武見大臣会見概要

(令和5年11月28日(火)8:38~8:48 院内大臣室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 本日は、国内企業が開発に成功した新型コロナワクチンの薬事承認について、ご報告いたします。11月27日、月曜日の薬事・食品衛生審議会(医薬品第二部会)において、国産の新型コロナワクチン2品目について審議を行い、承認を可とするとの審議結果をいただきました。本日、第一三共社のオミクロン株XBB.1.5対応ワクチンおよびMeiji Seikaファルマ社の起源株対応ワクチンにつきまして、有効性・安全性が確認されたことから、薬事承認を行うこととしましたので、ご報告いたします。第一三共社のXBB.1.5対応ワクチンにつきましては、現在実施中の秋開始接種で使用されるワクチンとして準備が整い次第、12月4日の週から自治体へ配送する予定です。また、Meiji Seikaファルマ社の新型コロナワクチンにつきましては、世界初のレプリコンmRNAワクチンとして、世界に先駆けて初めて承認されたものとなります。同社のワクチンは起源株対応であり、今後、変異株対応ワクチンの開発を進めるものと承知しています。厚生労働省としては、今後の感染症危機を見据え、感染症に対する国産ワクチンを国内において開発・生産できる体制を確立するため、引き続き必要な支援を行ってまいります。いずれも詳細については、事務方にお尋ねください。私からは以上です。

質疑

記者:
28日に開始する緊急避妊薬の試験的運用に関して4点まとめてお願いします。1点目、まず、試験販売は当初の予定ではもう少し早く始まる予定だったと思いますが、後ろ倒しになったことで、適切な審議が行われるのか、結果に影響がでないか教えてください。2点です。緊急避妊薬への関心は高いですが、周知が不十分との声もあります。今後、厚労省としての対応をお願いします。3点目です。緊急避妊薬はWHOでは妊娠する可能性のある女性すべてにアクセス権を推奨しています。今回の研究で年齢制限を設けていますが、その理由と、本格実施の際も適用するお考えかお願いします。最後、4点目です。今回の調査研究の結果はいつごろまとめて、どのようなかたちで今後のOTC化議論に活かすのか。今後のスケジュールの目処も含めて教えてください。
大臣:
まず1点目の試験販売についてですが、緊急避妊薬の試行的販売については、公益社団法人日本薬剤師会に事業委託し、一定の要件を満たす特定の薬局に限定し、試行的に緊急避妊薬の販売を行うモデル的調査研究として実施すべき準備を進めてきました。これまで、要件を満たす薬局の選定、薬局での対応マニュアルの作成、薬局と産婦人科医との連携体制の構築等について、入念に準備を進めてきましたが、今般、研究開始の目途が立ったことから、本日11月28日以降、準備が整い次第、全国で実施することとし、11月17日に各都道府県等へ本事業についての通知を発出しました。
 事業の周知についてですが、事業の実施に関しては、正確な情報をいち早く国民に知らせる必要があることから、委託先の日本薬剤師会が特設ホームページを作成し、一元的に情報を発信することとしており、本日11月28日、公開されることとされています。厚生労働省ホームページからも、当該特設ホームページについてご案内するように対応するなど、緊急避妊薬が必要な方に適切にアクセス可能となるよう、必要な周知を図って参ります。
 そして年齢制限の理由についてですが、調査研究においては、性交同意年齢に満たない 16 歳未満の方に対しては、産婦人科医の紹介や、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの紹介などの対応をとることが適切と考えています。そして、研究対象者の研究参加に対する意思表示が有効とされる年齢の基準が16歳以上とされていることを踏まえ、16歳以上の女性を対象とする予定ですが、その後の対象については、調査研究結果も踏まえつつ緊急避妊薬が必要な方に適切なかたちでアクセス可能となるよう検討して参りたいと思います。
 最後のOTC化についてですが、今後のOTC化を議論するにあたっては、今回の調査結果を踏まえて検討がなされますが、緊急避妊薬が必要な方に適切なかたちでアクセス可能となるよう対応して参りたいと思います。
記者:
グループホーム恵の問題についてお伺いします。名古屋市の訪問看護ステーションなど、恵が運営する複数の施設や事業所で、虚偽の記録に基づいて、実際よりも多くの診療報酬や障害福祉サービス報酬を受給していた疑いがあったという報道がありました。不正請求の事実について、厚労省として把握していますでしょうか。また実態と異なった記録に基づく報酬の受給分について各地で請求が取り下げられているという報道もありましたが、これについて把握していますでしょうか。この受け止めと今後の対応をお聞かせください。
大臣:
個別事案についてのお答えは差し控えますが、一般論として、訪問看護ステーション等において、診療報酬や障害福祉サービス等報酬の不正請求の疑いがある場合には、法律に基づき、地方厚生局や都道府県等において必要な調査・指導を行い、不正請求が確認された場合には、これに厳正に対処していくことになります。
記者:
例年この時期に公表されている「賃金引上げ等の実態に関する調査」についてお伺いします。今年の改定額、改定率ともに、比較可能となる1999年以降で過去最高となることが想定されますが、上昇の見通しと結果への大臣の受け止め、上昇するとすれば要因についてお考えを伺えますか。一方で、物価上昇による実質賃金の低下が続いていますが、来年の賃上げに向けた意気込みと、重視する取組について考えをお聞かせください。
大臣:
これは農業林業を除く15大産業を対象とした調査ですが、昨今の物価の動向などを踏まえれば、賃金の改定額や改定率が上昇することは考えられますが、いずれにしても、この後公表する時点でお示しししたいと思います。毎月勤労統計調査によると、実質賃金は令和4年4月以降18か月連続のマイナスとなっており、経済の好循環により国民生活を豊かにしていくためにも、実質賃金の上昇が必要と考えます。賃上げに向けては、中小企業が賃上げしやすい環境の整備が重要であり、厚生労働省としては、中小企業の賃上げと設備投資を業務改善助成金で支援しています。政府としても、先日11月2日に取りまとめた「デフレ完全脱却のための総合経済対策」において、中小企業の賃上げの環境整備等を盛り込んでいます。また今後、持続的に賃金が上がる「構造」を作り上げるため、三位一体の労働市場改革を着実に、働く人の立場に立って取り組んでいきます。リ・スキリングによる能力向上支援・個々の企業の実態に応じた職務給の導入・成長分野への労働移動の円滑化という三位一体の労働市場改革、これを確実に進めていくということです。
記者:
緊急避妊薬の試験販売についてなのですが、日薬への事業の委託期間は来年の3月末までになっていると思いますが、試験販売はそれまで続けられるのか、あるいは3月末以降も試験販売を続けられるのか、今後いつまで試験販売が行われるのか予定について教えてください。
大臣:
予算が取れ次第、継続可能ということですので、予定でいけば、予算の裏付けをもって継続できることになります。
記者:
もし予算が取れれば4月以降も続けられる可能性があるということですか。
大臣:
そういうことです。

(了)