加藤大臣会見概要
(令和4年9月16日(金)13:45~14:10 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 冒頭5件ございます。まず、G20労働雇用大臣会合への出席でございますが、9月13日から14日にかけて、インドネシアにおいて開催されたG20労働雇用大臣会合に出席いたしました。
今回の会合では、コロナの影響を特に強く受けた弱い立場の方を念頭に、「共に回復すること(recover together)」をテーマとして、障害者の労働市場への統合、地域のニーズに応じた職業訓練などについて、活発な議論が行われました。
私からも、我が国における障害者の雇用支援や「人への投資」に関する取組を紹介いたしました。
また、来年、我が国がG7労働雇用大臣会合を主催することも念頭に置きつつ、インドネシア労働大臣、ドイツ連邦労働社会省政務次官、ILO事務局長ともバイ会談を行ったところであります。
二点目でありますが、本日の閣議で官房長官から、来年のG7広島サミットについて、保健大臣会合は長崎県長崎市、労働雇用大臣会合は岡山県倉敷市にて開催するとの報告がございました。開催時期については、今後関係者と調整の上、決定してまいります。両大臣会合の円滑な実施に向けて、今後、厚生労働省内に準備本部を設置し、開催地の自治体等と連携しながら、準備を進めてまいります。
三点目、今日の閣議で、「令和4年版 厚生労働白書」を報告いたしました。
今回の白書では、「社会保障を支える人材の確保」と題して、現役世代が急減していく人口構造を踏まえ、医療・福祉サービスの就業者数の見通しを整理するとともに、担い手不足の克服に向けた医療・福祉サービスの提供の在り方や、人材確保に関する今後の対応の方向性をテーマといたしました。
厚労省としては、この白書の内容も踏まえ、多様な人材の確保や参入促進、イノベーションの推進などにより、安定的な医療・福祉サービスの提供に取り組み、国民の皆さんが安心して暮らしていただける社会の実現を目指してまいります。
四点目は、今日の閣議で、百歳の高齢者へのお祝い状と記念品の贈呈について報告いたしました。詳細については、お配りしている資料のとおりでありますので、そちらをご確認ください。
このたび百歳を迎えた方々の長寿をお祝いするとともに、多年にわたり社会の発展に寄与してこられたことに心から感謝を申し上げたいと思います。
最後に、本日、大臣、副大臣及び大臣政務官の人事異動に伴う資産公開を行うということであります。私の方からは以上です。
手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年9月16日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。
質疑
- 記者:
- 先日薬事承認を受けて、来週以降、高齢者や医療従事者を対象にオミクロン株対応ワクチンの接種が始まりますが、改めて、このワクチンの意義とどのように接種を進めていきたいかお聞かせください。また、先日もファイザー社からBA.4/BA.5の対応ワクチンの承認申請をされるなど、新ワクチンのために打ち控えをする人が出てくる懸念もありますが、どのように対応されていくお考えかお聞かせください。
- 大臣:
- まず、オミクロン株対応ワクチンの接種については、一昨日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で審議され、初回接種(1・2回目接種)を完了した12歳以上の全ての方を対象に、前回の接種から少なくとも5か月以上の間隔を空けて1回接種する方針が了承されたところであります。
本日、関係の改正法令を公布し、来週9月20日から、接種を開始できるということであります。
新型コロナはこれまで毎年、年末年始に流行しているということもあります。そうした中で先週、今も申し上げましたが、接種間隔について、前回の接種から少なくとも5か月以上の間隔を空け、1回接種を行うこととされているが、薬事・食品衛生審議会における議論を踏まえ、今後、海外の動向、有効性、安全性等の情報を踏まえ、接種間隔を短縮する方向で検討し、10月下旬までに結論を得たいと考えております。
それらを踏まえて、初回接種を完了し、接種を希望する12歳以上の全ての方が、本年中に接種を受けられるよう見据えて、自治体とも連携して準備を進めていきたいと考えております。
さらに、職域接種についても、実施する方向で各省庁を介して、それぞれの希望される企業との調整を行っているところであります。
これらを通じて、1日100万回を超えるペースの接種体制を整備することとし、ワクチン接種の加速を図っていきたいと思います。
オミクロン株対応ワクチンについては、従来ワクチンを上回る重症化予防効果や、短い期間ではあるものの感染予防効果や発症予防効果が期待されること、また、今後の変異株に対しても有効である可能性がより高いと期待されているということであります。
国民の皆様におかれては、既に市町村から接種券が来ている方もいらっしゃると思いますし、これから来られる方もおられると思いますが、ぜひ今回の予防接種を検討していただきたいと思います。
また、特に現在実施中のワクチン接種の対象となっている方については、現在も引き続き感染状況が高い水準が続いておりますので、オミクロン株対応ワクチンの接種を待つことなく、その時点で活用できるワクチンを速やかに接種していただくことが重要であると考えており、そうしたことも踏まえて引き続き接種をご検討いただき、接種していただければと思います。 - 記者:
- G7の関係閣僚会合について、今回、開催地の一つが大臣の地元である岡山県内で開催するということでありますが、それに対する受け止めと、開催に向けての意気込みをお願いいたします。
- 大臣:
- 労働雇用大臣会合が地元での開催となったこと、これは大変有り難く思っているところであります。倉敷は、大原美術館、倉敷の美観地区もありますし、以前教育大臣会合をやったと記憶しております。
さらに、紡績業を起こした大原家により、1921年には労働衛生に関する民間の研究機関である倉敷労働科学研究所が設立されるなど、早くから働く人に注目した取組が進められてきたという土地柄でありますので、そうしたことも踏まえて倉敷市で労働政策の議論を尽くしていく、また併せて、これは倉敷だけではありませんが、幅広い地域の発信に繋がることを期待したいと思っております。
また、保健大臣会合も長崎市で開催されますが、観光の面で魅力のある地域であることはもとより、高度感染症研究センターや我が国有数の熱帯医学研究拠点である熱帯医学研究所を有する長崎大学を中心に、世界の医療や公衆衛生分野の発展に貢献してきた街であり、国際社会における感染症対策の議論を行うのにふさわしい土地ではないかと考えております。
先ほど申し上げましたが、それぞれの労働雇用大臣会合、また、保健大臣会合に対しても、開催地の自治体とよく連携しながら日程の設定をはじめとして準備を進めていきたいと思っております。
また、テーマについてはこれから関係者、関係国と議論することになりますが、国際保健や労働政策の分野におけるG7共通の課題について、特に今回はコロナ禍でもあるわけですから、そうしたことも踏まえて議長国として議題の設定等に努めていきたいと思います。 - 記者:
- 新型コロナとインフルエンザの同時流行についてですが、今週のアドバイザリーボードでも懸念が示されていましたが、厚労省としてはワクチンの同時接種を受けやすい体制を作るですとか、何か具体的に対策を検討されていますでしょうか。
- 大臣:
- 一昨日(14日)のアドバイザリーボードで、インフルエンザとの同時流行を想定した課題について、議論が行われたところであります。
まずは、現下の新型コロナの感染拡大に対して、しっかり取り組んでいくということでありますが、今後、専門家の意見を聞きながら、新型コロナワクチン接種の推進も含めた保健医療体制の強化に努めつつ、感染が再び拡大した場合、あるいはインフルエンザとの同時流行、これらも念頭に、具体的対策を作り上げて、進めていきたいと考えております。
新型コロナワクチンとインフルエンザの同時接種については、7月22日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、安全性と有効性の面から議論いただき、実施可能とされたところであります。
今季のインフルエンザワクチンについては、政府からも働きかけを行い、製薬企業において増産への努力をいただいた結果、過去最多となる約7,042万回分の供給が見込まれているということであります。
まずは、インフルエンザワクチンを10月から11月、あるいは年末にかけて打っていただくことになりますので、これらをしっかりと高齢者の方々を中心に接種を打っていただきたいと思いますし、コロナに関しては先ほど申し上げたように、それぞれ皆さんのタイミングに応じて接種していただきたいと思っております。
従って同時接種できるかというのは、両方のタイミングが重なるか重ならないかということもありますから、一律に云々と申し上げるわけではありません。これまでは重ならないようにと申し上げていましたが、重なっている方に関しては、同時に打つことが可能でありますから、その点も踏まえて接種を進めていただければと思いますし、併せて我々としてはこれから秋、冬にかけて、インフルエンザワクチン接種とコロナワクチン接種が同時並行で進みますので、円滑な接種を行っていけるようしっかりと準備を進めていきたいと思います。 - 記者:
- 先週9日、障害者権利条約に基づく審査を踏まえて、国連が日本政府に対して勧告を発表しました。勧告では、特別支援教育の中止や精神科病院の強制入院を可能とする法的規定の廃止が求められました。
また、入所施設から地域社会での生活に移行できるよう政府の予算配分を変えることや、相模原市で起きた障害者施設殺傷事件の検証をすることも盛り込まれています。
勧告に対する大臣の所感と、厚労省として今後どのように取り組んでいくお考えかお聞かせください。 - 大臣:
- まず、8月22日、23日に、条約批准後、初めてとなる障害者権利条約の取組状況についての審査を国連の委員会から受け、9月9日に総括所見が出されたところであります。
我が省に関連する事項としては、今の質問の中にもありましたが、精神障害者に対する非自発的入院の見直し、障害者の地域社会での自立した生活の推進など、多岐にわたる事項が含まれていると思います。
この総括所見はご承知のとおり法的拘束力を有するものではありませんが、障害者の希望に応じた地域生活の実現、また一層の権利擁護の確保に向けて、今回の総括所見の趣旨も踏まえながら、関係省庁とも連携して、引き続き取り組んでいきたいと考えております。
障害福祉や精神科医療に関しては、障害当事者も参画する関係審議会や検討会で議論を進めてきました。本年6月には、施設や精神科病院の見直し、障害者の地域生活の推進についても、その課題や見直しの方向性について報告され、具体的には医療保護入院について入院期間を定めること等が含まれているところであります。そうした見直しの方向性も踏まえて、具体的な体制をしっかりととっていくよう引き続き努力をしていきたいと思っています。 - 記者:
- 冒頭にありました資産公開についてお伺いします。ご自身の資産についてご見解と、現在の資産公開制度に関するご認識を教えてください。
- 大臣:
- 資産公開制度については、公職に就いている人間として国民から疑惑を受けられないように制度が設けられていると承知しておりますので、私自身もそれに則って公表させていただくということであります。
- 記者:
- WHOのテドロス事務局長が14日の記者会見で新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の現状について「まだ到達していないが、終わりが視野に入ってきた」と述べました。この発言の受け止めと、世界と比べて日本における感染状況をどう見ていらっしゃるか教えてください。
- 大臣:
- まず、今回の記者会見だけではなく、ある部分だけ強調されるところがあるのではないかなと思ってニュースを見させていただきました。というのも、テドロス事務局長の記者会見では「パンデミックを終わらせる戦いのなかで最も優勢な立場にある。まだ対策は終わりではないが、終わりが視野に入ってきた。」ここからはマラソンに例えながら「今は走るのをやめるには最悪の時だ、今こそ一生懸命に走り、必ずゴールして、これまでの苦労に報いなければならない」と発言されているわけであるので、引き続きの対策の必要性はおっしゃっておられますし、その対策を進めるにあたって今が非常に重要だということをおっしゃっておられるのではないかと思っております。
我が国の感染状況については申し上げませんが、重症化リスクのある高齢者などを守ることに重点を置いた形で、この間発表した、Withコロナの新たな段階へ移行措置を進めているところであります。
9月8日には全体像もお示しさせていただきました。今後とも、Withコロナにおける感染対策のあり方について引き続き検討しながら、必要に応じて対策の見直しを行っていきたいと思っております。同時に、今日、分科会が開かれまして、第6波と第7波を踏まえて第8波となる次の感染拡大に向かってどう取り組んでいくのかという議論がスタートしているところでありますし、当然我々の方でもそうした議論をしているところでありますので、引き続き我々としても、今の第7波は減少の方向に向かっているということではありますが、これまで年末年始に2年続けて感染が増えてきたという経緯もありますから、しっかり緊張感を持って取り組んでいきたいと思っています。 - 記者:
- 直接厚労行政には関係ないのですが、明日で日朝首脳会談から20年が経ちます。拉致問題に進展がなく、家族会の方々の高齢化が進んでいますが、拉致問題担当大臣を長くされていた大臣の受け止めをお願いします。
- 大臣:
- 2002年に5人の被害者の方が帰国されて以来、1人も拉致被害者の方の帰国が実現できず、また、それに向けての具体的な道筋も作り上げることができなかった。私も都合4年、拉致問題担当大臣をさせていただきましたが、大変痛恨の極みであり、拉致被害者の方、ご家族、またご支援をされている方々に本当に申し訳なく思っているところであります。
拉致問題は言うまでもなく、我が国の最重要課題であります。また、日本国政府が前面に立って取り組むべき問題でもあります。岸田総理は、金正恩委員長と直接向き合うという決意もお示しされているところでありますので、政府では拉致問題の解決に向けて、様々な機会を活用してチャンスを逃がすことなく努力を行っていかなくてはならないと思います。
この間、有本さんのお母さんや横田さんのお父さんである横田滋さんは肉親の帰国を待ちながらお亡くなりになられました。時間がないということは数年来言われているわけでありますが、本当にそこまで来ているということをしっかりと我々も受け止めながら、全力で取り組んでいき、全ての拉致被害者の方々が一日も早く我が国に戻ってこられる、そのときを作り上げていきたいと思っております。 - 記者:
- コロナ対策なのですが、今日の分科会でコロナがいずれは普通の病気になったときは、今後のロードマップを描いていくのがいいのではないか、国としてそういうものを作る機会があってもいいのではないかというご発言があったということで、尾身さんが先ほどブリーフィングで紹介くださいました。そういったロードマップを作ることについては、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
- 大臣:
- まず今日の分科会は、それぞれ皆さんがこの第6波、第7波を振り返りながら改善すべき点等についてご発言があったと承知しておりますので、特段今の段階で分科会としてそういう方向性が示されたわけではないということが一つだと思います。それから、今、私共としては先ほど申し上げたように、重症化リスクのある方に重点を置きながらWithコロナに向けて移行していくというのが基本的なスタンスでありますし、それに向けてこれまでも一つ一つ施策をとってきたところであります。同時に年末にまた感染拡大する可能性があることを念頭に置きながら、それに向けて医療提供体制等についてもう一度チェックしながら、特にオミクロン株における病状等も踏まえて的確な体制をとっていくというのが今の私たちのスタンスであります。
- 記者:
- いずれ方向性としては、そういったロードマップは描くべきだとお考えですか。
- 大臣:
- 最終的に、2類、5類のご議論もありますが、この議論も元々ウイルスが持つ感染力や重篤性等を踏まえながら判断されてきている、そしてそれに対して現時点ではまだ具体的な措置の見直しはしていますが、位置づけについて変える状況にないということは、これまで申し上げてきているところであります。
- 記者:
- 厚生労働白書のことでお伺いします。厚生労働白書の中で、2040年に100万人の医療・介護人材の不足が指摘されていますが、大臣も先ほどICTや処遇改善一時金を活用されるとおっしゃっていらっしゃいましたが、実際このまま人材不足が続いて医療・介護分野で100万人の人手不足が起こった場合、どんなことが危惧されるのでしょうか。大臣のご意見をお聞かせください。
- 大臣:
- これまでも申し上げてきましたが、高齢化が進む中で医療・介護に対するニーズが拡大している。他方で今の我が国の人口構造を考えると現役世代がますます減少していく。そういう中で需要が増えていくが、供給を支える人材はなかなかそれに応じたほどは増えない。では、そこはどうしていくのかという議論を重ねてきて、一つは高齢者等における健康管理をしっかりしていただくことによって、いわゆる健康寿命を延ばしていくこと、それから他方で若い方々にいろいろな研修等を行ってそうした方向を目指していただくのと同時に、ICT化、あるいはロボット化、こうしたことを進めていく。こういうことで、今言った需給がマッチングし得るという道筋を示させていただいたと思っておりますので、問題はそれを具体的にどう実現していくのか、またそれを実現していくためにどういう施策を打っていくのか、これを一つ一つ予算の中であり、また制度の中で作り上げていかなければいけないと思っています。
(了)