加藤大臣会見概要

(令和5年8月25日(金)11:01~11:14 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭2件ございます。まず組織改正及び幹部職員の人事異動ですが、本日の閣議で「厚生労働省組織令及び食料農業農村政策審議会令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。9月1日付で健康局及び医薬・生活衛生局を、健康・生活衛生局及び医薬局に改組し、健康・生活衛生局に感染症対策部を新設することとします。また、これら組織改正などに伴う局長級の幹部職員の人事異動についても、本日内閣の承認が得られたところです。内容については、お手元にお配りしている資料のとおり、9月1日付の発令となります。厚生労働省としては、今回の新体制の下で新型コロナ対策に万全を尽くしていく考えです。
 2点目は8月18日から19日にかけてインドのガンディーナガルで開催されたG20保健大臣会合及びG20財務大臣・保健大臣合同会合に出席しました。今回の会合では、「健康危機への予防・備え・対応」、「安全で、有効な、質の高い感染症危機対応医薬品等へのアクセス」、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と保健サービス向上のためのデジタルヘルス」の3点について、活発な議論が行われたところです。私からは、G7長崎保健大臣会合及びG7財務大臣・保健大臣合同会合の成果を踏まえ、平時にも有事にも資するUHC達成への取組を更に進める必要があることなどを強調し、G20とG7の取組を連携させ、更に発展させていくことが重要であることを申し上げたところです。また、この会合の中において、インドをはじめ3か国の担当大臣などと会談を行いました。会合後、医薬品産業の集積地であるハイデラバードで製薬企業関係者との面会、また工場視察を行い、医薬品の安定供給などについて意見交換を行いました。私からは以上です。

質疑

記者:
21日の厚生労働省の医薬品第二部会で薬事承認が了承されたアルツハイマー病治療薬レカネマブについて3点質問です。まず本薬への大臣の期待感をお聞かせください。2点目に今後大臣による承認が行われますが、現時点でその日程が決まっていればお教えください。3点目として今後中医協で決められる薬価については高額となる懸念も指摘されていますが、その点について大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
1点目ですが、アルツハイマー病の進行そのものを抑制する薬に対する期待が高まっている訳です。そのような中で今回のレカネマブは、進行を抑制する薬としては国内で初めて承認される医薬品です。また、新しいアルツハイマー病の治療法を提供するものとして期待されているところです。この品目については、我が国の企業によるイノベーションの成果でございます。厚生労働省としては、本剤の承認も踏まえ、認知症施策の推進を進めていきたいと考えております。2点目ですが、承認の日程については医薬品第一部会における審議の結果を踏まえ、必要な手続きを進めているところであり、現時点で具体的な日程を申し上げる状況ではありません。できるだけ速やかに処理をしていきたいと思います。また、新たな医薬品の保険適用にあたっては、中医協において薬価が決定されるものであります。レカネマブの薬価についても、ルールに則り、企業からの薬価収載の希望を踏まえ、薬事承認後に中医協における審議を経た上で、収載のための手続を進めてまいりたいと思います。
記者:
2024年度予算の概算要求について伺います。この後25日正午からの自民党厚労部会で厚生労働省の2024年度予算の概算要求の案が示される予定だと思いますが、2024年度の概算要求にあたって大臣として特にどのような点を重視されたのか、また今回の概算要求についてのポイントを教えてください。
大臣:
令和6年度概算要求ですが、人口減少や超高齢社会に対応した、持続可能な地域医療・介護の基盤構築や地域共生社会の実現を図っていく必要があること、また、イノベーションや「新しい資本本主義」による成長の加速化の推進を図ること、こうしたことを念頭に置き、国民一人ひとりがその果実を実感するための改革を進める施策について、重点的に要求したいと考えています。また、あわせて年末に向けて、今年は診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等の3報酬の同時改定の実施がございます。近年の物価動向・賃金の上昇などを踏まえ、必要な対応を行っていきたいと考えています。令和6年度概算要求は、8月末までに財務省へ提出することとなっております。こうした考えに基づいて、国民一人ひとりが豊かさを実感できる社会の実現に向けて要求し、その後予算編成に取り組んでいきたいと思います。
記者:
医師の過労自殺の関係でお伺いします。神戸市の甲南医療センターに勤務する26歳の専攻医、高島晨伍(たかしましんご)さんが過労自殺しました。高島さんの死亡1か月前の時間外労働は207時間を超えていましたが、病院側は「指示はしておらず、自己研さんの時間が含まれる」という立場です。来年4月から医師の働き方改革が始まりますが、時間外労働を自己研さんとしてしまえば、改革が骨抜きになりかねない面もあるかと思います。高島さんの過労自殺への所感と、自己研さんが都合良く使われかねない問題についてのお考えをお聞かせください。
大臣:
本件でお亡くなりになりました高島晨伍さんのご冥福を心からお祈り申し上げたいと思いますし、ご家族の皆様にはお悔やみ申し上げる次第です。まず、過労死はあってはならないということで、これまでも取り組んでまいりました。具体的な個別事案について言及は差し控えたいと思いますが、医師に関して言えば、的確な労働時間管理を行うことが重要です。通達においても、医師の研さんが労働時間に該当するかどうかの考え方を示すということ、また各医療機関において、これを明確化するための手続等を示し、その周知を図っているところです。医師の健康確保のためには、着実に医師の働き方改革を進めていく必要があり、また、医師が健康であることが、国民の皆様に対して適切な医療が確実に提供される、そうした基盤になるわけです。そのためにも適切な労働時間管理がなされるよう、引き続き我々としても必要な支援を含めた対応を図っていきたいと考えております。
記者:
マイナンバーと健康保険証の資格情報の紐付け作業が完了していない部分があり、8月時点で77万人に上った問題ですが、改めて受け止めと対応を教えてください。
大臣:
77万という数字ですが、背景にはまさに紐付け誤りということがあり、確実に紐付けしていく必要があるということで、マイナンバーで確認していく、あるいは5情報でチェックするという慎重な対応を進めていただいているところです。それから、日々日々転職、就職する方もいらっしゃいますので、そういう摩擦的な問題、あるいは、健康保険証は持っているが海外に行かれている方は海外に住所地がありますから、当然マイナンバーは持っておられません。そういった方も含めた数字がその数字となっているところです。これまでも保険者等において逐次慎重に紐付け作業を進めてきていただいておりますので、更にその作業を進めていただく。ただ、ご本人に繋がっているかどうか必ずしもはっきりしていなかったという課題があったと我々も認識し、これに対して、まずは現状、ご本人に対して、繋がっていないことをお知らせすると同時に、ご本人からマイナンバー、あるいは必要な情報についてしっかり提供を受け、この作業を迅速に進めていただくということをこれから保険者にお願いしていきたいと考えております。
記者:
「年収の壁」についてお伺いします。先日岸田文雄首相が、いわゆる「年収の壁」対策を10月から始めると表明しました。最低賃金の適用時期と合わせた意義と、具体的な制度設計に関する現在の検討状況をお聞かせください。
大臣:
「年収の壁」そのものについては、短時間労働者の皆様の被用者保険の適用拡大、あるいは最低賃金の引上げ、こういったことで基本的に取り組んでいるところです。先般も最低賃金の引上げが、当初国で示した目安以上に各都道府県におよび、高い最低賃金を設定していただいているところです。他方で、人手不足への対応、また最低賃金が10月から引き上がるわけですから、そうした中での対応をしっかりとることで、いわゆる「106万円の壁」を超えることに伴う労働者の手取り収入の減少分をカバーする事業主への支援制度の創設を、来月中に取りまとめることとしております。具体的な内容については、来月までにお示しするべく、現在、最後の検討を行っている段階です。

(了)