加藤大臣会見概要

(令和4年12月23日(金)11:12~11:33 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 12月22日からの強い冬型の気圧配置により、北日本から西日本までの日本海側を中心に大雪や暴風等による被害が発生する恐れがあります。本日7時現在で、この寒気による厚生労働省関係の施設等においては被害は報告されておりません。一方で、これまでの大雪により新潟県及び石川県内において、未だ停電により57戸の断水が報告されております。今回は寒気の動きが遅く、今後も長期間に影響が及ぶ可能性が高いことから、休日も含め引き続き万全の警戒をお願いいたします。厚労省では、昨日の「12月22日からの大雪に関する関係閣僚会議」、またそこでの総理のご指示も踏まえ、自治体との連携を更に密にし、引き続き被害等の状況把握に努め、被害からの復旧及び被害に遭われた方々への支援に万全を期してまいるつもりであります。私からは以上です。

質疑

記者:
今日閣議決定される予定の来年度予算案について、少子高齢化やそれに伴う社会保障費の増加、新型コロナウイルスへの対応など様々な課題がある中で、来年度予算案は厚労省にとってどのような予算案になると捉えていらっしゃいますでしょうか。大臣のご見解をお願いします。
大臣:
令和5年度予算案において、コロナ禍からの社会経済活動の回復を見据えて、国民の命・雇用・暮らしを守る万全の対応を図っていき、また全世代型社会保障を構築していくと、そういった観点に立ってコロナ禍からの経済社会活動の回復を支える保健・医療・介護の構築、成長と分配の好循環に向けた「人への投資」、安心できる暮らしと包摂社会の実現の3つを柱として必要な予算の確保を図るべく対応してきたところであります。
 今日、令和5年度予算案が閣議決定される予定ですが、厳しい財政状況が引き続き続いておりますがその中にあってもメリハリをつけながら、国民の皆さんの安心につながる社会保障制度の構築等を図っていきたいと考えております。
記者:
北海道江差町の社会福祉法人が運営するグループホームで、結婚や同棲を希望する知的障害者が不妊処置を受けていた問題についてお伺いします。障害者団体から全 国での実態解明や支援の仕組みづくりを求める声が相次いでいます。厚労省の今後の対応についてお考えをお聞かせください。
大臣:
大事なことは今回の事案についてしっかり実態の把握に努めるということで、今週月曜日以降、北海道庁が現地に入り事業者からの聴き取りを行うなど作業を進めておられるということでありますから、まずは北海道庁とよく連携をとりながら本件の事案の把握に努め、その結果を踏まえて必要な対応を講じていきたいと考えております。
 前回も申し上げましたが、障害者の生活とそのこどもの養育を支えていくためには、地域において障害福祉、母子保健、保育、社会的養護などの関係機関の連携の下、障害福祉サービスや子育て支援等が確実に行われることが大変重要であります。結婚、出産、子育ても含め障害者の方がどのような暮らしを送られるかは、本人が決められることが前提であります。そうした意思決定を丁寧に支えていくことが大事であります。
 各般の施策の連携・充実に取り組むとともに、障害のある方がその希望に応じて地域で安心した生活が送れるよう、どのような支援が利用できるかなどを含めて必要な対応を行っていきたいと考えております。
記者:
昨日、東京都で3年ぶりにインフルエンザの流行シーズンに入ったと発表がありました。また新型コロナの医療提供体制も最も深刻なレベルに引き上げ、同時流行に入ったとみられますが、現在の全国での同時流行の状況と国民への呼びかけがあればお願いします。
大臣:
東京都では12月12日から18日の季節性インフルエンザの患者報告数が流行開始の目安となる1.0人を越え、流行シーズンに入ったこと、また新型コロナについて「医療体制が逼迫している」とのレベルに引き上げたと承知しております。
 その上で全国でありますが、新型コロナについては全国的に増加傾向が続いております。病床使用率も上昇傾向にあります。病床使用率の高い地域を中心に個別に確認をしたところ、一部の地域では院内クラスターの発生等により、確保病床以外の病床を含めた医療機関全体で患者の受け入れを進めておられる状況にもあります。
 また発熱外来については、自己検査の取組の浸透等から総じてひっ迫は回避できている状況ではありますが、一部でひっ迫の兆しが見られるとされています。更に救急医療については、冬場は通常でも医療提供体制に負荷がかかるのですが、全国的に救急搬送困難事案が増加しています。
 季節性インフルについては一部の地域で増加傾向が継続し、流行入りの目安となる定点医療機関当たりの週間報告数が1を越える地域が岩手、富山、青森、熊本、東京、神奈川の1都5県であると承知しておりますので、引き続き感染の動向に注意が必要であります。過去の事例等を踏まえると、1を越えてから6から8週間くらいでピークに向かって増加していくとされておりますので、そういったことも念頭に注視していく必要があります。
 冬場は救急医療も含め例年医療提供体制に負荷がかかる時期であります。加えて年末年始は医療機関の診療体制も通常とは異なる形となります。重症化リスクの低い方については、これまでもいろいろとご協力をいただいているところではありますが、重症化リスクの高い方やこどもたちを守る、こうした観点に立って新型コロナ抗原定性検査キットによる自己検査や地域の健康フォローアップセンターの活用等を重ねてお願いしたいと考えております。また、日頃から体温や健康状態のセルフチェックをしていただくとともに、マスクの適切な着脱、手指消毒、換気などの基本的な感染対策もしっかりとっていただきたいと思います。
 本日「新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース」を開催し、年末年始を見据えた医療提供体制の状況を確認した上で、国民の皆様への丁寧な情報提供や協力の呼びかけについて認識の共有を図ることとしております。関係者一丸となって適切なメッセージの発信や必要な対応を行っていきたいと考えております。
記者:
新型コロナウイルスのワクチン接種に関してお尋ねします。政府は、オミクロン株対応ワクチンに関し希望者への年内の接種完了に対して取り組みを進め、昨日(22日)の公表時点で接種率が32%になっています。取り組みの進捗への評価について、ご所見を伺わせてください。また過去2年は年末年始に感染が急拡大した経緯がありますが、改めて今後のワクチン接種事業への政府の対応方針について教えてください。
大臣:
全人口に対するオミクロン株対応ワクチンの接種率は昨日で、お話がありましたように32.0%、約4千万人の方が接種をしていただいております。また、新型コロナワクチンの接種回数は平日約70万回、週末は約100万回となっており、接種が進んでいると考えております。
 年末年始に向けて先ほど申し上げたように医療機関に大変負荷がかかる、また医療機関も通常と異なる体制となりますので、そうしたことも踏まえて是非ワクチンの早期接種を若い方も含めてご検討いただきたいと考えております。
 厚労省としてはオミクロン株対応ワクチンの有効性・安全性などについて、SNSやリーフレットなど様々な媒体を通じて周知広報に取り組んでいるところでございます。引き続き希望する全ての方がオミクロン株対応ワクチンの接種を受けていただけるよう、関係自治体ともよく連携しながら取り組んでいきたいと思っております。
記者:
本日23日にある厚生科学審議会感染症部会でも新型コロナウイルスの感染症法上の分類見直しに向けた議論が行われます。改めて大臣としてはどのような議論を期待されるのか教えてください。またADBに続いて感染症部会でも議論が始まるわけですが、年明け以降コロナの分類変更に向け、どのような日程感で議論を行いたいとお考えでしょうか。現時点の大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
これまでも申し上げておりますとおり、新型コロナの感染症法上の位置付けに関しては、アドバイザリーボードで病原性、感染力、変異の可能性等をどう評価するのか、どのような医療提供体制が求められるのかについて、議論を深堀りしていただいているところであります。
 また本日、厚生科学審議会感染症部会を持ち回りで開催し、新型コロナの感染症法上の位置付けに係る基本的な考え方についてアドバイザリーボード等における議論を踏まえ、当該部会においても議論していただきたいと考えております。こうした議論により国民の皆様と理解を共有できる基盤づくりが進むとともに、検討そのものを進めるということであります。
 今後のスケジュールについては見直しの時期について、今後の感染状況、また場面、場面における検討等を踏まえる必要があり、現時点で具体的なことを申し上げることは困難でありますが、先般成立した感染症法等の改正法案の審議の過程でも検討規定が追加され、それを踏まえて今も検討を進めているところでありますが、更に感染状況等を見ながら早期に議論を進めていきたいと考えております。
記者:
新型コロナウイルスの重症化率と致死率について伺います。今年7月のアドバイザリーボードで厚労省は、60歳以上の重症化率がオミクロン型で2.49%、インフルで0.79%との資料を提出しました。大臣は9月の記者会見では「致死率や重症化率がインフルエンザよりも特に高齢者において高い」と説明されました。今週21日のアドバイザリーボードで提示された資料では、直近7~8月の重症化率が60・70歳代で0.26%、80歳以上で1.86%にまで下がり、インフルとの差は縮まっています。この結果を受けて9月時点から認識に変更はないか、またこの結果を今後の分類見直しの判断材料としていくか、大臣のお考えを教えてください。
大臣:
一昨日(21日)のアドバイザリーボードでは、石川県、茨城県、広島県の3県にご協力いただいて作成した重症化率や致死率のデータをお示しし、また本日の厚生科学審議会感染症部会においても同資料を提出することとしております。このデータでは単純集計ではありますが、新型コロナの重症化率・致死率は昨年の夏の段階から時系列的に見ても低下傾向にあるということ、こうした点も踏まえ、今申し上げた場においてしっかり議論を深めていただきたいと考えております。
 もっともこのデータをお示しする際にも留意事項としてお示ししておりますし、また専門家からも指摘されていますが、新型コロナと季節性インフルエンザのデータは異なる方法で集められたものであり、データを直接比較するにあたってはその点に留意する必要があると考えておりますが、そうした点も踏まえて議論を深めていきたいと考えております。
記者:
静岡県沼津市の精神科病院「ふれあい沼津ホスピタル」で、看護師が入院患者を殴るなどの暴行があったことについての受け止めと、令和6年施行の精神保健福祉法では発見者などの通報が義務付けられていますが、現行法では義務付けられていません。今後の対策について検討されるかお考えをお願いします。
大臣:
今回の事案については静岡県において既に実地指導等が進められていると承知しておりますが、精神科病院において患者に対する虐待など人権侵害はあってはならないことであります。仮にこうしたことがあれば大変遺憾なことであります。都道府県の指導監督については虐待が強く疑われる場合には事前の予告期間なしに実地指導を実施できるとしておりますから、そういった強化も図ってきたところであります。また虐待行為の早期発見、再発防止に向けて、都道府県における適切な指導監督が行われるよう引き続き我々からも働きかけをしていきたいと思います。
 今お話がありました今般の精神保健福祉法の改正の施行が令和6年4月ということになりますから、それに向けて適切に通報が行われる体制が整うよう都道府県や医療機関に準備を進めていただく必要がありますが、同時に現時点でも通知においてそれぞれ報告するようにということは言っているわけでありますから、そうした面での徹底も図っていきたいと考えています。
記者:
新型コロナに関する質問を二点させていただきます。一点目が、緊急承認されたゾコーバについて一か月が経って実用化されている今、コロナウイルスの出口に寄与するといえるものになっているのか、またその理由を教えてください。二点目は、2023年に向けて新型コロナの出口は社会がどうなることだとお考えですか。描いておられる出口に向かうためのカギになるもの、条件はどのようなものでしょうか。仮に5類相当になれば出口なのでしょうか。
大臣:
ゾコーバに関しては先月緊急承認され、11月24日から供給を開始したところであります。当初パキロビットの処方実績のある医療機関・薬局等から供給を始めました。現在企業において必要な準備が整ったことから、12月15日より都道府県が選定した医療機関・薬局において広くゾコーバを取り扱うことが可能となっております。供給状況について申し上げると、12月22日時点で約3,300の医療機関と約3,200の薬局が登録を終え、このうち約3,800の医療機関・薬局に対して約50,700人分の薬剤が配送されております。既に約5,900人に投与されたところであります。
 「出口」というのはなかなか捉え方が難しいわけでありますが、少なくともこのゾコーバに関して申し上げれば、低リスクの患者でも高熱等の強い症状があれば使用可能な薬ということでありますから、これまでに比べて新たな治療の選択肢が提供されたということであります。この薬を含めて治療薬等の普及を図ることで皆さんのより一層の安心を確保していきたいと考えています。
 それから2023年のお話がありました。「出口」というのは様々であると思います。ただ、少なくとも当面この新型コロナウイルス感染症がなくなるというものではないことを前提に考えていく必要があると思いますが、その上において新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けについて、病原性、感染力、変異の可能性等をどう評価するのか、またどのような医療提供体制が求められるのかについて国民の皆さんと理解を共有できる基盤づくりが必要であり、こうした点からアドバイザリーボードにおける議論を深掘りし、さらに本日厚生科学審議会感染症部会でも持ち回りで開催し、そうした議論をより深めていただきたいと思っております。まさにこうした議論を進め感染の状況等をみながら適切に判断していきたいと思っておりますが、同時にWithコロナということでコロナへの対応を、例えば重症化リスクの高い方を重点的に対応する等の対応も図ってきたところであります。
 先ほどのゾコーバ、あるいはオミクロン株対応ワクチンの接種、こうしたことも含めてまずは年末年始に向けて、現在コロナの感染者が増えておられ、また医療現場もひっ迫しておりますから、こうした点も国民の皆様のご協力をいただきながらしっかり乗り越えていくことが大事だと考えています。

(了)