武見大臣会見概要

(令和5年11月17日(金)8:56~9:14 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 国内企業が初めて開発に成功した新型コロナワクチンの購入契約について申し上げます。これまで厚生労働省は、2020年に立ち上げた「ワクチン生産体制等緊急整備事業」により、新型コロナワクチンを開発する国内企業に対し、施設・設備等の整備、臨床試験等の支援を行ってまいりました。このうち、9月7日に薬事承認の申請がされた第一三共株式会社のオミクロン株XBB対応新型コロナワクチンについて、今後、薬事承認が得られた場合、今年度生産が予定されている140万回分のワクチンを国が購入することについて同社と合意に至りましたのでご報告いたします。これは、国内企業が開発した新型コロナワクチンの初の購入契約になります。なお、購入するワクチンは、薬事承認が得られ次第、この秋の接種に用いる予定としており、自治体に対し、本日この後、速やかに配送スケジュール等をお知らせする予定です。厚生労働省としては、今後の感染症危機に備え、国産ワクチンの開発・生産体制の確立について、費用の助成など、引き続き必要な支援を行っていく方針です。私からは以上です。

質疑

記者:
国内企業が開発した新型コロナワクチンの初の購入契約ということで、大臣として受け止めをお伺いします。
大臣:
ようやくできたか、もっと早く欲しかったというのが正直な感想です。
記者:
大麻取締法などの改正案が審議されている中、「大麻グミ」と言われるものを食べた人が搬送される件が相次いでいます。このグミには規制の対象外である大麻由来の成分に似た合成化合物が含まれているとのことですが、この受け止めと、今後、規制の在り方を検討するなどのお考えがあるかお聞かせください。
大臣:
ご指摘の事案は、重大な保健衛生上の問題と重く受け止めています。現在警察で鑑定中ですが、この製品は、「危険ドラッグ」に相当する大麻類似の合成薬物「HHCH」含有と表示されていたと聞いています。さらなる健康被害の拡大を防止するため、警察の捜査とも並行して「HHCH」の販売店舗への必要な調査を行うこととしています。今後、薬物が特定されれば、速やかに指定薬物としての指定を行い、所持・使用・流通を禁止することを検討しています。今回の事案も受けて、違法薬物が販売されていないかの捜査も含め、適正な取締りを行っていきたいと考えております。なお、今後も「HHCH」に類似する化合物が出現することなどが予想されるため、類似化合物の指定薬物への包括的な指定についても検討を進めたいと考えています。
記者:
緊急避妊薬についてお伺いします。一部報道で、今月28日にも試験販売が始まるという報道がありますが、現在の検討状況を教えてください。また、こちらの試験販売は当初の予定ではもう少し早く始まる予定だったと思うのですが、後ろ倒しになったことで、適切な審議が行われるのか、結果に影響がでないか、どのようにお考えか教えてください。
大臣:
現状、今の質問に詳細、正確にお答えすることはできないので、改めて調査をしてお答えするようにします。
記者:
冒頭のワクチン購入契約について伺います。先ほど大臣の感想で、もっと早く欲しかったのが正直な感想ということでいただきましたが、改めて時間がかかってしまったことについて、背景と日本の課題、また今回の秋の接種ということですが、早ければ、具体的に例えば11月のいつ頃か言えることがあればお願いします。
大臣:
配送は先ほど申し上げた通りの日程で配送します。したがって配送されれば、あとは医療機関ですぐにお使いになるとお考えいただければと思います。
記者:
今日にも自治体向けに配送スケジュールをお知らせするということでしたが、その具体的な配送スケジュールはどんなスケジュールになっているかという説明がなかったので、概略で構いませんので教えていただけますか。
大臣:
12月4日の週に配送を開始いたします。したがって、9月7日に薬事承認の申請がされ、11月27日の薬事・食品衛生審議会でご議論いただき、そしてご承認をいただいた場合、すみやかに手続きを行い、承認する。それを受けて、今度は12月4日の週に実際に発送する。すでに政府としては第一三共株式会社との間で、140万回分の購入の契約はしているということです。
記者:
購入の金額、契約された金額がいくらか教えてください。
大臣:
それは言えません。
記者:
どういった理由で言えないのでしょうか。
大臣:
通常、他の企業もすべて同じです。ファイザーにしてもモデルナにしても、すべて購入するときの契約に、価格にかかる秘密保持契約が入っております。したがって、それと同等の問題、対応だとお考えください。
記者:
先ほど、もう少し早くできなかったのかという受け止めのご感想がありましたが、今後こういった国内の開発を進めていくために、どういったことが必要か、どういった取組が必要だとお考えでしょうか。
大臣:
すでにAMEDの中に、SCARDAというワクチンを開発するための資金を相当多額に確保いたしまして、そこで実際に将来必要とされるワクチンに関わる基礎的な研究、これに関わる実際のプログラムが作成され、それに該当する各大学の研究室などに対して、そうしたところの資金援助というものがすでに始められております。こうした準備を進めつつ、国際社会ではCEPIというワクチン開発の国際組織があるので、そのCEPIが100 Days Missionというものをやっておりまして、将来発生する可能性のある(病原体に対する)ワクチンというものを想定して、国際社会の中でそれぞれ手分けをしてこうした将来のワクチンに対応した研究基盤を作っておこうと、こういうプログラムが国際社会にはございます。日本もこのCEPIと協力しながら、そうしたワクチンの開発基盤というものを実際担っている、こういう理解をしていただきたいです。
記者:
診療報酬改定について伺います。先日、日医など3師会が厚労省に令和6年度の報酬改定に先立ち、賃上げ原資の確保などを求める要望書を提出しました。提出時にはどのような意見があり、大臣ご自身はどのような意見をお伝えしたのか教えて下さい。また要望書に対する受け止めをお聞かせ下さい。
大臣:
先日11月14日、日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会から、公定価格で対応する医療機関等は価格に物価上昇分を転嫁できず、最低限人事院勧告3.3%に匹敵する賃上げと物価高騰、技術革新への対応に十分な原資が不可欠であり、令和6年度診療報酬改定に向けて、原資となる適切な財源の確保をしていただきたいといったご要望を頂戴しました。私からは、いただいたご意見も参考にしつつ、令和6年度の同時改定においては、必要な対応を行ってまいりたいと申し上げました。昨今の高水準となる賃上げの動向や人手不足の状況を踏まえれば、医療、介護、障害福祉における賃上げをはじめとする人材確保への対応は、喫緊かつ重要な課題であるものと認識しています。令和6年度の診療報酬改定においては、経済対策における様々な対応も踏まえつつ、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・保険料負担への影響を踏まえ、患者が必要なサービスを受けられるよう、必要な対応を行ってまいりたいと考えます。
記者:
先日会見があった宝塚の関係でお伺いします。歌劇団によると、劇団員の契約形態は入団年次によって変化し、1年目から5年目は劇団側と雇用契約を結ぶ一方、6年目以降はフリーランスとして業務委託契約を結びます。一方、女性にフリーランスとしての裁量はなく、遺族代理人からは「実質的には労働契約だった」との指摘も上がっています。劇団側も安全配慮の必要性があったと認めていますが、女性の実質的な契約形態について、大臣の見解を伺わせてください。また、労働行政を所管するお立場として、長時間労働が指摘される劇団の労働環境を把握する必要性について、どう考えているのかも併せて伺わせてください。
大臣:
個別の事案にお答えすることは控えさせていただきますが、その上で、一般論として、長時間労働によって健康を害することはあってはなりません。労働基準監督署においては、労働者等から寄せられる各種情報により、労働基準関係法令に違反する疑いがあると認められる事業場に対し、監督指導の徹底を図っています。引き続き、長時間労働の是正にしっかり取り組んでまいりたいと思います。
記者:
先ほど大麻グミのお話がありましたが、そこで包括的な制限がされるということですが、今、CBDと呼ばれる大麻由来成分があると思いますが、それは食品や化粧品に使うことが増えています。こちらも対象になるかどうか確認させてください。
大臣:
対象にはなりません。おそらく安全性が確保されているのでしょう。
記者:
包括的な規制を、ということですが、今回の成分にしても、現在規制の対象にはなっていないということで、何かを規制してもそれに類似した成分がでてくるというイタチごっこになっているという指摘もありますが、具体的に、包括的な規制ということはどのようにしたら可能になるのか、もし現時点でイメージがあれば教えてください。
大臣:
包括的指定とは、化学構造が類似している物質分を一括して指定薬物に指定することだということです。したがって、化学構造の類似性というものが基本になるとお考えください。
記者:
そうすると、今現在流通している成分以外の成分も含むという理解でよろしいでしょうか。
大臣:
含みます。
記者:
冒頭のワクチンの件でお伺いします。140万回分ということですが、この数字の根拠、冬に向けた接種はこれで十分ということなのか、その辺り何か根拠があればお願いします。
大臣:
第一三共株式会社が今年度生産する能力に合わせて購入したわけです。
記者:
ワクチンについてお伺いします。国でモデルナとファイザーを購入していると思いますが、今回の第一三共のワクチンは、購入時の予算は予備費でやるのか、それとどのくらいの規模になるのか教えてください。
大臣:
140万回分の購入、財源は昨年度の2次補正の財源を使って購入するということです。
記者:
140万回分だとどのくらいの規模になりますか。
大臣:
価格は言えません。
記者:
利用者から食材料費の過大徴収が発覚している障害者向けグループホームの「恵」についてお伺いします。恵が運営する訪問看護ステーションの看護師が自社のグループホームを訪問した際、夜間や早朝に訪問したように装う虚偽の記録が作成されていたと、複数の元職員らが証言しています。これによって、公的医療保険からの報酬が実際より多く支払われていたとの指摘もあります。厚生労働省はこうした情報を把握していますか。把握しているなら、どう対応するのかをお尋ねします。
大臣:
個別事案についてのお答えは差し控えますが、一般論として、訪問看護ステーションにおいて、医療保険の「訪問看護療養費」の不正請求の疑いがある場合には、健康保険法に基づき、地方厚生局において必要な調査・指導を行い、不正請求が確認された場合には、これに厳正に対処することとなりますので、一般論のお答えで対応はわかるだろうと思います。

(了)