加藤大臣会見概要

(H30.7.24(火)11:15 ~ 11:33 会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず、過労死等の防止に対する大綱の変更について閣議決定がされたところです。本日、過労死等防止対策推進法に基づき定められる「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更について閣議決定がなされました。今回の変更は労働行政機関等が関係法令等に基づき重点的に取り組む対策を新たに項立てするとともに勤務間インターバル制度の周知や導入に関する数値目標を設定する等、過労死等防止対策の充実を図るものであります。厚生労働省としては、今後とも関係行政機関とも連携しながら、過労死ゼロの実現に向けて全力で取り組んでまいります。それから、幹部の人事異動でありますけれども、今日の閣議で局長級以上の幹部職員の人事異動について内閣の承認が得られたところであります。内容については、お配りしている資料のとおりになりまして、7月31日付で発令することになります。蒲原基道事務次官が退官し、その後任に鈴木俊彦保険局長を、宮野甚一厚生労働審議官が退官し、その後任に宮川晃雇用環境・均等局長を登用いたします。鈴木康裕医務技官は留任であります。女性の登用については、3名を局長のポストに登用いたします。その中で定塚由美子社会・援護局長を大臣官房長に登用いたします。定塚は、旧厚生省、旧労働省時代を含めて、女性としては初めての官房長への起用となります。また、池田千絵子総括審議官を留任し、吉本明子中央労働委員会事務局審議官を人材開発統括官に登用いたします。審議官級のポストでは、女性5名を登用いたします。なお、その5名に加え、7月31日付で審議官級の専門スタッフ職4級である「国際労働交渉官」のポストを新設いたしますが、そのポストには女性の麻田千穂子を登用することとしております。それから、3点目でありますけれども、このたびDVや性暴力の被害を受けるなど、様々な困難な問題を抱える女性への支援のあり方について検討するため、新たな検討会、名称は「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」を立ち上げ、今月30日月曜日に第1回目を開催いたします。現在、こうした女性への支援は、従来の売春防止法に基づく婦人保護事業によって行われているところでありますが、この検討会は社会の変化に見合った見直しが必要との与党からの提言や支援現場の指摘等があることを踏まえ、立ち上げ検討をするものであります。支援現場の方々の声や有識者の意見などを十分に伺いながら、こうした女性への支援のあり方について検討することとしています。それから最後に私の中国出張でありますが、本日7月24日夕刻から明日25日にかけて、中国・北京に出張いたします。今回の出張では、今年3月に中国の保健大臣にあたる中国国家衛生健康委員会の主任に就任された馬暁偉氏との会談などを行うことにしております。保健医療分野においては、今年5月に安倍総理と李克強総理の立ち会いの下で、私と王毅国務委員が二国間の協力の覚書に署名をしたところであります。また、日本は、来年10月のG20保健大臣会合、今年の11月にある日中韓保健大臣会合を主催することにしております。さらに、今年10月のWHO西太平洋地域事務局長選挙に日本人の候補者を擁立しているところであります。日中には高齢化への対応など多くの課題を共有しており、こうした状況を踏まえ、強い政治的リーダシップの下で日中間の協力を進めて行くために、できるだけ早く馬主任に直接お会いして意見交換をしたいと考えていたところ、双方の日程が整いましたので、短い日程ですが、中国を訪問することとしました。大臣レベルでの直接の意見交換を積み重ねることによって、日中両国のそうした保健分野での関係強化に向けた新たな礎となることを期待しております。私の方からは以上です。

質疑

記者:
今回の新しく決定された人事の狙いについて、また、国際労働交渉官を新設された狙いについてお考えをお聞かせください。
大臣:
常に人事は適材適所ということで進めさせていただいているところでありますけれども、特に官房機能、働き方改革、そして医療介護分野の強化を図るなど、それぞれ抱える課題、端的に申し上げれば、労働基準局では働き方改革関連法案をどう施行していくのか、雇用均等局でいえば同一労働同一賃金、職業安定局でいえば外国人労働雇用者としての対応、子ども家庭局でいえば待機児童解消のための保育サービスの充実・支援、社会・援護局でいえば介護人材確保など、老健局でいえば地域包括ケアシステムの実現、保険局においては保険者機能をどう強化していくのか、効率的な医療の実現、年金局については平成31年の次期再検証に向けた制度改正の検討、医政局においては地域における適切な医療・介護サービスの提供の実現、健康局においては受動喫煙対策の強化など、医薬・生活衛生局においては革新的医薬品・医療機器の実用化推進のための制度改革等々で、それぞれの局の課題を考えながら、それを実現していただくに適した方にそれぞれご就任いただきました。それから、今回いわゆる専門スタッフ職4級というものが創設をされたところであります。当省としては国際労働交渉官ということで、これまで以上に国際関係でさまざまなやり取りを強化しております。そういったやり取りに携わっていただくということで、今回国際労働交渉官を設けそこにこれまでの経歴から麻田千穂子さんを登用したということであります。
記者:
今回の過労死大綱の改定なのですけれども、インターバル制度の数値目標が初めて設定されましたが、今後この目標を達成のために国として具体的にどういうところを重点的に対策をおいていくのか現段階でのお考えをお聞かせください。
大臣:
今回の大綱それから法律においても、インターバル規制を推進ということを努力義務という形で取り組ませていただいたところであります。それに向けてそうした制度を導入する企業等を支援するという仕組みが色々ありますので、それらを含めて積極的に活用していただいて、導入企業の割合を高めていく。それからここにもう一つありますが、そもそも高める前に勤務間インターバル制度を知らないという話がありますので、まずそうしたことをしっかりと周知を図り、その導入を高めていくことを全力で取り組んでいきたいと思います。
記者:
また一方で現在医師の働き方改革などもあり、夜勤や医療関係者の部分についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
医療については、別途、今、医師の働き方改革について検討をいただいておりますから、そうした中において来年の3月に向けて精力的なご検討をいただいております。その中においても勤務間インターバル等も一つの議論になるということで、確か中間のとりまとめの中にその項目出しはしていると記憶をしております。
記者:
勤務間インターバルについて2点教えてください。去年の時点で1.4%であった割合を2020年までに10%以上にするということで、その10%以上というこの数字について大臣どのように評価されているのかを教えてください。それともう1点は一方ではインターバルについて義務化にすべきだという声もありましたけれども、それを今回数値目標という形にしたことについてどのようにお考えかお聞かせください。
大臣:
一つは今足元1.4%ということでありますから、2020年というと、今年2018年ですけれども、その期間を考えると10%というのは一つの現実とそしてあるべき姿を両方加味した水準だということで設定させていただいたところであります。10%以上ということでありますから、それを上回るよう努力をしていきたいと思います。義務化については、これは大綱というよりもむしろ法律の中、委員会でも議論がありました。ただ、足元1.4%ということでもありますし、その水準を高めていく、それに全力で取り組みたいと思います。
記者:
話変わりまして、最低賃金なのですけれども、大詰めの協議を迎えることになります。改めて最低賃金の賃上げについて期待することがありましたらお願いいたします。
大臣:
本日第4回の目安に関する小委員会が開催をされるということでありますから、実行計画においては3%、そして最終的には全国平均1000円を超えるという目標を明記していますから、それに向けては真摯な議論をまた合意が形成されていくこれを強く期待をしたいということであります。
記者:
幹部人事の関連で、政府で先日2040年の社会保障の推計が出されましたが、今後社会保障をどう考えるかというが大きな課題だと思います、改めまして保険局長も務められました鈴木さんが事務次官になられるということで、期待することについて40年の話も絡めてお願いいたします。
大臣:
今のお話も含めて先ほど色々申し上げました各局様々な課題を抱えているわけでありますから、その全体を統率して、厚労省もよく局あって省なしと言われているところもありますが、よく横の連携もとりながら省全体としてそれぞれの課題の推進についてしっかりと取組んでいく環境を作っていきたいと思います。また、今2040年のお話もありました。その前に2025年に向けてということで色々やっているところでありますから、その足固めをしながら2040年に向けての議論がこれからなされていくわけでありますから、それに対する様々な観点に立った議論を省内においてもしっかりと進めてもらいたいと思います。
記者:
先日閉会した通常国会で、水道法は成立とならなかったわけですが、盛り込まれている官民連携に絡んで成立を見越して計画を進めていた自治体もあると聞いていますが、今回成立しなかったことで事業計画についても遅れが出るという心配があります。臨時国会での成立を目指すと思うのですが、施行時期について今ここから一年以内ということになっていますが、どのようなお考えかをお聞かせください。
大臣:
今回の国会で、厚労省から7本の法案を提出しまして、働き方改革法案を含めて6本が成立し、水道法は衆議院では可決をしていただいたのですが、残念ながら参議院では継続審議となった状況であります。この水道法改正案については、我が国の人口減少等が進む中において、また、様々な施設の老朽化が進む中で、適正な資産管理、広域連携の推進等によって水道の基盤強化を図っていくものでありますし、また、災害対策の推進の必要性等を考慮すれば、極めて重要という認識は全く変わることはありませんから、次の国会において、できるだけ早期成立をお願いしていきたいと思っております。施行期日が云々というお話がありましたが、これは法案の成立時期にもよりますし、国会の開会される時期にもよります。現時点で見通しを示すということは難しいと思いますが、我々としてはそうした取組に前向きに対応していただく自治体ともよく連携をとりながら進めていきたいと思います。
記者:
自民党の杉田水脈衆議院議員の月刊誌の投稿についてお聞きします。LGBTの人について生産性がないとか普通でないといった趣旨の投稿をされていて、支援団体から抗議の声が出ているのですが、厚労省として労働現場等でも性的マイノリティの多様性の理解促進が重要だと思うのですが、その中で厚労大臣として発言をどう考えるのかお聞かせください。
大臣:
個々のお一人おひとりの発言について一つひとつコメントすることはこれまでも差し控えさせていただいておりましたが、私は新聞記事でしか読んでいないので、その論文そのものを読んでおりませんから、直接のコメントは避けたいと思いますが、厚労省としては様々な環境におられる方々がそれぞれの希望と思いを実現できる様々な施策を推進させていただいている。広く言えば共生社会の実現を進めているわけでありますから、引き続きそうした観点に立って施策を推進したいと思います。

(了)