田村大臣会見概要

(令和3年9月14日(火)11:13 ~ 11:33 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について



大臣:
おはようございます。今日、冒頭私から3件ご報告いたします。
 一つは、幹部職員の人事異動についてであります。本日の閣議で局長以上の幹部職員の人事異動について、内閣の承認が得られました。今回の人事異動での内容については、お配りさせていただいております資料のとおりであります。これら人事は9月14日付で発令をいたします。
 土屋喜久厚生労働審議官が退任いたしまして、その後任に坂口卓、現在の雇用環境・均等局長を登用いたします。女性の登用について、特別に申し上げるというのも変な話なのですが、あえて申し上げますと、官房長に渡辺由美子、そして社会・援護局長に山本麻里を登用します。私からはこの件に関しては以上であります。
 続きまして、百歳の高齢者へのお祝い状及び記念品の贈呈についてでありまして、今日の閣議で百歳の高齢者へのお祝い状と記念品の贈呈について報告をいたしました。これも資料をお配りいたしておりますので、ご覧いただければと思います。この度、百歳を迎えられた方々の長寿をお祝いすると共に、多年に渡り社会の発展に寄与されたこと、これに感謝を申し上げたいと思います。
 続きまして、新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制についてでございますが、変異株の流行、非常に感染力が強いものであります。また、ワクチン接種の進展に伴う患者像の変化、これも率的には重症化される方々がやはりワクチンの効果というもので、一定程度抑えられてくるということがあると思います。それから、中和抗体薬等の治療薬ですね、こういうものが使用可能となったということを踏まえて、今後長期的に感染拡大が反復するということは、これは専門家の方々も仰られておりますので、特に冬場は非常に危惧をされておられるということがございますので、今後の医療提供体制の構築、これを急ぐ必要があるということでございます。
 基本的な考え方について、改めてポイントをまとめて都道府県に事務連絡という形でこれを速やかに発出する予定であります。それぞれの地域の事情というものもあろうと思いますが、コロナ病床を確保する際にその分、一般医療というものにやはり、これ転用するということで制約がかかってきていた、こういうこともございます。
 そういう意味では、他の診療科の医療人材等を動員するということで、いろいろな影響が出てきております。こういうことを勘案した上で、コロナ医療と一般医療とをどう両立をしていくのか。先ほど「反復してこれからも感染拡大が起こる可能性がある」というお話をいたしましたが、そういう意味では、やはりコロナと長い闘いをしていくという形においては一般医療というものをしっかりと確保していかないと、他の疾病等で健康に影響が出る方々もおられます。
 具体的には、病床の確保、今申し上げたとおり一般医療などもございますので、コロナに対する病床の確保も必要ですが、あわせて臨時の医療施設でありますとか、入院待機施設、こういうものをしっかりと病床を補完するような形で機能させていくために整備していくということが非常に重要であろうと思います。
 それから、地域全体での医療提供体制のあり方でありますとか、コロナ患者の病状に応じた、どのような場で療養していただくかというような、そういう考え方をあらかじめ整理しておくこと、これが非常に重要であろうと思います。
 そういう意味では、感染拡大時にやはり自宅、宿泊施設等の療養、これに関して健康管理、在宅での医療の支援でありますとか、急変時の対応ですね、在宅で医療を支援している中で急変なさったときに、即座に必要な入院等の対応ができるか、こういうこと。それから中和抗体薬を始め、これから経口薬も出てくるかもわかりません。そういうものを活用できる仕組みですね、これも整備していかなければならないと思います。
 このような仕組みを機能させるためにはやはりよく言われますが、場所があっただけでは医療は提供できませんので、人材というもの、医療関係者、こういう方々の確保、配置の転換と言いますか、そういうものを行う仕組み、東京などでは感染症法に則ってお願いをしました。即座に感染症法で全国にお願いするという意味ではないです。これは勘違いしないでください。東京都では病床のみならず、人の派遣に関してもご協力いただけるかどうかというお願いをしていただきました。
 そういうことも踏まえて各都道府県でも、再度申し上げますが感染症法16条に則ったという意味ではなくて、一般的なお願いも含めてそういうことも念頭に置きながら、その人材の確保というもの、これをあらかじめ構築しておくということです。これも非常に重要であると考えております。あらかじめできる限りの準備をしておくということ、これは非常に重要だと思いますので、厚生労働省の方からお願いをさせていただいて、各都道府県、いろいろなお願いになると思います。
 なかなかいろいろな問題、課題も出てくると思いますので、課題が出てくれば是非とも国の方にもご相談をいただければ国としても最大限お手伝いをさせていただきながら、そういう体制が組めるように、我々も協力してまいりたいと思っておりますので、そのようなこれから形に入ってまいるということでご理解いただきたいと思います。私からは以上です。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2021年9月14日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
新型コロナウイルスワクチンの2回目の接種を終えた人が、全人口の50%を超えました。3回目接種について、大臣は先日の記者会見で、厚生科学審議会を早急に開いて方向性を決めると発言されましたが、優先順位をつけるかどうかなど、現時点での将来の検討状況を教えてください。あわせて、交差接種について対象をどうするかなどの検討状況も教えてください。
大臣:
3回目の接種については、今ファイザー社でありますとか、モデルナ社が安全性や免疫原性ですね、抗体価の変化など、これを今評価するための臨床試験が実施されていると理解いたしております。また、交差接種については現在一部の免疫効果でありますとか安全性のデータ、こういうものが学術誌に公表されるなどしているということで、こういうような研究を我々もしっかりと分析をしていきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、厚生科学審議会、予防接種ワクチン分科会、これを早急に開催しなければならないと思っております。
 17日を今一応日程として考えておりまして、その中でしっかりとご議論いただきたい、科学的な観点からご議論いただきたいと思っております。結論に関してはなるべく早く出してまいりたいと思っております。
記者:
緊急事態宣言の解除基準についてお伺いします。先週の分科会で示された新しい指標の中に、中等症患者の数というのが追加されているのですが、現時点ではまだ公表はされていません。データはまだ精査中ということですが、月末の解除に向けてデータを公表する考えなどはありますでしょうか。
大臣:
9月8日の新型コロナ対策分科会において提言もされました。感染研(国立感染症研究所)で評価いただいている数値、推計値等を基に、アドバイザリーボードで評価・分析をいただくものと考えておりますが、なかなかこれ実数を掴むのは本当に難しくございまして、なぜかというと日々病態が変化をしていますので、日々の中等症がどれくらいなのかというものを完全に把握しようと思うとかなり医療機関等に負荷がかかってしまって、本来の治療等もやっていただいておりますので、リアルタイムで中等症をちゃんと確認していくというのはなかなか難しいのだと思います。
 一方で、いろいろなデータから推計というものができるのであれば、そういうもの、それが本当に正しいかどうかというのはわかりませんが、要するに解除する、しないという基準にこれを一つ参考にしていこうということであれば、そういうものの傾向というものを一つ参考にしていくということはあるのであろうというお話でありますので、アドバイザリーボードでも相談をさせていただきながら、中等症というものを一つ参考にできるかどうかというお話もございますので、検討してまいりたいということであります。
記者:
大臣も今、リアルタイムで患者を把握することが難しいとはおっしゃいました。次の波に向けてそういうものを把握していく必要はあるのだと思いますが、今後そういうものを把握していくような仕組みをつくるとか、そういう検討はされているのでしょうか。
大臣:
なかなかリアルタイムで全部中等症というのを確認できるかというのは、言われるとおりかなり医療関係者に負荷を与えるので、それが本当にできるのか、できるとしたらどれくらいの手間がかかるのか、どういう影響があるのか、そういうことも分析しなければならないと思います。
 今、検討いただくという意味では、一つの解除等への参考にするということであれば、どういうものが使えるのかという話なので、それは推計から一つ出すという方法がありますよね、ということを専門家の方々からいろいろご提案いただいているということであります。
記者:
都の医師会の関係でお伺いしたいのですが、11日の土曜日に一部のネット記事で都医師会の幹部の病床で、コロナ患者の受入率が低いということをリストを基に報じた記事がありましたが、事実関係を把握しているかということと、もし把握されていない場合は実態を把握する考えがあるか。また、補助金を受けながら受入患者が低い医療機関への対応をどうなされるのかということをお願いします。
大臣:
ちょっとまだこの記事の内容の実態は我々として把握をいたしておりません。瞬間風速なのか常態化しているかによっても違うわけです。前も申し上げましたが、患者の入れ替え時期だとか、それから人の配置の転換時期だとかというのはどうしても病床を全部埋めるということはできませんし、そもそもずっと病床を全部埋めるということは出来ません。
 出た後すぐ入れられませんから、どの時点で切るかによって違ってくるのですが、前も申し上げたとおりずっと入れていないというような状況があればこれは問題でありますから、補助金等の決定もしていかなければなりませんので、そういう実態は東京都の方で今把握していただいている、精査しているとお聞きしておりますので、そういうものをしっかりと我々は報告をいただきながら、最終的に補助金を出す、出さないという話になってきましょうから、判断してまいりたいと思います。
記者:
大臣、先週の閣議後会見で年金制度の制度改革について触れておられたのですが、厚生年金の受取額がもし下がるとしたらどの程度下がる見通しなのか、その厚生年金を基に人生設計を考えているサラリーマンがいると思うのですが、そういうところから不満の声が出ているのかと思いますが、受け止めをお願いします。
大臣:
モデル年金が月々35万円くらいだと思いますが、そのモデルのところでいきますと所得代替率、厚生年金全体ですね。これは基礎年金と報酬比例を合わせた厚生年金、所得代替率は51%から55.6%に上昇いたします。なぜかというと、これから検討するにあたって、財務省ともいろいろな議論をしていかなければなりませんが、基礎年金が増えるわけです。所得代替率が上がるということは。
 その1/2は、これは税負担になりますので、その分税負担が増えることになりますから、モデル世帯では51%から55.6%に上昇します。(モデル年金の)世帯収入は35.7万円でした。そこのモデル(年金)のところです。ここが51%から55.6%に上昇すると、上がるということです。
 しからば、どれぐらい下がるかということですが、これ一定のモデルを置いておりますのでその中での話になりますが、夫婦二人の合計賃金が月150万円、これ以上になってくると、現行と比べて所得代替率は下がると、かなりの所得の高い層ですね。
 これなぜかというと先ほど申し上げておりますとおり、本来はこのままマクロ経済スライドがずっと基礎年金にかかり続けると基礎年金が目減りしていきますから、それに対して公費が1/2入ってきますので、それが要するに目減りしないようにしますから公費の負担が増えるということになりますから、これ本来は始めの制度設計では、そこまで基礎年金の1/2負担が減るという話ではなかったのです。
 それがマクロ経済スライドでずっと下がっていくということになるということでございますから、本来に近いとは言いませんが、本来の方向に向かって戻していくイメージと捉えていただければ有難いと思います。でありますから、ご心配のお声があるとお聞きいたしておりますが、先ほど申し上げました世帯で月150万円、年収でいきますと1,790万円、これ2019年水準でありますが、(その金額)未満の世帯では現行水準と比べて上昇するという、所得代替率が。そういう試算を一応した上での話をさせていただいたということでございます。
記者:
児童・生徒への新型コロナワクチンの接種が進められていると思いますが、これまで18歳未満の新型コロナウイルスで亡くなった人は0人だと思われます。10代の重症者が1名、8月25日までの計算で厚労省のホームページで掲載されています。一方新型コロナワクチン接種後の重症者は10歳~19歳まで44人と、先週10日の副反応検討部会の資料で提示されています。ファイザー製26人、モデルナ社製18人です。このように、子どもへの新型コロナワクチン接種は意味がないばかりか、リスクだけが存在すると思います。大臣、中止するお考えはありませんか。
大臣:
まず世界的にそれぞれのワクチンメーカーのいろいろな臨床試験の上で、そういう方向で年齢が引き下げられて、世界中でワクチンを接種しているというのが一点、それからワクチンを打つと一定の、これはデルタ株になって若干効果が下がっているという話もありますが、一定の感染に対する、感染を止めるための効果もあると、今世界中でいろいろな研究が出ておりますよね。
 今言われている一つは、子どもがうつられて家庭に帰ると、家庭、お父さんお母さんとどうしても濃厚接触になりますから、お父さんお母さんにうつる、もしくはおじいちゃんおばあちゃんにうつる。今40代・50代の重症化リスクもデルタ株になってから非常に上がってきておりますので、そういう意味からしますと、そういう年齢のお子さん方が親にうつす可能性、逆もありますけどね。親が子どもにうつすということもありますが、そういうこともある。
 つまり社会全体のいろいろなリスクを考えた場合に、それは子どもに対して打つということも考えられる中で世界中がそういう方向で臨床試験等の結果を基に子どもたちにも、これは子どもたちといっても元々は18歳、16歳以上だったのが、今年齢が若干下がってきているということなので、日本の国も専門家の方々にご評価をいただいた上で、そのような方向で決定をさせていただいているということであります。
記者:
自民党の総裁選の関係でお伺いします。現在、立候補を表明されているお三方がそれぞれ省庁再編を訴えておられます。中でも、河野太郎さんは、社会保障制度の抜本改革が必要だが、厚生労働大臣の負担が重すぎるとして、厚生労働省を厚生省と労働省への分割や特命担当大臣を置くことの提起をされています。大臣、厚生労働行政に造詣が深く現職の大臣でもあられますが、分割の必要性なり特命担当大臣を置くことの必要性についてご所見をいただければと思います。
大臣:
自民党の総裁選の話なので、厚生労働大臣としてここでそれに対してのコメントをすること自体は差し控えさせていただきます。一方で、厚生労働省の業務というのは非常にやはり多くなってきている。これは年々、社会保障の財政的に見ても非常にその割合が増えてきているということもございます。
 一定程度、今、人は増やしてきていただいておりますが、まだまだ厳しい中において、厚生労働省の機能というものをよりパフォーマンスを上げていくという意味では省庁再編という意味ではなくて、不断のいろいろな改革はしていかなければならないと存じております。改めて総裁選のことに関してのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

(了)