長妻大臣閣議後記者会見概要

H21.12.8(火) 10:38 ~ 11:10 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日の閣議ですが、経済対策ということで、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」というタイトルのものが閣議決定されました。一番最後のページに規模が書いてありますが、国費ベースで7.2兆円、事業費規模で24.4兆円ということです。基本的には「雇用」という部分と「生活の安心確保」という部分、そして「国民潜在力の発揮」という規制を緩和するなどの部分に厚生労働省の分野があるということであります。 雇用については、概要だけ申し上げますと、緊急対応として、雇用調整助成金の要件緩和ということで、今までは300人以下の中小企業に限定をした規制緩和を12月2日から実行しておりますが、今度は新たに中小企業だけではなくて、それ以上の規模の企業についても「前々年比10%以上減」という要件緩和をしまして、今月それを施行するということになりました。そして、「貧困・困窮者支援の強化」ということで、これは色々メニューもございます。ワンストップ機能の充実をするということで、ハローワークに「住居・生活支援アドバイザー」を設置するというようなことも強力に推し進めるということになりました。そして「新卒者支援の強化」ということで、ジョブサポーターをさらに増員する等々、新たな中身としては、制度要求ですが、新卒者が1ヶ月の体験雇用をいただいた事業主に対して8万円を支給するなどの対応もとることとなっております。そして、「緊急雇用創造の拡充」ということで、これは従来からある基金を活用しまして、介護、医療、農林、環境、エネルギー分野、観光等もございますが、新規の雇用創出をした場合にその事業に対して助成をするというようなものも盛り込んだわけであります。そして、「保育サービスの拡充」ということで、女性の就労支援ということでありますが、地域の余裕スペースの活用ということで、認可保育園の分園を促進するということでありますが、公民館や公営住宅の空き部屋、学校の余裕スペースなどを活用する取り組みといったことも入れております。そして、「成長戦略への布石」ということで、雇用・生活保障システムの確立ということでありまして、「雇用保険制度の機能強化」、あるいは「雇用戦略の本格的推進」ということで取り組んでいくということであります。 もう一つのカテゴリーである「生活の安心確保」に関しまして、厚生労働省分野でありますが、「現行高齢者医療制度の負担軽減措置」は継続をしていきます。新型インフルエンザ対策でございますが、国産ワクチンの生産能力の向上というのは喫緊の課題であると考えておりまして、今回の新型インフルエンザ対応だけではなくて、鳥インフルエンザに対する対応も怠りなくしなくてはならないという趣旨であります。そして、これまでは優先接種の方に対する低所得者への助成の措置だったわけでありますが、今度は優先接種以外の低所得者に対する接種費用の助成というのもしていこうということであります。そして、「医療体制の整備等」ということで、「大学病院の機能強化」や「医師不足解消への取組」、「難病克服に向けた研究推進」等についてこれからも強力に推進をしていきます。 厚生労働省分野では、「国民潜在力の発揮」ということで、その中で制度・規制改革ということで、「幼保一元化を含めた保育分野の制度・規制改革」ということでありまして、幼保一元化というのはこれまでも言われてきた課題でありますが、これについては平成23年度の通常国会に所要の法案を提出していくということで、その前段として平成22年前半を目途に基本的な方向を定めていこうということであります。後は「働く人の休暇取得推進プロジェクト」ということで、中々ローテーションが組めない等の事情で有給休暇を取りにくい状況が日本企業にありますので、それを取りやすくしていくということです。これはワーク・ライフ・バランスやワークシェアリングの推進の観点というのも趣旨としてありまして、そういうような事業として今日閣議決定がされました。 さらに、介護の分野を私どもは非常に注目しております。有効求人倍率が1以上ということで、介護分野に対して失業者の方々が就職をしていただき、生きがいを持って働いていただくということも重要であると考えておりまして、12月14日の週のうちの1日を「介護就職デイ」として、全国のハローワーク約400カ所ですが、介護分野の就職面接会や事業主の方々と介護分野への就職に御関心のある方々がマッチングをする説明会を全国のハローワークで実行していこうと考えております。また、東京労働局主体で12月19日土曜日には厚生労働省の講堂で、締めくくりとして、「介護就職デイ」の最終日の就職面接会というのも開催を致します。これは介護の体験が実際出来るようなスペースやそういうセミナーなども考えているところでありまして、全国的な規模で集中的に介護分野に限定した就職面接会を開催するというのは初めての試みでございますが、これに対するマッチングというのも強力に推進していきたいと考えております。 そして、今日、藤井財務大臣からお話がございましたのは、税収見込でございますが、当初は46.1兆円の税収見込みがございました、しかし、この景気低迷等の要因もあり、36.9兆円の税収見込みとなり、当初の見込みより9.2兆円の税収減という大変厳しい状況であるということです。公債の発行につきましても、一次補正後44.1兆円でありました発行額が、二次補正後に53.5兆円になる見込みであると報告がございました。9.4兆円の増加ということであります。この第二次補正につきましては、12月15日の閣議で決定する見込みであるという報告もございました。いずれにしても大変厳しい財政状況でございます。限られた財源の中で私としても知恵を絞って国民の皆様方が望む政策を実行していきたいと考えております。

質疑

記者:
診療報酬改定の議論が山場を迎えつつありますが、政務三役で改定の基本方針を近く示されると伺っています。現時点でのお考えについてお聞かせ下さい。
大臣:
政務三役、あるいは役所の方で議論をしておりますが、具体的に粗々の数字の積み上げを我々も持って交渉に当たっていこうということで、その数字の具体策について議論をしているところでありまして、まだ二次補正が決定されておりませんので若干の時間はあると思います。その中で、来たるべき交渉に備えて議論をしている段階であります。
記者:
総額でプラスにしていくという方針に現時点で変わりはないでしょうか。
大臣:
これも国会でも答弁をしておりますが、総額で、ネットでプラスという考え方には変わりありません。
記者:
昨日、仙谷行政刷新担当大臣が事務次官制度の廃止の検討について言及されましたが、大臣はこの役所をグリップされている中で、事務次官の役割をどう評価されているのか、今後とも必要なポストだという認識があるのか、この辺の考えを聞かせて下さい。
大臣:
政権交代を致しまして、大きい改革としては事務次官会議がなくなったということで、これまでは事務次官会議という「関所」を通った案件以外は閣議にかからないという非常に官僚主導の象徴的なことがあったわけでありますが、それが無くなったということで、確かに事務次官の役割をどう位置付けるかというのは新たな視点が必要だという認識は私も持っております。その中で具体的にどうするのかというのは内閣全体の話だと考えております。厚生労働省では事務次官をトップとする「ムダ削減・業務改善チーム」というのを設置をして、今も機能しているところでありまして、ほぼ連日事務次官をお呼びをして、進捗状況の報告をいただいたり、業務改善に対する課題がないのかを報告してもらったりということが、ある程度は機能していると考えております。もう一つ大きな今後の仕事と致しましては、仙谷大臣、行政刷新会議からも提示がありましたが、横串で見ていって欲しいということで、事業仕分けというのはある意味ではサンプル的に事業をピックアップして仕分けをしていただいたということでありますが、そこで見えてきた問題点というのが他の事業にも当てはまらないのだろうかということで、10項目以上のポイントをいただいております。それに関して、厚生労働省でも、私どもが前から言っている「HAT-KZシステム」というのも申し上げておりましたが、そういうこととダブるものもありますので、それを一つ一つ精査をしていく中で、事務次官をトップとしたチームというのが実態把握という面で機能をし始めておりますので、そういう形での事務次官に御協力いただく体制というものを、試行錯誤の中ですが取りつつありますので、そういう事例も報告しながら内閣の中で議論を深めていく必要があると考えています。
記者:
経済対策についてですが、決定までには亀井大臣がかなり強行に上積みを求めまして、決定が先送りされたという状況もあるのですが、一部で亀井大臣が混乱を招いているのではないかという指摘もありましたが、これについてはどのように受け止めておられますか。
大臣:
連立政権でありますので、議論がスッススッスと進むのが必ずしも良いというわけではないと思っております。間違いがあってはならない重要な予算、第二次補正でありますので、そういう意味では色々な方の御意見を建設的に戦わせていただいていると考えております。その中でそう時間をかけずに今日決定をしたということでありまして、景気浮揚に対する観点というのもこの中にありますし、それだけではなくて、規制緩和等によるお金をかけない案件というのもあるわけでありますし、「成長戦略への布石」という項目もあるわけであり、より良いものになったのではないかと考えております。
記者:
障害者週間が今日までだったと思いますが、「障がい者施策推進本部」の立ち上げと大臣としての取り組みについてお聞かせ下さい。
大臣:
この推進本部につきましては、基本的には今月中に開催をしようと考えておりまして、その本部の中に障害者の方々、当事者御本人も入っていただいた形で議論の場を設置しようということでありますが、障害者御本人が入った議論の場は年明けになると思いますが、対策本部自体は今月中に開いていこうと考えております。
記者:
税収の報告があったということですが、税収がこれだけ厳しい状況の中で、選挙の当時と外部環境が変わったと言えると思いますが、それでもマニフェストは全部断行していくのか、それとも税収に合わせて何らかの柔軟な対応が必要なのか、そのあたりについて現時点でどのようなお考えをお持ちでしょうか。
大臣:
先程も申し上げましたように、当初見込みより9.2兆円も税収が下がるということは、税収が下がるというのは予想がつきましたが、ここまでの落ち込みというのを必ずしも予想していたというわけではありませんので、そういう意味ではお金の使い方を効率的にするという前提で、ただサービスの水準は一定に保った上で、効率的にお金を使うということで我々の政策を推進していきたいと考えております。後は政府税調も長浜副大臣に出席をしてもらい議論を進めておりますので、その中での議論で、国民の皆様が御理解いただくような部分については税収を上げる努力もしなければいけないと思います。いずれにしても、大変制約のある中で厳しい状況でありますが、国民の皆様方の期待に応えるような政策を工夫して実行していくというのが基本的な考え方です。
記者:
お金の使い方を効率的にするということですが、子ども手当の財源については、全額国費負担ということにお変わりはないのでしょうか。
大臣:
当初から、概算要求ベースで見ていただきますと、国費負担という形で事項要求という形ではなく、具体的な金額を入れて要求をさせていただいているのが今の基本的な立場です。
記者:
関連してですが、昨日、福島大臣が、長妻大臣のところに訪問された後の福島大臣のぶら下がり会見で、事業主負担と、自治体負担はそのままで、その上に上乗せするという形だと言って、カメラのあるところで「長妻大臣とそれについては意見は一致した」と言って、今度カメラのないところで確認をしたところ、「それはやっぱりそうではなくて、それは私の考えだ」と否定されて、結局のところよく分からなかったのですが、大臣は現時点で福島大臣が言うように、自治体負担と今までの事業主負担の上に子ども手当を持って行くのか、福島大臣の話では全額国費ということではないというニュアンスに聞こえたのですが、長妻大臣の現時点でのお考えをお聞かせください。
大臣:
基本的な私の考え方というのは、概算要求でもはっきり示しましたが、全額国費でお願いしたいということは変わっておりません。ただ、いろいろな制約要件の中で、例えば、保育所の運営に対する国費の関与というのを、来年度に直ちに無くすといういうことと、地方負担を今の負担の範囲を超えない範囲で御負担いただくという、究極の二者択一でどちらだという制約条件が仮にあるとすれば、それは国が責任を持って来年度は保育所の整備をするという計画も立てておりますので、来年一月の少子化大綱もあり、地方に現行の負担を超えない範囲内でお願いするというのがギリギリの選択ではないかということを申し上げております。初めから国費でないということではありません。
記者:
大臣の国費という考え方になりますと、今、児童手当で地方自治体、事業主が負担している分はどうなるのでしょうか。
大臣:
当初の考え方では財源の使途は、子ども手当には充てずに、国費にするということで、そこはどういう形に財源をするのか、議論の余地が出てくるのではないかと思います。
記者:
福島大臣は、今、大臣がおっしゃったようなお考えで、原口総務大臣は保育所の運営費に充てるということですが、福島大臣と共闘して原口大臣を説得するお考えはないのでしょうか。
大臣:
共闘というか、皆同じ内閣の一員である国務大臣でもありますので、私も厚生労働分野にも責任を持つし、国家財政全体の共同責任も持っておりますので、よく議論をしていくということです。まだ、第二次補正も決定しておりませんので、本予算、概算要求の話ですのでそういうレベルでの議論をしていき、さらに、国家戦略担当大臣、これは主要マニフェストを調整する役割だということですので、菅国家戦略担当大臣とも相談、連絡をしながらまとめて行くというプロセスを辿ると思います。
記者:
いろいろな制約要件という話がありました、税収の落ち込みも制約要件の一つとして考えられるのですが、所得制限についてお聞きしたいのですが、現時点においては設けないということは譲れないというところでしょうか。
大臣:
私の考えとしては、子ども手当は社会でお子さんを育てる費用をみていこうということで、そういう考え方の下で立案したものですので、私としては所得制限というのは考えていないということです。
記者:
本予算の決定プロセスについてですが、大臣がもしお話をする場合に、菅大臣とするイメージなのか、藤井財務大臣とお話するイメージなのかどのようなところと交渉するイメージなのでしょうか。
大臣:
基本的に私が理解しているのは、マニフェストでも大きな案件、例えば、子ども手当については、菅大臣とまず話すという認識です。それ以外の案件については藤井大臣と言いますか、財務省と調整をしております。今も日々、事務方同士では調整を続けているところですが、まだ政治判断のところまでは上がって来ていません。繰り返しになりますが、まずは第二次補正を決めることが先決であると考えております。
記者:
別件で新型インフルエンザについてですが、カナダに派遣された調査団が帰国しているのですが、現時点でどのような報告を受けていらっしゃるのかという点と、特例承認に向けた見通しをお聞かせください。
大臣:
これについては、昨日、報告書をまとめ、本日の午後に事務方から詳細な御報告を皆様にしようと準備をしているところです。昨日の時点で私が聞きましたのは、カナダ政府、あるいは向こうの工場、関係各社にヒアリングをして調査した結果、特定のロットについて通常よりも高い副反応が出たという報告でした。そのロット以外の部分については接種も同様に続いているということで、特定の部分が問題だったのではないかという見解を、ある程度裏付けのデータも取って、カナダ政府の見解として日本も受け止めるという報告でした。ただ、昨日の時点で私が受けた報告では、その副反応が通常のロットよりも高く出たロットの何が問題であったのか、その部分についてはカナダ政府もまだ把握をしていないということです。日本の調査団もいろいろなデータを見て、どこに問題があったのかバックデータを取って分析いたしましたが、そこはまだ把握出来ていないということです。いずれにしても特定のロット以外では、そういう通常よりも高い副反応は起きていないということが昨日の時点での結論ということですので、詳細については、今日、御説明する予定です。
記者:
そうなりますと、12月中にも輸入を開始するべく特例承認を目指されていたと思いますが、そのスケジュールは今も変わっていないという認識でよろしいのでしょうか。
大臣:
やはり、専門家の皆様方の見識と、これまでの経験、知恵を総動員して、怠り無き特例承認がなされなければならないと考えておりますので、その案件について専門家の方にも調査結果を詳細に見ていただいて、そして、安全性の再確認にどういう影響が出るのか分析していただいた上で、特例承認を慎重に行っていただくことが大原則です。その特例承認の過程で、専門家の方々の意見をきちんと反映させた判断がなされる。決して拙速にされるべきものではないと考えております。
記者:
保育所の問題で、昨日、福島大臣との面会の中でも認可外の保育所で、一概には原因は言えませんが、死亡例が多いという発表がありました。そして、福島大臣との会話の中でも、「私立への補助金については、来年度からすぐに国が撤退するというのはおかしいと思っている」という御発言があったのですが、保育所の質を来年度以降、将来的にはどうあるべきだと、もう少し検討する余地があるとお考えでしょうか。
大臣:
将来的には、今の経済対策の中でも申し上げまして、非常に中長期の話です。平成23年度に通常国会に提出する「幼保一元化」という大きなテーマがあります。その中で地方とどう関わっていくのか、国の関与はどうあるべきかということを、私としては再度きちんと考えて行きたいと思います。これは文部科学省との交渉を含めたトータル・パッケージの話になると思います。ただ、今回の段階では、ご存じのように第三次勧告からの御指摘もあり、待機児童の問題もあり一定の要件で大都市部等々の地域限定で面積要件について、地方自治体にお任せするということを報告しておりますので、今の時点ではそういう考えですが、中長期的には23年度の通常国会の法案の中で「幼保一元化」の考え方をまとめて行きたいと考えております。
山井政務官:
昨日の夕方に投げ込みいたしました、「認可外保育所」と「認可保育所」での過去6年間の死亡例の比較調査結果ですが、私も非常に考えさせられましたのは、過去6年間で認可外の死亡事故が33件、そして、認可保育所が19件です。こう見ますと6割が認可外かということになりますが、実は認可保育所というのは、認可外保育所の10倍の数があるわけですからパーセンテージからすると、統計ですから様々な読み方がありますが、約15倍くらいの死亡事故率と読むことも出来るのではないかと思っております。こういうことは面積基準、人員基準というこというものを議論する上で一つの指標になるのではないかと感じました。

(了)