加藤大臣会見概要

(H30.9.4(火)11:04 ~ 11:19 会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。冒頭申し上げることはありません。

質疑

記者:
建設アスベスト訴訟についてお伺いします。先日大阪高裁で控訴審判決が出まして、一人親方に対しての救済範囲を拡大して国と企業の責任を認めました。これについてのご所感と先週の金曜日に原告団の方が厚労省に対して上告しないで欲しいと申し入れをされましたけれども上告期限が14日ということでまだ日がありますけれども、今の段階で何かお話できることがあればお願いできますでしょうか。
大臣:
京都の建設アスベスト訴訟の判決において、今お話がありましたように一人親方について地裁ではそれを否定されたものが肯定されるというそういった中身の判決がされて、国の主張が一部認められなかったそうした判決だったと認識をしております。現在、判決内容を精査しているところでありますので、今後関係省庁の法務省などと協力しつつ対応を検討していきたいと考えております。今の段階でそれ以上申し上げることはございません。
記者:
風しんの状況についてお聞きしたいのですけれども、患者数273人と去年の3倍近くなっておりますけれども、それに関して大臣から注意喚起などいただけますでしょうか。
大臣:
風しんにつきましてはこの7月以降、30代から50代の男性を中心に、特に関東地方で風しんの届け出数が例年になく増加をしていると承知をしております。多くの人の往来が見込まれることもあります。これからさらに全国に感染が拡大するような可能性もあるということで、厚生労働省では8月14日でありますけれども自治体及び日本医師会に対して注意喚起を促す通知を発出しております。特に風しんは妊婦の方が感染すると胎児に障害が引き起こされる可能性が指摘されております。妊婦の皆さんをしっかりと守っていくという観点から診療に係る方々にはまずは風しんを意識した診療を心がけていただきたいと思っておりますし、また、世代によって風しんにかかっていたりかかってなかったりということがあるので、これまで風しんにかかっていない方や風しんの予防接種を受けていないそうした方についてはこれを機に風しんの予防接種を受けることについてご検討いただきたいと思います。
記者:
昨日、経団連の会長が就活指針の廃止を表明されました。まずはご感想とあと人生100年時代の議論の中でも就職のあり方、新卒採用のあり方が課題となっていたと思います。政府としてこの問題を今後どのように現状で進めていくのでしょうか。
大臣:
昨日の経団連の中西会長の記者会見で、確か個人的な見解という前提にお話をされていたという認識をしておりますが、2021年春以降入社の学生を対象とする就職活動のルールを廃止する可能性について言及されたことは承知をしております。他方で2020年3月の大学の卒業予定者に関しての就職活動開始につきましては、経団連の「採用選考に関する指針」において、広報活動開始は3月1日以降、採用選考活動開始は6月1日以降と定められておりますから、まずはそれをしっかり皆さん順守していただくということが肝要だと思います。会長が言われたのはその後の話なのだろうと思います。これについては、今後、経団連の中において、またこれまでも大学側等さまざまな関係者においても「採用選考に関する指針」については議論が進められてきた経緯があります。経済界側からの議論もありますし、それから学生側あるいは大学側からも学業をしっかりと取り組める環境を作って欲しいという要望もあったと思いますので、そうした意味で様々な視点に立って検討がされていくということを期待していきたいと思っておりますし、そういった観点から私どもも注視をしていきたいと思います。
記者:
政府としては改めてこの問題を取り上げるということはお考えではないでしょうか。
大臣:
これは基本的に政府がリードするというよりは、確か私、再チャレンジ担当大臣の時にこの問題に関わらせていただきましたけれども、先ほど申し上げた経団連と大学側とのご議論を中心にそこに関係省庁が入ってご議論してきたという、確かそういう積み重ねだったと思います。ただいずれにしましても、2021年の春以降どうするかということについては、直前に決めても学生の皆さんが困りますから、そういった意味において今回こうした経団連の会長からのお話があったわけでありますので、当然それに向けて精力的に議論していく必要があると思いますが、ただその前提としては、今決めているルールについてはしっかり順守していただくということは非常に大事だと思います。
記者:
今日午後に自民党の行政改革推進本部が開かれまして、中央省庁の再編ですとか、行政改革についての中間報告をまとめる予定です。その中で厚生労働省の分割についても何らかの言及がある見通しですけれども、まだ中身が出ていないのでコメントできないところもあると思いますが、大臣として厚生労働省の分割についてどのようなお考えか改めてお聞かせください。
大臣:
今お話しのあるような会合が開かれるということは承知をしてますが、その中身において分割ということが明示的に示されているというようなお話は承知をしておりませんから、ちょっとそれ以上今の質問に言及するのは差し控えたいと思います。ただいずれにしても、この議論の前提になっているのはそれぞれの役所が今の役割をしっかり担っていけているかどうかが問われているのだと思います。それについては我々引き続き、厚労省は非常に多岐に渡る分野である、国民の皆さんの生活に非常に密着した分野でありますから、そういった意味においてはしっかりそうした役割を果たしていけるよう、しっかりその責任の重さを自覚しながら取り組んでいきたいと思います。
記者:
障害者雇用の問題で第三者による検証チームの設置の見通しについて改めてお伺いできますでしょうか。
大臣:
現在鋭意第三者チームのメンバーをやっていただくことをお願いしている状況なので、早くにメンバーを確定して、この検証チームが立ち上がれるよう我々もさらに努力を重ねていきたいと思います。
記者:
さっきの経団連の就職の話で、ルールが守られるという、一方で色々な企業がある中で経団連に属していない企業などそれより早く就活をしている、これを止められるわけではなく、そういう中でルールを守っているところが逆に割を食うようなそういう現実もあったりする中で、こういう就活のルールについてはどういう風にしていけばいいかと考えがあれば教えてください。
大臣:
まず就活のルールはこれまでいろいろと変遷があって今の姿になっていると承知をしております。早い時期がいいのか、遅い時期がいいのか、あるいは決める方がいいのか、決めないほうがいいのか等色々な議論があるわけであります。したがって、先ほど申し上げたように次の2020年の採用についてのルールは決めているわけでありますからそのルールをまずしっかり守っていくということだと思います。その上でそれから先どうするべきか、それはこれまでの実際の採用の状況、今ご指摘があったようにですけれども、他の企業がどういう形になっているのか、またそういったことが大学生の学業に対してどのような影響があるのか、そういったことも含めてしっかり議論していく必要があると思います。
記者:
それは何らかのルールがやはりあった方が良いと考えているのか、それもやはりそういった方の議論に委ねるべきだと考えるべきなのでしょうか。
大臣:
基本的には先ほど申し上げましたように政府が仕切って決めているルールではありません。経団連、そしてそれを決めるにあたって大学関係者等の議論を重ねて出てきたルールであると認識をしておりますから、そういった議論のフレームワークそのものを今変えるべきということは考えておりませんけれども、そういった中においてしっかりと検討していく必要があるだろうと思います。
記者:
今日、日本経済新聞で、総理が社会保障を今後3年間で大改革するということをおっしゃいました。大臣はこういうスケジュール感を共有されているのでしょうか。また、大臣も予算委員会の中で10%以降の社会保障の絵姿を考えなければいけないと度々おっしゃっていると思いますが、今、どういう絵姿を考えていらっしゃいますでしょうか。
大臣:
次の2年間と言われたと記憶しておりますけれども、医療年金などの社会保障制度全般に渡る改革を進めるということを、日経新聞のインタビューの中で答えておられることは私も承知しております。いずれにしても社会保障の制度改革については、現在でも改革工程表に則ってやっていくということ、それから、税と社会保障の一体改革という観点からは、来年の秋に消費税が引き上げられるはずです。一応そこで一つのステージが終わり、また次のステージを踏まえて議論していく必要がある、これは共有していることだと思います。その上に則ってこれまでも主張してまいりました、いわゆる全世代型、日本の場合は高齢者に重きが置かれる中で、若い世代、子育て世帯への対応に対してご議論があり、それをしっかり充実していこうということで、今回の来年秋の消費税引き上げ分を含めて、全世代型社会保障の構築に向けて進めているわけです。さらに、2025年以降から2040年について厚労省から人口構造の姿をお示しさせていただき、高齢者人口の増加から、むしろ生産年齢人口の減少というものがより強く出てくる時代を踏まえる中で、これまでのような社会保障の効率化等々と同時に、いかに社会の活力を高めていくのか、そのベースとして健康寿命の延伸等に取り組むこと、あるいは、生産性の向上に取り組むことも、問題提起というか課題をお示しさせていただいています。そうしたことへの対応も当然必要になってきます。そういった意味で、まず総理からも指示をいただいておりますが、高齢者の就労をどうこれから進めていくのかということで、定年制や雇用延長の問題に対してどう取り組むのか、こういったことにもしっかりと議論をしていきたいと思っています。加えて、年金制度について、繰り下げの期間が70歳まででありますが、それをさらに延長するということ、あるいは短時間労働者の被用者保険の適用拡大の問題、課題もあります。さらには、先ほど申し上げた健康寿命の問題でも、保険者の予防・健康づくりをどう進めていくのかということに対して、これまでもインセンティブの強化に努めておりますが、そういった方向をさらに進めていくということを含めて、これからの時代に対応した中で、全世代型の社会保障制度を構築するとともに、やはり日本の国民皆保険・皆年金制度をしっかり堅守し、次の時代につなげていく、それに向けての議論をし、具体的な施策を展開していく、そういう認識で総理もお話になっているのだと思います。我々も全く同じ認識を持っております。
記者:
制度を維持するという意味では、負担の部分はどういう風にお考えでしょうか。
大臣:
もちろん制度を維持するという中においては、負担も含めて議論していくというのは当然のことだと思います。ただ、負担だけ議論しても仕方がないので、給付の有り様と、負担と言ったときに中長期的に考えれば、例えば健康寿命や予防を進めることによって、医療費や介護の費用が結果的に縮減されていきます。他方で、それだけ健康寿命が延びる中で、高齢者が就労していくとかそういうことになれば、税や保険料におけるプラスのメリットもありますから、まさに総合的に捉えていく必要が、議論をしていく中で必要があるのだろうと思います。
 
 

(了)