長妻大臣閣議後記者会見概要
H22.8.27(金) 14:03 ~ 14:32 省内会見室
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 今日は午後になってしまいまして申し訳ありません。今日午前中に閣議、閣僚懇談会、かなり長時間にわたりまして、その前後にもいろいろな会議がございまして今こちらに参りました。私から何点か手短に報告いたしますけれども、まず一つは、今日閣議決定をされた厚生労働白書についてということで、これは近々に本屋さんに白書が並ぶと思います。発言要旨を配らせていただいておりますけれども、少子高齢社会を克服する日本モデルと厚生労働省改革元年、そして参加型社会保障ポジティブウェルフェアと、参加は四つあると、労働、地域、社会、健康な暮らしというような考え方、そして社会保障と経済成長はトレードオフの関係ではないということ、成熟社会のインフラは参加型社会保障だということ、その前提として生活者の立場にたつ信用される厚生労働省でなければならないということ、国民の声を宝の山ととらえる、税金の浪費を自ら削る省内事業仕分け室、あるいは人事評価基準の改定、あるいは「わかりやすい文書支援室」、「アフターサービス推進室」等々の新規施策の実施、組織の設置、ハローワーク、年金事務所のサービスコンテスト、こういう新たな取り組みについても記述をさせていただいております。初めて厚生労働省の目標、部局ごとの目標を職員とともに立案したので、それについても白書で書かさせていただいたということでこれまでにない白書になり、特にコラムという欄があるわけで具体的な全国の事例、あるいはコラムという欄以外にも具体的事例、現状把握ということでかなり記述をしたつもりであります。これまで聞きましたらコラムというのは業者に任せて書いてもらっていたということでありまして、これは本当勿体ない話だと思いますので、これは職員が直接良い事例を自分で見て聞いて書くというような形で直接コラム、実例、良い事例を広く紹介するという白書になっているところであります。日本の一日あるいは日本が100人の国民だったらというような具体的イメージも明らかにするような白書になったんではないかと考えているところであります。 そして、その次に有効求人倍率、今年の7月の値でありますが、これは季節調整値で0.53倍でございまして前月の0.52倍を0.01ポイント上回ったということで数字上は若干の改善でありますが、これは現下の雇用失業情勢は持ち直しの動きが見られるものの依然として厳しい状況にあるというのが我々の判断でありますので、今後とも雇用政策等々手を緩めることなく実行していくということであります。 そしてもう一つは、独立行政法人の理事長人事が閣議口頭了解されました。独立行政法人労働者健康福祉機構の理事長が9月30日付で辞任をされるわけでありますので、その後任の公募をいたしましたところ、その選考を経て東京大学医学部付属病院副病院長の名川弘一さんを10月1日付で任命をするということが了解いただけました。 そして閣議の前に開かれました行方不明の高齢者の件でありますけれども、これについても既にブリーフをさせていただいたと聞いておりますけれども、三つの調査結果が出ましてそれをご報告申し上げるということ、そして今後の対策といたしましては、後期高齢者医療制度が今ございます。これは国保と異なりまして1700の市町村がやっているものではございませんで、保険者は47都道府県ということで国保に比べると保険者の数は少ない広域連合ということであります。その広域連合の皆様方にお願いをいたしまして、そこで76歳以上の方の医療情報を頂けることとなりました。76歳以上で1年間1度も病院にかかっておられない、これは歯医者さんも含めるわけでありますので、そういう方々は我々の統計上非常に少ないという統計がありますので、そういう方々をピックアップして年金受給者については現況届をお出しして確認をしていくと、現況届が戻ってこなければ一定の要件で年金を一時差し止めるというような考え方をとってまいりたいというふうに考えております。いろいろな準備等手続き等もありますので、遅くとも平成23年2月の定期支払いにおいて年金支給を一時差し止めるというような先程の要件の方については対応をしていきたいというふうに考えております。今年度は臨時的な緊急的な対応ですけれども、来年度は予算措置をしておりまして、毎年こういう確認をする必要があるということで23年度予算から予算計上をさせていただいているところであります。そして、この地域福祉計画でありますが、これはある意味では各都道府県及び市町村に策定を求めているものでありますけれども、ある意味では高齢者も含めた見守り事業というものも含まれます。ただこの地域福祉計画の策定が半分くらいの市町村、自治体しか策定をされておられないというようなことがございましたので、関係自治体ともよく協議をした上でこの計画内容を点検、見直し、策定をお願いするようにということで改めて8月13日に通知を発出しました。これは高齢者の孤立ということでございます。ご家族の無関心ということも一定程度明らかになりましたので、行政的な対応をしていくという観点からこういうお願いをしているところであります。そして今後といたしましては、それ以外としては満100歳を迎える方への記念品贈呈事業をしておりますので、かねてから申し上げておりますけれども各自治体にお願いをいたしまして、各自治体全てにおいて100歳を迎えた記念品贈呈者に対しては直接面談してお渡し願いたいと、その結果をお教え願いたいということで9月中旬に調査結果がくるようなタイムスケジュールで取り組んでます。そしてもう一つは、それぞれの自治体で最高年齢者男女各5名に対する本人面談もお願いしておりまして、対象は都道府県、政令市、中核市であります。これについても同じ時期に調査結果がくるような予定にしておりますので対応をしていきたいというふうに考えております。 そしてもう一つは、インフルエンザでありますけれども、本日新型インフルエンザの対策本部が開かれまして私が報告申し上げましたのは、WHOが8月10日に新型インフルエンザについてポストパンデミック状態に移行しているというような話がありましたので、それを受けた報告をいたしました。国内においては、感染症法というのがございまして、これに基づいて今の状態が新型インフルエンザ等感染症と認められなくなった旨の公表というのを今年度末、来年3月末を目処に公表をしていこうと、そして通常の季節性インフルエンザの対策に移行していこうというふうに考えておりまして、そういう報告をさせていただいたところであります。同時に鳥インフルエンザの今後危機管理というのは改めて言うまでもなくこれまでもずっと重要だったわけでありますので、それについても怠りなく取り組んでまいりますというような報告をさせていただいたところであります。私からは以上です。
質疑
- 記者:
- 85歳以上の年金受給者のサンプル調査の結果が出ましたが、770人中、死亡または行方不明の可能性のある方23人に年金が支払われており、その推計が800人程度行方不明のまま年金を受け取っている可能性があるということで、この結果についての受け止めと、対応についてお聞かせください。
- 大臣:
- 現況届を出している方でかつ85歳以上という方々が母集団の中の、770人についてのサンプル調査結果です。23人の内訳としてはお一人はお亡くなりになっているのに現況届がこちらに返送されて来ているということは、問題が大きいのではないかということで、今後警察とも相談をして対応いたします。あとの22人の方は行方不明ということです。この23人を分母と比較しますと3%ということで、85歳以上の現況届けを出していただいている方々が、推計2.7万人ですので3%というと800人程度が所在が確認出来ないという方で、年金を受給されているということになります。こういう方々が一定程度おられるという実態が分かりましたので、先ほど申し上げましたような後期高齢者医療制度の広域連合の医療情報を使いまして、まずは今年度に速やかに確認をしていくということです。
- 記者:
- 死亡の一人の方については警察とも連絡とおっしゃられましたが、刑事告訴も視野にいれているということでしょうか。
- 大臣:
- 必要があればそういう措置も取るということです。
- 記者:
- 民主党の小沢前幹事長が代表選に出馬するということで、改めてこの件についてどのように受けとめていらっしゃるか、それと現時点で支持される方、そしてその理由をお聞かせください。
- 大臣:
- 代表選挙が党員サポーター選挙ということで、任期途中でしたので今までなかなかなかったわけですが、これは国民の皆様方に民主党の政策、国家ビジョンを改めて御理解いただく一つの機会になればありがたいと思っております。やはり、国家ビジョン、理念、政権交代後の国の行く末を堂々とそれぞれの候補者が徹底的に論戦をする、それは理念であり、政策であるべきだと思います。そういう論戦をし、所属議員もそれに参加をし、吟味をし、そして改めて政権交代後の民主党がどうあるべきということを一人一人議員がしっかりと考えるということになると思います。そういう中で私自身は菅総理を支持いたします。政権交代後の仕事というのは二つの文化を変えることが必要だと考えております。一つは古い政治文化を変えていく、もう一つはこれまでずっと既存のレールにしかれた、役所文化を変えていくことが何よりも重要だと考えております。それについて菅総理は、市民運動をやって大きな組織のバックなく就任したこと自体が政治文化を変える第一歩ではないかと思います。そして、厚生大臣として薬害エイズ問題などに取り組まれたということで、これが役所文化を変える第一歩ではないかということです。それぞれ菅総理は自負を持ってこれからそういう文化を徹底的に変えていく、国民の皆様の立場に立つ政治文化、役所文化にしていくという決意を持って闘っていただけるものだと思っておりますので、それが理由です。
- 記者:
- 高齢者の問題で、結局サンプル調査でも22人が行方不明と詰め切れなかったということがあると思いますが、今後調査を続けていって、訪問してもどうしても詰め切れないことがあると思いますが、その辺の難しさを今後どうしていこうとお考えかということと、それを踏まえて、各市町村ですとか総務省とかその辺りとどのように連携していこうとお考えでしょうか。
- 大臣:
- 詰め切れないというお話ですが、基本的に年金でいうと行方不明、つまり、所在がなかなか確認出来ないという場合について、年金受給者については一時年金の支給をストップします。当然御存命でまた確認出来れば未払いの分も含めてお支払いするというのは当然のことです。そういう対応をきちんとしていくということで、確認がどうしても出来ない方について、現況届けという一つの書面で証拠が残るような形にして、それも期日がないという方についてはそういう対応をしていくということです。そして、自治体との連携というのは、年金以外の見守りでは地域福祉計画を自治体が主体となって立てていただくということですが、半分の自治体しかお立てになっておられないということで、更に自治体ともコミュニケーションを深めてお願いをしていこうと思います。これは総務省にも事務方経由でも申し上げているところで、今日も原口大臣からも総務省としての対策を発表されたわけです。あるいは百歳の記念事業や、自治体からも情報をいただき、今回も3つの調査の中で81の自治体から271人の行方不明者の情報が提供されました。その中で25人が年金を受給されていることが我々の調査でも分かりましたので、今後とも自治体との連携を密にして、年金、そして孤立について厚生労働省として取り組んでいきたいと思います。
- 記者:
- 民主党の代表選についてお伺いします。菅首相を支持する理由は分かったのですが、逆に小沢さんを支持しない理由があれば教えていただきたいのですが。
- 大臣:
- 二人を支持するということは出来ないわけですが、やはり、それぞれ信念を持って、それぞれの政治スタイル、キャリアを積んでこられた方だと思っております。ただ、従来の政治文化、役所文化を変えるという観点から私としては菅総理を支持していきたいと思っております。今後はもちろん今喫緊の課題である円高、デフレ、株安対策についてもいろいろな議論が出てくると思いますが、そういう議論と同時に根源である今の文化を変えていくという視点も非常に重要ではないかと考えております。
- 記者:
- 小沢さんに対しては「政治とカネ」の問題を巡って、今回の出馬にあたり批判も出ているのですが、このような状況をどのように御覧になっているでしょうか。
- 大臣:
- 今後そういう立場になると、今以上に会見の機会が増えていき、記者の皆さんも含めて質問されると思いますので、本人の信念に基づいてどこまで説明をされるかは御本人の判断だと思いますが、それを国民の皆様がどう評価するかにつきると思います。
- 記者:
- 「少子高齢社会の日本モデル」なのですが、大臣は当初6月か7月頃にたたき台を示して、一年ほどかけて議論をしていくという話だったのですが、この公表が遅れている理由と今後の見通しをお聞かせください。
- 大臣:
- 基本的には白書にもたたき台を載せさせていただいおり、概算要求でも「少子高齢社会の日本モデル」の第一歩だという形で出させていただいております。ただ、当初はこのたたき台に基づいて、かなり大がかりな有識者を含めた会議体を設置することを考えておりました。ただ、その時に厚生労働省に設置をするのか、あるいは財源の問題が深く関わる話ですので、官邸サイドが全体をカバーする形で設置するのかということで調整をしていたところです。ただ、参議院選挙、今度の代表選ということでスケジュール的に設置の検討が続いている段階です。ただ、厚生労働省としては今も精力的にいろいろな有識者の方を個別にお呼びして、その詰めを鋭意行っているところです。私も申し上げているのは、やはり、今後国の社会保障の姿を示して、「これだけの社会保障であれば、これだけの御負担です」と出来る限り国民の皆様が選択出来るような形で議論をしていきたいと思います。そしてもう一つは参議院選挙で予想以上の議席減となりまして、野党との予めの協力が必要になる事態になりました。そういう意味で会議体の設置というのも、初めから政府でやるのか、あるいは一定程度野党の皆様と連携した会議体がいいのかについても慎重に判断しなければいけないということです。
- 記者:
- 白書についてなのですが、今回刷り直しなどもあってコストがかかっていると思いますが、これまでとどのくらいコストが違うのか、またコスト意識などについてお聞かせください。
- 大臣:
- 従来の白書というのはほとんど政務三役が見ずに作っていました。従来の白書よりは厚いですし、逆に言えば中身は充実しております。値段については一定程度反映して、そこで回収する考え方です。そういう意味で値段も3千円を超えない、それも高いと言われるかもしれませんが、前の白書と大幅に異なるわけではありませんので、コストを吸収出来るような値段で提供出来ていると考えております。
- 記者:
- 高齢者の不明問題で、今回明らかになった住民基本台帳ネットワークの情報が当てにならないということだと思いますが、75歳以上は医療情報と突合していくということですが、74歳未満についてはどのように対応して行くのかということと、正確性を期すために自治体や総務省と何らかの改善策を打っていくのかについてお聞かせください。
- 大臣:
- 我々も総務省にいろいろな要望を出しております。今おっしゃっていただいたように住基ネットの正確性は言うまでもないことです。それは総務省で自治体と協力して対応していただくということです。75歳以上の対応ですが、今後とも不断の実態把握をするということです。今死亡届も御本人が届けていただかなければ、お一人お一人生存を確認するということになると行政コストも膨大になります。あるいは行方不明ということについても、それを随時吸い上げるような仕組みだと非常に大がかりな話になると思います。いずれにしましても、それ以外の年代の方々についても今後実態把握をして、対応が必要であれば対応をしていきたいと思います。医療情報でいうと保険者の数が格段に増えていくということもありますが、今回は81自治体から、271人の行方不明の100歳以上高齢者の情報を上げていただきましたが、こういう情報についても自治体が把握をしたら、厚生労働省にその情報が上がっていく恒常的な仕組みも議論して行きたいと思います。
- 記者:
- B型肝炎訴訟の和解協議についてですが、本日閣僚会議を行われたと思いますが、その結果はどういう形になったのでしょうか。
- 大臣:
- B型肝炎につきましては、政府全体、内閣全体として大変重要な問題であると思っております。早くこの問題を解決しなければならないという思いは共有させていただいているところです。その中で札幌地裁の和解協議が進行しておりまして、次回9月1日ということで、一定の枠組の中で政府の見解をお示ししていこうと考えております。それについて今日9月1日の骨格提示案が確定したわけではありませんので、議論をぎりぎりまで詰めて、本当に良いものを出していきたいということで協議をするということです。今日の議論を受けて事務方が作業をして、そして、9月1日に間に合うように確定させていくということです。
- 記者:
- 再度閣僚が集まる機会はあるのでしょうか。
- 大臣:
- 今日は次回の日程を決めたわけではありませんが、必要があればそういうこともするということです。今のところはまだ決まっておりません。
(了)