加藤大臣会見概要

(令和5年9月8日(金)8:59~9:09 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭は特にございません。

質疑

記者:
10月以降のコロナ支援策について伺います。一部報道では、現在最大2万円補助している入院治療費の公費支援について、10月以降1万円程度とするとされています。厚労省ではコロナ対応の平時への移行に取り組んできている一方で、冬の感染拡大を見据え一定の補助が必要との指摘もあります。こうした様々な論点がある中で、今後の入院費の公費支援のあり方について大臣のお考えをお教えください。また現時点の検討状況についてもご教示ください。
大臣:
新型コロナへの対応について、本年3月の新型コロナウイルス感染症対策本部の決定で、5類感染症への移行後は、「医療提供体制は入院措置を原則とし、行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行していく」、まさに通常の診療に戻していくという方向性が示され、更に入院医療費の公費支援などの10月以降の対応についても、「感染状況や他の疾病との公平性を考慮しつつ、その必要性を踏まえて検討する」こととされております。こうした方向の中で、現在、ご指摘の入院の一部補助だけではなく、新型コロナにおける様々な措置について、今、地方自治体や医療関係者等の関係者との間で調整を進めているところです。そうした方向性と、そしてまたこの間、診療費等々については実際この感染がスタートした当初と、約3年経った現時点では対応も随分メリハリが付くようになってきた。そうした実態なども踏まえて、調整作業を進めているところです。調整した結果、10月以降の支援措置の取り扱いが決定した段階では、できるだけ速やかに国民の皆様、関係者にしっかり周知していきたいと考えております。
記者:
毎月勤労統計調査について伺います。本日公表された7月分の速報で、実質賃金は前年同月比2.5%減となりました。一方で名目賃金は上昇しており、春闘の影響が徐々に反映されているものとみられますが、物価上昇には追いつかない状況が続いています。今回の調査結果の受け止めや今後の見通しについて教えてください。
大臣:
本日公表した毎月勤労統計調査の令和5年7月分の速報値では、名目賃金の対前年同月比はプラス1.3%、実質賃金はマイナス2.5%となっております。実質賃金は令和4年4月以降16か月連続のマイナスです。やはり経済の循環により国民生活を豊かにしていくためにも、実質賃金の上昇が必要だと認識しております。他方で名目賃金が、先月はプラス2.3%が、今月はプラス1.3%と縮小しておりますが、これは賞与を含む特別給与の対前年同月比が縮小しているものと考えております。今申し上げたように、名目賃金について、基本給そのものは所定内給与の対前年同月比プラス1.6%ということですので、6月の1.3%に比べて上昇しているということも言えるのだろうと思います。春闘のこうした効果が段階的に、徐々に広がっていっている。特に、労働組合が未組織の企業への波及、あるいは人事院勧告の実施に伴う賃金上昇が、企業に現れてくる間接的な効果、そういったものから、長期にわたってこうした傾向が続くものと考え、今後の動向もよく見ていきたいと思っております。
 そして個々の企業の賃上げそのものは、それぞれの企業の労使交渉で決めていかれるわけですが、厚生労働省としては、特に中小企業・小規模事業者の賃上げしやすい環境整備が重要ということで、業務改善助成金の拡充を先月8月31日から実施しているところです。是非こうしたものも活用していただきながら、それぞれの企業で生産性の向上、そしてそれを通じた賃金の引き上げ、こういったことを図っていただきたいと思います。あわせて三位一体の労働市場改革、リスキリング、職務給の導入、円滑な労働移動、こうした労働市場改革をしっかり進め、働く人の立場に立った、こうした施策が賃金の構造的な引き上げの状況を作り出せるように、更に取り組んでいきたいと考えております。
記者:
「出産費用の見える化」についてお伺いします。7日に行われました医療保険部会で、「出産費用の見える化」に関する公表項目案が報告・了承されました。来年4月には「見える化ウェブサイト」で公表を開始するとのことですが、出産費用の見える化を行う意義について、改めて大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
妊婦の方々が安心して出産できる環境を整備していく、そのために1つは経済的な負担を軽減する観点から、本年4月から出産育児一時金を大幅に増額したところです。あわせて、来年4月を目途に、「出産費用の見える化」の本格的稼働に取り組んでいきます。「出産費用の見える化」の目的ですが、医療機関ごとの出産費用が明らかになることのみならず、その医療機関の特色、あるいはサービスの内容なども併せて公表することによって、妊婦の方々が適切に医療機関の選択ができる、その選択に資するものになると考えています。昨日医療保険部会でもご議論いただきましたが、来年4月の本格稼働に向けてしっかり準備を進めていきたいと考えております。
記者:
新型コロナワクチンについて、昨日、「一般社団法人ワクチン問題研究会」設立に関する記者会見が開催されました。代表理事の福島雅典医師は、ワクチン接種後症候群に悩む人たちが、マスコミにも警察にも話を聞いてもらえないというケースが多く、また民主主義の危機、知る権利がとことん踏みにじられていると述べ、幸福追求権・生存権を正面から無視し続けているという政府の態度は絶対に許せないと述べられました。福島医師は、メッセンジャーRNAワクチンについて、核酸医薬といわれる、全く不完全な、薬とさえ言えないものをばら撒いたともおっしゃっています。大臣は福島医師の主張をどのように受け止めていらっしゃいますか。またメッセンジャーRNAワクチンの危険性の認識について、このような医学者の指摘をどのようにお考えでしょうか。
大臣:
そうした記者会見がなされたことは承知しておりますが、個々の方々の1つ1つのご意見にお答えすることは控えさせていただきたいと思います。私どもとしては、新型コロナワクチンについて、その品質、有効性及び安全性をPMDAで審査、確認し、そして審議会における審議を経て、薬事承認されている。またその後、ワクチンを接種する中で副反応の疑い事例が出てきているわけですが、そうした症状については医療機関等から報告された情報を収集し、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、また薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同で、専門家によって個別症例の評価、あるいはそれを全体で見た集団への系統的な分析・評価、そうしたことを行っていただき、必要な措置を状況、状況に応じて講じてきているところです。更に新型コロナワクチンの接種後に遷延する症状、いわゆるコロナワクチン後遺症も含め、副反応が疑われる症状に関する実態調査、これは本年2月から、厚生労働省の研究班で進めているところです。こうした調査等を通じて、科学的な知見を収集し、それを専門家に評価いただきながら、ワクチンの安全性をしっかり確保していきたいと考えておりますし、また、今後新たな情報が得られれば、速やかに医療機関等に情報提供するなど、必要な対応を図っていきたいと考えております。

(了)