長妻大臣閣議後記者会見概要
H22.9.17(金) 9:42 ~ 10:00 省内会見室
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 閣議と閣僚懇談会を終えてこちらに参りました。閣議では全閣僚が辞表を書いて提出を致しました。 私の方からは、一つはホームレスの方々の中で実は年金を申請すれば受給出来る方がいるのではないかと、こういう問題意識の下にかねてより調査をしておりました。今回のサンプル調査ですが、ホームレス自立支援センターに入所している方を対象に調査を致しましたところ、5名の方が御本人は気付かずに自立支援センターの方の指摘や周りの方の指摘で手続をされているという方がいらっしゃったということで、60歳以上の方が113人中で23人おられますので、その内の5人ということでありますと約2割の方という風になるのではないかということです。あくまでも機械的な試算でありますが、全国のホームレスの方が13,124人居られると、このホームレス調査も一部ネットカフェに泊まり続けている方や、そういう御自宅がない方がカウントされていないのではないかという御指摘もあります。これは外で寝泊まりをされておられる方でありますが、この13,124人の内、平成19年の調査では60歳以上の方の比率が42.1%ということでありましたので、仮に60歳以上の方が42.1%だとすると、5,525人になります。その方の内の約2割の方が年金が受給出来るのにそれを御存知なくて申請されていないとすれば、かける0.217で1,199人、約1,200人がそういう方が居られるのではないかということで、今後関係各方面にその事実調査を周知致しまして、声かけをしていただいて日本年金機構で確認をしていただくように、NPO団体も含めて呼びかけをしていこうと考えております。 もう一点ですが、日本年金機構の取引先の38社に対して通知を出させていただきました。これは今年の5月に日本年金機構が行った紙台帳とコンピューター記録の突き合わせ業務の入札手続について、社保庁OBの担当者、落札先企業に勤務をしておりましたが、そこに情報が漏洩する事態がございましたので、再発防止に万全を期すため私から指示を行い、通知を出させていただきました。主な取引先企業に対して社保庁、機構OBが在籍をする場合、機構の調達担当者と接触することが想定される業務には従事させない、または機構との入札に関わる業務に関与させないなど配慮するよう要請を致しました。今後入札に参加する企業に対しても入札の仕様書を配付する際に同じ趣旨の要請を行うこととしております。
質疑
- 記者:
- 昨日16日で政権交代から1年になりましたが、厚生労働大臣として1年間の実績をどのようにお考えかということと、やり残したこと、足りなかったことはどういうことか教えて下さい。
- 大臣:
- ちょうど9月16日で1年ということでありますが、やはり役所文化を変えるということで、中医協の人員構成、既存のレールに敷かれたものを変えて、診療報酬も10年ぶりにネットでプラスにして、中身の配分も変えました。あるいは消えた年金記録の問題については紙台帳全件照合ということでスケジュールも立てて進んでいるということであります。あるいは、省内事業仕分けを始めとする徹底的に無駄遣いを表に出していくということ、あるいはアフターサービス推進室やわかりやすい文書支援室、色々な組織を変えること、体質改善に取り組んで参りまして、局の目標、省の目標を立てるということもございました。もう一つは子ども手当ということで、御批判の声もありましたが必ずやこの政策は将来評価され、少子化の流れを変える政策の第一歩になると考えておりまして、もちろん現金だけではなくて現物支給についても取り組んでいくということであります。いずれにしましても、今まではある意味では自動運転と言ってはなんですが、役所の官僚が作ったルールで役所が運営されてきたということでありますが、政権交代後は政治が作ったルールで役所を運営すると、こういう前提で取り組んで来ていると、それが引き続き続いていると認識しています。
- 記者:
- 昨日、党役員人事が固まりまして、この人事が鳩山前総理らが求めていたトロイカ体制から決別したことを表すという評価もありますが、今回の党役員人事について大臣の評価はいかがでしょうか。
- 大臣:
- 今日11時から両院議員総会があるということです。私も野党時代、菅総理が民主党代表の時に岡田幹事長だったということで、その時に岡田幹事長が適切な差配をされ、菅代表を寝食を忘れてと言っても過言でないくらい支えるというようなことを端から拝見をしておりました。そういう信頼関係、過去の実績が今回の人事に繋がったのではないかと思いますし、岡田さんはどのグループにも所属をしていないということで、党内隅から隅まで目配りをした幹事長職を全うできるのではないかということで、私は非常に期待しておりまして、非常に良い人事ではないかと考えています。
- 記者:
- 今日このあと大臣が留任されるのか分かりませんが、この1年を振り返って「ここはもう少しこうした方が良かったな」という反省点がありましたらお聞かせください。
- 大臣:
- 一つ力を入れておりましたのは、「少子高齢社会の日本モデル」について議論をする枠組を作って、一定の既定路線としていくということが日本国にとっても重要な問題だと思っております。この問題について参議院選挙が間近に迫っていたという事情もあり、消費税議論と結びつく懸念もあったと思います。全省庁を挙げて官邸の中心でそういう議論をしたいと思っておりましたが、これについてはねじれ国会になりましたので、今後野党も早い段階から引き込んでそういう場を設定して、きちんとした議論、そして将来の消費税については「こういうレベルにすればこれだけの少子高齢社会を克服出来る日本モデルが出来る」あるいは「消費税がこういうレベルであれば少しはこうなる」というものを示すことが次なる大きな仕事になるのではないかと思います。環境、特に参議院が変わりましたので今後はそこを強力に推進して行くことが重要だと思います。これは年金改革も同じようなことで、野党と年金については初めから議論の場を設定して、議論を進めて行きます。当然財政当局も初めからそこから入って議論を進めて行くという二つの大きな事について、今後進めて行くことが必要だと思っております。
- 記者:
- 差し支えない範囲で結構なのですが、今日の閣議、閣僚懇談会で菅総理からどのようなお話があったのか、もしくは大臣からどういう発言があったのかお聞かせください。
- 大臣:
- 今日はすぐに終わりまして、特に閣僚からは発言はありませんでした。菅総理からは全閣僚に対してねぎらいの言葉があり、短時間で終了いたしました。
- 記者:
- この1年の取り組みに関連して伺いますが、医療と介護の一体的な見直しということですが、政権交代直後から国民会議のようなものを立ち上げて、2012年の同時報酬改定について大きな議論をしていきたいという話だったわけですが、結局会議の場が立ち上がらず、今、介護の方はすでに議論が始まっていて、介護ビジョンもきちんと示されていないわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
- 大臣:
- これについては概算要求の中で、「少子高齢社会の日本モデル」ということで省内で有識者を呼んで省内限りの議論ですが、そこで何度も議論を重ね、一つのキーワードとして参加型社会保障、ポジティブ・ウェルフェアということでその筋で介護に関しても一つの事業所で訪問介護、訪問看護が出来る、あるいは24時間型の循環訪問支援ということも概算要求に入れさせていただきました。あるいは、医療についても後方支援について診療報酬を付け、療養型ベットの廃止に伴う調査もいたしまして一定の方針を打ち出すということで介護について、特に在宅についての支援を強化をしていくことを今回の概算要求の中に一部盛り込めたと思っております。トータルの議論としては先ほど申し上げた「少子高齢社会の日本モデル」の中で議論をし、丁度2年後にある医療と介護報酬の同時改定に活かしていくということです。痰の吸引、胃瘻の処置については今有識者で御議論いただいて、必要に応じて法的処置をとって行くことで考えております。
- 記者:
- 役所文化を変えられたと思っておられるか、また、壁になったと感じられた部分、ここは風穴を開けられたという部分がありましたらお聞かせください。
- 大臣:
- まだ過渡期でありますが、前に比べるとかなり変わって来たと思っております。初めは政務三役とも話しておりますが、本当に1時間おきと言ってもいいくらいびっくりすることが毎日いくつもあり、それについて一つ一つ「細かい」とも言われながらもそれを是正するようなことをして参りました。一過性に終わらないようにするために新しい組織や、必要に応じて新しいプロジェクトチームを立ち上げて組織の中に埋め込んでいくと、これも一つ一つ取り組んでおります。今は情報についても一定のものが政務三役に上がる、あるいは我々が指示したことや、将来のビジョンに対する打ち返しがある、あるいは危機管理にいたしましてもこの間いろいろな危機管理がありましたが、それに対しても一定の対応が出来るという形になってきております。やはり、一番の本丸は先ほど申し上げた役所、政府全体、内閣一体となった「少子高齢社会の日本モデル」、特に財政をどうするのか、安定的な財源とビジョンを野党を含めて大きな枠組で議論をして、着地をさせていくという大仕事に向けて役所文化の一定のものが変えられたのではないかと考えております。ただ、まだまだ批判が強いのが天下りの問題と、無駄遣いを自ら削るということについては抵抗感を持っておられる方も多いので、そういう問題を徹底的にやることこそが厚生労働省の大きな力になり、社会保障を推進するための国民の信頼を得るということで非常に大きな力になるのだから、これは絶対重要だということを一年間繰り返し申し上げて徐々にそういう意識を持つ官僚も増えております。特に7月末の人事以降そういう意識を持つ方が増えて来たのではないかと考えております。その意味で役所文化を変えるというのは今後も明治維新以来の話ですので、取り組みを続けなければならないと思っております。
(了)