塩崎大臣会見概要

H29.7.4(火)11:25 ~ 11:41 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私の方から2つございます。まず、幹部職員の人事異動につきまして、今日の閣議で局長級以上の幹部職員の人事異動につきまして内閣の承認が得られたところでございます。その内容につきましてはお配りをしている資料の通りでありまして、これらの人事は7月11日付で発令をいたします。二川一男事務次官が退官をいたしまして、後任に蒲原基道老健局長、岡崎淳一厚生労働審議官が退官をし、その後任には宮野甚一職業能力開発局長を登用いたします。新設をいたしました次官級の医務技監には、鈴木康裕保険局長を登用し、雇用環境・均等局長に宮川晃大臣官房総括審議官を登用いたします。女性の登用につきましては、3名を局長級のポストに登用をいたします。まず、定塚由美子社会・援護局長は留任。安藤よし子政策統括官を新設の人材開発統括官に登用をいたします。大臣官房総括審議官、これは国際保健担当でありますが、この審議官に山本尚子大臣官房審議官を登用いたします。山本は女性の医系技官としては初めての局長級のポストに就く医系技官でございます。また、審議官級のポストには女性5名を登用いたします。私からはお伝えする人事に関する内容は以上でございます。もう一点でございますが、現在、省をあげて進めておりますデータヘルス改革の一環としまして、国民の健康のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画、支払基金業務効率化・高度化計画、この2つを公表いたします。御承知のとおり、日本は、世界に先駆けて直面する超高齢社会の中で、一人一人の健康寿命をどう延ばすか、社会保障制度の持続可能性をいかに確保し続けるか、という未曾有の大きな課題に直面します。従前から申し上げているとおり、私は、この課題に立ち向かう一つの重要な糸口が、データヘルス改革であると思っています。データヘルス改革により、世界に類を見ない大規模な保健医療データプラットフォームを構築し、これまで縦割りで、例えば過去の検診歴、治療歴、介護歴等のデータの連結や共有が不可能だった健康、医療、介護のデータを、今回新たな仕組みにより有機的に連結させることにより、医療機関を変えても、保険者が変わっても、つまり転職をしたりご結婚されて家庭に入られたりすると保険者が変わりますから、そういった時には連続性がなくデータがついてこないと困ることになりますが、そういうことが起こらないようにして最適な治療のために利活用が可能になるようにするということでございます。この事により、医療的ケアが必要な障害児(者)も、予想外の災害、事故に遭遇した方々も、どこにいても適切な対処が可能となります。特に医療的ケアが必要な障害者などが遠隔地で急に具合が悪くなったときには救急病院がなかなか受け付けてくれないという問題がしばしば起きてまいりましたが、このことによってデータがちゃんと得られるということで、救急搬送されても拒絶されることがなくなる、あるいは大きな災害で避難をされたときに避難所で適切な医療を受けることが可能になるというようなことも充分できることになるはずでございます。自分の健康状態の履歴をいつでも、どこからでも自宅でも確認できるようになります。個別化医療を可能として、一番ご自分に合う確率の高い抗がん剤を選んでゲノム解析やAI等の最先端技術も医療に積極導入していきます。また、科学的データをエビデンスとして活用した自立支援介護や、若い時からの計画的な介護予防も可能にしてまいりたいと思います。こうして、国民の皆様が、データや最先端技術の果実を享受、実感できるようにしてまいります。本日発表いたします2つの計画は、このデータヘルス改革の重要な柱でございます。まず「データヘルス活用推進計画」は、データヘルス改革で実現を目指すサービスのうち、支払基金等が中核的な役割を果たすことが期待される「健康・医療・介護のビッグデータ活用に関する施策」について、その具体的な活用方策、運用・管理の在り方等を提示するものです。「業務効率化・高度化計画」は、審査支払機関をこれまでの業務集団から自ら考え自ら行動する頭脳集団に改善、改革をしていくものでありまして、支払基金の審査、支払基金の業務については、AI等をフル活用しながら、現在、原則全てのレセプトを審査委員会が人手で審査することとなっていますが、これを2022年までに、全レセプトの約9割はコンピュータで対応ができるように、そして残りの約1割を直接雇用する医師、看護師等の医療専門職などの職員が対応し、これまですべて扱っていた審査委員会は全体の1%以下の判断の難しいレセプトのみ審査すれば良い体制を構築してまいりたいと思っています。これは、医療の質の向上と経済合理性の確保、さらには国民皆保険にふさわしい全国で統一的な基準での審査支払を実現するものです。これにより、支払基金の年間の運営経費約800億円に切り込み、削減した分を国民に還元をしてまいりたいと思っています。また、同じく審査支払機関である国民健康保険連合会(国保連)においても、同様の改革を行うことにつき協議中であり、将来、双方が統一的に高度化された審査を行うことによる改革メリットは、保健医療の質の向上の面でも、国民負担の軽減の面でも、極めて大きいものと期待されます。いずれの改革も、我が国が誇る国民皆保険制度の維持にとって欠かすことができないものです。厚生労働省として、支払基金等とともに、これらの計画に沿って、着実に改革を進めていく覚悟でございます。なお、詳細は後ほど、事務方からご説明を申しあげます。以上、私から2点ご報告を申し上げました。

質疑

記者:
2点お伺いします。人事異動について今回組織改編も伴っているわけですけれども、改めて人事異動に対するお考えをお聞かせ下さい。もう一点は東京都議選で自民党が大敗したわけでありますが、大臣も応援に入られたと思いますが、なぜこのような結果になったのかご意見をお聞かせ下さい。
大臣:
まず第一に、今回組織変えをいくつかさせていただきましたが、例えば子ども家庭局というものをつくり、時代の流れに合ったもの、そして政策ニーズに合ったものに再整理をして、今の問題に対処しやすくするということで組織改革をさせていただきました。人事の個別のことにつきましては、適材適所を考えて決めたということに尽きるわけでありますので、今回のいろいろな新しい機構改革を良くその目的を考えながら適材適所の人事をしたところでございます。都議選の自民党の敗北についてもご指摘をいただきましたが、大変厳しい選挙だったと思います。私も応援に入りましたけれども、これは自民党都連そして自民党全体、また私どもに対しても全体として大変厳しい評価を受けたということであります。原点に立ち返って謙虚に今日我々日本が、国民が直面している問題について、これまで以上に力を込めて、全力投球をしてまいりたいと思っています。
記者:
幹部人事の件で適材適所ということですが、今回老健局長の蒲原局長が事務次官に昇格されます。二川事務次官に続き厚生系二代ということで、かつては労働系の方も続けてやったこともあると思いますが、同時改定も含めて年末予想されますけれども、そのあたりの狙いをお伺いしたい点と、医務技監に鈴木保険局長が昇格されますが、これについて改めてなぜ登用されたということを個別でありますけれどもお伺いします。
大臣:
事務次官につきましては、官房長を経験して省を取りまとめるということも長くやってきたわけでありまして、蒲原局長には頑張ってもらいたいと思います。今回の国会では、地域包括ケアシステムの強化法を成立させたという立場でもあるわけでございます。それから、医務技監につきましては鈴木保険局長が移るわけでございますが、私どもとしては鈴木局長のWHOでの30代での局長経験や、あるいは老健局、保険局、総括審議官等々のこれまでの医療の新しい側面に非常に精通しておりまして、国際的にも人脈はかなり厚く、私も海外で鈴木保険局長のお話が良く出るわけでありますので、そのようなことも踏まえながら、医務技監に求められるのは、我々としては新しい医療・介護など医療に関わる技術的な問題、国際保健の問題や、あるいは危機管理の際の対応の仕方等々の専門的な知識を持った上で全体を見る、例えば産業医制度というものは今まで労働の問題であるとの整理となっておりますが、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)の中に2000人以上の人を抱えながら産業での医療を扱っております。医療に労働も厚生もあるわけではないので、医療は医療という意味で全体を見る立場の医務技監がこれからまとめる大きな役割をしてもらわなければいけないと思いますし、またグローバルヘルスの司令塔の一員にならなければいけないと思っております。
記者:
データヘルス改革の件でお伺いしますが、改めて必要な予算要求や法改正の必要について大臣のお考えをお伺いします。
大臣:
法改正につきましては、来年度の通常国会に向けてしっかり詰めていきたいと思っております。データヘルス改革そのものは、データヘルス改革推進本部が全体の役所の組織としてございますので、今回は支払基金の改革、これは規制改革会議から提起をされましたが、それを受けて今年の1月に取りまとめた報告書の中で触れられている問題として二つの計画を今回お出しをしているわけであります。それに伴いまして、予算要求が当然データヘルス改革に関連して出てくるわけでもありますし、改革につきましては、来年度の法改正とも相まって予算要求として必要なものをこれから詰めていくということになるかと思います。

(了)