武見大臣会見概要

(令和6年1月9日(火)10:57~11:12 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭は特にございません。

質疑

記者:
能登半島地震で、避難生活の長期化に伴い、避難所での感染症への懸念も出てくると思いますが、厚労省としてどのような対策をとっていくのかという点と、併せて大臣から避難者の皆様へ、感染症への注意喚起や対策への呼びかけなどがあればお聞かせください。また、医療品の供給に関しては、現場からはどのようなニーズが届いているのかという点と、併せて厚労省として実施している対策や最新の供給の状況についてお聞かせください。
大臣:
今後、避難所の状況というのが長期化することが予想されています。避難所における健康・衛生対策がより一層重要となることは明白です。厚生労働省としては、発災当日の1月1日に避難所生活における基本的な感染症対策を、そしてノロウイルスの感染症が疑われる事例の報告を現地から受けたことを踏まえて、昨日8日にノロウイルス感染症対策を、それぞれ自治体向けに周知いたしました。およそ今までのところは、約30件、こうしたノロウイルスの感染件数が出ています。また、現地で活動する日本環境感染学会のDICT、これは災害時の感染制御支援チームですが、この専門家とも連携しながら、避難所における衛生対策、感染症対策の支援を強化するために、厚生労働省職員と国立国際医療研究センターの専門家の合計3名が、5日から現地対策本部に入っております。避難所等において感染症が発生した際には、これらの専門家チームに相談いただけるような体制整備を進めています。また避難所においても基本的な感染症対策が重要であり、避難所で過ごされている方におかれましては、マスクの着用を含む咳エチケットや、手指の衛生、そして換気等を可能な範囲で実施していただくということをお願いしているところです。また、医薬品の提供のご質問ですが、医薬品の供給に関しては、現在、現地の医療機関等から石川県庁等への供給要請を受けて、石川県の卸売業者から輸送する体制を整備しています。医療機関等から取引のある卸売業者に直接依頼し、発送してもらうルートと併せて、現地の医療機関等に医薬品が届けられています。具体的には、震災による外傷後の感染の治療に必要となる抗菌薬といった、災害直後に特に必要となる医薬品だけでなく、例えば以前から糖尿病を治療している患者に必要なインスリン製剤など様々な医薬品の要請があります。県内の医療機関に既に供給が行われています。供給要請に応じて、陸路の状況にもよりますが、基本的に翌日には現地の医療機関等にお届けができている状況に現在はあります。また一昨日、1月7日より、医薬品の調剤を主な目的に、モバイルファーマシー1台、JMAT、日本医師会災害医療チーム等とともに被災地を巡回し、珠洲市を中心に活動を開始しています。本日追加で1台出動し、輪島市を中心に活動を開始する予定です。今後、現場の詳細な状況等が確認出来次第、順次追加出動を予定しているところです。
記者:
先ほど官邸で開かれました政府の非常災害対策本部で、今回の災害に関して、雇用保険の特例や雇用調整助成金の特例について総理から指示があったかと思いますが、これの内容と、こういった特例はいつから適用を始める方向で調整されているのか、詳細を教えてください。
大臣:
確かに本日総理から、今回の震災においても、雇用保険や雇用調整助成金に特例措置を講ずることによって、企業が働く人の雇用を維持できるように対応するよう指示がありました。企業活動や雇用への影響をしっかり把握しながら、過去の災害への対応状況を踏まえて必要な対応を速やかに検討してまいります。特に様々な事業者が大変深刻な被害に遭い、実際の事業の再会の目処がまだ立っていない、そういうところの雇用者を実際に確保しておくということのために、こうした補助事業というものは欠かせませんので、確実にそうしたニーズに対応できるよう、こうした雇用調整助成金の活用を確実にできるよう進めていくということに、今、努めているところです。
記者:
新型コロナワクチンについて伺います。武見大臣は、昨年12月26日の会見において、「ワクチンには、残念なことに一定の副反応がある」とおっしゃいました。しかし、予防接種健康被害救済制度における新型コロナワクチンによる健康被害認定件数は、この2年10か月で5,526件、また同期間の死亡認定件数は381件となっており、1977年2月以降の45年間に認定された全てのワクチン健康被害死亡認定件数を上回っています。新型コロナワクチンによる健康被害の規模は、大臣が仰る「一定」の範囲を軽く超えています。またレプリコンワクチンについて「ファイザー社のワクチンと比較して明確な差がない」ということは、すでに発生している甚大な健康被害・死亡事例が再び繰り返されるリスクがあるということです。大臣は、新型コロナワクチン接種のリスクとベネフィット、安全性に関する最終的な決断は「厚生労働大臣が負う」と断言されました。現状、明確に可視化されている問題に目をつむったまま見切り発車し、今後、大臣および厚労省の想定を大きく超える新たな健康被害が発生した場合、大臣は責任を取って辞任し、厚労省は十分な賠償責任を果たす覚悟がおありであると、我々国民は理解してよろしいでしょうか。確認させてください。
大臣:
まず新型コロナワクチン接種後の副反応が疑われる症状の報告については、定期的に開催している審議会において評価を行っています。審議会においては、現時点では、これまでの報告によって、ワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと評価されています。また予防接種後の健康被害が、極めて稀ではあるが不可避的に生ずるものであることから、予防接種と健康被害との因果関係が認定された方を幅広く救済することを目的として、予防接種法に設けられている健康被害救済制度の適切な運用が重要であると考えます。なお、ご指摘の12月26日の会見の発言は、医薬品一般において、企業による臨床試験や厚生労働省の審議会での議論を経て、医薬品の有効性及び安全性が確認されれば、厚生労働大臣として承認を与えるという手続きについて述べたものです。11月28日に承認したレプリコンワクチンは、国内外の臨床試験において、一定の発症予防効果や中和抗体価の上昇が確認されたこと、また有害事象の種類や発現割合等にファイザー社ワクチンと比べて明確な差は認められず、安全性は許容可能と判断できたことから薬事承認を行ったものであり、その判断は妥当と考えています。厚生労働省としては、今後とも科学的な知見の収集、専門家によるワクチンの安全性の適切な評価、新たな情報の速やかな医療機関等への提供、健康被害救済制度に基づく迅速な救済など、必要な対応を行ってまいりたいと思います。
記者:
新型コロナワクチンの月経への影響について伺います。厚生労働省が出している「ワクチンの注意が必要な誤情報」リストが、先日変更されました。これまでは「ワクチン接種により不正出血や月経不順が起こる」は誤情報、いわゆるデマであるとされ、正しい情報として「ワクチン接種が直接的に不正出血や月経不順を起こすことはありません」と公表してきました。ところが、昨年12月8日版では一転して「ワクチン接種後一時的に月経周期等への僅かな影響があるとの報告もある」と月経への影響を認めています。これによって厚生労働省が、2年以上に渡り誤情報を流し続けていたことが明らかになりました。しかもこの訂正が、しっかりと説明がないまま行われておりますので、国民に全くこの訂正が伝わっていません。今後の対応についてお聞かせください。
大臣:
厚生労働省では、新型コロナワクチンについては最新の情報を基に、広く国民に有効性や安全性等に関する情報提供を行っています。しかしながら、科学的根拠や信頼できる情報源に基づいていない不正確な情報も流布されていることから、こうした情報もまとめて提供しており、これらの厚生労働省が提供する情報は、最新の知見を踏まえて随時更新しています。ご指摘の月経への影響に関する情報についても、こうした対応の一環として、最新の国内外の科学的知見を踏まえた内容としたものです。新型コロナワクチンの安全性については、審議会において、月経に関連する症状も含め、接種に重大な懸念は認められないと評価されており、今後も国内外の最新の知見の情報収集と、それを踏まえた情報発信に努めてまいりたいと思います。
記者:
誤った情報を2年以上流し続けていたことに対して大臣はどう思っていらっしゃいますか。
大臣:
私は今申し上げた通りの認識でお答えしております。
記者:
産婦人科の先生などが、月経不順が起こるということを2年以上前から仰っている方が多数いらっしゃいますが、厚生労働省はまるで新しい情報が出たかのように仰いますが、当時からこれは問題視されていたのですが、どうお考えですか。
大臣:
今後とも国内外の最新の知見の情報収集と、それを踏まえた情報発信に努めます。
記者:
それが遅いです。
記者:
脳死臓器移植について伺います。2023年は脳死下の臓器提供件数が過去最多となった一方で、一部の大学病院で臓器の受け入れ要請が集中し、手術室の看護師など人員や、ICUの病床不足といった体制面の問題で病院側が受け入れを断念するケースが、本誌の取材で、3大学病院で約60件ありました。今後も臓器提供が増えれば、移植する病院側のひっ迫が深刻化する恐れがあります。この状況について、大臣の受け止めを教えてください。あわせて厚労省側の、実態調査など国として現段階で考えている対策を教えてください。
大臣:
臓器移植の打診を断念する理由としては、医学的な理由や患者による辞退等のほか、ご指摘の移植施設による辞退もあると承知しております。臓器提供件数の増加を踏まえた対応が重要となっていることも認識しています。そのため厚生労働省としては、令和4年度に、各大学の臓器移植の状況や、臓器提供者数の増加を見据えた体制について実態調査を行ったところです。この調査を踏まえ、日本移植学会において、移植施設間の連携や臓器搬送時の負担軽減等の取組を進めており、移植実施施設が臓器受入れを辞退した場合の対応についても検討を進めていると承知しています。厚生労働省としては、引き続き移植医療の円滑な実施に向け、関係学会と協力して対応していく所存です。

(了)