加藤大臣会見概要

(令和4年11月1日(火)9:39~9:47 院内大臣室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 今日からの一月、「児童虐待防止推進月間」であります。児童虐待の相談対応件数は年々増加し続けております。子どもの命を守る社会に向けて、児童虐待防止は最重要課題の一つであり、社会全体で取り組むことが必要であります。そのためには、国民の皆様により強く関心を持っていただくことが不可欠であります。厚労省では、この「児童虐待防止推進月間」に、集中的な広報・啓発活動を実施してまいります。本日の閣議では大臣の皆様にも、月間へのご協力とオレンジリボン・バッジの着用をお願いしました。報道機関の皆様におかれても、「児童虐待防止推進月間」にあたり、「児童相談所虐待対応ダイヤル189(いちはやく)」等の広報啓発にご協力をお願いいたします。
 
 昨日(10月31日)、障害福祉分野の視察を実施いたしました。都内の障害者のグループホームと精神科病院を訪問し、職員や障害のある方などから現場の状況や課題を伺い、意見交換をいたしました。その中で、精神科病院に入院経験をお持ちの精神障害のある方から、退院後の地域での生活や就労経験、訪問看護の利用状況等についてお話を伺いました。障害のある方々が安心して地域生活を送るためには、生活支援、就労支援、医療等の地域における様々な関係者が連携して取り組むことが重要であると、改めて認識したところであります。今後、国会で法案審議をお願いしていくことになりますが、昨日伺った話なども踏まえつつ、障害福祉施策の充実に努めてまいります。

 三点目でありますが、電子処方箋については、来年1月の運用開始に向けて、10月31日から山形県酒田市を始めとした4地域17施設の医療機関・薬局でモデル事業を開始いたしました。このモデル事業では、システムや運用面の最終検証を目的に、4地域において最終的には約100施設で実際に電子処方箋の発行を行う予定であり、先進的な取組や課題をとりまとめ、全国の医療機関や薬局での円滑な導入に繋げてまいります。また、医療DXを推進する観点からも、先日閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」において、電子処方箋の更なる導入支援や周知広報に必要な施策を盛り込んだところであります。引き続き、安全かつ正確な運用に向けて環境整備に取り組んでまいりますので、全国の医療機関・薬局の皆様におかれましては、早期導入を改めてお願い申し上げます。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年11月1日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
先日、旧統一教会などの宗教2世が会見を開き、親からの信仰の押し付けなどは虐待や権利侵害に当たると訴えました。当事者の方々は救済や児童虐待防止法の改正などを求めて厚労省にも要望書を提出するとしていますが、どのように対応されますか。大臣のお考えを教えてください。 
大臣:
先日10月27日、「宗教2世」の方々による記者会見が行われ、その中で様々な 要望を含む要望書が公表されたことは承知しております。
 一つ一つのコメントは控えますが、「宗教2世」の方々、非常に厳しい辛い経験をされた方がおられるということで、直接お話を伺っている事務方からもそうした報告を受けているところであります。理由の如何に関わらず、児童虐待は許されないものでありますので、改めてそうした思いで対応していきたいと思っております。
 昨日、「宗教2世」の方々からの相談に対して児童相談所等の虐待対応の現場において適切に対応できるよう、例えば具体的な対応の留意点を整理したQ&Aを作成するなど、当事者の方々のご意見も踏まえながら検討するよう、事務方に指示したところでありますし、その前においても、宗教ということを理由に児童虐待等の相談等に対応しないことがないように、宗教に関わらずしっかり対応してほしいということは既に周知していることでありますから、それに加えて今申し上げたことも指示したところでありますので、児童虐待はまさに今このキャンペーン(児童虐待防止推進月間)もスタートしているわけでありますから、そういった取組をしっかり進めていきたいと思います。
記者:
2024年秋の健康保険証廃止についてお伺いします。共同通信社が週末に実施し た世論調査では、マイナンバーカードへの一本化方針に「賛成」は47・4%、「反対」は49・3%で、わずかに反対が上回りました。若い方では賛成の方が多く、高齢層になるほど賛否が拮抗、反対が多くなるという傾向で、手続きに不安を覚えている様子が伺えました。24年廃止の政府目標に向けてどのように不安を解消し、国民の 理解を得ていくお考えかお聞かせください。
大臣:
まずマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関するメリットとして、国民の皆さんにはより良い医療が受けられる、保険医療機関においても事務コストの軽減、あるいは医療DXの基盤の整備、更には保険者における保険証の発行コストの軽減など、様々なメリットがあります。特に皆さんにとってのこのカード、あるいは一体化されたこの仕組みを使ってどう自分の健康管理をしていただくのか、医療に繋がっていくのか、こういったことを丁寧に説明していきたいと思っております。
 また、情報漏洩についてもいろいろご心配な点があると思います。マイナンバーカードにおいて、カードの紛失・盗難で個人情報が流出しないようセキュリティ対策をしっかり講じているということです。あるいは、医療保険の様々な情報というのはマイナンバーカードの中に入れているわけではないということ、それから、この資格確認システムはマイナンバーカードの中のICチップの中にある電子証明書を利用してやっているのであって、マイナンバーそのものを活用しているわけではない等々、その内容も含めてしっかりご説明することを通じてご理解いただけるよう、そして、マイナンバーカードの取得が更に進んでいくよう、また、我々としてはオンライン資格確認を各医療機関や薬局にお願いしていますから、そういったところに更に導入していただけるよう努力していきたいと思います。
記者:
アスベストの国家賠償請求の件でお伺いします。最高裁が10月27日付けで、 遅延損害金の起算日を死亡時ではなく発症日とした二つの札幌高裁判決に対する国の上告を不受理としましたが、これに対する大臣の受け止めと、今後の対応についてお 聞かせください。
大臣:
工場型アスベスト訴訟の二つの札幌高裁判決について、最高裁において国の上告受理申立てが受理されず、原告の主張を認めた札幌高裁判決が確定したものと承知しております。今後については、法務省とも連携してそれを踏まえた対応をしっかり図っていきたいと考えています。
記者:
社会保障審議会の介護保険部会での議論が昨日から始まりました。一定以上の所得がある高齢者に対する保険料の引上げも議題となっておりますが、応能負担とはいえ高齢者に負担を求めていくことへの大臣の所見をお願いします。
大臣:
介護保険部会では、令和6年度から始まる第9期介護保険計画に向けた議論が始まっておりますが、今の段階で何をやると決めているわけではなくて、どういう課題があるかということについて議論いただいているものと思っておりますので、今後、持続可能な介護保険制度、それから高齢化が進む中でもそれを守っていける、そのために何をすべきなのか、しっかり議論していただきたいと思っております。

(了)