田村大臣閣議後記者会見概要

H25.1.11(金)10:15 ~10:35 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は、早朝から、日本経済再生本部が開かれまして、その中で、総理の方から、若者や女性等の直面する課題の抜本的な解決方策を検討していただきたいというような御指示を頂きました。 まず私からは以上です。

質疑

記者:
今日、一般医薬品のネット販売規制について、最高裁判決が出ます。それについて、これまで国は裁判ではどのような主張をされていたのでしょうか。
大臣:
これに関しましては、色々と長い経緯がありますが、法律の制定の経緯だとか趣旨とかを鑑みますと同時に、医薬品の安全性を考えまして、我々は郵便等での販売といいますか、インターネット販売については、第一類、第二類に関しては、第二類に関しては一部を除き、良しとはしないというわけで主張をしてきたわけです。
記者:
今回の判決は、省令での規制は違法という判断が下される可能性が高いと見られているのですが、一部報道で、省令での規制が違法なら、薬事法そのものを議員立法で改正して、とにかく薬事法そのものを改正して、規制をする方向にする方針にするのではないかという報道が出ています。これに関してはいかがですか。
大臣:
議員立法の話ですからちょっと我が省としてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、ちょっとまだそういう議員立法を考えておられるのかということも把握をしておりません。
記者:
閣法でこういう改正をするとかお考えはないですか。
大臣:
と言いますか、まだ裁判の判決が出ていませんから、ちょっと現時点ではコメントのしようがないというのが本当のところです。
記者:
ただ、ずっと法廷で主張されている主張は、安全性を考えると規制は必要であるということを厚労省は法廷で主張してきたということですよね。そうすると、その考えは継続するって方向で物事は進んでいくと理解していいですか。
大臣:
それも含めて、判決の内容が分からないことには、その後我々対応のしようがないものですから。判決が出れば、その内容を精査した上で適切な対応をするという形になろうかと思います。
記者:
今の質問に関連してなのですが、これが認められた場合、厚労省としてはどのようなことが懸念されるというお考えですか。
大臣:
認められるというのは、我々が裁判に負けた場合ということですか。そうですね、懸念されるというか、とにかく安全に医薬品を一般用医薬品といえども、やはり使用していただかなければなりませんから、そういう意味での注意等々喚起をしていかなければいけません。いずれにしても、認められるかどうかというのは、まだ裁判の結果ですから。判決が出てから、色々な対応をしていかなければならないなと思っています。
記者:
関連なのですが、少なくとも二審でネット販売の禁止の規定に関しては否定されていて、最高裁でもそこは少なくとも維持される中で、対面販売の原則というのは少なくとも安全確保の上で最低限維持していかなければならないと考えるのかどうかを教えてください。
大臣:
今の現状はそういうような省令になっていますよね。ですから、それを争っているわけでありまして、最高裁でどういうような判断を下されるかによって、我々は対応を考えなければならないと。もし、我々が最高裁で勝てば、当然今までの省令というものが生きるわけでありますから。負けた場合にはその判決の内容を見た上でこれから対応を考えていかなければならないということになると思います。
記者:
少なくとも原告の2業者に関しては、ネット販売を再開することができるわけで。
大臣:
それは、負ければの話ですよね。
記者:
ほぼ、維持される。結論部分は変わらないという見方が。
大臣:
それも含めて判決が出てから、判決内容も見なければいけませんから、全て見た上で、対応を考えていくという話になると思います。早急にでありますけれども。
記者:
一連の流れの質問なのですが、基本的な考えを確認したいのですが、一番大事なことは、ネット販売を規制することではなくて、薬の安全性を確保することが一番厚労省として大事なことだと思うのです。それで、何度も仮定の話で大変恐縮なのですが、裁判の結果が仮定の話ですけれども、厚労省が負けると、高裁の判決と類似の同様の判決が出た場合に、薬の安全性の確保というのは厚労省としてもちろんやっていかれますよね。
大臣:
もちろん、それはその通りでありまして、元々この規制がそこを主眼に置いた規制でありますから、当然厚労省としては、国民の皆様方の健康というものをしっかりと進めていかなければなりませんし、一方で薬等々で当然、品質でありますとか有効性・安全性というものをしっかりと我々守っていかならないわけでありますから、その観点から、裁判の結果を見て対応をしていくという話になると思います。
記者:
ということは、これはなかなか言い辛いことかもしれないですけれども、その裁判の結果によっては、変えるべきところは変える、例えば今の法律だと一度買った薬は、情報提供はいらないよと情報提供を拒否することができると思うのですが、例えばその1文を削除するとか、そうすれば、必ず情報提供を受けなければならないということになる。そういったお考えは。
大臣:
厚生労働省として仮定のことになかなかお答えできないのですが、裁判の結果を見て、我々が思っている方向に裁判の結果が出なかった場合には、多分その内容を見た上で、検討するという話になると思います。ですから、すぐにどうだっていうような部分は、国民の皆様方にいろんな薬に対する注意喚起をしなければならないと思いますけれども、制度を変えるという話になると、今日、明日というふうにすぐできるような話ではありませんから、そこはある程度専門的見知からいろんな御意見を頂いて、その上で対応を考えるという話になると思います。
記者:
今、おっしゃったところなのですが、制度を変えるというのは、すぐにできないと、確かにそれは当たり前の話なのですが、高裁のときに出た判決の中の趣旨で、結局ネットによる副反応に関する知見が、まだ全然得られていないというところがあったと思うのですが、もしも閣法で変えるとなると、そこの部分の知見を集めてから法改正云々という話、規制とかになるのかなという時間がかかるということですが、議員立法だと議員立法は縛られないではないですが、議員が立法して法律を改正することもできるので、そういうことも全て視野に入れて検討するということですか。
大臣:
我が省は議員立法は関与しませんので、厚生労働省として、どう迅速に対応していくかということを考えた上で、国民の健康を守らなければいけませんので、議員立法云々という議論は、我が省は頭の中にはございません。それは、議員の議会の方がやられる話だと思います。迅速に対応できるように考えていかないきゃならんというふうに思っています。制約された中で。
記者:
現状認識についてお尋ねをしたいのですが、対面販売について、先日公表されている調査などでも、一類医薬品の文書による詳細な説明ができているのが半数ぐらいだったかと思いますけれども、法改正からそれなりに時間が経ってこういう現状ということについて、どうお考えでしょうか。
大臣:
そこは、やはり法律どおり適切に対応していただかなければならないと思いますし、事実この4、5年でも一般用医薬品でもお亡くなりになられておられる方々が24名ぐらいおられますし、それ以外でも我が省が把握しているだけでも、一般用医薬品に対する被害というものが、1千件を超えているわけでありますから、それは、対面販売する中においてしっかりと法律の趣旨に則った対応をしていただかなければなりませんから、これからもそうしていただくように我々としては指導していくという話になると思います。
記者:
ずっと対面販売が形骸化しているような現状があることでネットでもそんなに変わらないじゃないかというような主張があると思うのですが、そこについて。
大臣:
全てうまく100%できていないから何もやらなくていいという議論ではないと思います。そこは、副反応・副作用というものがある医薬品というものに対して常に我々は注意喚起をしながら対応していかなければならんという話でありますから、実態が100%できていないから何もやらなくていいような話にはならないと思います。
記者:
仮に判決で負けた場合は、少なくとも厚労省としても議員立法があるかもしれないし、閣法でするかも分からないですが、速やかに違法と断じられた部分については変えていく方向で、少なくともそれなりには考えていらっしゃるということですか。
大臣:
先ほど、私が申し上げたのは、裁判の判決が出たら、その内容を我が省といたしましても真摯に受け止めながら、適切な対応をしていくということでありますから、そういうふうな結果が出た場合にはそういう話になるんでしょうね。
記者:
最低賃金のお話ですが、生活保護の引下げの話が進んでいますが、生活保護の基準が下がると最低賃金が上がりにくくなるのではないかと心配される声がありますが、今その辺りはどのようにお考えですか。
大臣:
最低賃金と生活保護というのは、よく比較される話ですが、生活保護を適正化したから、それで最低賃金がすぐに影響が出るかというと、それはそちらの方で検討していただく必要があると思いますが、私はそれとは別個で考えていかなければならないのではないかと思います。
記者:
民主党政権では、2020年までに最低賃金1000円なんていう話がありましたが、その辺のお考えはどうですか。
大臣:
あれは平均でしたよね、確か1000円というのは。全国平均1000円というような話だったかと思いますが、そうなればいいなという思いはありますが、一方で、当然これ経済の情勢と絡んでくる話ですので、そうしたがために仮に雇用を失うというような話になれば、これは本末転倒になりますから。経済の実態等々、色々と見ながら、最低賃金の引上げは進めていく必要があると思いますから。民主党政権の理想があったのかもしれませんが、実際問題、民主党政権もなかなかそこまで追いついていなかったということを考えれば、実態との間においてかなりジレンマがあったのではないかと思いますし、我々も、そうなるように、経済状況を好転していかなければならんなと。そうなるというのは、平均1000円という考え方ではなくて、最低賃金が上がっていくようにという意味でありますが、経済状況を良くしていかなければならんなと思っています。
記者:
緊急経済対策で、70から74歳の医療費について、当面1割を継続する措置を講ずると。大臣の御認識では、当面の期間とは、どの程度のものであるかということと、2割引き上げ時期の判断のめどといいますか、いつ頃判断するかというのをお聞かせいただけますか。
大臣:
これは本当にずっとこの御質問いただいていまして恐縮なのですが、なかなか、自民党の中にも色々なお考えがあるようですし、また、審議会の中でも低所得者に対してどういう配慮をするとか、また高齢者の方々にどういう影響があるだとか、色々な御意見があったとお伺いしていますので、そういう部分をしっかり検討しながらという話になると思います。ですから、当面がどれ位なのかというと、なかなか、今すぐには私もいつまでとは言えないわけですが、とは言いながら、これは2割に引き上げるということは必ずやらなければいけないと思っていますので、その時期に関しては、なるべく早く決定ができればと思っています。すみません、いつも恐縮です。
記者:
すみません、今の関連で、なるべく早くというのは、その決定するプロセスというか、今後スケジュール感というのはどういったような審議を経て結論を導き出していくという考えですか。
大臣:
正直言って、まだ色々な意見があるのですよね。審議会でもそうですし、各党間でも色々な御意見がありますので、そこのある程度コンセンサスを得られるような対応も含めて、色々とそこらへんの考え方が、方向性が見えてきたとき、という話になろうかと思います。
記者:
補正予算の関連で、保育士の処遇改善が初めて盛り込まれていると思いますが、保育士不足の現状についての認識と、今回の補正での狙いを教えていただけますか。
大臣:
昨年、社会保障と税の一体改革の一連の流れの中で法律が、子育て三法が通りましたですね。あのときの、とにかく待機児童等の解消でありますとか色々なものを進めていこうという中におきまして、やはり保育士の不足がネックになってくるであろうという議論が国会でなされたのは、御承知だと思います。一つは、若年保育士といいますか、若い方々がお辞めになられる率が非常に多いと。これをどう防ぐかという問題もありますし、もちろん保育士をどう養成していくかと。しかし、一方で、資格を持っている方が100万人おられる中で、実際問題、実働されている方が4割位ということを考えますと、やはりそういう保育士の方々をもう一度現場に来ていただけるような色々な努力もしなければなりませんし、一方で今いる保育士の方々が、この保育の仕事というものにやりがいを感じていただきながら仕事をしていただくということが必要だと。逆に言えば、その保育士の方々の処遇が良くなれば、魅力があって、資格を持っている方々も戻って来られるかと思いますし、これから保育士になろうという方々も、そういうやりがいを持って入ってもらえるという話ですから、そういう意味で、今回補正予算の中に組まさせていただいたということでありまして、処遇改善に関しましては、民間施設給与等改善費、民改費でありますが、これ等々を通じまして、処遇改善ができていければなと思っています。中身的には、年数の長い方に比較的に上がりの率が高いというようなことを考えて、定着をしていただこうと考えのもとに入れて、今回補正予算の提示をさせていただいたということです。あと、貸付金のこととか色々なものを中には盛り込んでいますが、そういう状況です。
記者:
処遇改善の上乗せ幅ですが、経験が10年以上位の主任の場合で、月に1万円という風に聞いていますが、他の職業との比較で言いますと、10万円位給料に差があるということで、10万円で1万円ですから、まだまだ不十分ではないかと思いますが、今後も含めてどういう風にお考えですか。
大臣:
これは、言われることはよく私も分かっていまして、どうやって処遇を改善していくかということは、非常に大きな問題です。財源とも絡んでくる問題ですが、まずは第一歩としまして、月額今のお話で、10年位の方が1万円というお話がありましたが、第一歩を踏む中において、次に向かってステップアップができればいいなと思っています。しっかりとまた、厚生労働省は厚生労働省の立場で、主張してまいりたいと思っていますので、御支援のほどをよろしくお願いいたします。
記者:
厚生年金基金制度について、改めての質問で恐縮なのですが、昨日、専門委員会が開催されまして、自民党の中からも聞かれたように、健全な基金がある中で、一律廃止はという反対の意見が相次いだということで、改めて、大臣としてのこの問題についてのスタンスと、どのように結論を得ていくのか、スケジュール感も含めてお考えをお願いします。
大臣:
両方とも意見があるのは承知しています。就任会見でも申し上げたと思いますけど。そんな中で、前政権が一律廃止だということで方向性をお示しになられたと、それに対して、それをそのまま継承するのかと言われれば、もう一度問題点を整理する必要があるのではないかと思っていますので、今与党の御意見も色々とお聞かせいただいている状況です。与党の方でまだ最終的な案が出てきていないので、そちらの方とある程度足並みを合わせながら、こちらとしても法案の準備をしていかなければならんなと思っています。かなり現場では困っておられるという話を聞いていますから、時間的には何とか次の国会に間に合わせられればと思っていますが、なかなか参議院選挙がありますので、果たしてそこに間に合うかどうかということもあります。できる限り早く、問題に対して対応してまいりたいと思っています。

(了)