加藤大臣会見概要

(令和元年12月27日(金)10:33 ~ 10:45 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
まず、令和元年11月の有効求人倍率は1.57倍と、前月と同水準となりました。また、正社員の有効求人倍率は1.13倍と、前月と同水準となりました。現在の雇用情勢は、着実に改善が進む中、求人が求職を大幅に上回って推移していると判断をしております。私の方からは、以上であります。

質疑

記者:
一部で報じられているのですが、介護保険料を徴収している社会保険診療報酬支払基金が誤って保険料を多く徴収し、その額が最大で8億円程度にのぼる可能性があるということですが、事実関係をお願いします。
大臣:
今年の春に支払基金が使うべきデータをとり間違えて過小算定したということがありました。それを踏まえて、厚労省と支払基金が他にこうした事例がないかということを精査をしていく中で、今、ご指摘がありました介護納付金額の算定に用いた諸係数の一部に誤りが判明したということでございます。現在、さらに精査をしておりますが、早ければ今日の午後にでもきちんと具体的な中身についてご説明したいと思っております。
記者:
年金制度改革についてお伺いしたいのですが、今回出そろった改革事項を実現した場合、将来の所得代替率が0.2ポイント上がるということが明らかになりました。これについて、大臣のご所見をお願いします。
大臣:
今回の年金制度は、人生100年時代の中で、一方で健康寿命の延伸を図りながら、引き続き働きたいという方々への対応を今、進めようとしておりますが、そうしたことを含めて、働き方がより長く多様な形になってきている、年金制度においてもそれに応じた対応をしていく必要があり、また同時にいわば、人生が長くなるということでありますから、それに対応する経済的な基盤を充実していくという必要性もあります。そうしたことを踏まえて、現在、被用者保険の適用拡大、年金受給開始時期の選択肢の拡大などを内容とする制度改革案が政府与党内の議論を経てとりまとめたところでありまして、そういった趣旨で進める結果として、どう所得代替率が動くかと計算すると、0.2程度の改善となるということであります。したがって、今申し上げたように主たる目的は、より長期化するより平均寿命が長くなる、いわゆる高齢化が進む中で、経済基盤を充実していく、そうした観点から進めていく改革であります。
記者:
パワハラ指針についてお伺いします。23日の正式決定までに実施したパブリックコメントで、1000件以上の意見が寄せられて、多くが見直しを求めるものだったにも関わらず、一切反映されないという結果になりました。このような議論の進め方を大臣としてどのようにお考えかということと、すでに正式決定されてはいますが、今後見直しの可能性というのはあるのでしょうか。
大臣:
まず、11月21日から12月20日までの一か月間でパブリックコメントを実施して、1139件のご意見をいただきました。これは様々な中身がありますが、これを踏まえて、12月23日の労働政策審議会の雇用環境・均等分科会において、最終的なこのパブリックコメントの結果も踏まえて、最終的な議論をいただき、指針案要綱については、「おおむね妥当」との答申をいただいて、了承されたということで、この答申を踏まえて、1月中に指針を策定するということを考えております。中には、一応法律の中での問題でありますから、法律からして対応できるものと対応できないものがある等々判断があったということを聞いておりますが、ただ、こうした今回いただいたパブリックコメントも踏まえて、これから周知・啓発をするためのパンフレット等の作成をする、あるいは、周知・啓発を行っていくわけでありますから、今回そうしていただいた指摘なども踏まえながら、そうした周知・啓発にあたっていきたいと思っています。
記者:
この一年間ですが、厚労省では統計不正問題や遺骨収集問題などの不祥事がありました。この不祥事が、止まらない原因はどこにあるとお考えでしょうか。またどのような根本的な対応が必要だとお考えでしょうか。
大臣:
今年の前半に統計の問題があって、それから遺骨収集において既に日本人のものではないと指摘がなされながら、それに対する適切な対応を行ってきていなかった、こういう経緯があります。それを踏まえて、統計の問題については大臣官房機能をしっかりとさせることによって組織のガバナンスを確立していく、あるいはさらには若手の皆さんから働き方を含めて色々なお話をいただいておりますので、思い切った改革をするため、先般、厚生労働省改革実行チームにおいて改革工程表を取りまとめたところでありますので、これに則って、しっかりと一つ一つの実現を図っていくと。それから遺骨に関しては、先日なぜそうなったかという報告書を出していただきました。こうした見解も踏まえて、さらに年度内に予定されている専門技術チームの検討結果も踏まえて有識者からご意見いただくことになっておりますけれども、これを踏まえて遺骨収集事業の在り方について本当にゼロから見直しをしていくという思いで取り組んでいきたいと思っております。
記者:
昨日東京地裁でひきこもりの支援を騙る施設に対する賠償を命じた判決が出たのをご承知かと思います。家族から今年大臣にこうした暴力的支援施設の件を小耳に入れようとしたところ事務方に止められたということも聞いておりますけれども、様々な業種の暴力的支援施設が規制もない形で全国各地を通して被害者が出続けています。長年放置され続けてきたこの件ですけれども、過去事案も含めて既に同種の施設に違法性が認められた刑事、民事の判決が複数存在する形になり、今の時代が厚労省がひきこもり支援を所管するようになっているということで、まずは大臣の判決の受け止めを伺いたいと思います。またこうしたひきこもり支援を騙った支援業者の実態把握に取り組むおつもりがあるかについてお聞かせください。
大臣:
まず一つ一つの事案に対するコメントは控えたいと思います。ただ、今どなたかが私に、という話はちょっと承知しておりません。ただ、こうした事案がなぜ発生するのかということが大事だと思います。やはりそうしたひきこもり状態にある方やそのご家族の方々が、色々大変でどう対応していいかわからない、あるいは孤立化をしている、そうした状況の中で、いわば悪質事業者がそういったところを悪用して、つけこんでるということなんだと思いますので、私どもとしてはそうした孤立化しているあるいは悩みを持っておられる皆様方が、適切な相談支援を受けられるようなことをしていくことが問題解決の本筋だと思っております。その意味で来年度予算案では弁護士や心理職などにより構成される専門チームの引きこもり支援センターへの配置、あるいは自立相談支援機関へのアウトリーチ支援員の配置などを行って、ひきこもり支援策の充実を図っていきたいと考えております。
記者:
実態把握についてはいかがでしょうか。
大臣:
実態把握、これは民事訴訟の話でありますから、そのこと自体が我々の調査対象にはなりえないのだろうと思いますけれども、今申し上げた、ただそういう事案があること、そのことは我々しっかり認識をしながら、先ほど申し上げたそうした悪質な業者を利用しないですむ、そうした環境をしっかり作っていかなければいけないと思っております。
記者:
最初にあった介護保険料の過徴収についてですけれども、報道では最大で8億円程度ということなのですけれども、ただ今精査中ということで、大体の規模について数億円なのか、十数億円なのか、数十億円なのかそのあたりを教えてください。
大臣:
まさに今そこ精査中なので、きちんと精査した数字を申し上げる方が間違いないと思いますので、そんな時間たたずにその数字を含めて発表させていただけると思います。
記者:
先ほどの不祥事の関連で、不祥事がこのように続いたりする共通の根本的な問題点、どういうところにあるとお考えかお伺いできれば助かります。
大臣:
一つ一つ不祥事が起きている事案、事由は個々だと思います。ですからそれを一つ一つ当たっていくということが必要なんだと思いますが、ただ国の行政全般もそうですが、特に厚生労働行政は国民の皆さんの生活に非常に密着した分野をやっているんだということでありますので、まさにそうした国民の皆さんの視点というか、やっぱりそういった立場に立ってものを進めていく、こうした認識をしっかり持つことが大事なのではないかと思います。
 

(了)