加藤大臣会見概要

H29.9.26(火)11:07 ~ 11:25 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私から冒頭申しあげることはありません。

質疑

記者:
昨夜総理が解散を正式に表明しましたけれども、政府与党の重要法案と位置付けられていました働き方改革の関連法案の国会提出が見送られることになりました。国会提出、国会審議が見送られることについて大臣のご所感をお聞かせ下さい。
大臣:
働き方改革の関連法案については、9月15日付で労働政策審議会から概ね妥当という答申をいただきました。政府としては、その審議会の答申を踏まえて、速やかに国会に提出するべく準備を進めているところであります。そのスタンスには、まったく変わりございません。鋭意そうした準備を進めていきたいと思います。
記者:
昨夜総理が、プライマリーバランスの2020年度の黒字化は困難ということをおっしゃって、事実上の先送りだと思いますけれども、一方で社会保障の自然増は3年で1.5兆、毎年5000億に抑えるという目標がありましたが、プライマリーバランスの先送りの中で自然増の目標を見直すべきではないかという意見も強まるのではないかと予想されますが、厚労省としてどうお考えでしょうか。
大臣:
まず、社会保障関係費は国の一般歳出の56パーセントを占めているわけであります。社会保障そのものの持続可能性をしっかり確保していくためにも、財政の健全化は不可欠であると思います。平成30年度は骨太方針2015において3年間で自然増を1.5兆円程度にするという目安があります。その目安の達成に向けて、しっかり取り組んでいきたいということは従前から申しあげているとおりであります。それ以上については、昨日の方針を聞くかぎり、これからの議論ということになりますから、しっかりそうした議論にも関わっていきたいと思います。
記者:
昨日の安倍総理の会見で、介護人材の処遇改善を進める考えを示されましたけれども、今後介護報酬の改定も控えている中で、厚生労働省としてどのように介護人材の処遇改善を進めていくお考えでしょうか。
大臣:
これまでも介護人材の処遇改善については、財源を確保して着実に実施をしてきました。昨日の総理の記者会見でもお話がありましたが、今年度については臨時の介護報酬改定を行って、月額1万円相当の処遇改善を行うなど、これまで自公政権においては、月額4万7千円の改善を実現してきたところであります。ただ、他の産業との賃金格差というのは今でも指摘をされておりますから、総理からこの賃金格差を無くしていくため、更なる処遇改善を進めていくという指示がありました。それを踏まえて、我々としても対応していきたいと思います。介護報酬全体の見直しについては、今年はその年に当たっていますから、介護のそれぞれの事業体の経営実態などを踏まえながら、しっかり議論をしていきたいと思います。それにあたっては、これから団塊世代が75歳を超える2025年を見据えながら、特に今年は医療と介護の一体改革の年でもありますから、そういった視点も持ちながら必要な介護サービスというのがどういうものなのかしっかり認識しながら、必要な財源を確保し、どう効率化を進めるかという視点にも立って、介護報酬の見直しに当たっていきたいと思います。
記者:
都内のタクシー会社の厚生年金保険料納付逃れについてお伺いします。香港のダミー会社を使って、保険料の納付逃れが発覚していますが、それについての受け止めと年金事務所のチェック体制が緩かったのではないかという指摘もありまして、それについてもお考えをお願いします。
大臣:
いまご指摘の事案は、都内のタクシー会社が香港に設立したダミー会社を活用して社会保険料の軽減を図った事案であります。事務処理誤りという事案ではなく、こうした事案にはしっかり対応するよう日本年金機構にも指示をしているところであります。この事案に関しては、平成28年の夏頃に事案を把握し、その後調査等を行ってきたところであり、調査の結果が先ほど申しあげた香港の会社に実態はなく、実質的には都内のタクシー会社が全ての給料を支給しているということが判明をしたわけであります。年金事務所による指導を行い、遡及できる過去2年分の保険料については現在、事業主が分割して納付していると聞いています。こうした事案は今のところ1件だけでありますが、今年の8月30日付けでこうした事案に関する中身、今後の対応について日本年金機構に対し通知を発出し、その中では今回の手法を周知すること、今後通常業務として行う事業所調査において同様の手法の活用が疑われる事業所については、こうした手法があるということにしっかり留意して、調査を行うよう指示したところであります。また、今後こうした事案に類する事例があった場合には日本年金機構から厚労省の年金局に報告することにし、今後こうした事案がないようにしっかり指導等に努めていきたいと思います。
記者:
関連してですが、同様の事案の把握があるのか、調査の結果がいつ出るのかということについて教えて下さい。
大臣:
把握については、これから事業所などを把握する中で、先ほど申しあげた通知においては、その事業所における標準報酬月額が他の類似の会社と比べて著しく低い場合には、まず抽出をしてほしいとか、目を付けるべき点を述べさせていただいているわけでして、それに沿って必要な調査を行います。あるいは相手側が調査に協力しない場合には、それについての報告を年金機構からしていただくということです。これから調査をしていくということですので、今のところで何件あるかということは、網羅的にこのような調査をするのではなく、通常の調査の中でやっていきましょうということですから、ターゲットを絞っていついつまでに何件というご報告にはならないと思います。こうした事案がまた出てくれば、その都度ご報告はしたいと思います。
記者:
2点お伺いします。衆議院解散についてですが、この時期の解散について大臣としてどう思っていらっしゃるかという点と、東京都の小池都知事が新党を立ち上げて、自ら代表に就任するということの受け止めについて教えて下さい。
大臣:
この時期の解散については、昨日総理がおっしゃったことに尽きると思っています。いずれにしてもこうした財源について、これまでも検討した幼児教育や保育の無償化、待機児童の解消などについて財源をしっかり確保しながら進めていくことは、骨太方針からはっきりさせていることですから、その財源に関して今回、総理はこれまでの消費税の使途を変更するという大きな政治的な決断をされたわけですから、その点について国民の信を問うということですから、我々としてはどういったことをしていくのか含めて私としてはしっかり説明をしていきたいと思います。小池都知事の件に関しては、厚生労働大臣として申しあげる立場にはありませんので、むしろ選挙戦を通じて社会保障についてしっかりとした議論がなされて、それに対して国民が判断をし、その方向に向けて更に社会保障が充実し、国民の安心・安全が進んでいくことを強く希望します。
記者:
今回の内閣改造から2か月余りで解散するわけですが、仕事人内閣としてスタートしましたが、野党からは実績がないという指摘もある中で、大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
1年、2年やっても実績があるとかないとか本人が言うのはいかがなものかと思いますが、それはそれぞれの方々が評価をされることだと思います。それも含めて解散ということであれば、評価はされていくのかなと思います。私としては、これまでの記者会見でも申しあげたように日々一つひとつお約束したこと、あるいは課題の解消に向けて努力をさせていただいたつもりではあります。
記者:
小池都知事の関連で恐縮ですが、昨日のテレビのインタビューなどで消費税の増税については凍結というような考え方を示されました。社会保障の充実という観点から、凍結というのは財政再建も含めて無責任ではないかという批判もあると思いますが、この点については改めていかがでしょうか。
大臣:
申し訳ありませんが、小池都知事のその話を詳細に把握しておりませんので、今のフレーズだけで判断するわけにはいかないかと思います。要するに消費税を止める代わりに、例えば何かを削減をするというのは一つの選択肢としてはあると思います。そのあたりをどこまでお話になっているのか分かりませんが、いずれにしても今の時点においては少子高齢化という構造的な課題にしっかり対応していく必要がありますし、そうしたお金というのはワンショットで、一時期のお金ではなく恒常的に必要になっていく費用ですから、それを賄おうとすれば安定的な財源を確保していかなければならないと私は思います。
記者:
北朝鮮向けラジオ放送の有事対応についてお尋ねします。現在北朝鮮内の拉致被害者に向けたラジオ放送は政府のものと民間のものがありますが、その中で政府は短波放送のみ、民間は短波放送とAMラジオで受信する中波放送で情報発信しています。民間のラジオ放送を運営する特定失踪者問題調査会が脱北者にヒアリングしたところ、北朝鮮内では短波ラジオの入手が困難になっていて、中波ラジオのシェアが急速に拡大しているという情報が入っています。朝鮮半島有事の際に北朝鮮内の拉致被害者に避難情報等を発信するためにはこの特定失踪者問題調査会の中波放送「しおかぜ」が重要な役割を果たすと思いますが、中波は短波に比べ費用がかかるので、資金難によって中波放送は停波となります。政府としてこの中波放送の重要性を鑑みた時に、既存の「しおかぜ」を支援して継続して情報発信できるようにするのか、政府で中波放送を用意するのか、また他の計画があるのか、有事の対応をお聞かせ下さい。
大臣:
今のご質問の中に恒常的に対応する話と有事の話が混在していたような気がします。今、特定失踪者問題調査会がおやりになっているのは、緊急ということも想定しているとは思いますが、これは常にやっていくということで、今年は残念ながら半年分で終了する、とこの間荒木代表がおっしゃっていましたし、政府としても団体からそういう話があったので今年度予算においてはこれを支援すべく予算を確保したところであります。さらに長くしたいという希望も持っておりますから、それはそれとして支援をしていくことを検討していきたいと思っております。また有事についてどうするかということ、これは別途検討していかなければいけないし、その中では指摘があるように短波のみならず中波も含めて向こうにおられる方に伝達手段があるのか、われわれは広範に検討させていただいておりますし、それに向けての対応の準備をさせていただいておりますので、具体的に申し上げるのは適切ではないので申し上げませんけれども、中波も含めてしっかりそうした対応をして、万が一のことがあった時には向こうにおられる拉致被害者の方々が、その行動において参考になりうる情報を提供できるようにしっかり検討して準備を進めていきたいということです。
記者:
幼児教育無償化や待機児童対策の財源についてお伺いします。消費税増税の税収について使途を変更して、借金を減らす分から幼児教育無償化に充てるということですが、そうしますとこの借金の返済は遅れ、未来の子どもたちのために幼児教育を無償化することや待機児童対策をするということは結局、子どもたちに借金をかぶせるということに事実上になるわけでありますけれども、その点どうお考えでしょうか。総理は、財政健全化計画については計画を策定していくということでしたが、それについては具体的な言及が無いので、今のままですとそのようなことに使わせて欲しいと、どのようにして返していくかはこれから考えますということに等しいと思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。
大臣:
今のお話の中でまず一つは、先ほど少し申し上げましたけれども、幼児教育の無償化等々と少子高齢化という構造的な課題にしっかり対応していかなければいけないということで、我々取り組んできたところでした。その財源については、安定的な財源を確保していく必要があるということで、今回総理が消費税の使途の変更について方針転換ということを表明されたわけであります。その上で、財政再建の関係でありますけれども、これはもちろん今の案でも、2020年のプライマリーバランスに向けては差があるということをどうするのかということを、来年に向けて3年間の中間評価を受けて検討していくことになると承知しておりますし、そうしたことを含めても我々は財政再建の旗を降ろすわけではありませんから、それをどう現実的な方策の中で、しかも今ある政策課題を消化しながら財政再建を実行していくのかということは、これはしっかり議論していく必要があると思います。

(了)