加藤大臣会見概要
(H30.8.3(金)11:03 ~ 11:19 会見室)
【広報室】
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- おはようございます。冒頭3件あります。一つは、既に7月31日に公表しておりますが、本日の閣議で有効求人倍率についてご報告をいたしました。平成30年6月の有効求人倍率は1.62倍と、前月より0.02ポイントの上昇。また、正社員の有効求人倍率は1.13倍と、前月より0.03ポイントの上昇となっております。現在の雇用情勢は、着実に改善が進む中、求人が求職を大幅に上回って推移していると判断しているところであります。二点目ですが、私が議長を務めております薬物乱用対策推進会議において、本日「第五次薬物乱用防止五か年戦略」、平成30年8月から5年間の期間ですが、決定いたしました。この戦略では、覚醒剤押収量が2年連続で1トンを超えていることに加えて、人・物などの国境を越えた移動の活発化や、インターネット等を通じた取引の巧妙化などを踏まえ、密輸・密売対策を強化しています。また、新たに、未規制の物質や、大麻ワックス等と呼ばれる使用形態が変化した薬物への対応や、向精神薬を悪用した凶悪事件の発生防止のための監視、取締りなどを盛り込んだところであります。引き続き、この戦略の下、関係府省庁が一体となって、薬物乱用の根絶を目指してまいります。最後ですが、昨日平成30年7月豪雨「生活・生業再建支援パッケージ」がとりまとめられました。お手元に資料が配付されていると思います。被災者の生活再建については、孤立防止等のための見守りや日常生活上の相談支援等を行うとともに、被災地における心のケアなど、被災者に対する、切れ目のない、総合的な支援を推進してまいります。また、生活福祉資金貸付の貸付対象を被災世帯にも拡大するとともに、償還期限を最大2年まで延長いたします。併せて、医療・介護等の利用者負担や保険料減免等を実施した保険者・自治体に対して財政支援を行います。次に、生業の再建のため、雇用調整助成金の受給要件を緩和するとともに、助成率を引き上げます。また、雇用保険の基本手当について、災害による事業所の休業で賃金を受け取れない場合等にも支給することとします。最後に、災害応急復旧のため、水道施設、医療・福祉施設等の災害復旧事業について、災害査定の業務や期間等を縮減するなど、迅速に実施するとともに、中小の医療機関等に対するグループ補助金の活用について、経済産業省と連携して関係団体等を通じて周知するなど、きめ細かい支援を行ってまいります。このパッケージに基づいて被災者の安心を確保し、被災自治体が財源に不安なく安心して復旧・復興に取り組んでいけるよう、必要な支援を行ってまいります。私の方からは、以上になります。
質疑
- 記者:
- 自民党の行革本部が、省庁再々編の提言を月内に政府に提出するという報道がありました。厚労省は業務が肥大化しておりまして、今後分割を視野に入れた提言が出されると思われますが、大臣としてのご所感をお聞かせください。
- 大臣:
- そうした報道があることは承知していますが、現在、自民党で分割案等についてとりまとめが行われたことは承知をしておりません。いずれにしても、厚労省については、平成13年に厚生労働省としてスタートしたわけでありますが、この間、仕事と家庭の両立、子育て支援の充実、障害者の就労支援と雇用促進、介護・福祉人材の確保などを、一体的に推進してきたところであります。いずれにしても、厚生労働省が担う業務は、医療、介護、年金、子育て、労働等幅広い分野で多岐にわたっているのも事実でありますので、そうした一つひとつの分野について、国民の生活に密着している業務でありますから、適切に実行が行われるよう、また、それぞれが先ほど申し上げた一体的に推進していけるように、さらに取り組んで行きたいと思います。
- 記者:
- 東京医科大学で、女性受験者の点数を減点していたことが明らかになりました。出産や育児で辞めてしまう女性医師を少なくしたいと思ったなどと言われています。医師の働き方改革を所管する厚労省としてどう受け止められているかをお聞かせください。
- 大臣:
- まず、大学入試そのものについては、東京医科大学の件について具体的な事案を承知しているわけではありませんから、個別については控えさせていただきたいと思いますが、ただ、一般論として申し上げれば、入試においてその大学がそれぞれの観点に立って選抜方法をお考えになるというのは当然あることなのだろうと思いますが、「女性だから」、「~~だから」といって一律に制限を加える、いわば不当に差別をするということはあってはならないと思います。その上で、現在医師の約5分の1、医学生の約3分の1の方が女性でありますので、特に女性医師については、妊娠・出産等によりキャリアを中断せざるを得ない事情が生じる場合もあります。そうしたことも踏まえながら、女性医師がそのキャリアを形成しながら、そうした様々な事実に対応しつつ、働き続けていただける環境を整備していくということ、これは極めて重要であります。本人にとってはもちろんですが、日本における医療が適正に供給されるという観点からも大変重要だと考えております。こうした観点から、厚労省では、就職を希望する女性医師に対して医療機関や再研修先の紹介等を行う女性医師バンク事業の実施、あるいは都道府県における女性医師の復職に関する相談窓口の設置や、復職研修等に対する財政支援、さらには医療機関において、復職支援から継続した勤務まで、パッケージとして女性医師支援を行うためのモデル事業などを立ち上げて進めているところであります。引き続き、女性の医師が働きやすい環境をしっかりと整えていきたいと思います。また、医師の働き方改革を議論していく上で、当然そういったことも視野に入れながら、議論をしていきたいと思います。
- 記者:
- 鹿児島大学病院で、入院患者から多剤耐性アシネトバクター等が検出され、8人が死亡していることがわかりました。病院が本日記者会見をしますが、厚労省で現時点で把握している状況や対策等があれば教えてください。
- 大臣:
- 鹿児島大学病院における多剤耐性アシネトバクターの感染の件については、昨年11月に鹿児島大学から九州厚生局に多剤耐性アシネトバクターの感染事例が発生した旨、まだこれは死亡したということではないのですが、そうした感染が発生したという報告がありました。九州厚生局を通じて鹿児島大学に対し、疫学的調査や厳重な感染対策等、アウトブレイクに準じた適切な対応を行うよう求めていたところでありました。その後、本年4月には、院内感染によるものか、これは不明ではあるが、死亡例が発生したとの報告がありました。鹿児島大学に対しては公表を含めてしっかりとした対応を指示してきたところであります。さらに、6月中旬に2例目の死亡事例が発生したとの報告もございました。この件についても含めて、近く公表する予定である旨の報告をいただいていたところであります。鹿児島大学から、今日正式に公表するということであります。報道等でも出ておりますが、死亡例が増えてきていることもございますので、現在、詳細について情報収集を行うよう、担当者に指示を行っているところであります。鹿児島大学病院は特定機能病院ですから、状況に応じて、医療法第25条第3項に基づく特定機能病院に対する立入検査という規定もあります。必要に応じて、そうしたことも視野に入れながら、まずはしっかり情報収集等を図っていきたいと考えております。併せて院内感染対策について適切に実施されるよう指導していきたいと思います。
- 記者:
- 二点お伺いします。一点目、省庁再々編の話なのですが、菅官房長官の昨日の会見で厚労省の業務は極めて多岐にわたっていると、国会答弁は他の閣僚に比べて突出していると発言されておりました。まさに国会答弁を担当している加藤大臣は、ご自身の業務量に関してどのようにお考えでしょうか。
- 大臣:
- まずは、先ほど申し上げたように厚労省の業務は多岐にわたっているところもありますし、毎年多くの法案を出させていただいて、その会期の中においても最後まで法案審議をしている委員会の一つが厚生労働委員会だと認識をしておりますし、当然それだけ長く審議をするということになれば大臣の出席時間や答弁数も当然増えてくると思いますが、ただ他と比べたことがありませんから、他と比べてわかりませんが、先ほど申し上げたように、先の通常国会においても終盤まで議論していたいくつかの委員会であったということは認識をしているところであります。いずれにしても、先ほど申し上げましたけれども、この厚生労働省の役割が多岐にわたるものを適正に、そして国民の生活の密着にかかわってくるそうした業務を、国民の信頼にこたえるような形、あるいは国民の安心安全に資するような形でしっかりと進めていく、さらに役所全体として一丸となって努力をしていきたいということになります。
- 記者:
- 二点目は、別の話題になるのですが、シベリア抑留についてお伺いします。シベリアの抑留でモンゴルの収容所へ移送途中に亡くなった43人の死亡状況を記した記録が、モンゴル国防省の中央公文書館に残されているという記録を厚労省が確認したという報道がありました。その事実関係とその記録が見つかったことの意義をどのようにお考えでしょうか。
- 大臣:
- そうした記録があるというお話もお聞きをしていたものですから、厚労省として今年の6月10日から13日にかけて職員を派遣してモンゴル国防中央文書館において確認し、また資料取得についての協議を行っているところでありますので、我々としてもできるだけ早期に資料の、これは確認はできてますから、その資料をいただくようモンゴル政府に働きかけをしていきたいと思います。いずれにしても、1日も早く入手をし、それを分析し、同時に記載されているそれぞれのご遺族の方々にも必要な情報のチェックを行っていきたいと考えております。
- 記者:
- 省庁再編について改めてお伺いします。大臣が就任されて一年が経ち、国会答弁等も数多くこなされてきましたけれども、改めまして、一年を振り返って、省庁再編とからめてよく言われるのが、シナジー効果があったと言われておりますけれども、一緒になっているメリットをお感じになったことがありますでしょうか。
- 大臣:
- メリットというと使用前と使用後がないとなかなかメリットというのは感じにくいところがあるわけですけれども、この1年間で特にこの通常国会も働き方改革の法案があり、医療の関係の法案があり、また生活保護の関係があり、多岐にわたる法案を提出させていただいて成立をはかっていただいたということであります。またそれぞれの施策を進める中においては、いわゆる昔でいう厚生省と労働省のそれぞれの分野に係る話、これはいくつもあったわけでありますから、またこれから一つひとつの政策を前に進めて行く上においても、縦割りではなくて、横軸を通しながらまたそれぞれの部門部門で仕事をしっかりとやっていただく、こういうことにさらに配慮しながら気を配りながら取り組んでいきたいと思います。そういった意味では一方で政府全体においても一体的な運用というのはよく言われているわけでありますから、厚労省においても、当然この中において一体的に各局連携して取り組んでいくことはより必要になってきていると思います。
- 記者:
- 鹿児島大学の問題の件なのですが、国としては薬剤耐性の監視体制を強化しているところですけれども、やはりこうした問題が起きてしまいました。改めて、こういうことが起きてしまったことに対しての大臣の所感を教えてください。
- 大臣:
- 起きてしまったというところを含めて、これからよく分析していかなければならないと思います。ただ、その多剤耐性の問題は国内のみならず国際的にも大きな関心事項でもあります。我々も国際的な中での会議においてもテーマの一つとして取り上げてきたわけでありますから、これをいかに引き起こさないか、そのためには必要のない抗生物質等の使用を控えていくとか様々な対応が求められていると思いますし、これまでも我々としても出させていただいておりますので、そういったことも、この病院だけではなくて全体的に取り組んでいくということ。それから特定機能病院を中心としてやはりこれまでも院内感染対策という観点から指針を作成してもらうとか研修を実施していただくとか、あるいは様々な院内感染対策を推進するための方策の実施、これは義務づけられているわけであります。そういった意味での徹底をさらに図っていくことを通じてこの多剤耐性に対する対応を図っていきたいと思います。
- 記者:
- 会見があるということですけれども、亡くなった方8人について、年齢や性別等そういった内容がもしわかれば教えてください。
- 大臣:
- 私には来ておりませんので、それは病院の方から発表されると思います。発表についても、感染症で亡くなったということと、それから院内感染との関係とか色々とあると思いますので、そこは鹿児島大学病院からお聞きいただいた方がより正確であると思います。
(了)