塩崎大臣会見概要

H29.6.27(火)11:30 ~ 11:44 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私からは、平成28年国民生活基礎調査の調査結果について御報告いたしたいと思います。平成28年の国民生活基礎調査の結果がまとまり、本日公表いたします。今回の調査結果は三年に一度の大規模調査によるものでございまして、いわゆる相対的貧困率の算出を行っております。相対的貧困率は国会でも随分議論になりましたが、子どもの貧困率も同時に出ておりまして、前回よりもいずれも低下をしております。背景としては経済の好循環が進む中で、児童のおられる世帯の雇用者所得、いわゆる働いて得られる所得のことですが、それが増加して所得分布が高い方にシフトしたということが挙げられます。これは就業機会が増えたということと、賃金自体も上昇しているということが言えるのだろうと思いますので、経済の好循環の中で貧困率が改善しているということでございます。詳細につきましては事務方からお聞きをいただければと思います。私からは以上です。

質疑

記者:
私から二点お伺いいたします。一つ目は、高齢者世帯については、世帯数の割合が過去最高ということで、より一層高齢化社会が進んでいる現状が明らかになったわけでありますが、今後、高齢化社会がどんどん進んでいくことを踏まえて社会保障等で厚生労働省としてどのように対応されるのかということと、二点目は今お話がありました相対的貧困率や子どもの貧困率が改善傾向にあるとはいえ、例えば一人親世帯だとまだ依然として5割を超えている状態であり、それから子どもの貧困率も改善しているとはいえOECD諸国と比べると少しではありますが高い状態であり、母子家庭では8割の方が生活が苦しいというようなこともあがっている中で、大臣としてこの貧困対策についてどのように取り組んでいくのかについてお願いします。
大臣:
まず一点目の高齢化に伴った現状につきましての御質問でありますが、今回の調査結果を見ますと高齢者の世帯数が1327万1千世帯であり、全体の26.6パーセントということで世帯数も割合も過去最高であり、ピークを更新している形になっております。高齢化が引き続き進んでいるということでありますが、このような中で高齢者が出来る限り社会の支えられる側ではなく支え手として活躍出来る環境をどう整えるのかについて、これは働き方改革でも高齢者の働く機会をどうつくっていくのかということをニーズに応えながら実現していくということを大分議論いたしました。もう一つは、社会保障制度をどう持続的なものとして維持出来るのかという二面からいくのかなと思います。もちろん地域社会でも民民の助け合いなどこのようなものをよりやりやすいようにしていくことで、「我が事・丸ごと」もその一つであると思います。このため高齢者雇用につきましては、企業に対する支援を何が出来るのかということをしっかり考え実行していかなければいけないのだろうということで、これは行動計画にも入っております。また、高齢者が生きがいや役割をそれぞれの地域や持ち場でもって生活が出来るようにしながら、言ってみればそのようなことが介護予防にも繋がるようにしていくということで出来るだけ活躍していただくということが大事だろうと思います。もう一点、現役世代や子育て世代の支援を強化して、全ての世代がそれぞれの希望とニーズが満たされながら、安心して納得出来る生き方が出来るように出来る限りしていくことが大事でありますし、そのための改革をいろいろやっていかなければいけないということが一点目の御質問に対する答えであります。今回改善したと言いながら、やはりまだまだ厳しいのではないかという御指摘でございますが、確かに生活意識が苦しいという世帯の割合は、全世帯と母子世帯ともに方向としては2年連続低下しているわけでありますが、レベルとしては全世帯の56.5パーセント、それから母子世帯では82.7パーセントということですから、引き続き水準は高いということをしっかり押さえなければいけないと思います。従って、我々厚生労働省としてまず生活に困窮をされている方々については、生活困窮者自立支援制度が施行されているわけでありますので、包括的な相談支援を引き続き着実に実施して、住宅なり子どもの教育でありニーズにあった支援がしっかりと行われるように目配りをしていくことが大事だろうと思います。母子世帯につきましては、既に法律で児童扶養手当の多子加算を最大倍額にしたわけでありますし、それから今回のデータを見ても改善していることは働く機会が増えており、従って働けるようにどう持っていくのかということが大事なので、親御さんがしっかり働く機会は手の届く所にちゃんとあって、それに臨むことが出来るということが大事で、それについてどう支援していくかということ、あるいは働いているお母さんにとっては、子どもさんの放課後の居場所づくりなどは大事だと思いますので、安心して働くためにも子どものためにも居場所づくりなどの子育て、生活支援や学習支援等はやはり大事で、特に学習支援は学校から脱落したりしないようにしっかりと勉学に励めるように、環境整備をすることが貧困の連鎖をもたらさないことにも繋がるのだろうと思います。
記者:
中央最低賃金審議会について伺います。今日、審議会が開かれまして今年度の最低賃金額について労使の協議が始まるわけですけれども、政府としては「働き方改革」の実行計画にも、また「骨太の方針」にも年率3%という数値が引き続き明記されていると思います。この間、雇用情勢ですとか経済指標の上向きの傾向がありますけれども、こういった現状を踏まえて、諮問される立場の大臣としてどのような協議を望まれるかお聞かせください。
大臣:
これは「働き方改革実行計画」の中で、年率3%程度を目途として名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げて、全国の加重平均で1,000円ということを明確に示しているわけで、そこを目指してこれから最低賃金を引き上げるようにしていくのが大事な使命だと思っています。この働き方改革実現会議において、労働界、それから経済界の両方のトップが、総理の下で作った目標でもございます。目標自体は、意義のあるもので達成をしていかなければならないと考えています。今日の中央最低賃金審議会では、諮問を行うわけでありますけれども、それは29年度の最低賃金額改定の目安をご検討いただくという諮問を行って、今日から審議がスタートするというわけでありまして、いま申し上げた実行計画を踏まえた議論がしっかりと行われることを期待したいと思います。最低賃金の引き上げを実現するというのは結局、賃金を支払う側の体力、足腰が強くならないといけないわけで、ただ政治的な号令だけで「上げろ、上げろ」といっても意味が無いし、長続きもしないということを考えてみれば、どうやって中小企業を含めて企業を強くして、競争力のあるものにしていくか、それは生産性の向上であり、収益力の向上、こういったことを我々としては中小企業政策の支援をやらなければならないし、厚生労働省として意味のある効果のある支援策を打っていきたいと考えております。この環境整備にしっかりと向き合いながら、実行しながら最低賃金の目標を達成したいと思っています。
記者:
先ほどの相対的貧困率の話題に関連するかもしれませんが、超党派の子どもの貧困に関する議連のほうで、生活保護世帯のお子さんの大学への進学だとか、中学校への進学を支援すべきだとかという意見がありまして、それを厚労省に要望されていると思うのですが、それに対して6月16日の議連で厚労省側の回答で、制度変更までは出来ないが、何かしらの財政対策が必要なのではないかという見解を示されたと聞いたのですが、厚労省としての対応状況についてお聞かせください。
大臣:
今回の「骨太の方針」でも明確にしておりますこの生活保護世帯の子どもたちの大学などへの進学、これをどう支援をして自立に向けていくか、必要な財源を確保しながら取り組んでいくという、当然これは財源がいることであります。方向としては貧困の連鎖を絶つためにはやはり、子どもたちのキャパシティをもっとつけていく、能力向上していくことでありますから、やはり教育をしっかりと受けてもらう、そのチャンスを確保していくということが大事だと思います。現在、生活保護制度の見直しなども行っているわけでありますので、その関係する審議会でも議論して検討していかなければならないと既に指示をしておりまして、平成30年度予算編成過程の中で、年末にかけてこの問題については具体的に検討して、対応していきたいなと思っています。何度も申しあげますが、生活保護世帯の大学進学の話がでますけれども、そのちょっと手前の生活困窮世帯で、生活保護ではないけれども同じように苦しい中で教育を受けたいときのチャンスをどう確保していくかということも併せて考えなければならないだろうと私は思って、答弁などでもそう申し上げています。いずれにしてもこれから政府、内閣としても人材への投資ということが大事だということでありますが、子どもたちへの未来を切り拓いていくための支援をしっかりとやっていくことが日本の未来を支えることにもなるだろうと思います。

(了)