武見大臣会見概要(小規模多機能型居宅介護 ひつじ雲視察後)

(令和5年10月19日(木)11:22 ~11:37 小規模多機能型居宅介護 ひつじ雲視察後)

広報室

会見の詳細

発言要旨

大臣:
 今日は、この地域社会の中でどのようにこうした小規模多機能施設というのが地域の皆さん方と結びついて協力をし合いながら、こうした認知症になられているお年寄りの皆さんがおひとりで住んでらっしゃる方が、どういう形でこの施設を活用されているのか、それをまた行政がどういう形でサポートしているのかというのを視察に参りました。非常に受け入れ側が大変だと思いますが、簡単にお風呂入りに来るだけの方もいらっしゃれば、お泊まりになられる方もいらっしゃる。それから、できるだけ車で送迎するのではなく、こちらまで歩いてこられるというような形を整えたり、できるだけ普段の生活の延長でこの施設を活用されているような配慮というのがきめ細かく行き届いている施設でした。こういう施設があれば、この地域の方々は安心して1人暮らしでも住んでいられるだろうなと思います。冒頭は以上です。

質疑

記者:
意見交換会では、どのような意見交換があって、施設側から何か要望等あったのか教えていただける範囲でお願いします。
大臣:
まずこちらの施設を今まで作って運営されてきた柴田さんから、なぜこういう仕事を始めるようになったのですか、という最初の動機について伺いました。それは介護の制度が出来る前から、実はこうした市側の職員としてお仕事をされていて、その時に実際に作って始めたこうした介護施設で管理をする人が、高齢者の皆さん方をその大きな声で怒鳴りつけるような感じで管理をしようとしているような姿をご覧になって、これでは駄目だと、やはりお年寄りの立場に立って施設を自分で作ろうということで、そういう行政の側だけでは実際には自分のやりたいことはできないとお感じになって、自分でこうした施設を始めたと、何ヶ所かその施設を作り変えながら、今日のかたちになったとのことでした。しかもこの近くに薬局の方もいらして、1日は嘱託でこちらに来られてお手伝いされておられますし、それから踊りの師匠さんはですね、座りながらでも演舞ができるような指導を実際にされて、しかもそこにはこの地域のこの施設に入ってこられている人でない方も一緒になって、そうしたその演舞をおやりになって、これはまさにその地域の共生社会の見本みたいなそういう形がよくとられている。町内会長さんはお祭りとか餅つきとか、そういうときには、こちらの方も一緒になって、そうした活動に参加されて、町内会活動に今まで通りずっとその参加ができる、そのためのお手伝いをたくさんできる、そういうお話も伺いまして、動機も素晴らしかったけれども、やはり柴田さんの人間的な魅力というのが、こうした多くの方々を惹き付けているのだと思いました。
記者:
今回の訪問視察された小規模多機能事業所ということで、かなり地域密着なサービス提供されていると大臣の話から伝わってきたのですが、改めてこの小規模多機能型の可能性と言いますか、認知症の方が増えていったり、あるいは都市部でも高齢者の方々が増えていくという今後のことも踏まえて、こういった事業所、事業の可能性みたいなところをどのように感じましたでしょうか。またさらに広めていくというところであれば検討されている方策等あればお願いします。
大臣:
こういう施設をできるだけ各地域社会の中に本当はきめ細かく作っていくことができれば、おそらく高齢者の方にとっては一番その人生の最後を迎えるにあたり、生きていてよかったと最後まで思っていられるだろうと私は思いました。こういう施設でいくつも作れれば大変いいと思います。ただ問題はこうした柴田さんのような方がいらして、そうした施設をしっかりと運営をされていく、そういうやはり核になる方がやっぱりいらっしゃらないと形だけ作っても中身がともなわないと思いました。したがって、これはどういう方がそういう意欲を持ってやってらっしゃるのか、それから柴田さんご自身も実はやってらっしゃるのは、やはりこういう仕事をする若い人たちを育てるということ非常に熱心にやっておられます。そういう方がいらっしゃらないと人材が広がらないので、施設で形だけ作っても決してそれは同じ機能が期待できない。そこで活躍をされるこういう人材をどうやって行政でサポートしてより多くそういう人材を育てていくかというところは、その非常に難しくかつ決定的に重要な要素だと思いました。
記者:
その人材の育成に向けて政府としてあれば厚労省としてどういった形で取り組まれるでしょうか。
大臣:
まさに柴田さんにも入っていただいているような「幸齢社会」実現会議の中でしっかりと議論をして、認知症のある方であったとしても人生生きていてよかったと最後までちゃんと思っていただけるような社会をどうやって作るか、しかもそれをその地域社会とできる限り共生させながら作っていくことを考え、そこには常にその両者を繋ぐ人材がいる。そういう人たちをどうやって国がサポートして育てることができるか、それをきめ細かく考えることが必要だと思います。
記者:
今月末にも政府がとりまとめる総合経済対策の中にも介護職の方に対する賃上げが盛り込まれると思いますが、今回この視察で何か感じられることはございましたでしょうか。
大臣:
こういう施設で仕事をされる方々に関わる賃金が通常の労働者の皆様方の賃金よりも残念ながら低いという現状は、もう早急に改める必要があるだろうと思います。しかし問題は通常の産業と違って公定価格によって多くの方々に負担をお願いしながら、その財源を確保して行う話になっていますが、大変それをやる重要性は極めて高いですが、今はまだ中身の財源や仕組みについての検討を進めている最終段階です。
記者:
先ほど幸齢社会実現会議の件がありましたけど、一方でその厚労省部会では介護保険料の引き上げについても議論されています。これに対してはつまり政府全体の方向性と矛盾しているのではないかという意見もありますけれども、ここをどう両立させて、進めていくのでしょうか。
大臣:
これは、もし全員負担なく無料でこういう施設を受けていただけるだけの財源が他からしっかり集まってくれば、それはもう全く考えなくてもいいことなのですが、実態は社会でより多くの方々にこの公平に負担をしていただきながら、しかも、公平さというのは、いわゆる絶対公平ではなくて、これは応分に能力のある方には負担をしていただくという応分負担の考え方の中で公平性を維持していただかないと、この財源の持続可能性というものが、もはやギリギリのところまで来ているのですから、そこはやはり国民の皆さん方にご説明をして、そうした制度の持続可能性の観点から、どうしてもこれが必要だということのご説明をしながら、負担の在り方を決めていかなければいけないと思っています。
記者:
先ほど人手不足の話がありましたが、外国人介護人材の業務内容の拡大というのが今議論されているかと思いますが、今回の視察で実際にご覧になられて人手不足も感じられているかと思いますが、そういった中で外国人人材の活用自体に大臣がどうお考えか教えてください。
大臣:
可能性としては確実にあるだろうなと思います。そのためにはしっかりとこうした介護に関わる訓練を受けていただいて、場合によってはちゃんと資格も取っていただいて、日本人の方と同じようにこうした高齢者に対応できるような意思と能力を持っていただくことが必要だと思います。
記者:
経済対策の賃上げのご検討についてですが、月6,000円相当の賃上げの案があると取材で分かったのですが、その案があることについて先日UAゼンセンなどの団体から月6,000円では足りないのではないかとの声がありますが、その点について大臣どのようにお考えでしょうか。
大臣:
今、財政当局とも国民の皆さんの負担の在り方も考えてみても、月6,000円程度が恐らく妥当な線になってくるのではないかと思いますが、しかし私自身もまだ省内の意見もまだきちんと聞いていないのですが、今月中を目途に、足元は急激に物価高から、国民生活を守るための対策や持続的賃上げなどを柱とする総合経済対策を取りまとめておりますので、現時点で具体的に決定しているものではありません。医療、介護、障害福祉分野において人材不足によるサービス提供体制が危機的事態となっていることへの対応が必要であるということはしっかりと認識しておりまして、こうした状況も踏まえて必要な検討をしてまいります。こういうことですから、要はまだ答えられないということです。
記者:
先ほど6,000円妥当じゃないかっていうふうにおっしゃられたのは、それはどういった大臣個人的な考えでしょうか。
大臣:
これはまだしっかり話したわけではありませんから、それは、本当はもっと言えば多ければ多いに越したことはないです。私としては、できるだけ多くして、通常の労働者の平均賃金と同等になるように努力し続けることが必要だと思います。今回、賃上げは1つの大きな総合経済対策の一環であるとすれば、この分野の労働者が排除されるというのは全くありません。したがってそのための努力は出来る限りやりたいと思います。

(了)