第15回労働政策審議会労働政策基本部会 議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

日時

平成31年4月24日(水)10:00~12:00

場所

厚生労働省省議室(9階)

出席者

(委員)(五十音順)
川崎委員、古賀委員、後藤委員、武田委員、冨山委員、長谷川委員、守島部会長、森戸委員、山川委員

(ヒアリング対象者)
須田義大氏(東京大学教授 モビリティ・イノベーション連携研究機構 生産技術研究所 次世代モビリティ研究センター)
新井栄三氏(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 調査部)

(事務局)
 藤澤政策統括官(総合政策、統計・情報政策、政策評価担当)、土田政策立案総括審議官、村山労働政策担当参事官、高松企画官(政策統括官付労働政策担当参事官室併任)、矢野調査官(労働基準局労働関係法課)、名田調査官(職業安定局雇用政策課産業雇用政策)、吉田企画官(雇用環境・均等局総務課)、立石室長(人材開発統括官付政策企画室)

議題

(1)技術革新(AI等)の動向と労働への影響等について
(ヒアリング)
・東京大学教授 モビリティ・イノベーション連携研究機構長生産技術研究所 次世代モビリティ研究センター教授 須田様
・独立行政法人 労働政策研究・研修機構 調査部次長 新井様
(2)その他
 

議事

 
○守島部会長 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第15回「労働政策審議会労働政策基本部会」を開催いたしたいと思います。
皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席をいただき、まことにありがとうございます。
それでは、一応、カメラ撮りは、ここまでとさせていただきたいと思います。
本日は所用により、石山委員、入山委員、大竹委員、大橋委員、佐々木委員、御手洗委員が御欠席でございます。
また、本日は、委員の皆様方のほかに、本日の議題に関するヒアリングのため、東京大学教授、モビリティ・イノベーション連携研究機構長、須田様。
それから、独立行政法人労働政策研究・研修機構調査部次長、新井様にお越しいただいております。
どうもありがとうございます。
議事に入ります前に、本日の審議会は、いつものようにタブレットを用いて議事を進めたいと思いますので、事務局より、御説明をお願いしたいと思います。
○高松企画官(政策統括官付労働政策担当参事官室併任) 本日の部会もペーパーレスで実施させていただきます。
お手元には、タブレット、スタンド、スタイラスペンを配付しております。使用方法につきましては、操作説明書を机上に配付しておりますが、御不明な点がございましたら、職員にお声がけください。
本日のヒアリングの資料は、マイプライベートファイルというフォルダ内に資料3、資料4として格納しております。
また、資料1、資料2としまして第13回と第14回のヒアリングの概要を、また、御参考までに参考1として3月29日に開催されました、政府の統合イノベーション戦略推進会議で決定した、人間中心のAI社会原則を格納しておりますので、適宜御参照ください。
さらに、第11回から第14回までの当部会の資料についても格納しております。適宜御参照ください。
○守島部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入りたいと思います。
本日の議題は「技術革新(AI等)の動向と労働への影響等について」でございます。
まず、本日の進め方について御説明いたします。
最初に、須田様から自動運転技術に関する最新の動向と働き方への影響などについて御説明いただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。
須田様におかれましては、自動運転技術に関する質疑応答が終了した後に御退席となります。
次に、新井様から昨年度、独立行政法人労働政策研究・研修機構が行ったAI等の技術革新が雇用労働に与える影響に関する調査・研究の結果について御説明いただき、同様に質疑応答を行いたいと思います。
最後に、事務局から昨年12月からの当部会の議論の内容等についてまとめた報告書の骨子案について御紹介し、時間が残ればですけれども、自由討議を行いたいと思います。
それでは、ヒアリングに移りたいと思います。東京大学教授、須田様、よろしくお願いいたします。
○須田氏 皆さん、おはようございます。
ただいま御紹介いただきました、東京大学の須田でございます。
それでは、自動運転についてお話する前に、ちょっと私の自己紹介をさせていただきますと、必ずしも自動車に限らず、いろんなモビリティに関する研究をずっとやっておりまして、最近は、自動運転というものに着目したさまざまな研究をやっています。
時間がないので、詳しいことはどんどん飛ばしますけれども、今、東京大学ではモビリティ・イノベーションということで、自動運転が出てきて、さらにMobility as a Serviceというフェーズに入ってきていますので、それに対して、全学組織として、取り組んでいるというところでございます。
もともと自動運転が出てきた背景というのは、ITSということで、道路交通においてドライバーとインフラと車両、これを情報通信技術を使ってうまく走らし、省エネにする、環境低負荷にする、安全・安心を向上させ、快適、健康も増進させる、こういうような切り口で交通システムを高度化していこうというような研究が、ここ30年ほどなされているわけです。
それに対して、最近、Society 5.0ということで、ITとビッグデータを使って、AI技術が進展してきたことで、この自動運転というのが非常に現実的になってきたということでございます。
このモビリティの観点から行きますと、さまざまな取組がありますけれども、そのうちの1つが自動運転ということでございます。
自動運転は、既に鉄道とか、例えば、ゆりかもめみたいなところでは、既に無人運転も実用化はしていますけれども、道路交通においては、いろんな外乱がたくさんありますので、技術的にも難しいということがございまして、技術開発としても、センサーあるいはアルゴリズム、AI、それと実際の安全性・信頼性を向上させること、さらに、商品化するためのコストダウンと、いろんなフェーズで、今、鋭意取り組まれているというところでございます。
また、同じ自動運転といっても、実は、いろんなタイプの自動運転がございまして、いわゆる乗用車からバスのような乗り合いのもの、あるいは全く自動運転ということで新しい乗り物、最初から運転台がないような乗り物、あとは物流と、いろんなものを対象として検討されていますし、それを実装化しようというプロジェクトが進行しているというところです。
そういうことですので、現在、課題となっているのは技術開発、それと制度の整備ということです。関連法令を整備していくと。あと、社会受容性の醸成と、こういう3つの大きな柱で検討が進んでいるというところでございます。
最終的に自動運転を実装化するためには、単なる技術の問題ではなくて、いろんな業界が全てWin-Winの関係になるエコシステムをつくらないと実装化しないと、そういようなフェーズに入ってきているというところでございます。
特に、自動車産業においては、自動運転が登場してきたということで、自動運転だけではなくて、最近、CASEとよく言われているのですけれども、Connected、Autonomous、Share & Service、Electricと、こういう新しい兆候によって、100年に一度の変革ということで、産業全体で、今、取り組まれているというところでございます。
特に自動運転がシェア・サービスということに非常に相性がいいということでございますので、それに伴って、Mobility as a Serviceに大きな注目を集めているというところで、まさにモビリティ革命と言ってもいいのではないかと、そういう状況でございます。
例えば、今、どこまで進んでいるかということについて、少し実例をお見せしますと、遠隔監視・操作型であれば、実は、運転席に人がいない、ドライバーがいない、そういうものも公道を走っていいというところまで行っております。
警察庁が2017年に、こういう遠隔監視・操作型の無人運転の公道実証実験のルールづくりをしましたので、実際、このように公道を走れるということになっております。
例えば、この映像ですと、全日空とソフトバンクの子会社のSBドライブというところが、先進モビリティというベンチャー企業と一緒に羽田空港の近くで無人運転をしたときの例でございます。
あと、例えば、国交省の道路局では、道の駅の自動運転ということで、ビジネスの実証実験をやろうということで、技術だけではなくて、ビジネス実証というフェーズにもなっております。北海道の大樹町というところで、雪の中で公道実証実験ができないかということで、この雪の中でも自動運転でバスを走らすと、こういうことまで行われているというところです。
本当は、時間があれば、これらの動画でお見せしたかったのですけれども、今日は時間がございますので、スキップをします。
あと、自動運転ではもう一つ、人間のドライバーには難しいことを自動でできるメリットがある。例えば、公道でバスを停留所にぴたりとつける。こういうところも人間ですと、なかなか難しいところがあるのですけれども、正着制御と言っていますけれども、バス停に、例えば、4CM±2CMと、ぴたりと縁石につけると、そういうことによってバリアフリーの乗降ができるというようなことも既に実用域になっているというところでございます。
何で自動運転にこんなに火がついたのかということなのですけれども、私は、ずっと2000年当初から自動運転をやっていますけれども、2013年の安倍総理の成長戦略スピーチのときをきっかけに、自動運転に火がついたと言われています。
このときに、いわゆるGoogleが自動運転を公道で走らせているのに、なぜ、日本でできないのだと、こういうようなお話があったということなのですけれども、実は、日本では、今、公道実証実験が一番やりやすい国になっていると、まさに5年間で大幅な進化を遂げたというところでございます。
当初、私が自動運転にかかわり出した最初のころにやったのが、NEDO・経済産業省のプロジェクトでございまして、大型トラックと小型トラックを合わせて4台を車間距離4mで隊列走行しましょうというプロジェクトでございます。
これは、車間距離を4mで走らすということで空気抵抗が減って省エネになると、そういうのが目的のプロジェクトでしたけれども、もちろん安全性も考慮するということですけれども、車間距離4m、これは人間技ではできないということで自動運転ということで進められてきた。
それで、実際にテストコースとか、今は開業しましたけれども、新東名の開業する前に実際に高速道路を走らすということをやってきたわけでございます。
特に、物流へのメリットというのは、現在、トラックドライバーが非常に不足しているということもございますし、省エネも強く要求されているということですので、技術的な視点からも社会的なニーズからも、このトラックに対する、物流に対する自動運転というものは、期待が大きいというところでございます。
ところが、当時、エネルギーITSプロジェクトでやってきた自動運転では、本当に技術開発というのがメインでしたので、社会のいろんな制度をつくる、あるいは社会受容性ということでビジネスモデルをつくるとか、そういうところまで行っていませんでしたので、技術開発プロジェクトで終わってしまったという側面はあります。
そういうところでしたけれども、AIが進化してきたという観点から自動運転も今、どんどん進化しております。では、そもそも自動運転については、何をしたらいいのかということで示した図がこれでございまして、基本的にマニュアルのドライバーがやっている操作を全部機械がやるということでございまして、人間が認知して、判断して、操作すると、この3つを機械化すれば自動運転ができるということでございます。
このうち、操作に関しては、既にクルーズコントロールのように、一定速度で走らすと、こういうものは比較的に技術的にも優しいということで、既に実現しているところでございます。
そういうわけで、認知、判断、ここら辺の技術開発というのが、今、鋭意進められているというわけで、これができると、完全な自動運転というのが実現すると言われているわけです。
そもそも、自動運転とは、どういう御利益があるかということなのです。もともと自動運転自体が目的ではなくて、自動運転で、どういう目的が達成されるかということでございます。
一番大きな目的は、安全性の向上ということです。ほとんどの交通事故というのは、最近、いろんなところで話題になっておりますけれども、ドライバーのミス、ヒューマンエラーというのがほとんどだと言われています。
ですから、これを自動化することによって、自動運転によって安全性が向上すると言われております。
それは、既に、例えば飛行機とか鉄道では自動化というのは随分進んでおります。それによってかなり事故が減ってきたという歴史的な経緯がございまして、当然自動車においても、自動運転を導入することによって、交通事故が減るということは期待されるわけです。
あと、これがまさに今日の話に関係してきますけれども、ドライバーの負荷を低減して、快適性を向上すると、こういう非常に大きな目標があるということです。
あと、社会的な話としては、省エネ運転が容易になると、先ほどのような隊列走行になれば省エネになりますとか、あるいは隊列走行をしなくても、一定速度で走るということだけでも燃費が改善すると、そういうようなことがあります。
また、交通容量が増加すると、人間が運転すると、いろいろムラが出てきて渋滞が起きると言われているのですけれども、そういうこともなくなる。渋滞がなくなれば、環境低負荷にもなるし、交通容量も上がって、社会的にも生産性は向上する。
あと、何と言っても高齢ドライバーの問題ですね。過疎地における交通問題というものを解決する可能性があるということで、交通体系を進化させて社会の生産性向上に貢献して、モビリティ社会を大きく変革するということが期待されると、こういう大義があるということで、鋭意進められているというわけでございます。
現在の法律のもとでも、高度安全運転支援でかなり事故は減っておりますし、いわゆる自動ブレーキですね、そういうこともございますけれども、さらに進化していければ、高齢ドライバー問題あるいは無人システム、こういうものができてきて、都市構造・社会システムというものが変化して新たな産業が起きるのではないかというようなことが期待されるというわけでございます。
そういうことで、2015年から2019年の5年間に、実は、政府の非常に熱心な取組がございまして、内閣官房のIT総合戦略室でロードマップをつくるということが、まず、行われましたので、そこで2020年までに高速道路での自動走行及び限定地域での無人自動走行サービスを実現させようと、こういうロードマップがありまして、それを実現すべく制度整備大綱もつくられて、いろんな関連法令を改正していくという筋道がもうできてきているところでございます。
それを受けて、内閣府では、SIP、省庁横断型戦略的イノベーション創造プログラムで、自動走行、自動運転というものが実施されておりまして、国プロとして自動運転が研究開発されているというところでございます。
また、経済産業省と国交省の自動車局では、自動走行ビジネス検討会というものを立ち上げて、研究開発から実用化ビジネスという視点での検討が進められている。
さらに、警察庁では、自動運転をルール化するということで、まずは公道実証実験のガイドラインができて、基本的にガイドラインを守れば、許可なしに公道実証の実験ができると、そういうフェーズになってきている。
既に新聞報道で御存じと思いますけれども、今年の国会でレベル3という自動運転を容認する道路交通法改正案も提出されている、そうところまで行っているところでございます。
さらに、国交省の自動車局では、新しい車両保安基準というものを検討していくということで、道路運送車両法の改正というものを進められているという形で、かなり現実的なところに行っているところでございます。
あと、民間のほうでも、2015年以降は、自動車工業会で各自動車メーカーが鋭意取り組んでいるところでございます。
これが、先ほどからレベル2、3、4とか言っていますけれども、その定義でございまして、基本的にレベル2までは現行の法令で可能と、レベル3以降になると法令改正が必要ですけれども、実証実験はできるというところになっております。
それが、どういうロードマップになるかというのをお示ししたのが、このグラフでございまして、縦軸に自動化のレベルを書いてあります。
実は、レベル3以上は、ジュネーブ条約という、道路交通法の世界的な条約があるために、現在ではルール化ができていませんけれども、近々、これをルール化するという動きになっているというところです。
横軸は、ODD、運行設計領域と言っているのですけれども、自動運転ができる条件ですね。それは、場所だけではなくて、天候だとか、時間だとか、いろんなことを勘案して、どこで自動運転ができるかという条件を設定して自動運転をさせる。この制約が全部なくなってどこでもできますというのが、最後の自動化レベルの5ということになっているというわけです。
では、この5までどういう道筋で行くかということなのですけれども、これが段階的に12345と進化するのではなくて、いろんなルートがあるのですよということが、今、言われています。
1つは、いわゆる乗用車ですと、やはり、進化は12345の方向に進んでいくだろうと言われていおり、まさに、今、レベル3というところを実用化しようとしているのです。ただレベル3においては、これはいろんな意見が分かれるところなのですけれども、機械がもし自動運転できなくなったら人間が変わって運転するという条件をつけているというところです。いつでもドライバーがスタンバイしていなければいけないと、こういう自動運転なのです。運転のタスクはなくなるのですけれども、いつでも運転をかわれるようにしなさいというのがレベル3でございます。
そういうことですので、いっそのこと人間が関与しないようなレベル4のほうが、ヒューマンマシンインターフェース上は、やりやすいのではないかと、そういうようなことも言われておりまして、限定地域での無人運転というのが1つの方策ではないか、あるいは先ほどの隊列走行のトラック、ああいうようなもので後続車両を無人にすると、そのような取組のほうが先に実現するのではないかと、そう言われているというわけで、この2通りのパスがあるのだということでございます。
そういうことですので、現在、SIPの第2期の自動運転プロジェクトでも、この両方の面から進められているというわけです。
本日のドライバーの環境ということから行くと、当然、物流とか移動サービス、バス、トラックの運転手というものが対象だと、私は認識をしておりますので、そちらのほうの話を今後進めたいと思っております。
これは、経産省、国交省で、まさに今、実証事業で進めている2つのプロジェクトでございます。
無人自動走行による移動サービスとトラックの隊列走行ということで、これをそれぞれ2020年にある程度の実用化と実用化のめどをつけようということでございます。
このレベル4ですけれども、いわゆるレベル4相当と言っていますけれども、地域限定で無人自動運転サービス、これは技術的には、もちろん、レベル4ですので高い技術が要求されるのですけれども、レベル5は、正直まだまだ先の話ということから行くと、限定地域のためにインフラ協調と、いろんな施策がやりやすいということで、こちらのほうが技術的には楽になると。
さらに、先ほどのヒューマンマシンインターフェースについても楽になるということで、技術的な視点からも、こういうものが現実的であろうと。
社会的な課題としてもドライバー不足、過疎地のドライバー問題あるいは公共交通等の活性化、こういうものに非常に役に立つと言われているわけで、まさにこれを実現させるのが社会的な便益ではないかということでございます。
これは、それを示した未来投資会議におけるロードマップになっています。
それを受けて、我々もいろんな検討を進めておりまして、例えば、もともと運転台がないような、フランスのベンチャーがつくった新しい乗り物を輸入したものですけれども、こういうものを実証実験するということをやっています。
当然、こういうものを購入するのは高いので、すぐに実用化はということはございませんけれども、例えば、上士幌町では、ふるさと納税というものも活用して、ふるさと納税サイトが、自動運転のバスを購入して地方自治体に貸し出すサービスをすると、このようなことも行われているということですし、現実に、過疎地で自動走行がビジネスになるかどうかという検討も、全国のいろんなところで実施されているというわけです。
さらに、鉄道の廃線跡、こういう専用道路であれば非常にやりやすいということもございまして、例えば、これは日立市の日立電鉄の廃線跡を使ったBRTというところでの実証実験、こういうものも進められているというわけでございます。
そういうことで、冒頭のエコシステムをつくるという観点でも、かなりのところが受容性があるような仕組みが、今、できつつあると認識しております。
一方、隊列走行のトラックについても、2020年度に新東名で後続無人隊列走行を実現させるということで、今、ロードマップが引かれておりますので、これを受けて、鋭意技術開発が行われているというわけでございます。
私も、開発のメンバーとしても活動をしております。
これが、最新の情報でございまして、今年の1月22日から28日まで新東名のある区間で後続車無人システムの後続車有人状態での実証実験というものが既に行われておりまして、実際に後ろの2台は前の車に追従する、実際にドライバーは何も操作しないというものが、新東名で実際に走行したというところでございます。これも動画があってお見せしたかったのですけれども、時間の関係で省略させていただきます。
これは、そのときの経産省と国交省のパンフレットでございまして、こういうものが走りますよということを高速道路のドライバーに周知しているものでございます。
そういうことで、電子牽引というコンセプトを導入することによって、後続車両を牽引車と見なすということで、自動運転のレベル4相当のものが実現できるのではないかということで、今、進められているところでございます。
これは、もう少し先の話でございますけれども、トラックだけではなくて、高速バスとか、そういうところにも適用できる技術ではないかと考えられますので、いろんなところに波及していく技術ではないかと思っております。
では、最後のほうになりますけれども、モビリティのオペレーションということで、最終的には、MaaSという考え方でございまして、現在の所有と手動というところが、最終的には、シェアと自動というところに行くだろうと。
自動車産業としては、手動を自動化するということを、今、一生懸命やっているのですけれども、一方で、シェアモデルということから行くと、新しいビジネスというのが既に育ってきている。
日本では、まだ実現していませんけれども、いわゆるライドシェア、ウーバーとか、中国でやっているもの、そういうものが世界的にできている。そうすると、最終的に行き着くところは、シェアの自動運転ではないかと。
あと、既存の、いわゆるバスオペレーター、あるいは公共事業オペレーターも自動運転に非常に熱心でございますので、こういうものが実用化していくということで、この三者がタッグを組んで、まさに回すということで自動運転というのが実現していくと思っています。
さらに、もう一つのプレイヤーとして、いわゆる地方自治体でございまして、その地方自治体が地域社会におけるさまざまな課題を自動運転技術で解決すると、そういうストーリーを一生懸命練っていて、今、まさにスマートシティということで検討されているところでございます。
最終的に移動の快適性というものが向上するというのが、自動運転の御利益でございますし、個人の利益だけではなくて、モビリティ社会全体の最適化というものが実現できるのではないかということを我々は考えております。
もともと働き方というところまで、実は、我々は考えていなかったところがあるのですけれども、ライフスタイルは変わるだろうというところまでは考えており、今までいろんなモデルをつくってきたというところでございます。
最後に今日の話題について、私なりの考察を少しさせていただきたいと思います。
根本的には、今、トラック、バスのドライバーが不足しているということがございまして、これは、物流業界、バス事業者も、皆さん困っているというのが現実でございます。
さらにドライバーの待遇が必ずしもよろしくないだろうというところもございまして、これについての課題もあると。
あと、今日は詳しく御紹介しませんが、ドライバーに対する影響だけではなくて、自動車産業全体が、先ほどの新しいCASE、MaaSということで、ビジネスが変わってしまうと、そういうことが考えられるのですね。
そうすると、例えば、車検制度というのも当然変わってくる、既にOBD車検というのが検討されています。
そうすると、今度は自動車整備工場のあり方も変わってくるということです。当然、保険制度も変わってくるだろうというふうに、いろいろ社会に物すごく大きな影響を与えると、そうすると、これらについても本当は検討しなければいけないのではないかと思っています。
今日は、ここはスキップして、トラックとバスについて、もう少し詳しく御紹介したいと思います。
トラックについては、これは、たまたま女性と高齢者に優しいトラックの開発、そういうプロジェクトが国交省でありまして、私もそこの委員だったのです。そこでの引用をもってきましたけれども、言ってみれば、全く人手不足だという状態でございます。
あと、もともと厚生労働省のルールだと思いますけれども、トラックドライバーの労働時間等のルールというのがございまして、運行時間が、連続して何時間まで許される、そういうルールが決まっているところですね。
このようにいろんな課題がありますというところでございます。
あと、バスについても、最近、いろんなバスの事故もございました。バスでも乗務員不足というのが非常に深刻になっており、バスの運転者のなり手もいないというところでございます。
そのため法令の範囲内で日常的に長時間、休日労働というのが存在すると。
あと、高速バスでは、途中で信号とかでとまるということがございませんので、ずっと2時間ぐらい連続で運転しなければいけない、そういうようなことがございますし、長距離路線ですと、宿泊をしなければいけないとか、いろんな課題が出てきます。
あと、500km以上の路線ですと2人乗務というのが、現在は義務づけられている。こういういろんな条件があるけれど、自動運転技術というものが活用できれば、こういうものが改善されるのではないかと、そういう期待があるところでございます。
では、具体的にどんなイメージかということなのですけれども、これは全く私の私見でございますので、ほかの省庁の方には、何の了解もえずに出していますけれども、結局、自動運転のレベルと制度設計に依存してくるのです。ち一概には言えないというところがございますけれども、例えば、現在のレベル2は、現行法でも可能で、基本的にはドライバーの責任で走らすと、こういう自動運転、ある意味では、今、安全運転支援というような状態ですけれども、そういう状態ですと、当然、快適性向上と疲労軽減ということはあるということでございます。
それと、さらに運転の健康面への影響というのがどういうことか、ここら辺をまさに実証していくという段階でございまして、当然、安全性の向上とともに、これも非常にいい方向に行くのではないかと、当然、私は思っています。
さらにレベル3の条件つき運転の自動化、これは、今年、道路交通法が改正されれば、実現化するものでございますけれども、こうなってきますと、今度は運転免許制度との関係が出てくる。さらに、長距離バスとか、2人乗務とか、トラックドライバーの労働時間等のルールとか、ここら辺が、どういうふうに新しいシステムで見直されるのか、あるいは見直されないのかと、そういうことにかかわってくるということでございます。
さらに、最終的には、レベル4の無人走行とか、レベル4相当の無人走行とか、後続車無人の隊列走行というものが実現してくると、当然、ドライバーはいなくなりますので、ドライバー不足への対応が得られるということで、これは、非常に大きなメリットになってくるというわけでございます。
というわけで、ドライバーという運転手という業務から考えると、レベル2までは当然ドライバーですので、もちろんドライバーの負担が軽減するという視点でございますけれども、レベル3になると、必ずしも、これはドライバーと言っていいのかと、そういう議論も出てきます。
そうすると、そもそもドライバーの役割が変わってくる。実際、レベル3のバスを実現したとすると、そのときに、結局、運転操作をするのではなくてシステムの監視になるということで役割が変わってきます。
一方、遠隔監視では、実際にバスに乗るのではなくて、いわゆる地上のコントロールセンターで遠隔監視をすると、そういうことになってきます。
また、これについても免許制度というので2種免許というのがどうなのかと、こういうことが議論になってくるということです。
あと、もともと監視業務になると、新たな資格が必要になるかもしれないとか、そんなような議論になってくるのではないかと思います。
このように、かなり自動運転によって、当然働き方改革に貢献するというわけですけれども、いろんな観点からの議論が必要ではないかと思っているところでございます。
以上、時間が来ましたので、これで私の発表は終わりたいと思います。
どうも、御清聴ありがとうございました。
○守島部会長 須田様、ありがとうございました。
それでは、続いて質疑応答に入りたいと思います。どなたからでも、御質問や、御意見がございましたら伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
では、後藤委員、お願いします。
○後藤委員 御説明ありがとうございました。
48枚目のスライドに、レベル3以降のドライバーの業務の変化についての説明がありますが、お話をお聞きすると、ドライバーさんの今までやっていたことではなくて、システムを監視するということに変わるということなのですけれども、仮に、今のドライバーさんたちをシステムを監視するほうにキャリアチェンジないしは、スキルチェンジをしていこうとしたときに、具体的には、どのようなシステム監視の仕事になっていくのかについて、もし、御説明できる段階なのであれば、少し教えていただければと思います。
○須田氏 まだ、現実的な運用ではなく、実証実験レベルで遠隔監視型ということでやられているだけですので、具体的にビジネスとしてどうなのかというところは、今後の検討ではないかと思っています。
ただ、似たような話ですと、鉄道における、例えば、ゆりかもめなどですと、運行管理センターというところに監視員として業務を担当する人間がいて、運行を管理しているということですね、そういうのに近い話になるのではないかと思います。
○後藤委員 ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに、では、川崎委員、お願いいたします。
○川崎委員 御説明、どうもありがとうございます。
自動運転が今後普及していくに当たっては、まずは運送会社やバス会社が自動運転に対応した車両を購入していくことが必要だと思います。
そうする場合に、車両の導入コスト、こういったものがどのぐらいのタイミングで購入しやすいものになるのか、あるいは税制面でのサポート、そういったものが必要なのか、そのタイミングと導入に向けた法律面での支援みたいなものも何か御検討されていれば、御紹介いただけるとありがたいです。
○須田氏 御質問ありがとうございます。
確かに、今、自動運転機能がついている車のコストは、相当高いというのが現実でございます。
そういうことですので、単純なストーリーとしてドライバーが乗務しなくていい分をカバーできるかというと、現実だと、厳しいところはあると理解しています。
ただ、当然、継続的に運用していけば、当然初期投資も回収できるのではないかという話もございますし、当然、量産していけば、もともとの自動運転車両のコストも下がってくると、そういうことがあるので、いかにうまい循環をつくっていくかというところが重要なところではないかと思っています。
それに対して、具体的な政府の動きがあるかということでございますけれども、いろんな実証実験は、今、サポートするようなプログラムが動いていますので、それを使って、まさにビジネス実証をやっている段階でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
川崎委員、よろしいですか。
○川崎委員 はい。
○守島部会長 それでは、冨山委員、お願いします。
○冨山委員 本日はありがとうございました。
私もちょっと須田先生側に近い立場で、この件にかかわってきているので、幾つかコメントと、直近の状況について質問があるのですけれども、コメントに関して言ってしまうと、割と産業構造的にいろんな変化が起きるという話がありました。
そこで、もう一つ、これに書かれていること以外で気にしなければいけないと思っているのは、多分、これはCASE全体がそうなのですけれども、進んでいくと、当然、自動車の製造業自体がどんどんモジュラー化が進んでいくので、モジュラー化が進んでいくということは、組立て産業の付加価値がなくなるという、かつてパソコンとか携帯で起きたことが必ず起きるわけで、とすると、現状、少なくとも働き方という意味で言ってしまうと、OEMを頂点とした巨大なTier2、Tier3、Tier4構造が日本国内にはあって、相対的に良質な雇用をそこでさせてきたという経緯があるのです。これは典型的に愛知県とか静岡に多い、あるいは栃木県とかもそうかな。
これが崩壊していくと、これも釈迦に説法ですけれども、いわゆるメガサプライヤーモデルに変わっていって、部品メーカーが巨大になっていって、部品メーカーが逆に力を持ってきて、組立てメーカーというのは、割と誰でも参入できるような産業になっていくということが、恐らく自動運転もモジュラー化が進んでいきますから、そうなりますね。
そうすると、結構、日本の産業構造的には多くの働きというか、その影響を受けるわけで、実は、運転手の仕事がなくなることよりも、私は中期的にもこっちのほうが社会的なインパクトが大きいのだろうなと思っています。
もう既に起きていますけれども、まず、先に起きるのは部品メーカーの破綻劇が始まるのです。部品がすごい勢いで規模系、規模型のグローバル産業に変わっていくので、この前、某ブレーキメーカーが突然倒れましたし、某液晶メーカーもいろいろばたばたしていますけれども、結局、そういうことが起きてくると、そこからどうしてもこぼれ出る雇用が出てきますから、もともと製造業雇用はずっと減ってきた歴史があるわけで、最後に残ったのは、多分、自動車産業関連の製造業雇用が残ったわけで、また、そこから押し出されてきてしまうとすると、そこを全体としてどう考えるかというのは、恐らく基本部会的には、近未来というのは、私は大事なのだろうなと、今日伺って、割と自動運転もスピードがどんどん加速しているので、強く思ったところがコメントの1つです。
あと、MaaS絡みで言ってしまうと、さっきの日立電鉄のは、うちのバス会社が実際にやっているので、リアリティーはわかっているつもりなのですが、実際にそれを実務的に進めて、さっきのコストの話が1つある。
もう一つの問題として、ここも触れられていますけれども、現実問題として、免許と人間の技能の問題ということの再設計がどうしても必要になるのだと思うのですが、ここについて、従来からずっと感じているのは、おかげさまで、公道上の実験に関しては、すごく警察もうまくシンクロしてくれるようになってきて、さっき先生がおっしゃったように、いまや世界で一番簡単に公道実験ができるようになったのですが、殊に免許制度に関しては、正直、全然シンクロがとれていない感じがあって、要は、公道実験をする側でも、実際に一番悩ましいのは、運転者不足も実は、そこにすごくリンクしている感じがあるのですが、最近、最前線で本件に絡んでいないので、一番近いところにおられる須田先生から御覧になって、今、警察庁と国交省のシンクロの問題、あと経産省かな、そこは直近でどんな感じなのですかね。
○須田氏 なかなかこういう場で言える話と、言えない話があるのですけれども、私も今、警察庁の自動運転のルールをつくる検討をしていく検討会のメンバーですし、個人的にも、いろいろ警察の方とは議論をさせていただいていますけれども、やはり、今、何らかの改革が必要だということは、当然皆さん認識はされているところだと思います。本当にどういう制度設計をしたらいいのかということは、まさに議論中というところではないかと思いますね。
例えば、今、高齢ドライバーの話がございまして、高齢ドライバーのいろんな事故があるので、今、免許返納というルール化ができて、道路交通法が改正されて、認知症と医師が診断すると、免許剥奪になると、そういうのが既に行われている。いきなりゼロか1かというのは非常に困るということなので、限定免許という概念も検討するべきということで、検討が始まっています。
ということで、新たな免許制度をつくるという検討は、まさに進んでいるというところですけれども、具体的に、例えば、2種免許をどうしたらいいかというところについては、まだ具体的な議論は始まっていない状況かと思います。必要性は私も思っていますし、皆さんも思っているのですけれどもというところですね。
○冨山委員 日立で、例のBRTをやっているでしょう。実感として思うのは、やや過剰に期待されている感じのある、超過疎地を全く無人運転の車でカバーして高齢者の足にするという話は、一応SF的には語られるのですけれども、経済性という観点で考えると、正直、物すごく経済効率が悪いのだろうなというのは、リアリティーとしてあって、要するに、大事なことは、機械でやることと、あるいは無人的な無人技術でやること、先生御指摘のようにBRTをやると、無人運転になじむのですね。そうなのですけれども、一般公道で中山間部の相当道の狭いところに住んでいる方の家の前まで、実際に自動運転の車が行って、それもアドホックにしょっちゅう道路形状を変えられるところに行ってと、リアリティーはちょっと感じていない。
そうすると、例えばなのですけれども、近隣の方で、まだ全然60代ぐらいで元気で、ふだん軽自動車を自分のために使っていて、そういう人に、それこそライドシェアを認めてあげるようなことをしてしまったほうが、よほど安価で確実な、どうせ高齢者のバスは無料ですね。だから、無料でいいわけですから、その分のお金を国あるいは地域の自治体から近くの農家の方に出してあげればいいわけで、要するに、大事なことはまさにエコシステムで、ある種、普通免許ではまずいのであれば、運転を10年以上やった人で、スーパー一種免許を認めて、そういった方に、そういうことをやってもいいですよとしてあげることのほうが、社会的コストははるかに安くカバーできる可能性があって、まさにエコシステムとして、そういう問題をどう解決していくかというアプローチがすごく大事なような気がしているのですが、やや今の議論というのは、SF方向に走り過ぎていて、要するに、ローテクとハイテクとの、隊列走行などは、そういう発想ですね。人間がやる部分と後ろというのはセットなのですけれども、その辺が大事なような気がしてきているのですが、そういうパーセプションというのは盛り上がっているのでしょうか、まだ、そこまで熟成していないのか。
○須田氏 まさに、それが3つの課題のうちの社会受容性というところになると思うのですけれども、結局、自治体にしろ、住民しろ、事業者にしろ、利用者にしろ、これだったらみんな利用できるねと、そういう仕組みをつくると、そういう議論だと思いますね。
○冨山委員 ありがとうございます。
○守島部会長 森戸委員、どうぞ。
○森戸委員 ありがとうございました。
単純な質問ですけれども、24ページのスライドのところでは、レベル3は、社会的には実現しない可能性があるという話で、後ろの47ページ、48ページでは、レベル3の話が出てきています。
これは、要は実験の段階としては通っていくけれども、ビジネスというか、そういうこととしては飛ばされるレベルの話だという理解でいいのか、社会的に実現しないであろうということの意味を少しお伺いできればと思います。
○須田氏 それは、はっきり言いにくいところがあるのですけれども、当然レベル3というのは、過程としては、そういう段階がありますねということですし、実際にレベル3で、多分現実的にできるのは、高速道路の渋滞のときに追従させると、そういうものです。レベル3で、今、実現ができそうだと言われています。ただ、非常に限定的なレベル3と、そういうものが多分実現するだろうと。
ですけれども、広範囲なレベル3というのは、非常に難しいのではないかと、そういうことですね。
○森戸委員 ありがとうございます。
○守島部会長 では、古賀委員、お願いします。
○古賀委員 貴重なお話をありがとうございました。
3点あるのですけれども、1点目は、冨山さんが先ほどおっしゃった産業構造の問題です。それは、素人目に考えても、自動運転やEVがどんどん発達していくと、例えば、センサーの発達に伴って、衝突もしないような車が開発されるなど、もう車の概念が全然変わるということになれば、ボディーもそんなに丈夫なものではなくてもいいわけですね。そうすると、素材産業にまで大きな影響を与えるみたいなことになる。
そういう自動運転とか、電気自動車とか、個別ではなく産業構造全体ということについて、どこかで考えておられるのかなと、こういう気がしてなりません。先生に聞くというよりも、そういうコメントということで受けとめて、何かコメントがあればお伺いしたい。それが1点です。
2つ目は、この種のことで、日本というのは世界的にどんな位置づけなのか、例えば、自動運転の実証実験あるいは実用化、そういうことに対して、今、世界的にどういう位置づけなのかということをお伺いしたいと思います。
3つ目は、この資料の中にも新産業の創出ということがございました。やはり、働き方も変革するとともに、このことによって、何か新しい雇用を生み出せるのかどうか。そのあたりが、私はイメージとしてわかないのです。例えば、こういう雇用が生み出せるのではないかということが、具体的にお持ちでしたら、少しお聞かせ願えればありがたいと思います。
以上でございます。
○須田氏 ありがとうございました。
まさに産業構造というのは、非常に大きな話だと私も思っていまして、自動車工業会はOEMの集まりですけれども、自動車技術会という、いわゆる技術者のアカデミックな立場での集まりの、私は今、副会長をやっていまして、実は、今日の午後、まさにその理事会があるのですけれども、そこでこのCASE対応をどうするのかということは既に議論を始めているというところです。
当然、EVになれば、エンジン部品が全くなくなってしまい、エンジン部品業界が、、あるいはぶつからない車ができれば、それこそ自動車修理業界がなくなってしまうかもしれないとか、いろんなことが出てくるわけで、そういうCASEで、自動車産業自体が、いわゆるモビリティ産業に変わると、そういう筋道もあります。そういうことに対して、技術的な側面からどうするかという議論は、もう既に始めているところです。
あと、世界的な中の日本の位置づけですけれども、多少報道によっては、日本がおくれているというところもあるのですけれども、必ずしも、私はそう思っていなくて、全て日本がリードしているとは思いませんけれども、日本も相当いいところを行っていると、ただ、一部の要素技術は、どうしても日本ではつくれないものがあって、それは外国製を使わなければいけないとか、そういうものがありますけれども、技術的にも、そんなに遜色はないという状況にあると思います。
それで、今、自動運転に非常に関心がある地域として、アメリカ、欧州と中国ですね。アメリカについては、もちろんGoogleのウェイモがやっていますし、GMだとかフォードなども急にそっちをやっていますし、Uberとか、そういうところが一生懸命やっている。
道路環境が相当違うので、アリゾナとか、ああいうところだと、日本の過疎地の高速道路みたいなところでございますので、確かに技術的にはやりやすいのかなと、そんな感じはしています。
ヨーロッパは、ドイツが非常に強く、そこはまさに産官学の連携が非常にうまく動いている国でございまして、そこと我々は連携して、いいところ取りをしていきたいと、そんなことを考えています。
問題は中国でして、中国は、実はジュネーブ条約も、ウィーン条約にも、道路交通法にかかわる条約に加盟していませんので、実は今でも無人運転ができてしまうのです。さらに、北京の郊外に実験都市をつくるとか、そういうような話があり、中国は、本当に号令1つでそういうものができてしまうのではないかなと思っています。
あと、最後に新産業ですけれども、先ほどの先進モビリティは、私の立ち上げたベンチャーですけれども、なかなか新しい雇用をつくるということは、いろんな工夫が必要ではないかと思っています。
ただ、今、非常に関心を持っているのが、まさにMaaSということです。Mobility as a Serviceについても、実はJCoMaaSというMaaSに関する社団法人をつくったのですけれども、そこには、それこそありとあらゆる業界の人が、みんな関心を寄せてやってきています。
ということで、今までの自分たちの本来のビジネスからMaaSに関係したビジネスに参入したいと思っている業界の方が多数いらっしゃるというのが実態でございます。
○古賀委員 どうも。
○冨山委員 今のに補足します。
MaaS化するということは、何を意味しているかというと、皆さんが、ふだん自家用車として使っているモビリティが、産業というか、お金をもらって提供するサービスに変わるのですね。ですから、今の話というのは、それがかなり起きてくると、そこに仕事が生まれる可能性があるというニュアンスですね。
御案内のように、皆さんのおうちの車は5%ぐらいしか動いていないので、それを事業に置きかわるということになるのですけれども、問題は、そこから先の、多分、古賀さん的な御関心は、それがディーセントワークな仕事になるかどうかということだと思います。私も全くそういうふうに思っています。
○守島部会長 では、武田委員、お願いいたします。
○武田委員 本日は、大変貴重なお話をありがとうございました。
大変勉強にもなりましたし、興味深く拝聴いたしました。
今の議論に絡んだコメントと言いますか、問題意識として述べさせていただきたいと思うのですが、まず、1点目に、産業構造に与えるインパクト、これは、私も相当大きいのではないかと思っています。
さまざまな前提を置いておりますので、一定の幅をもってお聞きいただきたいのですけれども、弊社では、未来の産業連関表というのをつくる試みをしました。
2030年までにモビリティ革命が起きた場合に、どのように日本の産業構造にインパクトを及ぼすか。例えば、先ほど委員からございましたとおり、素材産業にも影響を与えますし、まさに、自動車産業にも影響を与えます。
一方で、MaaSが生まれた場合には、新たな産業を生み出すだろうということで、さまざまなケース分けをして分析をしています。
その結果によれば、例えば、CASEのうちのEV化だとか、シェアリングだけが先行してしまうと、日本の産業全体の付加価値が下がるという結果になります。
一方で、それと同時にEV化やシェアリングも進むのだけれども、モビリティが今よりも自動化すると何が起きるかというと、恐らく多くの人々の時間が生まれます。その時間が他の付加価値を生む時間に置きかわっていくと、そこに新たに生まれるサービスがさまざま出てくるだろうと。恐らく、それはコンテンツ産業もそうですし、交通インフラも変わってくる部分がありますし、既存の事業者だけに閉じないモビリティサービス、その組み合わせですね。どう組み合わせていくかということでも、新たなビジネスが生まれるだろうと思います。
今考えられている一定のビジネスを組み合わすと、付加価値がそこで生まれ、トータルではマイナスの部分を補えるという結果になります。
したがって、恐らく、今、御回答をいただいたように、新産業をどれだけ生み出せるか、恐らくシェアリングだとか、EV化の流れは世界的には進んでいるので、その影響が全くないことは、恐らくないことを前提に考えると、新産業をどうやって生み出すか。先ほどJCoMaaSを立ち上げられたというお話がありましたけれども、日本としては、真剣に取り組んでいく必要があるのではないかと考えます。
雇用政策も、そこを見据えて、現状を維持していくことがなかなか難しい中で、どうしたら、シフトがスムーズにいくのかという視点で、雇用政策を考えておく必要があるのではないかと、お話を伺って感じました。
2点目といたしまして、地域社会に関しての御発言があり、冨山委員からもローテクとハイテクの組み合わせが重要だというお話がございましたけれども、新しい技術によって生まれるサービスについて、地域と都市部でニーズ調査、生活者向けに行ったアンケートをやってみたところ、圧倒的に地域で、モビリティサービスへのニーズがあります。つまり、生活者が困っているので、解決したいという思いが強いのです。社会の受容性という観点では、困っている度合いが強いほど受容性も高まるのではないかという感覚は持っています。
今、2つコメントをさせていただいたのですが、もし、追加でコメントがございましたら、新産業としては、どんなところにポテンシャルがあるかと思われているか。
それから、社会のニーズ、社会の受容性、これをうまく生かして、実際、地域の課題解決につなげていくために、何が一番のハードルになっているか、その2つについて追加でコメントがございましたら、お伺いできれば、ありがたく思います。
○須田氏 まさに、言ってみれば自動運転というか、MaaSでどういうことができるか、そういうことなのだと思います。MaaSでモビリティの中だけで閉じていたら、やはり発展しないですし、逆にお金も回ってこないですね。ということなので、いかにほかのところと連携するかと、そういう仕組みだと思いますね。
例えば、ショッピングなどはもちろん当たり前に言われているところですけれども、1つは教育とか医療とか、そういうところはあるかなと。
あと、もちろん観光は1つの大きなターゲットだと思います。
○守島部会長 ありがとうございました。
では、長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 ありがとうございました。
本日の資料では、高年齢ドライバーへの対応ができるとか、交通渋滞の解消ができるとか、自動運転のメリットが示されていますが、武田先生がおっしゃったように、そういうことの結果として、労働時間が非常に少なくなったり、余裕ができたものを何に使うかといった視点も重要だと思いました。そうした全体像が見えると、産業構造の変化や、働いているところがなくなるなということも見えてくると思います。例えば、今、自動車教習所は少子化で、若い人は自動車の免許を取りにこないけれども、高齢者の指導で待ち時間がすごいのです。すごい待っていて、私の夫も大変だったのですけれども、そういう自動車教習所も様変わりしているわけです。
いろんな変化が起きてきて、なくなる産業も随分あるのですけれども、私たちは過去の経験があると、どうしても自分の職がなくなるのではないかという不安材料のほうが大きくなってしまいます。確かになくなるけれども、こういう変化があって、新しい産業がこうできてくる。一方で例えば、今までドライバーだった人が監視できるかという不安もある。今後、試行錯誤しながら最適解を見出していくと思うのですけれども、そういうことをしつつ全体像をつくりながら、変化に対応していければいいなと思います。。
あとは、労働時間の短縮によって生み出された時間を介護に使うとか、今も施設介護から自宅介護に移行しているので、そうすると、仕事をしながらも介護ができるとか、子供とも向き合いながら育児ができるとか、地域でいろんなこともできるといった全体像が見えないと、なかなかみんなが安心できません。ぜひ、実現不可能ではないレベルで、こういうふうに私たちの暮らしが豊かになるというものが見えるといいのかなと思いました。
○守島部会長 何かございますか。
○須田氏 おっしゃるとおりではないかと、どうもありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに、どなたか。
よろしいですかね。
それでは、須田様の御発表は、これで終わりにしたいと思います。
どうも、今日はお忙しい中、大変ありがとうございました。
○須田氏 どうもありがとうございます。
では、すみませんが、次があるので、これで失礼させていただきます。
○守島部会長 須田様は、ここで御退席をなさいます。
(須田氏 退室)
○守島部会長 それでは、続きまして、独立行政法人労働政策研究・研修機構の新井様から御発表をいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○新井氏 皆さん、こんにちは。
労働政策研究・研修機構の新井と言います。よろしくお願いします。
本日は、労働政策担当参事官室様から要請をいただきましたIT等の技術革新が、雇用とか労働にどんな影響を与えるかという、企業に対するヒアリング調査、その結果を御報告させていただきます。
それで、調査は後ろにいる荻野と2人でしておりまして、このヒアリングを超えて、過去の技術革新ですとか、そういったことの比較とかになりますと、荻野のほうが断然詳しいものですから、少し後ろに控えてもらうということにしたいと思います。
座りながらやらせていただきます。
この調査なんですけれども、今年の1月から3月の間に実際に、デジタル化、機械化を進めている企業を対象にしまして、具体的な取組とか、あと、職場への影響とか、そういったことをヒアリングしたものでございます。
対象なんですけれども、一応数が少なくて恐縮なんですが、今回は、6つの企業と、1つ産別労組に行っております。
それで、この中でF社なのですけれども、銀行業、タブレットでは直っているのですけれども、BPR推進の一環で店舗窓口でのチャットボットとAIを搭載したと紙ベースの資料ではなっておりまして、それがちょっと間違っていまして、チャット形式での新システムということで、まだAIまでは行っていませんという感じになっていますので、紙ベースでお持ちの方は修正をしていただけたらと思います。
いろいろ書いているのですけれども、今回の企業での特徴としましては、新しい技術は、2つに分かれています。
1つは、事務系の仕事に対してRPAを入れまして、業務の効率化を行っているもの。もう一種類は、そういったことを行いつつ、さらにもう少し進めるという形で新しい分析技術とかを取り入れて、人材の確保をしていこうというところ、それは、主に飲食とか宿泊の分野になります。
早速なのですけれども、そういった中で、ヒアリングで明らかになったことということで、何点か書かせていただいております。
最初に、メーンの担当部署が人事労務部門ではなかったということで、私ども企業調査をする場合は、労働とか雇用の問題ということで、ほぼ100%近く人事部門に行かせていただいて、お話を伺うことになります。
ですが、今回は、ちょっと違いまして、全て経営戦略とか業務改革を企画したり、進めている部署が御担当でして、そういった方々にお話を伺いました。
もう一つ加えていいますと、そこで担当する人に、非常に社内の業務に詳しいベテランの方がキーパーソンとしていらっしゃって、そういった方が技術革新を進めるときに、ターゲットになる職場にきめ細かく回っていって、話を聞いたり、ヒアリングをして、その職場で誰かが抱え込んでしまっているような、ある種ブラックボックス化しているような、そのような仕事も丁寧に聞き出して、その上で導入を進めているということです。それがないとなかなかうまくいかないというようなお話が、ある程度、共通して聞かれたところです。
人事労務部門が、ちょっと担当と外れているということは、実際、こちらからすると、従業員の働き方に結構大きく関係してくる内容ですので、そうなのかなというところはあるのですけれども、結局、経営戦略とか、業務改革の一環として、このような技術を入れているということで、担当が少し違っていたということになります。
2番目なのですけれども、今回、ヒアリングした企業様では、人員を削減しようとか、そういう目的で新技術を入れているところというはありませんでした。
1件だけ、実際に事務の人が減っていて、人数は結果的に減ったというケースはあったのですけれども、そこ自体も業務が削減できた結果、人が自然減とかで少なくなっても対応できていると、そういうことでした。
要は、雇用は維持したまま業務の一部を新しい技術に置きかえて、増えている業務に対応したりとか、あと、これは企業側から見た意見になるのですけれども、本来、社員、従業員の人たちが担うべき仕事があって、それに注力してもらうための環境整備なのだということでした。
実際、現状は、昨今の人手不足の中で、結構皆さん、残業をしていたりとか、あと有給休暇がとりにくかったりとか、そういった事情も抱えていたりして、その分を業務改革を行うことで、労働時間を短くしたりとか、休暇をとりやすくしてワーク・ライフ・バランスに近づけるようにしたいとか、そういうようなことに配慮しているということでした。
そういった話を聞いて、この業務の削減が雇用にいきなり影響することはないということなのですけれども、これはたまたま今の働く人を取り巻く環境が、うまくマッチしている側面もあるのだということです。
その次に、RPAに関してなのですけれども、こちらでは内製化する傾向というのが見られています。
要は、RPAを進める上で、最初は外部のベンダーさんに任せたりとか、あと、比較的規模が大きいような作業は、ベンダーさんに任せるのですけれども、そのうちなれてきたり、職場単位でできるような比較的小さい作業をRPA化するときについては、これも現場の仕事をよく知っている人で、なおかつそういったことに関心を持った人に研修を受けてもらって、それで業務の合間に少しロボットに触ってなれてもらいながら開発してもらうというケースも複数見られました。
これもさっきの繰り返しなのですけれども、RPAをうまく回すためには、対象となる仕事の手順とかを正確に組み込んでいかないと、いろいろ失敗が起きたりとか、そういったことを経験しているとのことでして、そういったことがないためにも、職場の人が実際にかかわってプログラムを組んだりとかすることが一番だというようなことです。
ちなみに、そういうふうにRPAの開発者に、実際に興味を持ってなってしまったケースもありまして、そういう人については、うまく職種転換が図られたということで、処遇もそれに応じたものに合わせて変えているという話がありました。
4つ目なのですけれども、業務削減に伴って、働き方が何か変わるかという話です。
これは、先ほど申しましたとおり、企業としては、業務が減った分、定型作業とか事務作業が減った分は、人ならではの仕事というような表現が多かったのですけれども、人でなくてはできない仕事、ロボットではできない仕事をしてほしいというような話でした。
例えば、銀行の場合ですと、窓口から後ろにいて、パソコンに向かっていろいろ作業しているような行員の人たちに、積極的にお店とか、お店の外に出て営業をしてもらうとか。
あと、飲食とかですと、ウエイターとしての仕事だけではなくて、レジとか、そういったことだけではなくて、お客様、ゲストの人に対して丁寧に応対する、コミュニケーションをふやして、困りごととかを解消してもらう、ニーズに応えてあげる、そういった付加価値を求めていたりとか。
あと、職業紹介で、求職者が来て、仕事を紹介するカウンセラーの方に対して、もっと求職者の人が望んでいる業種とか、業界とか、仕事の内容とか、そういったことをあいた時間に勉強して、もっと積極的に後押しできるような、そういう活動をしてほしいと、そういったことが、具体的に人ならではというようなことをさせていました。
なお、4番の最後に、RPAから一歩進めると、新技術が従業員の業務をサポートするということがあるのですけれども、これは後で触れさせていただきます。
課題なのですけれども、先ほどの自動運転のお話でも少しありましたが、新技術でビジネスモデルが何か出てくるかというようなことです。
これは、正直、課題ということでよくわからなかったです。今は、現在進行形で新しい技術を手探りで、今回、ヒアリングをした企業では取り入れながら改善を重ねているような状態しか把握できませんでした。
そのため、今後を見ていかないとわからないということになるのですけれども、ただ、新しい技術をうまく進めるポイントが、その業種とか仕事をよく知る存在がいるということが、非常にみんな強く強調されていた部分ですので、そういったことを知っていなければ、なかなかうまくいかないのかなということです。
今回、ヒアリングをした飲食なのですけれども、こちらは、来客数とか仕入れの数とかを過去のデータから予測しているシステムをつくったところなのですが、そこについては、自分たちが業界の知見もあって、システムの開発ができているので、そういったサービスを飲食業に展開していこうとしています。そういったことはあるのですが、ほかの事例で聞けたことはなかったということです。
それで、雇用問題が発生したときにどうするかということなのですが、今は環境がよくて、人手不足だったり、残業が減ってうまくいったりとか、そういった範囲で収まっているのですけれども、どういったスピードで新しい技術が入れかわっていくのかというのが、正直よく見えていなくて、そうしますと、どこかのタイミングで一気に何か激変することが起きるかもしれないと。これは、労働組合に行ったときも、そういったことを話していました。
そうなってくると、雇用問題が起きかねないわけですけれども、そのときに、今回、経営や企画の担当者の方々に話を聞いていますので、やはり、今回こそ本格的に事務作業を効率化したいというような意識がすごく強く感じられました。
それが一番の目的だとしますと、今の既存業務で単純な作業ですとか、ルーティン業務とか、そういったことはコストのバランスがとれたり、あと、コストが多少かさんでも、全くミスがないということをメリットに感じたりすれば、RPAに置きかえたり、もう一歩進んだ技術に置きかえたり進んでいくのだと思うのです。
そのときに、これも繰り返しですけれども、企業が、人ならではの役割と言っているわけで、そういう中で、なかなかこれは難しいなと思ったのは、人事部門がかかわっていないのと一緒に労使協議とか、そういったことが全くというか、行われているところがなかったのです。
もともと今回、労働組合があるところは銀行だけだったのですけれども、その銀行も、全体としての大きな経営戦略の説明を受けて、それに対して一丸となって協力していきましょうということで納得というか、そこで合意しているのです。
その後で、働く人に対する何か協議みたいなことはなされていなかったので、実際、今、人手不足で困るのは現場の人たちなわけで、今時点はいいのかもしれないのですけれども、そういったところで労組が先手を打って労使確認みたいなことをする仕組みがあったほうがいいのではないかと感じたところです。
その次に、労働者の人たちの間の格差です。これが、単純な仕事とか、定型業務がなくなって、新たな付加価値を生んだりする仕事にシフトしていくのだとなりますと、それにうまくなじめる人と、なじめない人が出てくるのかなということです。
企業側は、そのあたりは、従業員が意識改革してもらうしか、というような表現でした。ただ、では、従業員の人たちは、皆さん納得していますかとい質問をしますと、これは、現場の上長の方の話のもっていき方もあるのだと思うのですけれども、前向きな人と、あと余りそうではない、余り自分の仕事を変えたくないと思っている人に分かれるようなのです。
そのときに、どういう対応をとっているかということなのですけれども、これは、仕事が変わるのだから意識を変えてくださいと直接職場に繰り返して伝えていって理解を得るというような、現状は、そういうことでした。
ここで、さっき後回しにしました、新しい技術が仕事のサポート役になるようなことがあるということなのですけれども、これは、例えば、事務作業、パソコンの前に座ってずっと黙ってもくもくと仕事をしているような人に、もっとコミュニケーションをとるような仕事だったり、あと、知識をもっと吸収してほしいとなった場合に、そういったことをロボットがカバーしてくれるという話が複数でありました。
実際には、先ほど申しましたが、銀行の窓口で事務仕事をしていた行員さんが積極的に営業活動をするときに、そこはタブレットを持っていって、ラインのような形で会話ができるようになっていまして、そのお客様に対して、これを見て、一緒に会話しましょうというような感じでもっていって、商品の説明とかそういうことも、たとえ途中で詰まってしまったりしても、そこのタブレットの中に説明機能が入っているので、そこで助けてくれるのだということです。
あとは、技術革新で時間ができるというのは、管理職の方にも結構共通して時間ができるということです。単純な事務作業とかがなくなると、例えば、RPAに置きかえると、単純作業のミスもなくなりますから、そのミスがあるかどうかを確認する作業とかもなくなるということですね。
そうすると、そういった時間の中で、上司とか先輩が、後輩とか部下に仕事を教えるような仕組み、なかなか長時間労働の中で、そういったことが結構なくなっていたものを取り戻したいというようなお話もありました。
そういったことの中で、人事部門が介入して、研修とかをやらないのですかというようなことも聞いたのですが、やはり、どうしても職場ごとになくなる仕事が微妙に違っていたり、なくなる仕事に変わる付加価値を生む仕事というのも、それぞれの職場でいろいろ異なったりするので、そのあたりは、全員研修みたいなことではなくて、やはり、職場で対応してもらうのがいいのだけれどもというような考えだったということです。
最後に、今回、追い切れなかったことなのですけれども、要請をいただいたときは、企業規模、中小企業と大企業で課題に差があるかどうかということについても聞いてほしいと言われたのですが、そこまで追い切れなくて、この中には中小もあるのですけれども、そういった中小が意欲的なところでして、余り違いはないのです。
ただ、一般的にどうですかと聞きますと、企業規模で技術の導入の方法とか、スピードとか、そういったことは差があるし、あと、比較的高齢の経営者の方が中小企業は多くて、そういったところは、余り変化を好まなかったり、人がやっても余りコストが変わらないのだったらそのままでいいとか、そういったハードルはあるなというような話は聞きました。ただ、それ以上ではないということです。
あと、製造業と建設業です。既に技術革新を昔から進めている製造業とか、ゼネコンとかで事例が紹介されている建設業なのですが、これも今回は調べられませんでした。
今回、昨年の11月後ろぐらいから、本来、ヒアリングを始める予定だったのですけれども、最初、製造業と建設業にいろいろアプローチをかけていて、結構、断られてしまいまして、それで、1月から少し仕切り直して、ほかの業種に移ったということもありまして、
それで、このあたりはできませんでした。
簡単ですが、以上で報告を終わります。
ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、同じように、意見交換というか、質疑応答を続けたいと思いますけれども、どなたからでもどうぞ。
後藤委員、お願いします。
○後藤委員 非常に御示唆に富んだ調査をしていただきましてありがとうございました。
先ほどの前段のところでもお話があって、特に武田委員のほうから、新産業の創出や、それに伴い産業構造全体が変わってくるので、全体像をどうしていくかというお話もあったのですけれども、今、説明を聞くと、どうしても取り残されていってしまう人たちも出てくるのではないかと思いつつも、働く側もエンプロイアビリティを上げていく努力というのは必要だということは認識しています。しかし、企業は従業員に対して意識改革をしてもらうといった、これだけ技術がどんどん発展してきて追いついていかなければいけないというところでも、気合いと根性で何とかしろみたいなことを言っているような気がするのです。
一方で、若い人たちなどは、隙あらば会社を辞めてこれまで以上に待遇の良いところにいってやろうという感じの結果もあるとすると、エンプロイアビリティを上げていくということも必要なのですけれども、会社としても、会社と働く人とのエンゲージメントをどういうふうに保っていくかということをしないと、企業も破綻していってしまうというか、なくなってしまうということを考えると、やはり、取り残されている人も含めて、どういうふうにセーフティーネットというか、仕組みをつくっていくかということが、やはり必要なのではないかなと思っています。ある程度ついていこうという意識のある人たちはいいのですけれども、そこからこぼれ落ちてしまうような人たちを、そのまま放置してしまうと、今回の第4次産業革命は、前から議論があったと思うのですが、働くことそのものから退場させられてしまうということだったと思いますので、そうなってくると、その人たちをどうするかということが、すごく大きな課題です。やはり、社会保障の観点からサポートしていくということになっていくのが1点だと思いますが、それだけではなくて、できるだけこぼれ落ちる人たちを小さくしていくということが必要だと思いますので、そうすると、企業あるいは国がもう少しその辺のセーフティーネットをきちんと整備していくということが、やはり必要なのではないかなということを、今のお話でも伺いましたので、特に社会の中の居場所をきちんと確保していくということをあわせて考えていかないといけないのではないかと感じました。
ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございます。
ほかに、どなたか。
では、山川委員、お願いいたします。
○山川委員 私も感想なのですけれども、やはり、話を聞いていると、伝統的な内部労働市場型の現在の労働法制あるいは伝統的な判例では、なかなか対応が難しいのかなと。
例えば、整理解雇をとったとしても、何らかのRPA、新しい技術を導入しました、その結果、一部門の人がいらなくなりましたと。その人たちは整理解雇できるのですかということになると、今度、当然、解雇回避努力義務の話があって、今の裁判所だと、例えば、正社員を首にする前に、派遣と期間雇用を切りなさいみたいなことを言っていますね、それが正しいとは思わないのだけれども、そうすると、一歩進んだら、社員を首にするぐらいなら、その新技術の導入をやめなさいというところまで行くのか、そうすると、それは幾ら何でも行き過ぎだと。そうすると、今度、配転をするしかなくなるけれども、大きな会社はできると思うのですけれども、大多数の中小企業は、当然、配転ということはできなくなって、そうすると、雇用は維持できない、でも整理解雇はできない、どうするのだみたいな話もあるし、そうすると、無理やり解雇してしまうのだろうけれども、結局、解雇規制をすごく強めて、その企業にとどまることのプレッシャーをかけたとしても、結局企業単位では、恐らく対応できないですし、さっきの自動運転の話の産業構造の変化にもつながってくると思うのだけれども、そうすると、全体的な広い労働市場の中での人のモビリティを、流動性をかなり高めていかないと、なかなか今のままの伝統的な日本の労働法制では厳しいのかなと。
そのためには、流動性を高めるための社会ないし法整備も当然必要で、それがマッチングだったり、再就職支援だったりとか、訓練だったりとか、いろいろあるので、そういうところが非常に、私などは、裁判ばっかりやっているから、どうしても裁判所を見てしまうのだけれども、この変化に裁判所がついていけるのかというと極めて疑問だなと思うので、そこはある程度法律とかの介入が必要なのではないかと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
では、森戸委員、お願いします。
○森戸委員 山川先生の話に続けたいところですけれども、それは、また置いておいて、私は、裁判所はいい意味でも、悪い意味でも融通無碍なところもあると思うので、いろんな対応は可能かなとは思いますけれども、その話をしたいのではなくて、別のことです。
今回、報告をありがとうございました。
一番思ったのは、人事労務部門の話なのです。最初に、メーンの担当部署は人事労務部門と異なると。さらに、内部業務に精通するキーパーソンの存在が見られた。これは、ひねくれた読み方をすると、人事には内部業務に精通するキーパーソンがいないということかなと思って伺っていて、ただ、後のほうで人事へのかかわりというのも出てきたのです。
全然違うことを言うようですけれども、私、別の専門で企業年金とか退職金とかも割とやっているのですけれども、20年ぐらい前に企業年金とかが非常に注目を浴びたときに、企業年金とかは伝統的に人事がやることだったのですけれども、財務上の問題になるというので、財務部門ががっとかんできたというか、財務部門の話だと一挙に話が進んだのですね。
でも、それでいろいろ改革をしたら、やはり、人事と労務の問題だねといって、人事のほうに戻ってきて、結局、そっちにまた話が戻ったみたいな印象があるのです。戻ったというか、一緒にやりましょうとなったのか、人事と財務は、大体仲が悪いらしいので、うまくいかない場合もあるのかもしれませんけれども、そんな全然関係ないことを言うようですけれども、何が言いたいかというと、この話も、ある意味聞きに行ったら、人事の人が全然かんでいなかったというのは問題で、きっと将来、あえて雇用削減の話は出なかったということだけれども、山川先生もおっしゃったし、ほかの先生もおっしゃるように、人事労務問題になるし、かんでいなければいけないことだと思うので、何か問題提起というか、もっと早目に、一緒に、全社的に人事の人も絡んでやっていかなければいけない問題なのだということを言わなければいけないというか、そのことが、ある意味、これで明らかになったのかなというのが、その印象です。
コメントというか、質問ではないのかもしれないですけれども、そういうふうに思いました。何か、もし、御感想があれば、お願いします。
○新井氏 ありがとうございます。
まず、キーパーソンなのですけれども、その人たちが最初から経営とか企画の部署にいるかというと、それは、また別の話で、要は、ちょっと押しが強くて、いろいろな職場に顔を出して、これはどうなっているのだと、結局、何かRPAとかを進めようとしたときに、ほとんどマニュアルをしっかり整備しているところは余りなくて、特に定型業務とか、特定の人が1人で抱え込んで、自分の頭の中だけでマニュアルがあって、毎日ルーティンで操作しているみたいな、そういったことをとにかく嫌がられても、煙たがられても聞き出せるようなキャラクターの人が呼ばれてきているというような、そういう印象でした。
ですから、その中に、もしかしたら人事労務の経験の人がいたかもしれませんし、そのあたりは、ちょっとよくわからないです。
先生おっしゃられたように、確かに雇用問題になると、私も思うのですけれども、今、たまたまなっていないからかかわっていなくて、やはり、やがて人事がかかわらなければならない日が来ると思うのです。そのときに手遅れになってはいけないと思っていて、そこで、今、全く協議みたいなことが行われていなかったり、人事が余りかかわっていないということが、本当に問題だと思っています。
そういうこともあって、ちょっと言い忘れましたけれども、組合のほうに行ったのは、今春闘で、そのあたり、新しい技術を入れるときに、事前に労使協議するべきだというのを今春闘で要求化したところに行ってそのあたりを尋ねてきたのですけれども、その産別では、構成組織の取りまとめが、まだ、途中段階でして、その要求方針がどれぐらい浸透して取り組まれたかというのは、まだ、わかっていないのですけれども、そのあたりをもう少し注視していかなければなと思っているところです。
ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに、では、冨山委員、お願いいたします。
○冨山委員 銀行業のケースは、私、何が起きているかわかっているつもりなのですけれども、例えば、この例をとると、これはRPAというか、もともとIT化がめちゃめちゃおくれていたのが、日本の銀行業でありまして、あれが進んでいくと、何が起きるかというと、というか、もう既に起きているのだけれども、若い人たちは、生まれてこの方、支店に行ったことがないのですね。人生の中で1回も行ったことがないのです。だって、支店に行く必要がないもの。口座も今、ネットで開けてしまうし。ネットでお金も借りられるわけです。それで、銀行の取引もネットでできてしまうので、何であんなにいっぱい支店があって、何であそこにいっぱい人がいるのか全く理解ができないわけです。
実は、それが、今、銀行がすごく就職の人気がなくなっている理由で、かつ、これも御案内ですが、地方銀行は、みんな業務純益が赤字なのです。
よくゼロ金利政策のせいだと言うのだけれども、あれは嘘で、ゼロ金利は関係ないです、問題はスプレッドだから、スプレッドがつぶれているのは、世界共通の先進国の傾向で、どこに行ったってスプレッドはないのです。こういう時代になると、銀行で集めて貸すときのさやは抜けないですから。
これは当たり前なのだけれども、要は、ネット化が進んで、デジタル化が進んだら、さやは抜けなくなるのですね、それはどんどん透明になってしまっているから、証券も減っているわけだから、その中で、要は突き詰めていってしまうと、支店は必要ないということになってしまうし、突き詰めていってしまうと、あえて銀行が高度な事業性評価をしてちゃんと貸す先というのは、多分絞り込まざるを得ないわけで、そうすると、ごく限られた人数の、いわゆるフィナンシャルプランナー的な人と、限られた人数のインベストメントバンカー的な人だけが、ある意味では正規軍として必要で、あとは、はっきり言って電話オペレーターでオーケーということになってしまうのです。
どんなことをやったって、私は、産業的合理性と競争的合理性には勝てないと思います。しょせん、それはそうなってしまうのです。
そうすると、そこに抵抗することを考えることよりも、突き詰めていってしまえば、そういう合理的なことは起きてしまうのだと、起きてしまったときに、多分、答えは2つで、1つは、産業的合理性と人間的合理性というのを、どう正反合するようなビジネスモデルをつくれるかという問いです。これは、民間側の仕事であって、それは労使でやるべき仕事だと、私は思っています。
そこで、とにかく産業的合理性や競争的合理性に抵抗した議論をした会社はつぶれてしまうので、働き手もろとも全滅です。それがかつて、今までも起きてきたことだし、これからもきっと起き続けます。
ですので、これは民間側の仕事として、産業的合理性、競争的合理性と人間的合理性を、ちゃんと整合するような、これは民間の人間の創造性や知恵の問題であって、私は、かつての日本的経営というのは、まさにそういう脈絡で生まれてきたものだと理解しています。少なくとも、沿革を私が勉強する限りにおいては、国が発明したものではないですよ。民間の労使が力を寄せて、それこそ生産性三原則の中から生み出してきた、極めて画期的なビジネスモデルなのです。
ただ、問題は、さっき出ていましたけれども、これは正規雇用、終身のビジネスモデルですから、これが先ほど委員からありましたけれども、機能しなくなったときに、どういうものを再創造するかというのは、私は、基本的には民間側の知恵だと思っています。
ただ、もう一方で、やはり政府の役割は2つあって、それを創造するときに邪魔になっている既存の規制をどう改革するかという問題です。
ここは、先ほど来、裁判所の議論もありましたけれども、やはり、かつてのビジネスモデルに適合した法体系の中には、やはり、フィットしたのも残っていますから、それをどう変えるかという問題は、正直、直裁に立ち向かっていかないと、かえって多くの人が不幸になります。
例えば、正規雇用の人は、ある意味では、今の幸せを引っ張れるかもしれないけれども、そのせいで大量の不幸な人が、その外側に生まれつつあるのが、今の日本の社会ですから、そこは真摯に対応せざるを得ない。
もう一つは、これも後藤委員からありましたけれども、さはさりながら、当然、こぼれ落ちる人が出てきますから、それをどうセーフティーネットで救うか。
ただ、これも従来型のこぼれ落ち方と今回は違うので、そうすると、今回的なこぼれ落ち方に対して、どういうセーフティーネットを講ずるかというのは、かなり発想を変えてつくっていかないと、恐らく、結果的に誰も救われないことになってしまうと思うので、多分、今回のいろんな調査も、そういったことを強く示唆しているなと、私としては改めて確認できたという感じがある。
ちょっと余計なことを申し上げると、なぜ人事が外されるか、理由は簡単で、私の知る限り、大企業において一番人事、人事労務が保守的だからです。正直言って、私は組合長より保守的だと思う、企業側の人事労務、これはしようがなくて、人事労務の原理というのは、過去にいろんなことがあって、そのいろんなことからの整合性だか、先例とのつじつま合わせがすごく大事な部門なのです。そうすると、少しでも変える話というのは先例や過去のプラクティスとずれてしまうので、そういったことをやるのをすごく嫌がります。これは、正直言って、人事労務部門の宿命だと思っているので、これで余りけしからぬと責めるのは酷だと思っていて、さっきの年金ではないですけれども、場合によっては脇に置いておいて、別のところでやって、後から人事労務が合わせてもらうというやり方のほうが、現実は、企業改革とか、企業再建上早い場合が少なくないのです。
というのは、人事労務部門というのは、オペレーションを持っているのです。企業の支払いであるとか、大量のオペレーション業務を持っているので、あれだけ多くのオペレーションルーティンをこなしている部門からすれば、やはり、それを変えるということは、毎回物すごくオペレーションは負荷がかかるので、それを変えたくないという気持ちはすごくわかるし、かつ、就職、採用の部分を除くと、競争にさらされていないのです。今、採用のところだけが、ある意味ではとった、とられたという競争的な市場にさらされていますけれども、日常的にはさらされていないので、そういう意味で言ってしまうと、こういった話というのは、製品サービス市場から来る競争のプレッシャーに対して、人事労務が対応するというのは、恐らく物すごく大変なような気がしているので、私は、これを伺っていて、むしろ会社というのは、それなりにみんな的確な対応で物事を進めているのだろうと、むしろこれはポジティブに受けとめました。
以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに、どなたか。
私から1つお伺いしたかったのは、建設業はよくわからないのですけれども、製造業が余り協力的でなかったという背景として、いわゆる製造業の生産性や業績がRPAを導入することによって、大きく向上するという絵が、私は描けないのです。工場の部分のNCであるとか、そういうものが入ったときは、物すごく生産性の向上につながったので、積極的に導入したと思うのですけれども、RPAがトヨタでも、どこでもいいですけれども、そういうところの生産性を物すごく向上するというイメージがないので、結果的に見ると、それほど会社の中では重要な、もちろん部門としては重要かもしれませんけれども、会社としては、どこまで重要な、一種の変革なのかなというのは、ちょっと疑わしいのですけれども、そういう感覚もお感じになりましたか。すみません、質問として変えれば、なぜ、製造業が拒否されたのだと思いますかという問いです。
○新井氏 これは、一番思い当たるのは、タイトルなのです。実際に「AI等」と最初についていて、それで依頼をかけると、AIなどやっていませんという感じになるのです。要は、一般的にAIというふうにすごい広義の意味でくくってしまっていますけれども、実際、厳密に考えると、やはり、RPAだったり、そこからちょっとした分析を入れたりというほうが、むしろ多くて、それで、一応、プレスリリースとか、そういったことは洗い出しながら、実際にAIで何たらかんたらというふうにプレスリリースを出しているようなところを当たっても、いや、実はそこまで大それたことはみたいな感じで断られる。
最初に当たったのは、先ほど申しましたとおり、製造業とか建設だったものですから、それで、これはまずいと思って、AIという言葉はとって、いろいろ依頼をかけ直したということがありました。
○守島部会長 それで、この6つが挙がって。
○新井氏 そうです。だから、ここら辺に依頼をお願いしたときは、このAIという言葉は使わずにお願いをしています。
○守島部会長 わかりました。
○冨山委員 当初の先方の受け取り方として「AI等の技術革新が雇用」と書きましたね。例えば、これをトヨタさんやホンダさんが、こういうものを持ってこられたときに、彼らは、ぱっと受けとめ方として、自分の会社における生産性向上の議論を聞きに来たと受けとめるのか、先ほどの議論みたいに、AIが入ってきて自動運転化が進んだ、その結果として、産業社会全体に対してどういう影響を与えることを聞かれるのかと、どっちに受けとめられた感じがありますか。
○新井氏 あくまで今回の調査は、技術革新で、その会社の働いている人たちにどんな影響があるかというお願いの仕方をしていますので、一応、自分たちの内部での取組ということで。
○冨山委員 その次の質問なのですけれども、そうだとしたときに、今、言われたように、その話は、例えば、生産とか開発とかは、どちらかというと、ラインに近い業務の雇用の問題と受けとめたのか、それとも営業とか管理部門みたいな、どちらかというと、文系の世界ですね。それは、どういう受けとめ方だったですか。
○新井氏 それは、一応、その会社でやっていることを、まず、全てお伺いしたいというようなお願いの仕方を、職種にとらわれずに、そこももう少し的を絞ってお願いしたほうがよかったかなと思っています。
○冨山委員 逆に、これはお願いなのですけれども、この手の議論をするときに、多分、会社側からすると、まず、2つの領域に置き分けているはずで、1つはAIみたいな話が、当該企業のある種競争領域、戦略領域的に導入して生産性を上げようとしているという領域と、恐らく、管理部門とか、営業部門などは非競争部門的に位置づけて、むしろ従来のICTと変わらない感じで、どう合理化していくかという発想で、多分、考えているような気がするのです。それによって、多分、答えやすさは変わってしまうような気がしていて、競争領域だと思ってしまうと、うかつに答えられないので、特に製造業は、その辺の警戒心がすごく強いので。
実は、製造業に限らず、いろんな次元で、その辺の、既におっしゃっていますけれども、少し微分して、要は解像度を上げないと、AIは漠然とした概念だし、結構、書いてあることをそのままICTに置きかえても、多分、同じような話になってしまいますね。ですので、そこはできれば、次回以降、解像度を上げていただくと、割と我々もインプリケーションが大きいかなという印象はありました。
よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございました。
ほかに、どなたか、よろしいですかね。
それでは、新井様、どうもありがとうございました。
○新井氏 どうもありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、最後に、事務局から本審への報告書の骨子案というのが出ておりますので、ここにも入っておりますけれども、御説明をいただきたいと思います。
○村山労働政策担当参事官 それでは、資料5をお開き願いたいと思います。時間が大変限られておりますので、ごく簡単にとどめたいと思います。
昨年の12月から基礎データの確認、共有から始まって、テーマを深めていただくための委員の先生方のプレゼン、さらに働く現場がどうなっているのかのヒアリングについて、本日も含めて5回の御議論をいただいてきたところでございます。
一方では、基本的に、夏までの取りまとめということで、最初にお願いしている経緯もございますので、少し前回までの議論を踏まえてのたたき台的なものを配らせていただいているのが、本日の状況ということでございます。
資料5でございますが、その骨子案として「はじめに」の後に、1.のところで、まず「質の高い労働の実現のための新技術の積極的な活用」ということについて書いております。
これは、生産性を高めることが、人口減少等あるいはグローバル競争等の中で求められるということと、それ以上に、ディーセントワークというお話が、本日もございましたが、まさに文字どおり意味の質の高い労働を実現していくために、こうした技術革新をどう考えていくのかということについて言っていただきましたので、それを跡づけてはどうかということでございます。
(1)で、そうした新技術の積極的な導入の必要性、背景についてですが、これまで出た御議論として、3点について書いております。
1つは、人口、とりわけ2040年に向けて、これまで高齢者が増えるだけではなくて、現役世代が激減していくということへの対応のための技術の活用ということ。
2つ目のポツのところでございますけれども、この場の議論でもなりゆきで活用するということではなくて、人間が主体的に新技術を活用していく必要性があるのではないかと。それによって、ニーズあるいはライフスタイルが多様化する中で、多様な幸せや働き方のモチベーションの向上を図っていく必要性があるのではないかといったことが議論されてきたかと思います。
3点目として、人材不足、人手不足が深刻化していく中で、働き方改革が言われておりますが、過重労働解消のためにも、こうした技術を活用していくことは必要ではないかという御議論もあったかと存じます。
それから、(2)のところで、とりわけ求められる分野ということで、これは本日、自動運転の御議論もいただきましたけれども、生産性向上と労働の質の向上が求められる分野への活用ということで、介護や運転等の分野への活用なども含めて、これまで御検討をいただいたことについてまとめていただいてはどうかということでございます。
2.のところでございますけれども、新技術による仕事の変化とそれへの対応ということでございます。
本日も、この点、御議論を深めていただきましたけれども(1)として、まず、新技術の導入に際して求められる対応、まさに今、ヒアリングを通じての御議論もございましたが、既存の業務の実態把握と新技術の導入に向けた方針を決定していくに当たって、それぞれの職場における労使のコミュニケーションの重要性というものが、改めて大きな課題として浮き彫りになったのではないかと思います。そうしたところについて、報告書にも書き込んでいただいてはどうかというのが1点目でございます。
(2)番のところでございます。
新技術の導入に伴う業務の再設計と、それに伴う仕事の変化に関しまして、これは、事務の仕事、また、介護の仕事、その他、さまざまな分野についてヒアリングあるいは御紹介をいただいたところでございますけれども、新技術の実装に伴い求められる人材とスキルといたしまして、そこに3つの矢印を書いてございますけれども、業務の見直しや再設計を担う人材やスキルがどのようなものであるのか。
また、例えば、本日もございました、RPAと新技術を活用して成果を上げる人材スキルの問題。
それから、人間にしかできないタスクを担う人材とスキルが、また一方では重要性を増してくるというような御議論もございましたので、そうしたことについてヒアリング等で具体的に浮き彫りになったところも含めてまとめていただいたらどうかということでございます。
次のポツのところでは、そうした個々の人材とスキルに対する適切な評価と報酬、あるいはまた、そうした新技術の進展により拡大する雇用類似の働き方も含めた多様で柔軟な働き方への対応というものについて、必要なことをまとめていただいたらどうかということでございます。
(3)番で、求められるスキルと自らのスキルの見える化を図り、また、ギャップを埋めていくという意味で、(4)のところで、そうした新技術に対応した人材育成。一方では、労働者間の格差への対応の問題もあるのではないかということなどを頭出ししているところでございます。
また、今回の御議論を通じましては、とりわけ、今までの技術革新とは違うAI等に特殊なというか、新しいというか、そういったことについての横ぐしの課題としても、さまざまなものが委員の皆さんから提示されていると思います。
1つは、労働者のプライバシーの保護やセキュリティーの確保ということ。大量データを取り扱うことに伴う問題もあろうかと思います。
また、その判断に関する企業の説明責任、これは、HR Techを活用したことについて、アルゴリズムに伴う差別の問題等の御指摘などもございました。そうしたことについて、どのように深めていただくかという点も頭出しをしているところでございます。
最後に、これは、個々の職場というよりは、社会全体として、本日も出ておりましたが、新技術への対応に際しての労使のコミュニケーションの重要性というのが改めて、この議論を通じて、大きな課題として共有されているところかと思います。こうした点についても、跡づけていただければありがたいということでございます。
前回までの御議論を踏まえて、少しキーワード的に抜き出したものですので、本日の御議論も踏まえ、また、今後、委員の先生方、御多忙ではございますけれども、個々の先生方を丁寧に回らせていただいて、今後、報告書の作成に入っていければと考えていますので、どうぞ、よろしくお願いしたいと思います。
資料5の説明は、以上でございます。
○守島部会長 どうもありがとうございました。
今、御説明にもありましたように、今後、この報告書の骨子案については、それぞれの委員の皆様に、事務局から訪問をさせていただいて、御意見等を伺うということになっております。
きょうは、そろそろ時間になりますので、これで閉じたいと思います。
委員の皆様は、本日も活発な御議論をいただき、ありがとうございました。
次回は、これまでの議論を踏まえ、本審への報告書の取りまとめに向けた御議論をしていただきたいと思います。
最後に、事務局から、次回の日程についての御報告をお願いいたします。
○高松企画官(政策統括官付労働政策担当参事官室併任) 次回の当部会の日程ですが、5月31日金曜日の開催を予定してございます。詳細につきましては、改めて御連絡いたします。
よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、本日は、このぐらいで閉会とさせていただきたいと思います。
本日の議事録につきましては、運営規定により、部会長である私と2人の委員に署名をしていただくことになっておりますけれども、今回は、長谷川委員、森戸委員に署名をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日の会議は、これで終わりたいと思います。
どうも皆さん方、ありがとうございました。