田村大臣会見概要

(令和3年7月16日(金)11:21 ~ 11:35 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
おはようございます。私から1件ご報告をいたします。「令和3年版労働経済の分析」ということでございまして、今日閣議で報告をさせていただきました。いわゆる「労働経済白書」というものでございますが、今回の白書は、「新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響」、こういうものをテーマといたしております。
 女性の非正規で働く方々、雇用労働者への影響が大きかったこと、また、雇用調整助成金等の対策により失業が抑えられたというようなこと、そしてまた、医療や介護など本当に不可欠な分野で働く方々が、意欲を持ち充実した形で働き続けられるため、人員体制の強化や柔軟な働き方、こういうものを実施することが重要であるというようなこと、更にはテレワーク等の定着をということで、企業によるマネジメント上の工夫、こういうことに関しまして重要性等の分析をいたしているということでございます。私からは以上であります。それではご質問いただきたいと思います。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2021年7月16日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
東京の新規感染者数は2日続けて1000人を超え、昨日は1308人と勢いが止まりません。来週から連休と共に東京五輪が開催されます。今後の感染状況の見通しや緊急事態宣言の効果、五輪に与える影響についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
緊急事態措置を東京に発令してまだ間もなくて、発令までの2週間は、普通でいえば人流のことを考えると増えることが前提でありますので、今現状の緊急事態措置の影響がこの足下の数字に表れているわけではないということはご理解いただけると思います。
 若干梅雨の関係で、緊急事態措置を出す前も夜間の滞留人口は抑え気味であったということは事実でありますし、緊急事態措置を出した後の月・火の数字をアドバイザリーボードで評価をいただいたのですが、そこは微減ということであります。それがそのまま新規感染者の抑制に繋がるかどうかということについては、(新規感染者が)一定数まで増えてきますと、(人流が)若干減ったくらいでは新規感染者数が減少するかどうかはわからないということもございますので、何とも言えないわけでありますけれども、いずれにいたしましても、今までのようにどんどん夜間の滞留人口等が増え出すと、(新規感染者も)同じようにぐっと伸びていくということになりますから、緊急事態措置を出した後の人流、特に夜間の繁華街の滞在人口でありますけれども、こういうものを我々は注視させていただきながら、これからの新規感染者の方向性というものをある程度予測をしながら対策していかなければならないと考えております。
 いずれにいたしましても、オリンピックはオリンピックで、もう今開催の予定でどんどん関係者の方々が国内に入ってきております。そこのところの感染抑止対策をプレイブックに則ってしっかりとやっていただくと同時に、やはり国内でお迎えする我々もこのオリンピックというものの本来の趣旨、これは本当に、分断ではなくて、友情でありますとか連帯でありますとか、そういうような想いの中でフェアプレー精神に則ってということでありますので、ルールに則ってしっかりと世界を一つにしていくというのが1つの目標でありますので、やはり心を一つにして、今世界的課題である新型コロナウイルス感染症との戦いをいうものもこのオリンピックでのひとつの大きなメインテーマになってくるのだろうなと思います。
 ですから、是非とも、これはいつも申し上げておりますし、この間から東京医師会の尾崎会長から同じ思いでいろいろなところで私どもと思いをひとつにしていただいておりますけれども、自宅でいつものメンバーで観ていただく、応援していただくオリンピックにしていただいて、自宅にいていただく分には感染が拡がるリスクというのは抑えられるわけでありますので、ぜひとも感染拡大を抑えていけるような、そんなオリンピックにしていきたいと思っております。
記者:
広島への原爆投下後に降った「黒い雨」を浴びたとする住民が被爆者と認めるよう求めた訴訟の控訴審判決が原告勝訴となりましたが、受け止めと、上告するかどうかについて検討状況を教えてください。
大臣:
これ今現在裁判の内容を精査している最中でありますので、今後の対応といたしましては関係省庁や広島県、広島市と協議をしてまいりたいと思っております。
記者:
最低賃金についてお伺いします。全国一律で28円引き上げとする目安が小委員会でまとまり、本日答申されました。今後地方審議会の議論が本格化される見通しですが、今回の結果の受け止めと、地方審議会での議論に期待することを教えてください。
大臣:
昨年度は目安というものは示さなかったのですけれども、全国加重平均が結果的に1円(引き上げ)に止まったということであります。今回28円(引き上げ)ということで答申をいただくわけでありますけれども、残念ながら意見が割れたということだと認識しております。ただ、賃金の賃上げの流れというのは継続したと認識しているわけでありますけれども、我々、できるだけ早期に全国加重平均1000円を目指すということでございますので、そういう意味では賃上げの流れというのは維持できたと思っております。
記者:
オリンピックのプレイブックについて大臣触れられていたと思うのですけれども、このオリンピックのプレイブックを巡っては既に遵守はされていない、ルールは守られていない、既にバブルは崩壊しているのではないかという指摘もあります。国内の感染に与える影響というのを大臣はどう見られているのか、このような状況で安心・安全な大会の実現が可能であるのかどうか伺いたいです。
大臣:
そういう報道があることは我々も承知しておりますが、いずれにいたしましてもプレイブックを守っていただかなければ罰則がかかるという話でありますので、そこはしっかりと組織委員会に対応いただくということが重要だと思います。そういうもの(違反)があれば適切に対応いただきたいと思いますし、そういう事実が報道として流れること自体、国民の皆様方からすれば、せっかくのオリンピックでしっかりと感染を抑えながら盛り上げていこうと思っているのに、そうした違反をする方々がおられればそういう思いをくじくわけでありますので、そうならないようにしっかりと対応いただかなければならないと思っております。これは丸川大臣の方もそのような同じ思いの中でしっかり関係者とは協力して対応していくというわけでありますから、実行していただきたいと思っております。
記者:
今日・明日のインドネシアから成田空港への帰国便の一部の人を中部空港へチャーター機で国の周辺施設で隔離する方針と報じられていると思うのですけれども、事実関係と、オリンピックとか、検疫業務とか隔離施設の逼迫が深刻になるというのが背景にあるとお考えでしょうか。
大臣:
今般の話は例えば成田周辺だけではなくていろいろなところに療養用のホテルは確保いたしておりますので、順次、一定期間が経つと入れ代わりになっていくわけですね。そういう意味では空いているところに入っていただくという形の中で、場合によっては成田周辺だけではなくて例えば中部国際空港の近くのホテルに入っていただくとか、そういうような対応はあったと思っておりますが、いずれにいたしましても我々としてはしっかりとホテル等の療養する場所を確保していかなければならないと思っております。今回はそのオリンピック云々ということではなくて、急遽インドネシアを始めいろいろなところから帰国いただくというような、企業関係者の方々を含めて対応がありますから、そういう方々に対する宿泊施設というものをしっかり確保していかなければならないと考えております。
記者:
黒い雨に関係してですが、今回の判決では一審よりも被爆者の認定の範囲を広げるような内容となっておりますが、これについてどうお受け止めになれるかということと、厚労省でも今検討会で検討が進められていると思いますが、この検討会への影響だとか、いつ頃までに結論を得たいかというお考えでしょうか。
大臣:
判決の内容をよく分析しないと、何とも今私から申し上げることができませんので、そういう意味ではやはりよく精査を、厚生労働省だけでなく関係省庁とも連携していかなければならないと思っています。判決は判決として、今検討会で我々はこの範囲をどうするのか、何をもってして対応ができるのかどうかということを含めて検討中でございますから、これはこれで急いで方向性というものを示してまいりたいと思っています。
記者:
今のご発言ですが、その検討会は検討会として、この検証作業はこの判決後も続けていくということでよろしいでしょうか。
大臣:
検討会の方は、これは今検討して何らかの方向性みたいなものを出さないといけないわけです。いろいろな方々のご意見をいただきながら、今検討している最中でありますから、これは続けて、なるべく早く方向性を出したいと思っています。一方で、裁判に関してどうするかというのは、先ほども申し上げております通り、まず判決の内容を精査している最中でございますので、その精査した結果どのような対応をするかということは判断してまいりたい。もちろん、広島県、広島市と協議をした上でありますが、そのような形で対応してまいりたいと思います。
記者:
今回の高裁判決で、国は科学的知見というのを重視して検討会をやっているわけですが、科学的知見というのは国が高裁でも主張されていましたが、科学的知見ではなくて、黒い雨の被害にあった可能性がある人には手帳交付しなさいという、かなり国のこれまでの検討会をやってきたスタンスとはかけ離れたというか、かなり一線を画したような判決となっているわけですが、その中で、検討会で作業を続けていくということは、一審判決、二審判決を経て司法の判断とかなり乖離するのではないかという声が挙がっておりますが、この点について率直にどうでしょうか。
大臣:
黒い雨に打たれなくてもということでありますから、黒い雨に(打たれたか)関係なくというような判決であったかと思います。だからそういう部分も含めてよく我々としては判決の内容を精査して、その上でどのような対応をするかということを考えないといけないと思います。
記者:
打たれなくてもと仰ったのはどういう意味でしょうか。
大臣:
黒い雨に打たれなくても空気中に滞留する放射性微粒子を吸引して、放射性微粒子を体内に取り込んだという判決になっておりますから、だから、黒い雨のみならずというような判決であったと我々は認識いたしております。ですから、そういうものも含めて、いろいろと我々としては、分析をした上で対応を考えないといけないと思います。
記者:
放射性降下物についての記載は確かにありましたが、それも含めて検討会の方で検証していくということでしょうか。
大臣:
我々は元々、黒い雨というもののみならず、どういうような範囲でこの手帳が交付できるのかということを含めてご議論を検討会でいただいておりますので、そういうような意味で今検討会をやっていると。一方で、判決の方は、黒い雨に打たれなくても放射性微粒子を吸い込む可能性はあるというような判決であったと認識いたしておりますので、そこは判決内容がどのような意味合いであるのかということを関係省庁とも分析をさせていただいているということであります。

(了)