加藤大臣会見概要
(令和2年6月5日(金) 10:20~10:33)
【広報室】
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- おはようございます。冒頭私の方から特に申し上げることはございません。
質疑
- 記者:
- 2問聞かせていただきます。ワクチンに関して、新型コロナウイルスのワクチンについて2021年前半に接種開始というプランを厚労省から与党に示したという話がありますが、見通し含めて現在の状況を教えていただけますでしょうか。
- 大臣:
- まず新型コロナウイルス感染症の蔓延を防止するために、ワクチンの果たす役割が大きい訳でありますし、また、そのことが国民の皆さまの不安の解消にもつながると考えております。ワクチン開発は基礎研究から薬事承認、生産に至る過程、これを出来るだけ加速化して早期に実用化していくことは、非常に大事であります。
今般、来週ご審議いただく第二次補正予算案においても、ワクチンの研究開発を更に加速するための予算、加えて国内の生産体制を早期に整備する予算も盛り込んでおります。現在の我が国のワクチン開発の進捗については、従前にも申し上げましたが、そもそも基礎研究から非臨床試験の段階にあり、一部についてはワクチン候補の作成が終了し、動物実験を開始しているという状況であると承知しております。
まだワクチンが具体的に開発されていない段階でありますから、今後の見通しを具体的に言うことは非常に難しい状況にはありますが、他方で早期の実用化を目指すと言うことから、2021年前半という目標を先日与党に対して説明させていただきましたが、これはワクチンの開発自体を迅速に進めていくことと並行して、生産体制の整備を図っていく、普通は開発が終わってから生産整備をする、それを並行して実施していく、そういうことによって出来るだけ早期に実用化していきたい、こういう我々の考え方をお示しさせていただいたところであります。
いずれにしても、早期の開発と生産整備を行い、一日も早く国民の皆さま方にワクチンが供給できるように研究開発されている皆さまと一緒になって、我々も努力していきたいと思っています。 - 記者:
- 地域医療構想の件で、昨日の厚労委員会でも議論になっていましたが、440のリストを示しての地域医療構想の改編、それをコロナウイルスの影響を踏まえて、スケジュールをどうするのか、今年の9月までという目標はあったと思いますが、今後のスケジュールは後ろ倒しにするのかどうか、440の病院のリスト自体も白紙にするとか見直すということはあるのでしょうか。
- 大臣:
- まずなぜ地域医療構想を進めているかということでありますが、地域における医療ニーズも高齢化が進む中で、あるいは総体としての労働量人口が減少しておりますから、そういった中で医療関係者をはじめ、そういった皆さま方の力、経済学的な言い方をすれば限られた医療資源をどうこれからのその地域の医療ニーズに合った形で作り直していくかということが、これからの地域における、あるいは国全体における国民の皆さまの健康を守り、ひいては安心につながっていくということで、まさにそれに向かって努力をしていく、これは常に不変の取組だと思います。その中で、そうした地域における議論の一助になればということで、公的公立病院について、5疾患・5事業について、分析をさせていただいたものをお示しさせていただいた。
そのため、5疾患・5事業については公的病院の一つの分析だと思いますが、ただこれも一律に、再編や統廃合を進める、そこに書かれているリストのその病院について、統廃合してくれということを申し上げているのではなく、この一つの資料としながら、また更に我々も色々な提供をしていきたいと思いますが、地域においてしっかり議論を進めていただきたい、こういう趣旨でありました。そうした中で、今般、新型コロナウイルス感染症がこのような拡大をし、こうした感染症に対する対応も新たな視点として注目をされてきました。
もちろん、これまでも感染症という視点はありましたが、より一層大きな課題であり、国民の皆さまも大変関心を持っているわけでありますから、当然これから地域の医療構想を考えていく時にも、こうした感染症に対する対応をどうしていくのか、当然取り込みながら議論していく必要があると思います。そういった意味において、今般の感染症対策を通じて得られたそれぞれの知見や地域の経験、そういったことも踏まえながら、各自治体において議論がなされていく、我々も一緒になって連携を図っていきたいと思っております。
それから時期でありますが、もともと2019年度中とされていた見直し期限についても、現在まずは新型コロナウイルス感染症にそれぞれの地域においても、医療関係者も全力で取り組んでいただいておりますから、当然それを最優先していただくということであります。そうした状況も見据えながら、時期あるいは進め方についても改めていろいろなご意見を聞きながら、整理をしていきたいと思います。 - 記者:
- 新型コロナに関連し、北九州市の小学校の感染状況について伺います。一つの小学校で児童5人の感染が発覚し一週間が経ちます。専門家による調査の結果、児童の間での感染の有無は確認されたのでしょうか。それから、6月から全国的に学校が再開し、感染はどこで起きてもおかしくない状況ですが、感染した子ども、そしてその家族への差別・偏見につながらないような注意喚起があればお願いします。
- 大臣:
- まず北九州市では、3週間以上陽性者が出ておりませんでしたが、その後陽性者が発生し、積極的疫学的調査が進められて6月4日の17時時点で130名陽性者、累積ですが、このうち感染経路を追えない者は49名と承知しております。また、北九州市の小学校等においても感染が発生しているということでありますが、児童同士の感染があったかについては、現在、北九州市で感染経路や感染源についての調査、分析が継続中であると承知しております。
厚生労働省としても、北九州市に対してクラスター対策の専門家を2名、DMATの要員を5名、厚生労働省の職員を5月31日以降8名、これは北九州市と福岡県等々、に派遣して、北九州市及び福岡県における対応を積極的に支援させていただいているところであります。
学校の中でということについても、さきほど申し上げたように、まだ調査・分析が行われている途中でありますから、断定的に申し上げる状況には今ないと承知しています。また、感染症を理由とする差別のお話がありました。感染症に対する偏見、差別、特に医療従事者をはじめとする社会のために働いている方々に対する偏見、差別、こういったものはあってはならないということであります。
その上で、この感染症というものは誰もが感染しうるという事実であり、また気づかないうちに感染させてしまう可能性があるということ。病気に対して生じた偏見、差別ということが結果として、例えば感染している事実を隠してしまう、それが逆に感染者を生み出していく、感染を拡大してしまうという負のスパイラルが生じかねないということ。さらには医療従事者はじめ、そうした社会の基盤を支えている方々に対する偏見、差別は、そうした方々の医療等々に従事していこうという意欲を削いでしまう、結果としてそうした基盤を崩し国民全体にとってマイナスの事態を引き起こしてしまうということ。こういった問題があると言うことは、十分にそれぞれ皆さまにご理解していただいて、やはり感染症とはどういうことなのか、予防とはどういうことか、こうした知識を私どもも引き続きしっかり提供し、普及啓発に努力していきたいと思います。
他方で先日ブルーインパルス等もありましたが、医療従事者に対するこうした感染症リスクの中で働いている方に対する支援、あるいは声掛け、こういったことは大変ありがたいと思っているところであります。さらに、皆さまの理解が進んでいけるように、我々も努力していきたいと思います。 - 記者:
- 今のお話というのは、医療従事者だけではなく感染した子どもたちやその家族についてのいじめや差別についても通じるところという理解でよろしいでしょうか。
- 大臣:
- 医療従事者の皆さまもですが、先ほど申し上げた、誰でも感染しうるということは、一般の皆さま方それぞれ、子どもさんも含めて幅広く通じる話ということであります。
- 記者:
- 厚労省が実施している抗体検査についてお伺いします。抗体検査には免疫を持つ証拠として経済活動再開へのツールとして期待する向きがありますが、将来的にそのようなことも視野に入っているのでしょうか。
- 大臣:
- まず、抗体検査については先日申し上げましたが、現在、一般住民の方約一万人を対象に3ヶ所東京都・大阪府・宮城県で今、実施をしているところであります。この調査を通じて、感染者数の多い地域とそうでない地域を選び、一般住民における抗体保有率を調べる第一歩と考えております。
抗体検査について、ご質問があったように、経済再開へ向けてのツールとして期待されていることも承知をしておりますけども、現時点で、疫学調査以外の目的で使っていく可能性について、体内で作られた抗体がどのくらい持続をしていくのか、あるいは免疫防御機能とその抗体との関係、これについて明らかになっていないわけであります。したがってそうした調査・研究を更に進めていく、今も進めておりますけれども、そして、その中でどのような活用方策が可能なのか、引き続き私どもも検討していきたいと思います。 - 記者:
- 一部報道でありました、入国するビジネスマンに対して、PCR検査を本国で受けて、陰性証明書と行動計画書の提出を求める、このようなプランがあるという報道でしたけども、現在の検討状況を教えて下さい。
- 大臣:
- 水際の対策ということだと思います。これから国内においても感染症の拡大を抑止しながら経済活動を引き上げるべく努力をしています。海外の様子を見てもかなり感染の状況が収まっている地域とそうでない地域もありますけれども、そうした中で、我が国の経済の活動を上げていくことをどう進めていくのか、大変大事な課題だと思っております。
そうした際に水際における対策をどうしていくのか、そうしたところで、これから政府内においても私どもも参加して議論はさせていただいているというのが今の状況であります。
(了)