります。
課題としては、特に実施する研究が特定臨床研究に該当する場合は、法適合性の遵守のために、相応の人的リソースや研究費を研究者自身が確保しなければいけないという状況です。企業に共同研究、資金提供、労務の提供を依頼される場合もよくあります。企業としては可能な限り協力させていただいており、これからもするつもりにはしております。しかし、個別の企業の戦略、治験との区別、この治験との区別はどういうものかと言うと、特定臨床研究に係る費用を全て企業がもって企業がお手伝いするというのは特定臨床研究ではないと、これは治験だと、治験でやるべきことを臨床研究法でやっているのではないかという判断になりますので、そこは治験という形にするほうが適切であろうと考えております。ですので、治験との区別をきっちりするということ。利益相反の管理、企業が入りますので、利益相反は先生方がされるより更に厳密に進める必要があります。また、公正規約の観点から十分な協力ができない場合があります。
そこに関して、効率的な臨床研究をできるだけ活発に進めるには、中核病院がある程度の機能を持たれているのであれば、そこの力をお借りしたいという部分があります。地域や診療領域ごとで病院間の連携を進めて、研究支援部門により、周辺グループ施設で実施する臨床研究において、通常の我々がする臨床研究をお願いする病院にはない統計の計画を作ったり解析をする、あと、モニタリング、監査が病院には余りありませんので、そういう業務支援体制をできたらお願いしたいと。それをしていただければ、企業からの資金、可能なところの労務の提供、その他も含めて、特定臨床研究をもう少し活発に進めることができるのではないかと考えております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に関して、何か御意見やコメントはございますか。
○山口委員 どうもありがとうございました。今の御説明だと、医療機器に関する臨床研究はどちらかと言うと中核病院ではそれほど多くないので、支援の部分をお願いしたいという御趣旨でのお話だったと思います。特に医療機器に関しての臨床研究が行われている医療機関、手技に精通している医療機関ということになるのかもしれませんが、どういう所が中心になって臨床研究が行われていると解釈すればよろしいのでしょうか。
○増田委員 これは非常に難しくて、製品によって全く行われる場所が異なります。医療機器の場合は、体外循環、カテーテルその他、移植までありますので、その先生がおられる所で実際にやる。我々の場合によくあるのは、先生が異動された場合には異動先の施設にまたお願いするという形になりますので、どこと特に決まっておりません。
○山口委員 ということは、医療機関というよりは、そのことをやっていらっしゃる医師がどこにいらっしゃるかということによって、研究が行われる場所が変わるという解釈でよろしいでしょうか。
○増田委員 そうです。
○山口委員 かなり特殊。
○増田委員 医療機器自体が先生に使っていただくものだと。その医療機器に精通していない先生に使っていただくことは、我々としては患者のことを考えるとできないであろうということです。特に治験もそうですし、臨床研究になると更に開発の初期段階になるので、その辺りは非常にシビアに見ていき、その辺りのことをよく分かっておられる先生でないと、やはり最初は患者のためにはならないと判断しています。
○楠岡部会長 ほかに何かございますか。
○羽鳥委員 日本医師会でも、医療機器開発支援事業で増田委員とはよくお目にかかります。AIを使って医療機器がどんどん進歩していく。その進歩する過程においては、製品になった後、いわゆる自然学習、治療をしながら学習していくような機器も入ってきて、また、最初のときに認められたのが、製品として発売したあと更に進化して性能がよくなることがあると思います。今日の中核病院の話から少しずれてしまうかもしれませんが、医機連としては、この辺りにどのような対応をする予定でしょうか。要するに、今までの機器の申請、承認とは少し違う時代が来るのではないかと思うのですが。
○増田委員 AIについては、いろいろ難しい問題点はありますし、懸念点も幾つかあるのですが、この辺りについて審査の中でどうするかというのは、審査管理室、その他の所、関連部署との協議が進められている途中になっています。
○楠岡部会長 ほかに何かございますか。
○渡部委員 やはり中核病院の支援とは少しずれた質問になってしまうのですが、2番目のスライドの治験との区別という所で、先ほど、これは実際は治験だという御発言もあったかと思います。企業が主体的に実施している特定臨床研究で、データのハンドリングや資金提供もあって、実際に治験としてされているようなものも見受けています。一方で、観察研究というふうにデザインを変えて、観察研究にかなり流れてしまっているというお話もあります。この辺りの治験との区別というところで、今何が起きているのかということを、もし事例等がありましたら教えていただければと思います。
○増田委員 治験との区別ということでいくと、企業がどれだけ関与していくか。企業主体であり企業が中まで入り込んで全てをやるのだったら、これは本来は治験としてやるべきもの。観察研究みたいに承認を取った後のものでしたら、企業が入っていても特定にはならない、治験にもすることができないということで、されている所はあると聞いております。
○楠岡部会長 機器の場合は、クラスによって治験でなくて性能評価試験などがあります。ただ、これは治験ではないので、今までは指針でやっていましたが、未承認機器になりますので、臨床研究法でやると特定臨床研究に該当する。薬剤と比べると機器独特の違いもあると思います。それから、性能評価試験が義務付けられていなくても、承認を取った後で実施すれば通常の臨床試験になりますが、承認前にやろうとすると未承認機器ということになるので、試験の内容はそれほど厳しくなくても特定臨床研究に該当する。機器はそういうクラスと承認前か後かによる関係で、若干複雑なところはあるかと思います。
ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。それでは、今日はお三方からお話を伺いました。既にお二人は帰られてしまっていないのですが、全体を通して何か御意見等ございますか。特に支援機能に関するところについて、今日お話いただきました。個別のところでいろいろ御意見を頂きましたので、特別はないかと思います。いかがでしょうか。
○矢守委員 PMDAの立場ではなくて、個人の経験からなのですが、私は基礎研究とは全く違う局面のがんの基礎研究の支援活動を、リーダーとして20年ほどやってきました。そのときに強く感じたのは、先ほどサイエンスは非常に重要だというお話がありましたが、支援する側がしっかりしたサイエンスをやっていないと、決していい支援はできないということです。良い研究をしていなければ結局良い支援もできない。
したがって、臨床中核病院の場合も、優秀なサイエンティストや医師をサポートする、本来のサイエンスに働いてもらうというところをサポートするために、サポーティングスタッフの充実は必要で、支援をしっかりやるために必要な人員的手当を国がよく考えて。サイエンティフィックな部分の支援というお話が先ほどありましたが、これは非常に重要な部分だと思うので、研究費獲得にも役立つと思いますので、是非、中核病院の支援のためのスタッフ充実ということをやっていただきたいと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。
○花井委員 若干、関連してなのですが、私たちはAROとCROと言われても実はよく分からないところがあります。ただ、お話を伺っていて、例えばCROに外部委託をするとすごく高かったり安かったりみたいな話がありましたし、それから、ARO同士の連携のときにお互いリソースをやり取りしているわけですよね。そうすると、サイエンスがきちんと分かっている人が支援するという、つまり、知的なサポートの部分は非常に重要で、そこが充実するという話と、逆に言えば、もちろんある程度の専門性はあるにせよ、リソースのある所に力仕事的な部分の負担があり、安いコストでそれをやらされているとすると、やはりコスト配分ということも考えたほうがいいと思います。
CROがやっているお品書きの値段表と、実際、アカデミア同士、ARO同士でやっているときのコストが、どのくらい開いているかというのが分かれば、ある程度。つまり、その分、人を抱えている分は、力仕事的なことは完全にコストでしかないので、そこにはきちんとその分の対価を融通するような話になっていたほうが。民間だと割と値段を付けて、値段が高かったり安かったりということなのですが、やはり、公的ファンドが入っていて、一定程度の自己努力もして体制を取っている所で、知的なサポートについてはいいのだけれども、ある程度、力仕事的なタクティカルなことでお手伝いをする部分については、それなりの対価が入る仕組みがあってもいいと思うのです。
民間とそういうので、値段表がどう違うかというのは分からないのですが、今聞くと、どこにも潤沢であればいいのだけれども、日本の場合はあったりなかったりと。やり繰りを日本全体でしましょうということを先ほどからやっていると思うのですが、そのやり繰りの中で、コストのやり繰りも公平に回るような仕組みがあったらいいと思いました。是非、考えていただきたいと思います。以上です。
○新谷委員 AROや中核病院で料金表を持っており、それに対する対価というのは頂いてやっていて、外部からの資金は私たちの重要な活動資金になっていますが、料金表は各施設でまちまちであると思います。CRO寄りの料金表を作っている所もあれば、何とかお金をそれほど掛けないで、お金のない研究者も助けたいというところで、コストを下げていこうという施設もあれば、すごく幅は広い。CROほどでは全くないと思いますが。
そのときに、我々がアカデミアとして思うのは、果たして臨床研究を遂行するのにCROに払っているお金が必要なのかと、そういう議論もあります。例えば、CROにモニタリングを頼むと、見積りが1,000万単位で来るわけです。それを研究者とCROでやってしまうと、言い値で払ってしまうと。そこにローカルでもある程度分かる支援の人間がいれば、法律で定めているモニタリングにはそれほどお金を掛ける必要はありませんよ、それぐらいだったらローカルの支援部隊と研究者で協力して、コストダウンを図りましょうという提案をさせていただいたりもしております。
まず、料金がまちまちということもありますし、料金自体が果たしてそれだけ必要なのかという議論も重要かと思います。全てのAROがCRO並みの料金を設定してしまうと、結局お金のある先生しか研究できなくなるということで、やはりAROのいいところは、コストを下げながら質の高い支援をする工夫というのを、それを研究テーマとしてやれるところかとも思っています。
○花井委員 そういうことかとも思うのですが、先ほどの話だと、結局、そこまで丸投げされてしまって、ただでさえ貴重なリソースなのに、本当はもっと知的なサポートをしなければいけないリソースが取られるという可能性があり、支援される側が良心的に、今おっしゃられたような、何とかコストを安くこの良い研究を手伝ってあげたいという、個人の努力的なところもあると思うのですが。やはり、そこに見合ったものがうまくお金としても回るような仕組みなのか、若しくは、国が関与する話ではないのかどうか、よく分からないのですけれども、ある種公平なリソース配分という意味では、お金の部分で、下手をすれば頑張っている人は損をする形になりかねないので、そこは一工夫、良い仕組みがあればと思いました。ありがとうございました。
○楠岡部会長 その辺りにも、いろいろな歴史的経緯があります。日本でのCROの業務は、省令GCPが入ってきてモニタリングとかをしっかりやらなければいけなくなったときに、当初は製薬会社がモニターを抱えていたわけですが、だんだん業務を外出しにするとか、あるいは治験の数も減ってきているので常時仕事があるわけではないということで、それを外部委託するといったことでCROという形にいっている。そうすると、製薬会社から委託する場合はCROにすごくたくさんお金を払ってくれるわけですので、結果的に値段が高めになる、それが研究者が払うとなると、とてもそれだけ研究費が付いてこないので、その辺りのところをどのように調整するか。だから、見積りを出してもらうと、製薬会社向けの見積りみたいなものが出てくると、すごい額になっているというようなことがあります。
それから、今、日本でCROに委託している業務はほとんどモニタリングとか、あるいは監査の部分です。もともとCROは、それ以外にデータマネジメントとかいろいろなことをしていますし、海外の巨大なCROは、グローバル企業から1つの薬の開発そのものを請け負って、ものすごい額で1つの薬を作るというぐらいの、基礎研究から最後の臨床試験までやるみたいなこともあります。日本でのCROという言葉遣いと海外でのCROという言葉遣いには若干ずれがあります。我々は、今、AROとCROと言っているのですが、言うなれば日本版AROと日本版CROの比較みたいな話をしていて、そこを海外のCROレベルとかと比べだすと、AROもDukeみたいなものもあるわけなので、なかなか議論のかみ合わないところもあるので、その辺りは少し注意して議論していかないといけないと思っております。ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。それでは、議題1に関してはここで終了いたします。
次の議題です。今後の臨床研究・治験活性化に係る方向性で、前回の続きになるかと思います。資料2について、事務局から説明をお願いします。
○吉田治験推進室長 それでは、プライベートファイルの下から4つ目の08資料2、特定領域型拠点の考え方についてというタイトルのファイルを開けてください。前回、『中間取りまとめ』の基本的な考え方のⅣ.である開発の進みにくい領域の取組に関連して、特定領域の臨床研究を推進する拠点の整備について、ヒアリングを行いました。その内容を踏まえて、特定領域として想定する具体的な領域の考え方や拠点に求められる役割について、事務局で整理いたしましたので、それについて紹介いたします。
まず、特定領域型拠点として想定する領域です。幅広い疾患領域に関して全ての領域を指定することは困難なので、特定領域として国が取り組むべき領域を整理する必要はあるが、これまでの議論や『中間取りまとめ』を踏まえ、以下の観点から特定領域を検討するべきではないか。1つ目は、特に臨床研究の取組が行いにくい領域、2つ目は、治療法の開発等が十分でないと考えられる領域、3つ目は、長期にわたる安定的な取組が求められる領域です。なお、ヒアリング等ではこれらを踏まえた具体的な領域として、小児領域や神経系疾患の領域が挙げられております。
次に、特定領域型の拠点に対し求められる役割についてです。特定領域型の拠点に対しては、次のような役割を担うべきではないかと。まず、全国に点在する患者及び研究者を適切につなぐ、ネットワークのハブ機能。具体的には、関連学会とも連携した治験・臨床研究のネットワークの事務局機能、拠点を中心とした多施設共同治験・臨床研究の積極的な推進、特定領域に精通した倫理審査委員会や認定臨床研究審査委員会の設置です。特定領域に係る人材の育成。レジストリ、バイオバンク等、研究開発に用いることができるデータ基盤の管理体制。研究費等で構築したデータベース等の成果物を蓄積するような、政策的な観点を含めた安定的な組織運営基盤。コンパッショネートユース等の適切な実施。なお、ヒアリングにおいては、このような役割が求められる一方で、既存の臨床研究中核病院に求められるような幅広い臨床研究の支援基盤については、必ずしも全て同水準であることを求める必要はないのではないか、という意見もありました。
次のページです。これらを踏まえ、特定領域型拠点を設ける場合に求める要件の考え方を、次のように整理しております。特定領域型拠点については、前のページに掲げられている役割を担うため、次のような内容を要件として求めるべきではないかということです。まず、体制や人員としてということで、関連学会とも連携した治験・臨床研究のネットワーク事務局機能、特定領域に精通した倫理審査委員会や認定臨床研究審査委員会の設置、レジストリやバイオバンク等の研究開発に用いることができる基盤の管理体制。そして、実施実績等として求めるべきものとして、拠点を中心とした多施設共同治験・臨床研究の積極的な実施、特定領域に関する他の施設・研究者に向けての支援の実施、OJT型の研究人材育成の実施です。
また、他の拠点との適切な連携を前提に、支援基盤体制についても特定領域に特化した形となるように、研修等に係る件数・内容、必要な人員数について、適切な設定を行うことが必要であるということ。そして、人的・財政的リソースや情報の集約のためには、国内における一元的な連携・協力体制の構築が望ましいことを踏まえると、関係医療機関を取りまとめる役割を担う特定領域型拠点は、各領域に関し、原則1つとすべきではないかということです。
次のページです。次に、特定領域型拠点の制度上の位置づけについて整理する必要があります。これまでの議論により、国内の治験・臨床研究の基盤として、特定領域型拠点、領域横断型拠点といった役割分担が必要とされ、特定領域型拠点に具体的に求められる役割について意見を聞いたところです。意見を踏まえ、特定領域型拠点に具体的に求められる役割を踏まえると、一定の要件を設定した上で、それを満たす医療機関を国が拠点として位置づけていくことが適切であると考えられます。他方、国内の臨床研究の拠点に関する法的な位置づけとしては、医療法上に臨床研究中核病院が位置づけられております。これらを踏まえ、特定領域型拠点の制度的な位置づけについて、どのような制度的枠組みに位置づけるのが適切と考えられるかという課題の提起です。
次のページです。こちらは参考資料です。まず、現状の臨床研究中核病院制度に係る概要です。次のページです。これは、『中間取りまとめ』の際に添付している、臨床研究の拠点の役割や機能についてまとめた拠点のあり方の整理案を図にしたものです。ここでは、領域横断的に国際水準の質の高い臨床研究・治験を実施する横断領域型拠点と、国民の健康に重大な影響のある特定の領域について、長期的に着実に臨床研究・治験を推進する特定領域型拠点、この2つの考え方を提示したところです。以上です。
○楠岡部会長 ただいまの事務局からの説明に関して、何か御意見、コメントがありましたらお願いしたいと思います。
○山口委員 結構難しい問題が並んでいるのではないかと思います。今、御説明いただいた資料の3ページ、臨床研究中核病院は医療法上に位置づけられていて、法的な位置づけが書いてあるわけです。臨床研究中核病院自体が医療法に基づいた位置づけだということはよく分かるのですが、例えば、先進的というか先端的な医療ということを行うときに、患者申出療養の実施計画は臨床研究中核病院で作るということになっていると思います。例えば、こういうことの位置づけ自体が、医療法に基づいてそういう位置づけになっているのかどうかということを、まず、前提として教えていただいて、その上で意見を述べたいのです。
○楠岡部会長 事務局、お願いいたします。
○吉田治験推進室長 ただいま御指摘のありました患者申出療養については、医療法上の制度ではありません。
○山口委員 では、実施計画を臨床研究中核病院で作成しないといけないということになっているのは、何に基づいてそういうことになっているのでしょうか。
○吉田治験推進室長 これについては、健康保険法の枠組み中で保険外併用療養費の制度に位置づけられているものです。
○山口委員 ということになると、臨床研究中核病院というと研究の拠点なわけですから、例えば、先進的な医療の提供ということに対して具体的にどのように医療法上、位置づけられるかということも、ほとんど話し合われてこなかったのではないかと思います。そういうことについても今後、話し合っていく必要があるのではないでしょうか。
それから、先ほどコンパッショネートユースという余り聞き慣れない言葉があり、いろいろ調べたところ、臨床研究に参加できないとか、あるいは、承認を待っていられないような方に、未承認のお薬にアクセスするような例外的なことを認める制度だということです。ここの位置づけについても、一体どこでやっていくのか、これまでこの場ではほとんど議論されていなかったのではないかと思いますので、今後そういうことについても。今日、御紹介いただいた内容の中で、きちんと整えられているところと、まだ十分ここで議論できていないところもあり、しっかり議論した上で位置づけを決めていくということを考えていく必要があるのではないかと思いましたので、そのことだけ述べたいと思いました。
○楠岡部会長 領域横断型の研究中核拠点には、今のところ臨床研究中核病院が医療法上、位置づけられている。そのときに、要件が定められているのと同時に、中核病院としてなさなければならない義務的な業務と言いますか、それに関しては他の拠点の支援を行うという少し漠とした表現です。ただし、要件として、データマネージャーであるとかプロジェクトマネージャーとかを置きなさいと言っているので、それからどういう業務を支援すべきかというのは、その延長上で理解できるであろうというところです。しかし、支援に関して、何か具体的なこれをやらなければいけないということが書かれているわけではないというのが、1つあると思います。
もう一方は、先ほどの事務局からの話のように、保険診療等の枠組みの中で、先ほどの患者申出療養とか、あるいは、先進医療に関しても、臨床研究中核病院がどう関わるべきかという議論が今、なされています。それから、コンパッショネートユースは、広い意味では適応外あるいは未承認の薬とか行為を、言うなれば、医師の裁量権の中で実施するというような範囲のものから、患者申出療養に近いような、治験の適応にならなかった方とか、あるいは一定数もう組み入れられてしまったので、そこからは入れない方に関してどうするかというような、これは薬機法の中で定められたりしているものですが、いろいろなものが混在していて整理が付いていないのも実状です。今後議論を進める上で、これはどの法律なり方針でなされているのか、臨床研究中核病院としてマストなのかというようなところで、それに対する体制とか、あるいは、それに対する費用面でどのような裏打ちがされているのかということを、1度整理する必要があるかと思いますので、また事務局でお願いしたいと思います。ほかに何かございますか。
○新谷委員 特定領域型の拠点については、これを見て読む以上、ナショナルセンターをある程度意識したものではないかという印象があるのです。例えば、今の臨床研究中核病院で大学ではない施設の場合、論文数が半分でいいですとか、ある程度、その辺りは優遇という言葉がいいのかどうかは分かりませんが、リソースなどを鑑みたものはできていると思うのです。それでも、人材がいないというような状況を見たときに、例えば、ナショナルセンター、国立がんセンターを挙げられていますけれども、それ以外の所を見たときに、中核にして、果たして資金的な提供だけで、今は機能していない所が十分に機能していくのだろうかというところの議論も必要ではないかと思います。もちろん、これはナショナルセンターを想定したものではなくて通常の大学なども名乗りを上げていいというものであれば、この辺りの議論は要らないのかもしれません。しかし、個人的な印象から言うと、例えば、ナショナルセンターだと、国から既にお金が入っているのではないかと、違っているのかもしれませんけれども。試験があっても人材のリソースがまだそろっていないということは、そもそもお金では解決し得ない問題があるのではないかと。
そうすると、そういう問題は何かというところの議論から始めていただく。それプラス、データセンター機能などは、特に疾患、特定のデータセンターが要るのかというところもありますので、例えば、現在のナショナルセンターとして機能している良い所が、既に中核病院となっている所と連携して、業務提供みたいなネットワークみたいな、うまく機能していくような議論も重要ではないかと思います。
○楠岡部会長 何か御意見はありますか。
○伯野研究開発振興課長 この特定領域型拠点については、これまでの議論を総括したもので、決してナショナルセンターだけを前提に議論ということではないと思っております。少なくとも、これまでの議論では、小児・難病のような、なかなか研究開発が進みづらい分野については、臨床研究の拠点というものをしっかり国として整備をして、より一層そこを推進していくべきではないかといった御意見をもとに、引き続き御意見を頂きたいと思っております。
○楠岡部会長 余り法律的なことをぎりぎり言っても、実効性に必ずしも結び付くわけではないのですが、それぞれのナショナルセンターは設置法みたいなものがあるのですか、それともナショナルセンターとひとまとめの設置法みたいなものがあるのですか。と申しますのは、個別の設置法があると、そこでやるべき業務の中で、既に、特定領域拠点がやらなければいけないようなことをやるように義務付けている可能性というのが気になるので、その点はどういう形になっているのですか。
○伯野研究開発振興課長 ナショナルセンターの設置法については、6法人全体の法律というのがあります。ここで正確な表現は申し上げることはできませんが、当然その中に研究の推進という観点はあるかと思います。もう少し申し上げると、それは特定機能病院にもあるかと思います。そういった意味で、多少重複している部分はあるのではないかと思います。
○楠岡部会長 特定機能病院という名前も出てきましたが、今、大学病院の本院がほとんど特定機能病院になっています。それ以外に特定領域の特定機能病院があるのですが、大学病院の設置の根拠は、要は医学部には附属病院を置かなければならない。要するに、実習施設として置けということが書いてあるだけで、研究しろとは何も書いていないのですが、それが今までの歴史の中で当然そこは研究をしなければならない。逆に、特定機能病院になりますと、確か年間50編の英語の論文を発表しなければいけないみたいな要件が付いていて、逆に、特定機能病院であることによって研究をしなければならないみたいな状況になっている。ただし、そこには支援の話は全然入っていないとか、法律の構成と実態と結構ごちゃごちゃになっているところもあるので、その辺がややこしいところかと思います。
手前味噌ですが、国立病院機構も国立病院機構法という法律で定められていて、臨床研究をやれと書かれているので、我々も一生懸命やっているということで、別に言われているからやっているわけではないのですが、業務として位置付けられているところもあります。実態と根拠になるところ、それ以外のところが、先ほどの議論にもありましたが、一度整理しないと何が何なのかよく分からないということも実際はあるかと思います。ほかに御意見はありますか。
○花井委員 今、楠岡先生がおっしゃられたように、ナショナルセンターにはナショナルセンターの根拠があって、これは医療法上の根拠が臨床研究中核になっていますが、そもそもこれも支援事業で、早期探索的と合体して、これをちゃんと位置付けましょうみたいな話になっている。だから、多分に政策の決断的な部分があるので、今あることはどうあるべきかという合理的な議論と別の観点がどうしても出てきてしまうと。ある程度国がどうしたいかというところが重要で、私の理解は、臨床研究中核病院を医療法に位置づけるときの議論は、やはり日本の臨床研究を何とか底上げするためのアイコンとなるような施設を構想したと。そのときの議論の前提としては、今出てきたように思われているのですが、本来は特定領域型も実は俎上には考えていたのです。しかし、当時、特定機能病院というか、大学病院が中心となる病院に対する社会的信頼性が失墜している時期に当たっており、大学病院だからといって、ちゃんとしていないではないか、そんな所を次々と臨床研究の旗頭にして本当に大丈夫かという議論があったことから、施設要件というのはそれでいいと思いますが、かなり実績要件も厳しく設定していったという経緯があるわけです。
だからある意味、特定領域型拠点というのは、臨床研究中核を医療法に位置づけるときに構想したことの焼き直し的な意味があるのかと。ですから、ズバリこれは臨床研究中核に今回新たに追加するとした上で、その要件・機能については整理するという前提にして議論しないと、法律改正をしていい議論までするのであれば、新たに医療法改正を射程に入れた議論をしたらいいと思いますが。医療法の条文を見る限りにおいては、主には省令以下、そういうところもあるようですし、新たに法改正をしなくても位置づけ可能なように思えるので、それでしたら今正に臨床研究中核のアイコンをもう少し磨き上げるほうが、政策的には整合性は取りやすいかと。
もう1つ、苦言を呈すとすれば、臨床研究中核病院自体もある種の手上げ方式でみんななっているのに、その割にはお金が少ないとか、そういう議論が出ている。おっしゃることは分かるのですが、やはりそれは日本の厳しい状況はみんな分かった上で、オールジャパンでやろうというためのアイコンとして臨床研究中核に立候補してくださいと言って、胸を張って立候補した施設におかれましては、そこは裏が苦しくても、そういう姿勢で。それに加えて、この特定領域型というのを当初の構想どおり入れていくということで、もう一回巻き直すほうが前向きな議論になるのではないかと思いました。
あと、先ほどの評価療養の話はまた別の議論として考えるべきです。そもそも領域横断型であっても、一定の領域で患者が申し出てしまえば、例えば「アメリカの何とか大学でやっているこの医療ですけど」と言われてしまえば、その専門の先生が全国で何人ですかみたいな申出があるわけで、そうしますと、横断型であっても中核が受けられるかといったら、それは無理な話です。評価療養とか保険の話は、後で整理してもらうにしても、少し別の議論として整理したほうが何か分かりやすいかなと思いました。以上です。
○楠岡部会長 非常に分かりやすくまとめていただきまして、ありがとうございました。ほかにありますか。
○迫井審議官 非常に良い議論をしていただいていると思いますので、基本整理をさせていただきたいと思います。臨床研究に関係して、国なり厚労省の責務を考えると大きく2つあって、1つは仕組み作りです。それは、この議論で主にやっていただいている、臨床研究を中核的に担う病院として、どういうふうな制度的な立て付けができるのか、要件を課すのかという、医療法を中心とした議論です。
一方で、国はもう1つ責務を負ってまして、がんという話が出ましたが、個別の疾患領域で日本の国民にとって必要な医療を提供をする、その上でどうしても必要な技術開発がありますと、それに国は一定程度責任を持っています。医療法で例えば5事業がそうですし、研究分野について言うと、ナショナルセンターとして持っているのは、国が責務としてそういった分野を特定して、しっかり推進をしていく。両方の責務を負っています。ナショナルセンターの例が、確かに両方にかぶる側面があるように思うのですが、研究開発振興課長が申し上げたとおり、別にナショナルセンターありきということではなく、主に仕組み作りとして今の仕組みでいいのかという議論を、引き続きやっていただきたいと思います。一方で、個別の疾患分野なり、体制の整備として国が予算を一定程度掛けて整備することもまた求められていますので、両方に関わる話ですが、整理はさせていただいた上でしっかり必要な議論をしていただきたいと考えております。いろいろ良い御指摘を頂きましてありがとうございました。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はありますか。よろしいですか。
○新谷委員 特定領域の数の目安などは現在考えていらっしゃいますか。例えば5前後とか10前後とか、大体でよろしいのですが。
○吉田治験室長 特に現時点では具体的な数までは考えておりませんが、領域全体のあり方と要件を考えるときに併せて議論するものだろうと認識しております。
○新谷委員 原則1つとすべきではないかという御意見ですが。これは1つにしてしまうと、ほぼほぼ想定される施設が決まってくるのではないか。それもありまして、ナショセンとかぶってくる所もあるのではないかと思うのです。これはほかの委員の方、1つに決められてしまってよろしいものですか。
○楠岡部会長 あくまで1つの原則で、それでは幾つまでというのも余り意味のない議論になるので。例えば非常に地域性があるようなもので、東日本と西日本に1つずつそういうのがないといけないということであれば、2つという話が出てくるかもしれません。とは言え、全国的に1つでまとめきれるということであれば、やはり1つという話になるかと思います。ですから、それは領域ごとにある程度いろいろな条件を加味して決めていく話で、だからと言って、47都道府県に1つずつ要るかというと、もちろんそういうのもあるかもしれませんが、それであれば全国満遍なくやらなければいけないので、そういう拠点化という話とは別のトピックになるのではないかと思います。一応は原則1つというところで考えていいのではないかと思います。事務局、いかがですか。
○伯野研究開発振興課長 これもこれまでの議論で、プレゼンテーターの方々も含めて、基本的にこの領域というのが比較的患者さんの数が少なくて、なかなかリクルートも含めて実施が難しい疾患でという流れの中できていましたので、多施設で共同で研究を進めていくという視点を、前回お二人の方々からプレゼンをしていただいたので、そういった所をネットワーク的につないでいくという意味での拠点かなと考えていましたので、複数作るというよりはどこか1つに拠点を作ってまとめ上げていくという意味合いが強いのかなと思い、1つとさせていただいています。
○楠岡部会長 ほかにありますか。
○藤原部会長代理 先ほどの1個というのは、領域1つに1個の特定領域拠点ということですか。花井委員がおっしゃったように、日本の今の現状を考えたら、1ページ目に書いてある小児と神経難病の領域というのは特筆です。特に小児の領域は明らかに必要な領域ですし、では全国の大学病院で小児治験のことができるかというと、1つの大学病院の講座でこんなことができるわけがないので、総合的に見ている所がそれをやるのが本当は筋で、それを束ねればいいかなとは思います。小児が挙がってくるのは、日本がこれから少子化になってくる中で明らかに必要な領域だからだと思いますので、これの特定領域型拠点を作るのは大事だと思いますし、神経難病もその次になると思います。
それを選定する際には、ガチンコで勝負させれば、ちゃんと実績がある所は実績を持っていると思います。現行の臨床研究中核病院の指定の際の業績基準は、自施設でファーストオーサーをもった臨床試験でないと業績として認めませんとか、訳が分からない基準になっているので、ああいうことは普通に是正して、観察研究ではなくて、きちんとした臨床試験、あるいは医師主導治験をしっかりやっているというのをちゃんと出せれば、明らかに差別化されるので、それでちゃんと選べば何も問題はないと思います。
先ほどナショセンはおかしいのではないかという話が出たので、元ナショセンとしては少し反駁させていただくと、運営費交付金というのはナショセン収入の大体10%なのです。それも全部研究所に入っているので、病院はほとんどもらっていません。私がいた病院も診療収入と治験、AMED研究費、共同研究費収入で大半やっていますので、国からはほとんどお金はもらっていませんので、国に頼ってはいません。よっぽど大学病院のほうが国に頼っていると思いますので、その面ではナショセンを非難してほしくないなと思いました。
先ほどの要件1のコンパッショネートユースのところで、山口委員が質問されて、私もよく分からなくて、コンパッショネートユースと言うと、今、日本は拡大治験という仕組みがあって、それができる実績をこの中核病院や特定型領域拠点に求めるのかというのがよく分からなくて。一番大事な患者1人に対して未承認の医薬品を提供するsingle patient INDというのが欧米ではあるのですが、それが日本にはありません。それがないので、患者申出療養という訳の分からない制度が運用されているのですが、ここのコンパッショネートユースというのは、拡大治験の実績を求めることを想定されているのか、あるいはアメリカやヨーロッパで導入されているsingle patient INDを日本でやる仕組みも持たないといけないということを想定されているのか、教えていただきたいと思います。
○吉田治験推進室長 これにつきましては、コンパッショネートユースと言った場合には、当時の制度ができた経緯で言いますと、日本の場合、拡大治験、患者申出療養、両方ともここにカテゴリーとしては入ってくるかと思います。どちらをどのように区別するかまでは、ここの資料作成においては特に区別はしておりません。
○楠岡部会長 ほかにありませんか。
○渡部委員 今までは、中核の要件を満たさない場合は見直しもあり得るという話もあったかと思いますが、特定領域型拠点の場合は、そもそも要件を下げるということなので、要件自体は問題なく満たしていくことができると思います。1度認定されるた場合、レジストリとかデータベースを維持していくことが求められるかと思いますが、その場合はもう見直しもなく、こういった拠点は特定の1施設が継続するという形になるのですか。
○伯野研究開発振興課長 ここはこれからの議論だと思っています。先ほど粗々なこういった役割とか領域を提示させていただいていますが、これまでの御意見を少しまとめたような形になっていますので、御意見を頂きながら具体的な要件をどうしていくのか、あるいは先ほど委員のほうからありましたが、継続とか更新をどうしていくのかというのは、併せて今後議論が必要な内容かと思います。
○楠岡部会長 ほかにありますか。よろしいですか。ありがとうございました。本日、本当にいろいろ貴重な御意見が出たと思いますので、これらについてまた整理していただいて、引き続き議論をしていきたいと思います。よろしくお願いします。次は議題2、その他について、事務局からお願いします。
○吉田治験推進室長 前回の会議で臨床研究法に規定されている疾病等報告等のスキームについて説明させていただきましたが、今回、参考資料1で改めて御説明させていただければと思います。プライベートファイルの下から3つ目の09参考資料1、疾病等の報告というタイトルのファイルを開いてください。
改めて説明いたします。疾病等の報告のスキームですが、特定臨床研究に起因することが疑われる疾病等が発生した場合に、特定臨床研究の実施者においては、認定臨床研究審査委員会への報告が義務付けられております。そのうち予期しない重篤なものについては、厚生労働大臣への報告も義務付けられているところです。また、認定臨床研究審査委員会に報告された場合において、その委員会が意見を述べた場合には、その旨その内容を厚生労働大臣に報告するということが義務付けられております。また、それを受けて、厚生労働大臣は毎年度、報告を受けた特定臨床研究における疾病等の発生状況について、厚生科学審議会に報告し、その意見を聴いて、保健衛生上の危害の発生・拡大を防止するために必要な措置を取る。こういうスキームができております。
次のページ、その疾病等報告を受けた場合のフォローがどうなっているかですが、まず図の左側を御覧ください。予期しない重篤な疾病等の報告がPMDAを通じて厚生労働省に入った場合については、まず担当課である研究開発振興課と本部会の部会長代理、部会長との間で対応に関して相談をいたします。その結果、対応が必要でない場合におきましては、半期毎に通常の部会にて定期報告を行うということにさせていただきます。その際に、右側に赤い矢印がありますが、緊急の対応が必要と認められる場合については、臨時の部会の開催を行って、対応について意見を求めることにしたいと思います。また右側の研究との因果関係が否定できない疾病等の報告や定期報告、その他の報告、これらが認定臨床研究審査委員会に報告され、審査意見業務の中で意見を述べた場合については、その内容について地方厚生局を通じて厚生労働省に連絡されます。これを受けて、研究開発振興課では、同じく本部会の部会長及び部会長代理と対応に関して相談して、対応が必要でないと判断する場合には、部会報告は不要という扱いにさせていただきます。緊急の対応が必要と認められる場合におきましては、先ほどと同様に臨時の部会を開催し、対応について意見を求めたいと思います。
次のページ、部会における報告・審議の対応についてです。左側の定期報告の場合、部会報告事項とさせていただきます。ですから、発生した疾病等報告の件数や概要を臨床研究部会で報告して、保健衛生上の懸念等がないことについて確認をすると。こちらは半期毎の定期報告の確認という形を取ります。右側の対応について意見を求める場合については、部会の審議事項という扱いにさせていただきます。これについては、収集した情報を基に、臨床研究部会で必要な措置について審議を行って、例えば調査が必要と判断した場合には立入検査とか、研究を停止する必要があると判断した場合には停止命令であるとか、このような部会の意見を踏まえた措置の実施をさせていただきます。
次のページは、疾病等報告の報告対象と報告期限を表にしたものです。この未承認・適応外のものに関しては、いわゆる治験の副作用報告並び、また半分から下の既承認のものについては、市販薬の副作用報告並びで、それぞれ報告の期限が設定されております。参考資料の説明は以上です。
また前回会議で報告させていただいた転帰が未回復の事例については、事務局にて再度、発生の状況とその後の経過について情報収集を行っております。第12回臨床研究部会で報告された未回復事例についてとして、各委員の手元に配らせていただいておりますが、こちらの資料については、患者個人を特定し得る情報が含まれておりますので、委員限りの机上配布資料としてお配りしておりまして、会議終了後に回収させていただきます。
この事例については、部会長及び部会長代理にも御確認いただいて、特段の対応は不要との判断を頂いておりますので、今、説明しました参考資料1の2ページの左側のフローに従って、臨時の部会の開催は行わず、前回部会の定期報告での報告の扱いのままとさせていただければと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。前回、ちょっと混乱しましたので、今回もう一度整理していただいたところですが、この判断について何か御意見、あるいはただいまの御説明で不明な点等ありますか。よろしいですか。それでは、この報告に関しては前回の判断どおりということにさせていただきます。あと追加で事務局のほうから何かありましたら、よろしくお願いいたします。
○吉田治験推進室長 最後ですが、プライベートファイルの一番下の11参考資料3、臨床研究法の施行状況についてというファイルを開けてください。直近の臨床研究法の施行状況ということで、5月31日現在、jRCTでの公表状況ですが、1,256件の臨床研究が登録されております。また、認定臨床研究審査委員会については、93件が認定され登録されております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。これにつきまして何か御質問はありますか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは、事務局から連絡事項等ありますか。
○伯野研究開発振興課長 長時間にわたり、ありがとうございました。次回の開催については、改めて御連絡をさせていただきます。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。御協力いただきまして、本日は予定よりも早く終了となりましたが、これにて閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。