塩崎大臣閣議後記者会見概要

H27.3.6(金)9:03 ~ 9:21 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。閣議で今日は「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」が閣議決定されました。この法律は、「日本再興戦略」改訂2014に基づいて、技能実習制度における管理監督体制の強化と制度の拡充を図るもので、法務省と厚労省の共管法として、法務省から国会に提出されることになっております。今通常国会で、是非とも成立させていただいて、技能実習の適正な実施と技能実習生の保護を、法務省をはじめとする関係省庁と協力しながら、説明にまいりたいというふうに思っております。

質疑

記者:
群馬大学病院なんですけれども、腹腔(くう)鏡手術に関する最終報告書を公表しました。患者の死亡が続いても、手術を続けたなど不明な点がまだ残っていますが、同様の事案の再発を防ぐために、厚労省が自ら調査するお考えはありますか。
大臣:
先日、病院側が最終報告というのを公表いたしました。腹腔(くう)鏡手術の死亡例が8例あったと。いずれも、適切なインフォームド・コンセントの実施が不明だった。それから、診療録の記録が不十分、それから、病院としての問題事例の把握が遅れたといった大きな問題があったというふうに、最終報告から理解しております。厚生労働省としては、事案が判明いたしました昨年11月からずっとヒアリングや、あるいは立入検査も現地に行ってまいりましたし、病院の医療安全体制などについての確認作業をずっと行ってまいりました。現在、特定機能病院の承認取消しを含めて、社会保障審議会医療分科会で審議を重ねてきているわけでありまして、次回は3月9日に群馬大学病院の幹部を呼んで、ヒアリングを行うという予定でございまして、厚労省としては、この医療分科会の今後の審議結果を踏まえて、しかるべき対応をきっちりやっていきたいと考えています。
記者:
労働者派遣法の改正案について、担当者の不適切な発言等もあって、民主党がさらに反発を強めていますけれども、この法律の趣旨がいまいち理解されていないところもあると思うんですけれども、そもそも、この法案が派遣労働者の規制を強化するのか、それとも緩和するのか、現状で何が問題で、この法案にどういう点を期待しているのか、大臣の考えを改めてお聞かせください。
大臣:
今回の担当者の発言につきましては、この新年会で、人材派遣協会の会合で挨拶した際の不適切な発言というふうに思っておりまして、厚労省としては、決して派遣で働く方々をモノ扱いしているということはないということをまず申し上げないといけないと思いますし、大変今回の発言は誤解を招く不用意な言葉だったというふうに思っておりまして、改めて私からもお詫びを申し上げたいと思いますし、昨日も委員会で率直にそこのところはお詫びを申し上げたということであります。もちろん、発言の意図は額面どおりの話ではなくて、表現が不適切だったわけでありますけれども、現行制度では、派遣で働く方の保護が不十分だという指摘があり、今回の改正によって、より一層の派遣で働く方々の立場の保護を強化していこうと、こういうものであるということを言わんがために、やや稚拙な表現を使ってしまったと。今回の法案は、これまで何度か改正してきた派遣法でありますけれども、今回の派遣法は、言ってみれば抜本的な規制強化であり、派遣で働く人たちの、言ってみれば保護を強化する、あるいは立場を守りながら、さらにステップアップしていくための法律であって、今までよりもはるかに規制を強化していると私は思っています。それは端的に言えば、今まで許可制は四分の一ぐらいで、届出制が四分の三であったものを全て許可制にする。これは、26業種はずっと派遣のままでいいということでありましたけれども、ここも含めて3年の期間を制限を設け、なおかつ事業所だけではない期間制限として、個人単位の期間制限を設けるというところにも表れているように、規制を強化し、なおかつ雇用安定措置をこの期限が到来した時には、派遣元に義務にするということを新たに加えると。数々働く人たちの立場を守り、それから派遣先の働いている人たちの常用代替ということも起きないようにすることを加えて、派遣で働く人たちの個人の立場を守る。そして、派遣で働きたいと思ってらっしゃる方々はステップアップできるように、処遇改善ができるようにキャリアアップの措置を、許可の要件として、そういうものを持っていない派遣元は許可しないということにするわけですから、今まで不明確だったキャリアップの義務というのを派遣元に課すということも明らかにしているわけでありますし、一方で、派遣先にも同じような仕事をやる人を、派遣に代わってやるならば、まずは派遣できている人にチャンスを与えるべきで、そのための情報を派遣元に提供するとか、いろんな形で規制強化し、派遣で働く人の立場をさらによくしていく、あるいは派遣から正社員になりたい人については、正社員になるための手立てを、能力アップするというキャリアアップがまずはあるし、さっき申し上げたとおり、雇用安定措置で直接雇用をしてもらうということも、まずは投げかけないといけないという義務を派遣元に課したり、そのようなことも数々あって、これは法案としては派遣で働く人たちの立場を守りながら、あくまで一時的、臨時的な働き方としての派遣というものを確立していくということで、私たちは是非、この国会で速やかに審議の上で通していただきたいとなというふうに思っています。
記者:
昨日の国会答弁で、児童扶養手当制度の事実婚認定に関連して、自治体が適切に判断できるように生活実態の確認方法や具体的な事例に則した考え方について情報提供をやっていきたいというお話をなさっていましたけれども、これに関連して、2つあるんですが、時期というのはだいたいいつ頃までに示したいというふうにお考えになっているのか、3月17日に全国の担当課長会議というのもありますけれども、そこが一つの目途になるのかどうか。この情報提供を具体的にやる時期、まとまった形としてやる時期というのはいつ頃を考えてらっしゃるのかというのが一つ。もう一つが、この情報提供といった場合の情報を提供する大元となる都道府県調査というのを、もうすでに実施していると思うんですけれども、今、取りまとめの状況というのはどういうふうになっていますでしょうか。1月20日頃にたぶん締め切って1か月半ぐらい経っていますが、そこら辺の状況を教えていただけますでしょうか。
大臣:
まず、今回起きたことは、たまたま一つ屋根の下に男性女性がいるからといって、実は事実婚でないのにもかかわらず事実婚かのような扱いをされて、児童扶養手当が、権利が奪われるという問題が起きたので、これについては、やはりしっかり実態を把握した上で判断するようにしていただかなきゃいけないという方向性を示しているわけであります。今のような情報提供の時期等については特に決まっているわけではないので、これは事務方が作業中でありますので、それについては事務方の方にちょっと聞いていただいた方が、というふうに思います。根本は、今、申し上げたように、実態を必ずしも反映されていない形で、形式要件でもって、こういうような今回のようなことをやっているということがあるのではないかということをいっているので、そういうことがないようにしてもらおうということが一番大事なところでありますので、その他改善策については指示をしておりますので、事務方の方で聞いていただきたいというふうに思います。
記者:
調査の集約状況というのは、今はまだ取りまとめ中だというふうな。
大臣:
まだ聞いておりません。
記者:
時期が3月中かというようなことも念頭には事務方のベースではあるような感じも受けていますけれども、これは時期は別として、例えば、いろいろと早く判断を示してほしいという自治体の声もあると思うんですが、なるべく早くとか、そういうお考えというのはありますでしょうか。
大臣:
話題にいろいろ、国会でも取り上げられているわけでありますから、できるだけ早くこういうものはきちっとした方がいいと思います。
記者:
技能実習の法案についてお願いします。そもそも、制度を巡ってはアメリカから強制労働であるとかという指摘を受けていたり、また、実習生の方の人権侵害的なことがあったりして、制度そのものを止めるべきではないかという意見があります。また、今回の法案で、これまでのJITCOの巡回指導に代わって、新しい機関を立ち上げて適正化を図るということなんですが、関係の支援団体などからはそれではあまり効果が上がらないのではないかという指摘もあります。この点、大臣はどのようにお考えで、また、法案についてどうやって理解を求めていかれるお考えでしょうか。
大臣:
今、アメリカなどからの御批判というか御指摘があったということは事実としてあるわけでありますけれども、それは制度そのものが強制労働をさせているものだとか、あるいは人権侵害の仕組みだとかいうことをいっているわけではなくて、そういうケースがあるのではないのかという御指摘というふうに理解をしています。そういうケースがあるならば、それは是正を徹底的にやらなきゃいかん。その割には今までの、取締りの権限、規制の権限が不明確であったんではないのかということの反省の下に、今回、私ども政府が今やっていますけれども、自民党においてたまたま私が政調会長代理で取りまとめをやりましたけれども、そういうような監督の強化を徹底して、また、責任も今まで国だけでやってまいりましたけれども、都道府県にも連携をしてもらうというようなことも含めて、監督を強化しようと、つまり、人権を守っていこう、そして技能をしっかり習得した上で帰国して、そこで還元をしてもらいたいという元々の思いが我々の政策の意図が実現できるようにということでございますので、JITCOが今まで十分機能してこなかったということは、我々も自民党にあっても認識をしながら、新たな立入検査もする、実習計画の認定をするといった、言ってみれば、推進と規制と混在していたJITCOから、規制をきちっとする新たな認可法人を作って、ここで監督をしていくということでありますので、責任関係は明確になり、そして実効性がないんじゃないかという御懸念の方々にはまずは新しい仕組みでどういうことになるかを、是非、まずは見守っていただきたいというふうに思います。
記者:
選挙権なんですけれども、これを20歳から18歳に引き下げる公職選挙法改正案が提出されました。これまでの選挙を振り返ってみますと、年金とか、子ども手当とか、社会保障に関連する話題が結構あったと思うんですけれども、それに対する国民の理解がどこまで進んでいるのかという課題もあったと思います。それで、厚労省もかつて社会保障教育のあり方というのを検討したことがあると思うんですけれども、今回の法改正を機に、若い人たちに社会保障を正しく理解してもらうために、どういった取組が必要か、この点についてお願いします。
大臣:
社会保障に限らず、若い人というのは別に18歳からではなくて、おそらくもっとずっとずっと手前の小学校とか、そういうところからの教育の中で、パブリックポリシーというのはどういうもので、自分たちが税を出し、社会保障の保険料を出す中でどういう分配をするのか、それはどういう分配がいいのか、負担と分配ですよね。これをやはりみんな考えてもらうようにすることが大事で、政府が何かしてくれるのを待ち、それに満足できないという状態が続くというのはよくないと思うので、何しろみんなが議論に参加して、そして国はみんなで作っていくという、そういう思いを持ってくれるような教育をやるべきだろうと思うんです。なかでも、この厚生労働省は社会保障という、まさに今話題になっている再分配の大事な仕組みを担っているわけでありますから、これの、よく負担と給付と言いますけれども、誰がどれだけの負担をして、誰がどれだけの利益を享受するのかというこのバランスを一緒に考えてもらうということはとても大事なので、18歳に選挙権の年齢が引き下がるということを契機に、またさらにそういった理解を深める教育というものをしっかりやっていくべきではないかと私は思っています。厚労省もできることはやっていきたいと思います。
記者:
先ほどの労働者派遣法に関する厚労省幹部の方の発言に関してなんですけれども、派遣法の今後の審議についての影響をどのようにお考えでしょうか。
大臣:
これは審議に影響が出ないように、我々としては誠意を持って臨んでいきたいと思います。

(了)