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第7回社会保障審議会年金財政における経済前提に関する専門委員会 議事録
●日時
2018(平成30)年11月26日(月)15時57分~17時21分
●場所
全国都市会館 第1会議室(3階)
●出席者
小野 正昭(委員)
権丈 善一(委員)
小枝 淳子(委員)
駒村 康平(委員)
武田 洋子(委員)
玉木 伸介(委員)
野呂 順一(委員)
山田 篤裕(委員)
米澤 康博(委員)
森 審議役(年金積立金管理運用(独):GPIF)
鎌田 企画部長(年金積立金管理運用(独):GPIF)
陣場 調査数理室長(年金積立金管理運用(独):GPIF)
●議題
(1)検討作業班における議論について
(2)その他
(2)その他
●議事録
- ○武藤数理課長
- それでは、年金局数理課長の武藤でございます。定刻よりちょっと早いですけれども、ただいまより、第7回「年金財政における経済前提に関する専門委員会」を開催いたします。
本日は、植田委員長が諸事情により欠席となりました。専門委員会の設置規定には委員長代理の規定はありませんが、委員長と相談いたしまして、今回は米澤委員に委員長代理をお願いしたいと思いますので御了承いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員:異議なし)
○武藤数理課長
ありがとうございます。
本日は、植田委員長のほか、吉川委員が御欠席、小黒委員がおくれての出席と伺っております。
それでは、米澤委員、お願いいたします。
○米澤委員長代理
改めまして、米澤でございます。恐縮しております。急遽委員長代理に仰せつかりましたが、皆様方の御協力をいただきながら円滑な議事運営に努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
それでは、議事に入ります前に、審議会のペーパーレス化につきまして、説明と資料の確認をさせていただきたいと思いますので、事務局のほうから説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○武藤数理課長
厚生労働省におきましては、審議会等のペーパーレス化を推進しており、本委員会においても、ペーパーレスで実施させていただいております。
委員の皆様に配付させていただきましたタブレット端末がございますが、現在、議事次第が表示されているかと思います。タブレットの左上に表示しておりますマル1「第7回資料」という青い字を1回タッチしていただきますと、端末に保存されているファイルの一覧が表示されます。
一覧のほうに、本日使います資料1、資料2-1、資料2-2が表示されていると思いますので、見たい資料をタッチいただきますと、資料が表示されることになります。この資料の拡大縮小につきましては、2本の指を画面に当てて開いたり閉じたりすることで画面が拡大縮小します。
今ごらんになっているほかの資料を表示する場合には、再度、左上のマル1「第7回資料」の青い字のところを1回タッチしていただきますと、資料の一覧が再表示されますので、表示させたい資料をタッチしていただくということでお願いいたします。
過去の開催資料につきましては、今、左上に出ています「マイプライベートファイル」という青い字を1度タッチしていただきまして、その中にあるマル2「過去の開催資料」というところをタッチしていただきますと、第1回から第6回までの資料を格納してございます。
操作についての説明書もお手元に配付しておるところですけれども、委員会中、御不明な点がありましたら、適宜事務局がサポートいたしますので、御遠慮なくお申しつけいただければと思います。
なお、傍聴される方につきましては、あらかじめ厚生労働省ホームページでお知らせしておりますとおり、御自身のタブレット等の携帯端末を使用して、厚生労働省ホームページから資料をダウンロードしていただくこととしております。操作方法等について御不明な点があれば、受付などにおります事務局職員へお問い合わせいただければと思います。
事務局からは、以上でございます。
○米澤委員長代理
どうもありがとうございました。
よろしいでしょうか。私もなれ親しんでいないので、やってみたいと思います。
もしカメラの方がいらっしゃいましたら、この辺で御退席をお願いしたいと思います。
それでは、議事に入らせていただきたいと思います。前回の専門委員会でお話がありましたとおり、経済前提の設定に関する技術的な検討や具体的な作業を行う場としまして検討作業班が設置され、全体で3回会議がなされました。きょうは、その検討結果の報告をいただきながら、この専門委員会でさらに議論を深めさせていただきたいと思っております。
玉木委員が検討作業班の座長でございましたので、資料1については玉木委員から、資料2-1と2-2につきましては事務局から、それぞれ説明をいただければと思っております。それでは、この順でよろしくお願いしたいと思います。
○玉木委員
それでは、資料1に沿って検討作業班での検討についてかいつまんで御報告申し上げます。
資料1にございますとおり、検討作業班は、8月、10月、11月と各1回の3回の議論を行ったところでございまして、主なテーマとしましては、次にございますとおり、マル1「経済モデルの建て方とパラメータの設定」、マル2「運用利回りの設定」、マル3「経済変動を仮定するケース」等について議論を行ったところでございます。
まず、基本的な考え方でございますけれども、最初のパラグラフの2行目にございますとおり、幅広く複数ケースの前提を設定する。
次のパラグラフにありますとおり、2行目、長期間の平均値として設定されることを基本とすべき。
あるいは、そのページの一番下のパラグラフでございますけれども、2行目、従来の枠組みはおおむね適当ということが確認された、ということでございます。
次のページに移っていただきまして、全要素生産性上昇率という言葉がございますけれども、これは先ほど複数のケースを設定すると申し上げましたが、2つ目のパラグラフにありますように、幅広い複数ケースの前提の設定に当たっては、前回の財政検証と同様、全要素生産性上昇率を基礎とし、長期の設定における全要素生産性上昇率については、内閣府の中長期試算の設定を基準に、より低い方向に広い幅を設定していって、複数のケースを設けることが適当ではないか。この辺も従来と同じ考え方でございます。
なお、ちょっと言葉の使い方はややこしいのでございますが、内閣府の中長期試算というのは今後10年のことでございまして、内閣府としてはこれは中長期ですけれども、我々としては短期の話でございます。目先あるいは足元といった言い方で、この中長期試算をあらわすことがございます。
その後、労働投入量の設定とか資本分配率、資本減耗率の設定とか、いろいろなパラメータについての検討も行いましたが、これにつきましては後ほど事務局のほうから詳しく説明があるかと思いますので、私の説明では省かせていただきます。
資料の4ページに飛んでいただけますでしょうか。2番目のテーマであります運用利回りの設定についてでございます。これにつきましては、前回までの財政検証では、長期金利の将来推計に内外の株式等による分散投資による効果を上積みする方法で運用利回りを設定したところでございます。しかしながら、近年の長期金利は中央銀行の政策の影響も大きく受け、その影響の評価が困難であることから、長期金利の扱いが少し難しくなっているといったことも事実でございます。
他方、年金積立金の市場運用、これは2001年にいわゆる財投改革と言われる大改革がございまして、これによって年金積立金のあり方が大きく変わり、それ以降、GPIFにおける市場運用が拡大し、現在は、ほぼ市場運用100%になっているところでございますけれども、この運用の実績が17年分たまってきたところでございます。
次のページ、2つ目のパラグラフにございますけれども、前回の財政検証では、長期金利を利潤率との相関を用いて推計しているという手順をとったわけでございますが、この際、せっかくヒストリカルデータがたまってきたのだから、これを出発点に今後の運用利回りについて考えていこうではないかというように、検討作業班の意識がまとまってまいりました。
そのページの真ん中辺に箱になっているところがございますけれども、将来の実質運用利回り(対物価)、イコール、GPIF実質運用利回りの実績(対物価)、掛ける、将来と従来の利潤率の比率という形で伸ばしていこうということになったところでございます。
次になお書きがございます。これはどういうことかというと、運用実績はGPIFの運用目標あるいは基本ポートフォリオの設定に依存し、これは厚労大臣が定めます中期目標に依存します。この中期目標は経済前提にも依存しますので、もしボラティリティーがある中で運用利回りが高く出たことが実績に反映されますと、それを反映した経済前提の利回りも高くなってしまい、それをするとまた中期目標も上がってしまうというループが生じてしまう可能性もないではないわけですね。そういったことをあらかじめ、なるべく排除するという観点から、このなお書きのパラグラフの3行目の真ん中辺にあるように、保守的な設定とすることが望ましいということになってございます。具体的には、一定程度の長期間の平均をとる必要があるものの、GPIF発足後17年間の平均値のみではなくて、10年程度の一定の長期間の移動平均の変動の値も踏まえるといったような、なるべく保守的なものになるような配慮をしていこうではないか、こういうことになったところでございます。
3つ目のテーマでございますけれども、足元の運用利回りの設定でございます。足元、先ほど申し上げた10年のものでございますけれども、これにつきましては内閣府の中長期試算に準拠することが基本でございます。中長期試算では長期金利が推計されておりまして、この期間につきましては、その長期金利に対して内外の株式等の分散投資による効果、あるいは長期金利上昇が生じた場合には当然、国内債券の運用リターンにも影響が生じますので、この辺を織り込んで設定していくことになるところでございます。
6ページでございますけれども、「なお」というところがございます。ちょっと細かい点になって恐縮なのですけれども、中長期試算では10年程度の期間につきまして、長期金利の見通しが各年度に設定されてございます。そうしますと、今、申し上げた方法論によりますと、我々が一応置いてみる運用利回りも各年度ということになってしまうわけでございます。ただ、財政検証の経済前提という我々の作業は長期の趨勢が重要でございますので、足元、目先10年間の設定につきましても、中長期の試算と整合的に理解すべきものと検討作業班では理解したところでございます。
あと、イールドカーブを用いた方法というのが前回も用いられたところでございますけれども、この項目の3つ目「しかしながら」のパラグラフでございますが、極めて低い成長を仮定するシナリオに用いる場合においては、イールドカーブを用いることもあるだろうと考えているところでございます。
7ページにお移りいただけますでしょうか。7ページにおきましては、経済変動を仮定するケースについてというテーマで扱ってございます。これにつきましては、平成28年改正法の附帯決議によって、お手元のページの2つ目のパラグラフ、1行目中ほどからでございますが「景気循環等の影響で新たな改定ルールが実際に適用される可能性も踏まえた上で、国民が将来の年金の姿を見通すことができるよう、現実的かつ多様な経済前提の下で将来推計を示すべく、その準備を進めること」というのが、いわば立法府からの宿題として出ているところでございます。
これにつきましては、重要な問題は何かというと、次のパラグラフの3行目でございますけれども、周期については実質賃金上昇率の3年平均がマイナスとなるようにしなければならないというところでございます。これはテクニカルなようではございますけれども、物価賃金との連動を考える場合の賃金というのは3年間の平均でございますので、1年間だけマイナスになっても、3年平均でマイナスとならなければ役に立たない数字になってしまうということでございますので、意味ある試算を行うためには、賃金上昇率の3年平均がマイナスとなるような、そういった変動を想定する必要があるわけでございます。そうすると、3年とか4年といったものではなくて、もう少し長い周期の変動を考えて試算を行う必要があるということに議論がまとまったところでございます。
以上でございます。
○佐藤数理調整管理官
数理課の数理調整管理官の佐藤でございます。私のほうから、資料2-1、資料2-2について御説明いたします。
こちらの資料でございますが、検討作業班の議論に用いた資料をベースにいたしまして、検討結果を踏まえて若干の追加修正をいたしまして、参考資料集として取りまとめたものとなります。ただいま、玉木座長のほうから検討作業班のまとめについては御説明いただいたところでありますけれども、私のほうからは、資料2-1、2-2に沿って、玉木先生の説明に補足を加えつつ、資料として大部となりますし、既に紹介している資料も含まれておりますので、要点のみ御説明させていただきたいと思います。
資料2-1の第1分冊は、経済モデルに用いるパラメータについて、及びSNA基準改定への対応について、資料集としてまとめたものとなります。
まず、経済モデルのパラメータについて、5ページをごらんいただきたいと思います。既に御紹介させていただいておりますが、コブ・ダグラス型生産関数を用いた経済モデルのフローチャートとなります。ここで色塗りされているものが外生変数となります。経済前提の検討作業班では、それぞれの外生変数について、前回財政検証での設定方法を確認した上で、今回どのようにするかを御検討いただきました。
次に、8ページをごらんください。パラメータを設定する上で参照することとなります内閣府の中長期試算になります。ここでは今年の7月に公表されました直近の試算を載せておりますけれども、最終的には年明けに新たに公表される予定の中長期試算を参照することとなりますので、その点、御留意いただければと思います。
内容を確認したいと思いますので、11ページをごらんください。生産性上昇率(TFP)をごらんいただきますと、成長実現ケースでは、足元0.6%程度から1.5%程度まで上昇、ベースラインケースでは、1.0%程度で推移すると仮定されているところであります。
前回の財政検証で参照いたしました中長期試算では、高い成長を仮定するケースが1.8%まで上昇、低い成長を過程するケースが1.0%ということでありましたので、高成長ケースでのTFPの仮定が低下しているところであります。
また、労働力の前提についてごらんいただきますと、成長実現ケース、ベースラインケース、いずれのケースも2015年の労働力需給推計を踏まえまして、女性や高齢者の労働参加が進むと仮定しているところであります。ただ、成長実現ケースについては、足元のトレンドを踏まえて、より労働参加が進む前提になっているところであります。前回の財政検証と比較してみますと、成長の低いケースについては労働参加が進まない前提になっていましたので、この点も変更されたところになります。これを踏まえまして、TFPや労働投入をどのように設定するかを作業班で検討いただきました。
次に、14ページ、15ページをごらんください。こちらがTFPの設定について、前回の財政検証におけます専門委員会の報告書になります。TFPにつきましては、内閣府試算との接続を考慮いたしまして、より低い方向に幅を設定するという考え方となっておりました。また、労働投入量につきましては、内閣府試算の設定に準拠して、経済再生ケースに接続する場合は労働参加が進むケース、参考ケースについては労働参加が進まないケースを組み合わせることとしておりました。
次に、TFPの実績を確認していただきたいと思いますので、18ページをごらんください。TFPの実績を見てみますと、バブル崩壊後は水準が下がっておりますけれども、水準といたしましては0.5%以上から1%台前半のあたりを推移しております。また、1988年度から2017年度まで過去30年平均をとりますと1.1%、同様に過去10年平均をとりますと0.8%となっておりまして、1%前後の水準となっているところであります。
次に、検討作業班での今回の設定の考え方について、20ページをごらんいただければと思います。TFPにつきましては、先ほども申しましたように、成長実現ケースでTFPが1.8%から1.5%に低下しているところでありますけれども、前回の設定と同様に、内閣府試算との接続を考慮しつつ、より低い方向に幅を設定するという御議論になりました。また、労働投入量につきましては、内閣府試算の設定に準拠することが基本となりますが、労働参加が進まないケースについても、幅広い前提の中で設定することが望ましいのではないかという御議論があったところであります。
続きまして、資本分配率、資本減耗率の設定となります。22ページが前回の報告書の記述となっておりますので、ごらんいただければと思います。
資本分配率、資本減耗率につきましては、過去30年平均や過去10年平均で設定することとされておりました。また、組み合わせについては、TFPの設定に基づきまして、TFPが1%以上の場合は、実績も1%を超えておりました過去30年平均を用い、TFPの設定が1%未満の場合は、実績も1%を下回っておりました過去10年平均を用いることとされておりました。
続きまして、24ページと25ページで数字を見ていただきたいと思います。こちらは資本分配率、資本減耗率について、新しい2011年基準のSNAにより実績を計算したものとなります。過去30年平均と過去10年平均を見ますと、基準改定の影響などもありまして、資本分配率は上昇するということが見てとれます。
次の25ページを見ていただきますと、資本減耗率については低下するということになっています。
基準改定の影響につきましては、後ほど詳しく説明いたします。
次に、26ページ、今回の設定の考え方となりますので、ごらんいただければと思います。資本分配率、資本減耗率についても、前回と同様の考え方で設定するのが適切ではないかというご議論になり、報告書にもその旨記載させていただいているところであります。
また、実績の数値につきましては、今回ごらんいただいているものは2016年までのSNAの実績により計算しているところでありますが、最終的には、本年末に2017年度年次推計が公表される予定でありますので、そこまで織り込んで設定していきたいと考えておりますので、その点も御留意いただければと思います。
以下、出てくるSNAの数値については同様のものでありますので、その点、御留意いただければと考えているところであります。
次が、総投資率の設定となります。
28ページをごらんください。こちらが総投資率についての前回の財政検証における専門委員会の報告書の記述となります。総投資率につきましては、実績のほうが低下傾向にありますことから、過去の傾向を外挿して設定することとされておりますが、前回の検証時には単純に総投資率の傾向を外挿して設定するケースのほかに、総貯蓄率にも着目いたしまして、総投資率の外挿から総貯蓄率の外挿に緩やかに遷移するというケースについても設定しているところであります。
この考え方につきましては、投資と貯蓄の差が経常収支におおむね相当するということでありますので、足元の経常黒字が逓減していくことを想定したものと考えられるということであります。組み合わせといたしましては、経常収支の先行きについてはさまざまな見方があるということから、全てのケースについて両方のケースの試算を行いまして、結果を幅で示すこととされておりました。
続きまして、32ページをごらんいただければと思います。こちらが総投資率の数字になりますが、右側のグラフが前回の財政検証時のものとなります。実線部分が実績で、点線部分が将来の仮定ということになります。赤の下の点線が総投資率を外挿した設定となりまして、赤の上のほうに上がっている点線が総投資率の外挿から総貯蓄率の外挿に遷移する設定となるところであります。左側のグラフは同様に、2016年までの実績を踏まえて作成したものとなります。
基準改定の影響によって全体的に投資率、貯蓄率が上昇していることに加えまして、近年の実績が投資率、貯蓄率ともに上昇傾向にあり、特に貯蓄率の方が大きく上昇しております。このため投資率の設定については、前回の設定よりも上昇することとなっているところであります。特に貯蓄率の外挿に遷移していくケースについては、投資率がおおむね横ばいになる、今後下がっていかないという設定になっているところであります。
以上を踏まえまして、今回の設定の考え方につきましては、33ページにまとめておりますので、そちらをごらんいただければと思います。検討作業班の議論といたしましては、今回も前回と同様の考え方で、全てのケースで両方のケースを設定して、幅で見ていくのが適切ではないかという議論となったところであります。
次のページ以降が物価上昇率の設定です。35ページが前回財政検証時の設定の考え方となりますので、ごらんいただければと思います。
物価上昇率の設定で参照したものがここに記載されている3つの数値となります。日銀の目標であり、内閣府の中長期試算の経済再生ケースの推計値でもありました2.0%、中長期試算の参考ケースの推計値であります1.2%、さらに、過去30年の平均となります0.6%、この3つを参照しているところであります。
次の36ページに物価上昇率の設定があります。具体的には、先ほどの3つの数値を基礎といたしまして、高成長のケースについては物価上昇率も高く、低成長のケースには物価上昇率も低く設定するということで、先ほどの数字の間を刻むように設定したところであります。
今回の議論については、46ページをごらんいただければと思います。こちらにつきましても、考え方といたしましては前回と同様に設定することが適当ではないかという議論があったところであります。報告書にもその旨記載しているところであります。
数字につきましては、日銀の目標は前回と同じ2%でありますが、中長期試算のベースラインの推計値は1.1%、過去30年平均は0.5%となっておりまして、前回検証時よりもそれぞれ0.1%低下しているところであります。
続きまして、47ページ以降が労働投入量の推計方法となります。労働投入量につきましては、労働政策研究・研修機構、いわゆるJILPTの労働力需給推計を基礎にマンアワーベースの計算をしているところであります。具体的には、総労働時間を推計いたしまして、経済モデルに投入するということになります。その推計方法の御紹介となります。
概略を説明したいと思いますので、48ページのフローチャートをごらんいただければと思います。ベースとなりますのは将来推計人口となりまして、そこに就業率や雇用者割合を乗じまして、就業者数及び雇用者数を推計していくことになります。
さらに、短時間雇用者割合を用いまして雇用者数をフルタイムとパートタイムに分けるということになります。さらに、それぞれの平均労働時間や厚生年金の被保険者割合を乗じまして、総労働時間や厚生年金の被保険者数の将来推計を計算することになります。
ここで、それぞれどのように設定しているかということですけれども、50ページに労働力率や就業率の設定がありますのでごらんください。こちらについてはJILPTの労働力需給推計の推計値を用いることになります。労働参加が進むケースについては、女性や高齢者の労働参加を進めまして、例えば女性のM字カーブについてはおおむね解消されるというような前提となっているところであります。
続きまして、雇用者比率につきましては、53ページをごらんいただければと思います。ここに設定のイメージが載せてあります。雇用者比率は就業者に占める雇用者の割合ということになりますが、まず、コーホート別に実績を見ますと、若いコーホートのほうが雇用者比率は高いという傾向があります。また、同じコーホートで実績を見ていきますと、年齢が高いほど雇用者比率は下がっていく傾向があるというところであります。この傾向を将来に伸ばして、将来の雇用者比率を推計するという手法をとっているところであります。
続きまして、短時間雇用者割合や平均労働時間について、54ページをごらんいただければと思います。ここの下の表にありますとおり、短時間雇用者割合や平均労働時間については、JILPTの労働力需給推計に仮定が設定されておりますので、この仮定に従うように推計しているところであります。具体的には、労働参加が進むケースでは短時間雇用者比率が上昇する一方、短時間雇用者の平均労働時間については増加していくという仮定が置かれているところであります。これを織り込んで、総労働時間や厚生年金の被保険者数を推計しているということであります。
以上の推計方法について、検討作業班においても御確認いただきまして、今回もこの方法が適当ではないかということを御議論いただいたところであります。
なお、労働力需給推計につきましても、こちらのほうは古い労働力推計を載せておりますが、今後、新しい推計が公表される予定でありますので、最終的には新しいものを用いることになりますので、御留意いただければと思います。
次に、59ページをごらんください。経済モデルを適用する期間についてですけれども、財政検証では100年の将来の推計を行うわけですが、コブ・ダグラス型生産関数では一般的に20~30年の推計に用いられる生産件数であることから、前回の財政検証においては20~30年間の推計を行いまして、その平均値を用いて年金の長期的な設定値としているところであります。今回も同様の取り扱いとすることが適当ではないかという御議論があったところであります。
60ページ以降が、SNAの基準改定への対応についてとなります。
まず、基準改定について、63ページをごらんいただければと思います。こちらは内閣府の資料になりますが、2011年基準改定の概要になります。この中で最も影響が大きかった見直しが、マル2にあります国際基準の「2008SNA」対応によりまして、研究・開発費がこれまで中間消費とみなされておりましたが、資本化され、付加価値とみなされることになったということであります。
その影響を見たものが、65ページ、66ページとなりますので、こちらをごらんいただければと思います。65ページが基準改定によるGDPの影響となり、GDPについては19.8兆円増加するということになりますが、この内訳を見てみますと、16.6兆円が先ほど申しました研究・開発費の資本化の影響とされているところであります。
さらに、66ページを見ていただきますと、こちらがGDPの支出系列の内訳になりますが、一番下の総固定資本形成が10.5兆円というふうに大きく増加していることがわかるところでございます。この結果、後で具体的な数値を見ていただきますが、総投資や固定資産が増加いたしまして、パラメータでは資本分配率が上昇して、利潤率が低下するというような影響が生じているところであります。
続きまして、次ページ以降が基準改定の対応や経済モデルの整合性、精緻化を図るという観点から、パラメータの算定式を少し見直しておりますので、その御紹介となります。
69ページをごらんいただければと思います。従来、総固定資本形成の対象となります固定資産につきましては、有形固定資産を用いていたものであります。ただ、基準改定によりまして研究・開発費が資本化されたことに伴いまして、2011年基準のSNAでは有形固定資産という区分がなくなっております。また、経済モデルの整合性を考えた場合に、経済モデル内で用いております総投資率につきましては、研究・開発費など従来の有形固定資産以外の投資も含まれていることになります。このため、有形固定資産ではなくて固定資産を用いたほうがモデル内容の整合性が図れると考えまして、資本減耗率や利潤率などの計算においては固定資産を用いるというふうに変更しているところであります。
続いて、71ページをごらんいただければと思います。こちらは資本分配率の算式の見直しになります。こちらも考え方の整合性を図るという観点からの見直しとなっております。従来、資本分配率の計算に当たっては、労働報酬と資本報酬の要素をあわせ持ちます混合所得を分母、分子から控除して計算しているところでありましたが、一部、控除できていない部分がありましたので、その部分を控除するように見直すものであります。具体的には、固定資本減耗の中に混合所得に係る固定資本減耗が含まれていたということでありますので、これを控除して計算するように見直しているところであります。
次に、72ページをごらんいただければと思います。こちらが総投資率の算式の見直しになりますが、こちらも経済モデル内の整合性を図るという観点からの見直しとなります。従来、総投資率の分子に在庫品増加を加えて計算しておりましたが、総投資から推計されます固定資産には在庫品が含まれていないということですので、経済モデル内の整合性を図る観点から、在庫品増加を含めずに投資率を計算するとしたところであります。
次のページからがSNAの遡及推計についてとなります。
74ページをごらんいただければと思います。2011年基準の系列につきましては、正式系列につきましては1994年以降の数値を内閣府のほうで公表しているところであります。したがいまして、過去30年のパラメータの平均を作成するためには、1993年以前の遡及推計を作成する必要があるところであります。
75ページをごらんください。こちらがパラメータの計算のために必要な系列となっているところであります。このうちGDP、固定資産や支出系列に当たります総固定資本形成などにつきましては、内閣府が参考系列といたしまして1980年まで遡及系列を公表しておりますので、これを用いるということになります。したがいまして、当委員会で遡及推計が必要になるものは、右のほうに○印をつけておりますもの、固定資本減耗や雇用者報酬、営業余剰などということになります。
それぞれの推計方法についてですけれども、まずは76ページが固定資本減耗の遡及推計の方法ということになります。固定資本減耗につきましては、2011年基準のSNAの計算方法は定率法により計算することとされておりまして、資本財別に実効償却率が示されているところであります。下の表にその数値を載せているところであります。
また、固定資産につきましては、11区分の資本財別に内閣府のほうで簡易遡及推計として1980年までさかのぼって公表しておりますので、この資本財別の固定資産に実効償却率を乗じるという方法で固定資本減耗の遡及推計を作成したところであります。
次に、78ページがその他の系列の遡及推計の方法ということになります。その他の系列につきましては、少し古くなりまして前々回の基準のものですが、2000年基準のSNAによりまして、1980年までの数値が公表されているところでありますので、これをベースにいたしまして、2000年基準と2011年基準の乖離率を乗じることによって推計することといたしました。乖離率につきましては、1994年から98年の5年間の平均を用いることとしております。
以上の方法によりまして遡及推計した結果が81ページとなりますので、ごらんいただければと思います。青線が2017年基準でして、実線のところは既に公表されている系列、点線が今回遡及推計した部分になります。2011年基準は、2005年基準と比べまして、固定資本減耗、営業余剰、総貯蓄がおおむね上昇しているところであります。
また、82ページから84ページが遡及推計から計算される各種パラメータとなります。基準改定の影響を見ていきますと、まず、82ページの資本分配率を見ていただきますと、青と緑で前回と今回の比較が見られますが、資本分配率については上昇する。
その次の83ページを見ていただきますと、利潤率は低下する。
さらに次の84ページが総投資率や総貯蓄率となりますが、こちらは上昇していることがわかるところであります。
また、青の線と紫の線が、先ほど御説明いたしましたパラメータの算定方法の変更による影響ということになります。算式の見直しによりまして、戻って82ページ、83ページを見ていただきますと、資本分配率や利潤率の水準は若干低下するということが確認できるところであります。また、総投資率については算式の見直しによる影響は小さいものになっているところであります。
以上が第1分冊でして、続きまして、第2分冊のほうの御説明に移らせていただきたいと思います。第2分冊は、主に運用利回りの設定についてと、経済変動を仮定するケースの設定について取りまとめたものとなります。
まず、3ページをごらんいただければと思います。こちらが今回の運用利回りの修正案の概要となります。前回の財政検証では足元、長期の前提ともに実質長期金利を推計し、それに内外の株式等による分散投資効果を加えるという方法で推計しておりました。これを長期の前提の特に通常ケースにおきましては、長期金利を推計せずに、実績を活用いたしまして直接運用利回りを設定する方法に修正することが適当ではないかという取りまとめになったところであります。
また、足元の前提やイールドカーブを用いるケースにおきましては、分散投資による上積み効果というものが必要になりますが、こちらについても実績を用いる方法に見直すことが適当ではないかという作業班の御議論であったということであります。
4ページが長期の前提における運用利回りの推計の考え方になります。この点につきましては、先ほど玉木座長からも御説明になって、重複する部分もありますが、近年、長期金利につきましては中央銀行の政策の影響などもありまして、その見通しが不透明になっているということ。また、積立金の市場運用から17年以上経過いたしまして、一定の長期間のGPIFの運用利回りの実績が活用できる環境が整ったことから、実績を活用するよう推計方法を変更することが適当との御議論でありました。
実績を活用する場合でも、経済モデルによりますフォワードルッキング的な視点も導入いたしまして、経済モデルから推計される経済前提と整合的に設定すべきという御議論もあったところであります。このような観点から、変更案の式のように、GPIFの実績を基礎に経済モデルから推計される利潤率の変化率を乗じるという方法に変更することとされております。
利潤率と関連づけることにつきましては、以前、専門委員会でも御紹介いたしましたが、利潤率については長期金利だけではなくて上場企業のROAとかROEとも一定の相関があることが確認されているところであります。
なお、GPIFの実績を活用するに当たっても、先ほど玉木座長からも御説明がありましたが、単純に過去の平均値を使うのではなくて、保守的に設定することが望ましいという御議論があったところであります。これはGPIFの目標や基本ポートが経済前提を基礎に設定されていることから、こういう御議論になったということであります。
具体的には5ページをごらんいただければと思います。こちらが実質運用利回りの実績となります。過去17年間の実質運用利回りの平均は2.7%になるわけですが、10年移動平均の幅、つまり緑の点線の幅ということになりますけれども、こちらを見ますと1.1%から4.0%の幅にあるということになります。そこで、例えば下から25パーセンタイル値を見ることになりますと、2.3%となりまして、平均値より低い水準となります。このように保守的な数字を用いて設定することが考えられるのではないかということであります。
続きまして、8ページをごらんいただければと思います。こちらが足元10年程度の運用利回りの設定ということになります。こちらについては、先ほども御説明がありましたように、内閣府の中長期試算に準拠することが基本となりますので、中長期試算で推計された長期金利が基礎になります。これに長期金利の上昇の影響を考慮しまして、内外の株式等による分散投資効果による収益を上積みして設定することになります。この分散投資効果についても、実績を基礎にすることが適切ということでありましたが、この際も10年移動平均の幅を踏まえるなどして、保守的に設定することが望ましいとの御議論でありました。
具体的には、真ん中の表にありますように、例えば10年移動平均の幅を見て、下から25パーセンタイル値をとると0.7%になります。こういったものを用いまして、保守的に設定するという考え方が適切ではないかということでありました。
次に、10ページをごらんいただければと思います。こちらがイールドカーブを用いた運用利回りの設定についてとなります。前回の財政検証では、低成長のケースでは市場のイールドカーブを用いて長期金利を推定して設定するという方法を採用しておりましたが、本委員会の議論でもありましたように、現在のイールドカーブは中央銀行の政策の影響も受けているということで、市場の声を反映するというメリットが低下しているのではないかということも考えられるところであります。
このため、イールドカーブの活用に当たっては慎重にあるべきということでありますが、極めて低い成長を仮定するシナリオにおいてはイールドカーブを用いる方法を採用してもよいのではないかという御議論であったところであります。
イールドカーブを用いる際には、いつ時点のイールドカーブを採用するのかという論点がありますが、検討作業班では、過去の全ての情報が織り込まれている直近のイールドカーブを採用することが基本であろうという御議論でありました。また、前回の財政検証では、イールドカーブから10年国債のフォワードレートを推計して設定するわけですけれども、この10年国債のフォワードレートにつきましては、前回、10年後から30年後のフォワードレートの範囲で算出していたということでありますが、10年後のフォワードレートについては、日銀の政策は10年国債をターゲットにしていますので、直接の影響を受けている可能性があることから、今回、15年後から30年後のフォワードレートを参照するのが適切ではないかという御議論であったということであります。
具体的な数字といたしましては、下の表にあるとおり、直近のイールドカーブで15年後から30年後のフォワードレートを見ますと、1.3から1.4%になるところであります。
11ページが、基礎といたしました国債のスポットレート・イールドカーブということになりまして、赤の実線が一番新しいものになります。
12ページは、11ページのイールドカーブから算出されます10年国債のフォワードレートということになります。こちらも赤の実線を見ていただきますと、これが一番新しいものになりまして、この15年後から30年後の値を見ていただきますと、先ほど見ていただいた1.3から1.4%になるというところであります。
13ページから26ページまでは、議論の過程で用いた参考資料となりますので、説明は割愛させていただきます。
次に、27ページ以降に飛びまして、経済変動を仮定するケースになります。
28ページをごらんいただければと思います。平成28年改正法の国会での附帯決議の抜粋になります。ここでは景気循環等の影響によりまして、28年改正法で見直された改定ルールが実際に適用される可能性を踏まえて多様な経済前提のもとで将来推計を示すように求められております。すなわち28年改正法により導入された改定ルールが適用されるような景気循環の波を想定することが求められているわけですが、この課題をクリアするための条件が次の29ページということになります。
新しい改定ルールが適用されるためには、年金の改定に用います名目賃金上昇率、実質賃金上昇率がともにマイナスになる必要があるということであります。前回の財政検証でも経済変動を仮定するケースを設定しておりますが、その際は周期が4年、変動幅は物価と賃金を同じく1.2%と設定しておりました。ただ、今回、課題をクリアするためには、周期については年金改定に用いる実質賃金は3年平均を用いるため、3年平均でもマイナスになるように、4年より長い周期にする必要があります。また、名目賃金の変動幅については、実質賃金がマイナスとなるよう物価より大きく設定する必要がありまして、さらに名目賃金もマイナスとなるように十分大きく設定する必要があるところであります。
この条件を満たすように具体的な例を考えたのが30ページとなりますので、そちらをごらんいただければと思います。周期につきましては、景気循環論におきまして、3~4年の在庫循環として知られるキッチンサイクルの次に長いサイクルといたしまして、7年から12年のジュグラーサイクルが知られています。また、日米の景気循環の周期を見ますと、日本の平均は4年ですけれども、最長を見ますと7年強、アメリカでは10年超の周期も見られるということから、10年程度の周期を設定することが考えられます。
変動幅につきましては、物価の変動幅は、前回の財政検証時と同様に、過去30年の物価上昇率の標準偏差により1.1%と設定することが考えられます。
名目賃金の変動幅については、より大きな変動を仮定する必要があることから、過去30年の名目賃金上昇率を3年移動平均で見てみますと、最も高かったのがバブル期で、最も低かったのがリーマンショック後となります。この差が6%程度となりますので、変動幅といたしましては、その半分の3%で設定することが考えられるのではないかということです。
このように設定いたしますと、28年改正法の附帯決議の要請に応えられるものと考えているところでございます。
次ページ以降は説明を割愛させていただきまして、最後に参考として、賃金上昇率等に関する資料について、本委員会についても御議論になったところでありますので、御説明させていただきたいと思います。52ページになります。
52ページは、経済前提で設定する賃金上昇率とはどういうものかということを改めて確認した資料になります。財政検証におきましては、標準報酬を推計する際、この式にありますとおり、性、年齢、一般・短時間別に推計しているところであります。よって、賃金上昇率は性、年齢、一般・短時間別の平均標準報酬の上昇率として使用されるものとなります。
したがいまして、これらの構成割合の変化は、厚生年金被保険者数の推計において、人数が変化することにより反映されることになっておりまして、経済前提で設定される賃金上昇率は構成割合の変化の影響を除去した、いわゆるベースアップに相当する賃金上昇率ということになるところであります。
続きまして、53ページをごらんいただきたいと思います。ここでは、厚生年金の標準報酬とSNA、賃金・俸給の伸びとの比較をしたものであります。こちらの2つについては範囲が違うということで、違いがあるのかどうかというものを見たものであります。青の実線が厚生年金の1人当たり標準報酬の伸び率となりまして、赤の点線がSNAから計算した雇用者1人当たりの賃金・俸給の上昇率となります。もちろん毎年の違いは生じるわけですけれども、傾向としましては、おおむね同様の傾向で推移しているのではないかということであります。
続きまして、54ページをごらんいただければと思います。こちらは男性の30歳代、40歳代の労働力率の低下につきまして確認したものであります。1990年以降の推移を見ますと若干低下傾向が見られるところでありますけれども、依然、低下したといっても90%台後半の高い水準にあることが確認できるところであります。また、右のほうに女性の労働力率の変化を示しておりますが、それと比べるとその変化は小さいということが確認できるところであります。
以下の資料については説明を割愛させていただきますので、私からの説明は以上となります。
○米澤委員長代理
説明は以上ですね。どうもありがとうございます。
それでは、ただいま説明がありました検討作業班での議論につきまして、御意見、御質問等がありましたら、どこからでも構わないと思いますので、遠慮なく質問ないしは意見を言っていただきたいと思います。
それでは、駒村委員、どうぞ。
○駒村委員
済みません。私は途中で出なければいけないので、マイナーな質問と、少し突っ込んだ質問もさせていただきたいと思います。
資料2-1の55ページ、これは私が十分聞き取れなかったのかもしれないですけれども、短時間雇用者の平均労働賃金の前提です。この分布の変化と伸びというのはどのように想定されたのか。かなり伸びているので、これを確認したいなというのがマイナーなところです。
もう一つは、今まさにお話があった資料2-2の54ページ、30から55歳の男性の労働力率が安定的に下がっている。小さくても安定的に下がっていて、これはアメリカではもっと安定的に下がっていて、90%下がり切るような状態になっているので、この下がり方はちょっと心配な部分だろうなというのは留意しておいていただきたいと思います。本来、この辺は安定しているはずなのだけれども、ここが下がってきているというのは気になるところです。これはマイナーなコメントなのですけれども。
資料1の5ページで、今回、推計方法を変えた長期金利と利潤率から計算される将来の運用利回りの部分、長期金利が使えないのでかわりにGPIFの実績を入れるというところなのですが、保守的にということをおっしゃっていると思うのですけれども、気になるのは、この目標利回り自身が過去の経済前提から設定された目標値であり、既にこの中に分散投資効果が入っているわけです。それに再び、実質運用利回りのほうに分散投資効果をさらに読んでしまったら二重にカウントすることになりますので、そうことはしないで、そういう意味ではかなり保守的にこの数字は使っていかなければいけないのかなと思います。
あと、文章についての質問で、これも聞き飛ばしたのかもしれないのですけれども、資料1の5ページの2行目で「経済モデルによるフォワードルッキングな視点も導入し、経済モデルから設定される」、この2つの「経済モデル」というのは同じ経済モデルを意味しているのかということと、「経済モデルによるフォワードルッキングな視点も導入し」とはどういうことを意味しているのか、解説をしていただきたいと思います。
以上です。
○米澤委員長代理
どうもありがとうございました。
これは、お答えは事務局のほうからしていただければいいのかな。お願いします。3点ですね。
○武藤数理課長
最後の御質問ですけれども、資料1の5ページの上から2行目、経済モデルによるフォワードルッキングな視点も導入するとはどういう意味かということです。今般、運用利回りの設定に当たりまして、委員会の議論の当初から、実績を踏まえた設定方法がないかということが出ていたわけですけれども、単純に実績を使うとなりますと、賃金上昇率との連動、つまりケースAからケースHまで前回の財政検証のときに設定する際に、うまく運用利回りの前提が分かれていたわけですけれども、実績を設定するときにどう当てはめていいかというところが問題になってくるということがありました。
一応、検討作業班では、自然にこれまでのコブ・ダグラス型生産関数のモデルを使って利潤率倍率で運用利回りを当てはめれば、ケースAからHまでばらつくだろうという意味で、そういう経済モデルによるフォワードルッキング的な視点を導入するということを入れたらどうかということが議論になったということでございますけれども、検討作業班の先生におかれまして、もうちょっと違う解釈でありましたら、補足をお願いできればと思います。
○佐藤数理調整管理官
前半の質問についてお答えいたします。
資料2-1の54ページ、55ページの短時間雇用者数の推計のところかと思いますが、まず、54ページに記載しておりますとおり短時間雇用者比率は、足元26.4%から34.7%まで上昇ということになります。これは、JILPTで推計しております労働力需給推計でこういう仮定を設定しているところでありまして、そちらの報告書を見ますと、過去の傾向を伸ばしてこのように短時間雇用者割合が上昇していくという設定をしていると承知しております。財政検証では、これと、平均労働時間について短時間雇用者については89.6時間から111.7時間まで増加すると、こちらも労働力需給推計のほうで仮定されておりますので、その2つの条件に従うように推計しているということであります。
具体的には、55ページを見ていただきますと、実線のほうが足元の実績で、これは短時間雇用者の労働時間別の分布を見ているわけですが、平均労働時間は89.6時間となっているわけですけれども、これが111.7時間までふえますと、分布が変化していくというのを推計いたします。それで点線のような分布になることを見込んで、被保険者数や労働時間を推計しているところであります。
資料2-2の54ページ、男性の若年層の労働力率が低下しているというところですが、要因の分析はなかなか難しいところでありますけれども、今後も御指摘を踏まえて注視していきたいと考えております。
もう一つ、実質運用利回りの設定について、3ページの通常のケースの方法ですと、GPIFの実績に分散投資効果が含まれているというお話でありましたが、今回の計算では、分散投資効果は実績に含まれているということですので、実績に利潤率を掛けるだけで、さらに分散投資効果を加えるということは行わないと考えております。
以上であります。
○米澤委員長代理
玉木委員の方からつけ加えることはございますか。
○玉木委員
駒村先生の保守的にという御指摘でございますけれども、これは本当に検討作業班でも、保守的にしなくてはいけないというのがコンセンサスであったかと思います。
実際にどうやるかということなのですけれども、資料2-2の17ページあたりにいろいろなリターンの実績が出たりしてございます。あるいは17ページの次が対物価とか対賃金とかいろいろなものが出ています。非常に激しく変動するわけです。これについて、17年間の実績があるので10年移動平均を幾つかとれるわけです。その中でも何パーセンタイルということを考えていく中で、なるべく下のほうを狙っていこうというのが検討作業班でも議論されたところでございます。
あと、過去17年間というのは本当に山あり谷ありの、サンプルとしてはなかなかいい期間かなという気もいたしますので、今後、次回、次々回と、もしこのやり方を踏襲するのであれば、22年分、27年分というふうにサンプルはふえていくわけですけれども、その場合、どういった何パーセンタイルとかのとり方をするかということについて、プラグマチックに考えていけばいいのかなと考えているところでございます。
○米澤委員長代理
よろしいでしょうか。
山田委員、どうぞ。
○山田委員
今、玉木座長からもありましたように、GPIFの実質運用利回りの実績をお使いになるのだったら、ぜひとも本当に保守的なところを狙っていただきたいというのが1点目。
2点目に関しては、資料2-2の53ページですけれども、年金額改定の基礎となる1人当たり標準報酬額は、おおむねSNAにおける賃金の動向と同じように上がり下がりしているのですが、雇用者1人当たりの賃金の俸給とか何かと比べると、やや変動幅が小さいとか、もう一つ気になるのは、直近ではちょっとぶれが大きくなっていますけれども、特に2016年になって1%ぐらいの乖離が出てきている。これは何かというのと、2017年についても同じように出てきているのか。いろいろと調べなくてはいけないと思いますので、もしお戻りになりまして、どうしてこのように乖離が1%ぐらい開いたのかというのがおわかりになるのであれば、次回にでも教えていただければと思います。
私からは以上です。
○米澤委員長代理
今、何か答えられる点はありますか。
○武藤数理課長
ただいまの御質問につきましては、調べてから御報告させていただきたいと思います。
○米澤委員長代理
ほかにいかがでしょうか。どこからでも構いませんが。
武田委員どうぞ。
○武田委員
ありがとうございました。
まず、検討作業班の皆様に御礼申し上げたいと思います。夏の暑い時期にいろいろ議論いただいて、取りまとめいただきましたことを感謝しております。基本的に御説明いただいた内容で進めていければと思いますけれども、2点、感想と意見を述べさせていただきたいと思います。
1点目は感想ですが、既に検討作業班の座長のほうからございましたとおり、資料1の保守的な設定というところです。5ページにありますけれども、保守的に見積もるという方向性については賛成でございますが、まだどのように保守的にしていくかという詰めの部分は少しオープンな形で残っているのかと思いました。この点、どのように進めていくのかということが1点目です。
2点目は意見です。TFPの考え方ですけれども、資料2-1の17ページに前回の考え方ということで、基本的に、ケースAからケースHまで多様なケースを示したということは、前回の大きな進展だったのではないかと思っています。ただし、ややこの図が気になります。一番上は内閣府の経済再生ケースときれいにつながっているのですが、下は、途中まで上がっていくのだけれども、2023年と2024年の接続でがくんと段差ができるのは気になります。
今回の設定のイメージは20ページにございまして、イメージ図としてはきれいにつながっているわけでございます。内閣府試算に当面の10年間は基づくというのがベースであるわけですけれども、一方で労働参加については、進むケースと慎重なケースを見ていくということであれば、場合によってはTFPについても、イメージ図に近い形で、例えば内閣府の置いている前提の中に、足元は0.6%という数字がございますので、例えば現状維持ケースというのをつくるかどうか。このTFPの接続の設定イメージについても少し検討の余地があるのではないかと考えました。
以上でございます。
○米澤委員長代理
どうもありがとうございます。
特に事務局のほうからは何かリプライすることはありますか。
○武藤数理課長
ただいまの御意見など、その他も頭に入れながら、引き続き考えていきたいと思います。
○米澤委員長代理
ほかはいかがでしょうか。
野呂委員、どうぞ。
○野呂委員
大変精緻な検討作業班の成果に対して、非常にざっくりした意見と、それから質問をさせていただきます。
まず、資料1の1ページ目の冒頭に、高成長ケースから低成長ケースまでのシナリオということで、8つかどうかわかりませんが、今回も複数のケースが設定されるということで、妥当な整理かなと感じました。ただ、低成長ケースと内閣府試算のベースラインというのは一致するのかどうかとの疑問があります。内閣府試算のベースラインは、我々がプロジェクションするときに用いるの悲観シナリオとは少し違うような気がするので、もう一段低成長の、ここまで見ておけば大丈夫というような悲観シナリオを入れることによって、逆に安心感がでるのではないかという気がいたします。
ただ、このシナリオは、内閣府試算とは位置づけが違うと思いますので、もしそうした悲観シナリオをやるとした場合は、参考系列といいますか、オプション試算といいますか、あえて試算をしてみるというような位置づけになるのではないかと思います。
前回の財政検証のときも、国会でも内閣府試算よりも厳しいシナリオでみてはどうかとの意見があったように聞いておりますし、普通の国民から見ましても、最悪でどんなところかなというのが見たいのではないかという要請もあるかと思います。
これは実際に試算してみないとわからないのですけれども、11年目以降は保守的に設定したものをつなぐわけなので、100年のうちの最初の10年だけ内閣府試算よりも悲観的なシナリオにしても、ちょっと素人考えですけれども、それほど極端な結果にならないとも考えられ、「悪くともこの程度」という、逆にポジティブな情報伝達もできるのではないかといった思いもございます。これは意見ですけれども、オプション試算でもう一段悲観的なシナリオを置いて、ここまで厳しい前提でもこの程度だというようなところを示せないかというのが1点でございます。
もう一つは質問なのですけれども、最近、企業活動などを見ていましても、海外の影響が圧倒的に大きく、それ次第で企業利益も変わってくると思います。一国の経済もそうかと思うのですけれども、先ほどのコブ・ダグラスのフローチャートを見た場合も、一応、海外経済が入っているわけなのですが、具体的にどうやって海外経済の影響を見込んでいるかという質問です。世の中から、そうした質問があったときにどう答えるのかなという、これは単純な質問でございます。
とりわけ100年という時間軸で見ますと、やがて中国だけではなくてアジアも含めて全世界的に高齢化社会になりまして、30年後には世界中の人口ボーナスが終了すると言われている中で、そのあたりの経済への影響は織り込んでいるかという質問でございます。
○米澤委員長代理
事務局の方、どうぞ。
○武藤数理課長
大変難しい御質問にはなるのですけれども、海外との経済のやりとりをどう考えるかということにつきましては、実は5年前の専門委員会でかなり議論になったところです。やはり何らかの形で考えられないかということがございましたが、基本的には御案内のとおりで、コブ・ダグラス型生産関数というのは日本一国の閉鎖経済を仮定したもので、いろいろな手法を検討した結果、それを基本に置くほうがいいだろうと。その中に海 外との関係をどう織り込んだらいいのかという話になりました。
注目されたのは、投資と貯蓄の関係が、その差が一国の経常収支に当たるということになりますので、そこについて幅を持った中で設定していこうということになりました。モデルに用いる総投資率、過去低下傾向がありますので、その傾向を伸ばして下げていくケースと、総貯蓄率の傾向を伸ばして設定した線に推移していって、ある意味、経常収支差がなくなるというケースを設定した点において、5年前の経済前提専門委員会において一定の改善を図られたところです。今回についても、そこは基本、それでいいのではないかという議論が作業班であったところでございます。
○米澤委員長代理
最初の質問は、それは提案でしたか。もう少し最悪のシナリオを考えたらとの。
○野呂委員
提案といいますか、プラスアルファの試算の要望です。
○米澤委員長代理
先行き10年までの間でもう一つ下をつくるということの御提案ですね。
○野呂委員
はい。
○米澤委員長代理
それはどのように検討作業班では、そこまでは考えていなかったのでしょうか。
○武藤数理課長
頭の体操をしてみたいと思いますけれども、内閣府の中長期試算に準拠して設定するというのが基本パターンとなっておりますので、なかなかそれ以外のものに足元10年間を設定するというのは難しいところです。考えてみますと、前回のケースH、これは内閣府の中長期試算の間は低いほうのケースに準拠し、そこから先はより低いほう、TFP上昇率でいえば足元の程度の水準まで低いケースでした。先ほど接続の話があって、別の要素はありますけれども、ケースHをつくりまして、それだとかなり厳しいという結果が示されたわけです。
つまり、2050年代半ばには国民年金の積立金がなくなって、それ以降、賦課方式に移行するという財政検証結果が示されました。そういうものが今回の低いケースで入るかどうかというのはやってみないとわからないところがありますけれども、前回のケースHでもかなり厳しいケースというのは示せていると考えております。
○米澤委員長代理
はい。
○玉木委員
保守的という言葉がどうしても注目を集めるので、もうちょっと私個人の考えを加えておきたいと思います。保守的というのは、過去の実績をとるときに絶対水準と比較的低いものをとるという意味の保守的、これはもちろんあるだろうと思います。
もう一つは、過去17年間の実績、特に例えば第2分冊の17ページや18ページにあるような対物価とか対賃金とかの実質概念のものである場合には、17年間の実績の中にインフレ期が入っていないというところが一つ、実績についてのリザベーションとして考えざるを得ないわけですね。
今後、例えばアメリカぐらいのインフレ率や長期金利になるということは、ないわけではないわけでありまして、そういったときに我が国の運用において、今までですと対賃金で2.7%ぐらいですかね。大変高いスプレッドをとってきたという実績はあるわけですけれども、これがどうなるかというと、これはそんなに明らかな話ではありません。インフレのときに株価が上がるということも、そうとは限ってはいないわけですね。そうではないことも過去にはたくさんありました。したがって、実績自体についても、これがそんなに確固たるものとは考えられないという意味での保守的というのは、意識としては必要だろうと思います。
ただ、今までやってきた長期金利と利潤率の相関関係に着目していくというものと比べて、どちらがベターかというのが今考えるべきことではないかということで、今後、これからインフレ基調になってきたとかいろいろな実績が出てくるわけですから、そのときはそのときでまた頭をやわらかく、その時点でベストなものを求めていくのだろうと思います。
ただ、常識的に言って、17年間たまったのだから始めたということになりますと、22年間たまったらもっとというのは普通の考え方ですから、そこは一応、考え方の出発点にはなるかと思いますけれども、そこまでであって、今後の考え方については、特に万一といいますか、デフレが本当になくなってしまって、他の先進国、特にアメリカぐらいの経済状況になっていった場合に果たしてどうなるのだろうかという、これはまだ全然わからないところがありますので、それについてはオープンな気持ちを持っているという意味でも保守的ではないかと思います。
○米澤委員長代理
プロジェクションの観点で、権丈委員、どうぞ。
○権丈委員
保守的というところで、資料1の5ページ、運用実績に関して保守的な設定をすることが望ましいというところに関する一つの理解として、資料2-2のスライド9、こういう実績値、単年度の動きではなくて、移動平均をしっかりととっていくということがまず1点。そして、その移動平均をとっていくときに、10パーセンタイル値をとるか、20パーセンタイル値をとるか、25パーセンタイル値をとるかということで、このパーセントの数字が低ければ低いほど保守的になるというような理解の仕方でよろしいでしょうかということを確認したいのですけれども、よろしいですか。
○武藤数理課長
それは恐らく検討作業班の先生もその理解でいいと思いますので、もし何かありましたら、先生方から補足をお願いします。
○玉木委員
今の武藤課長のおっしゃったとおりかと思います。もし、ほかの先生方、コメントがあればお願いいたします。
○権丈委員
では、もう結構議論としては、手法としては決まっている。あとは数字を決めるというか、10年移動平均の期間を決めていったり、何パーセンタイルで決めるかということは決めていくということで、手法としてはもう決まっているという理解でよろしいでしょうか。
○玉木委員
単年度の数字を見て、これを移動平均にかけない手はないだろうというのがまずあるかと思います。
あと、移動平均をとるけれども、これはやはり17年間ですから、長いようで、短いといえば短いわけですので、そうすると、その中でど真ん中はストライクかというと、やはりそれは少し下目をとるべきだろうというのが一種の常識的な判断としてプリベールしていたのではないかと思います。いかがでしょうか。
○権丈委員
だから、保守的という言葉は、技術的にはそういうことを意味しますよということを共通にみんなが理解しておいたほうがいいわけですね。わかりました。
○米澤委員長代理
検討作業班の方々、何かつけ加えるとかありましたらば、お願いします。
では、小野委員。
○小野委員
玉木座長のおっしゃったとおりなので、あえてつけ加えることはないのですけれども、そもそもこういう手法をとったのは、たしか私の理解では、事務局からの資料にもありましたとおり、日銀の経済政策というか金融政策が変わった時期がうまく適合していないということがありました。その時期を省くという議論があったと思うのです。けれども、それを省くと5年前の財政検証と全く同じ期間になってしまうというのがあったと思います。
変更案を提示いただいたのですけれども、私が少し気になっていたのは、先ほどの分散投資効果の話です。平均値はいわゆるリスクプレミアムが乗ったような形になってしまう。それが財政の目標になってくると、これをクリアするためにまた新しいポートフォリオをつくるという話で、先ほど循環してしまうとおっしゃいましたけれども、それを防ぐためにも、やはり財政上は、設定する利回りはかなり保守的にしたほうがいいのではないかと、私はそういう理解をしておりました。
○米澤委員長代理
小枝委員、何かつけ加えることはありますか。
○小枝委員
現時点では特にございません。玉木委員と小野委員のおっしゃるとおりなので。
○権丈委員
この保守的というのが財政検証でひとり歩きしていくのですけれども、運用利回りとかはなるべく慎重に、低目にということですよね。
○米澤委員長代理
1点だけ私のほうからお聞きしたいのですけれども、GPIFの実績リターンを使おうというのは非常にいいアイデアだと思うのですが、御存じのように、三、四年前に大きくポートフォリオを変えましたね。その変化が入っていないというのが気になります。そこでもってより大きく振れるようになっているのだと思うのです。仮に経済全体が変わらなくても。要するにポートフォリオが大きく変わりましたので、そこの調整が必要かなというのが1点です。
それから、足元10年の賃金上昇率というのは、前と同じように内閣府からデータをいただくというような理解でいいのかどうか、この点だけお伺いしたと思います。
○武藤数理課長
後半の賃金上昇率の御質問につきましては、基本的には内閣府の中長期試算に準拠しつつ、賃金上昇率についてはそこで設定されているものを考えるということだと思っています。
○米澤委員長代理
では、前半のことだけに関して、そこのところはもしかしたらいいのかもしれませんけれども一工夫するのと、その上でこれは普通の平均でもいいと思うのですが、ちゃんと幾何平均をしていただければ。これだけ変動すると大分幾何平均値が下がってくると思うので、移動平均してしまって平均すると、幾何のところの意味が弱くなってしまうので、ちょっと工夫が必要かなと思うのです。
ただ、いずれにしても、今、御説明がありましたようにリスクプレミアムを含んでいるので、これをターゲットにされてはGPIFもかなわないので、うまく処理していただくといいのかなというのは、私も同感です。
座長からの質問でございますけれども、以上でございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。大体このようなところでもって新しい数字をつくっていく、ないしはこれからデータも出てくるので進んでいくということで御理解されたということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
まだ多少時間は早いのですけれども、特に質問がなければ、これで終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、事務局のほうにお返ししますので、連絡等はございますか。
○武藤数理課長
本日はありがとうございました。
次回以降の日程につきましては、改めてまた御連絡申し上げたいと思います。
○米澤委員長代理
では、終わりにしたいと思います。どうも御苦労さまでした。