塩崎大臣閣議後記者会見概要
H26.9.5(金)11:15 ~ 11:37 省内会見室
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 今日は閣議がございましたが、中身は特に皆様方に御報告する事案はございませんでした。冒頭、私の方から発言を申し上げたいことがございまして、デング熱についてでありますが、昨日、11時時点で55名の患者が確認され、感染者数が増えております。東京都においては、昨日、公園の広範囲でウイルスを保有する蚊を確認し、今後、蚊の調査の強化とともに、公園の大部分を当分の間閉鎖し、さらなる蚊の駆除を実施することといたしました。これにより、代々木公園内のウイルスを持つ蚊の減少が期待されると考えておりますが、私どもといたしましては、感染拡大を防止するため予断を持たず、様々な事態を想定して対応する必要があり、既に対応しておりまして、例えば、全国の自治体にデング熱に関する対応マニュアルをすでに配布しているところでありまして、このようなことを含めて、今後ともしっかり対応していきたいというふうに考えております。厚労省としては、国民等への情報提供、医療の確保、予防蔓延防止策、それから情報収集の徹底などを行ってまいりました。さらに、今回の代々木公園の一時閉鎖等にあたりまして、連日、関係自治体などと緊密に連携いたしておりまして、国立感染症研究所からウイルス学とか、昆虫学の専門家を10人派遣いたしまして、技術指導、これはまず第一に調査、検査、対策、これらについて支援を行ってきているところでございます。引き続いて、自治体、特に東京都と渋谷区が今のところはこの連携の相手でありますけれども、感染の拡大の防止のために総合的な対策を講じてまいりたいというふうに考えております。なお、これはすでに繰り返し申し上げているところだと思いますが、デング熱は発症しても重症化することは少ない。そして、これまで我が国でデング熱を発症されて、亡くなられた方は報告されておりません。引き続き、冷静に対応していただければというふうに、国民の皆様方には申し上げておきたいというふうに思います。引き続き、厚労省としてもしっかりと対応してまいりたいと思っております。
質疑
- 記者:
- デング熱の件なんですが、感染者数が昨日の段階で50人を超えていて、その後、自治体から五月雨に報告があって、実際は60人近い数に現在なっているかと思うんです。今後、疑い例の人たちというか、感染者の方がどれぐらい、代々木公園に関してですけれども、増えそうなものなのか、また、今日も新たな数字が頂けると思いますけれども、ちょっと昨日になってペースというか、増えた数が少なくなってきたなという気がするんですけれども、今後の見通しというか、どのぐらいの数字になりそうなのかというのはどうでしょうか。
- 大臣:
- これは当初から言われていたように、蚊を媒介してうつっていく病気だということで、その範囲は基本的には大きくないはずであり、また、気温がだんだん下がってくるということもありますから、大きく拡がる筋合いにはないというふうに思っていますけれども、しかし、今回のような例は、いったいどこからどういふうに入ってきたのかという大元の感染源は特定できないわけでありますから、我々としては水際でまず、すでに高熱で入ってくる人を抑えるとか、それと、これから医療関係者とよく相談して、今回たまたまデング熱に明るい先生が、お医者さんがおられたので、これの特定ができましたけれども、今後は全国で人の往来が国境を越えて多くなっているだけに、どこで何があってもちゃんと対応できるように医療関係者ともよく連携しながら、そういったことが仮にあるとすれば、ただちに分かるようにしていくように連携していきたいと思っております。
- 記者:
- 今、感染の疑いということで検査途中の方というのは、まだかなりいらっしゃるんですか。
- 大臣:
- そんなに増えるという話は、私どもは聞いておりません。
- 記者:
- 昨日、最高裁で泉南アスベスト訴訟の上告審の口頭弁論が開かれましたけれども、改めて、国側は過去の規制について適時適切だったいうふうに主張されましたが、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
- 大臣:
- この大阪のアスベストのケースだと思いますが、これにつきましては最高裁の判決日が指定されたというふうに聞いております。これが10月9日に行われて、口頭弁論が行われる中で、指定されたというふうに聞いておりまして、この訴訟については、この事案争点が共通する大阪高裁の第一陣と第二陣とで中身が、判断がわかれたというふうに私も聞いておりますし、これは最高裁の判断、この10月9日の判決日が決まったということでありますけれども、その判断を待つということに尽きるんだろうというふうに思いますので、その判決を受けて、また対応してまいりたいというふうに思います。
- 記者:
- 第一陣訴訟の控訴審で国が勝っているわけですが、その中に、経済成長と労働者の命というのをバランス、比較考量した時に、時には経済成長が優先することがあるんだというような書きぶりになっていて、それについてかなり原告側が批判しているんですけれども、経済成長と労働者の健康、あるいは命といったものが比較考量されるようなことというのがあるのかどうかということについて、大臣御自身がもし見解をお持ちでしたら教えてください。
- 大臣:
- それはどこでの表現ぶりについて、判決ですか。
- 記者:
- 判決の中に確かにそういうふうに読める書きぶりがあるんです。
- 大臣:
- 判決でありますから、それは司法の判断なので、我々行政側が司法の中身について、コメントするのは差し控えた方が良いと思います。ただ、我々基本的なスタンスは、やはり命は何よりも大事だということであるというふうに思います。ただ、一方で、経済成長はおろそかでいいのか、これもないことでありますので、そういうことに尽きるんじゃなかと、私は思います。
- 記者:
- 原爆症の認定についておうかがいしたいんですが、昨年の12月に新基準ができまして、認定件数自体は増えていると認識しているんですが、一方で、新基準でも対象外とされる人が地方で認定されるというケースも出ていることで、それに対して被爆者団体から批判もあると思うんですけれども、来年は被爆から70年という節目になると思いますし、被爆者の方も高齢化してらっしゃると思うんですが、その節目に向けてですね、救済対象の拡大に向けて新基準を見直したりとか、そういった考えを大臣御自身はどのように考えてらっしゃいますでしょうか。
- 大臣:
- 今の新基準を昨年の12月に策定された、大幅な見直しを行われたわけでありますが、これにつきましては被爆者代表の方にも御参加いただいた、この原爆症認定制度のあり方に関する討論会でこの見直しが行われてきた議論を重ねた結果だというふうに理解しております。この結果、新しい審査方針の下で非がん疾患の認定数も5倍に増えているということで、見直しをしたことによる結果も出ているというふうに思っています。今、お話がありましたように、今年に入ってから3件の地裁判決がありまして、一部の事案において国の敗訴となっているのがあったり、新しい審査方針では認定できない事案について、高裁に控訴されているというふうに聞いております。これらの事案で、負けているものについて申し上げると、一つはこの改定前に結審しているということもあった、それから、なかなか一般的な科学的知見では放射線による健康被害かどうかということの判定が難しいということが考えられるということでありますので、これから申請がさらに増えていく中にあって、その認定の審査をなるべく早くやって、そして、これが十分なものかどうかということを積み上げを見ながら考えていきたいというふうに思います。
- 記者:
- 賃金についておうかがいします。大臣就任前の(9月)2日の毎月勤労統計で、7月の名目賃金が非常に大きな伸びになっている一方で、実質賃金はずっとマイナスが続いています。昨日、日銀の黒田総裁は、実質賃金のマイナスはだんだん影響は小さくなってくるというふうな御発言をされていましたけれども、大臣として、現在の賃金動向をどういうふうに見てらっしゃるのか、また、今後の景気への影響というのをどう考えてらっしゃるかを教えてください。
- 大臣:
- これは基本的には総理がおっしゃっているように、この賃金と、いってみれば経済成長の好循環というか、そういうものが基本的には進んでいるというふうに私も思っています。2.6パーセントというのは、これは実は5か月連続、なおかつ、2パーセント台の水準というのは9年8か月ぶりということで、かなりの伸びになっているわけでありまして、それも特に御案内のように所定内が0.7パーセント増えているというのが私はとても大事だと思います。今まではどちらかというと所定外、それからボーナスですね。これは増えているというのが特徴だった。問題はやはりいつもいわゆる所定内の賃金が上がっていくということが大事であって、最初はボーナスにきて、それから時間外にきて、どちらが先か両方あり得ますけれども、時間外がきて、ボーナスにきて、それで所定内ということですけれども、今回はいずれもいい数字で所定内が0.7パーセント、そして所定外が3.3パーセント、そしてボーナスが7.1パーセントということで、実質賃金はマイナスの1.4ということで、今までずっと3パーセント台が2、3か月続いていましたから、そういう意味ではよかったと思います。基本的には雇用情勢はもちろんこの有効求人倍率や失業率の低下に見られるように需給はタイトになりつつあるということでありますので、あとは実質賃金も上がっていくようにするということに心砕いていくということも大事だし、今のこの需給がタイト化して全体として賃金が上がっていくような労働市場の環境というものを持続的に続けられるようにしていくということのために、実は産業構造改革の転換とか、あるいは企業の統治の仕方とか、そういうことを徹底的にやるという、今回、成長戦略で出したそのメニューをきちっと確実にやるということが大事だというふうに思います。
- 記者:
- デング熱についてなんですけれども、今の都の現時点での対応が十分かとお思いか。
- 大臣:
- どこの。
- 記者:
- 東京都です。東京都の駆除作業であったりとか、そういう対応は十分なのかというような評価と、あと厚労省が今後、感染拡大を防ぐために具体的な何か対策というのはあるのかということをお聞かせください。
- 大臣:
- 東京都はその時点時点でですね、得られた情報に対して対応しているというふうに思ってはおりますが、今般、さらに新たな事態が判明をしたということで迅速に対応したんだというふうに理解をしております。大事なことは今申し上げたように、渋谷区だけとかですね、そういうことで安心をするんではなくて、いかなることがあってもいいようにしないといけないほど人の出入りは多く、激しくもなっているわけでありますから、厚労省としては、やはり常時何が起きてもいい体制を作るために医療界との関係も、より緊密にしていくということ。そして、国民の皆様方、もちろんお医者さんもそうですけれども、こういった外から今までなかったいろんなものが入ってくる可能性や、あるいは少し地球温暖化で今までの天候では考えられなかったようなことが起こりうるということを頭の中にしっかりと入れていくということが大事なんではないかなというふうに思って、心して、厚労省としても対応するように私も事務方に指示をしているところであります。
- 記者:
- デング熱に関連して、現時点で代々木公園周辺以外でデング熱に感染している疑いがある方というのは、今情報として入ってきているんでしょうか。
- 大臣:
- まだ聞いておりませんが、そういうことがあってもいいように我々としては対応していかなきゃいかんというふうに思います。
- 記者:
- GPIFの運用の件でおうかがいしたいのですけれども、現在、運用の大部分が外部に委託しているということについて、過去の報道の中でも塩崎大臣自身は、全部外任せではよくないという趣旨の御発言をされています。今は債券の自家運用に限られていると思いますけれども、この自家運用の範囲というものを例えば株式に広げていくとか、そういった形の運用の見直しというのは考えられるのかどうか、教えていただけますでしょうか。
- 大臣:
- これは私は私なりにもちろん考えが今までありましたし、発信もしてきましたが、これはまず年金部会で議論を始めていただいてますから、そこでしっかりと議論していただかなきゃいかんなというふうには思っております。今のところはこの間のスチュワードシップ・コードでも、アセットオーナーとしての立場からの発信をしているというふうに思いますので、これをアセットマネジャーになるかどうかということも含めて、これは議論を重ねていかなければいけないのではないかというふうに思っております。
- 記者:
- この運用のあり方というのは年金部会で議論をしていくのか、運用委員会の方でやっていくのか、それはどちらなんですか。
- 大臣:
- 制度はやはり年金部会で議論していただくということであって、運用委員会というのはGPIFの中の、いっていみれば理事長の諮問機関みたいなものですから、それは全然レベルの違う話だと思います。
- 記者:
- この冬、年末にかけての年金部会の中で、自家運用なり、外部委託のバランスをどうするのかということはその資産も含めて検討していかれると。
- 大臣:
- GPIFの法律がどこまでの範囲の資産の運用の仕方を許すのかということについて、我々は議論しなければいけないんじゃないかと私はずっと思っていますので、そういったことは法律に基づいて動いているGPIFそのものが、ものを決めたりするということはないんだろうと思います。制度を作るのは、法律を作るのは最終的には国会ですけれども、行政としてどういう提案をしていくかという時にこの審議会で議論していただくということが出てくるんだろうし、もちろん当然我々も中で議論を鋭意やっているということであります。
- 記者:
- 関連ですけれども、今は自家運用は国債だけだと思うんですけども、株の自家運用に関しても今後の検討対象になり得るという理解でよろしいんでしょうか。
- 大臣:
- それはこの間のように申し上げているように、強固なガバナンスの下で、どういうリスク分散をしながら分散投資をすることが、全体として、年金掛金を安全かつ効率的に運用できるのかということを我々はこれから詰めていかなきゃいけないと思うんです。それは繰り返して申し上げますけれども、最終的には国民の皆さん方がそういう運用の仕方ならば、そしてそういう運用の体制の下で、ガバナンスの下でやるんだったらば安心できるな、任せてみないなというふうに思っていただくようにしていくことが大事なんではないかと私は思っています。
- 記者:
- デングのところで確認なんですけれども、そんなに増えるという話は聞いていないということだったんですが、具体的な数字というのは何かお持ちなんでしょうか。それとあわせて、以前は感染が拡大するという見方はないという見方だったんですけれども、その見方は変わっていないんでしょうか。
- 大臣:
- 急拡大するというふうには認識しておりません。
- 記者:
- 昨日、副大臣と政務官の人事が決まったわけですけれども、大臣は新たに設置できます大臣補佐官についてはどのようにお考えでしょうか。
- 大臣:
- 元々、これは我々、第一次安倍内閣で始めた公務員制度改革の中から出てきて、公務員制度改革基本法に入れ込んだものでありますが、第一次安倍内閣の哲学がそこに出てきているということなので、当然、これは官邸主導、政治主導の政策決定をやる一つの手段ということで考えているわけであります。私も個人的には是非、積極活用してみたいというふうに思っています。
(了)