後藤大臣会見概要
(令和4年7月19日(火)11:35~11:55 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 冒頭発言はありません。
質疑
- 記者:
- 新型コロナウイルスの検査キットについてお伺いします。現在、無料の臨時検査場が駅や空港などに設置され、夏休み期間中の需要の増加が見込まれますが、必要なキットが施設に届かないなどの問題が起きないよう、流通や生産の体制は十分取られているでしょうか。また、今後さらなる増産要請は検討されていますか。検討状況をお聞かせ下さい。
- 大臣:
- 抗原定性検査キットについては、増産について最大限の取組を行った結果として、現在約1億8千万回分以上の在庫がありまして、安定的な流通が可能な量を確保いたしております。
その上で、感染拡大により検査キットのうち特定の製品の在庫が一時的に減少した場合でも、卸売業者、医療機関、薬局等が安定的に購入可能となるように、7月15日から、各製造販売業者における製品毎の在庫状況を定期的に公表しています。
現時点では、検査キットの増産はすぐに必要とは考えておりませんが、今後とも製造販売業者における在庫数や出荷量に加えて、医薬品卸売業者における入荷量や販売量を定期的にモニタリングして、必要に応じて増産要請を検討したいと考えています。 - 記者:
- 感染者が急激に増加している中で、ワクチンの4回目接種について、高齢者や医療従事者だけでなく一般に対象を拡大することについて、改めてになりますが大臣のお考えをお聞かせください。
- 大臣:
- 足下で新規感染者が急速な増加傾向にあります。重症化リスクの高い方が多数集まる医療機関・高齢者施設等において従事者を通じた集団感染が発生し、多数の重症者が発生すること、あるいは医療提供体制に影響が生じることが懸念されます。
このために、従来4回目のワクチン接種というのは重症化予防を目的として行うということでございましたが、ワクチンの感染予防効果が限定的とのエビデンスについて特段変わりはありませんが、いま申し上げたような懸念があることから、重症化リスクの高い方が集まる医療機関・高齢者施設等の従事者を対象とした4回目接種について、審議会(厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会)にお諮りした上で早急に進めることとしております。
その考え方に照らせば、今般の対象拡大について、医療施設・高齢者施設等の従事者でない60歳未満の方に、一般的に4回目接種を行うということには該当しないだろうと考えますが、具体的な対象者の範囲等については、今後、審議会において検討いただくことになると思います。
いずれにしても、重症化リスクが低い方にまで接種を行うということについていえば、今後、ワクチンの特性や感染状況等を踏まえながら、更に科学的知見に基づいて考えていくということになると思います。 - 記者:
- 今週から学校などで夏休みが本格化いたします。感染が急速に拡大しておりますが、大臣の所感と改めて呼びかけなどあればお願いいたします。
- 大臣:
- これまで6度の感染拡大を経験してきており、その都度に国民の実践・経験とウイルスに対する理解の深まり、ワクチン接種、保健医療提供体制の整備、検査体制の整備など進めてきておりまして、新型コロナウイルス感染症への対処能力を高めてきたということはあると思います。
具体的には、自宅療養者に対応する医療機関を1月の1.6万機関から2.3万機関へと増やしていますし、(いわゆる)発熱外来についても合計3.8万機関を確保しておりますし、大方のものについて医療機関名の公表も進めてきました。
また、高齢者施設等における医療支援体制についても、4月22日時点で、全国約5.6万全ての高齢者施設等に対して、感染が発生した場合の、24時間以内の感染制御・業務継続支援チームの派遣を(要請)できる要請・連絡窓口を周知しているほか、5月24日時点で、全国約5.6万の高齢者施設のうち94%の施設において、往診などに協力する医療機関を事前に確保するというようなことで対応を図っています。
「全体像」を作り、それを補正し、今年の春以降もこういう対処能力を強化する中で、今回、再度の見直しを、ということでお願いしているので、そうしたことが進んでいると思います。
そしてもう一つは、現状ですが、新規感染者数は増加していますが、重症者数や死亡者数は低い水準にあり、病床使用率についても、一部の地域で非常に高いところもありますが、そういう地域を除いては総じて低水準にありまして、上昇傾向にはありますが、そうした状況です。
こうしたことを踏まえ、7月15日に、(政府の)新型コロナウイルス感染症対策本部を開催しまして、現下の感染拡大への対応については、行動制限を行うのではなく社会経済活動をできる限り維持しながら、保健医療提供体制に万全を期すこと、医療への負荷に直結する重症化リスクのある高齢者を守ることに重点を置いて、効果が高いと見込まれる感染対策に、機動的・重点的に取り組むこととしております。
こうした基本的な感染対策についての取り組みの仕方でありますが、今後の感染状況については、「最大限の警戒」を保ちつつ、引き続き適宜適切な対応を今後とも図ってまいりたいと考えています。
それから今後、夏休み等があって、人の往来・接触も増えてくるという時期に当たりますので、国民の皆様におかれては、新たな行為規制・行動規制等についてお願いをするわけではありませんが、改めてマスクの着用、手洗い、三密の回避や換気などといった基本的感染防止対策については、しっかりと心がけていただく様にお願いをしたいと思います。
マスクについては熱中症の危険等も指摘をされておりまして、屋外においては近くで話しをされるような場合を除いては、基本的にはマスクをすることを推奨していないということをご説明しているとおりであります。
なお、今後、ウイルスの特性に変化が生じるとか、感染者数の増大、あるいは高齢者等重症化リスクのある方の感染の拡大によって、病床がひっ迫するというような事態が見込まれるようになってくれば、行動制限を含む実効性の高い強力な感染拡大防止措置を講ずることとなるということについては申し上げておきたいと思います。 - 記者:
- 今の質問に関連してなのですが、医療のひっ迫具合、病床は全国的に見ればまだ低水準ということなのですが、一部の地域では保健所の自宅療養者のケアなどが手が回っていないとの指摘もありますが、大臣の現状の認識はいかがでしょうか。また一部の小中学校で修学旅行の取りやめなどの動きも出ていますが、子どもへの影響について大臣のお考えをお聞かせください。
- 大臣:
- まず、いわゆる保健所の手が回らず、自宅療養者にきちんとしたケアができていない地域が出ているということにつきましては、過去の感染者数の最高を超えているような地域について、現状について聞き取り等を行っておりますが、現在のところファーストタッチを当日ないし翌日の間にできていないという地域が発生しているという報告は受けていませんが、いずれにしても、今後感染が拡大していく中で、引き続きしっかりと、保健所の体制を含めてそうしたことについてしっかりとしたフォローアップを行っていく必要があると考えています。
厚生労働省はこれまで、感染者の急増に伴い保健所のひっ迫が想定されることから、自治体にヒアリングを行い、保健所の業務体制を確認するとともに、例えば、具体的な改善に向けたアドバイス等を行ってきたところでありまして、健康観察について言えば、地域の実情に応じてMy HER-SYSなどのシステムの利用だとか外部委託などを活用しつつ、重症化リスクの高い方の健康観察に漏れがないような効率的な体制を敷いていくことをお願いしております。例えば、健康観察を都道府県で、一元的に行うこととして、保健所は健康観察の中でも重症化リスクの高い方について保健所が重点的に当たるような、そういう仕組みを構築するだとか、様々、重症化リスクの高い方の健康観察にも漏れがないような効率的な体制を作ることをお願いしております。
過去の感染拡大時期において、保健所の機能、非常に困難を抱えたことをよくわかっていますので、そうした、これまでの準備も踏まえて、的確に対応できるように進めていきたいと考えております。
修学旅行の実施については各学校等において判断していただくものでありますし、適切な感染防止策を十分講じた上で、その実施について特段の配慮をお願いしているということでありますが、詳細については文部科学省の方に聞いていただければと思います。
全体としての感染の対策については、先ほど長々答弁したとおりなので、改めて繰り返しませんが、そういうことでしっかり警戒感を持って取り組んでいく必要があると考えております。 - 記者:
- 行動規制に関連してお伺いします。先ほどのご回答の中で、医療のひっ迫が見込まれる場合などは、行動制限を含めた対策の強化を検討するとおっしゃいましたが、現状、どの程度まで病床がひっ迫した場合に行動規制が必要だとお考えでしょうか。大臣の現状のご認識をお聞かせください。
- 大臣:
- 今後、BA.5自身の性状を、きちんと分析できるかということや、感染拡大のスピードの状況が前週比が例えば2台であっても相当高いところと相当に落ち着いてきた、現状くらいの数字では、はっきり言って、大分将来への感染についての予想も変わります。そういう感染の状況も踏まえ、そして高齢者の皆様をはじめとしたリスクのある方への感染状況も見つつということなので、いま、具体的にどういう目安だとかを考えている訳ではありませんが、いずれにしても遅くならないように早め早めに見極めながら、リスク管理等しっかりやっていく必要があると考えています。
- 記者:
- 新型コロナのBA.5についてお伺いします。オミクロン株亜種のBA.5について、東京大学医科学研究所が「肺で増えやすい」という実験結果を明らかにしたと、先週報道がありました。
東大医学研は「感染力に加えて病原性も高い可能性がある」としているとのことです。この報道のあと、急激に新規感染者が増加し始めています。
15日の感染症対策本部の資料では「BA.5系統の重症化については、明確なエビデンスはないものの、WHOのレポートでは、既存のオミクロン株と比較した重症度の上昇は見られないとしている」となっていますが、「感染性も病原性も高い可能性」など、BA.5の性質について、現在厚生労働省はどの程度把握できているのでしょうか。まん延して感染者が多数出ないとわからないことなのでしょうか。
「肺で増えやすい」という特徴がわかったのならば、効果的な対策は何なのでしょうか。最近は屋外でマスクを外しても、近くで会話をしなければ安全と東京都医師会も勧めていますが、本当なのでしょうか。よろしくお願いします。 - 大臣:
- BA.5につきましては、感染力に関する明確な知見は示されていないと認識しておりますが、感染者数が増加することは示唆されていると認識をしております。正確な科学的知見ではありませんが、感染者数が急激に増えるということが示唆されているとすれば、結果としては、高齢者等に広がりつつ重症化して、例えば医療提供体制等に影響を大きく与える可能性を持っている、そういう事態につながる感染力について、注意していかなければならないということが、まず一つ言えると思います。
それからいまご指摘の、重症化の問題でありますが、BA.5系統の重症化については、いまご指摘があったように、国内の実験室内データによると、人の肺(の細胞)にBA.5をかけてみると、従来のものに比べて増殖が非常に多いという実験データも出ているという報告がありまして、そういうことから病原性が増加するという可能性も現状で否定はできていないと思います。他方で、WHOのレポートでは、重症度の上昇は見られないとしておりまして、いずれにしても引き続き知見を収集していくことが必要であると思いますし、臨床的にも確認をしっかりしていく必要があると思っております。
なお、マスクについては、従来同様に、基本的な感染防止対策として着用が重要であるということを前提としつつ、先般の、屋外・屋内における取扱いを改めてお示ししたところに基づき守っていただければと思っています。
特に、夏場の屋外でのマスク着用については、熱中症のリスクが高まるために、屋外での活動においては、近距離で会話をするような場合を除いて、例えば、徒歩や自転車での通勤・通学、散歩やランニング、ラジオ体操といったような運動時には、マスクを外していただくようお願いしているのは、これは熱中症リスクということもあって、国民の皆様にはそうしたお願いをしている状況です。
(了)