田村大臣会見概要

(令和3年9月3日(金)10:44 ~ 11:02 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
まず、私からは今日ございませんので、ご質問いただければお答えします。

質疑

記者:
まず最初にワクチン接種後の社会経済活動に関するロードマップについてお伺いします。緊急事態宣言下でも、接種した人への飲食店での酒類の提供や県をまたいだ移動など行動制限を緩和するロードマップが専門家から提言される見通しですが、政府としての検討状況や、いつ頃公表されるのかお聞かせください。2つ目ですが、昨日東京都が病床確保要請に対して新たに150床を確保したことがわかりました。目安としていた7千床には届いていない状況なのですが、大臣は現時点の結果をどう見ていて、今後更なる要請が必要と考えられるか教えてください。
大臣:
まず1点目は、今日分科会でご議論いただくということでございます。そこでいろいろな意見が出ると思いますので、我々はそれをしっかりと参考にしていかなければならないと思っております。もちろん日常生活に向かって完全に戻らないにしても、いろいろな動きはしていかなければいけませんが、一方で感染が完全に今抑えられているわけではありません。
 そういう中でワクチンの接種が進んだときの姿というものを出す。これも非常に重要なことだと思いますが、一方で、病床をしっかりと確保しないと、感染が拡がったときに対応できませんから、当然そういうもので経済を動かしていくということを前提に、各地域で病床をしっかり確保いただく、臨時の医療施設という形になるのだと思いますが、そういうことを対応いただくことも重要でございますので、そこは強く、我々厚生労働省としては各都道府県の皆様方にはお願いをしていくことになるのだと思います。
 それから東京の話がございましたが、これ(東京都の資料)を見ますとまだ(回答率が)9割で残り1割の報告が返ってきていませんので、そこがどうなるのかちょっとよくわかりません。増えている病床数よりも、既に厚生労働省がお願いをして把握している病床数の方がこれよりも多くなっておりますので、たぶんこれより多いのだと思います。でないと計算が合いませんから。まだ集計中ということなので途中の数字を出されてきていますから、最終的に残りの1割の医療機関が出てくればもう少し積み上がってくるのだろうと思います。
 特に、これを見ると重症者の病床を比較的多く確保いただいている。これも非常に重要なことでございますので、これはこれでご努力いただいたと思います。全体7千に追いつかないというようなお話もございましたが、まだこれも蓋を開けてみないとわかりませんので、何とも言えません。
 先ほどお話をしましたが、実際、国だけでNHO(国立病院機構)でありますとかJCHO(地域医療機能推進機構)でありますとか労災病院・日赤・済生会などで190床を増床する方針であると聞いておりますので、今申し上げましたこの数字よりも多いということを考えると、これより上積みになってくるのだと思います。その上で、たぶん今の医療機関、病院にお願いするというのにももう限界があると思います。
 それは、一般医療がございますので当然、一般医療の皆様方で必要な医療を割いてコロナに(すべて)移すことはできませんから、当然のごとく前から申し上げているとおり、元々限られた医療人材の下で通常の医療を診ていただいているわけで、そこにコロナという新しい疾病、感染症が入って負荷がかかっているということを考えると、やはりこういう病院の病床でお願いをするのは限界が来ているということだと私は思っております。それ以上負荷をかければ、それこそ一般医療に大変な影響が出てくるということは当然の話でございます。
 今回非常に注目いたしておりますのが、病床だけではなくて(感染症法)第16条の2に基づく要請の中に、要するに人材派遣というものがあるわけで、都が要請した98施設が人材派遣には応じるというようなお声はいただいております。また医師・看護師養成機関に関しても19施設が要請に応じるということで、医療人材、マンパワーの要請に応じていただけると、これは非常にありがたい話であります。
 どれくらいの人数が確保できているかはまだ我々も把握しておりませんが、となると、やはり臨時の医療施設等でより効率的に対応いただいて、コロナの病床を確保していかなければならないという話になりますので、それを先般の知事会でも、私の方から知事会の方にお願いをさせていただきました。
 特にもちろん今、足下は若干感染拡大が止まって高止まりというような状況になっております。これまた、冬場にどうなるかわからないので、昨年の状況をみると寒くなってくるとやはり換気の問題もあるのでありましょう、感染拡大が非常に拡がったということもありますから、それに向かってやはりもちろん足下のための確保も必要ですし、更に冬に向かっても更なる病床の確保というもの、臨時の医療施設等での対応というもの、これをお願いさせていだたきました。これに関しては、再度我々厚生労働省として、それぞれの都道府県と、今も実は47都道府県の担当者の方々、副知事さんと連絡をとって我が省の担当者のメンバーからいろいろなことをお願いしているのですが、そこは精緻にどれくらいの病床が必要になるのかということも含めて準備をいただかなければならないと思っております。
 いずれにいたしましても、急激な感染(拡大)というものが今回あったわけでありますが、こういうことが起こっても一定の医療提供というものがしっかりできるようにしていかないと、これは在宅での対応も入ってきますけれども、やはり国民の皆様方の健康、生命を守れませんので、デルタ株対応というものをしっかりと全国で進めていくということが非常に重要であります。
 その体制もしっかり厚生労働省が協力をさせていただきながら全国に対応をお願いしていきたいと思っております。いずれにいたしましても、今回のことは今回のことでよくご努力いただいて、各医療関係者の方々にご協力をいただいたと思います。
記者:
今の病床に関連してなのですけれども、病床確保の動きが続いているものの、まだ病床使用率が50%を下回らない地域も多くある中で、緊急事態宣言の期限を迎える中で解除できるのかどうか、見通しについてどうでしょうか。
大臣:
新規感染者数を見るとなかなか厳しい状況であることは間違いないです。東京一つとって見てもステージ4ですと、(新規感染者数が)人口10万人あたり25人、500人くらいですか。ちょっとなかなか難しいというのが本当のところだと思います。以前から申し上げておりますが、今までも新規感染者だけでなくて、病床使用率等も踏まえて判断をしてまいりました。ここに関しても専門家の方々も今いろいろな検討をして、デルタ株に対応した基準というものが何であるべきかという、そういう検討をいただいておると思います。これがやがて出てくるのではないかと我々は思っておりますので、そういうものも踏まえて解除する、しないということを最終的に判断させていただくということであります。
記者:
そうすると専門家の基準というのは12日よりも前に出てくるということになるのでしょうか。
大臣:
今ご検討いただいているのではないでしょうか。出てくるのかどうかというのはもちろん最終的には専門家の方々の判断になると思いますけれども、今検討いただいているのだと認識いたしております。
記者:
学校の休校の対応についてお伺いしたいのですが、一昨日の加藤官房長官の会見で、コロナによる休校に伴って仕事を休む労働者を支援する助成制度について、企業からだけではなくて個人からの申請にも対応できる仕組みを厚労省で今検討しているとの発言があったのですが、具体的にどのような仕組みとなっているのかについてお聞かせください。
大臣:
今現状では両立支援助成金の中の、新型コロナウイルス感染症の対応特例というものを設けてやろうということでありますが、個人の申請というようなお声もありますので、今までは、我々として対応してきた様々な制度、例えば本年3月までに関しては休業支援金給付金というような形の対応もございました。今どのような対応をするかについて検討中でございますが、個人で申請していただける分も含めて必要な対応をしていかなければならないと思っております。
記者:
9月末の自民党総裁選について伺います。菅総理を支持するかしないか、その理由もあわせて教えてください。
大臣:
私、菅内閣のメンバーでございますから、当然のごとくご理解いただければありがたいと思いますし、総裁選は申し訳ありませんが、私の頭が総裁選のそういう対応になっておりません。あくまでも新型コロナウイルスの感染症の状況でいっぱいでございます。もちろん他の厚生労働行政もありますが、今そこまで考えている余裕がないということでご理解ください。
記者:
菅総理を支持するということであると。
大臣:
菅内閣のメンバーであると申し上げれば当然ご理解いただけると思います。
記者:
今のコロナの感染拡大について、東京オリンピック・パラリンピックが開催されたことによる影響がどのように考えられているかお伺いします。五輪関係者から市中に感染が拡がったという事例は、改めてですが確認されているのでしょうか。
大臣:
これ本当は、内閣官房のオリパラ事務局にお尋ねをいただくとありがたいと思いますが、8月20日の感染研の速報で、7月1日から8月8日までのHER-SYSに登録された東京オリンピック競技大会に関連する症例、これが453例あったわけでありますが、このうち海外からの渡航者147例、一方で国内居住者306例でありました。アスリート等の症例が80例。大部分が海外からの渡航者76例であり、かつ、入国から14日以内に診断された例が71例ということであります。
 現時点で、こうした海外から来られた渡航者に関連して市中に感染が拡がったという事実は確認していないということでございます。そのような形で感染研の方から速報は流れているということでございます。詳しくは申し訳ありませんが、オリパラ事務局にまたお聞きをいただければありがたいと思います。
記者:
新型コロナ治療薬についてお尋ねします。抗体カクテルが登場しましたが、点滴薬で自宅では使えない。その一方で、飲むタイプ、経口の治療薬の開発が進んでいるとお聞きしています。開発の現在の状況と意義、課題として感じている部分があればお尋ねしたいです。
大臣:
これは令和二年度の第三次補正(予算)で、この治験参加医療機関の治験のいろいろな業務に対する支援でありますとか、そういう費用で約70億円を措置して対応しているところでありますが、今、PMDAの方でいろいろと相談に応じているということでありますが、どういう状況かというと、例えばMSD(株式会社)の経口抗ウイルス薬でありますが、これが第Ⅲ相治験の最終データが9月から10月くらいに得られる見込みだとお聞きをいたしております。
 また、ファイザー社のこれも経口抗ウイルス薬でありますが、これは第Ⅲ相の治験に、10月に主たる評価が完了する予定とお聞きをいたしております。塩野義(製薬株式会社)もこれ今開発されているのですが、7月26日にこの経口抗ウイルス薬でありますが、国内の第Ⅰ相治験を開始したということをお聞きいたしております。
 それぞれ、今治験中ということでございますので、我々としても早く申請をいただいて、申請が来れば特例承認という形になる可能性があると思いますが、なるべく早く国民の皆様方にご提供できるようにしていきたいと思います。
記者:
コロナワクチン接種後の死亡事例について伺います。2月17日から8月8日までに報告されたワクチン接種による死亡事例が991件となっています。そのうち「ワクチン接種と死亡の因果関係が評価できない」が986件、その評価できない理由が情報不足となっています。一体どのような情報が不足しているのでしょうか。また、この評価内容はどの程度当事者たちと共有されているのでしょうか。死亡事例自体は991件ですが、医師が報告しなかったり、そもそも自宅療養など医療機関に受け入れられなかった事例を含めると、実際の数は増加するはずです。厚労省は、因果関係の評価手続、そして被害者補償の内容や手続についてもっと積極的に情報開示すべきではないでしょうか。最後に、現行の中等症Ⅱ以上は自宅療養という方針を止めて、即入院とし、隔離と検査の拡充を速やかに行うべきだと思いますが、この方針転換は政権が変わらないと無理なのでしょうか。
大臣:
最後のところは、中等症Ⅱ以上の皆さんは今、入院いただいておりますので、Ⅱ以上の方は入院をいただく体制をしっかりと組んでおります。
記者:
中等症Ⅱ以上ということで。
大臣:
だから中等症Ⅱ以上の方がおられれば本来入院しないといけないわけです。ところが、病床が足らない地域がありますので、それは臨時の医療施設を作っていただいてでも入院できるような対応を、今お願いし協力をさせていただいているから、この間の要請にもなったわけで、病床をしっかり確保している最中ということです。
 それと前段のところですが、評価できないところに関してどういう内容かというのかは、私も事細かく一つずつ事例を見ているわけではないので、これは事務方にご確認をいただければありがたいと思います。いずれにいたしましても、救済制度があるということ、これをちゃんと伝えていくことは、これは言われるとおり大切でございますので、まだ十分伝わっていないということもあろうと思いますので、更に徹底して広報等に努めてまいりたいと思います。

(了)