加藤大臣会見概要(新型コロナウイルス感染症について)

(令和2年2月19日(水) 22:54 ~ 23:49 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

冒頭発言について

大臣:
 第2回の専門家会議を19時過ぎから2時間を超えて、皆さんで審議、ご議論をいただきました。本日の会議では、総理から指示のあった大規模なイベントの開催のあり方、クルーズ船からの下船時の注意事項、クルーズ船内の感染管理の状況、今後の感染の増加を踏まえた対応などにご議論をいただきました。クルーズ船内の感染管理の状況については、後ほど脇田座長からコメントいただきたいと思います。まず、イベントの開催についてでありますけれども、専門家の方々から本当に様々なご意見をいただきました。いただいたご意見は今整理をしています。整理ができた段階で皆さんにお示しをしたいと思っております。また、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」については、健康観察の開始から14日目となる本日までの間、発熱・呼吸器症状等の症状がなく経過し、ウイルス検査で陰性であることが確認された乗客443名の方々について、本日朝から順次下船をいただき、16時ごろまでには下船が完了しております。引き続き、明日も下船の作業をすることにしております。下船された方々について健康カードをお配りをしておりました。それについてもご議論をいただきました。専門家会議においては、念のため2週間、不要不急の外出を控えるとともに、外出時には必ずマスクを着用していただくなど、感染拡大防止に協力をいただくようお願いをしていくべきでないかとのご議論がございました。具体的なカードについては、今お手元にお配りをさせていただいているところでございます。また、今後の対策については新型インフルエンザ対策の基本的対処方針が既にあります。これをベースに新型コロナウイルス感染症に関する基本的対処方針を、早急的に準備をするべきだとのご意見をいただいたところであります。引き続き国民の皆さんの理解もいただきながら、厚労省として国民の皆さんの命と健康を守っていくため、国内感染の状況の推移をしっかり見極め、また、専門家会議の皆さん方を始めとした医学的・科学的な評価に基づき、感染対策を講じていきたいと考えております。私の方からは以上であります。
脇田座長:
 それでは、私の方から引き続きご説明したいと思います。本日の専門家会議におきましては、先日の会議に引き続きまして、国内の感染状況をどう理解していいのかということから始まりまして、チャーター便の1便と2便の皆さんの、2週間、13日間ですか、観察期間が終わりましたのでそのデータが示されました。そして、現在の感染状況におきまして、どういったリスクがあるのかということも議論しまして、どういったことを避けるべきかということを議論しました。そして、クルーズ船も今日から下船が始まっていますけども、そのデータがかなりまとまってまいりまして、そのデータを、疫学の先生方、そして統計学の専門の先生とも意見を交換しまして、2月5日の時点で検疫隔離が始まりまして、その後感染者が同定されていったわけですけども、明らかにこの検疫の期間で徐々に感染の発症者が減ってきて、現在ではほぼ感染がないという状況まで観察ができているということで、隔離が有効に行われたということを確認いたしました。先ほど大臣の方からお話ありましたように、このクルーズ船の中の感染管理がどのような状況だったのかということですけども、こちらも船の上に乗っておられた感染の管理に関わっておられた専門の先生方にも参加をしていただきましたので、それについてもご意見いただきまして、クルーズ船という特殊な環境で非常に苦労しながら船内の感染管理をされたということを伺いました。そして、検疫官とか医療従事者が、クルーズ船の中の感染管理を行ったという活動についてお話を伺ったことになります。乗員にはどういった行動をすべきかという教育をするとともに、乗客の方々にも行動規範を示すということで対応されたということを伺いました。そういう形でこの隔離14日間を行ったわけですけども、今日無事に下船が始まったという認識でおります。私の方からは以上であります。

質疑

記者:
まずイベントの自粛等のお話なんですけれども、今日のところはいろいろご意見が出て、整理ができた段階でお示しいただけるということですが、今日開かれた自民党の部会などで、政府が一定の方向性、ガイドラインを今日、明日中に出すというお話がありました。出されるメドとしては、大臣、いつぐらいに、今日でないとすると明日ぐらいでしょうか。
大臣:
そのぐらいのタイミングで。もちろん感染拡大を防止するということで時間がありますから、それは早くに発出すべきであろうと思います。ただ今日は多岐なご議論を頂いたものですから、あまり拙速に作るということも、逆にメッセージで不十分になってはいけないということで、早急に今日は整理をして、明日にでも発出したいと思います。
記者:
もちろん明日発表の際にお伺いさせていただければと思うのですけれども、大まかに示される内容としては、例えばどの程度のイベントだったりとか、どういった会合だったりとか、もしくはどういった種類の学会とか、どういう形でのものでしょうか。
大臣:
考え方でありまして、どういう課題があるのか、そういったことを色々とご指摘をいただきましたので、それを分かりやすく盛り込んでいく必要があるということで、精査をさせていただいて、お示しさせていただきたいと思います。
記者:
そうすると一律に何かこの規模のイベントや催しを自粛してもらいたいとか、もしくはこの規模だったら大丈夫とか、こういった内容だったらこうだとかというものにはならないということでしょうか。
大臣:
仕分けをして書こうとしているわけではありません。
記者:
もう一つ下船の方でも伺いたいのですが、本日、下船が始まりまして、今、手元の方に下船者への健康カードも配布いただきました。こちらの方には、コロナウイルスに感染しているおそれはないと判断、というふうに明確に書かれています。一方で、その次で感染拡大防止にご協力をと書かれています。もしもコロナウイルスに感染している恐れがないと明言できるのであるのならば、感染拡大防止というのは、一般の方と同じで構わないのかなと思うのですが、ここのところの齟齬というか、違いというのは。
大臣:
これは基本的に、まさに疫学的にそういうことではありますが、ただ新型コロナウイルス、国会でも申し上げたとおり、100%わかっているわけではありません。したがって、そういったことを踏まえながら。やはり、ダイヤモンド・プリンセス号は、かなりの方が感染されてた、これは事実であります。そういったことを踏まえて、まさに念のために、こういったことをしていただくことによって、この方がというよりも、これからいろんな可能性がある中での感染の拡大の防止、これに努めていただきたいという、こういう趣旨です。
記者:
そうしますと、コロナウイルスに感染しているおそれはないと書かれていますものの、無症状で病原体を持っている方が全くゼロとは言い切れないという理解でよろしいんでしょうか。
大臣:
いや、そういうことではなくて、もともとこの14日間という考え方も、これまでのWHOから示されてきてますけれども、これは先生に聞いていただくと正確だと思いますけれども、一つの判断基準でありますから、これは我々もこれにもちろん準拠して提案させていただいていますけれども、それだけですべて語り尽くせるわけではありません。我々見えないもの、もっともあるわけですから、そういった主旨を含めて、まさにここにありますように、念のためこういった処置をしていただくことによって、感染拡大防止にご協力いただきたい、ご協力を求めるというご意見、それを踏まえたということです。
記者:
重ねてで恐縮ですが、そうしますと、下船者の中で病原体保有者がゼロと言い切れないわけではないが、ゼロというわけでもないということでしょうか。
大臣:
いや、そうではないです。基本的には、一定のクリアランスをしておりますから、クリアランスはしています。したがって、おそれはありません。しかし、今回の新型ウイルスというのが、これまで我々も全部が分かっているわけではありません。そして、先ほど申し上げたように、やはり一定の感染があった船におられたということもあります。もちろんクリアしておりますけれども、そういったことを考えてという話であります。
記者:
一部ネット上にある大学教授がクルーズ船内の感染管理について不備が多々あったのではないかという趣旨の動画を配信していますが、改めて感染拡大防止の管理についてどうだったかというご所見を大臣と脇田座長にそれぞれ伺えればと思います。
座長:
やはり病院等とは違って完全に隔離のために作られた施設ではないわけです。その中で区域管理をしっかりとされながら感染を管理していくという非常に難しいミッションをやられてきたということが、今日のお話を伺って分かりました。ですから、なかなか本当に完全にクリーンな場所を作るということは難しいわけですが、それでも船内において増員を行って感染を防止するということがされていたということですから、そして、船内にも感染症の専門家が入りましてそういった感染防護に努め、乗務員の方にも乗客の方にも適切なインストラクションを行っていたということが今日報告されたということです。検疫の結果を見ても明らかに検疫が有効に作用して、感染者はもうなくなったという状況ですから、そういったことを見ましても船内の感染管理は十分にできていたという会議でも判断しました。
大臣:
私からの方からもそれに尽きます。
記者:
先ほど大臣から基本的対処方針を早急に準備すべきだという意見をいただいたという表現でしたが、この基本的対処方針を一応策定する方向ということでよろしいでしょうか。
大臣:
最終的にそれを策定すると、なぜかというと、新型インフルエンザの対処方針がありますから、それの中から新型コロナウイルスとの違いがありますよね。そこを違いを少し修正するという感じですので「準備」という言い方をしています。ただ、作り上げたものは、それは新型コロナウイルスの基本的対処方針と、名前をどうするかは別として、そういったものになるわけです。
記者:
それはガイドライン並びに行動計画ということですか、対象方針というのは。新型インフルエンザの時はガイドラインと行動計画と2つあったと。
大臣:
基本的に最初に基本的対処方針というのがあったと思います。まさにそれに値するものであり、もちろんそれが作られていけば自ずとガイドラインといいますか、そういったものも作っていくことになると思います。ただ、その最初の基本的な対処方針というものをまず作りましょうということであります。
記者:
作るということでよろしいですか。
大臣:
準備するということはそういうことです。
記者:
脇田先生にお伺いした方がよろしいかと思いますが、先ほど船内のオペレーションの結果、感染者はほぼなくなったとおっしゃっていましたが、表面的な事象としては本日も数十名の陽性の方が確認されておりますが、その辺の現在確認されているという事実と感染者がなくなったという形態のギャップはどのようにして埋められるものでしょうか。
脇田座長:
検査の結果が出てくるというのは、そういうタイムラグがありますので、全員の、当初は症状のある方が優先されて検査されていたということになりますが、下船前には症状のない方が中心になってきたというふうに理解しています。それで最後には数日前に検査した方の結果が出てきたということです。
記者:
昨日、感染研のホームページに現在の速報的な解析状況について英文でアップされたと思うのですが、そこに隔離後に乗員間の感染があったのではないかという分析が示唆されていますが、現状でクルーの方から乗客の方への感染というのがひとつの経路であったのではないかという見方もありますが、その点についてご見解がありましたら聞かせてください。
脇田座長:
現時点ではそういったことを明確に示すエビデンスはありませんので、クルーの方が残念ながら船内で様々なサービスをしなければいけないということで感染の機会があった可能性があるということは今回あると思いますけれども、そこから乗客への感染があったかということについては明確なエビデンスはないという認識です。
記者:
神戸大学の岩田教授の件に関してお伺いしたいのですが、昨日船に入船するに当たって厚生労働省のどなたかの許可を得た、得ないという話で話が食い違っていると思いますが、その辺りの事実関係いかがでしょうか。
大臣:
私が承知している範囲での話になりますが、DMATのチームの中で対応していただくということでお願いしていたと聞いております。ただ、結果的にご本人の動画を私も見ましたが、そこではない形で動かれたということになったと。したがって、それを踏まえてDMATの中で働いていただくということでしていただくわけですから、それを離れて別の形で動かれるということは適切ではないということで下船をお願いしたというふうに聞いております。
記者:
入船前は厚労省の方の許可の上、DMATとして入ったということでしょうか。
大臣:
DMATのメンバーとして対応いただくということでお話があったので、それであればということで入っていただいたと承知しております。
記者:
先ほどと重なってしまいますが、今日の自民党の対策本部の中でもそういった教授の動画に対して、海外にも誤ったメッセージを発するとか国民に混乱が生じかねないということで、厚労省としてもう少し早く適切な見解を示すべきだというのがありました。改めて大臣の方から船内管理についてどうだったかというのをお聞かせいただければと思います。
大臣:
船内管理について先ほど脇田座長からもありましたが、また国会でも答弁させていただきましたが、船内のゾーニングについては感染症防御チームの専門家の医師が船内を見ていただいて、そしてここは直した方がいいということについてはその日のうちに全て対応を行っていたというふうに聞いております。それから、クルーズ船においては専門家がいなかったというご指摘もありましたが、専門のチームが常在し、医療従事者およびクルーの衛生活動の指導を行っておりましたし、また乗客に関して繰り返し船内アナウンスで指導するというか感染拡大防止に沿った行動を促す、また個々に配布した、これは後半の方でありますが、スマートフォンで環境感染学会に作成いただいた動画を配信するなど、普及啓発も行っていました。また、乗員については講習を行い症状がなく勤務している乗務員に対しても食事を離れてとる、その後は手指しっかりアルコール消毒することを徹底していたということであります。また外から乗船する医療従事者に対しても認定看護師や専門医の指導の下、乗船前の講習が行われておりました。それから感染管理の専門家は、先ほど申し上げたとおり、常駐しておりました。そして医師が1~3人、看護師が2~3人ということで交代制を取っておりました。先ほど申し上げましたが、誰も感染管理の専門家、専門医がいなかった日はなかったというふうに承知しております。
記者:
先ほど冒頭でイベント開催の在り方についても整理して近くお示ししたいというお話がありましたが、在り方というのは開催にあたっての注意点などを示すものと考えればよろしいのでしょうか。それとも、自粛すべきイベントの対象などを示すものではなくて、開催するにあたっての注意点をまとめたものということでしょうか。
大臣:
開催することの判断の問題と、それからする場合における注意点、そういったものを含めてご意見いただきました。今それらをまとめているところです。
記者:
2月14日にWHOでコロナウイルスに関係したイベントのマスギャザリングの指針が出ていると思いますが、そういったものの日本バージョンを作るようなイメージでよろしいでしょうか。
脇田座長:
WHOの指針というのは、かなり詳細に渡ったものだと私は承知しております。今日の専門家会議で話し合ったのはそこまで詳細なものではないというふうに思っています。
記者:
これはオリンピックの開催に影響するようなものを想定したようなものになるかどうかというのはいかがでしょか。
大臣:
むしろこれは後からまとめてお話しますが、まずなぜ大規模な在り方を考えるべきなのかというところからスタートしているわけですから、当然現在の状況ということを踏まえた話ということになります。
記者:
先ほどお話のあった対処方針については、いつ頃までを目処に作成するという今現状では。
大臣:
まだ具体的なスケジュールを持っておりませんが、これも可及的速やかに策定する準備をしていかなければいけないと思っています。
記者:
この文面を見ると、やはり矛盾があると思います。感染している恐れはないと判断されたと書きながらも念のため2週間健康状態を毎日チェックして不要不急の外出を控えるとか毎日体温測定するというのは、これはいわば濃厚接触者のような扱いをされているわけですが、これ一般の下船者が読んでなかなか混乱するのではないかと思いますが、これはつまり陰性で症状のない下船者に対してもしかしたらあなたはウイルスを持っているかもしれないよという注意喚起のために作られたということでよろしいのでしょうか。ご見解をお聞かせください。
大臣:
いや、このウイルスを持っているということを前提に書いているわけではございません。先ほども申し上げたように、やはり今回の新型コロナウイルスというもののまだ分かっていない部分がありますので、そういったことを含めて、かつ、先ほど申し上げたように今回ダイヤモンド・プリンセスという我々としては管理は効いていたと思いますが、ただその前もずっとこの方々はおられたわけであります。やはりそういった環境におられた、そういったことも含めて念のためにこうした注意を払っていただいて、まさに全体としての感染拡大の防止に協力していただきたいという趣旨であります。
記者:
念のためというのは、やはり確率はゼロではないという意味だと思うのですが、いかがでしょうか。
大臣:
確率論という意味では、先ほど申し上げたように、元々の判断というのがある意味では一定の推計の中で行われているというこれは事実であります。したがってそれを前提にこういうことを書かせていただいているというわけであります。それを前提にそうしたご議論をいただいたということであります。私が申し上げたのは、14日と決めたとかそういうことを申し上げています。
記者:
どういう意味ですか。
大臣:
先ほど説明したように、WHOが14日と決められたというのもこれも色々な数字を見ながら、この辺がというひとつの判断として出しておられるということであります。
記者:
二点お伺いしたいのですが、先ほど基本対処方針の要請があったと思うのですが、新型インフルエンザの時のようなものをつくる、それに関連して、前回の対処方針では、例えば感染者が確認された地域で集会やスポーツ大会の感染機会を減らすよう工夫を要請したり、時差通勤や休校も求めるような対応も入ってまして、改めて文章で出すとなると社会的な影響も大きいと思うのですが、今回、仮に対処方針がもし出されるということであれば、前回と同じような内容が含まれるという認識でよろしいでしょうか。
大臣:
いや、それはこれから、要するに先ほど申し上げましたように新型コロナウィルスの特性を踏まえながら、そして、さっき策定と言いましたが、準備をしている、持っておくということでありますから、それをどこで出していくかというのは、これはまた別の判断になると思います。
記者:
もう一点、別の話ですが、神戸大学の岩田先生がYouTubeで動画を流した時に、厚労省の橋本副大臣が、お見かけした際にご挨拶をし、ご用向きを伺ったものの明確な返事がなく、丁寧に船舶からご退去いただきましたとTwitterに書かれているのですが、一方で岩田先生の方では、橋本岳さんにはお会いしていませんというツイートもありまして、このあたりの事実関係はどうなっているのでしょうか。
大臣:
私は、現場に居たわけではないのでわかりませんが、副大臣からは、そういった先方の岩田先生は反応していなかったという話で、やりとりにはなっていませんが、そういうことがあったとお聞きをしております。ただ、それだけではなくて、先ほど申し上げたのは、DMATの一員として入っていただくというそこのくだりは、また別の現地の対策本部としてそういった形で入っていただいたにも関わらず、そうした活動に対応せずに違う形で動いておられるということに対してそれは困るということで、退出をお願いしたと聞いております。
記者:
岩田教授の件なのですが、先ほど脇田教授が、完全にクリーンなところをつくるのは難しいと言われました。つまり、レッドゾーン、グリーンゾーンを分けていたのか、いなかったのか、部分的に分けているところもあるんだけど、完全に分けきっているわけでもないということなのか、そこら辺がはっきりしないので、岩田教授の言っていることが正しいのか正しくないのかというのが、やや判断しづらいのですが。
脇田座長:
岩田先生がおっしゃっているのが、多分三つのゾーンを設けて、完全にクリーンな業務区域というものをつくれということをおっしゃっているのだろうと思いますが、船内でそういった完全にクリーンな業務区域をつくるのが難しいということで、考え方としては、二つのゾーンに分けて業務をされていたと伺っています。そこは検体採取等で汚染したガウン等の感染防具を脱ぐゾーンというのは設けられていて、その他の場所と分離はできているということで、二つのゾーンで業務をされていたという考え方で、船内では伺っていたところです。
記者:
その岩田教授が言っているレッドとグリーンに分けられていなかったというのを、一応、今否定されたという理解でよろしいのでしょうか。
脇田座長:
いや、ですからそういったスリーゾーン、完全にクリーンなグリーンのゾーンをつくるということは、ああいう状況ではできなかったということで、そこはつくらずに管理をしていたということだと思います。
記者:
市中や街中で感染拡大防止策について、それぞれのお考えを伺いたいのですが、韓国では感染者の行動履歴を政府がある程度詳細に出すなど、プライバシーよりも感染拡大防止策というところを強く打ち出した方策を採っているのですが、非常に日本というのは、行動パターンというのは特に厚労省の方はなかなか公開していただけないという中で、韓国のような感染拡大防止のためにはもっと情報を行動履歴について公開するということについて、まず、政府としてそれを適当だと考えていらっしゃるのかと、防疫体制として、それが有効なのか、それぞれお考えを聞かせていただければと思います。
大臣:
韓国の情勢を私も詳らかに知らないですが、これまでも申し上げてきたように、公衆衛生上そういう立場が当然あります。したがって、公衆衛生上必要なことをしっかりやるということは、当然のことだと思います。あと、公衆衛生上の必要として、どこまで開示する必要があるのか、一方でプライバシーの問題もあります。ですから、前回申し上げたように、あるところに行かれました、そこで会われた濃厚接触者の方が具体的に把握ができているのであれば、これは、それ以上そこについて開示をする必要性はないのだろうと思います。ただ、他方で、一定の人と居たのだけど誰だか分からないとかですね、かなり濃厚に色々な話をしましたというのであれば、やはりそこを調べなくてはいけません。そしたら、そういう情報は具体的に発信していく必要があるのだという、これは一つの例を挙げているだけでありますから、そこら辺の判断は、基本的には積極的疫学調査をされるのは各都道府県等であります。したがって、都道府県の判断を尊重しながら、ただ、私どもが申し上げたように、同じいくつかの事案の中で都道府県が異なった時に、また違うということでもこれは国民の皆さんに正確なメッセージが伝わりませんから、その点はしっかりと我々も配慮していかなければいけないと思います。
記者:
そういう個々人の患者の行動履歴を具体的な場所まで公開するということは、果たして感染拡大防止に意味があるのかというのを専門家のお立場からもお願いします。
脇田座長:
現在の新型コロナウイルス感染症の広がり方、感染の仕方というものを鑑みて、肺炎を今、主にサーベイランスという形でやっていますが、それで感染者が検知された場合には、先ほど大臣が言われた通り、積極的疫学調査ということで、濃厚接触者の方々を調査するという形で今、現在行っています。現状で、必ずしも感染者の方の個人情報を全て詳らかにして、調査をしないとそれができないかという状態にはないと我々としては考えているところです。ただ、そこはやはり大臣がおっしゃった通り、個人のプライバシーと公衆衛生上に必要な上限といいますか、そういった必要性のバランスで考えることだと思っております。
記者:
それでは、専門家としても、今の公開情報というのは現状としては適当だということ。
脇田座長:
現状では、適切に行われていると思っています。
記者:
今日の専門家会議で、国内感染状況についての理解がある程度進んでいるということで、それを踏まえたリスクについて話し合ったということなのですが、その現状の評価、それから、リスクの大きさというのは、前回の会議の時から全く変わっていないのでしょうか。フェーズがもう変わるのではないかという意見も聞くのですが、その辺の評価はどうなのですしょうか。
脇田座長:
現状は、今、様々な評価をしております。それで、例えば屋形船のクラスターであるとか、それから和歌山のクラスターであるとか、そういったいくつかのクラスター事象が見られてきているということになっています。やはり国内感染があり、それが必ずしも、以前は武漢からの患者さんからのリンクということがあったわけですが、そこのリンクが少し完全に追えない症例も出てきているというところで、まだ国内発生の早期ではあるのですが、早期の段階から少しそういったところが追えない状態に移りつつある状態であろうというコンセンサスであります。ですから、今この状態ということよりも、どういう感染が今起きているのかどうかということをしっかり把握をして、それに対する対策を考えるということが重要だということであります。
記者:
そのフェーズがもう一つ進んだ場合を想定しての対策をいうのは先ほどの対処方針に関わっているのかもしれませんが、その辺を明らかにしていかないのでしょうか。
脇田座長:
対処方針に関しては、私の口から言うということではないと思います。
大臣:
ですから先ほど申し上げたようにしっかりと準備をしておくというのは、そういう趣旨であります。前回も、状況認識の時に少し正確な文言は手元にありませんが、感染拡大をしていくということを想定して、次の対策をしっかり考えておくべきだというお話がありました。それを踏まえて、今回具体的に基本的な対処方針というものを準備しているという話になっています。
記者:
もう少しフェーズごとに整理されたような形に想像してよろしいのでしょうか。こういうフェーズになったらこういう対策ということがある程度流れとして見えるような形で出るということでしょうか。
大臣:
確か新型の時も感染早期、感染拡大期という確かそういうフェーズでことをとらえていたと思います。
記者:
それに準じるということですか。
大臣:
そこに準じるかどうかも含めてこのコロナウィルスの特性というものを踏まえて考えていかなくてはいけないと思います。
脇田座長:
大臣がおっしゃる通りで、やはり新型コロナウィルス感染症は、インフルエンザとも全く違う感染症ですから、その特性をよく理解して、現状の感染状況を正しく把握して、それに対する対策を考えるということだと専門家会議でも認識をしております。
大臣:
新型の時には、海外発生期というのがあって、それから国内発生早期、国内感染期、小康期と、こういう形でフェーズを分けていたと理解しています。
記者:
クルーズ船のデータは、日本語で最初に示さなかったのは何でなんですか。
脇田座長:
日本語も出しました。
記者:
脇田座長にお伺いしたいんですけども、先ほど産経新聞さんの質問に対してですね、クルーズ船で完全にグリーンの状況を作るのは難しいというお話だったと思うんですけども、この場合、一般的には、船内は全部レッドゾーンという扱いで対応されるのでしょうか。
脇田座長:
そういうことではないと思います。私が理解しているところでは、検体採取等で汚染された部分、ものをぬぐうようなゾーンは設けられて、その他の部分と分離はされているとふうに説明はされました。
記者:
それでは、明確にレッドゾーンとグリーンゾーンは分かれているということでしょうか。
脇田座長:
ですから、完全にクリーンなところはないということですから、それ以外にレッドゾーンとグリーンというような形だったと思います。そこを、どういうふうに呼んでいたのかは、私はその場にいないので、わからないんですけれども。
記者:
いわゆるレッドゾーンとグリーンゾーンというものははっきりとは分かれていたということでしょうか。
脇田座長:
そこは赤なのか緑なのかわかりませんけれども、2つのゾーンで業務を行っていたというふうに説明されました。
記者:
脇田座長にお伺いしたのですが、今日出されたクルーズ船の分析なのですが、Nの数が、発症歴を確定できたのが184ということなのですが、少し少ないように思うのですが、このことについて教えていただけますでしょうか。
脇田座長:
残念ながら、発症日を確定できている症例数を出しているということになります。その発症日が、必ずしも検査をやって陽性になったということしかわかっていない症例もありますので、その分は除けているということで、大体7割程度の症例は現在カバーされていると承知しています。
記者:
そうすると、随時このデータは更新されていくようなイメージですか。
脇田座長:
そこの発症日が把握できれば、そこは載せられるということだと思います。いずれにしても、現在のレポートとしては出していますが、それをより今後解析を加えて完全なものにしていきたいと思っています。
記者:
そうすると、発症日が分かってくると、実はその5日より後に感染した可能性が高い人が多いのではないかということが分かるという可能性はどうなのでしょうか。
脇田座長:
そこに関しては、そういった解析もしていますが、そういうことではないと考えています。
記者:
ゾーニングの件で、このレッドとグリーンに分けるということですけども、今回のクルーズ船で行われたゾーニングについては、なにかガイドラインというかWHOが示した方法に則ったものか教えてください。
脇田座長:
そこに関しては、WHOのガイドラインにそってやっているかどうかということは、今日、説明はなかったということです。
記者:
今日の時点のご理解は、何に基づいて、誰が決めてゾーニングを行ったのか、ご存知でしょうか。
大臣:
これは基本的には、感染の専門家のご指導を頂きながら、先ほどお話しがありましたように完全なクリーンな部分は作れないけれども、その中でより危険の高いところとそうでないところを分けてやっていただくと聞いております。あとで事務的に説明をさせていただきたいと思います。
記者:
今お分かりになれば、専門家と相談ということで、誰か特定の個人なのか、それとも複数の専門なのか、あるいは感染症部会のような場なのか、どういう相談をとって、このゾーニングを決められていらっしゃるのでしょうか。
大臣:
複数の専門家と相談をさせていただいて作っていたとふうに聞いております。ただ、その作った後においても、先ほど申し上げたいろいろな方が入ってこられて、感染の専門家の方が入ってこられて、ここはこうした方がいい、ああした方がいいというご指摘をいただければ、逐次それにそって対応していたと聞いてます。
記者:
2点目ですが、脇田先生、冒頭のご発言で、現在、症状が治まっていると仰ったんですけれども、一般の国民の受けとめとして、日々感染者が続々発表されている中で、いまいち理解しにくい部分があると思うので、もう一度改めて、症状が今治まってきているということとこの感染者が出て発表されているということの、この違いについて、教えていただけますか。
脇田座長:
それ、何に関してですか。クルーズ船の下船される方ですか。全体の発症数はもちろん説明しました。発症されている方はもう現在なくなっているということです、発症されている方はありませんということです。日々ですよね。
大臣:
ご質問の趣旨はですね、毎日、毎日、毎日、今日もですね、何十人が発表されたではないかと、それと発症がなくなったというのと、それはどうなのか、というご質問ですよね。
脇田座長:
現在、陽性として検知されているのは無症状病原体保有者という方は、もう症状はないわけですよね、そういう方は症状はないということですから、発症しているわけではないということになります。ですから、当初は症状が出た方を検査しておりますので、そこから陽性者が出てくると。今、現在といいいますか、既に検査は終わったわけですけれども、下船の前には症状のない方を中心に検査をしたということですから、症状のない方の、ただ、そこでも無症状で陽性者が出てきていると、そういった状況です。
記者:
今の脇田先生のおっしゃることで、症状がなくても感染は確認されている人達ということですよね。そうすると、症状がないにしても感染したのがいつなのかということを遡っていくと、今もう19日になっているわけで、そうすると五日より後ですね、客室に待機してくださいと言ったより後に一定数の方は感染しているのではないかということについてはどういうふうに解釈すればよろしいでしょうか。
脇田座長:
そこのところは潜伏期といいますが、基本的には発症するところの潜伏期というものでよいと思います。
記者:
そうすると、発症していない場合は潜伏期もなにもなくウイルスがいつ罹ったか全く分からないということになるのですか。
脇田座長:
現在ウイルスが感染しているということですね。
記者:
そもそも論で、ちょっと外出を控えるとかいろいろなことを国民にお願いすると思いますが、考え方として、一ヶ月二ヶ月ちょっと沈静化するとして、あんまりウイルスがアウトブレイクが起きない状況は作れると思います。ところがあちこちにどこかにウイルスがある状態というのが少し続くと思うのですが、1か月2か月多少収まったとしても、どこかでウイルスが残っている限り、その人を起点にしてまた、アウトブレイクが起きるという可能性というのはあるのでしょうか。
脇田座長:
可能性の話は少し控えたいと思いますけれども、現在クラスターがこうして発生をしている、それから散発性があるという状況ですから、そこからさらに感染をつなげていかないということに今全力を尽くすということが重要だと考えてます。
記者:
脇田先生にお伺いしたいのですけれども、今のお話でしたら無症状病原体保有者の方というのは今後発症することがないとお考えなのでしょうか。
脇田座長:
そこのところは経過を見ていただかないとわからないので、当然然るべき施設で経過を観察するということになるのだろうと思います。それも含めてやはりこの新型コロナウイルスの感染症の実態と言いますか、本質と言いますか、そういったところを今後さらにはっきりとさせていく必要が有ると思います。
記者:
脇田座長に今日のレポートの件でお伺いしたいのですけれども、まずこの暫定的な結論というところで、まず5日より前にCOVIT-19の実質的な伝播が起こっていたことががわかるということなのですけれども、これはもう少しどういう理屈を持ってこういう記述にされているのかというのを教えていただけますか。
脇田座長:
2月5日に隔離が始まったわけですけれども、その前の時点ですでに発症したかがいたということですね。その後船内でかなり通常の活動が行われていたというところでその後の発症の経過を見てもその2月5日の前に感染が起きていたということがわかると、そういった趣旨です。
記者:
あと次の文なのですけれども、確定患者数は減少傾向にあるということは、最終的に乗客間も伝播を減らすのにより有効であったということを示唆していると暫定的に結論を出していると思うのですけれども、ちょっと文章量の問題なのかもしれないのですけれども、下の表とかを見る限りでは検疫管理が始まった後に、明らかに同室内で感染した方についてカウントされておりますけれども、それだけで説明がつかない方というのも一定数いるように読んでいるのですけれども、これだけのデータをもって減らせたと言ってしまっていいのかどうかということについてはどう考えられていますでしょうか。
脇田座長:
検疫が始まって、2月5日からはそれまでの状況とは船内が変わって船内隔離が行われたという状況ですから、そういったそれまでのとは明らかに感染の機会というのは止められていると理解しております。その後の発生状況、発症状況、それを見ると、当然潜伏期がありますから、一定数その後発症者が増えてきて、その後減少に転じてきているということを見ると、その隔離、アイソレーションというのが有効に機能していたという暫定的な結論だと思います。
記者:
n数で151という数字を2月6日以降に発症した人151人と数えてらっしゃるのですけれども、下の表を見ると症状があった確定患者数が276人ということになっていて、これを単純に差し引きしても40人ぐらい差分が出ると思うのですけれども、これは5日の分を入れてないにしてももうちょっと計算が折り合わないところがあると思っているのですけれどもこれはどう考えればよろしいでしょうか。
脇田座長:
5日より前の症例数があるということだと思います。
記者:
今回レポートにあるのは合計2,404検体でクルーズ船全体からすればあと千ちょっとぐらいデータがこれから出てくるかと思うのですけれども、それが出てきたとしても今回ここで出している結論というのは変わらないと考えてらっしゃるということでよろしいでしょうか。
脇田座長:
これからまたデータ出てきますけれども、現時点でその追加されたデータを検討しても結論としては変わらないと思います。
記者:
大臣にお伺います。今日官房長官が会見でクルーズ船に関する対応についてこれから検証していきたいと発言されているのですけれども、今後厚労省としてクルーズ船の対応について何か検証する予定はあるのでしょうか。
大臣:
従前から官房長官がそうやって言われていることは十分承知をしております。当然終われば検証し、次に役立てていく、これは当然だと思いますが、ただ今私どもの状況はそこを見ているのではなくて、今目の前とそして次にどう変わっていくか、これに今全力をあげているところであります。
記者:
大臣にお伺いしたいのですけれども、先ほど少しお話があった情報の公開とか透明性に関連しまして、本日の専門家会議は基本的に非公開ということですけれども、これ終わった後には大臣自ら会見をしてくださっていますが、議論の過程を見て知ってもらおうということも透明性という点ではすごく大事ではないかということも考えられますが、大臣としてはどのようにお答えでしょうか。
大臣:
中には色々と公表できない、まだ公表する段階ではない中で専門家同士で色々お話をしながら精緻にしていく部分がありますが基本的には議事概要は出させていただくということなのですが、すみませんがまだ前回のやつがでてないのだろうと思いますので、至急やらせていただきたいと思います。
 

(了)