長妻大臣閣議後記者会見概要

H21.10.23(金)11:39 ~12:28 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
本日の閣議でございますが、厚生労働省の関係と致しましては、21年度の一般会計予備費使用ということで懸案となっておりました生活保護の母子加算復活について、「母子家庭の窮状に鑑み、年内に実施する必要があり、12月の支給に間に合わせるためには、自治体の準備等を考慮すると、直ちに自治体に対し復活の具体的内容を提示するとともに、所要の財政措置を講じる必要がある」と発言を申し上げ、予備費の支出の閣議決定ということで御了解をいただきました。これによって自治体の皆様方の御協力をいただいて、12月当初からの母子加算復活ということとなりました。関係各位の御協力に感謝を申し上げます。そして、閣僚懇談会におきましては、特に行政刷新会議に全面的に協力をして、いわゆる「浪費」、あるいは優先順位の低い事業の洗い出しに徹底した協力をいただきたいという御発言が総理大臣からも、菅副総理からも、仙谷担当大臣からも、財務大臣からも全閣僚に向けて発言がございました。私どもとしましても、全面的に協力をして、私どもの中でも、事業の見直しというのは、まず第一段階は12月末まで全力で取り組んで参りたいと考えております。 もう一つ、資産公開ということが閣僚、副大臣、政務官に義務づけられておりまして、皆様方に資料を配付させていただいているところでありますので、御覧いただきますようお願いいたします。 雇用対策本部でございますが、これは事前に御説明を申し上げている部分もあると思いますが、私の方からは、今日雇用対策本部で発言を申し上げましたのは、特に5つの点において発言を致しました。一つは、働きながら資格を取る、「介護雇用プログラム」についての御説明と御理解。そして「ワンストップサービスデーの開催」、今まではハローワークでの手続き、自治体での手続き、社会福祉協議会での手続きということで、複数の場所に行かなくてはならないということで非常に不便だという声もいただきましたので、これを「ワンストップサービスデー」ということで、出来る限り多くの方の御協力をいただいて、一定の地域からハローワークにて、自治体の方、社協の方にお越しいただくようなワンストップサービスも始めて参りたいということも申し上げました。あとの3つは強化策、これまでもやっているものを更に強化するということを3つ申し上げました。いわゆる「基金事業」と言われている、無料で職業訓練を受けていただく講座でございますが、それについては今の時点で約1万人の方が受講されておられるわけですが、今年の12月末までに3.3万人の方に受講していただくようにしていこうと、そして更に来年3月末にはその数を増やしていこうということも申し上げました。私も視察にお邪魔致しましたが、ある専門学校で開催している介護の基金事業は、定員が20名に対して応募が70名もあり、泣く泣く50名の方には面接で御辞退をいただくしかなかったということです。こういう実態もございますので、これを解消すべく取り組んで参ります。そして、高卒・大卒の新卒の方々等に特化した就職ジョブサポーターという方々をハローワークに更に配備をしていく。そして、雇用調整助成金の、特に出向に関連する支給要件の緩和や、支給の迅速化等々の手続きの面なども対策本部で私の方からも説明をして、対策本部では、全体の対策について菅副総理からも説明があり、了承されたということになりました。 そして、それ以外の案件についてでございますが、お手元に色々な資料をお配りしていますが、一つは、社会保険庁のサービス改善の取り組みの一環と致しまして、名刺をお渡しをする。これはある意味では当たり前の話がそれまで出来ていなかったということでございますが、これまで社会保険庁に年金相談に行って不十分な説明を受けて不利益を被ったと、こういう案件もございます。その時に、一体誰から説明を受けたのか、それが仲々わからない。「言った言わない」ということがこれまでもございましたので、これは遅すぎることですが、当たり前のこととして、これから国民の皆様方が社会保険庁、社会保険事務所、あるいは年金相談センター等々、年金の相談に行かれたときは、職員から名刺を相談に来られた方にお渡しをします。上に日付の欄もございますので、この日付の欄も記入をしてお渡しをするということを、来週の月曜日の始業時間から徹底を全国でさせるということに致しました。もし名刺が配られなかったということが万が一ございましたら、一報をいただければ厳しく指導をして参ろうと考えております。これに関しましては、日本年金機構に移行して後にも続けると言うことは当然のことでございます。年金の問題でございますが、これも御指摘をいただいた問題です。「茨城社会保険事務局管内の社会保険事務所における標準報酬月額の不適正な遡及訂正処理の疑いのある事案の調査」ということで、これはもちろん最終報告ではございません。途中経過を報告を申し上げ、これは不十分な調査でありますので、さらに調査をして参ります。お配りを致しました経過報告書の中にありますが、関係書類の一部について確認作業を行ったところ、差押え後に事業主の標準報酬について遡及訂正が行われているなど、事実関係の更なる確認が必要な事案が見受けられたということもございますので、調査を更に続けて参りたいという御報告でございます。そして、今後厚生労働省、社会保険庁と致しましては、国民の皆様方に御迷惑をおかけした案件、結果的に税金等のムダ遣いにつながってしまった案件については、その反省点も含め、責任者の名前も列挙した上で皆様方にお詫びと御報告をしようと、こういうことを今後とも続けていこうということになりまして、その一つと致しまして、お配りしております、「「ねんきん特別便」が住所不明等により返送されたことにおける反省点について」ということで、これは我々からも過去発表した案件も2点ございます。更には、会計検査院より指摘を受けた案件もございますが、これについてその反省点と改善点についてのペーパーをお配りさせていただいているところです。これは3人の連名となっておりまして、大臣の長妻昭、社会保険庁長官の渡邉、社会保険庁運営部長の石井ということで、責任者を明確にしております。一点目につきましては、住所不明による未到達についてということで、これは住所変更の届出について周知が不十分な面があったということで、我々は反省をしております。住基ネットワークなどの活用により、本人の届出がなくても住所が把握出来るような仕組みも早急に作っております。そして、国民の皆様方に対しても、住所変更の届出については速やかに届け出ていただくような広報を徹底する等々の対策を取っていきたいと思います。この問題について、再送付を申し上げた件数が約79万件。それにかかった税金が1億8466万円ということがございましたので、こういうことが今後起こらないように我々も取り組んで参ります。2番目は「「ねんきん特別便」の一部についての出力誤りについて」です。これは委託業者への指示が不十分だった点がございます。これは既に公表を昨年の3月27日にしております。3番目と致しましては、「地方公務員共済組合員に係る「ねんきん特別便」の送付について」です。これも指示が不十分だったという点。これも既に公表されております。この委託業者への指示については、今後、作業内容の確認は複数人で十分に行うように徹底をしていくということと致します。そして、地方公務員共済組合に関わる問題については、配列順の指定について委託仕様書に明記するということで問題が起こらないようにして参ります。いずれにしましても、税金について非常にムダが発生してしまったということに私からも心よりお詫びを申し上げます。本日は渡邉長官、石井部長も来ておりますので、渡邉長官、石井部長から一言お話をいただきます。
渡邉社会保険庁長官:
長官の渡邉でございます。ただいま反省点につきまして、大臣から詳しく御説明いただきましたが、これは社会保険庁の業務実務の中で、どうしても至らない不注意というものが、こうした税金のムダ使い、あるいは保険料のムダ使いということにつながっているものでございます。今後とも大臣の指示に基づきまして、こうした事実、反省点、どういうムダが発生したのか、そして改善点はどうしたのかということについて説明責任を強化して参りたいと思っております。いずれにしても、税金のムダ使いということだけでなく、「ねんきん特別便」その他につきまして、確実にお手元に届かないということが発生しているということは、その方の年金権の回復が遅れてしまったということで、年金制度面からも非常に大きな責任でございますので、国民に深くお詫び申し上げるとともに、引き続きこうした改善点を徹底していきながら、こうしたことの起きない信頼される体制を構築して参りたいと思います。よろしくお願いいたします。
石井運営部長:
社会保険庁運営部長の石井でございます。長妻大臣、渡邉長官から報告を申し上げました、会計検査院から指摘されている事項について、反省点、原因、対処について説明をさせていただきました。ほとんど内容的には尽きておりますが、1点だけ私の方から申しますと、「ねんきん特別便」と今お送りしている「ねんきん定期便」でございますが、いずれもお一人お一人の年金権の確保ということを確実なものにするための大切なツールであると思っております。職員一同、そういう重要な資料であるということを肝に銘じて、決してそれらの処理について不十分なことが起きることがないようにしっかりと取り組んでいきたいと思っております。発生した場合には、その原因を分析して、改善すべき点はどういうところにあるのかということを明確にした上で、マニュアルにすべきものはマニュアルにして、それから相互の連絡連携、そういったものの不十分さについてはコミュニケーションといったことでそれを補うような工夫をする。そして、その結果、お送りしたものの趣旨目的というものが確実に達せられたのか、そういった点も含めて業務全般につきまして効果が上がっているか常に肝に銘じながら業務に取り組んで行きたいと思っております。今回御報告した件は3件でございますが、これに限らず、事務処理の問題を発生させることのないように組織を上げてしっかりと取り組んで参りたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
大臣:
そして、後一つでございますが、お手元にお配りを申し上げております、「医薬品副作用被害救済制度の周知について」ということで、これは以前から始まっている制度でございますが、医療関係者の認知度が必ずしも高くないという現状がわかりました。我々の広報が不十分な点もあるのではないかということで、改善点も含め、皆様方にお配りを申し上げました。きめ細かな説明を通じた理解の拡大、診断書作成等に係る負担の軽減等々、広報をきめ細かく今後とも実施をしていくということとなりましたので御報告を申し上げます。
記者:
質問の前に、大臣の会見時にこのように資料を大量にその場で渡されることが前回もあったのですが、可能であれば解禁時間付きで事前の配布やレクチャーをしていただきたいと思いますので御検討下さい。

質疑

記者:
今日、大臣、副大臣、政務官の資産公開がされましたが、その受け止めと、この資産公開の制度について改善点や要望がございましたらお願いします。
大臣:
私も資産公開を出させていただきました。ほとんど資産はございません。それを正直に出させていただいているところでございます。当然資産公開というのは、大臣、副大臣、政務官、それぞれ権限のある立場でありますので、癒着、あるいは国民の皆様から疑念を抱かれてはいけないという趣旨で始まっているものだと認識しておりますので、こういう制度は良い制度であり、さらに工夫があればこの制度を進化させていくことも必要ではないかと感じています。
記者:
今回の大臣の記載には資産がなかったのですが、一方で子どもさんに計891万円の郵便貯金がありますが、これは余り見ないケースですが、どういった理由でしょうか。
大臣:
子どものために郵便貯金をしたということで、特に何か意図があるわけではありませんので、子どもに貯金をさせたいということであります。
記者:
これまでも何度も閣僚の資産公開というものを見せていただきましたが、今回、おそらく初めて全項目なしという資料を見て、「これまでなかったことだな」という感想を持っているのですが、この辺についてあらためてどのように受け止めてらっしゃいますか。
大臣:
ありのままです。私の知る限りでは、私も衆議院議員でございまして、衆議院議員としての資産公開を出しております。基準が若干違うのが、衆議院議員の場合は借金というのは親族の場合でも書くという規定になっていると認識しておりまして、私は父から借金がございますので、それは衆議院の方には借金として書いております。ただ、閣僚の資産公開については親族の借金は書かなくて良いというルールだと認識しておりますので、そこは書いていないということと、資産公開については普通預金については書かなくて良いということでございますので、若干の普通預金はございますので、多少はございます。
記者:
「さらに工夫があれば進化も必要ではないか」ということでしたが、大臣の頭の中で「こういったことが出来るのでは」という案はございますでしょうか。
大臣:
例えば、色々な公開というのが考えられると思います。資産公開だけでなく、例えば、我々が海外に出張に行く時に、その出張に税金が具体的にいくらかかったのか、あるいはその明細はいくらか、成果はどういうものがあったのかというようなことも含めて、やはり税金の流れというのを色々な面で公表していくという意味で、色々な観点があるのではないかと感じております。
記者:
今日の閣議で母子加算復活についての予備費の使用について決定しましたが、それについての受け止めと、今回の母子加算の復活にあたっては鳩山首相に直談判したということについて野田財務副大臣の方から批判の声も出ていますが、それについてどのようにお考えですか。
大臣:
受け止めというのは、かねてより私ども野党時代から申し上げていたことでもあると考えておりますので、それが実現を出来たということで、この部分については役割を果たせたということでほっとしているところであります。総理に対しては、御報告を申し上げたということでございまして、基本的には今回の件については藤井財務大臣の御英断と総理大臣の深い御理解があった賜物であると感じております。従来の政権というのが大臣がどういう行動をしていたのかというのは承知しておりませんが、官僚だけで交渉をして「後はシャンシャン」で政治家同士が会うということではない、政治主導という内閣であるということは確かだと思っております。今後とも色々な局面で大臣とお会いをしたり、時には意見を戦わせていくということがある可能性もあるということも御理解いただければと思います。
記者:
来週から臨時国会ですが、抱負などあればお願いします。
大臣:
鳩山総理大臣の、こういう形での政権交代、歴史的な所信表明演説という場に立ち会えるというのは大変光栄だと感じておりまして、そして、各党の代表質問もあり、いよいよその次は攻守立場を入れ替えた形での予算委員会が始まるということで、私どももきっちりと説明責任を果たせるように、明日も役所の方にもご無理を申し上げて、それらの説明をいただくと、役所の業務の全容について我々もさらに理解を深め、問題点も把握をしていくということを続けていきたいと思います。
記者:
「子育て応援特別手当」の執行停止の関連ですが、兵庫県三木市など支給の検討を表明された自治体がいくつかあるのですが、その受け止めをお願いいたします。
大臣:
これについては、「子育て応援特別手当」を執行停止にしたのは何度もお詫びを申し上げなければならないことでございます。それに関連して、独自にやられて支給をしていただく自治体があることも聞いておりまして、自治体ごとにいろいろな財政上の御判断もあると思いますが、私としてはそれについてどうこう意見を言える立場ではございません。いずれにしても国の「子育て応援特別手当」を停止したということについては、本当にお詫びを申し上げ続けるということです。ただ、その時も御説明申し上げましたが、来年度からの「子ども手当」に基本的に振り向けて行くという考え方ですので、是非、御理解いただけますようこれからもお話申し続けなければいけないと感じております。
記者:
週明けから年金相談時に渡される名刺のことをお伺いしたいのですが、費用は大体どれくらい掛かっているのかということと、出元は保険料の流用という形で出ているのですか。
大臣:
費用については名刺を新たに印刷するという形ではありませんので、A4のシートがあって、よく簡易的に名刺をプリンターで印刷することがあるかもしれませんが、これがシートに何枚も貼り付けてあって、それぞれの社会保険事務所のプリンターを使って印刷をしていくという形です。そして、これについては一般競争入札でございまして、会社名も申し上げますが「エーワンマルチカード」というもので、名刺を276万枚調達いたしました。調達額が902万7,641円ということです。これについてプリンターで印刷をしていくということです。財源については税金を財源としております。
記者:
週明けから名刺を配られるということですが、窓口の説明誤りで無年金になったという千葉の男性が訴訟を起こされておりまして、長妻大臣の就任後に国が主張を変えて争わないということですが、それまでの国の主張は「窓口サービスというのは、基本的にサービスである」という主張をされていたのですが、それまでの国の主張に対する受け止めと、窓口業務とは改めて何なのかについてお聞かせください。
大臣:
窓口で相談を受けるというのは、もちろん正式な業務の一環であるというのはいうまでもないことだと思います。これまでは「言った、言わない」という問題もありますが、やはり、専門知識がない国民の皆様が窓口に訪れた時に、職員の言葉を信じるしかありませんので、そういう意味では今後は規律もしっかり保ち、証拠も名刺だけではありませんが、まずは名刺という形で証拠としても「言った、言わない」ということを極力防いでいくことも申し上げて行きたいと思います。そして、この名刺の裏にはメモを書く欄もございますので、今後この欄を活用しましていろいろなことも検討して行きたいと思います。総合的に見てこれまで社会保険庁の国民の皆様への対応ぶりというのは、非常に問題があり、失礼な対応もあったのではないかと理解しておりますので、これからは本当に民間に負けないくらいのきちんとした接客が出来るような組織として改善して行きたいと思います。
記者:
概算要求で民主党が政権交代前に廃止としていた「雇用能力開発機構運営交付金」が、廃止ではなくて減額であっても632億円入っていることについて、無駄を無くすという観点からどのようにお考えでしょうか。
大臣:
その部分だけではなくて、今、我々としても概算要求の「事業評価シート」というものを手元に持っております。それは、構想日本の加藤代表、今度、行政刷新会議の事務局長にご就任いただきましたが、その方の体裁に沿った事業シートがありますので、これから行政刷新会議だけに事業仕分けをお任せするのではなくて、我々としても事業仕分けの手法を使い、あるいは横串にシステム経費を見直すとか、あるいは天下り団体の問題ですとか、今の「雇用能力開発機構」も本当に私どもも呆れ返り、国会でも何度も追求した案件ですので、そこも細かく一つ一つ我々なりに情報を取って見直していくということは当然だと考えておりますので、その部分以外も見直しをして行きます。まずは一つの期限としては12月末と認識しております。
記者:
本日、社会保険庁の懲戒処分を受けた方に関連して、朝のテレビ番組で日本年金機構ではなかなか雇わない原則があると。また、そうではない職場を紹介するこを全力でやって行きたいという大臣の発言がありました。改めて前政権で閣議決定した「懲戒処分歴のある職員を一律不採用とする基本計画」に関しては、今後も踏襲していくということを前提にされるのでしょうか。
大臣:
基本的に、年金業務というのは大変重要な業務です。ただ、全省庁を見てどれが重要かというと、どれも重要だということですが、ただ、この年金業務については50年前から積み上がった、「消えた年金問題」いう重大な不祥事、曰く付きの業務です。それに対してやはり、懲戒処分歴のある方が関わるというのはいかがなものかと。2度とミスは許されない業務ですので、その意識というのは私もそのとおりだと思っておりまして、閣議決定を見直すつもりはございません。その一方で分限処分を回避する義務も私に課せられておりますので、その義務を、閣議決定は見直さないという前提で全力で果たしていくという理解です。
記者:
その件に関して日弁連の方から、今のままの閣議決定は我が国の労働法制や国家公務員法に抵触する可能性があるので、法令に適合し合理的な人選基準を徹底するように採用基準の見直しを求めるという意見書が出ているのですが、このシステムについても今のまま前政権の閣議決定を踏襲していくというお考えでしょうか。
大臣:
私は今の時点では、閣議決定を変えるつもりはありません。ただ、当然、再就職について、分限を回避する努力はしなければいけないということはもちろん心得ておりますので、それに向けて我々としても政務三役、そして、役所の皆様方と一緒になって、取り組まなければいけないということは理解しております。
記者:
原爆症認定訴訟の関係ですが、認定訴訟について積み残した課題があると思うのですが、敗訴原告に対する対応については今後大臣はどのよう取り組まれていくのでしょうか。
大臣:
前政権の時代に、麻生総理大臣と原告団の皆様と覚書を結ばれたということは承知をしておりまして、基本的にはいくら政権が代わったからといって、政府と皆様との文書ですので、それを重く受け止めてこれから取り組んで行きたいと思います。
記者:
先ほどの問題に戻るのですが、テレビ番組では「年金記録問題」解明のために2年間期限付きで採用するというような話をされておりましたが、なんらかの形で必要ではないとしても、懲戒処分を受けた方を「年金記録問題」対応に充てるお考えはあるのでしょうか。
大臣:
私はその発言を申し上げたのは、日本年金機構で2年の期限付きで準職員の方を、別の一般の方から募集するということもあり得るという話と申し上げました。その意味で基本的には日本年金機構に関しては、あの閣議決定を踏襲してそこには移行していただかないということは変わっておりません。
記者:
敗訴原告の基金作りで、前政権は議員立法を前提としていたと思うのですが、それが民主党は原則議員立法をしない方針を掲げているのですが、それをどういうふうに回避して、あるいはどういう対応を具体的にされているのかお聞かせください。
大臣:
本当に国としても、いろいろな苦しみを続けておられる皆様に対して、早く打開の糸口をつかまなければならないことは十分認識しております。そういう意味では基本的には何らかの形で、書類に書いてあることを実行して行くということで、今関係各方面と議論を続けて、その方策を見いだそうとしているところです。それが発表出来る段階になりましたら、皆様方、関係各位を含めてもちろん発表をして、その前に合意をいただく交渉をしていきたいと思います。
記者:
緊急雇用対策についてお聞きしたいのですが、住宅の確保ということで公共公営住宅の空き部屋を利用するという考え方がありますが、TV東京の調査で特に失業者の多い都道府県に対して空き状況を聞いたところ、大阪を除いては元々倍率の高い公営住宅を政府の政策に回すのは厳しいという回答があったのですが、この現状をどのように受け止められておりますでしょうか。
大臣:
ハウジングプアーという言葉もありますが、住宅というのは言うまでもなく重要です。そういう意味では住宅手当を支出する制度も、ワンストップサービスで周知をして、手続を簡単にしていくと。同時に具体的な住居ということですが、関係者の皆様と議論をして、さらに入居を促進する措置があればそういう措置を取って行きたいと思います。「雇用促進住宅」についても地域で偏りがあるということもありますが、いろいろな公的な住宅も含めて、今日対策を出したから終わり、ということではありませんので、我々も現状を把握するチームを省内に設置いたしまして、そのチームが現実がどうなっているのか、今日打ち出した対策がどう進捗するのかということを全国的に調査していくと。プラン、ドゥ、シーという言葉がありますが、そのシーの部分を強化して、走りながらですが改善して行こうという姿勢です。今の御指摘も我々はどういう対応が出来るのか、それを対策として考えて行きたいと思います。
記者:
中医協ですが、開催が大分延期されていることについての現状と、人選について大臣は何かお考えになっていることはあるのでしょうか。
大臣:
中医協が本当に頻繁に開催される時期は、目前に迫っているという認識を持っておりまして、これは早めに決定するということは、予てより申し上げているところです。人選に関しましては、診療報酬というのは、医療政策を推し進める上でも非常に重要な要素であるということは、言うまでもないと思います。そういう意味では私どもが考える医療政策に、ある程度御理解をいただいた方々にご就任いただくということが理想ではないかと考えております。そういう意味では人選を含め、今進めているところですが、まだ公表する段階ではございません。
大臣:
診療報酬の議論についてですが、衆議院選挙前に、民主党内からは中医協を中心とした、診療報酬の議論自体を変えるべきだという意見が出ておりますが、大臣は中医協を中心とした診療報酬の改定の議論を、今から変えるべきだとお考えでしょうか、それとも次期改正からやるべきだとお考えでしょうか。
記者:
ご存じのように、まず、政府が改定率を決めるプロセスがあり、審議会で基本方針を決める、そして、中医協で分配を決めるというプロセスがあります。そういう意味では従来のプロセスと、力点の置き方が異なってくる可能性があります。つまり、基本方針を決める審議会で、かなりの基本方針を決めて行くという考え方もあると思います。ただ、中医協自体を直ちに廃止するとかは考えておりません。我々としては、改革は続けますが、今申し上げたような比重の置き方、考え方を変えて行くということについては、検討の余地があると思います。
記者:
「母子加算」の話ですが、今回が大臣自身が鳩山大臣に何度も面会に行かれたり、端から見ると並々ならぬ決意を感じたのですが、なぜそれほど大臣がこの問題を重要視されたのか、そのあたりを詳しくお聞かせください。
大臣:
鳩山総理に私からお会い申し上げたのは一度だけですが、私自身はすべての案件について並々ならぬ意欲を持っているつもりです。これは一つの始まりです。そういう意味ではまずはこの問題について、こういう形で決着を見たというのは本当にありがたいことだと思っております。ただ、問題はこれだけではありませんので、我々がお約束した案件というのは、特に厚生労働省分野というのは多いわけでして、それを一つ一つ着実に実行していくと。その反面でマニフェストには予算を付ける部分も書き込みましたが、その次の頁には予算を削減することも国民の皆様方とお約束しておりますので、その部分も厚生労働省としても全力で取り組むということで、一つ一つ全力でやっていくということです。官僚の皆様に任せて自然に先ほどのことが出来るのであれば、私も見守るだけですが、そうでない部分に関しては、やはり、政治が自ら行動するということで、任せる部分は任せる。任せないで我々がやるべきことはやるということで、今後ともメリハリの付いた形で仕事を続けて行きたいと思います。初めはやはり、どれを任せるか、どれを我々でやるかがなかなかつかめないところがあり、私も就任以来、基本的にはあらゆる案件について自分の目を通すということを心がけておりました。しかし、ある程度任すべき部分と、そうでない部分がある程度、おぼろげながら輪郭が出て来ましたので、今後はそういう形で集中し、やるべきこと、国民との皆様方の約束を守るべき案件、あとは、削除する時の案件等は、我々が中心で実行していくということで、官僚の皆様の御理解も必ず得られると思います。

(了)