塩崎大臣閣議後記者会見概要
H27.3.3(火)9:11 ~ 9:28 省内会見室
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- おはようございます。まず、私の方から、今日の閣議で厚生労働省関係で「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。この改正法案は、持続可能な医療保険制度を構築するために、国保への財政支援を3,400億円拡充するとともに、財政運営責任を都道府県に移行するとともに、国保の安定化を図る。そして、後期高齢者医療への支援金について、より負担能力に応じた負担とするため、段階的に全面総報酬割を実施することのほか、医療費適正の推進、患者申出療養の創設等の措置を講ずるものでございます。本国会において、速やかに御審議をいただくよう、お願いしたいと考えております。冒頭私からは以上でございます。
質疑
- 記者:
- 閣議決定のあった国民医療保険制度の改革法案についてなんですけれども、改めてこの法案の意義と、国民皆保険制度の維持にはこれでもまだ足りないという意見もあるのですが、今後、医療の問題について取組をどういうふうにやっていきたいと考えておりますか。
- 大臣:
- 今回、かなり大がかりの改革を行うということになっておりまして、国民皆保険を支えます国民健康保険制度の安定的な運営を堅持するということは、これは極めて重要なことでありまして、今回、国と地方団体との間における協議をずっとやってまいりましたけれども、合意に達して、法案の閣議決定に至ったことは非常に大きいと思っております。これまで、国民健康保険については、市町村からいろいろな要望が毎年毎年出されておりましたけれども、なかなか答えが出ない中で、今回こうした大きな改革に踏み出せるようになったということでございます。具体的には、財政支援の拡充によって財政基盤を強化すること、それから、平成30年度から都道府県が財政運営の責任を担うということになり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保などの国民健康保険運営に中心的な役割を果たしてもらうということになるわけでございます。こういったことで、制度全体を安定化するということでございまして、この国保改革を含めた医療保険制度改革法案を本国会で速やかに通したいと考えているところでございますが、今後、さらにやるべきことがあるんじゃないかという指摘でございますけれども、まずは今回の法律を確実に通すということが当然第一でありますから、できる限り早く御議論いただいて、その上で成立を期したいというふうに思っております。この法案については、国保の財政運営責任を、さっき申し上げたように、都道府県に移行するということでありますけれども、法案が成立した後、その施行に向けて、平成30年度に完全移行でありますので、それに向けての施行をしっかりやるということが、実務的にも大変重要だということです。したがって、そのことをやらないといけない。一方で、急激な少子高齢化や技術進歩、これによって医療を取り巻く環境が大きく変わってきているわけでありますから、将来にわたって、皆保険制度をどうやって維持していくのか、そして、そのためには高齢者医療のあり方をはじめ、不断の検討を行うということが必要でありまして、今後とも、保険制度でありますから、この負担と給付の均衡がとれる持続可能な制度に絶えず見直していくということが大事だというふうに思っています。
- 記者:
- 川崎市で中学1年生の少年が殺害される事件が起きて、逮捕されたのが少年だったということもあって、少年法改正についての議論が出ているんですけれども、国会では選挙権を18歳に下げる公職選挙法の改正案が成立する見込みなんですけれども、現時点で少年法の改正についての大臣の御見解をおうかがいします。
- 大臣:
- 少年法は法務省の所管の法律でありますから、私どもが直接コメントすべきことではないというふうに思っております。おそらく、年齢を20歳未満としている少年の定義などについて、いろいろ御発言がすでになされていることなんだろうと思いますが、我々としては、大事なことは子供が健全に育っていくことを厚労省の立場から確かなものにしていくかということが大事であって、問題が起きれば当然そのことが分かった時点で直ちに児童相談所とか、あるいは市町村が通報を受けることもあるでしょうし、察知をするということもあると思いますので、家庭訪問するとか、あるいは専門職員、いろんな支援員がいますから、そういう人たちがしっかり相談にあたる、目配りをしていく、そういうことをやっていくというのが我々厚労省としての責任ではないかと考えております。
- 記者:
- 医療保険制度改革について1点おうかがいます。今回の法案では、一部の被保険者、また保険者に負担増をお願いする法案となっていると思います。この法案については、野党側からの批判もあります。これについて、どのように野党側、また国民に対して理解を求めていくお考えでしょうか。
- 大臣:
- 大きな基本的な考え方は、先ほども申し上げましたけれども、給付と負担のバランスをどう取るかということですが、保険制度であるからこそ、このことを絶えず考え直さないといけないので、負担能力に応じて御負担をいただくということによって、持続可能性を追求するということだと思っています。したがって、負担増になるということでありますけれども、負担能力に応じてやることでありまして、負担に応じない負担増はできる限り避けなければいけないことだと思いますので、そういうことで理解を求めていきたいと思っておりますし、いずれにしても軽減策などについては、絶えず誰かが負担をしているということ、それは税であり、また保険料でもあるということが、この件の世界では当然のことでありますので、そのことがバランスをどう考えて、制度を構築していくかということが大事だというふうに思います。
- 記者:
- 関連なんですけれども、先ほど大臣の方からも、高齢者医療のあり方について不断の検討を行う必要があるという御発言もありましたが、特に健保連(健康保険組合連合会)なんかは、一番不満に思っているのが保険料の半分ぐらいが高齢者医療への支援金・負担金に充てられていると、何のために保険料を集めているのかというふうな疑問があるというふうなことをおっしゃっていますが、その上で保険料ではなくて税金、公費で高齢者医療というのを賄うべきだというふうに主張されています。この点について大臣のお考えをお聞かせください。
- 大臣:
- 今回、全面総報酬割というものを導入をするわけでございますけれども、この被用者保険者の皆様方に対しても、この全面総報酬割の導入に伴う健保組合の負担増の半額程度である約700億円の財政的な追加支援を実施して、拠出金負担の重い保険者への負担軽減等を行うということで、健康保険組合の中にも財政に比較的相対的にゆとりのあるところと、そうじゃない大変厳しいところもありますから、当然、厳しいところには、今、申し上げたような追加支援による配慮が行き届くようにして、被用者保険側の御理解を賜りたいというふうに考えておるわけであります。
- 記者:
- そういう御配慮されているというのは私も承知していて、被用者保険とか言っているのは、自分たちの保険料で賄った後に国から支援をもらうというのではなくて、始めから国が高齢者医療に対してお金を出すべきではないかというふうなことを言っているんだと思うんですが、その点、現時点ではこれでいいんだと思うんですけれども、将来的に高齢者医療を保険料じゃなくて公金で賄っていくというふうなお考えというのはいかがでしょうか。
- 大臣:
- 先ほど申し上げたように、繰り返して申し上げますけれども、保険制度の中でのやりくりでありますので、その保険としてどうなのかということで助け合いの仕組みを今考えて、今回またそれを手直しをしようということでやって、それに補完的に税で支援策を講じるということで、そういうバランスで我々として考えていることでありますので、やはり助け合いの仕組みということで御理解を賜る、その際に必要な支援は同時に行うという、そういう整理かなというふうに思います。
- 記者:
- 関連でなんですけれども、今後、いろいろと医療保険制度改革全般をやる中で、医療は高度医療に特化した病院というのを作る一方で、身近なかかりつけ医の育成というのも大事になってくると思うんですが、そこら辺はどういうふうに考えていらっしゃるのかお聞かせいただけますか。
- 大臣:
- 御指摘のように、プライマリーケアは非常に重要でありますし、例えば、がんのようなケースも、高度医療で拠点病院で徹底的な高度医療で治療を行うとともに、その後のケアを地域の医療で行わなければならないわけでありますから、いずれにしても、プライマリーケアを充実をして、言ってみれば、そこでいろいろなそこから先にどういくべきかについての判断が、よりしやすいようにしていくということは大変大事だというふうに思いますし、結果として健康の確保と、それから医療費の、言ってみれば適正化ということにもつながるわけでありますので、今後、特に、県に国民健康保険の財政運営の役割を担ってもらうということになると同時に、医療についての構想、ビジョンを作っていただきながら、医療費の適正化計画というものも作り直していただくわけでありますので、保険者としてどういうふうな形で健康増進と健康確保と医療費の、言ってみればきちっとした適正化を図っていくのかということを達成するために、今回、インセンティブとしてのポイント制とか、いろんな形で健康づくりについてのインセンティブを与えていますけれども、そういう時にも今御指摘のようなプライマリーケアに携わる医師の指導なりが大変重要な役割を果たしていくんではないかというふうに思いますので、保険者の役割とともに、そういったかかりつけ医と今呼ばれていますけれども、そういった方々のより一層の役割というものが期待されるんじゃないかというふうに思っています。
- 記者:
- 今、プライマリーケアを担う医師の数とか質というものに対する現状認識というのはいかがですか。充足しているとかしていないとか。
- 大臣:
- これはすでに(社会保障制度改革)国民会議などで方向性は示されているわけでありますし、実際、医療教育、医学部教育において行われていて、あと何年かな、18年かな、ちょっと定かじゃありませんけれども、初めてこういう教育を受けた卒業生が出てくるというふうに聞いておりますから、そういった面で医学部教育の改革というものも当然行われなければならないと思いますし、地域包括ケアシステムを構築するという、これからまさにやらんとしているこの位置付けも医学教育において、全ての医学生に今まで以上に徹底すべきことではないかなというふうに思います。
- 記者:
- 数としては充足している。どういう。
- 大臣:
- もちろんそれは質の問題もあって、数はもちろんかかりつけ医と言えばおそらく皆さんだってだいたいおられるんじゃないかと思いますけれども、問題はその役割と、言ってみれば質の担保というか、養成をしっかりやっていくということが大事で、イギリスなんかのGPのようなものもきっちり教育の中で位置付けられているというふうに認識をしておりますし、医療の制度の中でも位置付けられているというふうに聞いておりますから、今後、いろいろな議論を、保健医療2035でも議論をするということで聞いておりますし、そういうようなことはこれからさらに大事になってくるというふうに思っています。
(了)