塩崎大臣閣議後記者会見概要

H26.12.26(金)11:28 ~ 11:51 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私の方からまず、3点ございます。最初に、閣議の前に「第4回まち・ひと・しごと創生会議」がございました。そこにおきまして、以下のとおり発言いたしました。地方創生は日本の創生であり、従来型の政策ではなく、地方の独自性を生かすとともに、官民を上げて取り組むことにより、何としてでも成し遂げなければいけないと認識している。地方創生を実現するためには、何よりも地域に産業をつくること等を通じて、地方に雇用を生み、地方への新たな人の流れを生み出す好循環を確立しなければならない。それに関連して、私が申し上げたのは、対内直接投資についての言及がありますが、これについて、やはり、海外から投資をしてみようと思うぐらい魅力的な地域にならないと、国内の企業も投資しないんじゃないか、ですから、それを基準に考えると何をすべきかが、よく分かるんじゃないかという意味合いのことを申し上げました。こうした好循環をつくりだす地域の産業や、人材の育成について総合戦略にも盛り込まれた新型交付金も活用しつつ、集中的に取り組み、経済成長の礎(いしずえ)をつくることが重要であると考える。その上で、地方でも安心して働ける支援を行うとともに、結婚・妊娠から出産・子育てまでの切れ目のない支援体制の構築や、地域になくてはならない医療・介護等の生活支援サービスの確保に、厚生労働省の政策を総動員して取り組んでいく。また、地方創生コンシェルジュとして、厚生労働省では、都道府県ごとに62名専任するなど、地方自治体の取り組みもしっかり応援していきたいということを申し上げました。2点目は、これは閣議で発言いたしましたが、雇用関係の点についてでございます。11月の完全失業率は、前月と同水準の3.5パーセント、有効求人倍率は0.02ポイント上昇いたしまして、1.12倍でございました。現在の雇用情勢は、一部に厳しさは見られるものの、着実に改善が進んでいます。ただし、消費者マインドの低下や、海外景気の雇用への影響について注視していく必要があります。雇用情勢の地域差などの課題に対応した、雇用対策の推進や、正社員実現加速プロジェクトによる正社員就職の促進などにより、雇用情勢の一層の改善が進むよう、取り組んでいきます。3点目でありますけれども、労働者健康福祉機構の虚偽報告に関する処分などの発表についてでございます。12月17日に、労働者健康福祉機構の虚偽報告について、第三者委員会より報告書が発表されたところでありますけれども、それを受けて、厚生労働省及び労働者健康福祉機構の関係者に対する処分及び人事異動が決まりましたので、発表させていただきます。まず、本日労働者健康福祉機構の所在地を管轄する神奈川労働局より、横浜地方検察庁に対して、機構の平成24年、25年の総務部長であった、高崎真一、小山浩一及び平成24年の理事であった細川和彦、この3名について、追加で刑事告発を行いました。なお、法人につきましては、すでに11月17日に刑事告発を行っておるところであります。今般の労働者健康福祉機構の行為は、障害者雇用率制度の健全・適正な運営を根底から覆すものであって、同時に、障害者の方々からの行政に対する信頼を失墜させる重大かつ深刻な背信行為だと思っております。所管独立行政法人を監督する官庁としてはもとより、何よりも、障害者雇用促進に責任のある行政当局として、決して看過することができない重大事案であることから、虚偽報告に関して、個人についても告発に踏み切ることといたしました。また、労働者健康福祉機構においては、同じく本日付けで第三者委員会報告書を踏まえ、厳正に処分量定を決定し、最も重い者、6名につきましては、停職1か月相当の報酬返納を求めるなど、決裁記録等により、故意・過失が認められた平成18年度以降の関与者、31名おりますが、それに加えて、管理監督者5名について、厳格な処分等を行うと聞いております。厚生労働省においては、機構に出向した本件に関与した職員に関し、本日付けで人事異動等を行いました。具体的には、都道府県労働局長についてた職員3名、これは滋賀・和歌山・長崎、各労働局長であります。この3名について、企業に対する障害者雇用率達成指導の責任者としてはふさわしくないと判断いたしまして、本日付けで労働局長の職を解く等の人事異動を行います。また、前労災審議官の高崎真一、彼は11月18日付けで官房付にすでに異動済みであります。この高崎真一については、虚偽報告の事実を知りながら、是正を指示しなかったという、国家公務員としての責任を重ねて問い、減給1月、10分の1の懲戒処分を行いました。今後第三者委員会からの報告を踏まえて、労働者健康福祉機構においては、再発防止策を厳格に取り組むことを強く求めるとともに、厚生労働省としては、公法人での障害者雇用の適正な報告を確保するための仕組みについて検討してまいりたいと思います。また、第三者委員会の報告書では、本省からの出向者の責任が厳しく指摘をされた一方で、出向者である現総務部長が今回の不正の発見・是正に貢献した点にも言及した上で、出向者の受け入れの必要性・合理性について、改めて十分な検証が必要とされるところでございます。これに関して、厚生労働省としても再び同様の事態を招くことにならないように、今後の出向人事のあり方について見直しを図っていきたいというふうに考えており、特に総務部長や、人事課長といった、法人運営の枢要なポストに継続して出向者を出してきた点については、見直す必要があると考えております。このため、現在空席になっております人事課長については、当面厚生労働省からの後任者の出向を行わないということを決定いたしました。なお、詳細はこの後、事務方にお聞きをいただければと思いますので、私からは以上といたしたいと思います。以上、私から3点申し上げたところでございます。

質疑

記者:
独立行政法人労働者健康福祉機構の虚偽報告について、労働行政の所管大臣としての責任はどう認識されていますでしょうか。
大臣:
障害者雇用促進というのは、厚生労働省の政策であるわけでありますから、そのベースになる数値の報告について虚偽報告を、それもこともあろうに厚生労働省の所管の独法(独立行政法人)で行われてきた、それも継続的に行われてきたということは、本当に許し難い行為であり、また、言ってみれば障害者の皆様方にとってみれば、一体、障害者雇用促進という政策そのものの本気度が問われるという指摘をされても、それはやむを得ないというぐらい大変重たいことだと思っておりますので、私どもとしても、まずは関わった者の厳正なる処分を行う。その上で、なぜ起きたのかということを、もちろん第三者委員会が機構に関しては、ある一定程度の、この提言をしているわけですけれども、厚生労働省においても改めて考えた上で、とりあえず、処分をきちっとする、そしてまた、刑事告発もするということに、この労働局の方がやったわけでありますが、今後こういうことが起きないためには、さらに考え、また、先ほど申し上げたとおり、公法人の報告制度についての真正性担保の仕組みがないということが今まで行われてきたわけでありますから、これについても、立入検査、抜き打ち検査を含めて、もう1回再構築していかなきゃいけないというふうに思います。
記者:
実質賃金についてなんですけれども、今日発表されて、4.3パーセント減と、17か月連続でマイナスになっております。また、現金給与自体も下がっていますが、今後本当に賃上げができるのでしょうか。その認識をお願いします。
大臣:
統計は過去の数字であるということをまず踏まえなきゃいけないのと、昨日も申し上げましたけれども、賃金は経済実態から少し遅れて反応する遅行指標と考えるのが普通の経済政策での実態だろうと思います。今、実質賃金のお話もありましたが、給与総額自体もですね、マイナスの1.5パーセントということで減少しているわけでありますが、これは一言で言ってしまえば、年末に限っての統計技術的な要因というのがあって、「特別に支払われた給与」という項目がありますが、これが前年同月比27パーセント減ということになっています。これは大幅に減少しているわけでありますけれども、これは例年ですね、11月の速報値の公表日が早いものですから、事業所のデータが出そろわないうちに公表になるということで、低く算出されるという癖がございまして、この「特別に支払われた給与」については今年も確報で大幅に修正されるものというふうに認識をしているわけであります。11月の速報値のみで賃金の動向を判断するという今の御懸念は少しお時間を置いていただいて、この確報値を見てから御判断をいただいた方がいいのではないかと思う一方で、先ほど申し上げたように、賃金をこれから上げられるのかというお話が今御質問としてありましたが、これはすでに政労使でも賃上げについての御同意を経営者側からもいただいているわけでもありますし、実体経済としても収益等との環境は好転をしているということを考えてみると、賃金は引き続き少なくとも名目賃金は上昇していく筋合いにあるというふうに考えるべきだろうと思いますが、しかし、まだまだ地方にもこの影響がしっかり波及しているというわけでもありませんので、だからこそ我々は今回、地方創生に軸足をさらに重きを置いて、これから地方の再生を図っていくということは地方の企業の支払う賃金についても上がるようにもし、できるだけ上がることによって物価の上昇率よりも高くなるというように、我々は実体経済を変えていかないといけない。それがまさにアベノミクスで、潜在成長力を上げていくのに等しいようなことをやっていこうということでありますので、その結果として、物価を上回る賃金の上昇を我々としては引き出すことは可能ではないか。ただし、そのためには2年度にわたってもうすでに発表してきた(日本)再興戦略を着実に実行すること、さらにそこで書いてある仕込み中の、あるいはこれから仕込む政策もたくさんあるわけですから、これらが確実に実行されるようにしていくということが大事だというふうに思います。
記者:
群馬大学病院の腹腔鏡(手術)で8人死亡した事案についてなんですけれども、その後、それよりもごく一般的な開腹手術でもそれ以前に10人亡くなっているということが、しかも同じ執刀医が行った手術で10人亡くなっているということが明らかになりました。それまで、死亡事案についての症例検討会なども行われていなかったということで、大学の安全管理体制やチェック機能が十分ではなかったんではないかという問題も明らかになってきているんですけれども、一方で、高い水準の医療を提供する特定機能病院として群馬大学病院は指定されているわけですけれども、その承認した厚生労働省の大臣としてですね、どのように受け止めているかということをうかがいたいんですけれども。
大臣:
報道でこの開腹での肝臓の手術においても死亡事例が相次いでいたということが報道されているわけでありますが、厚労省としてもこの群馬大学病院に対して、今、調査及び説明を求めておるところでございます。この病院においてすでに腹腔鏡手術での死亡事例に関しても再発防止策の策定とその適切な実施を行うように求めているわけでありますけれども、腹腔鏡手術死亡事例への再発防止策の実施状況の確認とですね、それから今回さらに明らかになったこの開腹手術での死亡事例にかかる事実関係の把握を進めるために、厚労省としては立入検査をしなければいけないというふうに考えているわけでございまして、目下、その段取りを検討しているところでございます。
記者:
大臣として、厚労省の方針はわかったんですけれども、実際に8人プラス10人、一人の医師、同じ医師が執刀して亡くなっているという事態について、特定機能病院として厚労省が承認していて、さらに診療報酬上も様々な優遇を受けているその病院でこういう事態が起きているということについて、大臣としてどう受け止めているのかという、そのお考えをうかがいたいんですけれども。
大臣:
尋常な事態ではないことはもう間違いないことであって、だからこそ説明を求め、そしてまた、立入検査もする中で、実態の掌握、これをまずやることが厚労省として、あるいは特定機能病院を指定した厚労大臣としてのまずやるべきことであるというふうに思います。その上で、その実態に即してどうするかということを考えるのであって、今、指定したことについての是非等については、まだ最終判断するには早いということなので、今はなんにしろ実態の把握をする、そしてなぜこういうことが起き、そしてなぜ本来取らなければいけないプロセスを病院内において取ってこなかったのか、これらについてはやはり重大な問題として我々はしっかりと見ていかなきゃいけないというふうに思います。
記者:
本日発表された雇用統計で、労働力調査なんですが、非正規社員が初めて2,000万人を超えました。高齢化が進んでいるということと、女性の就業が進んでいるということが背景だということなんですが、その受け止めをおうかがいしたいのと、あともう1点、正規社員は前月まで2か月間増えていたんですが、今月は減少になりまして、正社員実現のプロジェクトなんかも進めてらっしゃいますけれども、正社員の有効求人倍率が伸びている中で、今後また上昇に転じていくというふうに見てらっしゃいますでしょうか。その方向の見立てをお願いできればと思います。
大臣:
今、御指摘のように、(総務省の労働力調査で)非正規雇用が初めて2,000万人の大台に乗ったということでありまして、確かに非正規雇用労働者が増加基調であることは事実だと思います。これは一つはですね、高齢者、高年齢層で再雇用等による非正規への移行が増加しているんではないかというのが第1点、そして第2点は景気回復に伴って女性を中心にパートなどで働き始める方々が増加しているんではないかというのが第2点で、これは選挙戦を通じてもずいぶんこの話が議論の対象になったと思います。非正規雇用も減少している時と比べると雇用者自体の数は増えているということではあるわけでありますけれども、しかし、我々としてもやっぱり正規雇用が増えるということが大事で、今、御指摘のように、今回それが減ったということもあまり好ましいとは思っておりませんけれども、しかしこれは統計で一月の話でありますので、我々としてはまず雇用全体が増えるということ、その中でやはり正規雇用が進むように、増えるようにキャリアアップの努力を企業にも求める、あるいは制度としても、それを担保するような制度を加えるというようなことを続いてやっていかなきゃいけないというふうに思っているわけで、もう少し様子を見ないといけないと思いますけれども、いずれにしても、雇用全体が増えるということはプラスの話であり、正規雇用を増やすという政策目的は、我々としては何も変わっていないということであります。

(了)