加藤大臣会見概要

(令和2年4月24日(金) 8:32 ~ 8:50)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず冒頭4件ございます。新型コロナウイルスの感染症 が拡大する中、妊婦の皆さんや乳幼児のいらっしゃるご家庭の不安を解消するた め、4月28日からユーチューブの厚生労働省アカウントにおいて、日本産科婦人科 学会をはじめとする専門家の皆さんからのビデオメッセージを配信することとしま した。専門的な見地から本感染症の特徴について、あるいは利用できるサービスな どについてお伝えをすることにしております。これに加えて、4月29日から5月6日までのゴールデンウィーク期間において、日本助産師会の協力をいただき、妊産婦や乳児のいらっしゃるご家庭を対象とした、相談ダイヤルを設置します。ダイヤル番号は0120-220-273であります。朝の9時から夕方の5時、17時まで受付をしております。ぜひそうした相談ダイヤルをご活用いただき、妊産婦あるいは乳幼児を抱える方について、色々不安もあると思いますので、その不安解消に役立てていただければというふうに思います。
 2点目でありますが、抗体検査でありますが、我が国でも日本赤十字社の献血者を対象に、海外で評価されている複数の抗体検査キット等を用いて、それらの性能評価の調査を開始いたしました。抗体検査はウイルス感染後に生体内で形成される抗体を測定する検査方法であり、PCR検査と組み合わせることで、より精度の高い診断を行える可能性があるなど、ひとつの検査方法として私どもも注目をしているところであります。一方で、一般的に抗体が形成されるまでに時間を要するなど、PCR検査と同列としては考えられないという点もあります。これらを踏まえて、今回の性能評価の調査の解析を行い、その調査結果が取りまとまった段階で改めて報告をさせていただきたいと思います。
 3点目でありますが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、収入減少等により当面の生活費が必要な方に対して、全国の社会福祉協議会で個人向け緊急小口資金等の特例貸し付けを行っております。このたび、貸し付けのより一層の迅速化を図る、社会福祉協議会の窓口が混んでいてなかなか申請が出来ないというご指摘もいただきました。それらを踏まえて、4月30日から全国の労働金庫、これは560支店がありますが、申請受付を開始するということで、労働金庫の協力をいただくこととなりました。これに先駆けて、まず4月22日から北海道の労働金庫本店において申請受付をスタートしていただいております。また来週月曜日、火曜日の10時から16時の間、これは2日間に限ったことでありますが、東京都では千代田区の労働金庫会館、神奈川県では横浜市港南区の上大岡駅に隣接するウィリング横浜において、申請受付を行うこととしております。ぜひ、こうした場所も活用いただきたいと思います。4月18日時点の速報値でありますが、緊急小口資金の申請件数は約71,000件、決定件数は約56,000件、決定金額は約96億円、1件あたりは17.0万円というふうになっているところです。次に、住居確保給付金についてです。ここにもフローチャートがありますが、住居確保給付金は、生活困窮者自立支援法に基づき、経済的に困窮し、住居を失うおそれのある方に対して、家賃相当額を自治体から給付する制度であります。この制度はこれまで、離職や廃業した方を対象にしておりましたが、4月20日から対象を拡大いたしまして、休業等により収入を得る機会が減少し、離職などと同程度の状況のある方も対象とさせていただいたところであります。このときもハローワークの求職申し込みは必要となっておりましたが、昨今の雇用状況も踏まえて、当分の間、一時的に休職・休業を余儀なくされている方も含めて、より支援が広く届くように、ハローワークへの求職申し込みという要件を撤廃いたしまして、更に使いやすい制度にしていきたいと思っております。これは省令改正が必要でありますが、4月30日に省令改正を公布・施行することにしております。ご利用を考えている方は、是非お住まいの自治体の自立相談支援機関にお問い合わせいただきたいと思います。お近くの自立相談支援機関については、チラシのURLやQRコードでご確認いただけますし、厚生労働省のホームページをクリックしていただいて、住居確保給付金のページを見ていただくと、下のところにどこで相談ができるかの一覧にもリンクを入れていますので、ぜひそうしたものも活用いただきたいと思います。
 最後でありますが、昨日の夜、サウジアラビアを議長国としてG20臨時労働雇用大臣会合が、ビデオ会議で開催されました。私も2019年に日本が議長国を務めたということもありまして、副議長として参加をさせていただきました。会合では、新型コロナウイルス感染症が労働市場に与える影響とその効果的な対応をテーマに、各国の取組、あるいは国際協力について積極的な意見交換が行われました。会合の成果については、新型コロナウイルスに関するG20労働雇用大臣声明という形でとりまとめが行われました。私からも日本の取組、あるいは状況を説明するとともに、世界の多くの国で雇用不安が高まる中、G20各国が互いの経験を共有し合い、協力することが重要であるということを呼びかけさせていただきました。私の方からは以上となります。

質疑

記者:
新型コロナウイルスの軽症者療養について伺います。昨日大臣が、宿泊療養を基本とするという方針を示されました。ただ、東京都など在宅療養の数などを実態を把握できていない自治体もあるので、どのように実効性も持たせていくのでしょうか。お願いいたします。
大臣:
昨日、無症状病原体保有者あるいは軽症患者に対して、家庭内の感染を防止していく、また急変時に適時適切な対応を図っていく観点から、子育て等の家庭の事情で自宅療養を選択せざるを得ない方を除き、宿泊療養を基本として対応していただくよう、都道府県等に要請を行いました。この背景には、すでに32を越える都道府県において、宿泊療養の体制を実施をし、あるいはこれから実施する準備ができたということ、こういったことも踏まえたものであります。ぜひ、新型コロナウイルス感染症と診断された方、あるいはすでに入院をされていて、症状が軽快をした方、また現在自宅療養をされている方も、是非宿泊療養を積極的に活用いただきたいと思います。
 なお、先ほど申し上げた子育て等の家庭の事情により自宅療養を選択せざるを得ない方ももちろんおられるわけでありますが、その場合には自宅療養中の患者の方、またその家族に対するフォローアップをしっかりやっていただきたいことも併せてお願いをしているところであります。
 今の実態把握でありますが、ホームページにおいてリアルタイムで出しておられる自治体と、必ずしもそうでないところもございます。我々も都道府県とよく連携をしながら、まず自宅、これは広い意味での自宅ですが、自宅療養と宿泊療養という形で対応されている方、更にはその内訳、それらについて更に都道府県から情報を取るべく、努力をしていきたいというふうに思います。
記者:
先ほど冒頭にもありましたが抗体検査について何点かお伺いします。今行われているものは、キットの提供範囲ということだと思いますが、本来予定していた感染状況の調査のための抗体検査、それについてはどのようなスケジュール感で今進められているのか。もしくは今回今の軽症者用の数字というのを、感染状況の検査、搬送のために転用されるのか。
 あと、軽症者用抗体診断キット、中国製のキットが、インドやイギリスなどで問題になってるのですが、いま検証してるものというのは、日本として、どのようなキットが計上されているのか、これが二点目。
 あと三つ目。海外で、抗体検査キットによる疫学調査を、経済の再開の判断、いわゆる出口戦略の判断材料として使って良いのか議論が分かれているのですが、加藤大臣は今の段階で抗体検査キットによる疫学調査、これを経済再開、判断に結びつけて考えることについてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
まず、今回の抗体検査については、先ほど申し上げた性能評価の調査ということで実施をしています。更に補正予算において、これを拡大すべく予算措置を盛り込んでいるということです。それについては審議が来週から始まりますけれども、その成立を踏まえて具体的な議論をしていきたいと思いますが、その前にも今回やっておりますAMEDを中心としたこの研究の成果、これを踏まえて議論していかなければならないと思います。
 キットについてはいま具体的には、まだ研究している段階でありますから、最終的には機能の評価でありますから、その段階ではどのキットを使ってどうだったかということは当然公表されるべきであります。まだ現在そのプロセスに入っているところでありますから、現段階では具体的にどのキットを使っていくかには言及を控えたいと思いますが、結果が出た時にはその点も含めてご説明させていただきたいと思います。
 それから出口戦略の関係でありますが、出口戦略そのものをどう作っていくのかということがそもそも大きな課題だと思います。ただその時においても様々な数字、実態把握これ当然必要になってまいります。その時にどういった指標を使っていくのかということを含めてこれからの議論だと思います。その時に、抗体保有率という考え方があります。それも当然ひとつになると思いますが、ただ、それを把握するにあたって抗体キットがどのくらい有効かどうか、ということがまさに現在やってる性能評価の結果あるいはそれを踏まえた評価にかかってくるのだろうと、これが今の実情であります。それらの思いも含めて、まずは性能評価からスタートしているということであります。
記者:
性能評価はいつ頃までに終えたいとかはあるんですか。
大臣:
現段階ではまだ具体的なメドを持っておりませんけれども、そんなに時間がかからずに一定の区切りをつけたいと思っております。
記者:
長崎港に停泊中のクルーズ船についてお伺いします。乗員による集団感染が起きておりますけれども、最新の事実関係と、下船した乗員との接触による長崎市民への感染の可能性はあるのでしょうか。また、船の近くには同じ会社のクルーズ船二隻が停泊しており、こちらの乗員に対するPCR検査を実施するお考えはあるのでしょうか。
大臣:
まず、クルーズ船コスタ・アトランティカ号乗員623名について、4月23日の時点で判明しているものは、127名にPCR検査を行い陽性判明者が48名、うち一名は症状が一定程度重たいということなので、長崎市内の感染症指定医療機関に入院中ということであります。したがって、陰性判明者が79名であります。一定期間、乗員の方が下船していたという報告も入ってきております。特に今回の陽性判明者の行動履歴、これをまだ把握できてないところでありますので、現状で明確なことは申し上げられませんけども、まずこうした行動把握をしっかりしていく必要があると思います。
 今クルーズ船二隻、コスタ・セレーナ号とコスタ・ネオロマンチカ号、二隻も同じようにドックに入っていると承知しております。現時点で乗員の中には発熱症状の者はいないということですから、この乗員の方についてはPCR検査をする予定はありません。むしろ現時点では早期の出航に向けて調整がなされていると聞いております。それから先ほどのコスタ・アトランティカ号については、これは乗組員全員のPCR検査に早急に取り組むことにしております。その結果、陰性の方については帰国をするということで調整がなされていると聞いております。
記者:
マスクの関係で伺いたいんですけれども。マスクを購入した興和と伊藤忠商事が、未配布分を全て回収するという報道がありましたが、事実関係と追加的な予算がかかるのか、あと、いつ頃届くことになるのか、現時点で分かる範囲でお願いします。
大臣:
それぞれの企業が納入されたものについて、それぞれが引き取って検査するということのようです。どのくらい時間がかかるかは定かではありません。いずれにしても本件において、特に妊婦の皆様方にお配りをするマスクの中に、黄ばみ等色々な課題があったということ、それ以外についても既に、高齢者施設に配布した2千万枚、あるいは今それぞれ2枚ずつ配布している中にも若干のそうしたご指摘を頂戴しているところであります。私どもとしても、2枚ずつ配布するものについては、封入するときに検査していますが、いずれにしても、私どもも、検査していくと同時に、納入している企業に対しては、当然、生産過程の管理のチェック、あるいは納品段階におけるチェック、これを更に徹底していただくようお願いしているところであります。それらを踏まえて、ご質問あったような対応を、それぞれの納入業者がなされているものだと思っております。
 いずれにしても、口というか身に着けるものでありますから、衛生面含めてしっかりとしたチェックを引き続き行っていきたい、行うように要請していきたいと思います。

(了)