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医薬食品局 食品安全部 企画情報課 国際食品室 室 長 日下 担 当 井関(内線 2407) (代表電話) 03-5253-1111 (直 通) 03-3595-2326 |
報道関係者各位
第43回「コーデックス連絡協議会」の概要について
厚生労働省と農林水産省は、平成22年6月23日(水曜日)に、「第43回 コーデックス連絡協議会」を霞ヶ関中央合同庁舎 4号館 共用会議室において開催しました。質疑応答及び意見交換の主な内容は以下のとおりです。
1 経緯
1 経緯
(1)厚生労働省及び農林水産省は、コーデックス委員会※の活動及び同委員会での我が国の活動状況を、消費者をはじめとする関係者に対して情報提供するとともに、検討議題に関する意見交換を行うため「コーデックス連絡協議会」を開催しています。
(2) 今回は、本年2月から5月にかけて開催された8つの部会の主な検討議題の報告と、本年7月から9月にかけて開催される「第33回 コーデックス総会」及び1つの部会の主な検討議題の説明を行い、意見交換を行いました。
※コーデックス委員会(Codex Alimentarius Commission)とは、1963年にFAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が合同で設立した政府間組織であり、消費者の健康を保護し、食品貿易の公正な実施を確保するために、国際食品規格(コーデックス規格)や基準・実施規範・ガイドラインなどを勧告しています。
2 質疑応答及び意見交換の主な内容
(1)第9回 乳・乳製品部会
• 議題4のプロセスチーズの規格原案の策定作業の中止と既存のプロセスチーズ規格の廃止が合意されたことに関連し、国内の関連基準にどのように影響するかについて質問があったのに対し、特に影響はない旨を回答しました。
• 議題6(a)のナタマイシンの分析法が更新された結果、分析の精度がどの程度向上したのかについて質問がありました。これに対し、これまで分析法がなかった中、今回、国際的に確立された分析法を使用することとなったものであり、精度の向上の議論ではない旨を説明しました。
(2)第31回 分析・サンプリング法部会
• 議題3の「バイオテクノロジー応用食品中の特定DNAシークエンス及び特定タンパク質の検出、同定、定量に関する分析法の規準についてのガイドライン原案」は、汎用性のある分析法を定めたものであるのか質問がありました。これに対し、本ガイドラインは個別の分析法を定めているのではなく、様々な分析法の妥当性を確認するための規準を示したものである旨説明しました。
(3)第42回 食品添加物部会
• 議題5(c)の「食品添加物に関するコーデックス一般規格(GSFA)に掲載されるアルミニウム含有添加物の添加物条項の報告根拠に対する意見及び情報」に関して、アルミニウムの摂取を低減させるために対応すべきとの発言がありました。これに対し、第67回FAO/WHO合同食品添加物専門会議(JECFA)における評価では、耐容週間摂取量(PTWI)設定にあたって、一部の知見不足を理由として不確実係数が用いられたが、我が国からは今後その点に関する知見を提出する予定であり、新たに提出されるデータに基づく次回のJECFAにおいては、第67回JECFAが設定したPTWIが変更される可能性もある旨を説明しました。
• 議題9(a)の「JECFA評価の優先リストの追加及び変更に関する提案」に関して、我が国では赤色の着色料として複数の種類のものを使用するため、「エリスロシン」の摂取量が諸外国よりも低くなる可能性があり、従って、EUの懸念に対する反論にならないのではないかとの指摘がありました。これに対し、EUの懸念は、ワーストケースとしてエリスロシンを最大使用基準値(ML)まで使用したと想定し摂取量を推定した場合、一日許容摂取量(ADI)を上回るのではないか、というものであるが、我が国やオーストラリアは、そもそも業界はニーズがないためMLまで使用しておらず、このような使用実態から摂取量を推定すると、ADIを十分下回ると発言した旨、また、次回会合に向けて、電子作業部会において使用実態に関する情報収集等が行われる旨を説明しました。
(4)第26回 一般原則部会
• 議題12(1)の「ステップ8で保留されたコーデックス規格案等」について、2年後に開催される次回会合まで待つことへの他国の見解を問われ、議場においては、1年後に部会を開いて対応すべきといった意見はなかったことを報告しました。
(5)第42回 残留農薬部会
• 議題13(a)の「Codexを通じて世界的に調和された農薬最大残留基準値(MRL)の実現」において新規作業として合意されたパイロット・プロジェクトの実施の趣旨について問われました。これに対し、現在のコーデックスルール、つまり各国で登録され使用される農薬について、コーデックスは優先順位を付けてFAO/WHO合同残留農薬専門家会合(JMPR)で評価を行うという手続きがあるが、本プロジェクトは、各国で農薬登録される前にJMPRの評価を行うことで、新規農薬のコーデックスMRL設定の過程で各国のMRLsとの調和が図れるかどうか、その有効性を調べる試みである旨を説明しました。
• 議題6の「食品及び動物用飼料のコーデックス分類」に関して、同じ農産物であっても果物として食するか、未成熟のものを野菜として食するかにより摂食部位が異なることを考慮しているのか質問がありました。これに対し、当該分類は農薬が適切に使用されたかを確認するためのMRL設定に使用する分類であり、貿易における残留分析検査を行う際にどの部位(原則は皮を含めて全体、一部種を除くなど)を分析対象とするのかについても定めていること、また、食べ方の違いについては、安全性評価の際に考慮されている旨を説明しました。
• 議題11の「Minor Uses及びSpecialty Cropsに係る農薬最大残留基準値(MRL)策定の促進のためのガイダンスに関する討議文書」に関して、我が国において「マイナー作物」であるかどうかは消費量に基づくが、コーデックスにおけるマイナー作物の定義はどのようなものか質問がありました。これに対し、同部会においてこれから定義を検討することとなっているが、同じ作物であっても国によってマイナー作物と見なすかどうかは異なるため難しい問題であることを説明しました。
(6)第38回 食品表示部会
• 議題4(a)の「任意又は義務的に常に表示される栄養成分リストに関する栄養表示ガイドライン改訂案(ナトリウム(食塩)に関する電子作業部会の取りまとめ結果)」に関して、我が国からの発言内容がどのようなものか問われました。これに対し、現在、我が国における栄養表示はナトリウムのみとなっているが、我が国では減塩対策を進めていること、消費者への分かりやすさなどの観点から、ナトリウムと食塩相当量を併記したほうが望ましい旨を発言したことを説明しました。
• 議題6(b)の「遺伝子組換え/遺伝子操作技術由来食品に関する食品、食品原料の表示に関する提言案」に関し、ファシリテーターを活用する物理的作業部会が開催されることに対しての、日本の認識を問われました。これに対し、同部会の参画を含め、これまでと同様、積極的に対応していく旨を回答しました。
(7)第33回 コーデックス総会
• コーデックス委員会運営のための年間の予算規模を問われ、昨年の総会において、次期2年間で122万5千ドルのレベルが維持される旨報告されたことを説明しました。また、コーデックス委員会の市民への公開について問われたのに対し、コーデックス委員会でオブザーバーとして認められたNGOを通じて会議に出席することは可能であること、また、会議の傍聴についても、会議運営上の特段の制約がない限り、基本的に認められている旨説明しました。
• プライベートスタンダードの議論に対する日本の対応を問われたのに対し、コーデックスにおける本件の議論の方向性はまだ不透明であることから、まずは議論を注視していく必要があるが、必要に応じてWTO・SPS委員会や国際獣疫事務局(OIE)において行われている議論も踏まえながら対応していくことになるだろうと考えていることなどを説明しました。
• ステップ8で保留されている「牛ソマトトロピン(BST)の最大残留基準値(MRL)案」及び「ラクトパミンのMRL案」についての日本の対処方針を問われたのに対し、前者については一般原則部会(CCGP)における「ステップ8で保留されたコーデックス規格案等」の議論を待ってから対応する必要があるものと考えていること、また、後者については調整中である旨を回答しました。
(8)その他
• 連絡協議会の開催について、意見交換がもっと有意義なものになるよう、今後のさらなる検討と改善を求める要望がありました。
• 政府の予算を抑制する動きがある中、コーデックスの会合への出席に支障が生じないよう、予算の確保に努めてもらいたいとの要望がありました。
会議資料はこちらからご覧になれます。
→第43回コーデックス連絡協議会(https://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/codex/07-05/index.html)
コーデックス委員会については、こちらをご覧下さい。
→コーデックス委員会(https://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/codex/index.html)
-お問い合わせ先-
厚生労働省 医薬食品局 食品安全部 企画情報課 国際食品室
電話:代表 03-5253-1111 直通 03-3595-2326
担当者:井関(内線2407)
農林水産省 消費・安全局 消費・安全政策課
電話:代表 03-3502-8111 直通 03-3502-8732
担当者:近藤、湯地(内線4471)