細川大臣閣議後記者会見概要

H23.08.30(火)10:46~11:18 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議、閣僚懇が終わりましてこちらに参りました。今日の閣議で菅内閣総辞職を決定いたしまして、私もそれに署名をしてまいりました。菅総理からは、これまでの菅内閣での閣僚の協力に対して謝辞がございました。また閣僚懇では、自見大臣から国民新党を代表するような形でこれまでの協力関係について謝辞がございました。そういうことで私も昨年の9月17日から厚生労働省の責任者を菅さんの方から指名されまして、続けてまいりましたけれども、今日でその区切りがついたということになろうかと思います。記者の皆さんにも大変お世話になりましたが、この間、震災などもありましたけれども、やはり厚生労働行政が上手くいくと、国民の皆さんの生活に直結いたしておりますので国民の皆さんの幸せにもつながるということで、私自身は全力を尽くして取り組んでまいりました。その間、大変皆様方にもお世話になりましたことを心から御礼を申し上げたいと思います。区切りがついて厚生労働省の外の立場で仕事をするようになったときには、約1年間の経験も活かしまして厚生労働行政に全面的にバックアップをして働かせていただきたいというふうに思っているところでございます。 あと1つご報告でありますけれども、有効求人倍率が発表になりました。ご報告をさせていただきます。7月の完全失業率は0.1ポイント悪化をいたしまして4.7%、有効求人倍率は0.01ポイント改善をいたしまして0.64倍でございました。現在の雇用情勢は依然として厳しい状況にあると認識をいたしております。今後は東日本大震災に加え、急激な円高が雇用に影響をするのではないかということで注視をしていく必要があると認識しております。東日本大震災についての雇用対策といたしましては『「日本はひとつ」しごとプロジェクト』の実施に全力で取り組んでまいりたいと思っております。私の方から以上です。

質疑

記者:
今ご挨拶がありましたが、大臣になられてからこれまでのおよそ1年間、成果と課題を挙げていただくと、どういったことになりますでしょうか。
大臣:
1つは、この約1年間の間で、1000年に1度というような大震災にみまわれたと、大津波、加えて原発の事故というのがございました。そういう意味で被害の甚大さというのは大変なものでございまして、被災者の皆さんに対しての救出、救援が厚生労働省としては大きな仕事でありました。また、復旧の関係では、被災された皆さん方が住むところがないというようなことで、避難生活を余儀なくされている方々に対しての支援というのが厚生労働省の仕事でございましたけれども、そういう意味では厚生労働省としては全職員が一丸となって対応していったということであろうと思います。また、原発の作業員の問題、特に被ばくの管理、健康管理に大変私としても神経をつかって力を入れさせていただいたと。そして、生涯にわたって健康管理をするデータベースも整えたというところが厚生労働省としての震災対応であったのではないかと思います。 その他では、社会保障と税の一体改革が成案を得まして閣議に報告をされたということがございます。国民皆年金・皆保険が実施されてからちょうど50年という半世紀がたちまして、その制度のほころびのようなものが生じている、それを改革しなければならないということは、先送りの出来ない、やらなくてはいけない改革でございまして、その改革の成案が出来たということ、そしてこれを工程表にしたがってこれから実行していくということが大変大きな課題であると思っております。 その他、B型肝炎の訴訟が継続しておりましたけれども、訴訟団との間で基本合意書が成立をいたしました。これは訴訟をされている方だけではなくて、未提起の方々も含めた全体的な形での合意ということでございまして、これは今まで日本ではなかった規模の大きさ、問題の深刻さ、いろいろな意味で最大級の訴訟事件でございましたので、これが解決ができたということについては非常に良かったのではないかと思っております。ただ、これから基本合意書に基づいて法案をつくって次の国会に提案をしていかなければならないという作業が残っておりますけれども一応の解決の目途がついて後は法案づくりとなってまいりますから、これは野党の皆さんからも協力をいただいて是非成立をさせていただきたいと思っております。 法律などについては、今国会では政府提出案では8本の法律が通りましたけれども、その中でも例えば求職者支援法については法案が成立して良かったと思っております。雇用保険と生活保護というセーフティネットがありますけれども雇用保険と生活保護の間に第2のセーフティネットをつくる、生活保護に落ちないあるいは生活保護から自立していくという求職者支援法という恒久的な制度が出来たということは非常に良かったと。今年の10月から実施をされますから、私はこの制度に非常に期待もしておりまして、この制度が円滑に運営されていくことを強く望んでおります。子ども手当の法案も来年3月までの子ども手当の給付についての法案が成立をして、その法律の中に来年の4月以降子どもに対する給付についての法律をつくるということになっておりまして、子ども手当が来年の4月以降恒久制度として日本の子ども達が健やかに育っていく制度をしっかりつくれたと思っております。いろいろ大震災などもありまして、給付の額についてはなかなか満足なものではありませんでしたけれども、また所得制限が入ったということでも、所得制限世帯に対して財政上あるいは税制上の手当をするということになっておりまして全ての子どもに対して何らかの給付がなされるという意味では子ども手当の子ども1人1人の育ちを社会全体で応援をしていくという理念は残ったものだと思っております。その他、改正介護保険法も成立いたしましたし、それから年金確保法案、10年遡って納められるという法案も成立いたしまして、これで最大1,700万人の方が無年金から年金がもらえるようになったり、あるいは年金の額が多くなったりするという法案も今国会で成立させていただいたということ、これは私としても国会の関係者の皆さんに大変感謝いたしてるところでございます。ご承知のとおり「ねじれ国会」という大変難しい国会の与野党の力関係ということになっておりまして、それに対して法案を政府が提案をしてそこで成立をさせていただくということは大変厳しい環境でありますけれども、そういう中でそういう法案が8本通ったということについては私としても喜んでいるところでございます。ただ、労働者派遣法については残念ながら今国会でも未だ成立をしていないという状況でございます。そういう意味では労働者派遣法を何とか成立をさせていただきたいという気持ちではありましたけれども、国会のいろんな状況の下でなかなか成立をしていないというのは大変残念に思っているところでございます。 あともう1つ、運用3号の問題がございました。この運用3号につきましては私の監督不十分という点があり国民の皆さんに大変ご迷惑をおかけしたということで大変申し訳なく思っているところでございます。これに対しては抜本的に法律によって解決をするということで審議会でも検討をしていただいて、その方向については既に法案の準備をやっている最中でございまして法案が出来上がり次第国会に提案するということで準備を進めているところでございます。運用3号問題が私の在任中で大変残念なことで、これを何としても私の在任中にきちっと解決をすべきと努力をしてまいりましたけれども、法案が出来上がった段階で国会の方にお願いをするということになりました。振り返ってみて大体そんな感想でございます。
記者:
民主党政権としては、政治主導ということを最初言っておられたと思うんですけれど、大臣は、官僚のみなさんとの関係、あるいは政治主導というあり方について、1年間を振り返ってご覧になるといかがでしたか。
大臣:
政治主導については、私は官僚のみなさんに政務三役が何でも決めて実行させるということだけではなくて、やはり官僚のみなさんの考えなりもよく聞くということも大事だと思っています。そういう中から、最後の決定はもちろん政務三役で決めていくということが政治主導だと思っており、私の考え方で1年間を進めてまいりました。そういう意味では官僚のみなさんとも意見の交換もわりとスムーズに出来たと私自身は思っておりまして、政務三役の考え方が官僚のみなさんにも理解していただく、あるいは浸透するといったことはわりとスムーズに行ったんではないかと思っています。
記者:
それから先程触れられました社会保障と税の一体改革、新体制でどう実現するかが問われていると思います。民主党の中には、消費税引き上げについて非常に慎重な意見もまだ根強くありまして、国の借金、次世代への先送りで社会保障制度がやっと維持されているというような現状への危機感があまりないように見受けられるんですけれども、今後、社会保障と税の一体改革をしっかりと実現していくためには、大臣としては何が必要だとお考えですか。
大臣:
私はこの間、社会保障と税の一体改革の議論をしてまいりまして、それについては、財務の関係をどう手当をしていくかということが大変重要な問題だったと思います。それについては消費税でしっかりやっていくということも、この成案の中にはありますし、そしてこれが進んでいくという風に思うのは、新しい総理が野田財務大臣でございますから、この社会保障と税の一体改革については、野田新総理は間違いなくしっかり進めていくということでございますから、ここは、厚生労働省も一体となってこれを進めていくと、特に工程表を着実にこなして、法律をつくっていくということが大事かと思っています。その時に国民のみなさんに出来るだけ詳しく色々とお話をさせていただく、国民のみなさんにお知らせをするということが大事だと思います。そういう工程表に従って、社会保障の改革を進めていく、それには、財源が必要だと、それを国民のみなさんに負担をしていただくということをこの法案を作る時など本当にあらゆる機会を通じて国民のみなさんに社会保障そのもののどういうところを改革していくのかということをよくお知らせをすることが大事だということを、説明して納得していただく。そしてそのためには、消費税の引き上げについて理解していただくということになろうかと思います。
記者:
大臣は今後、閣外でも協力していきたいとおっしゃいましたけれども、この社会保障の改革では今後どういったことをやっていくお考えでしょうか。
大臣:
これは多分党内あるいは国会でのいろいろな法案に対する対応というのが、これから大きな課題だろうと思います。そういう意味で、厚生労働省を離れましたら、民主党の中あるいは国会の中での対野党との関係などについて、色々と私なりに出来ることをしっかりやっていきたいと思います。
記者:
残された課題というので、福島第一原発の作業員の被ばく量限度が250ミリシーベルトですけれども、100にいつ戻すかということについて、大臣のこれまでのお考えと、いつ頃戻すべきか、関係の閣僚などと話しをしていくか、ということについてお伺いしたいんですけれども。
大臣:
これは、原発の作業員の被ばく限度の問題でありますけれども、今は緊急時ということで250ミリシーベルトになっております。これは、緊急時ということで限度を上げている訳ですけれども、私は、緊急時というのがいつまでも続いて、緊急時のままの250ミリシーベルトでいいかどうか、これは今検討しなければいけないと思っています。そういう意味で、今、第一ステップは終わって、第二ステップに入りました。そういう中で、放射線量がこれから第二ステップで作業するのにどういうような被ばく線量が高いようなことがあるのか、あるいは被ばく線量が高い場所はどういう所かというのをきちっと検証して、そこで被ばく線量について下げていくということを私はやらなければいけないんじゃないかと思っています。これは、食品安全委員会で、食品に対しての暫定の規制値についても、暫定ではなくて本来の規制値をどうするかということで今検討してまして、これも近々結論を出すような状況です。これも、いわゆる暫定でやっている訳ですね。だから、この緊急時の250ミリシーベルトも、この緊急時というのが、いつどういう状況が緊急時なのかということもよく検証しながら、時期的には、厚生労働省だけで決めるという訳にはいかないと思いますので、いろいろな関係省庁と調整もしなければいけないと思いますけれども、この秋には一定の結論を出さなければいけないのではないかと私は思っています。
記者:
昨日野田新代表が決まりましたが、大臣として野田新代表が決まったことの受け止めと、野田さんに対する期待をお聞かせいただきたいのと、当面は党役員人事、特に幹事長人事ということが焦点になっていると思うんですが、今回海江田さんに入れた小沢さんたちのグループの処遇も含めて、どういった人材を党役員に投入すべきか大臣のお考えをお聞かせ下さい。
大臣:
まず、人事に関しては、野田さんも挙党一致の体制を言われておりますから、そういうことで人事はされるのではないかと思っています。それから私が野田さんに期待するのは、やはり社会保障と税の一体改革についてはしっかり進めていくということでありますから、そういう点も期待したいし、それから代表選挙の中で問題になりました野党との関係、とりわけ子ども手当なども含む三党合意がありますけれども、三党合意についてどのような考えかということについては、野田さんはこれは公党間の約束であるからしっかり守っていくと。私も以前からみなさんの前でも、政権が代わっても三党合意は守らなければいけないと申し上げていましたけれども、この私の考えとまったく同じですから、そういう意味でも野田さんに期待したいと思います。野田さんが代表選挙の時に言われましたように、ノーサイドということで党内はしっかりまとめていただけると思いますし、またねじれの現象の中で、野田さんのあのぶれない姿勢といいますか、物静かではありますけれども、その中に秘めた芯の強さをしっかり発揮していただけると思いまして、私も期待しているところです。

(了)